JPH059787A - ロ−ル洗浄装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 コンダクタロ−ル表面の付着異物をオンライ
ンで除去することができるロ−ル洗浄装置を提供する。 【構成】 鋼帯を電解クロムめっき槽に導くコンダクタ
ロ−ルの表面にクロムめっき液を吹き付けるスプレ−ノ
ズルと、スプレ−ノズルにクロムめっき液を供給する液
供給手段と、を有し、クロムめっき液の吹き付けにより
コンダクタロ−ル表面の付着物を除去する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、表面処理ラインの電
解クロムセクションにてコンダクタロ−ルを洗浄するロ
−ル洗浄装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】電解クロムめっき鋼板の製造ラインにお
いては、クロムめっき槽の直ぐ上流側に酸洗い槽および
水洗い槽を設け、めっき処理前に鋼帯表面を清浄な状態
にする。鋼帯は、先ず酸洗い槽で酸洗され、次に水洗い
槽で水洗され、さらにコンダクタロ−ルによりクロムめ
っき槽に導かれ、電解クロム溶液に浸漬される。

【０００３】ところで、電解クロムセクションの第１番
目のロ−ルは、水洗い槽の影響を受けて酸化鉄（水あ
か）などの異物が付着するため、これをコンダクタロ−
ルとして使用すると、いわゆるア−クスポットにより鋼
帯表面に欠陥が生じる。ア−クスポットは、ロ−ル表面
の付着異物を介してロ−ルと鋼帯との間に放電スパ−ク
が生じる現象であり、鋼帯に穴が開くなどの欠陥を引き
起こし、製品歩留りに重大な影響を及ぼす。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】このため、水洗い槽か
ら出た直後の第１番目のロ−ルは、通常、クロムめっき
槽のコンダクタロ−ルとしては用いられない。ただし、
電解処理を１パスで行なう場合は、第１番目のロ−ルを
コンダクタロ−ルとして用いなければならないので、ア
−クスポットが生じたときにラインを停止し、ロ−ル面
に付着した異物を作業者が手作業で研磨除去する。

【０００５】しかしながら、ア−クスポット事故が発生
するたびにラインを停止するのは稼働率の低下となり、
また、ロ−ルは大きなものであるので、その表面から異
物を研磨除去する作業は多くの労力を要すると共に長時
間を要する。

【０００６】この場合に、回転ブラシ等を有する研磨装
置を用いてロ−ル面をオンラインで研磨することも考え
られるが、クロム酸溶液を使用するめっきラインではブ
ラシの腐食劣化が著しく、酸化鉄などの異物を十分に除
去することはできない。

【０００７】この発明は、上記課題を解決するためにな
されたものであり、電解クロム槽への第１番目のコンダ
クタロ−ルの付着異物をオンラインで除去し、クロムめ
っき鋼板の品質及び歩留りの向上を図ることができるロ
−ル洗浄装置を提供することを目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】この発明に係るロ−ル洗
浄装置は、鋼帯を導き入れる鋼帯を電解クロムめっき槽
に導くコンダクタロ−ルの表面にクロムめっき液を吹き
付けるスプレ−ノズルと、スプレ−ノズルにクロムめっ
き液を供給する液供給手段と、を有し、クロムめっき液
の吹き付けによりコンダクタロ−ル表面の付着物を除去
することを特徴とする。

【０００９】

【作用】この発明に係るロ−ル洗浄装置においては、オ
ンラインでスプレ−ノズルからコンダクタロ−ルの表面
にクロムめっき液を常に吹き付けるので、水洗い槽から
の水あかがクロムめっき液によって洗い流され、ロ−ル
表面は異物付着のない清浄な状態に保たれる。

【００１０】

【実施例】以下、添付の図面を参照して本発明の実施例
について説明する。

【００１１】図２に示すように、連続電解クロムめっき
鋼板の製造ラインでは鋼帯２が所定の搬送速度で電解ク
ロムセクションに連続送給される。電解クロムセクショ
ンの上流側には酸洗い槽３及び水洗い槽４が設けられて
いる。酸洗い槽３のなかには所定濃度の硫酸が入れら
れ、これに鋼帯２が浸漬されるようになっている。水洗
い槽４のなかには水が入れられ、酸洗い後の鋼帯２が水
洗浄されるようになっている。水洗い槽４の上方には多
数の水スプレイ５が設けられ、鋼帯２の両面にスプレイ
水が噴射されるようになっている。

【００１２】電解クロムセクションには複数の電解クロ
ム槽６，７が設けられている。各電解クロム槽６，７内
には所定濃度のクロム酸溶液が入っている。クロム酸溶
液は、１リットル中に175 グラムのクロム酸を含む。

【００１３】第１のコンダクタロ−ル８が水洗い槽４と
電解クロム槽６の間に設けられている。水洗い槽４を出
た鋼帯２は、第１のコンダクタロ−ル８により第１の電
解クロム槽６に案内される。さらに、鋼帯２は、第２、
第３のコンダクタロ−ル９，１０と浴中ロ−ルとの間を
上下に往復しながら第２第３の槽に次々に浸漬されるよ
うになっている。

【００１４】図１に示すように、第１のコンダクタロ−
ル８の直下にスプレイノズル１６が設けられ、ロ−ル面
に向かってクロムめっき液が吹き付けられるようになっ
ている。スプレイノズル１６は、複数が一列に設けら
れ、ヘッダ１５に連通している。このスプレイヘッダ１
５は、配管１７を介してポンプ１８の吐出口に連通して
いる。ポンプ１８の吸込口は配管１９に接続され、配管
１９を介して電解クロム槽６のクロムめっき液がポンプ
１８に吸い上げられるようになっている。

【００１５】一方、液受け箱２０が第１のコンダクタロ
−ル８の直下に設けられ、ロ−ル面に吹き付けられため
っき液を受けるようになっている。液受け箱２０のドレ
ンは配管２１を介してめっき液のメインタンク２２に連
通している。メインタンク２２は、フィルタ（図示せ
ず）を備えており、異物を除去された回収液が配管２３
を介してめっき槽６に返戻されるようになっている。

【００１６】図３に示すように、各スプレイノズル１６
の噴射口は、第１のコンダクタロ−ル８の軸に沿って配
列され、ロ−ル面から所定の距離をもって離れている。
この場合に、スプレイノズル１６の噴射口のロ−ル面に
対する離間距離及び噴射角度、並びにヘッダ１５からノ
ズル１６への分配噴射圧力は、ロ−ル面の付着異物を除
去するに十分なものとする。また、スプレイノズル１６
の相互間ピッチは、噴射液の広がりが周辺領域で互いに
重なり合うような間隔とすることが望ましい。次に、上
記のロ−ル洗浄装置を用いて第１のコンダクタロ−ルを
オンラインで洗浄する場合について説明する。

【００１７】鋼帯２をペイオフリ−ルのコイルから巻き
解き、酸洗い槽３に所定速度で送給し、硫酸溶液中に浸
漬する。酸洗後、鋼帯２を水洗い槽４に浸漬し、さらに
水スプレイ５により鋼帯２の両面に水をスプレイし、硫
酸を洗い流す。このスプレイ水や水洗い槽４中の水あか
が第１のコンダクタロ−ル８の表面に付着する。

【００１８】しかしながら、スプレイノズル１６から第
１のコンダクタロ−ル８のロ−ル面に向かってクロムめ
っき液を吹き付けているので、ロ−ル面に付着した水あ
かは吹き付け液により洗い流され、液受け箱２０のなか
に流れ落ちる。このように、電解めっき処理中にオンラ
インで常にロ−ル面が洗浄されるので、水あか等の異物
がロ−ル８の表面に定着せず、ロ−ル８と鋼帯２との間
で放電スパ−クが生じなくなる。このため、ア−クスポ
ットが実質的に発生せず、ライン停止の頻度が大幅に低
減するので、連続電解クロムめっき処理設備の可動率が
大幅に向上する。さらに、上記装置によれば、吹き付け
液をメインタンクに回収し、これを再生してめっき槽に
戻して再使用することができる。

【００１９】なお、上記実施例では、メインタンクから
第１のめっき槽に回収液を戻すようにしたが、本発明は
これのみに限られることなく、第２、第３のめっき槽に
回収液を戻すようにしてもよい。

【００２０】

【発明の効果】この発明によれば、オンラインでコンダ
クタロ−ル表面の付着異物を除去することができるの
で、ア−クスポット等の事故の発生を防止することがで
き、設備稼働率の向上、品質及び歩留りの向上、保全費
用の低減を図ることができる。特に、ブラシ等をロ−ル
面に接触させることなく、付着異物を除去することがで
きるので、ロ−ル面の損耗が少なく、ロ−ル寿命も延長
する。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の実施例に係るロ−ル洗浄装置をロ−
ル軸方向から見た模式図。

【図２】電解クロム処理設備の概要を示す全体図。

【図３】ロ−ル洗浄装置のスプレイノズル列をロ−ル軸
直交方向から見た模式図。

【符号の説明】

２；鋼帯、３；酸洗い槽、４；水洗い槽、６，７；電解
クロムめっき槽、８；第１番目のコンダクタロ−ル、１
５；スプレイヘッダ、１６；スプレイノズル、１８；ポ
ンプ、２０；液受け箱、２２；タンク

フロントページの続き (72)発明者 甲斐 重敏 東京都千代田区丸の内一丁目１番２号 日 本鋼管株式会社内

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 【請求項１】 鋼帯を電解クロムめっき槽に導くコンダ
   クタロ−ルの表面にクロムめっき液を吹き付けるスプレ
   −ノズルと、スプレ−ノズルにクロムめっき液を供給す
   る液供給手段と、を有し、クロムめっき液の吹き付けに
   よりコンダクタロ−ル表面の付着物を除去することを特
   徴とするロ−ル洗浄装置。