JPH0584292A - 人工血管とその製造方法 - Google Patents

人工血管とその製造方法

Info

Publication number
JPH0584292A
JPH0584292A JP27729191A JP27729191A JPH0584292A JP H0584292 A JPH0584292 A JP H0584292A JP 27729191 A JP27729191 A JP 27729191A JP 27729191 A JP27729191 A JP 27729191A JP H0584292 A JPH0584292 A JP H0584292A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
tube
fiber
blood vessel
fibers
artificial blood
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP27729191A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2814415B2 (ja
Inventor
Yasuhiro Okuda
泰弘 奥田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JINKOU KETSUKAN GIJUTSU KENKYU
JINKOU KETSUKAN GIJUTSU KENKYU CENTER KK
Original Assignee
JINKOU KETSUKAN GIJUTSU KENKYU
JINKOU KETSUKAN GIJUTSU KENKYU CENTER KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by JINKOU KETSUKAN GIJUTSU KENKYU, JINKOU KETSUKAN GIJUTSU KENKYU CENTER KK filed Critical JINKOU KETSUKAN GIJUTSU KENKYU
Priority to JP27729191A priority Critical patent/JP2814415B2/ja
Publication of JPH0584292A publication Critical patent/JPH0584292A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2814415B2 publication Critical patent/JP2814415B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Molding Of Porous Articles (AREA)
  • Materials For Medical Uses (AREA)
  • Prostheses (AREA)
  • Manufacture Of Porous Articles, And Recovery And Treatment Of Waste Products (AREA)
  • Extrusion Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)
  • Shaping By String And By Release Of Stress In Plastics And The Like (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 生体組織や毛細血管の侵入性に優れる長繊維
構造を有し、かつ、力学的特性にも優れた一体構造の延
伸PTFE製の人工血管を提供すること。 【構成】 繊維と該繊維によって互いに連結された結節
とからなる微細繊維状組織を有するポリテトラフルオロ
エチレン多孔質チューブからなり、繊維−結節構造が、
該チューブの内表面から外表面に至るまで繊維の長い部
分と繊維の短い部分の二つの部分から実質的に構成さ
れ、かつ、繊維の短い部分がチューブの周方向およびチ
ューブ内表面から外表面まで網目状に連続していること
を特徴とする人工血管、およびその製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、生体組織適合性に優れ
たポリテトラフルオロエチレン製人工血管およびその製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、人工血管として、ポリエステル繊
維編物や織物、ポリテトラフルオロエチレン(以下、P
TFEと略記)チューブが用いられてきた。中でも、延
伸PTFEチューブは、PTFE素材自体が抗血栓性に
優れ、また延伸によって得られる繊維−結節による多孔
質構造が生態組織適合性に優れているため、ポリエステ
ル繊維に比較して、より小口径の領域での人工血管とし
て実用化されてきた。しかしながら、延伸PTFEチュ
ーブでも抗血栓性が必ずしも十分であるとはいえず、特
に内径6mm以下の人工血管では十分な開存率は得られ
ていない。
【0003】人工血管の抗血栓性を改善する方法とし
て、(1)材料自体の抗血栓性を向上させる方法、
(2)人工血管を移植後に、生体組織を誘導し、内膜形
成を起こすことによって抗血栓性を付与する方法、など
が検討されている。しかしながら、(1)の方法におい
ては、相分離構造等の抗血栓性高分子材料や、抗血栓剤
固定化材料の開発が検討されているが、移植後長期にわ
たって良好な抗血栓性を示す材料は得られていない。
(2)の方法においては、移植後の内膜形成を促進する
ために、血管外部からの生体組織や毛細血管の侵入を促
進する方法についての検討がなされているのが現状であ
る。
【0004】従来より使用されてきた延伸PTFE製の
人工血管は、組織侵入性が悪く、移植後に内膜を形成さ
せることは不可能であった。これは、延伸PTFEの多
孔質構造における孔径が生体組織や毛細血管の侵入に対
して十分に大きくなく、物理的に組織が十分に侵入でき
ないことが原因である。したがって、この問題を解決す
るためには、多孔質構造の孔径を、生体組織の侵入に対
して十分に大きくする必要がある。延伸PTFEチュー
ブは、非常に細かい繊維とその繊維により互いに連結さ
れた結節から成る微細な繊維構造を有しているため、孔
径を大きくするためには、延伸率を大きくして繊維を長
くすれば良い。
【0005】しかしながら、延伸PTFEチューブにお
いては、延伸によって生じた微細繊維が延伸方向に強く
配向しているため、チューブの管軸方向の引張強度は高
いがチューブ周方向の強度が低く、管軸方向に裂け易い
という欠点を有している。このため、延伸率を上げて繊
維を長くすると、チューブの力学的特性が著しく低下
し、特に、生体を縫合する際に縫合針や縫合糸がチュー
ブを引き裂いてしまったり、さらに長繊維化するとチュ
ーブが管腔構造を保持できなくなり、人工血管としての
使用に耐えられなくなる。
【0006】延伸PTFEチューブを長繊維化した時の
力学的特性の低下を解決するための手段として、チュー
ブの壁厚を厚くしたり、チューブ外部をメッシュ等の補
強材で補強する方法などが考えられるが、前者の方法で
は、生体組織侵入性の低下をきたすという問題、後者の
方法では、補強材の剥離等の問題が生じる。
【0007】このため、従来の技術では、人工血管に用
いる延伸PTFEチューブの繊維−結節構造における繊
維の長繊維化には限界があり、組織侵入性に優れ、しか
も実用的に十分な力学的特性を有する人工血管を製造す
ることは不可能であった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、生体
組織や毛細血管の侵入性に優れる長繊維構造を有し、か
つ、力学的特性にも優れた一体構造の延伸PTFE製の
人工血管を提供することにある。
【0009】本発明者は、前記従来技術の有する問題点
を克服するために鋭意研究した結果、延伸PTFE多孔
質チューブの内表面と外表面の両面を燒結温度の327
℃以上の温度で加熱し、その際、外表面を内表面より5
0℃から300℃までの範囲の高い温度で加熱して、多
孔質チューブの内面と外面間に連続的に温度勾配を与え
ることにより、繊維−結節構造が、該チューブの内表面
から外表面に至るまで繊維の長い部分と繊維の短い部分
の二つの部分から実質的に構成され、かつ、繊維の短い
部分がチューブの周方向およびチューブ内表面から外表
面まで網目状に連続しているPTFE多孔質チューブの
得られることを見出した。
【0010】このPTFE多孔質チューブは、繊維−結
節構造における長繊維部分が生体組織成分や毛細血管が
人工血管外部からの侵入するために十分な繊維長を有
し、短繊維部分はチューブの周方向とチューブ管壁の厚
み方向に網目状に連続した構造をとることにより、強度
を維持する役割を果たす。したがって、生体組織や毛細
血管侵入性に優れ、しかも力学的特性にも優れた一体構
造の延伸PTFE製の人工血管が得られる。本発明は、
これらの知見に基づいて完成するに至ったものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】かくして、本発明によれ
ば、繊維と該繊維によって互いに連結された結節とから
なる微細繊維状組織を有するポリテトラフルオロエチレ
ン多孔質チューブからなり、繊維−結節構造が、該チュ
ーブの内表面から外表面に至るまで繊維の長い部分と繊
維の短い部分の二つの部分から実質的に構成され、か
つ、繊維の短い部分がチューブの周方向およびチューブ
内表面から外表面まで網目状に連続していることを特徴
とする人工血管が提供される。
【0012】また、本発明によれば、液状潤滑剤を含む
未燒結のポリテトラフルオロエチレン混和物を押出し成
形後に少なくとも一方向に延伸して得られる多孔質チュ
ーブの内表面と外表面の両面を燒結温度の327℃以上
の温度で加熱し、その際、外表面を内表面より50℃か
ら300℃までの範囲の高い温度で加熱して、多孔質チ
ューブの内面と外面間に連続的に温度勾配を与えること
を特徴とする人工血管の製造方法が提供される。
【0013】以下、本発明について詳述する。本発明が
対象とする延伸PTFE人工血管は、基本的には特公昭
42−13560号に記載の方法により製造される。本
発明の製造方法では、まずPTFE未燒結粉末に液状潤
滑剤を混和し、ラム式押出し機によってチューブ状に押
出す。このチューブから液状潤滑剤を除去し、あるいは
除去せずして、チューブを少なくとも管軸方向に延伸す
ると、繊維と該繊維によって互いに連結された結節とか
らなる微細繊維状組織を有するPTFE多孔質チューブ
が得られる。このPTFE多孔質チューブを、収縮しな
いように固定した状態で、327℃以上に加熱し、延伸
した状態を燒結すると、強度の向上した多孔質チューブ
が得られるが、本発明では、以下の操作を行なう点に特
徴を有する。
【0014】すなわち、多孔質チューブ両端を収縮しな
いように固定し、チューブの表内面と外表面の両面を燒
結温度の327℃以上で加熱するが、その際、外表面を
内表面より50℃から300℃、好ましくは100〜2
50℃までの範囲の高い温度で加熱して、多孔質チュー
ブの内面と外面間に連続的に温度勾配を与える。その結
果、多孔質チューブの内表面から外表面に至るまで繊維
−結節構造の再配列が起こり、処理前よりもさらに延伸
されて長繊維化した部分と、処理前より短繊維化した部
分が得られる。
【0015】PTFE多孔質チューブの内外両面を32
7℃以上に加熱し、かつ、両面に温度差を設ける方法と
しては、例えば、ステンレス鋼棒をチューブ内腔に挿入
し、該ステンレス鋼棒により内表面を加熱し、外表面に
は熱風を吹き付けることにより、両面を加熱するととも
に、内外面間に温度差を設けることができる。内表面温
度はPTFEが分解しないように500℃以下に制御す
ることが望ましい。
【0016】加熱時間は、加熱温度にもよるが、通常、
10〜200秒程度である。また、PTFE多孔質チュ
ーブの両面を327℃以上の温度で加熱しない場合、あ
るいは温度差を50〜300℃の範囲内に制御しない場
合には、長繊維と短繊維からなる前記特定の繊維−結節
構造を形成することができない。
【0017】図1は、本発明のPTFE多孔質チューブ
からなる人工血管の内表面における微細構造の略図であ
る。図2は、本発明のPTFE多孔質チューブからなる
人工血管の延伸方向の断面の微細構造の略図である。こ
れらの略図は、いずれもPTFDE多孔質チューブの顕
微鏡写真による観察結果に基づいて作成したものであ
る。1は長繊維部分、2は短繊維部分、3は結節を示
し、繊維の長手方向が延伸方向を示す。
【0018】ところで、特公昭58−1656号には、
延伸方向と垂直方向の強度特性に優れたPTFE多孔質
体を製造する方法が開示されている。該公報に記載の発
明においては、PTFE多孔質体の一部分、例えば、P
TFE多孔質チューブの外側を加熱することにより、各
結節間を結ぶ繊維が切断され、いくつかの結節がより集
まって、加熱面は最終的には数十μmから数mmの孔径
を有する網状の凹凸構造が形成され、その結果、微細繊
維状組織の配向が一方向に強い部分と該方向と垂直方向
に強い部分を有するPTFE多孔質チューブが得られる
というものである。
【0019】しかしながら、該公報に記載の方法では、
延伸PTFE多孔質体の一部分を加熱するため、該多孔
質体の一方の表面は327℃以上に加熱されるが、他方
の表面は327℃未満であるため、本発明におけるよう
な、PTFE多孔質チューブの内表面から外表面に至る
までの繊維−結節構造の再配列が起きることはなく、し
かも、長繊維部と短繊維部に分かれ、短繊維部分がチュ
ーブの周方向および厚み方向に編目状に連続する構造は
得られない。
【0020】本発明による人工血管においては、長繊維
部分は孔径が大きく気孔率も高いため、細胞等の生体組
織成分や毛細血管が物理的に通過しやすく、移植後速や
かにかつ大量に生体組織が血管壁外部より侵入すること
ができる。こうして速やかにかつ大量に侵入した組織
は、長期にわたって安定な内膜を形成せしめることがで
きるため、本発明による人工血管では、移植後長期間に
わたって良好な開存特性を得ることができる。速やかに
生体組織を侵入せしめるためには、長繊維部分の平均繊
維長は60μm以上であることが必要であるが、好まし
くは100μm以上、より好ましくは150μm以上で
ある。
【0021】短繊維で構成される部分は、結節の密度が
高いため強度特性に優れているが、さらに、短繊維部分
がチューブ周方向および管壁の内表面から外表面まで網
目状に連続した構造をとることによって、上述のような
長繊維構造の部分を有していても、チューブとしての構
造を維持し、かつ縫合時に必要な引裂強度や引張強度を
付与することができる。短繊維部分の繊維長は、20μ
m以下であることが好ましい。
【0022】以上のような長繊維・短繊維構造を有する
延伸PTFE多孔質チューブは、従来の延伸PTFE多
孔質チューブに比べて柔軟性に富んでおり、コンプライ
アンスは、市販の延伸PTFEチューブより1桁高く、
より生体血管に近いコンプライアンスを有する。このた
め、従来の延伸PTFE人工血管で指摘されている吻合
部での内膜肥厚が起きにくく、長期にわたって安定した
内膜を維持することができる。
【0023】以上記したように、網目状に連続する短繊
維部分によって力学特性を付与することにより、生体組
織や毛細血管侵入性に優れた長繊維構造を有し、しかも
柔軟で、長期にわたって良好な開存性を示し、かつ実用
化に必要な力学特性を有する人工血管を提供することが
できる。
【0024】
【実施例】以下に実施例および比較例を挙げて、本発明
についてさらに具体的に説明するが、本発明は、これら
の実施例のみに限定されるものではない。
【0025】なお、物性の測定方法は以下の通りであ
る。 〈平均繊維長〉走査型電子顕微鏡で、結節間距離を測定
した平均値。 〈バブルポイント〉延伸PTFEチューブをイソプロピ
ルアルコールに含浸し、管壁の孔内をイソプロピルアル
コールで充満した後、チューブの内側より徐々に空気圧
を負荷したときに、初めて気泡が出てくる時の圧力を測
定する。 〈漏水圧〉延伸PTFEチューブの内側から徐々に水圧
を負荷したときに、初めて水が管壁から出てくる時の水
圧を測定する。 〈ポロシティ〉120mmHg圧力負荷時の水の透過量
(ml/min.cm2) 〈周方向引張強度〉チューブを円周方向に切り開き、引
張速度100mm/分で引張った時に破断する強さを断
面積で割ったもの。 〈引裂強度〉チューブ端より3mmのところに0.2m
mφの針金を通して引張った時に引裂きの起きる荷重。 〈力学的実用性の可否〉周方向引張強度と引裂強度から
判断した。 〈円周方向コンプライアンス〉チューブを円周方向に切
り開き、引張速度100mm/分での引張弾性率(初期
勾配)の逆数。
【0026】[実施例1]PTFE粉末(ダイキン工業
製、商品名ポリフロンF−104)100重量部に対し
て、液状潤滑剤27部を添加して混和し、加圧予備成形
後、ラム押出機で内径1.5mm、外径2.5mmのチ
ューブ状に押出した。このチューブから液状潤滑剤を乾
燥除去した後、1000%の延伸倍率で延伸し、このチ
ューブ全体を延伸した状態のまま390℃に加熱して燒
結した。この延伸チューブに、外径1.5mmのステン
レス鋼棒を挿入し、外表面側を650℃、内表面側を4
50℃にて35秒間加熱した。
【0027】得られたチューブの物性の測定結果を表1
に示す。このPTFE多孔質チューブを人工血管とし
て、10週令ラットの腹部大動脈に移植し、内皮細胞の
被覆率、毛細血管の形成状態を2週間後に調査した。そ
の結果、内皮細胞被覆率は55%であり、管壁内は繊維
芽細胞等の生体組織成分により満たされていた。
【0028】[実施例2]PTFE粉末(ポリフロンF
−104)100重量部に対して、液状潤滑剤27部を
添加して混和し、加圧予備成形後、ラム押出機で内径3
mm、外径4mmのチューブ状に押出した。このチュー
ブから液状潤滑剤を乾燥除去した後、1000%の延伸
倍率で延伸し、このチューブ全体を延伸した状態のまま
390℃に加熱して燒結した。この延伸チューブに、外
径3mmのステンレス鋼棒を挿入し、外表面側を680
℃、内表面側を460℃にて70秒間加熱した。得られ
たチューブの物性の測定結果を表1に示す。
【0029】[比較例1]PTFE粉末(ポリフロンF
−104)100重量部に対して、液状潤滑剤27部を
添加して混和し、加圧予備成形後、ラム押出機で内径
1.5mm、外径2.5mmのチューブ状に押出した。
このチューブから液状潤滑剤を乾燥除去した後、100
0%の延伸倍率で延伸した。このチューブ全体を延伸し
た状態のまま約390℃に加熱することにより燒結し
た。得られたチューブの物性の測定結果を表1に示す。
このチューブは、強度が低く、管腔構造を維持できない
上に、引裂強度が低いため、人工血管としてラットへの
移植は不可能であった。
【0030】[比較例2]PTFE粉末(ポリフロンF
−104)100重量部に対して、液状潤滑剤27部を
添加して混和し、加圧予備成形後、ラム押出機で内径
1.5mm、外径2.5mmのチューブ状に押出した。
このチューブから液状潤滑剤を乾燥除去した後、500
%の延伸倍率で延伸した。このチューブ全体を延伸した
状態のまま約390℃に加熱することにより燒結した。
得られたチューブの物性の測定結果を表1に示す。
【0031】このPTFE多孔質チューブを人工血管と
して10週令ラットの腹部大動脈に移植し、内皮細胞の
被覆率、毛細血管の形成状態を2週間後に調査した。そ
の結果、内皮細胞被覆率は8%と低く、また管壁内への
生体組織成分の侵入はほとんど認められなかった。
【0032】[比較例3]PTFE粉末(ポリフロンF
−104)100重量部に対して、液状潤滑剤27部を
添加して混和し、加圧予備成形後、ラム押出機で内径3
mm、外径4mmのチューブ状に押出した。このチュー
ブから液状潤滑剤を乾燥除去した後、1000%の延伸
倍率で延伸し、延伸状態で390℃に加熱して燒結し
た。この延伸チューブに、外径3mmのステンレス鋼棒
を挿入し、外表面側を600℃、内表面側を285℃に
て65秒間加熱した。得られたチューブの物性の測定結
果を表1に示す。このチューブは、強度が低く、管腔構
造を維持できない上に、引裂強度が低いため、人工血管
としてラットへの移植は不可能であった。
【0033】
【表1】
【0034】
【発明の効果】本発明のPTFE多孔質チューブからな
る人工血管は、繊維−結節構造が長繊維部分と短繊維部
分とから構成され、長繊維部分は生体組織や毛細血管の
侵入性に優れるため長期にわたって安定な内膜を形成す
ることが可能であり、短繊維部分は結節部分の密度が高
いため強度特性に優れる。この短繊維部分がチューブの
周方向および管壁の内表面から外表面まで網目状に連続
した構造をとることによって、チューブとして必要な力
学特性である引裂強度や引張強度を付与する。そのた
め、人工血管が長繊維構造を有していても、チューブと
しての構造維持が可能であり、また、縫合の際に引裂等
のトラブルを起こすことがない。このように、本発明に
よる人工血管は、従来の技術では達成できなかった生体
組織侵入性、ひいては内膜の長期安定性と力学特性の双
方に優れた人工血管であり、特に従来いかなる材料を用
いても良好な開存特性が得られなかった内径3mm以下
の人工血管として優れた性能を示す。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のチューブ状PTFE多孔質体の内面の
走査型電子顕微鏡写真に基づいて作成した模式図であ
る。
【図2】本発明のチューブ状PTFE多孔質体の延伸方
向の断面の走査型電子顕微鏡写真に基づいて作成した模
式図である。
【符号の説明】
1 繊維の長い部分 2 繊維の短い部分 3 結節
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08J 9/00 CEW A 8927−4F // B29K 27:18 C08L 27:18

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 繊維と該繊維によって互いに連結された
    結節とからなる微細繊維状組織を有するポリテトラフル
    オロエチレン多孔質チューブからなり、繊維−結節構造
    が、該チューブの内表面から外表面に至るまで繊維の長
    い部分と繊維の短い部分の二つの部分から実質的に構成
    され、かつ、繊維の短い部分がチューブの周方向および
    チューブ内表面から外表面まで網目状に連続しているこ
    とを特徴とする人工血管。
  2. 【請求項2】 繊維−結節構造における繊維の長い部分
    の繊維の平均繊維長が60μm以上で、繊維の短い部分
    の繊維の平均繊維長が20μm以下である請求項1記載
    の人工血管。
  3. 【請求項3】 液状潤滑剤を含む未燒結のポリテトラフ
    ルオロエチレン混和物を押出し成形後に少なくとも一方
    向に延伸した後に、327℃以上の温度で加熱して得ら
    れる多孔質チューブの内表面と外表面の両面を燒結温度
    の327℃以上の温度でもう一度加熱し、その際、外表
    面を内表面より50℃から300℃までの範囲の高い温
    度で加熱して、多孔質チューブの内面と外面間に連続的
    に温度勾配を与えることを特徴とする人工血管の製造方
    法。
JP27729191A 1991-09-27 1991-09-27 人工血管とその製造方法 Expired - Fee Related JP2814415B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP27729191A JP2814415B2 (ja) 1991-09-27 1991-09-27 人工血管とその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP27729191A JP2814415B2 (ja) 1991-09-27 1991-09-27 人工血管とその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH0584292A true JPH0584292A (ja) 1993-04-06
JP2814415B2 JP2814415B2 (ja) 1998-10-22

Family

ID=17581491

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP27729191A Expired - Fee Related JP2814415B2 (ja) 1991-09-27 1991-09-27 人工血管とその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2814415B2 (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2000072894A1 (fr) * 1999-05-31 2000-12-07 Sumitomo Electric Industries, Ltd. Prothèse de vaisseau sanguin
WO2003093356A1 (fr) * 2002-05-02 2003-11-13 Sumitomo Electric Industries, Ltd. Moulages en polytetrafluoroethylene etire et procede d'elaboration correspondants
US7806922B2 (en) 2004-12-31 2010-10-05 Boston Scientific Scimed, Inc. Sintered ring supported vascular graft
US7857843B2 (en) * 2004-12-31 2010-12-28 Boston Scientific Scimed, Inc. Differentially expanded vascular graft
KR20200084933A (ko) * 2018-12-20 2020-07-14 성균관대학교산학협력단 세포 전기방사를 이용한 조직재생용 세포지지체의 제조방법

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS62152470A (ja) * 1985-12-24 1987-07-07 住友電気工業株式会社 管状臓器補綴材
JPS62152467A (ja) * 1985-12-26 1987-07-07 住友電気工業株式会社 管状臓器補綴材の製造方法

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS62152470A (ja) * 1985-12-24 1987-07-07 住友電気工業株式会社 管状臓器補綴材
JPS62152467A (ja) * 1985-12-26 1987-07-07 住友電気工業株式会社 管状臓器補綴材の製造方法

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2000072894A1 (fr) * 1999-05-31 2000-12-07 Sumitomo Electric Industries, Ltd. Prothèse de vaisseau sanguin
US6689160B1 (en) 1999-05-31 2004-02-10 Sumitomo Electric Industries, Ltd. Prosthesis for blood vessel
WO2003093356A1 (fr) * 2002-05-02 2003-11-13 Sumitomo Electric Industries, Ltd. Moulages en polytetrafluoroethylene etire et procede d'elaboration correspondants
CN1303139C (zh) * 2002-05-02 2007-03-07 住友电气工业株式会社 拉伸聚四氟乙烯成型体及其制造方法
US7691299B2 (en) 2002-05-02 2010-04-06 Sumitomo Electric Industries, Ltd. Process for production of expanded polytetrafluoroetylene products
US7806922B2 (en) 2004-12-31 2010-10-05 Boston Scientific Scimed, Inc. Sintered ring supported vascular graft
US7857843B2 (en) * 2004-12-31 2010-12-28 Boston Scientific Scimed, Inc. Differentially expanded vascular graft
KR20200084933A (ko) * 2018-12-20 2020-07-14 성균관대학교산학협력단 세포 전기방사를 이용한 조직재생용 세포지지체의 제조방법

Also Published As

Publication number Publication date
JP2814415B2 (ja) 1998-10-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US4332035A (en) Porous structure of polytetrafluoroethylene and process for production thereof
US4725273A (en) Artificial vessel having excellent patency
US4475972A (en) Implantable material
US4857069A (en) Artificial vessel and process for preparing the same
JPS6037734B2 (ja) 管状臓器補綴材及びその製造方法
GB2386841A (en) Multi-channel bioresorbable nerve regeneration conduit and process for preparing the same
WO2000072894A1 (fr) Prothèse de vaisseau sanguin
CN108938143A (zh) 一种三层结构小口径仿生血管及其制备方法
JPS62152470A (ja) 管状臓器補綴材
US4871361A (en) Artificial vessel
GB2115776A (en) Implantable material
US4596577A (en) Napped fluororesin materials having continuous pores, and a method of manufacturing the same
JP2814415B2 (ja) 人工血管とその製造方法
JPH0242656B2 (ja)
EP0275653B1 (en) Vascular prosthesis
KR100201874B1 (ko) 다공성.생분해성 인공장기와 이의 제조방법
JPS632620B2 (ja)
CN109498843B (zh) 一种顺应性可调的多层复合人工血管的制备方法
JPS61185271A (ja) コンプライアンスおよび応力−歪曲線が生体血管に近似している人工血管およびその製造方法
JPS62152467A (ja) 管状臓器補綴材の製造方法
JPS6037736B2 (ja) 管状臓器補綴材
JPH05237141A (ja) 人工血管およびその製造方法
JPH04353534A (ja) ポリテトラフルオロエチレン多孔質体およびその製造方法
JPH0262264B2 (ja)
JPS6316261B2 (ja)

Legal Events

Date Code Title Description
R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees