JPH059588B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の目的〕 （産業上の利用分野） 本発明は金属構造物の移動足場装置に関する。

（従来の技術） 橋梁等の鋼製構造物において、各部の点検や修
理、付帯工事等を行なうには、一般に吊下げ足場
を仮設し、この足場を利用して上記作業を行なう
ようになされている。

上記の吊り足場は、橋梁の場合、プレートガー
タ、トラス、ボツクス等に、パイプ材や木材をチ
エンにより吊持して組立てるようになされている
が、このような仮設足場はその設置位置が高所で
あり、かつ多くの手数を必要とすることから高価
であつて、非能率であるなどの欠点があつた。ま
た従来の吊り足場は、その仮設位置が固定される
ため、橋梁のように長大な範囲にわたつて前述の
作業を行なうにはいちいち足場をかけ直さなけれ
ばならず、その作業が容易でなかつた。

そこで上記の欠点を改善するものとして、プレ
ートガータにそつて走行するローラに足場を吊り
下げ、プレートガータ上を移動可能とする吊り足
場が提案されている。

（発明が解決しようとする問題点） しかる上記従来の吊り足場では、プレートガー
タにステフナーやスプライス等の障害となるもの
があるため、これらの設置間の範囲内でしか走行
移動させることができず、全長にわたつて移動さ
せることができないという問題がある。また、プ
レートガータの表面にローラを載せて走行させる
ため、プレートガータの塗装を傷めるという問題
がある。

本発明はこれに鑑み、プレートガータ等構造材
側に障害物があつても吊り足場を走行させること
ができ、かつ構造材を傷めることがない移動足場
装置を提供することを目的としてなされたもので
ある。

〔発明の構成〕

（問題点を解決するための手段） 上記従来技術が有する問題点を解決するため、
本発明は、橋桁等の金属構造材に吸着されるマグ
ネツトと、このマグネツトにより吸着保持されフ
ランジ部を有する長尺のガイドレールと、このガ
イドレールのフランジ部に係合して転動する車輪
を有する台車と、この台車に支持される足場枠
と、この足場枠に支持される作業用足場板とを具
備することを特徴とするものである。

（作用） 上記の構成としたことにより、鋼材等金属製構
造でマグネツトが作用する箇所にマグネツトを介
してガイドレールを取付け、このガイドレールの
フランジ部に台車の車輪を係合してこの台車に足
場を懸吊すれば、台車を移動して目的とする箇所
に移動させることができ、このとき構造物側の障
害物に妨げられることがないと同時に、構造物の
塗装を剥すなどの損傷を与えることがない。

（実施例） 以下、本発明を図面に示す実施例を参照して説
明する。

第１図乃至第８図は本発明を橋梁の保守点検補
修用の吊り足場に適用した場合の実施例を示して
いる。

第１図において符号１，１，１は橋軸方向に架
設された断面Ｉ形鋼からなる鋼桁を示し、これら
鋼桁１，１，１上に既知の手段によりコンクリー
ト製路面２（詳細は図示省略）が構成されてい
る。

本発明による移動足場装置は、上記鋼桁１，１
の下面に所定の間隔をおいてマグネツト３，３…
が取付けられ、これらのマグネツト３，３…ガイ
ドレール４，４が吸着保持され、このガイドレー
ル４，４に台車５，５…を介して吊り足場６が懸
吊支持されるようになされている。

上記のマグネツト３は、第８図に永久磁石の場
合の上半部を具体的に例示するように、分極材３
Ａの両側に磁極３Ｂ，３Ｂが添設され、これら分
極材３Ａおよび磁極３Ｂ，３Ｂに跨つて回転式の
永久磁石体３Ｃが外部から回転操作可能に設けら
れており、下半部３′も同様な構成とされている。
したがつて一方の永久磁石体３ＣのＮ、Ｓ極を図
示のように左右に位置させることにより磁力線７
が形成されて金属構造物である鋼桁１に対し吸着
し、永久磁石体３Ｃを90°回転して、Ｎ、Ｓ極を
分極材３Ａと平行に位置させることにより磁力線
７が消滅して鋼桁１から分離されるようになる。
なお、このマグネツト３は永久磁石によらず、電
磁石によるものであつてもよい。

ガイドレール４，４は長手方向にそつて水平方
向に突出するフランジ部４Ａ，４Ａを有するもの
で、第１図に示す実施例においてはＩ形鋼材を用
いた場合を示しているが、第６図示のように箱形
の鋼桁１を用いたものであつても同様に適用する
ことができる。

台車５は、第７図に第５図および第６図のＡ部
の拡大図として示すように、台車本体５Ａに前記
ガイドレール４のフランジ部４Ａ，４Ａの上面に
載置されて転動する左右の車輪８，８と、ガイド
レール４の下面にそつておかれ台車５の浮上りを
防止する受けローラ９とが軸着され、台車本体５
Ａの下部に吊り足場６の吊杆１０の上端がピン１
１に介して連結されている。

吊り足場６は、前記台車５，５…に吊持された
吊杆１０，１０…の下端に横杆１２，１２がクラ
ンプ部材１３，１３…を用いて固定され、この横
杆１２，１２に鋼板その他軽量な足場板１４が張
設されていて、この足場板１４上に作業者が乗つ
て作業することができるようになつている。

したがつて上記実施例においては、第１図およ
び第２図に示すように、架設された橋の鋼桁１，
１の下面にマグネツト３，３…を所定の間隔をお
いて吸着させ、このマグネツト３，３…を介して
ガイドレール４，４を鋼桁１，１の長手方向に吸
着保持させる。このガイドレール４，４のフラン
ジ部４Ａ，４Ａに台車５，５…の車輪８，８およ
び受けローラ９を係合させ、これら台車５，５…
に吊持された吊杆１０，１０…により吊り足場６
が吊持される。

こうして構成された吊り足場６の足場板１４に
作業者が乗つて橋の下面側の保守点検や補修作業
を行なう。その箇所での作業が終了したときは、
台車５，５…を走行させて次の位置へ移動させれ
ば、台車５の車輪８，８および受けローラ９によ
りガイドレール４のフランジ部４Ａにそつて走行
し、吊り足場６を所望の位置へ移動させることが
できる。この場合、鋼桁１に第３図示のように障
害物Ｙがあつても、ガイドレール４はその障害物
Ｙより下位に位置しておかれるので何ら台車５，
５…の走行に影響を与えることがなく、吊り足場
６を移動させることができる。

吊り足場６を取外すときは、マグネツト３の上
側（または第８図には図示を省略している下側）
の永久磁石体３Ｃを回動させて磁力線７を消滅さ
せることにより分離させることができる。

第９図乃至第１２図は本発明を鋼柱等の縦部材
１５に適用する場合の実施例を示すもので、縦部
材１５にマグネツト３，３…を所定の間隔をおい
て上下方向に吸着させ、これらマグネツト３，３
…にガイドレール４′，４′を縦方向に吸着保持さ
せ、このガイドレール４′，４′のフランジ部４′
Ａ，４′Ａに台車５′，５′…を昇降自在に係合し
て側方に張出す足場６を支持させるものである。

この実施例におけるガイドレール４′および台
車５は、第１０図のＢ部を第１２図に拡大して示
すように、前記実施例における車輪８，８を歯車
構造の歯付き車輪８′８′とされ、同じく受けロー
ラ９を歯付き受けローラ９′とされており、ガイ
ドレール４′の各対応箇所にラツク１６，１６が
形成されていて、この歯付き車輪８′，８′，を図
示しないモータによつて回転駆動することにより
昇降されるようになつている。

この実施例により、金属構造物が上下方向に延
びるものであつても、足場６を昇降させて作業を
行なうことができる。

〔発明の効果〕

以上説明したように、本発明による金属構造物
の移動足場装置は、橋桁等の金属構造材に吸着さ
れるマグネツトと、このマグネツトにより吸着保
持されフランジ部を有する長尺のガイドレール
と、このガイドレールのフランジ部に係合して転
動する車輪を有する台車と、この台車に支持され
る足場枠と、この足場枠に支持される作業用足場
板とを具備する構成とし、鋼橋や鋼柱建造物等の
金属構造物に足場を架設する際に金属構造物側に
マグネツトを介してガイドレールを取付け、この
ガイドレールにそつて台車を介し足場を移動させ
るようにしたので、金属構造物側に各種障害物が
存在してもこれに災いされることなく足場を移動
させることができ、障害物回避のための足場の掛
け替えが不要となつて作業能率を大幅に向上させ
ることができる。また鋼桁自体に台車を係合させ
ることがないので、これらの塗装面を損傷するこ
とがなく、しかもガイドレールの支持はマグネツ
トによるので、取付け取外し作業が容易かつ迅速
にでき、この点からも作業能率の向上を図ること
ができる優れた効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明を橋に適用した場合の一実施例
を示す斜視図、第２図は同略示側面図、第３図は
同足場部分の一部切欠側面図、第４図は第３図の
−線断面図、第５図および第６図は適用鋼桁
の例示図、第７図は第５図および第６図のＡ部の
拡大断面図、第８図は本発明において使用するマ
グネツトの一例を示す半部の説明図、第９図は本
発明を縦部材に適用した場合の一実施例を示す正
面図、第１０図は同側面図、第１１図は第１０図
のＢ部の拡大図、第１２図は同水平断面図であ
る。 １……鋼桁、３……マグネツト、３Ａ……分極
材、３Ｂ……磁極、３Ｃ……永久磁石体、４，
４′……ガイドレール、５，５′……台車、５Ａ…
…台車本体、６……足場（吊足場）、８，８′……
車輪、９，９′……受けローラ、１０……吊杆、
１２……横杆、１４……足場板、１５……縦部
材、１６……ラツク。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 橋桁等の金属構造材に吸着されるマグネツト
   と、このマグネツトにより吸着保持されフランジ
   部を有する長尺のガイドレールと、このガイドレ
   ールのフランジ部に係合して転動する車輪を有す
   る台車と、この台車に支持される足場枠と、この
   足場枠に支持される作業用足場板とを具備するこ
   とを特徴とする金属構造物の移動足場装置。