JPH06100341B2 - 複合加熱装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明はひとつの加熱室で高周波加熱とオーブン加熱を
可能にした、複合加熱装置に関するものである。

従来の技術 一般にオーブンレンジと呼ばれている複合加熱装置は、
高周波加熱とオーブン加熱のほかに、それぞれの加熱方
式を同時に用いた同時加熱も可能になってきている。こ
の種の複合加熱装置では、高周波加熱の際には冷却ファ
ンによって高周波発生器を強制冷却しており、オーブン
加熱の際には前記冷却ファンを停止し加熱室壁面からの
熱放散を少なくして熱効率を高めている。しかし、同時
加熱の際には高周波加熱と同様に冷却ファンを作動させ
ており、これは冷却ファンを停止すれば高周波発生器の
陽極温度が上昇し、高周波発生器の寿命を損う危険性が
ありやむを得ないと考えられていた。

発明が解決しようとする問題点 ところが、このような複合加熱装置では次のような欠点
を有していた。

（１）同時加熱時に冷却ファンが作動するため、加熱室
壁面かの熱放散が助長され装置の熱効率が低下するばか
りでなく、時には加熱室内の熱分布の均一性を損うこと
もある。

（２）高周波発生器を収容する機械室内の雰囲気温度
は、オーブン加熱の際には冷却ファンが停止するため上
下差が生じ易く、一方同時加熱の際には冷却ファンが作
動するため均一化され易くなり、加熱方法によって温度
分布に大きく影響を与えるため部品の配置設計が難しく
なる。

（３）オーブン加熱の発熱装置のガスバーナを用いた場
合、同時加熱時の冷却ファンによって発生する風の流れ
で燃焼状態が乱され、不完全な燃焼となる危険性があ
る。

（４）前記の欠点を解消するためには、冷却風の影響を
少なくするための仕切板や断熱材等が必要となり、材料
面ならびに生産性面からもコスト高となる。

問題点を解決するための手段 上記問題点を解決するために本発明の複合加熱装置は、
オーブン加熱と同時加熱の際には冷却ファンを停止する
とともに、同時加熱の際には高周波発生装置の出力を低
出力に切り換える構成としたものである。

作用 本発明の複合加熱装置は、オーブン加熱と同時加熱の際
に冷却ファンを停止するとともに、同時加熱時に高周波
発生器の出力を低出力に切り換えることによって、高周
波発生器の陽極温度を実用上支障のない温度まで下げて
いるため、高周波発生器の寿命を損うこともなく、仕切
板や断熱材がなくても熱効率と安全性に優れ安価な複合
加熱装置が提供できる効果を有するものである。

実施例 以下、本発明の一実施例の複合加熱装置を図面を参照し
て説明する。

第１図から第３図に示すように、１は装置本体を覆う外
殻、２は被加熱物を収容し調理を行なう加熱室、３は加
熱室２の前面開口部に設けたドア、４は装置の動作を設
定する操作部、５は操作部４の設定や加熱の進行状況等
を表示する表示部、６は高周波を発生する高周波発生
器、７は高周波発生器６を強制冷却する冷却ファン、８
は加熱室の雰囲気を高温にするガスバーナ、９は加熱室
２の雰囲気を循環させる循環ファン、10はガスバーナ８
へのガス供給を制御する電磁弁、11はガスバーナ８の点
火器、12は加熱室２内の温度を検出するサーミスタ、13
は高周波発生器６の出力を制御する出力切り換え手段、
14aから14cは冷却ファンと電磁弁10と点火器11を制御す
るリレー、15は操作部４やサーミスタ12の信号に応じて
出力切り換え手段13やリレー14aから14c等を含めて装置
全体の制御を行なう制御回路である。

一方、高周波発生器６の出力と陽極温度との関係を冷却
ファン７の作動状態ごとに示したのが第４図である。こ
の第４図で明らかなように、冷却ファン７が停止してい
る場合でも高周波発生器６の陽極温度は出力が低けれ
ば、冷却ファン７が作動している状態での最大出力時に
比べて同等以下にすることが可能であることがわかる。
一般に高周波発生器６の寿命は、作動時の陽極温度でほ
ぼ決定されることから、冷却ファン７を停止しても高周
波発生器６の出力を低出力になるように制御することに
よって、高周波発生器６の寿命を損うことはない。ただ
し、断続制御によって高周波発生器６の出力を制御する
場合、１サイクルあたりの高周波発生器６の作動時間を
極端に短かくする（約３秒以下）と、高周波発生器６の
陰極加熱が不充分なまま断続されることにより寿命を損
うことがあるため、作動時間は最低でも４秒以上とする
ことが望ましい。

次に、この複合加熱装置の加熱設定ごとの出力切り換え
手段13とリレー14aから14cの動作を表１に示す。

表１に示す制御によれば、オーブン加熱ならびに同時加
熱の際には冷却ファン７が停止するため、従来の同時加
熱時に比べて熱放散は大巾に減少し装置の熱効率も向上
するばかりでなく、加熱室内の熱分布の均一性を損うこ
とも無くなる。また、高周波発生器６を収容する機械室
内の温度分布も、オーブン加熱時とあまり差を生じない
ため、部品の配置設計も容易となり、設計時間の短縮が
画れる。さらに、ガスバーナ８の燃焼に一切影響を与え
ることもない。そこで、仕切板や断熱材等の部品が不要
となり安価な複合加熱装置が提供できる。

発明の効果 以上のように本発明の複合加熱装置は、高周波を発生す
る高周波発生器と、前記高周波発生器の出力を制御する
出力切り換え手段と、前記高周波発生器を冷却する冷却
ファンとを備え、オーブン加熱と同時加熱の際に冷却フ
ァンを停止するとともに、同時加熱時に高周波発生器の
出力を低出力に切り換えることによって、高周波発生器
の陽極温度を実用上支障のない温度まで下げることがで
きるため、高周波発生器の寿命を損うこともなく、仕切
板や断熱材がなくても熱効率と安全性に優れ、しかも安
価な複合加熱装置が提供できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例における複合加熱装置の回路
図、第２図は同縦断面図、第３図は同外観斜視図、第４
図は同複合加熱装置の高周波発生器の出力と陽極温度を
示す特性図である。 ２……加熱室、６……高周波発生器、７……冷却ファ
ン、８……発熱装置（ガスバーナ）、13……出力切り換
え手段。

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】被加熱物を収容する加熱室と、前記加熱室
   へ高周波を放射する高周波発生器と、前記高周波発生器
   を冷却する冷却ファンと、前記加熱室内の雰囲気を高温
   にする発熱装置と、前記高周波発生器の出力を制御する
   出力切り換え手段とを備え、前記発熱装置によるオーブ
   ン加熱時と、前記高周波発生器と発熱装置との同時加熱
   時には前記冷却ファンの作動を停止するとともに、同時
   加熱時には前記出力切り換え手段によって前記高周波発
   生器の出力を低出力に切り換える構成とした複合加熱装
   置。
2. 【請求項２】同時加熱時に、出力切り換え手段で高周波
   発生器を断続作動させることにより低出力に切り換える
   とともに、高周波発生器の断続１サイクルあたりの作動
   時間を４秒以上とした特許請求の範囲第１項記載の複合
   加熱装置。