JPH0613804Y2 - 位置決めクランプ装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は加工ステーションに搬送されたワークに対する
位置決めとクランプとを行う位置決めクランプ装置に関
する。

（従来の技術） 機械部品の加工作業において、例えばワークに対し自動
的に孔開け加工を行う場合、従来は、搬送されたワーク
を位置決め用部材で孔開け位置に位置決め設置した後、
クランプ用部材によってクランプし、しかる後ドリルを
主体とした加工工具で孔開け加工を行っていた。

（考案が解決しようとする課題） しかし、従来のこの種の装置においては、位置決め用部
材、クランプ用部材および加工工具を各々別個の駆動手
段で駆動するのが一般的であり、必然的にこれらを具備
する装置全体が大型化するうえ、設備費用も高価となっ
ていた。

本考案は、かかる点に鑑み、ワークの加工時におけるワ
ークの位置決めと、ワークのクランプによる固定とを加
工工具のワークへの前進動に順次連動させることによ
り、加工作業能率を向上させると共に、小型かつ安価な
位置決めクランプ装置を提供することを目的とする。

（課題を解決するための手段） 上記目的を達成するため、本考案の解決手段は、加工ス
テーションに搬送されたワークに対して該ワークの一側
面側から加工を施す加工工具を有し、駆動手段により該
ワークに対して進退移動する加工ユニットと、該加工ユ
ニットと上記ワークの一側面との間に該ワークに対して
進退移動可能に配設され、上記加工ユニットがワークに
対して加工を施すべく前進する過程において該ワークの
一側面に当接して該ワークを位置決めするための位置決
め部材と、上記ワークの他側面側に該ワークに対して進
退移動可能に配設され、上記加工ユニットがワークに対
して加工を施すべく前進する過程でかつ上記位置決め部
材によるワークの位置決め後において該ワークの他側面
に当接して該ワークをクランプして固定させるためのク
ランプ部材とを備える。さらに、上記加工ユニットから
ワークの一側面側に向かって突出するよう設けられてお
り、先端に向かって先細となるテーパ状に形成され上記
加工ユニットがワークに対して第１の所定量前進した位
置で上記位置決め部材に当接して該加工ユニットの前進
動に伴い該位置決め部材をワークの一側面に当接させ該
ワークの位置決めを行うよう移動させる先端テーパ部分
と、該先端テーパ部分の後方に連続してかつ加工ユニッ
トの進退方向と平行に形成され上記先端テーパ部分によ
る位置決め部材のワークへの当接移動後における上記加
工ユニットの前進の際に上記位置決め部材の移動を拘束
して上記位置決め部材のワーク位置決め状態を保持する
よう該位置決め部材に摺接する平行部分とを有する第１
手段を備える。加えて、上記加工ユニットからワークの
他側面側まで延出するよう設けられており、先端に向か
って先細となるテーパ状に形成され上記加工ユニットが
上記第１の所定量よりも大きい第２の所定量前進した位
置で上記クランプ部材に当接して該加工ユニットの前進
動に伴い該クランプ部材をワークの他側面に当接させ該
ワークのクランプを行うよう移動させる先端テーパ部分
と、該先端テーパ部分の後方に連続してかつ加工ユニッ
トの進退方向と平行に形成され上記先端テーパ部分によ
るクランプ部材のワークへの当接移動後における上記加
工ユニットの前進の際に上記クランプ部材の移動を拘束
して上記クランプ部材のワーククランプ状態を保持する
よう該クランプ部材に摺接する平行部分とを有する第２
手段を備えたものとする。

（作用） これにより、本考案では、ワークに対して加工ユニット
が第１の所定量前進すると、先ず、第１手段にて、位置
決め部材をワークの一側面に当接させるように移動させ
てワークの位置決めが行われ、かつその状態が保持され
該位置決め部材のそれ以上の移動は行われない。さら
に、第２の所定量前進すると、続いて、第２手段にて、
クランプ部材をワークの他側面に当接させるように移動
させてワークがクランプされ、かつその状態が保持され
該クランプ部材のそれ以上の移動は行われない。その
後、位置決めかつクランプされた状態で、加工ユニット
の加工工具によりワークの加工が自動的に行なわれる。

ここにおいて、ワークの位置決め後にワークをクランプ
してワークの加工を行う必要があるが、このワークの位
置決めとクランプとを段階的に行うためには、ワークを
位置決めした後に更に加工ユニットがワークのクランプ
及びその後の加工のために前進することが必要である。
この場合、加工ユニットで直接位置決め部材を移動させ
るようにすると、該位置決め部材の位置決め位置で加工
ユニットのそれ以上の前進が停止されてしまうことか
ら、該加工ユニットから突出した第１手段を別途設けて
上記動作を可能にしている。同様の理由で、第２手段も
別途に設けている。

（実施例） 本考案の実施例を図面に基づいて以下に説明する。

位置決めクランプ装置１は、第１図および第２図に示す
ように、主要部としてワークＷを加工するための加工ユ
ニット２と、ワークＷを位置決めするための位置決め部
材３と、ワークＷをクランプして固定させるためのクラ
ンプ部材４とを具備し、それぞれ加工ステーション５に
配設されている。なお、以下の説明において、前後とは
第１図および第２図において左右方向を意味するものと
する。

加工ユニット２は、ワークＷに孔開けを行うもので、加
工工具２ａと駆動手段２ｂとを具備する。加工工具２ａ
は加工部２ｃおよびモータ２ｄを備えており、盤状の移
動台２ｇ上に加工部２ｃが固定されている。なお、加工
部２ｃはモータ２ｄに連動してドリル２ｅを回転させる
と共に、このドリル２ｅとワークＷとの距離を調節する
ようになっている。モータ２ｄは加工部２ｃの上部に固
定され、このモータ２ｄのプーリと加工部２ｃのプーリ
との間にベルト２ｆが掛けられ、モータ２ｄの回転力が
加工部２ｃに伝達される。

駆動手段２ｂは、エアシリンダで構成されていて、加工
ステーション５の後側に設けられている。駆動手段２ｂ
の作動により、移動台２ｇが２本のガイドロッド５ｃに
案内されて前後に進退可能となっている。また、移動台
２ｇの上部前端には、先端部に先細の先端テーパ部分と
してのヘッド８ａを有するとともに該ヘッド８ａ後方に
連続して平行部分を有する第１手段としてのカムプレー
ト８の後端が固着されている。移動台２ｇの下部前端に
は前記ガイドロッド５ｃを挿通せしめた筒状体９の後端
が連結されている。筒状体９の前端には、先端の先端テ
ーパ部分を有するとともに先端テーパ部分の後方に連続
して平行部分を有する第２手段としてのヘッド部材９ａ
が該ヘッド部材９ａと筒状体９の前端との間に圧縮ばね
９ｂを介設せしめて連接されていて、後述のレバー部材
４ｃを回動させるように構成されている。

位置決め部材３は、ワークＷの加工位置を設定するもの
で、カムレバー３ａと位置決めピン３ｂとを具備し、加
工ユニット２とワークＷとの間に左右対称に一対配設さ
れている。カムレバー３ａは、中央に長孔３ｃが形成さ
れ、この長孔３ｃには位置決めピン３ｂの上面に立設さ
れた支持ピン３ｄが挿入されている。そして、カムレバ
ー３ａの後端は加工ステーション５の略中央に配設され
た支持板５ｇ上のピンに軸支されている。一方、カムレ
バー３ａの前端にはローラ３ｅが回転可能に軸支されて
おり、該ローラ３ｅが前記カムプレート８のヘッド８ａ
に当接することによってカムレバー３ａを回動させるよ
うに構成されている。位置決めピン３ｂは加工ステーシ
ョン５の略中央に立設された支持台５ｂの上面に配設さ
れたガイド３ｆに前後方向に摺動自在に支承されてい
る。そして、この位置決めピン３ｂの後端と移動台２ｇ
前端に設けられた係止部材１０との間に圧縮ばね３ｇが
介設され、ワークＷに位置決めピン３ｂが当接する際の
衝撃を吸収するとともに加工ユニット２の進退時に位置
決めピン３ｂを元の位置に戻すようになっている。

クランプ部材４は、ワークＷをクランプするもので、ク
ランプ金具４ａ、ガイド部４ｂおよびレバー部材４ｃを
具備し、加工ステーション５の前部に左右対称に一対配
設されている。クランプ金具４ａは略Ｕ字状に形成され
ていて、その中央部にはガイド部４ｂに前後方向に摺動
自在に支承されたロッド４ｄの先端部が連結されてい
る。ガイド部４ｂは筒状に形成されていて、下端が架台
５ａに固定されたフレーム４ｅの上端に固設されてお
り、前記ロッド４ｄを摺動可能に保持している。レバー
部材４ｃは、中央部が前記フレーム４ｅに回動自在に軸
支され、球形の上端部が前記ロッド４ｄの下面に穿設さ
れた凹状の溝部４ｆに嵌挿されている一方、下端には前
記ヘッド部材９ａに当接するローラ４ｇが回転可能に軸
支されている。

加工ステーション５は、複数の架台５ａ、支持台５ｂ、
及びガイドロッド５ｃを具備して構成されている。架台
５ａは、複数本立設された支柱５ｄ間に、所定の傾斜角
度を存して配設された支持盤５ｅ上に立設されている。
これら各架台５ａ間に、角形部材５ｆを介してガイドロ
ッド５ｃが配設されている。また、両架台５ａの略中間
に翼状の支持板５ｇを有する支持台５ｂが立設されてい
る。なお、前記ガイドロッド５ｃの軸方向に直交する方
向にガイドレール６が複数本配設されており、略直方体
のワークＷを摺動させて加工位置に案内するようになっ
ている。また、棒状のスライドキャリー７が、前記ガイ
ドレール６に平行して配設されており、該スライドキャ
リー７に所定間隔を存して設けた係止部材７ａによっ
て、ワークＷを搬送するようになっている。

次に本実施例の加工作業について説明する。

予め、ワークＷがスライドキャリー７およびガイドレー
ル６によって搬送され、加工工具２ａのドリル側２ｅの
孔開け位置にセットされる。

駆動手段２ｂを作動させ、移動台２ｇが第１の所定量前
進すると、第２図に示すように、カムプレート８のテー
パ状のヘッド８ａがカムレバー３ａに当接して移動台２
ｇの前進動に伴いカムレバー３ａが前方へ回動する。

このカムレバー３ａの回動により支持ピン３ｄが前方へ
押動されることで、位置決めピン３ｂが前進し、その先
端がワークＷの一側面に当接係合してワークＷを位置決
めする。尚、ワークＷの位置決め後も加工ユニット２の
移動台２ｇは前進し続けるが、その際にはカムプレート
８のヘッド８ａ後方の平行部分がカムレバー３ａに摺接
するだけで、該カムレバー３ａを回動させず、位置決め
ピン３ｂの移動を拘束して該位置決めピン３ｂを前進さ
せることはない。

その後、加工ユニット２の移動台２ｇが上記第１の所定
量よりも大きい第２の所定量前進すると、筒状体９の前
進によりヘッド部材９ａの先端テーパ部分がレバー部材
４ｃに当接し、該移動台２ｇの前進動に伴いレバー部材
４ｃを第１図で時計回り方向に回動させる。このとき、
圧縮ばね９ｂが圧縮されて押圧力を若干吸収している。

レバー部材４ｃの回動によりロッド４ｄが後方に摺動す
ると、ワークＷの他側面にクランプ金具４ａが当接し、
その状態を保持するようワークＷに押圧力を付与してク
ランプする。尚、その後、加工ユニット２の移動台２ｇ
が前進しても、ヘッド部材９ａの先端テーパ部分後方の
平行部分がレバー部材４ｃに摺接するだけで、該レバー
部材４ｃを回動させずロッド４ｄの移動を拘束して該ロ
ッド４ｄを後方へ摺動させることはない。

上記ワークＷのクランプ後は、駆動手段２ｂの作動を停
止させるとともに、第１図の２点鎖線に示す如く加工部
２ｃのドリル２ｅを前進させかつモータ２ｄを回転駆動
させてワークＷの一側面に小孔を形成する。

ワークＷの孔開け後は、モータ２ｄの停止と共に、駆動
手段２ｂにより各部材３，４および加工ユニット２を定
位置に復帰させる。

（考案の効果） 本考案は、加工ユニットの前進に伴って、位置決め部材
およびクランプ部材を順次段階的に連係作動させるよう
にしたので、部品の加工作業効率を飛躍的に向上させる
ことができ、また、小型化が可能となり、コストダウン
も図れる。また、クランプ部材はワークの加工面（一側
面）と反対側の面をクランプするので、加工時のワーク
に対する荷重をクランプ部材で受けることができ、別途
この荷重を受けるための支持部材等が不要である利点も
有する。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示し、第１図は位置決めクラン
プ装置の側面図、第２図は同装置の平面図である。 １…位置決めクランプ装置、２…加工ユニット、２ａ…
加工工具、２ｂ…駆動手段、３…位置決め部材、４…ク
ランプ部材、５…加工ステーション、８…カムプレー
ト、８ａ…ヘッド、９ａ…ヘッド部材、Ｗ…ワーク。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】加工ステーションに搬送されたワークに対
   して該ワークの一側面側から加工を施す加工工具を有
   し、駆動手段により該ワークに対して進退移動する加工
   ユニットと、 該加工ユニットと上記ワークの一側面との間に該ワーク
   に対して進退移動可能に配設され、上記加工ユニットが
   ワークに対して加工を施すべく前進する過程において該
   ワークの一側面に当接して該ワークを位置決めするため
   の位置決め部材と、 上記ワークの他側面側に該ワークに対して進退移動可能
   に配設され、上記加工ユニットがワークに対して加工を
   施すべく前進する過程でかつ上記位置決め部材によるワ
   ークの位置決め後において該ワークの他側面に当接して
   該ワークをクランプして固定させるためのクランプ部材
   と、 上記加工ユニットからワークの一側面側に向かって突出
   するよう設けられており、先端に向かって先細となるテ
   ーパ状に形成され上記加工ユニットがワークに対して第
   １の所定量前進した位置で上記位置決め部材に当接して
   該加工ユニットの前進動に伴い該位置決め部材をワーク
   の一側面に当接させ該ワークの位置決めを行うよう移動
   させる先端テーパ部分と、該先端テーパ部分の後方に連
   続してかつ加工ユニットの進退方向と平行に形成され上
   記先端テーパ部分による位置決め部材のワークへの当接
   移動後における上記加工ユニットの前進の際に上記位置
   決め部材の移動を拘束して上記位置決め部材のワーク位
   置決め状態を保持するよう該位置決め部材に摺接する平
   行部分とを有する第１手段と、 上記加工ユニットからワークの他側面側まで延出するよ
   う設けられており、先端に向かって先細となるテーパ状
   に形成され上記加工ユニットが上記第１の所定量よりも
   大きい第２の所定量前進した位置で上記クランプ部材に
   当接して該加工ユニットの前進動に伴い該クランプ部材
   をワークの他側面に当接させ該ワークのクランプを行う
   よう移動させる先端テーパ部分と、該先端テーパ部分の
   後方に連続してかつ加工ユニットの進退方向と平行に形
   成され上記先端テーパ部分によるクランプ部材のワーク
   への当接移動後における上記加工ユニットの前進の際に
   上記クランプ部材の移動を拘束して上記クランプ部材の
   ワーククランプ状態を保持するよう該クランプ部材に摺
   接する平行部分とを有する第２手段と、 を備えたことを特徴とする位置決めクランプ装置。