JPH0616436A - 光学素子の成形条件設定方法 - Google Patents

光学素子の成形条件設定方法

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JPH0616436A
JPH0616436A JP17227692A JP17227692A JPH0616436A JP H0616436 A JPH0616436 A JP H0616436A JP 17227692 A JP17227692 A JP 17227692A JP 17227692 A JP17227692 A JP 17227692A JP H0616436 A JPH0616436 A JP H0616436A
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JP
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molding
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temperature
mold member
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JP17227692A
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Masayuki Tomita
昌之 冨田
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Canon Inc
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C03GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
    • C03BMANUFACTURE, SHAPING, OR SUPPLEMENTARY PROCESSES
    • C03B11/00Pressing molten glass or performed glass reheated to equivalent low viscosity without blowing
    • C03B11/06Construction of plunger or mould
    • C03B11/08Construction of plunger or mould for making solid articles, e.g. lenses

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  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Manufacturing & Machinery (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Re-Forming, After-Treatment, Cutting And Transporting Of Glass Products (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】実際に成形実験を行わなくとも、計算により最
適な成形条件を求めることができる様な光学素子の成形
条件設定方法を提供する。 【構成】所定の形状の光学素子が型部材から離型する離
型温度T1 を実験的に求める第1の工程と、離型温度T
1 における熱応力の分布を計算により求める第2の工程
と、この熱応力の分布状態を応力分布式σ=K・rp-1
の形で表して、離型温度T1 におけるKの値を逆算し、
このKの値を離型定数KC とする第3の工程と、任意の
形状の光学素子を所定の成形条件で成形するときの熱応
力の分布を計算し、この熱応力の分布状態を応力分布式
の形で表したときに、Kの値が離型定数KC に一致する
温度T2 を求め、この温度を任意の形状の光学素子が離
型する温度の予測値とする第4の工程と、第4の工程を
繰り返して、離型温度の予測値T2 が所望の温度となる
様な成形条件を求める第5の工程とを具備する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、加熱軟化されたガラス
素材を一対の型部材によってプレスすることにより、非
球面レンズなどの高精度な光学素子を加工するための光
学素子の成形方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、加熱軟化されたガラス素材を一対
の型部材により加圧成形することによって非球面レンズ
などの光学素子を成形する方法が開発されている。この
ような方法により光学素子を成形する場合、成形が完了
した光学素子が型部材から離型する温度が、完成した光
学素子の良品率ならびにこのような光学素子を成形する
ための成形装置の稼働率に大きな影響を与えることが知
られており、この点を考慮した発明が従来より種々なさ
れてきた。
【0003】例えば、USP4481023号には、光
学素子を、ガラスの粘度が1013ポアズよりも小さい温
度、すなわち比較的高温で型部材から離型することが開
示されている。このように、比較的高温で光学素子を型
部材から離型すれば、光学素子を低温になるまで型部材
内で保持していた場合に発生する光学素子と型部材の熱
膨張差による熱応力を抑制することができる。光学素子
内に熱応力が多く発生すると、この光学素子内に残留応
力が残り、光学歪み(複屈折)を生じる場合がある。ま
た、熱応力の大きさが許容値を越えて大きくなると型部
材の中で光学素子が割れる場合もある。従って、光学素
子が高温のうちに型部材から離型することは、このよう
な成形不良を防止することにつながる。
【0004】またUSP4929265号には、冷却工
程中に、光学素子にプレス荷重を作用させることが開示
されている。光学素子が、まだ高温のうちに型部材から
離型させると、ガラス素材の粘度がまだ低いため、離型
後に光学素子の面形状が変化したり、部分的に離型した
りすることが起こり、光学素子の形状精度が悪化する場
合がある。そのため、このように冷却工程中に光学素子
にプレス荷重を作用させ、光学素子の形状精度の悪化を
防止する様にしている。
【0005】また、特公平2−31012号には、ガラ
ス素材と型部材の少なくとも一方の表面に炭素膜を形成
した状態で、光学素子を成形することが開示されてい
る。このようにガラス素材と型部材の少なくとも一方に
炭素膜を形成しておけば、ガラス素材は、このガラス素
材と型部材の間に炭素膜が介在した状態でプレス成形さ
れることになり、完成した光学素子を型部材から離型さ
せるときの離型性が向上する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
従来例においては、以下の様な問題点があった。すなわ
ち、光学素子を離型させる目的で、光学素子がまだ比較
的高温のうちに型開きを行うと、光学素子が上側の型部
材に付着してしまうことがある。通常、成形の完了した
光学素子は、オートハンドにより型部材の外部に取り出
されるのであるが、このように光学素子が上側の型部材
に付着している状態では、この光学素子をオートハンド
によって取り出すことができない。
【0007】このように光学素子が上側の型部材に付着
してしまうことを防止するために、プレス動作に先立っ
て、ガラス素材の上側の面に炭素膜等の離型作用を有す
る膜を形成しておき、成形完了後の上型部材とガラス素
材との離型性を向上させることが行われているが、実際
には、このような処理だけでは、この現象を完全に防止
することは困難である。そこで、更に成形条件を最適化
することにより、このような現象を防止することが行わ
れている。
【0008】しかし、従来、成形条件を最適化するに
は、実際に光学素子を成形しながら、実験的に、且つ試
行錯誤的に最適な成形条件を求める様にされていたた
め、生産しようとする光学素子の形状や、ガラス材料の
種類が変わった場合には、再度成形実験を行い、最適な
成形条件を求める必要があった。そのため、新たな形状
の光学素子の生産を始めるに際しては、この成形実験の
ために多くの労力と時間を必要とし、また、多くのガラ
ス材料が無駄に消費されるという問題点があった。
【0009】従って、本発明は上述した課題に鑑みてな
されたものであり、その目的とするところは、実際に成
形実験を行わなくとも、計算により最適な成形条件を求
めることができる様な光学素子の成形条件設定方法を提
供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上述の課題を解決し、目
的を達成するために、本発明の光学素子の成形条件設定
方法は、加熱されることにより軟化状態となっているガ
ラス素材を、一対の型部材の間に挟んでプレスし、前記
一対の型部材の成形面の表面形状を前記ガラス素材の表
面に転写するプレス工程と、該プレス工程の後の前記ガ
ラス素材を冷却する冷却工程とを実行して光学素子を成
形する場合に、所望の離型温度で前記光学素子を前記型
部材から離型させるための成形条件を求める光学素子の
成形条件設定方法であって、所定の形状の光学素子を成
形するためにガラス素材をプレスした後の前記冷却工程
において、前記ガラス素材と前記型部材との熱膨張率の
差によって前記所定の形状の光学素子が前記型部材から
離型する第1の離型温度T1 を実験的に求める第1の工
程と、前記離型温度T1 において、前記型部材と前記ガ
ラス素材の界面端近傍におけるこれらの界面上に発生す
る熱応力の分布状態を数値計算により求める第2の工程
と、前記第2の工程において計算された熱応力の分布状
態を応力分布式σ=K・rp-1 (ただし、σ:熱応力,
r:界面端からの距離,K:応力分布のパラメータ,
p:応力分布のパラメータ)の形で表して、前記離型温
度T1 におけるKの値を逆算し、このKの値を離型定数
C とする第3の工程と、任意の形状の光学素子を所定
の成形条件で成形するときの冷却工程における熱応力の
分布状態を数値計算により計算し、この計算された熱応
力の分布状態を前記応力分布式の形で表したときに、K
の値が前記離型定数KC に一致する温度T2 を求め、こ
の温度を前記任意の形状の光学素子が離型する第2の離
型温度の予測値とする第4の工程と、前記第4の工程を
繰り返して、前記離型温度の予測値T2 が、所望の温度
となる様な前記所定の成形条件を求める第5の工程とを
具備することを特徴としている。
【0011】また、この発明に係わる光学素子の成形条
件設定方法において、前記第2の工程と前記第4の工程
において、熱応力の分布状態を数値計算により求める際
に、前記ガラス材料のガラス転移点付近での粘弾性特性
に起因する応力緩和現象を考慮するため、前記ガラス素
材の粘弾性特性を考慮して、前記熱応力の分布状態を計
算することを特徴としている。
【0012】また、この発明に係わる光学素子の成形条
件設定方法において、前記第2の工程と前記第4の工程
において、熱応力の分布状態を数値計算により求める際
に、前記ガラス材料のガラス転移点付近での粘弾性特性
に起因する応力緩和現象を考慮するため、熱応力発生温
度を適切に設定することにより、応力緩和量を考慮した
熱応力を弾性熱応力計算で計算することを特徴としてい
る。
【0013】また、この発明に係わる光学素子の成形条
件設定方法において、前記第2の工程と前記第4の工程
において、熱応力の分布状態を数値計算により求める際
に、冷却中の前記ガラス素材に加えるプレス力の影響
と、冷却中の前記型部材及びガラス素材内の温度分布の
影響と冷却速度の影響とを考慮して熱応力の計算をする
ことを特徴としている。
【0014】また、この発明に係わる光学素子の成形条
件設定方法において、前記第2の工程と前記第4の工程
において、熱応力の分布状態を数値計算により求める際
に、数値計算に使用する光学素子の完成形状が、該光学
素子の外周部の型部材と接触しない自由表面部分の形状
を含んだ形状であることを特徴としている。また、この
発明に係わる光学素子の成形条件設定方法において、型
部材と光学素子の界面端部近傍において、この界面上の
熱応力の分布をσ=K・rp-1 の形で表現し、Kの値を
逆算する際に、界面端から1mm以内の範囲について、
界面上の熱応力の分布をσ=K・rp-1 の形で表現し、
Kの値を求めることを特徴としている。
【0015】また、この発明に係わる光学素子の成形条
件設定方法において、成形条件としての、前記プレス工
程でのガラス素材への加圧力、前記プレス工程での成形
温度、前記プレス工程でのプレス時間、前記冷却工程で
のガラス素材への加圧力、前記冷却工程の温度範囲、前
記冷却工程での冷却速度、前記冷却工程中の一対の型部
材の温度差、型部材の材質、型部材の成形面のコーティ
ング材の材質、ガラス素材の材質、ガラス素材のコーテ
ィング材の材質、型部材の構造の条件の内少なくとも1
つの成形条件を変えた場合に、光学素子が型部材から離
型する温度を予測し、所望の離型温度で光学素子が型部
材から離型する様な成形条件を求めることを特徴として
いる。
【0016】また、この発明に係わる光学素子の成形条
件設定方法において、成形条件としての、型部材の材
質、型部材の成形面のコーティング材の材質、ガラス素
材の材質、ガラス素材のコーティング材の材質の条件の
内少なくとも1つを変えた場合に、光学素子が型部材か
ら離型する離型温度を予測するために、夫々の成形条件
での離型定数KC を実験結果から求め、そのKC の値を
用いて夫々の成形条件において光学素子が型部材から離
型する温度を予測し、所望の離型温度で光学素子が型部
材から離型する様な成形条件を求めることを特徴として
いる。
【0017】また、この発明に係わる光学素子の成形条
件設定方法において、成形条件としての、前記プレス工
程でのガラス素材への加圧力、前記プレス工程での成形
温度、前記プレス工程でのプレス時間、前記冷却工程で
のガラス素材への加圧力、前記冷却工程の温度範囲、前
記冷却工程での冷却速度、前記冷却工程中の一対の型部
材の温度差、型部材の材質、型部材の成形面のコーティ
ング材の材質、ガラス素材の材質、ガラス素材のコーテ
ィング材の材質、型部材の構造の条件の内少なくとも1
つの成形条件を変えた場合の光学素子の完成形状をガラ
ス素材からプレスする工程での該ガラス素材の変形をコ
ンピュータを利用した数値解析から求めることにより、
前記光学素子の完成形状を求め、該光学素子が型部材か
ら離型する温度を予測し、所望の離型温度で前記光学素
子が型部材から離型する様な成形条件を求めることを特
徴としている。
【0018】また、この発明に係わる光学素子の成形条
件設定方法において、光学素子を型部材から離型する温
度が、ガラス素材の粘度で1012〜1016ポアズに相当
する温度範囲内であることを特徴としている。
【0019】
【作用】以上の様に、この発明に係わる光学素子の成形
条件設定方法は構成されているので、ある形状の光学素
子について、一旦実験的に成形定数KC を求めれば、光
学素子の形状や材質が変わった場合でも、数値計算によ
り熱応力の分布を求め、更にその応力分布と応力分布式
とから、Kの値が成形定数KC と一致する温度を求め、
その温度が所望の離型温度となる様に成形条件を設定す
ることにより、最適な成形条件を計算により求めること
ができる。
【0020】
【実施例】以下、本発明の好適な一実施例について、添
付図面を参照して詳細に説明する。図1は、一実施例の
光学素子の成形条件設定方法を適用する光学素子の成形
方法を説明するための図である。図1(a)は、加熱軟
化したガラス素材30を成形用上型部材12(以下単に
上型部材と呼ぶ)と成形用下型部材14(以下単に下型
部材と呼ぶ)によりプレス成形する直前の様子を示して
いる。ガラス素材30は、図示しないオートハンドによ
り、下型部材14上に載置される。
【0021】図1(b)は、一実施例の光学素子の成形
条件設定方法により求めた成形条件に基づいて、プレス
成形を行った直後の様子を示した図である。この状態に
おいては、まだガラス素材30は冷却されておらず、こ
のガラス素材30の温度はプレス成形が行われる温度と
略同一である。また、このようにプレス成形が行われた
直後のガラス素材(光学素子)30の形状は、この成形
条件でのガラス素材の変形をコンピュータによるプレス
変形シミュレーションにより計算して予測された光学素
子の完成形状とほとんど同一である。
【0022】図1(c)は、ガラス素材30の冷却工程
が終了した後の離型直前の様子を示している。冷却工程
の温度域においては、ガラス素材30の熱膨張率は、上
型部材12及び下型部材14の熱膨張率と比較して大き
く、また、冷却工程中は、ガラス素材30は、上型部材
12及び下型部材14と夫々界面S1 ,S2 において固
着された状態で冷却されるため、冷却工程終了時におい
ては、ガラス素材30と上型部材12と下型部材14の
内部には、熱応力が発生している。そして、上型部材1
2とガラス素材30との界面S1 上での熱応力は、界面
端P1 において最大となる。
【0023】図1(d)は、界面端P1 における熱応力
が限界値に達したために、上型部材12とガラス素材3
0が界面S1 において離型した様子を示している。図1
(e)は、続いて下型部材14とガラス素材30が離型
した直後の様子を示している。また図1(f)は、上記
の離型後、上型部材12を上昇させて型開きをした様子
を示しており、この後、完成した光学素子30が図示し
ないオートハンドにより型部材14上から取り外され
る。
【0024】次に、一実施例の光学素子の成形条件設定
方法の原理について説明する。まず、離型現象と冷却中
に発生する熱応力の関係に着目して、熱応力が最大とな
る界面端P1 近傍の熱応力の分布状態を検討した。その
結果、図2(a)における界面端P1 から界面S1 に沿
って距離rだけ離れた界面上の点R1 における応力σ
が、σ=K・rp-1 の形で表されることが見いだされ
た。ここに、Kとpは、ともに応力分布のパラメータで
ある。この応力分布を、縦軸に応力σをとり、横軸に距
離rをとってプロットすると図2(b)の様になる。
【0025】ここで、界面S1 上における応力を上記の
σ=K・rp-1 の形で表現した場合、応力σと距離rの
関係は温度に依存して変化する。そのため、応力σの値
と距離rの値とから、上記の式におけるパラメータKと
パラメータpを逆算すると、これらのパラメータK,p
も温度に依存して変化する。そこで、光学素子が丁度離
型する離型温度におけるパラメータKとパラメータpの
値に着目した。
【0026】具体的には、各々同一の材質から成る型を
用いて、同一の種類のガラス素材を使用して種々の形状
の光学素子を実際に成形する実験を行い、その離型温度
と断面形状を測定し、夫々の光学素子の離型温度におけ
る熱応力を、測定した断面形状のデータをもとに、有限
要素法を用いたプログラムによって数値計算し、その熱
応力の分布状態から、応力分布の様子を示すパラメータ
Kとpの値を最小自乗法により計算した。すなわち、種
々の形状の光学素子について離型温度におけるKとpの
値を計算したわけである。
【0027】図3は、その結果を示した図であり、この
図を見ると、光学素子の形状によらず、Kの値がある一
定の値になった時に離型現象が起きることが分かる。こ
の一定の値を、この材質の型部材を用いて、この種類の
ガラス素材を用いて成形した場合に、種々の形状の光学
素子が上型部材から離型するための離型定数KC とす
る。
【0028】次に離型温度を知りたい所望の形状の光学
素子の断面形状をシミュレーション計算により求める。
ここで、光学素子の断面形状をなぜシミュレーション計
算により求めるかといえば、光学素子の光学機能部分
(中心部)の形状は、上記の所望の形状であるので、計
算するまでもなく既にその形状は分かっているが、この
実施例の成形条件設定方法では、光学素子のエッジ部分
すなわち界面端P1 近傍での光学素子と型部材との接触
形状が問題にされるため、このエッジ部分の形状を求め
る必要があるからである。このエッジ部分の形状は、ガ
ラス素材がプレスされ次第に成形面上に押しつぶされて
いくにつれ時々刻々と変化する。そして、プレスが終了
したときに最終形状がどのような形状になっているかが
問題となるわけである。そのため、この実施例において
は、界面端P1 近傍の形状を、コンピュータによるプレ
ス変形シミュレーションにより、成形条件を考慮して計
算する。
【0029】その後、光学素子は、上記のシミュレーシ
ョン計算で求めた断面形状の状態で、冷却工程に移され
ると予測される。この冷却工程において界面端P1 近傍
の界面S1 上に発生する熱応力を有限要素法によるプロ
グラムを用いて計算する。そして、この熱応力の分布状
態からパラメータKとpの値を計算し、冷却工程中の各
温度におけるKの値を図4に示す様にプロットする。こ
の図4におけるKの値の変化曲線と、K=KC で示され
る直線が交差する温度から、この光学素子の離型温度が
予測される。
【0030】この予測された離型温度が所望の離型温度
でない場合は、成形条件を変えて同様の計算を行い、再
度離型温度の予測を行う。この成形条件を変えた場合
の、光学素子の断面形状、特に界面端P1 近傍の形状
は、前述した様にコンピュータによるプレス変形シミュ
レーション計算によって求める。そして、この予測され
た離型温度が、所望の離型温度となった場合には、その
成形条件で、実際に光学素子の成形を行う。
【0031】以上が、一実施例の光学素子の成形条件設
定方法の原理である。次に、上記の原理に基づくより具
体的な例について説明する。この具体例においては、上
下の型部材12,14として、材質が超硬合金で、その
鏡面研磨された成形面にTiNをコーティングした型部
材を用い、ガラス素材として、光学ガラスSK12の表
面に炭化水素皮膜をコーティング(CHコート)したも
のを用いた。この様な条件のもとで、各種の形状の光学
素子が所望の離型温度で型部材から離型する成形条件を
上記の原理に基づくシミュレーション計算により求め、
その成形条件で光学素子の成形を行なった場合について
説明する。まず、シミュレーション計算の手順について
順を追って説明する。
【0032】まず、この型部材(超硬合金上にTiNコ
ーティング)とこのガラス素材(SK12にCHコー
ト)の組み合わせて成形した場合の、光学素子が型部材
から離型するための離型定数Kcを求める。そのため
に、まず種々の形状の光学素子の離型温度を測定した。
この離型温度の測定に用いた光学素子は、図5に示す3
種類の形状のガラス素材を、成形面が平面である型部材
を用いて、それぞれ4種類の肉厚を持つ平板状の光学素
子に成形したものである。これら12種類の光学素子の
形状データを図5に示す。
【0033】光学素子が型部材から離型する現象の検出
には、超音波探傷器を用いた。図6を用いて、この離型
検出方法について説明する。図6はプレス成形が終了
し、冷却中の様子を示す。ガラス素材(光学素子)30
は、成形面が平面の上型部材32と成形面が平面の下型
部材34によりプレス成形されており、上型部材32と
下型部材34は、内部に加熱ヒーターを有する胴型36
により保持されており、上下に動くことができる。
【0034】上型部材32とプレス軸38は、ボルトに
より締結されており、プレス軸38は油圧シリンダ40
によりプレス力を加えられる。型部材の周辺の雰囲気を
非酸化性に保つためのチャンバ42の外部に突出したプ
レス軸38の内部に超音波の発振受信器44が配設され
ており、この発振受信機44が受信した超音波の強度は
超音波探傷器46により測定される。
【0035】超音波の発振受信器44から発せられた超
音波は、プレス軸38と上型部材32の界面を通過し
て、上型部材32とガラス素材30の界面に至る。光学
素子30が上型部材32から離型する前は、この界面は
密着しているため超音波は通過する。一方、離型した後
は、この界面に空気層ができるため、超音波は反射す
る。すなわち、上型部材32と光学素子30の界面にお
いて反射する超音波の強度を超音波探傷器46により測
定することによって、光学素子30の上型部材32から
の離型を検出できる。
【0036】離型した時の温度は、上型部材32内に挿
入された熱電対48および下型部材34内に挿入された
熱電対50により測定した。そして、プレス温度610
℃、プレスカ200kgf、プレス時間10分の条件でプ
レス成形を行ない、その後、毎分5℃の冷却速度で冷却
した場合について、それぞれの光学素子について冷却中
の離型温度を測定した。
【0037】離型温度の測定結果を図5に示す。図5か
ら光学素子の形状により離型温度が大きく変化している
ことがわかる。次に、これらの光学素子内に発生する熱
応力の分布が離型直前にどのようになっているかを、有
限要素法による汎用構造解析プログラムを用いてコンピ
ュータにより計算した。
【0038】具体的には、まず、これらの光学素子の断
面形状を測定した。この形状測定は、光学素子を切断
し、その断面形状を工具顕微鏡で読み取ることにより行
なった。次に、これらの測定形状データから有限要素法
による応力解析に必要な形状データであるメッシュ(要
素)を作成した。この時、型部材と光学素子の界面端部
近傍の応力分布を有限要素法により正確に計算するた
め、この界面端部近傍のメッシュ(要素)を細かなもの
にした。
【0039】続いて、これらのメッシュ(要素)を用い
て、有限要素法による熱応力解析をコンピュータを使用
して行ない、これらの光学素子内に発生する熱応力の離
型直前の分布を計算した。この熱応力解析に用いた物性
値を図7に示す。また、型部材とガラス素材(SK1
2)の熱膨張率を図8に示す。
【0040】プレス成形から離型に至る温度域ではガラ
ス素材は著しい粘弾性特性を示すことが知られている。
したがって、冷却中に発生する熱応力を有限要素法で計
算するためには、粘弾性による応力緩和現象(内部に応
力が発生している物体を粘弾性温度域で保持すると時間
とともに応力が緩和する現象)を考慮する必要がある。
【0041】そこで、この実施例では、粘弾性を考慮し
た応力解析をすることができる有限要素法プログラムを
用いて熱応力の計算を行なった。この時、ガラス素材の
粘弾性物性を測定し、その値を用いて熱応力を計算し
た。以上に説明した様に、離型直前の光学素子および型
部材の内部に発生する熱応力の分布を有限要素法による
汎用構造解析プログラムを用いてコンピュータを使用し
て計算した結果、型部材と光学素子の界面の端部近傍で
著しい応力集中を示すことがわかった。
【0042】また、この界面端部近傍の応力集中部での
応力分布が σ=K・rp-1 (σ:応力,r:界面端からの距離,K,p:応力分布
のパラメータ) の形の式で表現できることがわかった。そこで、離型直
前のこれらの成形光学素子に発生する熱応力の分布をK
とpの2つのパラメータで表現することにする。
【0043】上記の式の両辺を対数化すると、 logσ=logK+(p−1)logr となり、一次式で表されるので、応力分布をlogσ−
logrでプロットすることにより、Kとpを最小二乗
法により容易に求めることができる。この実施例におい
ては、界面端近傍の型部材と光学素子の界面上の応力分
布に基づいて、特に応力成分の内の剪断応力τxyの分布
に基づいて、Kとpの2つのパラメータを求めた。
【0044】また、この実施例では、Kとpの2つのパ
ラメータを求める際に、界面端から0.1mmの範囲の応
力分布について検討した。図9に今回計算した離型直前
の光学素子の界面端部の応力分布の一例を示す。この場
合、K=5.97313,p=0.591659であっ
た。図10に今回計算した12種類の形状の成形光学素
子の離型直前の状態でのパラメータKとpの値を示す。
【0045】また、図11にこれらの値をグラフ上にプ
ロットした図を示す。これらから今回計算した12種類
の形状の光学素子の離型直前の状態を界面端部の応力分
布の様子を示すパラメータKで評価した場合、離型直前
においてはKの値がほぼ一定の値になっていることがわ
かる。すなわち、パラメータKがある値になると、光学
素子が型部材から離型することがわかる。そこで、この
Kの値を光学素子が型部材から離型するための離型定数
Kcとする。
【0046】この離型定数Kcは、光学素子の材質、型
部材の材質および光学素子と型部材の界面状態により、
その値が変化するが、光学素子の形状には依存しない定
数である。この実施例のように型部材として、材質が超
硬合金でその鏡面研磨された成形面にTiNをコーティ
ングした型を用い、ガラス素材として光学ガラスSK1
2の表面にCHコートしたものを用いた場合のKcの値
は、12種類の形状の光学素子のKの値の平均をとり、
Kc=6.1とした。なお、Kcの値として、ある範囲
をとり、例えばKc=6.1±0.3としても良い。
【0047】次に、任意の形状の光学素子が型部材から
離型する温度を予測することにする。まず、光学ガラス
SK12をガラス素材として使用した場合、離型温度と
光学素子の品質の関係を知るため、実験によりこの関係
を求めた。565℃(ガラスの粘度で1012ポアズに相
当する温度)より高い温度で離型したものは、離型後に
光学素子の面形状が変形したり、部分的に離型したりす
るため、面精度の悪いものが発生することがあった。逆
に470℃(ガラスの粘度で1016ポアズに相当する温
度)より低い温度で離型したものは、型部材内で光学素
子が割れることがあった。したがって、470℃から5
65℃(ガラスの粘度で1016ポアズから1012ポアズ
に相当する温度)で離型すれば、良好な品質の光学素子
を得ることができると予測される。
【0048】ここで、この実施例において、離型温度を
予測計算した光学素子の形状について説明する。この実
施例においては、フレネルレンズやローパスフィルタを
単純化した平面円板形状の光学素子について、離型温度
を予測した。具体的には、図12に示す5種類の形状の
ガラス素材素材から成形した光学素子について予測計算
を行った。
【0049】これら、5種類の光学素子の断面形状は、
ガラス素材を加圧成形する行程での素材の変形を、コン
ピュータを利用した数値解析(プレス変形シミュレーシ
ョン)により求めた。具体的には、有限要素法による汎
用構造解析プログラムを用いて、プレス温度(610
℃)におけるガラスの粘度(1010ポアズ)を有する素
材の変形の様子をシミュレーションし、光学素子の断面
形状をもとめた。
【0050】次に、このシミュレーション結果から得ら
れた光学素子の断面形状を用いて、この光学素子を型部
材内で冷却する途中で光学素子および型部材の内部に発
生する熱応力の分布を、有限要素法による汎用構造解析
プログラムを用いてコンピュータを使用して計算した。
なお、この計算においても、ガラス素材の粘弾性による
応力緩和現象を考慮して、熱応力を計算した。
【0051】この実施例においては、冷却中の熱応力を
光学素子の温度が575℃の時点から25℃ずつ降下す
る毎に計算し、光学素子と型部材の界面端部近傍の熱応
力の分布から、Kとpの2つのパラメータを求めた。な
お、この実施例では、界面端から0.1mmの範囲の剪断
応力成分τxyの分布からこれらのパラメータを求めた。
【0052】図12にで示した光学素子を冷却する際
のKとpのパラメータの変化を図13に示す。次に、こ
れらの光学素子の離型温度を予測する。図14に示すよ
うに、冷却に伴いこれらの光学素子に発生するパラメー
タKの値の変化をプロットし、それから得られる曲線と
直線K=Kc=6.1の交点に対応する温度を求める。
この温度が、予測される離型温度である。
【0053】この方法で予測した離型温度をそれぞれの
光学素子について示したものが図15である。この予測
結果から、光学素子は離型温度が低いため、型部材内
で割れる可能性があることがわかる。したがって、の
光学素子をこの成形条件で成形することは困難であるこ
とが予測される。
【0054】次に、これらの光学素子を実際に成形し、
その離型温度と光学素子の良品率を求めた。これらの成
形は、各光学素子について、10ショットずつ行なっ
た。その結果を図16に示す。この結果より、この実施
例のシミュレーション計算で予測した離型温度と実際に
成形した時の離型温度は、良く一致していることがわか
る。
【0055】また、この計算で予測した離型温度が、良
好な品質の光学素子を得ることができると予測される4
70℃から565℃の範囲にある光学素子〜は、実
際に成形した結果、良品率が100%であった。 (他の実施例)次に、他の実施例について説明する。
【0056】この他の実施例においては、図17に示す
様な両凸形状のレンズを成形する場合について、型部材
の材質および型部材と光学素子の界面状態(型部材の成
形面のコーティングおよびガラス素材の表面のコーティ
ング)を変え、この形状の光学素子が所望の離型温度で
離型する成形条件を求めた。そして、その成形条件で実
際に成形を行なった。以下その手順について説明する。
【0057】この実施例では、光学素子素材として、光
学ガラスSK12を使用した。したがって、一実施例で
説明したように、光学素子が良好な品質であるために
は、470℃から565℃の間で離型すれば良いと予測
される。また、この他の実施例では、成形後の光学素子
を型部材からオートハンドで取り出した。したがって、
この取り出し行程を安定して行なうためには、まず上型
部材と光学素子の界面が離型し、続いて下型部材と光学
素子の界面が離型する必要がある。その後、上型部材を
上昇して型開きし、光学素子をオートハンドで取り出
す。
【0058】そこで、この実施例では、型部材の材質及
び型部材と光学素子の界面状態を変化させて予測計算を
行い、図17に示す形状の光学素子が470℃から56
5℃の温度範囲内で、上型部材・下型部材の順に離型す
る条件を求めた。そして、その成形条件で成形を行なっ
た。まず、各種の材質の型部材を使用し、各種の型部材
と光学素子の界面状態で光学ガラスSK12を成形した
場合について、光学素子が型部材から離型するための離
型定数Kcを求めた。このKcの値は、一実施例で説明
した様な手法により求めた。すなわち、各種の材質の型
部材を用い、各種の界面状態で成形した場合について、
各種の形状の光学素子の離型温度を測定し、その時の熱
応力の分布を有限要素法により計算し、その結果からパ
ラメータKとpの値を求めた。そして、Kの値を平均す
ることによりKcを求めた。
【0059】この実施例において検討した型部材の材質
および型部材と光学素子の界面状態の組み合せ(成形条
件)と、そのときの光学素子が型部材から離型するため
の離型定数Kcを図18に示す。この結果より、型部材
の材質と界面状態の組み合せにより、Kcの値が大きく
変化することがわかる。また、型部材の材質が同じでも
界面状態が変われば、Kcの値も変わり、逆に界面状態
が同じでも型部材の材質が変わればKcの値が変わるこ
とがわかる。
【0060】次に、これらのKcの値を用いて、この実
施例で検討した形状の光学素子が所望の離型温度で離型
する成形条件を求める。なお、この実施例では、前述し
たように、470℃から565℃の温度域内で上型部材
・下型部材の順に離型する成形条件を求めた。まず、光
学素子の断面形状を一実施例で説明したのと同様に、コ
ンピュータを利用したプレス変形シミュレーションから
求めた。この実施例では、上型部材610℃、下型部材
620℃で成形した時のプレス変形をシミュレーション
した。
【0061】次に、このシミュレーション結果から得ら
れた光学素子の断面形状を用いて、一実施例と同様に冷
却中に発生する熱応力の分布を有限要素法によりコンピ
ュータを使用して計算した。そして、その冷却中の熱応
力の分布から冷却中のパラメータKの値の変化を求め
た。なお、この実施例においては、2種類の型部材の材
質について検討しているが、型部材の材質が異なると熱
膨張率が異なるため、熱応力分布が異なってくる。そこ
で、上下の型部材にそれぞれ2種類の材質を使用した場
合の計4通りの組み合わせについて熱応力の分布を計算
した。
【0062】また、上型部材と下型部材のどちらが先に
離型するかを判定するために、上型部材と光学素子の界
面端部の応力分布、および下型部材と光学素子の界面端
部の応力分布を計算し、それぞれパラメータKを求め
た。また、下型部材と光学素子の界面端部の応力分布
は、光学素子が上型部材から離型する前と後では応力状
態が変化するため、離型前後のそれぞれの状態について
パラメータKを求めた。
【0063】図19に下型部材に超硬合金を使した場合
について、上型部材(超硬またはSi34 )と光学素
子の界面端部の応力分布から求めたKの値の冷却に伴う
変化を示す。また同時に、下型部材と光学素子の界面端
部の応力分布から求めたKの値(上型部材離型前と上型
部材離型後)の冷却に伴う変化を示す。また、このKの
変化曲線と直線K=Kcの交点での温度から、それぞれ
の型部材の材質と界面状態における離型温度を予測する
ことができる。図19中にそれぞれの型材質と界面状態
において予測される離型温度を示す。
【0064】下型部材にSi34 を使用した場合の、
それぞれの型材質と界面状態における離型温度も同様に
予測できる。これらの離型温度から470℃から565
℃の良離型温度域内で、上型部材・下型部材の順に離型
できる成形条件を求めればよい。この実施例では、上下
の型部材ともに図18におけるCの成形条件、すなわち
型部材の材質は超硬合金、成形面のコーティングはTi
N、光学素子の表面のコーティングはCHコート5nmと
いう成形条件に決定した。この成形条件で予測される離
型温度は上型部材562℃、下型部材528℃である。
【0065】実際に、この条件で光学素子の成形を行な
った。この時のプレス温度は、上型部材610℃、下型
部材620℃であり、冷却後520℃で型開きを行な
い、光学素子をオートハンドで取り出した。この条件で
の成形を100ショット行なったが、予測通りに型部材
と光学素子が離型しているため、毎回確実に光学素子を
取り出すことができた。また、成形品の良品率も100
%であった。
【0066】以上説明した様に、上記の実施例の成形条
件設定方法によれば、計算により、最適な成形条件を求
めることができるので、新製品の生産立ち上げ時に、実
際に成形実験を繰り返して成形条件を求める必要がな
く、新製品の生産立ち上げを速やかに行うことができ
る。なお、本発明は、その主旨を逸脱しない範囲で上記
実施例を修正または変形したものに適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施例の光学素子の成形条件設定方法を適用
する光学素子の成形方法を説明するための図である。
【図2】型部材と光学素子の界面端部近傍における界面
上の応力分布を説明する図である。
【図3】離型するための離型定数を説明する図である。
【図4】任意の形状の光学素子が型部材から離型する温
度を予測する方法を説明する図である。
【図5】離型定数を求めるために用いたガラス素材の形
状と、そのガラス素材を成形した光学素子の肉厚と、離
型温度とを示した図である。
【図6】光学素子の成形装置への測定センサの配置状態
を示した図である。
【図7】型部材の材料とガラス素材の物性値を示した図
である。
【図8】型部材の材料とガラス素材の熱膨張率を示した
図である。
【図9】離型直前の光学素子の界面端部の応力分布を示
した図である。
【図10】光学素子の形状と、その離型直前でのパラメ
ータKとpの値を示した図である。
【図11】光学素子の離型直前でのパラメータKとpの
値をグラフ上にプロットした図である。
【図12】離型温度を予測した光学素子の形状を示した
図である。
【図13】光学素子を冷却する際のKとpの変化状態を
示した図である。
【図14】冷却に伴って変化するKの値をグラフ上にプ
ロットした図である。
【図15】予測した離型温度を示した図である。
【図16】光学素子を実際に成形したときの離型温度と
良品率を示した図である。
【図17】他の実施例において成形した光学素子の形状
を示した図である。
【図18】型部材の材質と界面状態の組み合わせと、K
cの値との関係を示した図である。
【図19】Kの値の冷却に伴う変化をグラフ上にプロッ
トした図である。
【符号の説明】
12 上型部材 14 下型部材 30 ガラス素材 32 上型部材 34 下型部材 36 胴型 38 プレス軸 40 油圧シリンダ 42 チャンバ 44 発振受信機 46 超音波探傷器 48,50 熱電対

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 加熱されることにより軟化状態となって
    いるガラス素材を、一対の型部材の間に挟んでプレス
    し、前記一対の型部材の成形面の表面形状を前記ガラス
    素材の表面に転写するプレス工程と、該プレス工程の後
    の前記ガラス素材を冷却する冷却工程とを実行して光学
    素子を成形する場合に、所望の離型温度で前記光学素子
    を前記型部材から離型させるための成形条件を求める光
    学素子の成形条件設定方法であって、 所定の形状の光学素子を成形するためにガラス素材をプ
    レスした後の前記冷却工程において、前記ガラス素材と
    前記型部材との熱膨張率の差によって前記所定の形状の
    光学素子が前記型部材から離型する第1の離型温度T1
    を実験的に求める第1の工程と、 前記離型温度T1 において、前記型部材と前記ガラス素
    材の界面端近傍におけるこれらの界面上に発生する熱応
    力の分布状態を数値計算により求める第2の工程と、 前記第2の工程において計算された熱応力の分布状態を
    応力分布式σ=K・r p-1 (ただし、σ:熱応力,r:
    界面端からの距離,K:応力分布のパラメータ,p:応
    力分布のパラメータ)の形で表して、前記離型温度T1
    におけるKの値を逆算し、このKの値を離型定数KC
    する第3の工程と、 任意の形状の光学素子を所定の成形条件で成形するとき
    の冷却工程における熱応力の分布状態を数値計算により
    計算し、この計算された熱応力の分布状態を前記応力分
    布式の形で表したときに、Kの値が前記離型定数KC
    一致する温度T2 を求め、この温度を前記任意の形状の
    光学素子が離型する第2の離型温度の予測値とする第4
    の工程と、 前記第4の工程を繰り返して、前記離型温度の予測値T
    2 が、所望の温度となる様な前記所定の成形条件を求め
    る第5の工程とを具備することを特徴とする光学素子の
    成形条件設定方法。
  2. 【請求項2】 前記第2の工程と前記第4の工程におい
    て、熱応力の分布状態を数値計算により求める際に、前
    記ガラス材料のガラス転移点付近での粘弾性特性に起因
    する応力緩和現象を考慮するため、前記ガラス素材の粘
    弾性特性を考慮して、前記熱応力の分布状態を計算する
    ことを特徴とする光学素子の成形条件設定方法。
  3. 【請求項3】 前記第2の工程と前記第4の工程におい
    て、熱応力の分布状態を数値計算により求める際に、前
    記ガラス材料のガラス転移点付近での粘弾性特性に起因
    する応力緩和現象を考慮するため、熱応力発生温度を適
    切に設定することにより、応力緩和量を考慮した熱応力
    を弾性熱応力計算で計算することを特徴とする請求項1
    に記載の光学素子の成形条件設定方法。
  4. 【請求項4】 前記第2の工程と前記第4の工程におい
    て、熱応力の分布状態を数値計算により求める際に、冷
    却中の前記ガラス素材に加えるプレス力の影響と、冷却
    中の前記型部材及びガラス素材内の温度分布の影響と冷
    却速度の影響とを考慮して熱応力の計算をすることを特
    徴とする請求項1に記載の光学素子の成形条件設定方
    法。
  5. 【請求項5】 前記第2の工程と前記第4の工程におい
    て、熱応力の分布状態を数値計算により求める際に、数
    値計算に使用する光学素子の完成形状が、該光学素子の
    外周部の型部材と接触しない自由表面部分の形状を含ん
    だ形状であることを特徴とする請求項1に記載の光学素
    子の成形条件設定方法。
  6. 【請求項6】 型部材と光学素子の界面端部近傍におい
    て、この界面上の熱応力の分布をσ=K・rp-1 の形で
    表現し、Kの値を逆算する際に、界面端から1mm以内
    の範囲について、界面上の熱応力の分布をσ=K・r
    p-1 の形で表現し、Kの値を求めることを特徴とする請
    求項1に記載の光学素子の成形条件設定方法。
  7. 【請求項7】 成形条件としての、前記プレス工程での
    ガラス素材への加圧力、前記プレス工程での成形温度、
    前記プレス工程でのプレス時間、前記冷却工程でのガラ
    ス素材への加圧力、前記冷却工程の温度範囲、前記冷却
    工程での冷却速度、前記冷却工程中の一対の型部材の温
    度差、型部材の材質、型部材の成形面のコーティング材
    の材質、ガラス素材の材質、ガラス素材のコーティング
    材の材質、型部材の構造の条件の内少なくとも1つの成
    形条件を変えた場合に、光学素子が型部材から離型する
    温度を予測し、所望の離型温度で光学素子が型部材から
    離型する様な成形条件を求めることを特徴とする請求項
    1に記載の光学素子の成形条件設定方法。
  8. 【請求項8】 成形条件としての、型部材の材質、型部
    材の成形面のコーティング材の材質、ガラス素材の材
    質、ガラス素材のコーティング材の材質の条件の内少な
    くとも1つを変えた場合に、光学素子が型部材から離型
    する離型温度を予測するために、夫々の成形条件での離
    型定数KC を実験結果から求め、そのK C の値を用いて
    夫々の成形条件において光学素子が型部材から離型する
    温度を予測し、所望の離型温度で光学素子が型部材から
    離型する様な成形条件を求めることを特徴とする請求項
    1に記載の光学素子の成形条件設定方法。
  9. 【請求項9】 成形条件としての、前記プレス工程での
    ガラス素材への加圧力、前記プレス工程での成形温度、
    前記プレス工程でのプレス時間、前記冷却工程でのガラ
    ス素材への加圧力、前記冷却工程の温度範囲、前記冷却
    工程での冷却速度、前記冷却工程中の一対の型部材の温
    度差、型部材の材質、型部材の成形面のコーティング材
    の材質、ガラス素材の材質、ガラス素材のコーティング
    材の材質、型部材の構造の条件の内少なくとも1つの成
    形条件を変えた場合の光学素子の完成形状をガラス素材
    からプレスする工程での該ガラス素材の変形をコンピュ
    ータを利用した数値解析から求めることにより、前記光
    学素子の完成形状を求め、該光学素子が型部材から離型
    する温度を予測し、所望の離型温度で前記光学素子が型
    部材から離型する様な成形条件を求めることを特徴とす
    る請求項1に記載の光学素子の成形条件設定方法。
  10. 【請求項10】 光学素子を型部材から離型する温度
    が、ガラス素材の粘度で1012〜1016ポアズに相当す
    る温度範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の
    光学素子の成形方法。
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WO2011078059A1 (ja) * 2009-12-21 2011-06-30 Hoya株式会社 精密プレス成形用ガラス素材の肉厚決定方法および製造方法、ならびにガラス光学素子の製造方法

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