JPH0577893B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、自動車用摩擦クラツチにおけるねじ
り振動止めをするクラツチ円板に関する。

ドイツ連邦共和国実用新案第1840780号によつ
てねじり振動止めを備えたクラツチ円板が知られ
ており、このクラツチ円板はボスと、このボスの
両側に配置されてボスに相対回動不能に結合され
ている２つのカバープレートと、これらカバープ
レートの間に相対回動不能に支承されて両面にわ
たつて摩擦ライニングを有している連行板とから
成つている。この場合連行板およびカバープレー
トの窓内には相対回動時に負荷を受ける緩衝ばね
が配置されている。連行板とカバープレートとの
間には摩擦リングが配置されており、この摩擦リ
ングはカバープレートの外側にほぼ星形に配置さ
れた板ばねによつて摩擦力を及ぼすために軸線方
向で予圧されている。

この公知のクラツチ円板においてはカバープレ
ートの一方が不動にボスに固定されていて、他方
のカバープレートは回動不能ではあるが軸方向で
移動可能にボスに案内されている。このためボス
には、上記のカバープレートが移動するさいにこ
れを案内する案内突起が設けられていて、この案
内突起が軸方向で移動可能のカバープレートの切
削おう所に嵌まつている。この種のクラツチ円板
を、特に、高い負荷を受ける貨物自動車用の摩擦
クラツチに使用した場合、摩擦リングの摩耗を補
償するために該摩耗によつて生ずべき、上記の移
動可能のカバープレートの軸方向移動が、このカ
バープレートが、構造的に、たんに摩擦機構の摩
擦力を伝達しなければならないだけでなく、さら
にトルクの一部をも伝達しなければならないため
に、困難になる。また、カバープレートの、上記
案内突起が嵌まる切削おう所は加工が高価であつ
てしかも耐久性が不十分である。

本発明の目的は、構造的に簡単な、摩擦緩衝機
構を備えたクラツチ円板を提供することであつ
て、具体的には摩擦緩衝機構が製作容易で、大き
な耐用寿命を有し、耐用期間を通じて可能な限り
一様な摩擦力を生ずるように構成することであ
る。

このような目的を達成するために、本発明によ
れば両方のカバープレートがトルクの良好な伝達
のためボスと不動に特にリベツトによつて結合さ
れている。特に板ばねとして有利に構成されるば
ね機構は一方のカバープレートの外側でリベツト
によつてボスに不動に結合されている。摩擦力の
発生および摩擦力の伝達は１つの押し板によつて
なされ、この押し板は一方の摩擦リングと一方の
カバープレートの内側との間に配置されている。
従つて、この押し板およびカバープレートとのそ
の相対回動不能の結合部分はたんに摩擦力によつ
て負荷を受けるだけであり、耐用寿命を同じとし
た場合相応に簡単に製作できることになる。

押し板とカバープレートとの相対回動不能の結
合は、押し板の外周部における軸線方向で折り曲
げられた複数の耳片およびこれらの耳片が係合す
るカバープレート外周部の相応の切欠きによつて
なされる。このような耳片を特に３つ配置するこ
とによつて押し板の製作が簡単となる。押し板は
普通に必要とされる硬化処理に伴つてひずみを生
ずるが、このことはたんに３つの耳片の場合はす
べての耳片の一様なトルク受止めにとつて微微た
る影響に過ぎない。加えて、半径方向で外方の範
囲におけるトルク伝達は相応に小さい。

板ばねとしてのばね機構の構成は押し板とカバ
ープレートの外側との間にスペーサを配置するこ
とによつて簡単になる。この場合、スペーサは別
個の構造部材として用意することができる。スペ
ーサは押し板に不動に結合してもよいし、押し板
自体の一部であつてもよい。さらに、摩擦モーメ
ントのすべて又はその一部分をこのようなスペー
サを介して伝達することも可能である。

次に、図面に示した実施例に従つて本発明を詳
述する： 第１図〜第３図にはクラツチ円板１の一部が平
面図および断面図で示されている。クラツチ円板
１は回転軸線２ａを中心として回転する伝動軸上
に相対回動不能に、かつ軸線方向移動可能に配置
されるボス２を基部として構成されている。即
ち、ボス２の両側に薄板製のカバープレート３，
４が不動にリベツト１３によつて配置されてい
る。これら両方のカバープレート３，４は半径方
向でボス２の外周部を越えて突出している。両方
のカバープレート３，４によつて形成される間隙
内へ、カバープレート範囲に補強リング６を備え
た１つの連行板５が入り込んでいる。この連行板
５とカバープレート３との間に１つの摩擦リング
１１が配置されており、補強リング６とカバープ
レート４との間に第２の摩擦リング１１が配置さ
れている。この第２の摩擦リング１１とカバープ
レート４との間にはさらに１つの押し板１４が配
置されている。半径方向でこのような摩擦機構よ
りも外方に連行板５が摩擦ライニング１０を備え
ている。構成部分３，４，５，６，１１，１４は
いずれも窓７，８を有しており、これらの窓７，
８内に平均的な直径のコイルばね９が配置されて
いる。これらの周方向で隣り合うコイルばね９の
間にほぼ半径方向に延びた個個の板ばね１２が位
置している。これらの板ばね１２はその半径方向
で内方の端部がリベツト１３とカバープレート４
の外面との間で締結されており、半径方向で外方
の端部が予圧されてスペーサ２０に接触してい
る。スペーサ２０は押し板１４に例えばリベツト
結合されている。この場合スペーサ２０はカバー
プレート４の開口１５を貫通している。押し板１
４はその外周部の軸線方向へ折り曲げられた耳片
１６を介してカバープレート４に相対回動不能で
かつ軸線方向可動に結合されている。この場合耳
片１６又は突起はカバープレート４の相応の切欠
き１７に係合する。

ねじり振動止めを備えた以上のクラツチ円板の
作用は次の通りである： 摩擦ライニング１０とボス２との間のトルク伝
達の際両部分間にコイルばね９の可撓性によつて
相対的なねじれが生ずる。この場合連行板５およ
び補強リング６はカバープレート３，４並びに押
し板１４に対して相対的なねじれを呈し、これに
よつてこれらの部材の間に位置する摩擦リング１
１が板ばね１２の負荷によつて摩擦力を相対回動
部材へ及ぼす。各摩擦リング１１はこの場合補強
リング６もしくは連行板５に接着しておくとよ
い。摩擦力は個個の板ばね１２によつてあたえら
れる。板ばね１２はボス２に不動に締結されてい
て、軸線方向のばね作用によつて押し板１４をカ
バープレート４から押し離すように働く。摩擦リ
ング１１の摩耗量が大きくなるのに伴つて押し板
１４は軸線方向で従動することになり、カバープ
レート４との間隙が大きくなる。押し板１４の耳
片１６は周方向でカバープレート４の切欠き１７
に対して相対的に摩擦力、即ち摩擦リング１１お
よび板ばね１２によつてあたえられる摩擦力のた
んに一部分によつてのみ負荷を受ける。これによ
つて耳片１６に大きな荷重は生ぜず、ひいては大
きな摩耗も生じない。スペーサ２０は板ばね１２
の形状およびその組付けの容易さを保つために設
けられている。もちろんこのスペーサ２０を押し
板１４とカバープレート４との間のトルク伝達に
利用することが可能である。ただし、伝達部材の
数が多ければ多い程、すべての伝達部材をトルク
伝達に十分活用することは困難である。即ち、製
作公差や硬化処理に伴うひずみによつて、伝達部
材の一部のみが有効に働くという危険が生ずるか
らである。

第４図および第５図は第１図〜第３図の実施例
の変化形を示しているが、相違点はもつぱらスペ
ーサの構成もしくは配置にある。第４図の場合、
スペーサ１９自体は押し板１４へ結合されずに当
て付けられているだけであり、従つて、板ばね１
２による軸線方向力のみを伝達し得るにとどま
る。第５図の場合、スペーサ１８は押し板１４自
体の材料から絞り加工によつて形成されていて、
要するに押し板１４と一体をなしている。この場
合カバープレート４の開口１５内を軸方向に部分
的に通過して延びているスペーサ１８はたんに板
ばね１２のばね力を伝達するためだけでなく、押
し板１４からカバープレート４へ摩擦モーメント
を伝達するためにも活用することが可能である。
第２図、第４図および第５図に示すスペーサのい
ずれも軸線方向の寸法を十分有しており、これに
よつて板ばね１２の半径方向で外方の端部は摩擦
リング１１の摩耗が最大限を呈したとしてもばね
力を押し板１４へ伝達することができる。

第６図にはさらに別の変化形が示されている。
この場合第１図〜第５図に示されているスペーサ
が省略されており、その代りに板ばね１２がその
半径方向で外方の範囲１２ａにおいて押し板１４
へ向かつてほぼ直角に折り曲げられ、押し板１４
に直接ばね力のもとに当て付けられている。この
実施例は製作費が最もわずかである。

【図面の簡単な説明】

第１図はねじり振動止めを備えたクラツチ円板
の一部の平面図、第２図は第１図中の−線に
沿つた断面図、第３図は第１図中の−線にに
沿つた断面図、第４図は別の実施例を第２図同様
に示した断面図、第５図はさらに別の実施例を第
２図同様に示した断面図、第６図はさらに別の実
施例を第２図同様に示した断面図である。 １…クラツチ円板、２…ボス、３，４…カバー
プレート、５…連行板、６…補強リング、７，８
…窓、９…コイルばね、１０…摩擦ライニング、
１１……摩擦リング、１２…板ばね、１３…リベ
ツト、１４…押し板、１５…開口、１６…耳片、
１７…切欠き、１２ａ，１８，１９，２０…押し
力伝達部材としてのスペーサ。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 自動車用摩擦クラツチのクラツチ円板であつ
   て、クラツチの伝動軸上に相対回動不能かつ軸方
   向可動に支承されているボス２と、ボス２の両側
   に配置されてリベツト１３によつてボス２に保持
   された２つのカバープレート３，４と、カバープ
   レート３，４間に配置されて一定限の回動角度だ
   け回動可能に支承されている１つの連行板５と、
   連行板５及びカバープレート３，４の軸線方向で
   対置する窓７，８内に保持されている多数のコイ
   ルばね９と、コイルばね９が貫通する窓を有して
   いて連行板５と各カバープレート３，４との間に
   配置されて相対回動時に摩擦力を及ぼす摩擦リン
   グ１１，１１と、一方のカバープレート４に外側
   から固定されている多数の板ばね１２とから成つ
   ており、これらの板ばね１２は、その半径方向内
   方の端部をもつてカバープレート４と共にボス２
   にリベツト１３で固定されるとともに、その半径
   方向外方の端部をもつて、各２つのコイルばね９
   間のスペースに位置して摩擦力を生ぜしめるため
   に軸方向へプレストレスを及ぼしている形式のク
   ラツチ円板において、 前記板ばね１２とは反対側の、カバープレート
   ４と摩擦リング１１との間に１つの押し板１４が
   配置されており、この押し板１４はコイルばね９
   用の開口を有しており、 押し板１４の外周部に軸方向でカバープレート
   ４側へ折り曲げられた複数の耳片１６が設けられ
   ていて、これらの耳片１６はカバープレート４に
   相対回動不能に結合するためにカバープレート外
   周部の切欠き１７に係合しており、 板ばね１２の端部が、板ばね１２と押し板１４
   との間の、カバープレート４の開口１５内に配置
   された支持部を介して押し板１４に作用している
   ことを特徴とする、クラツチ円板。 ２ 板ばね１２と押し板１４との間の支持部がス
   ペーサ１８，１９，２０から成つており、このス
   ペーサ１８，１９，２０は、一方のカバープレー
   ト４の開口１５内を軸方向に少なくとも部分的に
   通過して延びている特許請求の範囲第１項記載の
   クラツチ円板。 ３ スペーサ１８が押し板１４自体の深絞りによ
   つて形成されている特許請求の範囲第２項記載の
   クラツチ円板。 ４ スペーサ２０が別個の構造部品として押し板
   １４に固定されている特許請求の範囲第２項記載
   のクラツチ円板。 ５ スペーサ１９が別個の構造部品として押し板
   １４内にゆるく配置されて一方のカバープレート
   ４の開口１５を周方向の遊びをもつて貫通してい
   る特許請求の範囲第２項記載のクラツチ円板。