JPH0611223U - 耐雷架空地線 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【構成】 導電性金属素線を撚合した地線の外周上に、
断面が略三日月状又はコ字状の複数本の金属素線を密接
させて撚合し溶損層を設けて耐雷架空地線を構成した。 【効果】 地線外周面上に密接させて撚合した断面が略
三日月状又はコ字状の複数本の金属素線は相互のブリッ
ジ効果により延線時の金車通過抵抗により潰れることは
なく、溶損層に過大なニッキングや変形笑いが生じるお
それは全くない。また、落雷により溶損層は溶損する
が、地線と溶損層を構成する金属素線との間には熱絶縁
特性に優れた空隙が形成されているので、落雷による地
線の溶損は最小限に止められ、軽量コンパクトで耐雷特
性及び機械的特性に優れた長寿命の耐雷架空地線が得ら
れる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は耐雷架空地線に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

従来、架空地線は雷撃によるアークエネルギーで送電線が溶損するのを防止す ると共に、電磁誘導障害防止に使用されている。また、近年においては複合架空 地線（０ＰＧＷ）の出現に伴い、架空地線は情報伝送路としての役割を担うよう になり、その重要性は飛躍的に増大している。このため雷撃による架空地線の損 傷は各方面に多大な損害を与える。

【０００３】 上記、架空地線の損傷を防止した耐雷架空地線として、図５に示すように複数 本の導電性金属素線を撚合した地線２０の最外層に溶損層２１を設けた所謂アー マロッド的考えに基づく耐雷架空地線が電気共同研究第４３巻第３号（昭和６３ 年１月発行）により知られている。

【０００４】 また、図６に示すように、断面扇形素線１０ａ、１０ａ間にヒレ付き断面扇形 素線１０ｂ、１０ｂを混在させて撚合した地線１０上に溶損層１２を設け、地線 １０と溶損層１２との間に空隙部１３を形成した耐雷架空地線が知られている。 上記、耐雷架空地線の耐アーク特性については、平成４年電気学会全国大会論文 Ｎ０．１２１３に記載されているように、直流アーク試験の結果、基準電線に比 べ、素線の溶損本数は約半分程度であり、また、基準電線最外層素線の溶断開始 通過電荷量が約３００クーロン程度であるのに対して、溶断開始通過電荷量は約 ５００クーロン程度であり、優れた耐雷特性を有する。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、上述した耐雷架空地線においては以下のような問題点がある。

【０００６】 複数本の導電性金属素線を撚合した地線２０の最外層に溶損層２１を設けた所 謂アーマロッド的考えに基づく耐雷架空地線においては、雷撃による溶損層２１ のアーク溶損が地線２０に及ぶのを防止するため、溶損層２１には大径の導電性 金属素線が使用されている。このため重量が嵩み、また、地線２０と溶損層２１ が密着しているために、雷撃によるアークエネルギーが大きいと溶損層２１の損 傷に止まらず地線２０まで損傷する等の危険性がある。

【０００７】 また、扇形素線１０ａ、１０ａ間にヒレ付き扇形素線１０ｂ、１０ｂを混在さ せて撚合した地線１０上に溶損層１２を設け、地線１０と溶損層１２との間に空 隙部１３を形成した耐雷架空地線においては、前述したように耐雷特性には優れ ているが、機械的特性に問題点がある。即ち、地線１０は延線時に５〜１０カ所 以上の金車を通過し、場合によっては高張力でさらに多数回金車を通過する。こ の際、鉄塔間の高低差が大きいと金車抵抗も大きく、垂直分力による圧潰力によ ってヒレ１０ｃが潰れて、溶損層１２に大きなニッキングが生じると共に、その 笑いも大きく、所定の空隙１３が得られず、更には、溶損層１２が内部素線と密 着して十分な耐雷効果が得られなくなる。

【０００８】 本考案は上記問題点に鑑みなされたもので、軽量コンパクトで耐雷特性及び機 械的特性に優れた耐雷架空地線を提供することを目的とする。

【０００９】

【課題を解決するための手段】

本考案は、導電性金属素線を撚合した地線外周上に、断面が略三日月状又はコ 字状の複数本の金属素線を密接させて撚合し溶損層を設けて耐雷架空地線を構成 し、従来の問題点を解消したものでる。

【００１０】

【作用】

地線は送電線の雷撃によるアーク溶損や断線を防止すると共に、電磁誘導障害 を防止し、且つ、情報伝送路として機能する。

【００１１】 地線外周面上に密接させて撚合した断面が略三日月状又はコ字状の複数本の金 属素線は相互のブリッジ効果により延線時の金車通過により潰れることはなく、 溶損層に大きなニッキングや変形笑いが生じ機械的強度が低下することはない。 また、地線外周面と、該地線外周面上に撚合した断面が略三日月状又はコ字状の 複数本の金属素線との間には熱絶縁特性に優れた空隙が形成される。

【００１２】 溶損層は落雷によるアーク損が地線に及ぶのを防止する。即ち、落雷があると 地線外周面上に密着させて撚合した金属素線は損傷するが、この際、アークエネ ルギーは緩和され、且つ、金属素線と地線外周面との間には熱絶縁特性に優れた 空隙が形成されているので、雷撃による地線の損傷は最小限に止められる。

【００１３】

【実施例】

以下、本考案の実施例を図面により説明する。図１は本考案の一実施例を示す 横断面図、図２は斜視図、図３及び図４は本考案の他の実施例を示す横断面図で ある。図１乃至図３において１は耐雷架空地線、２は地線（０ＰＧＷ）で、該地 線２は光ファイバ等を挿通するアルミパイプ２ａ上に、鋼等の張力補強線２ｃを 内部に有するアルミ等からなる複数本の断面扇形（又は台形）の導電性金属素線 ２ｂを撚合して構成されている。

【００１４】 ３は上述した地線２の外周面上に設けられた溶損層で、該溶損層３は断面略三 日月状、または、図３に示すように内面にコ状溝３ｂを設けた断面略コ字状の複 数本の金属素線３ａを地線２の外周面上に密着させて撚合して設けられている。 なお、上記金属素線３ａは板厚が均一な金属板を円弧状に折り曲げて形成しても よい。また、金属素線３ａとしては亜鉛又は錫メッキを施した高融点の鋼又は銅 等の金属素線を用い、或いは、軽量化のためにアルミ又はアルミ被覆鋼素線を用 いてもよいものである。

【００１５】 ４は地線２の外周面と、該地線２の外周面上に撚合した金属素線３ａとの間に 形成された空隙である。

【００１６】 上述のように地線２の外周面上に、断面略三日月状、または、断面略コ字状の 複数本の金属素線３ａを密接させて撚合し溶損層３を設けることにより、金属素 線３ａ、３ａは相互のブリッジ効果により延線時の金車通過抵抗により潰れるこ とはなく、溶損層３に大きなニッキングや変形笑いが生じ機械的強度が低下する ようなおそれは全くない。

【００１７】 また、耐雷架空地線１に落雷があると、雷撃によるアークエネルギーにより溶 損層３を構成する金属素線３ａは溶損するが、金属素線３ａが溶損することによ りアークエネルギーは吸収緩和され、且つ、金属素線３ａと地線２の外周面との 間には熱絶縁特性に優れた空隙４が形成されているので、地線２の損傷は最小限 に止められる。

【００１８】 なお、断面略三日月状の金属素線３ａの内周面３ｂ、または、断面コ字状の金 属素線３ａのコ状溝３ｂの内面に、金属素線３ａより熱伝導率の低い、例えば、 セラミック、石綿等を塗布しておき、或いは、地線２の外周面と金属素線３ａの 間に形成された空隙４内にフッ素ゴム、シリコンゴム等を充填して耐雷特性を向 上させてもよいことは勿論である。

【００１９】 以上は０ＰＧＷについて図示説明したが、本考案はこれに限定されるものでは なく、図４に示すように鋼線２ｂをアルミで被覆した断面円形の複数本の導電性 金属素線２ａを撚合積層した通常の複合架空地線２等にも適用し得ることは勿論 である。また、金属素線３ａの本数は直径１５ｍｍ程度では３〜５本、１６ｍｍ 〜３０ｍｍ程度では５〜１０本程度とすることが望ましい。

【００２０】

【考案の効果】

本考案によれば上述のように、延線時に溶損層３にニッキングや変形笑いが発 生し機械的強度が低下するようなおそれは全くなく、しかも、雷撃による地線２ の損傷を極めて有効に防止することができ、軽量コンパクトで耐雷特性及び機械 的特性に優れた長寿命の耐雷架空地線を提供し得るという優れた利点がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例を示す横断面図

【図２】斜視図

【図３】本考案の他の実施例を示す横断面図

【図４】本考案の他の実施例を示す横断面図

【図５】従来の耐雷架空地線を示す横断面図

【図６】従来の耐雷架空地線を示す横断面図

【符号の説明】

１ 耐雷架空地線 ２
地線 ２ｂ 導電性金属素線 ３ 溶損層 ３
ａ 金属素線 ４ 空隙

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 導電性金属素線を撚合した地線外周上
   に、断面が略三日月状又はコ字状の複数本の金属素線を
   密接させて撚合し溶損層を設けたことを特徴とする耐雷
   架空地線。