JPH055186A

JPH055186A - チタン火から部品を保護するための表面コーテイング及び該表面コーテイングを製造する方法

Info

Publication number: JPH055186A
Application number: JP41023190A
Authority: JP
Inventors: Thomas Uihlein; トーマス・ウイーライン; Gerhard Wydra; ゲルハルド・ヴイドラ
Original assignee: MTU Motoren und Turbinen Union Muenchen GmbH
Current assignee: MTU Aero Engines GmbH
Priority date: 1989-12-12
Filing date: 1990-12-11
Publication date: 1993-01-14
Also published as: DE59004607D1; EP0432699B1; DE3940914C1; EP0432699A2; US5087512A; EP0432699A3

Abstract

(57)【要約】（修正有）【目的】金属製構造用部品を例えばタービンにおいてチ
タン滴を飛ばしたり燃焼させることにより生ぜしめられ
るチタン火から保護する。【構成】このチタン火からの保護は、充填材料としてア
ルミニウム粉末が中に分散せしめられている耐高熱性ラ
ッカーからなるマトリックス材料内に埋設されたセラミ
ック繊維で作られた表面コーティングによって提供され
る。耐高熱性ラッカーはアルミニウム粉末が分散せしめ
られるところのベヒクルとしての珪酸塩で形成されてい
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、金属製構造用部品の表
面を被覆する保護コーティングに関する。このような金
属部品は、例えばタービンにおいて溶けたチタン滴によ
り引き起こされる所謂チタン火（titanium fire)により
燃やされるか或いはその表面が損なわれる。保護コーテ
ィングはマトリックス材料中に埋設されたセラミック繊
維からなる。

【０００２】

【従来の技術】チタンの自然燃焼は酸化雰囲気(oxidizi
ng atmosphere)中で500 ℃を越える温度で起こり得る。
その結果として起こる溶けたチタン滴の形態の火は高い
作動温度におけるこの材料の可能な利用を危うくし、且
つ損なう。1990年２月26日に出願された米国出願第０７
／４８５，０４４号に対応するドイツ特許公告第３，９
０６，１８７号は、制御中にこのような火災をもたらす
チタン火が起こりやすい部品用の固い又は質の密なコー
ティングを開示している。しかし、このような従来のコ
ーティングの欠点は、それらの厚さが、非常に激しいチ
タン火が起こるときの高い運動エネルギーを有する溶け
たチタン滴が容易に浸透する厚さであることにある。構
造用金属のチタン滴の浸透した表面は次いで酸化され
る。且つ既知のコーティングの密度はコーティングをか
なり重くする。更に既知のコーティングは低熱絶縁体(l
ow thermal insulation)又は低Ｒ−ファクタ( low Ｒ−
factor）を有する。

【０００３】ドイツ特許公告（ＤＥ−ＡＳ）第１，９４
７，９０４号は、アルミニウム又は珪素の粒子を含み、
且つ好ましくは、コークス又は二酸化アルミニウムの充
填剤を含む二酸化珪素マトリックスに埋設された珪酸ア
ルミニウム繊維からなる繊維複合マトリックスを開示し
ている。また、この公告公報は、繊維複合材料の製造方
法も開示している。この既知の繊維複合材料は、水性ス
ラッジからの製造プロセスのため、繊維の配列が不規則
になり、でたらめになりがちであるという欠点を有す
る。繊維が不可避に局部的に集中したり疎らになること
は、繊維複合材料の不利な不均一をもたらし、その保護
効果を弱める。珪酸から作られた二酸化珪素マトリック
スはクリストバライトの形成のため、高温時に脆くなる
という別の欠点を有する。したがってこの既知の材料
は、熱ガス流中において例えばガスタービンエンジンを
継続的に装着するのには適していない。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、コ
ーティングがチタン火による損傷から部品を有効に保護
する金属製構造用部品用の保護コーティングを提供し、
この保護コーティングの製造方法を提供し、高い運動エ
ネルギーを有する溶けたチタン滴を生じさせるチタン火
を有効にはばみ、構造用部品の表面を熱損傷(heat dama
ge) 及びチタン溶融(titaniummelt) から護り、そして
概してチタン火が広がるのを抑制することを達成するこ
とである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明によれば、コーテ
ィングは二酸化珪素、酸化アルミニウム、二酸化ジルコ
ニウム（ＳｉＯ₂，Ａｌ₂Ｏ₃，ＺｒＯ₂）又は前記酸
化物の混合物からなるセラミックの纖維からなり、この
セラミック繊維は複数の層に又は一つ又は複数のウェブ
として配置され、且つ珪酸塩からなるマトリックス材料
中に埋設される。珪酸塩はマトリックス材料中に埋設さ
れた充填剤としてのアルミニウム粉末を有する。この珪
酸塩は、好ましくは、アルキル、ナトリウム、カリウ
ム、アルミニウム、又は亜鉛からなる群から選択され
る。

【０００６】チタン火からの保護のために構造用部品の
表面に本発明のコーティングを造る方法は、次のように
行われる。（ａ）二酸化珪素、酸化アルミニウム、二酸化ジルコニ
ウム、及び前記酸化物の混合物からなる群から選択され
た、複数の層、又は複数のウェブ、又は織布の形態の酸
化物製のセラミック繊維材料を、個々の繊維の表面を充
分に清浄にするように乾燥し、アニール又は加熱する。（ｂ）前記繊維材料に珪酸塩を浸透もしくは含浸させ
る。珪酸塩は上記の群から選択される。ここにおいて珪
酸塩として珪酸アルキル、珪酸ナトリウム、珪酸カリウ
ム、及び前記珪酸塩の混合物が好まれる。（ｃ）珪酸塩バインダーと前記珪酸塩バインダー中に分
散せしめられたアルミニウム粉末からなる耐高熱性無機
ラッカーを構造用部品の表面並びにセラミック繊維の表
面にコーティングする。ここにおいてアルミニウム粉末
は充填剤を形成する。（ｄ）前記耐高熱性無機ラッカーをコーティングする。
そして、（ｅ）保護コーティングの表面を同様に上記の群から選
択された珪酸塩で密封する。段階（ｃ）の珪酸塩バイン
ダーは上記群から選択される。

【０００７】

【作用】本発明による構造用部品において、構造用部品
の上のこのようなコーティングの利点は溶けたチタン滴
の運動エネルギーがコーティングの繊維のマトリックス
構造によって吸収され、チタン溶融物の熱エネルギーは
コーティングのマトリックス中に埋設されたアルミニウ
ムの粉末の溶融に使い尽くされることである。更に珪酸
塩マトリックス中のセラミック繊維の高い熱絶縁特性が
保護されるべき構造用部品の表面の過熱を妨げる。この
保護コーティング中のセラミック繊維の複数の層の又は
一つ又は複数のウェブ又は織布としての配列は、既知の
繊維の配列の不均一な分布を避けた等質な繊維の網を有
利に造る。本発明は又従来のコーティングよりも高い浸
食に対する抵抗を有する。

【０００８】好ましくは、マトリックスは、同時接着作
用(simultaneous adhesive bondingaction)と金属構造
物の表面に保護マット(protective mat)を埋設するとい
う利点を有する。この特徴は、保護されるべき構造用部
品に焼結させるか、はんだ付け、又は溶接することによ
りセラミック繊維の一部固定の必要を不用にする。

【０００９】本発明によってコートされた部品の表面
は、好ましくは、航空機のエンジン用のガスタービンに
使用される。このために、本発明の好ましい保護コーテ
ィングは0.8 乃至2.0t／cm³の範囲内の濃度を有する。
この低密度は、従来の密なコーティングに比して比較的
厚い保護コーティングが重量の増加なしに使用すること
ができ、それ故、溶けたチタン滴の運動エネルギーは、
本コーティングによって吸収されるという利点を有す
る。

【００１０】本発明による保護コーティングは、0.5 乃
至20mmの範囲内、好ましくは 1乃至10mmの厚さを有す
る。好ましい範囲は、大抵の目的のための保護コーティ
ングを包含し、一方広い範囲は特別の目的のための極め
て薄いコーティングと比較的厚いコーティングをも可能
にする。この0.5 乃至1.0 mmの範囲は、本コーティング
が熱絶縁セラミック繊維によって充満されていると云う
付加された利点を有し、密な又は濃密な従来のコーティ
ングに匹敵するのに対して濃密な従来のコーティングは
有効な熱絶縁を備えていない。10乃至20mmの厚さの範囲
は、チタン火からの保護の問題に対する解決策を提供
し、それ故、この問題は実現されない。

【００１１】コーティングの表面の密封は、チタン火か
らの保護と組み合わせて構造用部品用の無孔の気密な被
覆を提供し、それによって酸化ガス流が浸透して織布が
膨らむことが防止される。

【００１２】本発明の表面コーティングを造る方法の利
点は、コスト的にまた機能的に有効なチタン火からの保
護が商業的に入手できる手段によって提供されることで
ある。この保護は同時にセラミック繊維並びに珪酸塩の
熱絶縁特性のため構造用部品の熱負荷を減少させる。

【００１３】複数の層、複数のウェブ(webbing) 又は織
布(fabrics) の形態のセラミック材料の繊維を乾燥し、
加熱又はアニールすることは、セラミック繊維を清浄に
し、その結果次の珪酸塩の浸透又は埋設が織布を充分に
浸透して行われ、繊維の表面を濡らす。上記の珪酸塩は
単独で用いても或いは上に揚げた珪酸塩のいずれかの組
み合わせで使用しても良い。

【００１４】アルミニウム充填剤を含む耐高熱性の無機
ラッカーの構造用部品の表面への塗布はコーティングの
部品表面への接合を大いに向上させる。ラッカーを塗布
した部品の上に珪酸塩を浸透させた繊維材料を配置した
後、繊維材料の表面が再び刷毛塗り、吹き付け、又はス
パッタリングされ、次の乾燥及びバーニング過程が、Ｓ
ｉＯ₂，Ａｌ₂Ｏ₃，ＺｒＯ₂，又はそれらの混合物か
らなるセラミック繊維で作られた保護コーティングを形
成し、繊維は珪酸塩及び該珪酸塩中に埋設されたアルミ
ニウム粉末を含むマトリックス材料中に埋設される。

【００１５】保護コーティングの表面は、しばしば多数
の開いた孔を有し、起伏しており、平坦ではない。それ
故、該表面は、その後、該表面が気密に且つ平滑になる
ように珪酸塩を用いてアニールされる。珪酸塩は上記し
た群から選択される。

【００１６】より厚い保護コーティングをするために、
他のいくつかの繊維材料と耐高熱性ラッカーの塗布が密
封されていない表面に適用され、20mmまでの厚さの保護
コーティングが作られる。

【００１７】

【実施例】本発明が明瞭に理解されるように、例とし
て、一実施態様及び製造方法を示す図１を参照しながら
本発明を説明する。ここにおいて図１はその表面にチタ
ン火からの保護層がコーティングされた金属構造用部品
の構造を示す。

【００１８】図１は金属、例えば鋼からなる構造用部品
１の構造を示し、これは構造用部品１の表面５に堅固に
接着している保護コーティング４を有する。構造用部品
１の表面５と保護コーティング４の接着はバインダーと
しての珪酸塩及び充填剤としてのアルミニウムと共に保
護コーティング４のマトリックス材料２を形成する耐高
熱性無機ラッカーによるものである。

【００１９】セラミック繊維は、例えば３層に配置され
たＳｉＯ₂／Ａｌ₂Ｏ₃からなるセラミック繊維3a, 3
b,3cを含むマトリックス材料２の中に埋設されている。
図において繊維3bは、横に延びるように示されている。
しかし、一本以上の縦方向に延びる繊維3bがあり、中間
繊維層を形成している。複数の横方向の繊維3a, 3cが、
更に二つの繊維層を形成している。これらの繊維層は互
いに織り混ぜられており、織布を形成し、或いはこれら
の繊維層は互いに織り混ぜられていない多層を単純に形
成してもよい。表面６は珪酸塩によって密封され、矢印
７の方向に保護コーティングの表面６に当たる熱酸化ガ
ス(hot oxidizing gases) の浸透から該保護コーティン
グを保護する。

【００２０】図示するように、部品の表面に確保された
チタン火から保護するための保護コーティングを有する
金属製構造用部品は次のように製造される。先ず、構造
用部品１の表面は清浄にされ、珪酸塩バインダーが表面
に塗布される。珪酸塩バインダーを乾燥した後、充填剤
としてアルミニウム粉末を含む耐高熱性無機ラッカーが
塗布される。ＳｉＯ₂／Ａｌ₂Ｏ₃の繊維材料からなる
三層3a, 3b, 3cが先ず乾燥され、灼熱され、繊維表面か
ら完全に汚れが除かれる。

【００２１】三つの繊維層3a, 3b, 3cは次に珪酸塩中に
漬けられ、乾燥され、次いで耐高熱性無機ラッカーによ
り粘着性を有する構造用部品の表面にあてがわれる。ア
ルミニウム粉末の充填剤を含む耐高熱性ラッカーが繊維
層に吹き付けられる。その後、耐高熱性無機ラッカーは
乾燥され、ベーキングされ、構造用部品１の表面５の上
の厚さ１mmの保護コーティングが形成される。

【００２２】最後に保護コーティングの表面には珪酸塩
が吹き付けられ、珪酸塩のベーキング又はバーニング(b
urning−in) のために加熱され、保護コーティングそれ
自身をガスと汚染物の侵入から保護する気密な密封部が
形成される。この例におけるコーティングの密度は1.5g
／cm³である。

【００２３】

【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明によ
ればチタン火により構造用部品の表面が損傷されること
を防止することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の構造用部品の断面図である。

【符号の説明】

１構造用部品２マトリックス材料 3a セラミック繊維 3b セラミック繊維 3c セラミック繊維４保護コーティング５構造用部品１の表面６セラミック繊維層の表面７酸化ガスの侵入方向を示す矢印

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者トーマス・ウイーラインドイツ連邦共和国 8047 カールスフエルドシラーストラツセ 17 (72)発明者ゲルハルド・ヴイドラドイツ連邦共和国 8042 オーバーシユライスハイヌクイデヌスウエグ８

Claims

【特許請求の範囲】【請求項１】少なくとも一種の珪酸塩と該珪酸塩中に
分散せしめられたアルミニウム粉末の混合物、並びに二
酸化珪素、酸化アルミニウム、二酸化ジルコニウム、及
び前記酸化物の混合物からなる群から選択された材料製
のセラミック繊維を含むマトリックス材料を備える表面
コーティングによりチタン火から保護されており、前記
セラミック繊維は前記マトリックス材料中に埋設されて
前記表面コーティングがチタン火に対する保護コーティ
ングとして形成されていることを特徴とする、金属製構
造用部品。【請求項２】前記マトリックス材料が耐高熱性無機ラ
ッカーを含むことを特徴とする請求項１に記載の部品。【請求項３】前記保護コーティングが立法センチ当た
り0.8 乃至2.0 グラムの範囲内の密度を有することを特
徴とする請求項１に記載の部品。【請求項４】前記保護コーティングが0.5 乃至20.0mm
の範囲内の厚さを有することを特徴とする請求項１に記
載の部品。【請求項５】前記保護コーティングの上に気密な表面
層を備えることを特徴とする請求項１に記載の部品。【請求項６】（ａ）二酸化珪素、酸化アルミニウム、
二酸化ジルコニウム、及び前記酸化物の混合物からなる
群から選択された酸化物製のセラミック繊維材料を加熱
し、個々の繊維の表面を充分に清浄にするように前記セ
ラミック繊維材料を乾燥し、アニールする段階、（ｂ）
前記繊維材料に珪酸塩を浸透もしくは含浸させる段階、
（ｃ）前記構造用部品の表面に、珪酸塩バインダーと前
記珪酸塩バインダー中に充填剤として分散せしめられた
アルミニウム粉末とからなる耐高熱性無機ラッカーをコ
ーティングする段階、（ｄ）乾燥及びアニールの後に、
前記繊維材料に、珪酸塩バインダーと該珪酸塩バインダ
ー中に充填剤として分散せしめられたアルミニウム粉末
とからなる前記耐高熱性無機ラッカーをコーティングす
る段階、（ｅ）前記構造用部品のコーティングされた表
面の上に前記コーティングされた繊維材料を配置する段
階、（ｆ）前記段階（ｃ）及び（ｄ）において塗布され
た前記耐高熱性無機ラッカーを乾燥し、アニール又はバ
ーニングする段階、（ｇ）前記繊維材料の表面に珪酸塩
からなる気密な層をコーティングする段階からなること
を特徴とする、金属製構造用部品の表面に保護コーティ
ングを形成する方法。【請求項７】前記コーティングの段階（ｃ）及び
（ｄ）、前記配置の段階（ｅ）及び乾燥及びアニールを
行う段階（ｆ）を、所望の厚さの前記保護コーティング
が得られるまで繰り返し、前記気密な層を形成するよう
に前記最後のコーティングの段階（ｇ）を行うことを特
徴とする請求項６に記載の方法。