JPH0547236B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は洗濯物を泡によつて洗濯するようにし
た洗濯機に関するものである。

従来例の構成とその問題点 洗濯方式は、渦巻式、攪拌式、ドラム式が世界
の各地域において主流をなしている。これらの方
式の基本構成等を簡単に説明する。

まず渦巻式及び攪拌式は、洗濯槽の内底部に、
回転翼（パルセータ）、あるいは攪拌翼アジテー
タ）を回動自在に配設してあり、洗濯槽内に水、
洗剤および洗濯物を投入し、パルセータを回転、
あるいは攪拌翼を揺動させて、洗濯物に機械力を
与えて汚れを落とすものである。

次にドラム式は、内側に普通３個の突起（バツ
フル）を設けたドラムと呼ばれるものを有してお
り、このドラムは水平方向に回転中心軸を有して
いる。そしてこのドラム内に約1/3程度の水を入
れるとともに適量の洗剤を投入し、更に洗濯物を
投入してこのドラムを回転させる。このとき、洗
濯物は上記ドラム内のバツフルにより持ち上げら
れ上方にくると自然落下し、水面との衝撃にて汚
れを落とすものであつていわゆる「叩き洗い」の
一種である。

上記したいずれの方式においても、基本的には
水系によつて洗濯物に機械力を与え、洗剤の化学
作用の働きと相まつて汚れを落とすしくみになつ
ている。

また上記した方式は、いずれも洗濯物には相当
の機械力を与えるため、布傷みが生ずる。もつと
も洗濯方式の違いによつて布傷みの程度の差はあ
り、一般的には渦巻式、攪拌式、ドラム式の順に
布傷みが大きいと言える。その代わり、洗浄効率
は、布傷みの大きい渦巻式、攪拌式、ドラム式の
順に良く、言うなればやはり機械力の大きい方が
良く洗えるということになる。

又、ドラム式では洗浄効率の悪さを補なうため
洗濯には湯を使用している。攪拌式においても湯
が使われる場合が多いが、最近では洗剤の性能向
上、すなわち、低温水での洗浄性能向上により、
水を使用されるようになつてきている。

しかし、上記ドラム式の場合に湯が使われる
は、単に洗濯効率を補うためだけではない。この
ドラム式が多く使われているヨーロツパでは、水
質の悪さ、すなわち、硬度が高いということの影
響もあるが、一般に移用者の洗濯に対する衛生観
念によるところが大で、洗濯は細菌、雑菌を殺菌
することに重点が置かれているため、高温洗浄の
形態がとられている。

これに対し、日本の場合、水質が良く、普通の
水で洗濯する習慣も手伝い、ヨーロツパの高温洗
浄に対して、低温洗浄（水温のまま）がほとんど
である。又、洗濯に対する観念も殺菌というより
も洗い上がりの白さに重点が置かれている。この
点はやはりヨーロツパと日本との洗濯に対する基
本的な考え方の相違である。

以上のように各種方式の洗濯機によつて各々長
所、短所があるが、いずれにしてもまず現存する
洗濯機では布傷みが生じやすい。したがつて、ニ
ツト類等は、ほとんど手洗い又はドライクリーニ
ングによつて処理されているのが現状である。

次に水系で洗うため、一定濃度の洗濯液が必要
であり、しかも、前述した各方式では一定の浴比
（単位洗濯量に対する水量）が必要であつて洗剤
量は汚れの量に対して多すぎる傾向にある。

又、殺菌についても決してなおざりにできる問
題ではないと考えられる。洗剤には殺菌効果はな
く日本の場合はすすぎ時に流し出すことによつて
除去する程度であり、最近の節水化にも伴いすす
ぎ水の節約が進められ、菌の除去効果は劣りつつ
あると言える。このように、従来の洗濯機におい
ては、数々の問題がある。

またこれまでに布傷みを解消することなどから
種々の方式が提案されており、その一つとしてジ
エツト噴流式と呼ばれるものがある。これは洗濯
槽内の洗剤液をポンプによつて再び洗濯槽内に循
環させることにより、槽内の洗濯液に水流を起こ
し、この水流の力及びポンプから噴出される洗濯
液そのものの力によつて洗濯物に機械力を与え、
汚れを落とすものである。この方式のものは、前
述の方式のどれよりも布傷みは少ないが、洗浄効
率が悪く、又浴比も大きくなり不経済であること
などから最近では全く使用されていない。

そこで、上記従来の洗濯方式の問題を払拭する
ために発明者は、洗濯物に洗剤泡を接触又は通過
させることにより洗濯を行うことを提案した。こ
の方式は洗剤および水使用量の削減をはかり、か
つ除菌効果のあるすぐれた洗浄効果を発揮し、し
かも布傷みも少ないというすぐれた特徴を有する
ものである。しかし、この洗剤泡による洗濯をよ
り効果的に行わせるためには洗濯後の洗剤泡の処
理をいかに行わせるかということが一つの技術課
題である。

発明の目的 本発明は洗剤泡による洗濯方式において、洗濯
後の洗剤泡をすみやかに消泡して、洗剤泡方式の
特徴をより一層向上させ、洗濯効率を高めること
を目的とするものである。

発明の構成 本発明の洗濯機は、洗濯物を収容する洗濯槽
と、洗剤液に圧送空気を送り洗剤泡を洗濯槽に供
給する洗剤泡の発生手段と、洗濯後の洗剤泡を洗
濯槽外へ導く泡排出管と、この泡排出管の一部に
設けた消泡装置とを備え、消泡装置は、洗剤泡を
中央部より吸い込み円周方向に分散する遠心フア
ンを洗剤泡の流れの中に配設して構成したもの
で、遠心フアンによる泡の吸込力と分散力（遠心
力）により効果的に破泡して泡排出管を流れる洗
剤泡の抵抗を弱めることで洗濯物への新たな洗剤
泡の供給を促進し洗濯効率を高めたものである。

実施例の説明 まず、洗濯についての一般的な説明を第１図〜
第３図をもとに説明する。一般に洗剤分子Ａをモ
デル的に表わすと、第１図のように、親水基ａと
親油基ｂとからなる。そこで、洗剤を水に溶かし
た状態を表すと第２図のように界面（水面）に洗
剤分子Ａが整列し、並びきれない洗剤分子は水中
に個々又はミセル（集団）として存在する。そし
て、界面の洗剤分子が取り除かれると直ちに水中
の洗剤分子が界面に移動し補充する働きがある。

したがつて、例えば第３図に示すように、洗剤
液に空気Ｂを送り込むと、液中では気泡Ｃが上昇
して界面に達する。界面に達すると、界面で整列
した洗剤分子Ａをそのまま泡の膜に保持したかた
ちの泡Ｄが発生する。即ち、洗剤分子Ａをできる
だけ並べた泡Ｄとなり、洗剤濃度としては高濃度
である。そしてこのとき泡として持ち去られた洗
剤分子Ａの補充には、液中の洗剤分子が移動する
ことになり、空気Ｂを次々送れば前記の泡Ｄが
次々と作られることになる。そしてこの泡は膜の
内外に当然のことながら親油基ｂを向けているこ
とになる。

このようにして作られた泡Ｄを、汚れた衣類の
表面あるいは衣類を通過させることによつて前述
の親油基ｂに油および油に付着した粒子汚れを結
合して持ち去ることになる。又、泡Ｄが衣類通過
中に破泡すると衣類に高濃度の洗剤液がしみこむ
ことになり、これによつても汚れが落ちやすい状
態となり得る。このようにして衣類の洗浄が可能
となるものである。

本発明は上記した原理にもとづいて洗濯を行わ
せたもので、以下第４図〜第９図をもとに説明す
る。

１は洗濯物２を収容する洗濯槽、３はこの洗濯
槽１に連設した洗剤液を貯溜部であり、底部には
バルブ４を介して排水口５を設けると共に、圧送
空気を起こす送風機６に連なる圧送管７を備えて
いる。そして、貯溜部３、送風機６および圧送管
７は、洗剤液から洗剤泡を発生させる洗剤泡の発
生手段８を構成している。一方洗濯槽１上部には
洗剤泡を洗濯槽１外へ導くための泡排出管９が設
けられており、この泡排出管９は洗濯機外部へ連
なる排出ホース１０に連なつている。

又洗濯槽１内には上方部及び下方部に各々多孔
体１１，１２を配してあつて、この両者の多孔体
１１，１２間に洗濯物２を収容するようにしてあ
る。なお、洗濯槽１の上方および多孔体１１，１
２は適宜開放したり取外したりすることができる
ようになつている。１３は洗濯機枠、１４は脚で
ある。

そして、１５は泡排出管９の一部に設けた消泡
装置で詳細は後記する。

上部構成の洗濯機において洗剤液１６を洗濯槽
の貯溜部３に投入し、空気を洗濯槽底部より圧送
管７を通して圧送することにより、洗剤泡１７を
発生させ、この洗剤泡１７が洗濯物２に接触又は
通過することにより洗浄できるしくみになつてい
る。そしてこの洗濯物２に接触又は通過した洗剤
泡１７は洗濯槽上部の多孔体１１を通り泡排出管
９より外部へと排出されるものである。なお上方
部の多孔体１１は洗濯物２が洗浄泡１７によつて
押し流されないようにするためのものである。

以上のようにして洗浄が行われるわけである
が、洗剤泡１７の粘性は高く滑らかに泡排出管９
を流れにくく、そのため洗剤泡１７の上昇速度、
即ち洗濯物２に接触又は通過する力が弱められる
恐れがある。このため洗浄効率が低下したりする
問題が生じる。

しかし泡排出管９の途中には消泡装置１５を備
えている。したがつて排出されてきた洗剤泡１７
は上記消泡装置１５により消泡され洗剤液として
排出されるものである。それ故、洗剤泡のときの
体積が、液化することにより一挙に小さくなり、
洗剤泡１７は実に滑らかに排出される。

ここで、消泡装置１５の一実施例を第５図、第
６図に示す。これは遠心フアン２１を図のように
洗剤泡の流れの中に配設する。この遠心フアン２
１を回転させることにより、上部より送られてき
た洗剤泡１７は遠心フアン２１の中央部２２より
吸い込まれ、羽根２３に沿つて円周方向に分散さ
れ、このときの吸込力と分散力（遠心力）による
機械力によつて破泡されるものである。

発明の効果 以上のように本発明の洗濯機は、洗剤泡による
洗濯方式であつて、遠心フアンによる泡の吸込力
と分散力（遠心力）による機械力による効果的な
破泡により、より滑らかな洗剤泡の流れを提供し
洗濯効率を向上させているものであり、その価値
はきわめて大きい。

【図面の簡単な説明】

第１図は洗剤分子を示す拡大図、第２図は洗剤
を水に溶かした状態を示す概略断面図、第３図は
第２図の状態に空気を送り込んだ状態を示す概略
断面図、第４図は本発明の一実施例を示す洗濯機
の断面図、第５図は本発明の洗濯機に用いた消泡
装置の断面図、第６図は第５図に示す遠心フアン
の斜視図である。 １……洗濯槽、２……洗濯物、３……貯溜部、
６……送風機、７……圧送管、８……洗剤泡の発
生手段、９……泡排出管、１５……消泡装置、１
７……洗剤泡、２１……遠心フアン。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 洗濯物を収容する洗濯槽と、洗剤液に圧送空
   気を送り洗剤泡を洗濯槽に供給する洗剤泡の発生
   手段と、洗濯後の洗剤泡を洗濯槽外へ導く泡排出
   管と、この泡排出管の一部に設けた消泡装置とを
   備え、消泡装置は、洗剤泡を中央部より吸い込み
   円周方向に分散する遠心フアンを洗剤泡の流れの
   中に配設して構成した洗濯機。