JPH058888Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 《産業上の利用分野》 本考案はコンパクト容器に関するもので、具体
的には容器本体の後部に蓋体を開閉自在に結合す
るとともに前方部において容器本体と蓋体が係合
して閉止位置を占めるような構成とし、容器本体
の前方に切欠凹所を設けてこの切欠凹所にプツシ
ユピースを配設し、このプツシユピースを後方に
押圧することにより容器本体と蓋体の係合が解除
されるようなコンパクト容器に関するものであ
る。

《従来の技術》 従来、この種のコンパクト容器ではプツシユピ
ースに下方後部へ向けて漸次降下した傾斜面を形
成し、この傾斜面に蓋体から垂下した爪片が当接
するようにし、蓋体の閉止位置よりプツシユピー
スを後方へ押圧すると前記傾斜面の垂直分力が爪
片に作用して蓋体を押し上げて開放するようにし
たもの、あるいはプツシユピースの押圧用前壁や
底板から爪片の下端または蓋体の下面に延出する
作動片を設けて、蓋体の閉止位置よりこのプツシ
ユピースを押圧すると前記作動片が上方へ屈曲回
動しながら爪片または蓋体を押し上げて開放する
ようにしたものが公知となつている。

《考案が解決しようとする課題》 しかし、上記のような従来の技術によると、コ
ンパクト容器のデザインによつては前者ではプツ
シユピースの押しのストロークと傾斜面の高さ
が、また後者では作動片の長さが制約を受け、こ
れによつて蓋体の開放角度が限られることにな
る。従つてプツシユピースは蓋体と容器本体との
係合を解除するだけに止まり、その後蓋体の前端
に指をかけて蓋体を所望の角度まで開放する操作
のためには不便な点があつた。

本考案は上記のような問題点に鑑みてなされ、
その目的は蓋体の係止の解除と同時に蓋体が従来
より大きく開放されるような蓋体の開放操作性に
優れたコンパクト容器を提供するにある。

《課題を解決するための手段》 上記の目的を達成するため、本考案では容器本
体の後部に蓋体を開閉自在に結合するとともに前
方部において該容器本体と該蓋体が係合して閉止
位置を占めるようなコンパクト容器において、該
容器本体の前方に切欠凹所を形成し、該切欠凹所
には押圧用前壁を有するプツシユピースを前後方
向に移動可能に配設し、該前壁後面の上部には第
１の作動片を屈曲可能に結合するとともにその下
方に第２の作動片を屈曲可能に結合し、該蓋体の
閉止時には該第１の作動片の上面を蓋体の内側に
当接または近接させ、該第２の作動片を該第１の
作動片に当接または近接させて該プツシユピース
を後方に押圧すると該第２の作動片が屈曲上昇し
て該第１の作動片を押し上げるとともに該第１の
作動片が屈曲上昇して該蓋体を上昇させるように
してなるのである。

《実施例》 以下に本考案の好適実施例について添附図面を
参照にして説明する。

第１図〜第４図は本考案の第１実施例を示した
ものであつて図中の符号１は容器本体を示し、容
器本体１の上面には化粧料等を収納するための凹
部２が設けられている。この容器本体１の後端部
には蓋体３がピン４を介して開閉自在に枢着され
ている。蓋体３はその内側に鏡を接着してなり前
端中央内側部からは爪片５が垂設され、爪片５の
後面には第１の係合突起６が一体的に形成されて
いる。この爪片５に対応して容器本体１の前端縁
中央部には切欠凹所７が設けられるとともにこの
切欠凹所７の奥面上部には第２の係合突起８が一
体的に形成されていて、蓋体３を閉じると爪片５
が切欠凹所７に入り、第１の係合突起６と第２の
係合突起８が係合して閉止位置を占めるようにな
つている。

また、上記切欠凹所７の奥面において、下方は
前方に若干突出して形成されていて、さらに、奥
面下部は後方へ水平に穿設されて、ここに挿通孔
９が形成されている。

そして、この切欠凹所７にはプツシユピース１
１が配設され、プツシユピース１１の案内底板１
２は挿通孔９に前後方向に摺動可能なように挿通
され、案内底板１２の下面に形成された下方突部
１３は底面に形成されている開口部１０に前後方
向に摺動可能に嵌合され、プツシユピース１１は
切欠凹所７の前後方向に移動可能となつている。

本考案ではプツシユピース１１はヒンジ特性を
有するプラスチツク等から形成され第４図に示す
ように切欠凹所７の前面を覆うような押圧用前壁
１４と押圧用前壁下端より二又状になつて後方へ
水平に延出する案内底板１２および押圧用前壁１
４の上端より第１のヒンジ部１５を介して後方へ
水平に延出する第１の作動片１６と二又状の案内
底板１２の間に押圧用前壁１４の下端から第２の
ヒンジ部１７を介して後方かつ上方へ延出する第
２の作動片１８より成つている。この第２の作動
片１８は先端になるにしたがつて漸次肉厚となる
ように形成されている。また第１の作動片１６の
先端は凹状に切欠されていてその間隔は爪片５の
横幅よりも広いものとなつている。

そして、第１図および第２図に示すように、蓋
体３の閉止位置においてプツシユピース１１の第
１の作動片１６の上面は蓋体３の内側に近接さ
れ、第２の作動片１８の上面先端は第１の作動片
１６の下面に、下面先端は切欠凹所７の奥面に当
接されている。また、案内底板１２の下方突部１
３は切欠凹所７の底面の開口部１０の前端に係止
されて、これによつてプツシユピース１１は切欠
凹所７より離脱しないようになつている。

使用に際して前記のような蓋体３の閉止位置よ
り、プツシユピース１１の押圧用前壁１４を後方
に押圧すると切欠凹所７の奥面によつて第２の作
動片１８に前方向への力が作用し、第２のヒンジ
部１７より屈曲し、その下面先端は切欠凹所７の
奥面に沿つて上昇し、上面先端は第１の作動片１
６の下面に沿つて前方へ移動しながら上昇し、第
１の作動片１６を押し上げるようになる。そして
第１の作動片１６は第１のヒンジ部１５を支点と
して上方に回動し、その先端部が蓋体３を押し上
げて、第２の係合突起６を爪片５に形成された第
１の係合突起８が乗り越えて係合が解除されると
ともに蓋体３が開放されるようになる。

第５図および第６図は本考案の第２実施例に係
るコンパクト容器を示している。この実施例は第
１実施例とほぼ同様の構成のコンパクト容器であ
り、切欠凹所７に配設されているプツシユピース
１１ａは第１実施例と同様に案内底板１２ａと押
圧用前壁１４と第１の作動片１６および第２の作
動片１８ａより成るが、第６図に示すように第２
の作動片１８ａは第１実施例と異り押圧用前壁１
４の下端より二又状となつており、この間に案内
底板１２ａが設けられている。また、第２の作動
片１８ａの肉厚は薄く、先端までほぼ同じ厚さで
あつて、さらにこの第２の作動片１８ａは中央で
屈曲されて断面山形に形成され、その頂部屈曲部
１９は第１の作動片１６の下面に当接されてい
る。

また、切欠凹所７の奥面においては前記第１実
施例と異なり前方に突出形成されている箇所はな
く、中央部下方に板片２０が突出形成されてい
て、この下にプツシユピース１１ａの案内底板１
２ａが前後方向に摺動可能に挿通されている。

そして蓋体３の閉止位置においてはプツシユピ
ース１１ａの第２の作動片１８ａの先端が切欠凹
所７ａの奥面下端に当接されており、使用に際し
てこの閉止位置よりプツシユピースの押圧用前壁
を後方に押圧すると、図示はしないが、第２の作
動脚が切欠凹所の奥面と押圧用前壁面に挟まれて
屈曲し、その頂部屈曲部が第１の作動片を押し上
げ、これによつて第１実施例と同じように第１の
作動片が上方に回動して蓋体を押し上げ、閉止が
解除されるとともに蓋体が開放されるようにな
る。

第７図は本考案の第３実施例に係るコンパクト
容器を示し、この実施例では第１実施例と異なり
プツシユピース１１ｂにおける先端になるに従つ
て漸次肉厚となる第２の作動片１８ｂは中央よ
り、屈曲して断面略逆「く」字状に形成されてい
る。このプツシユピース１１ｂは第１実施例と同
様に切欠凹所７に前後方向に移動可能に配設さ
れ、蓋体３の閉止位置においては第２の作動片１
８ｂの上面先端は第１の作動片１６の下面に、下
面先端は押圧用前壁１４の後面に当接され、屈曲
部２１は切欠凹所７の奥面に当接されている。そ
して使用に際してこの閉止位置よりプツシユピー
スを後方に押圧すると、図示はしないが、切欠凹
所の奥面と押圧用前壁の後面に挟まれて第２の作
動片が屈曲し、その上面先端が第１の作動片を押
し上げ、第１実施例と同じように第１の作動片が
上方へ回動して蓋体を押し上げ閉止が解除される
とともに蓋体が開放されるようになる。

第８図〜第１０図は本考案の第４実施例に係る
コンパクト容器を示し、この実施例のプツシユピ
ース１１ｃでは、第９図に示すように第２の作動
片１８ｃの肉厚は薄く、先端までほぼ同じ厚さと
なつており、断面略逆「く」字状に屈曲形成され
ている。また、押圧用前壁１４の後面上方には後
方に突出して、突片２２が形成されている。そし
て、切欠凹所７には、このプツシユピース１１ｃ
が第１実施例と同様にして前後方向に移動可能に
配設され、蓋体３の閉止位置において、第８図に
示すように第２の作動片１８ｃの屈曲部２１ｃは
切欠凹所７の奥面に当接され、先端は第１の作動
片１６の下面に当接されている。また、前記突片
２２の先端は第２の作動片１８ｃの先端に近接し
た箇所に当接されている。この閉止位置よりプツ
シユピース１１ｃを後方に押圧すると、第１０図
に示すように第２の作動片１８ｃが屈曲されると
ともに、屈曲部２１ｃより上方は突片２２によつ
て後方に押圧されて屈曲部２１ｃを支点として屈
曲し、先端が第１の作動片１６を押し上げ第１実
施例と同様に第１の作動片１６が上方に回動し、
蓋体３の閉止が解除されるとともに蓋体３が開放
されるようになる。

なお、本考案では、プツシユピースは、ヒンジ
特性を有する可撓性のプラスチツク等の材質から
形成されているため、蓋体の開放操作時に第１の
ヒンジ部と第２のヒンジ部に変形反発力が蓄積さ
れ、また第２〜第４実施例においては更に第２の
作動片の屈曲部にも変形反発力が蓄積されるた
め、蓋体が開放される瞬間に上記変形反発力が第
１の作動片と蓋体に一挙に作用して、蓋体がはね
上げられるようにして上昇させられるようになつ
ている。また、第１の作動片を弾性を有する部材
として形成し、プツシユピースを後方に押圧した
時、第２の作動片によつて弾性変形されるように
し、この変形反発力によつて蓋体をさらに大きく
開放するようにすることができる。

《効果》 以上のように本考案によるコンパクト容器では
容器本体の前方に切欠凹所を設けて前後方向に移
動可能にプツシユピースを配設し、プツシユピー
スの押圧用前壁の後面上部に第１の作動片を屈曲
可能に設け、その下方には第２の作動片を屈曲可
能に設け、プツシユピースを後方へ押圧すると第
２の作動片が屈曲上昇して第１の作動片を押し上
げ、これによつて第１の作動片が屈曲上昇して蓋
体を押し上げるようになつているため、１つの作
動片の回動により蓋体の係合の解除と開放を行つ
ていた従来の技術にくらべて、蓋体の係合解除の
際、わずかにプツシユピースを押すだけで大きく
蓋体が開放されるようになる。

また、第２の作動片を山形に屈曲して形成する
ことにより、その屈曲部に変形反発力が蓄積して
プツシユピースを押圧した時、第１の作動片をは
ねあげるようにしてより大きく上昇させることが
できる。

また、第２の作動片を断面略逆「く」字状に形
成することにより、プツシユピースを押圧した
時、第２の作動片は屈曲してその上下方向の長さ
が長くなつて、より大きく第１の作動片を上昇さ
せることができる。さらに、この第２の作動片の
屈曲部より上方に押圧用前壁に形成された突片を
当接させてプツシユピースを押すと第２の作動片
が屈曲して上下方向の長さが長くなるとともに、
前記突片が第２の作動片の屈曲部より上方を後方
に押して屈曲させると、第２の作動片が上下方向
にさらに長くなるように屈曲し、これによつて第
１の作動片を第２の作動片がさらに大きく上昇さ
せることになり、従つて蓋体がより大きく開放さ
れるようになり、蓋体の開放操作性に優れたコン
パクト容器とすることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図乃至第４図は本考案の第１実施例に係る
コンパクト容器を示し、第１図は蓋体の閉止状態
を示す断面図、第２図は蓋体の閉止状態を示す係
合部拡大断面図、第３図はプツシユピースの斜視
図、第４図はプツシユピースを後方へ押圧して蓋
体の閉止を解除した時の係合部拡大断面図であ
り、第５図および第６図は本考案の第２実施例に
係るコンパクト容器を示し、第５図は蓋体の閉止
状態を示す係合部拡大断面、第６図はプツシユピ
ースの斜視図であり、第７図は本考案の第３実施
例に係るコンパクト容器の蓋体の閉止状態を示す
係合部拡大断面図、第８図乃至第１０図は本考案
の第４実施例に係るコンパクト容器を示し、第８
図は蓋体の閉止状態を示す係合部拡大断面図、第
９図はプツシユピースの斜視図、第１０図はプツ
シユピースを後方へ押圧して蓋体の閉止を解除し
た時の係合部拡大断面図である。 １……容器本体、３……蓋体、７……切欠凹
所、１１……プツシユピース、１４……押圧用前
壁、１６……第１の作動片、１８……第２の作動
片、１９……頂部屈曲部、２１……屈曲部、２２
……突片。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 容器本体の後部に蓋体を開閉自在に結合する
   とともに前方部において該容器本体と該蓋体が
   係合して閉止位置を占めるようなコンパクト容
   器において、該容器本体の前方に切欠凹所を形
   成し、該切欠凹所には押圧用前壁を有するプツ
   シユピースを前後方向に移動可能に配設し、該
   前壁後面の上部には第１の作動片を屈曲可能に
   結合するとともにその下方に第２の作動片を屈
   曲可能に結合し、該蓋体の閉止時には該第１の
   作動片の上面を蓋体の内側に当接または近接さ
   せ、該第２の作動片を該第１の作動片に当接ま
   たは近接させて該プツシユピースを後方に押圧
   すると該第２の作動片が屈曲上昇して該第１の
   作動片を押し上げるとともに該第１の作動片が
   屈曲上昇して該蓋体を上昇させるようにしてな
   ることを特徴とするコンパクト容器。 (2) 前記プツシユピースの前記第２の作動片を断
   面山形に屈曲して形成し、前記蓋体の閉止時に
   は該第２の作動片の頂部屈曲部を前記第１の作
   動片に当接または近接させるとともにその先端
   を前記切欠凹所の内奥部に当接させて該プツシ
   ユピースを後方に押圧すると該第２の作動片が
   屈曲して該頂部屈曲部が該第１の作動片を押し
   上げるようにしてなることを特徴とする請求項
   １記載のコンパクト容器。 (3) 前記プツシユピースの前記第２の作動片を断
   面略逆「く」字状に屈曲して形成し、前記蓋体
   の閉止時には該第２の作動片の屈曲部を前記切
   欠凹所の内奥側に位置させるとともにその上端
   部を前記第１の作動片に当接または近接させ
   て、該プツシユピースを後方に押圧すると該第
   ２の作動片が屈曲してその上端が該第１の作動
   片を押し上げるようにしてなることを特徴とす
   る請求項１記載のコンパクト容器。 (4) 前記プツシユピースの前記押圧用前壁の後面
   上方に後方に延出する突片を形成し、前記蓋体
   の閉止時には前記断面略逆「く」字状に形成さ
   れた第２の作動片の屈曲部より上方に該突片の
   先端を当接させて、該プツシユピースを後方に
   押圧すると該突片が該第２の作動片を押圧して
   該第２の作動片が屈曲されるようにしてなるこ
   とを特徴とする請求項３記載のコンパクト容
   器。