JPH0570017B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は流体トルクコンバータ及びＶベルト式
無段変速機構を用いた車両用無段変速装置に関す
る。

（従来の技術） エンジンの動力を流体トルクコンバータを介し
てＶベルト式無段変速機構に伝達し、更に最終減
速歯車列を介して車輪を駆動するようにした車両
用無段変速装置は公知である。

そして特開昭55−63051号公報にて、流体トル
クコンバータのタービン軸をＶベルト式無段変速
機構の駆動軸と同軸上に配置し、更に被動軸には
左右二列をなす前進・後退切換用の歯車機構を設
けたり、或いはクラツチを遊星歯車機構とを並列
に配置して成る前進・後退切換機構を被動軸に設
けたことが開示される。

また特開昭57−192666号公報には、前記と同様
にタービン軸と同軸上に配置した駆動軸に前進・
後退切換用の歯車機構を設けたことが開示され
る。

（発明が解決しようとする問題点） このように従来は、タービン軸と駆動軸とを同
軸上に配置して被動軸若しくは駆動軸の何れかに
前進・後退切換機構（二列の歯車機構、クラツチ
と遊星歯車機構等）を設けていたため、軸方向の
寸法が大きく、歯車の数も多いものとなつてい
た。

また前進時のみならず後退時もＶベルト式無段
変速機構を経て駆動トルクが伝達される構造であ
つた。

そこで本発明の目的は、前進・後退切換用の歯
車数を少なくするとともに、軸方向の寸法を小さ
くして装置のコンパクト化が図れ、また後退時に
はＶベルト式無段変速機構によるトルク伝達を行
わないようにしてベルト寿命の向上にも寄与する
ようにした車両用無段変速装置を提供するにあ
る。

（問題点を解決するための手段） 以上の目的を達成すべく本発明は、流体トルク
コンバータ２のタービン軸６に駆動用歯車２１を
固定し、これと噛合う前進用歯車２３をＶベルト
式無段変速機構１０の駆動軸１１に遊合し、この
駆動軸１１に前進用歯車２３を接続する多板油圧
式の前進用クラツチ２４を設ける一方、駆動用歯
車２１と中間歯車２５を介して噛合う後退用歯車
２６を被動軸１２に遊合し、この被動軸２６に後
退用歯車２６を接続する多板油圧式の後退用クラ
ツチ２７を設けたことを特徴とする。

（作用） 後退用クラツチ２７をOFF、前進用クラツチ
２４をONにすると、駆動力はタービン軸６から
駆動用歯車２１、前進用歯車２３、多板油圧式前
進用クラツチ２４、駆動軸１１、駆動プーリ１
３、Ｖベルト１９、被動プーリ１６を介して被動
軸１２に伝達される。

また前進用クラツチ２４をOFF、後退用クラ
ツチ２７をONにすれば、タービン軸６から駆動
力が駆動用歯車２１、中間歯車２５、後退用歯車
２６、多板油圧式後退用クラツチ２７を介して被
動軸１２に伝達される。

従つて前進時はＶベルト式無段変速機構１０に
よる無段変速が行われるが、後退時には駆動用歯
車２１、中間歯車２５及び後退用歯車２６による
一定ギヤ比で動力伝達が行われ、この時、前進用
クラツチ２４はOFF状態なので、Ｖベルト式無
段変速機構１０によるトルク伝達は行われない。

しかも平行に配置した三軸、即ちタービン軸６
から駆動軸１１と被動軸１２とに駆動用歯車２１
と前進用歯車２３または中間歯車２５及び後退用
歯車２６でそれぞれ繋ぐので、歯車数を少なくし
て軸方向の寸法を小さくできる。

そして実施例のように斯かる歯車列を一列に配
置することにより軸方法寸法を一層小さくでき、
また二個の駆動用歯車２１，２２を設ければ、前
進用とは別に後退用のギヤ比を自由に選定するこ
とができる。

更に駆動軸１１上の前進用歯車２３を駆動プー
リ１３と前進用クラツチ２４の間に配置し、且つ
被動軸１２上の後退用クラツチ２７を被動プーリ
１６と後退用歯車２６の間に配置し、即ち歯車列
を基準として両クラツチ２４，２７を反対側に配
置した上で、被動軸１２に固定される最終減速用
歯車２８を前記歯車列に対し被動プーリ１６と反
対側に配置するとともに、駆動プーリ１３の可動
側プーリ１５を前進用歯車２３側に、また被動プ
ーリ１６の固定側プーリ１７を後退用クラツチ２
７側に配置すれば、軸方向寸法が最小になる。

（実施例） 以下に添付図面を基に実施例を説明する。

第１図は第１実施例を示し、１はエンジン、２
は流体トルクコンバータ、１０はＶベルト式無段
変速機構であり、車体に横置きに搭載したエンジ
ン１の動力は流体トルクコンバータ２のポンプ３
に入り、この流体トルクコンバータ２は直結クラ
ツチ４を有し、ポンプ３の回転によりタービン５
が回転し、タービン軸６に回転が出力され、７は
ステータ、８はステータ軸である。

そしてタービン軸６の右端には駆動用歯車２１
が固定して備えられ、Ｖベルト式無段変速機構１
０の駆動軸１１と被動軸１２はこのタービン軸６
と平行に配置され、駆動軸１１の左端には駆動用
歯車２１と噛合う前進用歯車２３が遊合されると
ともにその左側には多板油圧式の前進用クラツチ
２４が設けられる。駆動軸１１の右側には駆動プ
ーリ１３が備えられ、駆動プーリ１３は右端の固
定側プーリ１４とその左側の可動側プーリ１５と
から成り、１５ｐはその駆動ピストンである。ま
た被動軸１２の右側にも同様に駆動ピストン１８
ｐにより移動する可動側プーリ１８と固定側プー
リ１７とから成る被動プーリ１６が備えられ、可
動側プーリ１８は被動軸１２の右端に配置され、
その左側に固定側プーリ１７が配置される。斯か
る駆動プーリ１３と被動プーリ１６とに金属製の
Ｖベルト１９が巻回され、それぞれの駆動ピスト
ン１５ｐ，１８ｐの連動作動により既知の如く駆
動軸１１から被動軸１２への回転伝達が無段階的
に変速操作される。

一方、被動軸１２の左側には前記駆動用歯車２
１と中間歯車２５を介して噛合う後退用歯車２６
が遊合されるとともにその右側には多板油圧式の
後退用クラツチ２７が設けられ、また後退用歯車
２６の左側の被動軸１２左端には最終減速用歯車
２８が固定して備えられる。この最終減速用歯車
２８はデフアレンシヤルギヤ装置３１のリングギ
ヤ３２に噛合い、３３，３４は左右の駆動車軸、
３５，３６は車輪である。

以上において、前進時は前進用クラツチ２４が
ON、後退用クラツチ２７がOFFとなり、その動
力伝達経路は以下の通りである。即ちエンジン１
の動力は流体トルクコンバータ２を通つてタービ
ン軸６に伝達され、その駆動用歯車２１から前進
用歯車２３、ON状態の前進用クラツチ２４を介
して駆動軸１１に伝達され、駆動プーリ１３、Ｖ
ベルト１９、被動プーリ１６を経て被動軸１２に
伝達され、更に最終減速用歯車２８、リングギヤ
３２を介しデフアレンシヤルギヤ装置３１を経て
駆動車軸３３，３４から左右の車輪３５，３６へ
と動力が伝達される。この時、後退用クラツチ２
７はOFF状態なので、後退用歯車２６は被動軸
１２上を逆方向に遊転する。

また後退時は前進用クラツチ２４がOFF、後
退用クラツチ２７がONになり、駆動用歯車２１
から中間歯車２５によつて逆転して後退用歯車２
６に伝達された回転はON状態の後退用クラツチ
２７を介して被動軸１２に伝達され、この前記と
逆方向の回転が車輪３５，３６に伝達される。こ
の時、被動プーリ１６、Ｖベルト１９、駆動プー
リ１３を経て駆動軸１１も前記と逆方向に回転す
るが、前進用クラツチ２４はOFF状態で、前進
用歯車２３が駆動軸１１上を逆方向に遊転するの
で、Ｖベルト１９によるトルク伝達は行われな
い。

次に第２図は第２実施例を示し、本実施例では
タービン軸６の右端に二個の駆動用歯車２１，２
２を並設し、左側の駆動用歯車２１に前進用歯車
２３を、右側の駆動用歯車２２に中間歯車２５を
それぞれ噛合わせ、その他の構成は前記第１実施
例と同様とした。

このように前進用歯車列と後退用歯車列を別に
配列すると、後退用の減速化を自由に選定するこ
とが可能になる。

（発明の効果） 以上のように本発明によれば、前進・後退切換
用の歯車数を少なくして軸方向の寸法を小さくで
き、これにより装置のコンパクト化を達成でき、
しかも後退時は多板油圧式後退用クラツチの接続
により歯車列による発進機能が得られ、Ｖベルト
式無段変速機構によるトルク伝達を行わないの
で、ベルト寿命の向上も達成できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は第１実施例のパワートレイン図、第２
図は第２実施例のパワートレイン図である。 尚、図面中、２は流体トルクコンバータ、６は
タービン軸、１０はベルト式無段変速機構、１１
は駆動軸、１２は被動軸、１３，１６はプーリ、
１９はＶベルト、２１，２２は駆動用歯車、２３
は前進用歯車、２４は前進用クラツチ、２５は中
間歯車、２６は後退用歯車、２７は後退用クラツ
チ、２８は最終減速用歯車である。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ エンジンの動力を流体トルクコンバータを介
   してＶベルト式無段変速機構に伝達し、該Ｖベル
   ト式無段変速機構における駆動プーリの駆動軸と
   被動プーリの被動軸とを流体トルクコンバータの
   タービン軸と平行に配置した車両用無段変速装置
   において、 前記タービン軸に駆動用歯車を固定し、 前記駆動軸には該駆動用歯車と噛合う前進用歯
   車を遊合するとともに該前進用歯車を当該駆動軸
   に接続する多板油圧式の前進用クラツチを設ける
   一方、 前記被動軸には前記駆動用歯車と中間歯車を介
   して噛合う後退用歯車を遊合するとともに該後退
   用歯車を当該被動軸に接続する多板油圧式の後退
   用クラツチを設けたこと、 を特徴とする車両用無段変速装置。 ２ 特許請求の範囲第１項において、 前記駆動用歯車、前進用歯車、中間歯車及び後
   退用歯車から成る歯車列を一列に配置したこと、 を特徴とする車両用無段変速装置。 ３ 特許請求の範囲第１項において、 前記タービン軸には前記駆動用歯車が二個並設
   され、 一方の駆動用歯車には前記前進用歯車が噛合
   い、また他方の駆動用歯車には前記中間歯車が噛
   合うこと、 を特徴とする車両用無段変速装置。 ４ 特許請求の範囲第１項乃至第３項の何れかに
   おいて、 前記駆動プーリと前記前進用クラツチの間に前
   記前進用歯車を配置する一方、 前記被動プーリと前記後退用歯車の間に前記後
   退用クラツチを配置したこと、 を特徴とする車両用無段変速装置。 ５ 特許請求の範囲第４項において、 前記被動軸に固定される最終減速用歯車を前記
   後退用歯車及び後退用クラツチに対し前記被動プ
   ーリと反対側に配置したこと、 を特徴とする車両用無段変速装置。 ６ 特許請求の範囲第１項乃至第５項の何れかに
   おいて、 前記駆動プーリの可動側プーリを固定側プーリ
   と前記前進用歯車及び前進用クラツチとの間に配
   置する一方、 前記被動プーリの固定側プーリを可動側プーリ
   と前記後退用歯車及び後退用クラツチとの間に配
   置したこと、 を特徴とする車両用無段変速装置。