JPH06158053A - 電導性ピッチ類の製法 - Google Patents

電導性ピッチ類の製法

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JPH06158053A
JPH06158053A JP43A JP31004992A JPH06158053A JP H06158053 A JPH06158053 A JP H06158053A JP 43 A JP43 A JP 43A JP 31004992 A JP31004992 A JP 31004992A JP H06158053 A JPH06158053 A JP H06158053A
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泰弘 山田
Keiko Nishikubo
桂子 西久保
Seiji Shimomura
誠司 下村
Toyotoshi Hatakeyama
豊年 圃山
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 電導体としての汎用性が高い電導性ピッチ類
を提供する。 【構成】 芳香族炭素分率が0.6以上のピッチ類を、
ヨウ素を含有する気相中または液相中で処理することを
特徴とする電導性ピッチ類の製法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、電導性ピッチ類の製
法に関する。この明細書において、「ピッチ類」とは、特
に言及しない限り、ピッチ、炭素質メソフェース含有ピ
ッチおよび炭素質メソフェースを意味する。
【0002】
【従来の技術】重質瀝青物であるピッチは、縮合多環芳
香族化合物を主成分とする複雑な化学構造を有する化合
物の混合物であるため電気的には絶縁体である。このピ
ッチを約400℃以上での熱処理に付すと、液相状態で
熱分解および熱重合反応が起こり、徐々に高分子化が起
こると共に、光学的等方性であるピッチ中に、光学的異
方性である炭素質メソフェースが生成する。この炭素質
メソフェースは芳香族化合物が一定方向に配列し、積層
した構造であり、液晶の1種である。熱処理を続ける
と、炭素質メソフェースの量が増加し、ピッチ全体が炭
素質メソフェースに移行する。これらのピッチ類は、芳
香族分子が配列し、積層している場合でも、電子の移動
が生じないために、電気抵抗が非常に高い絶縁体であ
る。
【0003】従って、本来的に絶縁体であるピッチ類に
電導性を付与することは学術的に有意なだけでなく、石
炭石油資源の有効利用およびピッチ類の付加価値増大に
よる多様な新規用途の開発等の見地から、産業的にも重
要な課題である。このような観点から、本発明者らは先
に、炭素質メソフェースに、スルホン基の導入によっ
て、電導性を付与する方法を提供した(特開平3−16
7712号公報参照)。しかしながら、この方法によっ
て得られる電導性炭素質メソフェースには、水のような
プロトン移動媒体の存在量等の外在因子によって電導度
が左右されるため、用途が、例えば、湿度センサー等に
限定され、電導体としての多様な用途に供し得ないとい
う難点がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、このよう
な難点を解消し、電導体としての汎用性が高い電導性ピ
ッチ類を提供するためになされたものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】即ち、この発明は、芳香
族炭素分率(Fa)が0.6以上のピッチ類を、ヨウ素を
含有する気相中または液相中で処理することを特徴とす
る電導性ピッチ類の製法に関する。
【0006】本発明においては、全炭素中の芳香族環に
属する炭素の割合、即ち、次式(1)で表わされる芳香族
炭素分率(fa)が0.6以上のピッチ類を用いる。
【0007】
【数1】 [式中、C/Hは炭素原子数と水素原子数の比を示し、
Xは芳香族炭素原子以外の炭素原子に結合している水素
原子の平均個数を示し(この値は2とする)、Nar/Nal
は次式(2):
【数2】 (式中、Dar/Dalは3030cm-1と2920cm-1にお
ける赤外吸収スペクトルの吸光度の比を示し、Ear/E
alは3030cm-1と2920cm-1における赤外吸収スペ
クトルの吸光係数の比(0.5)を示す)で表わされる意
義を有する]
【0008】ピッチ類の芳香族炭素分率(Fa)は、赤外
吸収スペクトルの測定および元素分析の結果から求める
ことができる。本発明に用いるピッチ類のFaは0.6
以上である。Faが0.6未満のピッチ類を使用する場
合には、該ピッチ類を熱処理に付すか、あるいは、有機
溶剤、例えば、ベンゼンまたはヘキサン等を用いる処理
に付すことによって、該ピッチ類に含まれる低分子量化
合物を除去する。該ピッチ類のFaは、このような熱処
理または有機溶剤処理によって、0.6以上に調整する
ことができる。
【0009】本発明において原料として用いるピッチ
(常温で固体であるが、加熱によって軟化溶融する重質
瀝青物)としては、コールタール、ナフサの熱分解時に
副生するナフサタール、流動接触分解法(FCC法)で副
生するデカントオイル、アスファルト(原油の減圧蒸留
残渣油)、および合成高分子(例えば、ポリ塩化ビニル
等)の熱分解によって得られるタール等が例示される。
【0010】また、本発明において原料として用いる炭
素質メソフェース含有ピッチは、上記のコールタールや
ナフサタール等を熱処理、例えば、約400〜500
℃、好ましくは、420〜470℃での熱処理に付すこ
とにより、ピッチ中に炭素質メソフェースを生成させる
ことによって調製される。ピッチ中に生成する炭素質メ
ソフェースの量は、キノリン等の有機溶剤の不溶成分量
から求めてもよく、あるいは、反射偏光顕微鏡観察によ
る光学的等方性と光学的異方性の割合から算出してもよ
い。後者の場合は、例えば、熱処理したピッチを樹脂に
埋め込んだ後、研摩し、研摩面の偏光顕微鏡観察によ
り、炭素質メソフェースによる光学的異方性領域とピッ
チによる光学的等方性領域との割合を求めることによっ
て、炭素質メソフェースの含有量を算出することができ
る。
【0011】さらに、本発明において原料として用いる
炭素質メソフェースは、上記の炭素質メソフェース含有
ピッチを、キノリンやピリジン等の有機溶剤またはアン
トラセン油やクレオソート油等の芳香族系油を用いる溶
剤抽出処理に付すことにより、不溶性成分として得ても
よく、あるいは、ピッチ全体が光学的異方性物に変換さ
れるまでピッチを熱処理に付すことによって調製しても
よい。
【0012】上述のピッチ類は、本来的に絶縁体である
が、驚くべきことには、ヨウ素を含有する気相中または
液相中で処理すると、電導体に変換される。本発明の基
礎を成すこのような知見は、当該分野においては、従来
全く知られていなかったものである。
【0013】ヨウ素を用いるピッチ類の気相中での処理
は、例えば、密閉可能な蓋付きガラス製容器内に昇華性
のヨウ素結晶を入れ、該ヨウ素結晶上に、ピッチ類を収
容した開放ガラス製容器を載置し、該蓋付き容器を密閉
した後、約20〜130℃の温度に加温もしくは加熱し
てヨウ素蒸気を発生させ、該ヨウ素蒸気を、開放ガラス
製容器内に収容されたピッチ類に吸着させることによっ
ておこなえばよい。ピッチ類の気相中での処理時間は、
加温もしくは加熱温度やピッチ類の種類等によって左右
され、特に限定的ではなく、所望のヨウ素吸着量、即
ち、所望の電導度等に応じて適宜選定すればよい。ま
た、このような気相処理、特に、比較的高温で長時間の
気相処理の場合、処理後、ピッチ類の表面に、未吸着ヨ
ウ素結晶が析出することがあるが、該析出結晶は、開放
下での加熱処理、減圧処理または溶剤を用いる溶解処理
に付すことによって除去すればよい。なお、ピッチ類に
吸着されたヨウ素は、通常の脱離処理によっては完全に
は除去されない。
【0014】ヨウ素を用いるピッチ類の液相中での処理
は、例えば、ヨウ素を溶解するがピッチ類を溶解しない
溶剤にヨウ素を溶解させた溶液中に被処理ピッチ類を加
え、該混合物を約20〜130℃または還流温度まで加
温もしくは加熱し、ヨウ素をピッチ類に吸着させること
によっておこなえばよい。好適な溶解溶剤としては、低
級アルコール(例えば、メタノール、エタノールおよび
ブタノール等)、炭化水素系溶剤(例えば、n−ヘキサ
ン、n−ヘプタンおよびベンゼン等)および水等が例示さ
れる。ヨウ素溶液の濃度は、ピッチ類の種類や処理温度
等によって左右され、特に限定的ではないが、通常は吸
着に必要な十分の量である。液相処理に付されたピッチ
類の後処理は、例えば、濾別、溶剤洗浄および洗浄溶剤
除去によっておこなえばよい。また、このような液相処
理法において、水をヨウ素の溶解溶剤として用いる場
合、ヨウ化カリウムを溶解促進剤として添加するが、そ
の添加量が多くなるにつれて、ピッチ類に対する分子状
ヨウ素の吸着量が減少する。なお、ヨウ素イオンの吸着
によって、ピッチ類に電導性を付与させることはできな
い。
【0015】上述の気相処理または液相処理によって調
製されるピッチ類の電気比抵抗値は、被処理ピッチ類の
種類やヨウ素の吸着量等によって左右されるが、一般的
には、数百KΩ・cm〜数百Ω・cmである。ヨウ素の吸着
量が2重量%未満の場合には、ピッチ類の比抵抗値はほ
とんど低下せず、数百KΩ・cm以上であり、逆に、10
0重量%以上の場合には、ピッチ類の比抵抗値の低下に
は限度があり、数百Ω・cmとなる。また、ヨウ素による
処理条件、ヨウ素吸着量および芳香族炭素分率(Fa)が
同一であっても、被処理ピッチ類の種類によって、得ら
れる電導性ピッチ類の電気比抵抗値は相違する。従っ
て、個々の被処理ピッチ類について、ヨウ素処理条件、
ヨウ素吸着量およびFa等を系統的に変化させた場合の
比抵抗値を予め測定しておけば、所望の比抵抗値を有す
る電導性ピッチ類は、ヨウ素処理条件やヨウ素吸着量等
を適宜選定することによって調製することができる。
【0016】
【実施例】以下、本発明を実施例を挙げて詳細に説明す
る。実施例1 フリーカーボンを3.5重量%含有するコールタールピ
ッチを3倍量のキノリンに溶解、分散させ、濾過してフ
リーカーボンを除去した。濾液は減圧蒸留してキノリン
を除去し、フリーカーボンを含まないコールタールピッ
チを得た。このピッチ200gを500mlの円筒形ガラ
ス容器に入れ、窒素ガス気流中、撹拌しながら430℃
で120分間熱処理した。この熱処理ピッチの100g
をキノリン300ml中に入れ、約90℃に加熱して溶
解し、遠心分離器で不溶分を沈降させ、上澄みをデカン
テーションで除去した後、新たにキノリンを加えて、上
記と同様の操作を行った。これを数回繰り返した後、不
溶分をベンゼンおよびアセトンで洗浄して、キノリンを
除去し、乾燥して不溶分を採取した。この量は72.3
重量%であり、これを炭素質メソフェースとした。この
炭素質メソフェースの元素分析から求めた炭素含有量は
91.4重量%、水素含有量は3.3重量%であり、赤
外吸収スペクトルの3030cm-1と2920cm-1の吸光
度比は5.43であった。これらの値からの計算した芳
香族炭素分率は0.98となった。
【0017】この炭素質メソフェースを0.105〜
0.25mmに粉砕した。500mlのガラス製試薬瓶にヨ
ウ素を10g入れ、その上に炭素質メソフェースを1g入
れた内径20mm、高さ50mmの蓋のないガラス瓶を置
き、試薬瓶の蓋をした後、予め20〜120℃に加熱し
た恒温炉中に入れた。所定時間経過後、ガラス製試薬瓶
を炉から取り出し、直ちにガラス瓶を取り出し、放冷し
た。炭素質メソフェースに対する重量増加量をヨウ素吸
着量とした。
【0018】ヨウ素処理した炭素質メソフェースの電気
比抵抗を25℃で次のようにして測定した。すなわち、
外側をステンレス容器で保護した内径10mm、長さ10
0mmのベークライト製円筒内にヨウ素処理した炭素質メ
ソフェース0.5g入れ、上下に10mmのステンレス製
棒を挿入した。このステンレス製棒にリード線を取り付
け、電圧1V、周波数40Hz〜100KHzで、25〜
2000kg/cm2の範囲で加圧しながら電流値と試料高
さを測定した。電圧と電流値から抵抗値を求め、また試
料高さから体積を求め、体積比抵抗値を計算した。
【0019】電気比抵抗値は荷重が大きくなると共に小
さくなるので、抵抗値が一定になる荷重下で測定した。
また、周波数が高くなると抵抗値はわずかに低下した
が、その値は小さいので、100Hzで測定した。表1
にヨウ素処理の条件を変えたときの電気比抵抗値をまと
めて示す。なお、原料である炭素質メソフェースの電気
比抵抗値は1000KΩ・cm以上であった。なお、表1
の実験番号No.1およびNo.2は比較例である。
【0020】
【表1】
【0021】表1の結果から、ヨウ素処理を行わない原
料である炭素質メソフェースの場合の電気比抵抗値は1
000KΩ・cm以上と非常に高く、絶縁性であるのに対
し、ヨウ素処理によって比抵抗値は低下し、電導体とな
る。この抵抗値はヨウ素吸着量、即ち、収率が高くなる
と低下する傾向である。そして、比較例である実験N
o.1および2に見られるように、収率が約2重量%増
加を境にして大きく変わる。さらに、収率がほぼ同じで
あってもヨウ素処理の温度、時間で異なる値となる。特
に、収率が高いものでは顕著である。これは吸着されな
い遊離のヨウ素が存在するためではないかと推定され
る。そこで、表1のヨウ素処理した炭素質メソフェース
を50℃で0.1Torrの減圧下で15時間脱気処理し
て吸着したヨウ素を除去した。このようにして得られた
炭素質メソフェースの電気比抵抗を上記と同様にして測
定した。結果をまとめて表2に示す。なお、収率は脱気
処理による減量から、最初に用いた炭素質メソフェース
量に対する割合に換算したものである。
【0022】
【表2】
【0023】この結果から、脱気処理によって収率が低
下することから脱離するヨウ素が存在することが分かる
が、この脱気処理によっても脱離されないヨウ素も存在
することが分かる。しかし、電気比抵抗値は炭素質メソ
フェース中のヨウ素量が少なくなるため、表1の場合よ
り高くなるが、比較例である表1の実験No.1よりは
るかに低い値である。
【0024】さらに、ヨウ素処理した炭素質メソフェー
ス中のヨウ素を除去するために、ヨウ素の良溶媒である
エタノールで処理した。冷却管を付けた500mlのフラ
スコにエタノールを300mlを入れ、これにヨウ素処理
炭素質メソフェース1gを加えた。これを、90℃にフ
ラスコを加熱し、還流させながら3時間処理した。処理
後、ガラスフィルターNo.4で減圧濾過し、不溶分を
再び新しいエタノール中で処理し、エタノールがほとん
ど着色しなくなるまで繰り返し処理した。次いで、濾
過、洗浄、乾燥した。これを上記と同様にして電気比抵
抗を測定した。得られた結果を表3に示す。
【0025】
【表3】
【0026】この結果から、脱気処理の場合より収率は
さらに低下し、電気比抵抗値は高くなるが、原料のそれ
と比較して低い。このことは、吸着させたヨウ素を完全
に除去させることができないことを意味し、ヨウ素吸着
が非可逆性であることを示す。
【0027】実施例2 石油系重質油をディレードコーカー法で工業的に製造さ
れた生コークスを0.105〜0.25mmに粉砕した。
元素分析から炭素含有量は93.9重量%、水素含有量
は3.5重量%であり、赤外線吸収スペクトルから求め
た3030cm-1と2920cm-1の吸光度比は1.74で
あり、芳香族炭素分率は0.95であった。この原料1
gを実施例1記載と同様にしてヨウ素処理を行い、次い
で、電気抵抗を測定した。得られた結果をまとめて表4
に示す。また、原料である生コークスの電気比抵抗値は
1000KΩ・cm以上であった。なお、表4の実験N
o.22は比較例である。
【0028】
【表4】
【0029】実施例3 実施例1で用いたフリーカーボンを除去したコールター
ルピッチ300gを500mlの円筒形ガラス容器に入
れ、300℃に加熱して溶融した。これに容器底に達す
るガス導入管を挿入した。次いで、ガス導入管から窒素
ガスを3リットル/分の流速で吹き込みながら430℃
まで加熱し、10分間保持し、室温まで冷却した。得ら
れたピッチは軟化点237℃、キノリン不溶分量は含有
せず、偏光顕微鏡による観察では光学的等方性であっ
た。また、炭素含有量は93.8重量%、水素含有量は
4.1重量%であり、これらの値と赤外線吸収スペクト
ルの吸光度から求めた芳香族炭素分率は0.94であっ
た。このピッチを0.25〜0.72mmに粉砕し、実施
例1記載と同様の方法でヨウ素処理を行った後、電気比
抵抗を測定した。得られた結果をまとめて表5に示す。
なお、表5の実験番号No.30は比較例である。
【0030】
【表5】
【0031】実施例4 実施例1で調製した炭素質メソフェース含有ピッチを用
いた。このピッチの軟化点は288℃、炭素含有量は9
3.9重量%、水素含有量は3.9重量%であり、赤外
線吸収スペクトルの3030cm-1と2920cm-1の吸光
度比は1.85であり、芳香族炭素分率は0.95であ
った。このピッチを0.25〜0.71mmに粉砕し、実
施例1と同様にしてヨウ素中で処理した後、電気抵抗を
測定した。その結果を表6にまとめて示す。なお、表6
の実験No.36は比較例である。
【0032】
【表6】
【0033】実施例5 ナフサの熱分解時に副生するナフサタールピッチと流動
接触分解法(FCC法)で副生するFCCデカントオイル
を出発原料とした。それぞれのピッチ300gを500m
l円筒形ガラス容器に入れ、ナフサタールピッチは43
0℃で60分間、FCCデカントオイルは460℃で1
20分間熱処理した。ナフサタールピッチでは軟化点2
18℃、炭素含有量94.6重量%、水素含有量5.1
重量%、芳香族炭素分率0.88であった。FCCピッ
チでは軟化点202℃、炭素含有量93.8重量%、水
素含有量4.0重量%、芳香族炭素分率0.91であっ
た。これらのピッチを0.25〜0.71mmに粉砕し、
実施例1記載と同様にしてヨウ素処理を行った後、電気
比抵抗を測定した。得られた結果をまとめて表7に示
す。なお、原料であるナフサタールピッチおよびFCC
ピッチの電気比抵抗値はいずれも1000KΩ・cm以上
であった。
【0034】
【表7】
【0035】実施例6 エタノール200mlを300mlの3角フラスコに入れ、
ヨウ素5gを加えて溶解させた。これに実施例1で用い
た炭素質メソフェース、実施例2で用いた生コークスお
よび実施例4で用いた炭素質メソフェース含有ピッチ各
2gをそれぞれ加え、30℃の恒温水槽中、振とうさせ
ながら、30時間ヨウ素吸着処理をおこなった。次い
で、減圧濾過し、エタノールで濾液が着色しなくなるま
で洗浄し、乾燥した。これらを実施例1同様にして電気
抵抗を測定した。得られた結果を表8に示す。
【0036】
【表8】
【0037】比較例1 原油の減圧蒸留残渣油であるアスファルト300gを5
00mlのガラス製円筒容器に入れ、窒素ガス気流中、4
30℃で15分間熱処理した。得られたピッチの収率は
48.3重量%、軟化点137℃、炭素含有量84.1
重量%、水素含有量7.6重量%であり、芳香族炭素分
率は0.52であった。このピッチを0.25〜0.7
1mmに粉砕し、実施例1と同様にしてヨウ素処理を行っ
た後、電気抵抗を測定した。得られた結果をまとめて表
9に示す。
【0038】
【表9】
【0039】実施例7 比較例1で用いたアスファルトの熱処理を430℃で6
0分間および450℃で15時間で行い、ピッチを調製
した。430℃で得られたピッチの収率は38.9重量
%、軟化点209℃、炭素含有量84.8重量%、水素
含有量6.5重量%であり、芳香族炭素分率0.62で
あった。450℃で得られたピッチは収率25.6重量
%、炭素含有量87.6重量%、水素含有量3.9重量
%であり、芳香族炭素分率は0.83、軟化点は非常に
高く、400℃まで加熱しても軟化、溶融しなかった。
これらの試料を0.25〜0.71mmに粉砕し、実施例
1と同様にしてヨウ素処理を行った後、電気比抵抗を測
定した。得られた結果をまとめて表10に示す。なお、
表10の実験No.57および62は比較例である。
【0040】
【表10】
【0041】
【発明の効果】本発明によれば、本来的に絶縁体である
ピッチ類を、ヨウ素分子の吸着により、数百KΩ・cm〜
数百Ω・cmの半導体領域の電気比抵抗を持つものに変換
させることができ、これによって得られる電導性ピッチ
類は、汎用性の高い電導体であって、特に機能性材料と
して、多様な用途が期待される。このヨウ素処理によっ
てピッチ類が電導体になる機構は、高分子材料のヨウ素
ドーピングによる電導性高分子が電子電導であることか
ら、電子電導と考えられるが、吸着されたヨウ素が脱離
処理によっても完全には脱離しないことから考えて、ヨ
ウ素の吸着が単なる物理吸着ではないという点におい
て、高分子材料のヨウ素ドーピングの場合とは異なる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 西久保 桂子 佐賀県鳥栖市宿町字野々下807番地1 工 業技術院 九州工業技術試験所内 (72)発明者 下村 誠司 大阪府和泉市富秋町240−1−2−410 (72)発明者 圃山 豊年 大阪府泉大津市末広町1−9−1−201

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 芳香族炭素分率(fa)が0.6以上のピ
    ッチ類を、ヨウ素を含有する気相中または液相中で処理
    することを特徴とする電導性ピッチ類の製法。
  2. 【請求項2】 ヨウ素が2重量%以上吸着した、請求項
    1記載の製法によって得られる電導性ピッチ類。
JP4310049A 1992-11-19 1992-11-19 電導性ピッチ類の製法 Expired - Lifetime JPH0742462B2 (ja)

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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5883088A (ja) * 1981-10-29 1983-05-18 リユ−トガ−スヴエルケ・アクチエンゲゼルシヤフト 高反応性ピツチ留分の製法及び高異方性炭素の製法
JPH01289893A (ja) * 1988-05-17 1989-11-21 Kawasaki Steel Corp 高炭素収率を有する炭素材料用ピッチの製造方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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