JPH059522B2 - - Google Patents

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JPH059522B2
JPH059522B2 JP59089499A JP8949984A JPH059522B2 JP H059522 B2 JPH059522 B2 JP H059522B2 JP 59089499 A JP59089499 A JP 59089499A JP 8949984 A JP8949984 A JP 8949984A JP H059522 B2 JPH059522 B2 JP H059522B2
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vinylidene fluoride
film
temperature
fluoride resin
split
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Takeya Mizuno
Kakichi Teramoto
Naohiro Murayama
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Kureha Corp
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Kureha Corp
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Publication date
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Priority to EP19850303186 priority patent/EP0161889B1/en
Priority to US06/732,432 priority patent/US4592949A/en
Priority to CA000480778A priority patent/CA1243159A/en
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  • Spinning Methods And Devices For Manufacturing Artificial Fibers (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 技術分野 本発明は弗化ビニリデン系樹脂からなるスプリ
ツト糸、その製造方法並びに前記スプリツト糸を
用いたフイルターに関する。
背景技術 弗化ビニリデン系樹脂において連続繊維からで
きている糸、即ち、フイラメント糸は工業化まで
なされているが、ステープル状の繊維からできて
いる糸即ち、スプリツト糸は未だ工業的に得られ
ていない。
弗化ビニリデン系樹脂に限らず、多くの樹脂に
おいて、スプリツト糸は得られにくい。今迄知ら
れているスプリツト糸としては、ポリプロピレン
を10倍前後の高い延伸倍率で冷延伸した後、割裂
する方法により得られていたものとしてポリプロ
ピレン糸があるが、これと同様の方法では他の樹
脂からはスプリツト糸が得られていない。その原
因は、ポリプロピレンは、高い結晶化度を有し、
且つ分子間凝集力が弱いため割裂しやすく、上記
方法が適用しやすいことによるものと考えられて
いる。
したがつて、ポリプロピレンに較べて、結晶化
度が低く分子間凝集力の大きい弗化ビニリデン系
樹脂においては、上記のような割裂法を用いても
スプリツト糸を得ることは難しいと考えられてい
たのである。
しかしながら、弗化ビニリデン系樹脂は、極性
ポリマーであり、またその耐候性、耐薬品性等の
性質も、ポリプロピレンに比べて、本質的に優れ
た面を持つているため、その帯電したスプリツト
糸が得られれば、例えばフイルター等として有用
な機能性材料となることが期待される。
発明の目的 本発明の主要な目的は、この様な現状から、弗
化ビニリデン系樹脂からなる帯電したスプリツト
糸、その製造方法ならびに該スプリツト糸を使用
したフイルターを提供することにある。
発明の概要 本発明者等の研究によれば、適当な分子量を有
する弗化ビニリデン系樹脂を適当な条件で処理す
れば、帯電した弗化ビニリデン系樹脂スプリツト
糸が得られること、ならびにこのようにして得ら
れた弗化ビニリデン系樹脂スプリツト糸は、特徴
的な結晶融点ならびに結晶寸法を有し、またその
表面電荷の安定性の故に除塵性に優れ有用なフイ
ルター材料となることを見出した。
本発明の弗化ビニリデン系樹脂スプリツト糸
は、このような知見に基づくものであり、より詳
しくは、下記(イ)〜(ハ)の要件を満たすことを特徴と
するものである。
(イ) 差動走査型熱量計で10℃/分の昇温速度で窒
素雰囲気中で昇温したときに約182℃以上に結
晶融点を有すること、 (ロ) 平均結晶幅サイズが200Å程度以上である結
晶からなること、および (ハ) 表面電荷を有すること。
また本発明の弗化ビニリデン系樹脂スプリツト
糸の製造方法は、下記(イ)〜(ホ)の工程を包含するこ
とを特徴とするものである。
(イ) 溶剤をジメチルアセトアミドとし、濃度を
0.4g/dlとし、濃度を30℃とする条件下での
インヒヤレントビスコシテイが0.8〜1.4dl/g
である弗化ビニリデン系樹脂をシート又はチユ
ーブ状に溶融押出する工程、 (ロ) 溶融押出状態でドラフト延伸しながら冷却固
化して複屈折率が25×10-3以上を有するフイル
ムとする工程、 (ハ) 上記フイルムを80〜180℃の温度で熱処理す
る工程、 (ニ) 上記工程(ロ)の後から工程(ハ)の後の、いずれか
の時点において、弗化ビニリデン系樹脂を構成
する主たる樹脂のガラス転移温度以上、融点未
満の温度で上記フイルムに電圧を印加する工
程、および (ホ) 上記フイルムを割裂処理する工程。
更に、本発明のフイルターは、上記弗化ビニリ
デン系樹脂スプリツト糸の集体からなることを特
徴とするものである。
以下、本発明を更に詳細に説明する。
発明の具体的説明 本発明において、「弗化ビニリデン系樹脂」と
は、弗化ビニリデンホモポリマーおよび、構成単
位として弗化ビニリデンを70モル%以上と、これ
と共重合可能な単量体の1種若しくは2種以上か
らなる共重合体、ならびに、これらの少なくとも
1種を80重量%以上含有する弗化ビニリデン系樹
脂組成物を包含するものとする。
組成物を構成する弗化ビニリデンの単独または
共重合体以外の成分としては、他のポリマー、可
塑剤、加工助剤、紫外線吸収剤等の添加物が挙げ
られ、他のポリマーの例としてはポリマー中にポ
リエチレン、ポリプロピレン、ポリ酢酸ビニル、
ポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリ
レート、ポリスチレン、脂肪酸ポリエステル、芳
香族ポリエステル、ポリアミド、弗化ビニリデン
を除く弗素系ポリマー等が挙げられる。
本発明においては、上記した弗化ビニリデン系
樹脂の中でも、弗化ビニリデンホモポリマー、あ
るいは構成単位として弗化ビニリデンを70モル%
以上、特に80モル%以上含む弗化ビニリデンとパ
ーフロロオレフインとの共重合体、特に弗化ビニ
リデンと四弗化エチレンとの共重合体が好ましく
用いられる。
本発明の弗化ビニリデン系樹脂スプリツト糸
は、主としてその製造過程におけるドラフト後の
状態において決定されるものであるが、差動走査
型熱量計(DSC)により10℃/分の昇温速度で
窒素雰囲気中で昇温したとき、約182℃以上の融
点を有する。ここで結晶融点とはDSCの吸熱ピ
ークを指す。
中でもDSCの吸熱面積中において、182℃以上
の融解吸熱ピークに基づく吸熱面積の占める比率
が大きい樹脂程、スプリツト糸になりやすい。例
えばフイルムを割裂してスプリツト糸とする場合
には割裂しやすくなり、またヤング率が大きい糸
となる。したがつてDSCの吸熱面積中において、
約182℃以上の融解吸熱ピークに基づく吸熱面積
を占める比率は、好ましくは20%以上、より好ま
しくは50%以上、より一層好ましくは80%以上と
するものが用いられる。
また同様の理由により、より高温に結晶融点を
有しているのが好ましく、好ましくは185℃以上
に、より一層好ましくは190℃以上に結晶融点を
有するものが用いられる。しかもDSC測定チヤ
ートの吸熱面積中において、上記温度以上の融解
吸熱ピークに基づく吸熱面積の占める割合が多い
程好ましく、その比率が上記182℃以上に就いて
述べた場合と同様であることが一層好ましい。
尚、上記で説明したDSC測定チヤートの吸熱
面積を求める際のベースラインは以下のようにし
て求める。
まず、測定サンプルをすでに述べた測定条件で
220℃まで昇温し、結晶の融解曲線を求める。こ
の時、続けて220℃で30秒間その温度で保持した
後、10℃/分で降温して、結晶化させ室温まで冷
却する。このようにして得られた溶融再結晶化物
を、再度同一条件で昇温して結晶融解曲線を求め
る。得られた結晶融解曲線の最初の結晶融解終了
点、即ち発熱ピークが終了した点(Tmid)を求
める(後述の実施例について求めた第1図を参
照)。
測定サンプルの融解曲線の融解ピークをこの点
Tmidで分割し、一方融解曲線の最高温側および
最低温側で熱収支のない両端(Tmax、および
Tmin)をそれぞれ点Tmidと結びベースライン
とする。
なお、熱収支のない両端は、試料を含まない状
態で、その他の条件は全て同じとして得られる
DSC測定チヤートを重ね合わせることによつて
その位置を決定する。
また、本発明スプリツト糸は、平均結晶幅サイ
ズが200Å程度以上である結晶からなり、通常250
〜350Å程度である。ここで平均結晶幅サイズは
X線回折により求められる。即ち、スプリツト糸
の集体をおおよそドラフト方向に揃えて、非晶性
の接着剤でフイルム状に固めたものを試料とす
る。この試料のドラフト方向を上下方向にして、
フイルム表面で水平方向でのX線の反射強度、す
なわち回折強度をチヤート上に記録する。得られ
たチヤートから平均結晶幅サイズを求めるにあた
り、(110)面の回折ピークに着目する。すなわち
(110)面の回折強度をチヤート上に読み取り、そ
のピークの半価幅を求める。一方シリコーン単結
晶粉末を用いて、測定条件下での、機械的拡がり
(すなわち、測定機械に固有の回折ピークの拡が
り)を求める。測定試料の半価幅値から機械的拡
がりの半価幅値を引いた値を、試料の真の半価幅
値(βw(ラジアン))とする。この真の半価幅値
を用いシエラーの式 L=k・λ/βw・cosθ から結晶幅(L)を求める。
ここで、θは測定した回折面(すなわち(110)
面)のブラツグの反射角、kは定数(=1.0)、さ
らにλはX線のCukαの波長(1.542Å)である。
(このような測定法の詳細については、例えば
「X線結晶学の基礎」平林、岩崎共訳、丸善(昭
和48年8月30日発行)の569頁参照)。なお、本明
細書における測定値は、理学電気製X線回折装置
を用い、電圧−電流は40KV−20mAで、スリツ
ト系は、ダイバージエンススリツト1゜、レシービ
ングスリツト0.3mmφ、スキヤツタスリツト1゜の
条件であり、スキヤニングスピードは2θが1゜/
分、の条件で求めたものである。また、X線は
Niフイルターで単色化した。
また本発明のスプリツト糸は、一般に公知のポ
リプロピレンスプリツト糸と比べ、よりヤング率
の大きいスプリツト糸として得られる。これは今
迄知られているポリ弗化ビニリデンフイラメント
のヤング率がポリプロピレンフイラメントのヤン
グ率に比べ小さいことと比較して驚くべきことで
ある。また従来の弗化ビニリデン系樹脂と共通し
ている点ではあるが、本発明のスプリツト糸は耐
候性、耐薬品性に優れるという、ポリプロピレン
スプリツト糸にはない、優れた特徴を有する。
本発明のスプリツト糸は表面電荷を有する。こ
こでスプリツト糸において表面電荷を有するとは
単に、一時的に表面電荷を有するという意ではな
く、半永久的に表面電荷を有するという意に用い
ている。具体的には表面電荷の有無は、スプリツ
ト糸を織布又は不織布の布状(大きさは10cm×10
cm)にし、23℃、50%湿度下で24時間保つた後、
その条件下で回転セクター型表面電位計で測定し
た個数5個の表面電位の相加平均値が1V以上を
保持しているか否かで識別することができる。
この様な表面電荷を有する弗化ビニリデン系樹
脂のスプリツト糸は、表面電荷を有するポリプロ
ピレンスプリツト糸と比べ、表面電荷に基づく除
塵効果に優れ、空気中の塵、煙草の煙等のフイル
タターに特に好適に用いられる。但し、フイルタ
ーとしては上記の様なエアーフイルターに限られ
るものでない。即ち被処理物は空気のみに限られ
ず、処理時においてガス状、ミスト状を呈するす
べての流体、中でも気体に好ましく応用すること
ができるほか、非極性液体でもよい。
このような本発明の表面電荷を有する弗化ビニ
リデン系樹脂スプリツト糸は、たとえば次の様な
方法で得られる。
すなわち、まず、濃度が0.4g/dlであるジメ
チルアセトアミド中溶液の、濃度30℃の条件下で
のインヒヤレントビスコシテイが0.85〜1.4dl/
gである弗化ビニリデン系樹脂を、シート又はチ
ユーブ状に溶融押出する。インヒヤレントビスコ
シテイがこの範囲より小さいと後述のドラフトの
際に太さのむらができ易く、実質上高ドラフト率
が得られにくくなり、機械的強度の低下を招く。
また、インヒヤレントビスコシテイがこの範囲よ
り大きいと成形加工が困難となり、高温で成形し
たときには熱分解し易くなる。好ましくは上記基
準でのインヒヤレントビスコシテイが0.9〜1.3
dl/g、より好ましくは1.0〜1.2dl/gであるも
のが用いられる。
押出方法としてはT−ダイ法、インフレーシヨ
ン等の公知方法が採用される。好ましくは円形の
インフレーシヨンダイで押出した後、インフレー
シヨン法でフイルムを作成する方法が採用され
る。その理由は、T−ダイ法では幅収縮が大きい
ため、引き続いて高ドラフトをかけた場合にフイ
ルムの両端は配向が不十分となり、好ましくない
からである。
溶融押出後、その状態で高いドラフト率でドラ
フト延伸しながら冷却固化してフイルムとする。
その際のドラフト率は、冷却固化後のフイルムの
複屈折率が25×10-3以上となるように選択する。
この点を若干詳しく説明すると、弗化ビニリデ
ン系樹脂を溶融押出後、弗化ビニリデン系樹脂を
構成する主たる樹脂の最大結晶化速度を示す温度
(以下「最大結晶化速度温度」と略する)以下の
雰囲気温度及び最大結晶化速度温度以下のピンチ
ロール温度でフイルムを巻取る際に、あるドラフ
ト率以上の高ドラフト率で巻取ると、高分子配向
したフイルムが得られる。この際、樹脂の溶融粘
度、雰囲気温度、冷却風量等によつてドラフト率
は異なるが、得られたフイルムの複屈折率Δnが
約25×10-3程度以上になるように高ドラフト率で
巻取つたフイルムは、それ以下の複屈折率を有す
るフイルムとは異なり、182℃以上の高融点の結
晶を有し、第2図にその例を示す様にヤング率も
急激に増加する。(なお、第2図はインヒヤレン
トビスコシテイが1.1dl/gの弗化ビニリデンホ
モポリマーを、ダイス温度240℃、ダイの直径50
mmφ、リツプクリアランス2mmの円形ダイより押
出し、ブローアツプ比1.2で種々巻取り速度で巻
取つてたフイルムのΔnとヤング率との関係を示
したものである)。このように高融点結晶を有し、
ヤング率が急激に増加し始めるドラフト率以上に
ドラフト率を大きくして巻取ることを、ここでは
ドラフト延伸という。
適当なドラフト率は樹脂の溶融粘度に依存する
が、通常50〜5000程度である。樹脂の溶融粘度が
小さいときにはドラフト率は相対的に大きい値に
しないと、冷却固化後の複屈折率を25×10-3以上
とすることができない。好ましくはこの複屈折率
が30×10-3以上となる様に、より好ましくは、35
×10-3以上となる様にドラフト率を選ぶ。それに
より後述の割裂処理が容易となるからである。
インフレーシヨン法による場合にはドラフト率
と共に幅方向への延伸倍率であるブローアツプ比
も適宜選択され、通常は0.7〜2.5の範囲が採用さ
れ、好ましくは0.8〜1.5の範囲が採用される。
冷却固化するには公知の方法が採用されるが、
たとえばインフレーシヨン法であれば上向きに押
出して空気で冷却して巻取る方法でもよいし、下
向きに押出し、代表的には水の如き冷媒で冷却す
る。
このようにして得られたフイルムを80〜180℃
の温度で熱処理する。
この熱処理は結晶化を促進するために行なうの
であり、弗化ビニリデン系樹脂を構成する主たる
樹脂の最大結晶化速度温度前後で行なうのが効率
的である。したがつて、好ましくは最大結晶化速
度温度より60℃下廻らず且つ最大結晶化速度温度
より60℃上廻らない温度、より一層好ましくは最
大結晶化速度温度より40℃下廻らず且つ最大結晶
化速度温度より40℃上廻らない温度でなされる。
熱処理の時間は長い程好ましいが、通常は最大
結晶化速度温度で少なくとも2時間程度なされ、
より好ましくは、24時間以上なされる。
冷延伸フイルムの様に熱処理の際、定長状態に
フイルムをおく必要はないが、定長状態が望まし
い。この様な熱処理により、フイルムを構成する
弗化ビニリデン系樹脂の結晶構造はα型構造を主
とした構造から、γ型構造を主とした構造に転移
する。
熱処理後、または熱処理と共にフイルムを冷延
伸し、結晶構造をβ型構造を主とするものに転移
することが好ましい。それにより、より高弾性の
フイルムとなり、スプリツト糸になり易くなるた
めである。
この際の延伸倍率は1.1〜5.0倍程度である。
前記ドラフト延伸冷却固化工程後であつて、熱
処理工程後までのいずれかの段階、即ち、熱処理
工程の前、熱処理工程と同時、中途若しくは後
に、弗化ビニリデン系樹脂を構成する主たる樹脂
のガラス転移温度以上、融点未満の温度で上記フ
イルムに、電圧を印加する。電圧は、通常、フイ
ルムの厚さ方向に、50KV/cm以上、絶縁破壊強
度未満の大きさで印加される。この様な電圧印加
は得られるスプリツト糸に表面電荷を付与させる
ことにある。したがつてフイルム中の結晶化の進
行過程と共に電圧印加しても結晶化がほぼ完了し
た後に電圧印加しても良いが、効率的には後者、
即ち熱処理工程後或は熱処理工程の中途から行な
うのが良い。但し、スプリツト糸になつてから、
電圧印加を行なうのは、糸と糸との隙間に存在す
る空気の耐電圧が低く、高電圧が印加できないの
で、効果的な電荷付与には向かない。
電圧印加される温度は弗化ビニリデン系樹脂を
構成する主たる樹脂のガラス転移温度を下限と
し、上限を融点未満とする範囲で行ない得るが好
ましくは室温から150℃の範囲であり、より好ま
しくは室温から120℃の範囲である。電圧印加方
法はフイルムとフイルムの両面に電極が密着した
状態で印加する方法あるいは若干離れた状態で印
加する方法、即ちコロナ処理いずれでもよいが、
フイルムに連続的に電圧印加する場合にはコロナ
処理の方が好ましい。いずれの方法でも印加時間
は通常数秒〜数10分で十分である。印加時間は長
くても差しつかえないが、生産性が低下するの
で、上記範囲が好適に用いられる。
このようにして得られたフイルムは割裂されて
例えば平均径が短辺が1〜10μm、長辺が2〜
100μmの短形断面を有するスプリツト糸とされ
る。
フイルムの割裂は、例えば特開昭58−180621号
に開示されている様な植針ロールを用い、これを
フイルムの移送方向に沿つて回転接触させること
によりなされる。
得られたスプリツト糸を、流体の清浄化に適し
た織布もしくは不織布等の布状体あるいは流路に
充填する詰物等の集体として形成することによ
り、本発明のフイルターが得られる。
発明の効果 以上、詳細に説明したように、本発明によれ
ば、適当な分子量を有する弗化ビニリデン系樹脂
を特定の工程結合により処理することにより、従
来は不可能であつた弗化ビニリデン系樹脂スプリ
ツト糸が得られ、しかもかくして得られた表面電
荷を有するスプリツト糸は、従来得られていたほ
ぼ唯一の合成樹脂スプリツト糸であるポリプロピ
レンスプリツト糸に比べて耐候性、耐薬品性等の
化学的性質が優れるだけでなく、よりヤング率の
大なるスプリツト糸となる。また弗化ビニリデン
系樹脂自体が極性ポリマーであるため、スプリツ
ト糸上には表面電荷が極めて安定に保持され、空
気をはじめとする各種流体中の微細荷電粒子の除
去効果の優れたフイルターが形成される。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明
する。
実施例 1 25℃での懸濁重合で得られたインヒアレントビ
スコシテイが1.15dl/g(但し、ジメチルホルム
アミドを溶媒とし、30℃、0.4g/dlの濃度で測
定)の弗化ビニリデンホモポリマーを50mmφ、リ
ツプクリアランス3.0mmの円形ダイを有する押出
機により、押出温度240℃、押出量60g/分の条
件で上向きに押出した。
ダイから上方約10cmに取付けられたエアーリン
グから、風量0.01m3/分で空気冷却しながらブロ
ーアツプ比1.5、巻取り速度50m/分でインフレ
ーシヨンした。したがつて、ドラフト率(R1
は670であり、得られたフイルムの複屈折率は36
×10-3であつた。
このようにして、インフレーシヨンされたフイ
ルムを紙管に巻取り、そのままの状態で90℃、2
日間ギヤーオブン中で熱処理した。
また、X線回折から求めた結晶の平均幅サイズ
は320Åであつた。さらにDSCで窒素雰囲気中で
10℃/分の昇温速度で結晶の融解挙動を見た時、
第1図に示す通り、結晶点は175℃と195℃にダブ
ルピークを示し、195℃の融解吸熱ピークに基づ
く吸熱面積の占める比率は約50%であつた。
このフイルムをさらに150℃で1.3倍延伸した。
このフイルムを上下面とも針状電極を有するコ
ロナ分極処理装置で針先端とフイルムとの間隔を
約5mmとして1.5KVの電圧をかけて0.5m/分の
フイルム走行速度でコロナ分極処理を行なつた。
この延伸ならびにコロナ処理したフイルムを植
針型割裂装置で割裂処理した結果、微細化された
平均短辺3μm、平均長辺15μmの短形断面を有し、
平均長20cmのスリツト糸が得られた。
実施例 2 実施例1の方法で得られたスプリツト糸を用い
て0.05g/cm2の不織布を形成し、30mmφ、長さ20
cmのガラスチユーブの中間に、この膜状物をはさ
んで、一方から市販の家庭用旋風機を30cm離して
風とともにタバコの煙を送つた。膜を境として他
方のガラスチユーブ中ではタバコの煙はほとんど
認められなかつた。
比較例 平均短辺3μm、平均長辺が15μmの短形断面で
あり、平均長20cmのアイソタクチツクプロピレン
スプリツト糸を0.05g/cm2の不織布化したフイル
ターを用いた他は、実施例2と同様に行なつたと
ころ、タバコの煙は若干稀釈された程度に止ま
り、本発明の弗化ビニリデン系樹脂スプリツト糸
を用いた場合とは明らかに差が認められた。
【図面の簡単な説明】
第1図は差動走査型熱量計での融解曲線の例で
あり、第2図はドラフト延伸を説明するためのヤ
ング率と複屈折等の関係を示すグラフである。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 下記(イ)〜(ハ)の要件を満たすことを特徴とする
    弗化ビニリデン系樹脂スプリツト糸。 (イ) 差動走査型熱量計で10℃/分の昇温速度で窒
    素雰囲気中で昇温したときに約182℃以上に結
    晶融点を有すること、 (ロ) 平均結晶幅サイズが200Å程度以上である結
    晶からなること、および (ハ) 表面電荷を有すること。 2 下記(イ)〜(ホ)の工程を包含すことを特徴とする
    弗化ビニリデン系樹脂スプリツト糸の製造方法。 (イ) 溶剤をジメチルアセトアミドとし、濃度を
    0.4g/dlとし、温度を30℃とする条件下での
    インヒヤレントビスコシテイが0.8〜1.4dl/g
    である弗化ビニリデン系樹脂をシート又はチユ
    ーブ状に溶融押出する工程、 (ロ) 溶融押出状態でドラフト延伸しながら冷却固
    化して複屈折率が25×10-3以上を有するフイル
    ムとする工程、 (ハ) 上記フイルムを80〜180℃の温度で熱処理す
    る工程、 (ニ) 上記工程(ロ)の後から工程(ハ)の後の、いずれか
    の時点において、弗化ビニリデン系樹脂を構成
    する主たる樹脂のガラス転移温度以上、融点未
    満の温度で上記フイルムに電圧を印加する工
    程、および (ホ) 上記フイルムを割裂処理する工程。 3 下記(イ)〜(ハ)の要件を満たす弗化ビニリデン系
    樹脂スプリツト糸の集体からなることを特徴とす
    るフイルター。 (イ) 差動走査型熱量計で10℃/分の昇温速度で窒
    素雰囲気中で昇温したとき約182℃以上に結晶
    融点を有すること、 (ロ) 平均結晶幅サイズが200Å程度以上である結
    晶からなること、および (ハ) 表面電荷を有すること。
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