JPH06115651A - 鋼球式搬送システム - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 重量物積載用搬送台盤を多数の鋼球で支持し
ながら搬送するようにした鋼球式搬送システムにおい
て、重量物の安定した搬送を確保するための改良。 【構成】 重量物積載用の搬送台盤10を路盤１上に敷設
した敷板２上で多数の鋼球11により支持しながら搬送す
るようにした搬送システムにおいて、鋼球11を複数のリ
テーナ13で転動可能に保持しかつ各リテーナ13間をリン
ク12で連結し、搬送中に多数の鋼球11の一方の偏りを防
止することにより、重量物の安定かつ確実な搬送を可能
にした。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、重量物の搬送に好適な
鋼球式搬送システムに関し、特に設備が安価でかつ直進
搬送のほか屈曲搬送も可能な、鋼球式搬送システムに関
する。

【０００２】

【従来の技術】従来、超重量物を例えば船積みのために
組立て工場から水切場まで搬送するのに、図６に示すよ
うな、路盤１に敷設された敷板２上に円筒形ローラ３を
並べ、搬送台盤10を円筒形ローラ３で支持させながら転
動させることで矢印方向に移動させるようにした、ロー
ラ式搬送システムや、図７に示すような、敷板２上に空
気源４ａにホース４ｂで連設されたエアーシール４をお
き、エアーシール４で搬送台盤10を支持させながら矢印
方向に移動させるようにした、空気式搬送システムが提
案されている。なおいずれの場合も超重量物は搬送台盤
10上に載置される。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところで、上述のよう
な従来のローラ式搬送システムは、シャープな進行方向
の変換が不可能なため、通路条件に制約を受ける。また
空気式搬送システムは、空気源などの高価な設備を必要
とするうえ、空気洩れを防ぐために、敷板とエアーシー
ルとの間のシール性を確保しなければならず、そのため
にはデリケートな作業が必要で、コストアップとなる。
さらに、レールを敷設し同レール上を鉄輪式台車やキャ
タピラ式台車を走行させるシステムも提案されている
が、レールの敷設費や大形台車の製造費などに莫大なコ
ストがかかり、一時的な設費としては採算がとれない。
また、タイヤ式台車による超重量物の搬送システムも提
案されているが、路盤支持力に限界があって一般的でな
く、またタイヤ支持力による限界もある。

【０００４】本発明は、上述のような従来の超重量物の
搬送システムの問題点の解決をはかろうとするもので、
リテーナで一定間隔に保持された多数の鋼球を介して、
超重量物を積載する搬送台盤を路盤上に敷設された敷板
上に支持させて、鋼球の転がりにより超重量物の搬送を
行なわせるとともに、敷板上のガイドにより直進搬送を
確保でき、しかも設備コストおよび運行コストの安価な
鋼球式搬送システムを提供することを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
め、本発明の鋼球式搬送システムは、重量物積載用搬送
台盤を路盤上に敷設された敷板上で支持するために多数
の鋼球が用いられる鋼球式搬送システムにおいて、上記
多数の鋼球が複数枚のリテーナに転動可能に保持される
とともに、同各リテーナ間がリンクで連結される一方、
上記敷板の両側に上記の搬送台盤およびリテーナの案内
部材としての台盤ガイドおよびリテーナガイドがそれぞ
れ取付けられていることを特徴としている。

【０００６】

【作用】上述の本発明の鋼球式搬送システムでは、多数
の鋼球がリテーナで転動可能に保持されるとともに、複
数枚のリテーナがリンクで連結されているため、各鋼球
が一方に偏るようなことがなく、多数の鋼球による搬送
台盤の安定した支持作用が得られる。また、台盤ガイド
およびリテーナガイドが移動中の搬送台盤およびリテー
ナを案内して、搬送台盤の直進性を確保するよう作用す
る。

【０００７】

【実施例】以下、図面により本発明の一実施例として鋼
球式搬送システムについて説明すると、図１は側面図、
図２は図１のＡ−Ａ矢視断面図、図３は図１のＢ−Ｂ矢
視断面図、図４はリテーナの平面図、図５は図１のＣ部
を拡大して示す詳細側面図である。なお図１〜５中図
６，７と同じ符号はほぼ同一の部材を示している。この
実施例の鋼球式搬送システムも、超重量物の搬送に用い
られるもので、搬送台盤10を路盤１に敷設された敷板２
上に支持させるのに多数の鋼球11が用いられている。鋼
球11を転動可能に保持するのに、図４に示すような長方
形のリテーナ13が用いられており、リテーナ13の下面に
鋼球11の直径よりやや小径の円孔を形成された鋼球サポ
ート16が取付けられていて、リテーナ13を吊り上げても
鋼球11がリテーナ13内に保持できるようになっている。

【０００８】そして、多数の鋼球11を保持した複数枚の
リテーナ13が、その短辺を搬送台盤10の搬送方向に一致
させて敷板２上におかれ、前後に隣接して配設された各
リテーナ13間が、搬送台盤10の搬送方向と平行に配設さ
れた一定長さのリンク12で連結される。符号14は連結ピ
ンを示している。さらに、リテーナ13の下面にリテーナ
サポート15が取付けられている。このリテーナサポート
15は、鋼球11をその中心線上でリテーナ13に形成された
鋼球11支持用の穴の内面に接触させるように、リテーナ
13の上下位置の調整を行なうもので、これにより、鋼球
11をリテーナ13で強制的に押引するとき、鋼球11の中心
へ向かう水平分力のみを残し、垂直分力が作用しないよ
うにすることができ、鋼球11の安定した転がり作動を確
保することが可能となる。

【０００９】図１中の符号５は搬送台盤10上に積載され
た超重量物を示している。また、符号７は油圧シリンダ
を示しており、この油圧シリンダ７は敷板２にボルト結
合されたシリンダサポート６に支持され、油圧源８から
の圧油の供給を受けて伸縮作動するようになっており、
図１，２に示すように、油圧シリンダ７はその伸縮ラム
の先端が搬送台盤10の後端面と対向するように配設され
ている。さらに、図３に示すように、敷板２上に、リテ
ーナ13を進行方向の両側にあってリテーナ13を案内する
リテーナガイド17および搬送台盤10を進行方向の両側に
あって搬送台盤10を案内する台盤ガイド18が、それぞれ
着脱可能に取付けられている。

【００１０】上述の構成において、多数の鋼球11を保持
した複数枚のリテーナ13が、互いにリンク12で連結され
た状態で各リテーナ13の短辺が搬送台盤10の搬送方向と
一致するようにして敷板２上におかれ、このようにして
敷板２上におかれたリテーナ13上に、搬送台盤10が搭載
され、搬送台盤10上に超重量物５が積載される。そし
て、油圧シリンダ７の伸長作動により搬送台盤10の後端
面が図１，図２において左方向に押動されると、搬送台
盤10がリテーナ13の鋼球11上を転がって、図２の矢印Ｘ
で示す方向へ、リテーナガイド17および台盤ガイド18で
案内されながら移動する。このとき、鋼球11が敷板２上
を転動してリテーナ13も搬送台盤10と同じ方向に移動す
るが、リテーナ13の移動距離は搬送台盤10の移動距離の
１/２である。

【００１１】このようにして、搬送台盤10の移動につれ
て後方に配置されているリテーナ13から順に搬送台盤10
との接触からはずれて無用となる。そこで、無用となっ
たリテーナ13の連結を解除して、順次搬送台盤10の移動
方向の前方に配設すれば、少数のリテーナで搬送台盤10
の長距離の搬送が可能となる。リテーナ13は長方形に形
成されるとともに、その短辺を搬送台盤10の搬送方向に
一致させて配設することで、リテーナ13の上記の取扱い
作業が容易となる。また、鋼球サポート16がリテーナ13
の運搬時における鋼球11の脱落を防止している。なお、
リテーナ13およびリンク12を使用しない場合には、鋼球
11は敷板２または搬送台盤10との非接触部では転がらな
いので、搬送台盤10の移動とともに敷板２および搬送台
盤10と鋼球11との接触位置に偏りが生じ、鋼球11同志が
接触するなどして、搬送台盤10の確実な支持と鋼球11の
安定した転がり作動ができなくなる。

【００１２】図４は、搬送台盤10と鋼球11の接触負荷計
画に合わせたリテーナ13内での鋼球11の配置の一つの例
を示している。搬送台盤10の搬送は、直進のみならず所
望方向へ屈曲して搬送させることも可能である。すなわ
ち図３に示すように、矢印Ｘ方向への搬送が完了し、矢
印Ｙ方向に搬送（進行）方向を変換する場合には、シリ
ンダサポート６、油圧シリンダ７および油圧源８ならび
にリテーナガイド17および台盤ガイド18を矢印Ｙ方向に
延在する敷板２ａにそれぞれ移動させる一方、リテーナ
13を搬送台盤の進行方向変換後の搬送方向（矢印Ｙ方
向）に合わせて配設して、上述の場合と同様の手順によ
り、搬送台盤を方向変換して搬送することができる。な
お、図３には、直角方向に方向変換する場合が図示され
ているが、敷板２ａを任意の屈曲角度に敷設することに
より、任意角の方向変換が可能なことは言うまでもな
い。

【００１３】上述のようにして、この実施例の鋼球式搬
送システムでは次のような作用効果が奏される。 (1) 直進搬送のみならず任意角の屈曲搬送が可能であ
る。 (2) リテーナ内に鋼球を保持し、リテーナ間をリンク連
結することにより、鋼球間の間隔を一定に維持できて、
確実で安定した搬送台盤の鋼球による支持と鋼球の転が
り作動を確保することができる。 (3) リテーナを細長形状としたため、搬送台盤からはず
れたリテーナを前送りする作業が容易であり、かつこの
作業を順次繰り返して行なうことにより、少数のリテー
ナで長距離の搬送を行なうことができ、経済上有利であ
る。 (4) リテーナガイドおよび台盤ガイドによりリテーナお
よび搬送台盤の直進性の向上をはかることができ、確実
で安定した搬送を実現できる。

【００１４】

【発明の効果】以上詳述したように、本発明の鋼球式搬
送システムによれば、次のような効果ないし利点が得ら
れる。 (1) 超重量物を簡単な設置により、直進搬送は勿論のこ
と任意の屈曲搬送を行なうことができる。 (2) 多数の鋼球が一方に偏ることがないため、上記の搬
送を安定かつ確実に行なうことがてきる。 (3) リテーナガイドおよび台盤ガイドにより直進性を向
上させることができ、超重量物の搬送を一層確実かつ安
定させることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例としての鋼球式搬送システム
を示す側面図。

【図２】図１のＡ−Ａ矢視断面図。

【図３】図１のＢ−Ｂ矢視断面図。

【図４】同リテーナの平面図。

【図５】図１のＣ部を拡大して示す詳細側面図。

【図６】，

【図７】従来の鋼球式搬送システムの模式側面図。

【符号の説明】

１ 路盤 ２ 敷板 ３ 円筒形ローラ ４ エアーシール ５ 超重量物 ６ シリンダサポート ７ 油圧シリンダ ８ 油圧源 10 搬送台盤 11 鋼球 12 リンク 13 リテーナ 14 連結ピン 15 リテーナサポート 16 鋼球サポート 17 リテーナガイド 18 台盤ガイド

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 重量物積載用搬送台盤を路盤上に敷設さ
   れた敷板上で支持するために多数の鋼球が用いられる鋼
   球式搬送システムにおいて、上記多数の鋼球が複数枚の
   リテーナに転動可能に保持されるとともに、同各リテー
   ナ間がリンクで連結される一方、上記敷板の両側に上記
   の搬送台盤およびリテーナの案内部材としての台盤ガイ
   ドおよびリテーナガイドがそれぞれ取付けられているこ
   とを特徴とする、鋼球式搬送システム。