JPH0545724B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明は橋梁メンテナンス装置に係り、特に主
として道路用橋梁又は高架道路の下面部の鋼材の
錆、塗装のはがれ、あるいはコンクリート床板の
ひび割れ等を点検、補修するためのものであつ
て、移動性に優れた橋梁メンテナンス装置に関す
る。

［従来の技術］ 従来、橋梁の下面部をメンテナンスするには橋
梁下面部の比較的広範囲にわたり作業足場を仮設
して行なうのが一般的であるが、仮設費節減等の
観点から移動可能なメンテナンス装置が要求され
つつある。この種の移動式メンテナンス装置にあ
つては橋梁上の道路に停止した走行車から橋梁の
側面下方に延びるアームを設け、このアームの先
端に橋梁の下面部をメンテナンスを行なうべく検
査手段あるいは作業台を設けたものが知られてい
る。

また橋梁にメンテナンス装置を直ちに取付ける
ものにあつては橋梁下面部に橋梁に沿つて専用レ
ールを取付け、これに専用検査車を懸吊走行させ
るものが知られており、専用レールの取付が困難
な既設の橋梁の場合には、例えば橋梁の側端部に
位置される高欄にメンテナンス装置の基部を設置
し、この基部より高欄の側面下方までアームを懸
吊して設け、このアーム先端に検査手段あるいは
作業台を設けて橋梁の下面をメンテナンスする概
念のものが提案されている。

［発明が解決しようとする問題点］ しかしながら、前者の如く橋梁上に走行車を停
車させてメンテナンスを行なうことは交通の妨げ
となつたり高速道路のように迂回できない所では
問題となる。

また後者の如く、橋梁の高欄にメンテナンス装
置の基部を設置することは、上記道路事情に左右
されるという問題はないが、既設の高欄はその強
度面に問題があり、メンテナンス装置を取付ける
に際し補強を必要とし、更に照明ポストあるいは
防音壁を設けた場所にあつてはそれらが障害とな
つてメンテナンス装置を取付けることが不可能な
ことから、その応用範囲は極めて狭いという問題
があつた。

このような課題に対して、橋梁の橋桁に沿つて
移動できるようにした点検足場（特開昭59−
145807号公報、及び特開昭59−130904号公報）が
提案されている。ただし前者の構成は、橋桁間を
移動するために一端側に設けた取付旋回装置で回
転するようになつているので、旋回によつて生ず
る遠心力及び片支持であることによるモーメント
荷重により、旋回支持点に大きな負担がかかると
共に、目標の橋桁を把持するまでの姿勢が不安定
で危険が伴うと考えられる。また後者の構成で
は、橋桁間を移動するために横桁或いは横断用レ
ールを使用するようになつているので、適当な横
桁がない橋梁では適用できない、或いはレール敷
設という余計な工事を必要とする、という課題が
残されていると考えられる。

そこで本発明は、上記事情に鑑み、橋桁に沿つ
て移動できると共に、橋桁間の移動にレールなど
を必要とせず、しかも安全性の高い橋梁メンテナ
ンス装置を提供すべく創案されたものである。

［課題を解決するための手段］ 本発明は、橋桁に着脱自在にクランプする主ク
ランプ手段と、主クランプ手段に旋回自在に支持
された旋回台と、旋回台に垂設された支持フレー
ムと、支持フレームに橋桁下の水平方向に沿つて
走行移動自在に支持された作業足場と、作業足場
の両端部に設けられ橋桁の長手方向に沿つて直進
するときに橋桁に着脱自在にクランプする第一の
補助クランプ手段と、作業足場に設けられ旋回台
の動作により方向転換して橋桁間を横断するとき
に橋桁に着脱自在にクランプする第二の補助クラ
ンプ手段と、橋桁に対して作業足場を昇降移動さ
せる昇降手段とを備えたものである。

［作用］ 上記構成によつて、作業足場は、主クランプ手
段及び第一の補助クランプ手段の着脱と、支持フ
レームに対する相対移動とにより橋桁の長手方向
に沿つて移動し、点検・補修作業を行う。他の橋
桁に移動する際は、主クランプ手段が橋桁にクラ
ンプした状態で旋回台を回転させ、主クランプ手
段及び第二の補助クランプの着脱と、支持フレー
ムに対する相対移動とにより橋桁を横断する方向
に移動し、目標地点に到達したなら、旋回台の回
転により橋桁に沿つた姿勢にする。

［実施例］ 以下に本発明の好適一実施例を添付図面に従つ
て詳述する。

橋梁下面には第１図に示すように、その長手方
向に沿つて、且つ幅方向に間隔を隔てて並列に橋
桁１が配設される。この橋桁１は断面Ｉ字形状で
形成され、下部には幅方向両側に拡張させてフラ
ンジ部１ａが形成されている。そして本橋梁メン
テナンス装置２はこのフランジ部１ａで一対の橋
桁１に懸吊される。

橋梁メンテナンス装置２は主に、橋桁１に着脱
自在にクランプする主クランプ手段３と、主クラ
ンプ手段３に旋回自在に支持された旋回台４と、
旋回台４に垂設された支持フレーム５と、支持フ
レーム５に、橋桁１下の水平方向に沿つて走行移
動自在に支持された作業足場６と、作業足場６を
昇降移動させる昇降手段７と、作業足場６の両端
部に設けられた橋桁１に着脱自在にクランプする
一対の補助クランプ手段８と、作業足場６を支持
フレーム５に固定するためのロツク手段９とから
構成される。主クランプ手段３は矩形状に形成さ
れた旋回台４の四隅に互いに間隔を隔てて配設さ
れた４つのクランプ３ａから成り、夫々相対向す
る２つずつのクランプ３ａが一組となつて一対の
橋桁１のフランジ部１ａをその幅方向から挟み込
んでクランプするようになつている。これらクラ
ンプ３ａはフランジ部１ａに対して幅方向に進退
移動して着脱するように構成され、その動作は一
般的なネジジヤツキ機構または油圧シリンダ機構
（図示せず）で行なわれるようになつている。こ
の主クランプ手段３が橋桁１にクランプすること
によりその直下に支持される旋回台４は、支持フ
レーム５に対して旋回自在に構成される。この旋
回台４の下部と枠体状に形成される支持フレーム
５の天井部５ａとの間には鉛直軸回りに相対回転
自在とする旋回輪（図示せず）が配設されると共
に、駆動機構としてウオーム歯車機構が設備され
（図示せず）、このウオーム歯車機構を作動するこ
とにより旋回輪を介して支持フレーム５と旋回台
４とが相対的に旋回するようになつている。支持
フレーム５は直方体状の枠組で形成され、相対向
する一対の側面開放部下部には、柱５ｂ間に掛け
渡して桁材５ｃが介設される。そしてこの支持フ
レーム５には、他の相対向する一対の側面開口部
間に貫通され延長されて作業足場６が設けられ
る。この作業足場６は台盤６ａ上に手摺６ｂが周
設され、その内側に作業員が搭乗して作業できる
ようになつている。また作業足場６には、台盤６
ａの側部にその長手方向に沿つて水平に延長され
てレール６ｃが形成され、作業足場６はレール６
ｃが支持フレーム５の柱５ｂの下部に配置された
ローラ５ｄに上下方向から挟持されて支持フレー
ム５に対して相対的に走行自在に支持される。ロ
ーラ５ｄはウインチ等により繰り出され巻き込ま
れるワイヤ等により駆動されるようになつてい
る。これら相対移動自在とされた支持フレーム５
と作業足場６との間には、これらを固定するロツ
ク手段９が設けられる。このロツク手段９は台盤
６ａからその幅方向へ出没自在に設けられた係合
ピン９ａと、支持フレーム５の下部に回動自在に
支持された係合フツク９ｂとから構成され、これ
らの係合により固定されるようになつている。ま
たロツク手段は、ワイヤのテンシヨンでロツクさ
せたり、別途ブレーキ装置を設備して構成しても
良い。また支持フレーム５には、昇降手段７が設
けられる。昇降手段７は支持フレーム５の柱５ｂ
が上下に２分割されて構成された下部柱部５ｅに
固着させたカバ５ｆ間に架設したロツド５ｇに一
端が連結され他端が天井部５ａに連結されたネジ
ジヤツキ機構で構成され、これを作動することに
よりカバ５ｆ内を上部柱部５ｈが摺動して支持フ
レーム５が上下方向に進縮され、その結果作業足
場６が昇降するようになつている。更に作業足場
６の長手方向両端部には、補助クランプ手段８が
設けられる。この補助クランプ手段８は、橋桁１
の長手方向に沿つて直進するときに橋桁１にクラ
ンプする第一の補助クランプ手段たる直進用クラ
ンプ８ａと、橋桁１間を横断するときに橋桁１に
クランプする第二の補助クランプ手段たる横断用
クランプ８ｂとから成り、これらクランプ８ａ，
８ｂ相互はその機能から90゜位相をずらして配設
される。従つてこれらクランプ８ａ，８ｂは、１
つのクランプを作業足場６に対して回転自在とす
ることにより兼用することもできる。直進用クラ
ンプ８ａは支持ポスト８ｃ上に主クランプ手段３
と略同程度の高さ位置に設けられ、作業足場６の
幅方向に進退して橋桁１のフランジ部１ａをクラ
ンプするようになつている。また横断用クランプ
８ｂは作業足場６に設けられた架台８ｄ上に作業
足場の長手方向に沿つて走行自在にかつ油圧シリ
ンダ機構等（図示せず）によつて昇降自在に設け
られ、作業足場６の長手方向に進退して橋桁１の
フランジ部１ａをクランプするようになつてい
る。これらの進退移動はネジジヤツキ機構８ｅ等
によつて行なわれるようになつている。

次に橋梁メンテナンス装置の運転方法について
述べる。

第２図に従つて橋桁１の長手方向に沿う直進状
態から橋桁１間に移動する横断状態を順次説明す
る。

先ず状態は、メンテナンス作業中の停止状態
が示されており、主クランプ手段３が一対の橋桁
１間にクランプして作業足場６を支持している
（図中、Ａで示す）。殊にこの作業中は、ロツク手
段９が掛けられて支持フレーム５と作業足場６が
固定される。

状態は直進状態である。このときには先ず主
クランプ手段３で作業足場６を懸吊したまま昇降
手段７を駆動して作業足場６を降下させ桁下にク
リアランスをとる。次いで支持フレーム５に対し
て作業足場６を橋桁１の長手方向に沿つて走行さ
せ、所定の走行移動後昇降手段７により足場６全
体を上昇させて直進用クランプ８ａを橋桁１にク
ランプさせる（図中、Ｂで示す）。このようにし
て作業足場６を両端支持させたら次いで主クラン
プ手段３を外し、〓後支持フレーム５を足場６に
対して走行させて所定位置まで移動し、ここで主
クランプ手段３を橋桁１にクランプさせる（図
中、Ｃで示す）。主クランプ手段３を掛けたなら
ば直進用クランプ８ａを外すと共にロツク手段９
を掛ける。

次いで状態は横断するための作業足場６の旋
回動作を示している。これは作業足場６を主クラ
ンプ手段３で懸吊させたまま旋回台４に対して支
持フレーム５を回転させることにより行なわれ
る。ロツク手段９は勿論掛けられている。これに
際し、作業足場６の重心が旋回中心たる主クラン
プ手段３のほぼ直下に位置されているため旋回に
伴なうモーメントの発生をほとんど抑止できる。

次いで状態は横断状態を示している。主クラ
ンプ手段３で作業足場６を懸吊したまま昇降手段
７より作業足場６を降下させ、次いで作業足場６
を隣接する橋桁１側へ移動し張り出すと共に横断
用クランプ８ｂを作動して近隣の橋桁１をその幅
方向から挟み込むように接近し、最後に作業足場
６を上昇させると共に横断用クランプ８ｂを橋桁
１にクランプする（図中、Ｄで示す）。ここで、
作業足場６は横断用クランプ８ｂと主クランプ手
段３とで両持支持状態となつており、このとき橋
桁１間のメンテナンス作業を行なうこともでき
る。次いで主クランプ手段３を外して下降させ支
持フレーム５を隣接する橋桁１へと移動し再び主
クランプ手段３を橋桁１にクランプさせ（図中、
Ｅで示す。）、その後横断用クランプ８ｂを外すと
共にロツク手段９を掛けて支持フレーム５と作業
足場６とを固定する。

最後に旋回台４に対して支持フレーム５を回転
させれば上述したと同様（状態）の旋回動作が
達成され、作業足場６は橋桁１の長手方向に沿つ
て位置され継続して隣接する橋桁１下のメンテナ
ンス作業を行なうことができる（状態）。

以上説明した本発明にあつては、橋梁上の交通
に影響を及ぼすことなく、また照明ポスト等に移
動を妨げられることなく、上述した作業を繰り返
すことにより橋梁の下面部全域に渡つて容易に移
動させることができ、広範囲にメンテナンス作業
を施すことができる。

そして橋桁１間を移動する際には、旋回に先立
つて主クランプ手段３を作業足場６の重心に位置
させることで、モーメント荷重などが作用するこ
とがない安定した旋回がなされると共に、90度回
転した後に主クランプ手段３及び横断用クランプ
８ｂを着脱させながら作業足場６を横断させるよ
うにしたので、安全確実に目標の橋桁１に到達で
きる。

また橋桁１にのみ支持されつつこれを横断する
ようにしたので、本発明の装置は横桁のない橋
梁、或いはあつても作業足場を支持できないよう
な横桁を有した橋梁にも広く適用でき、また横断
用レールも必要ない。

第３図には橋梁メンテナンス装置２の他の実施
例が示されている。本実施例は主クランプ手段を
昇降させるかわりに、両端部の補助クランプ手段
を昇降可能としたもので昇降手段７が油圧シリン
ダ手段等で構成され直進用クランプ８ａの支持ポ
スト８ｃに設置されている。これは、支持フレー
ム５周辺に機器が稠密化して構造が複雑化するの
を防ぐものである。

［発明の効果］ 以上要するに本発明によれば次のような優れた
効果を発揮する。

橋桁に着脱する主クランプ手段と、主クランプ
手段に旋回自在に支持された旋回台と、旋回台に
垂設された支持フレームと、支持フレームに走行
移動自在に支持された作業足場と、橋桁の長手方
向に沿つて直進するときに橋桁に着脱する第一の
補助クランプ手段と、橋桁間を横断するときに橋
桁に着脱する第二の補助クランプ手段と、作業足
場を昇降移動させる昇降手段とを備えたので、橋
桁に沿つて容易に移動することができて、広範囲
に効率よくメンテナンス作業を行うことができる
と共に、横断用のレール等を使用することなく安
定した旋回により安全確実に橋桁間を移動するこ
とができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に係る橋梁メンテナンス装置の
好適一実施例を示す斜視図、第２図は本発明に係
る橋梁メンテナンス装置の運転状態を示す平面
図、第３図は変形例を示す斜視図である。 図中、１は橋桁、３は主クランプ手段、４は旋
回台、５は支持フレーム、６は作業足場、７は昇
降手段、８ａは第一の補助クランプ手段たる直進
用クランプ、８ｂは第二の補助クランプ手段たる
横断用クランプである。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 橋桁に着脱自在にクランプする主クランプ手
   段と、該主クランプ手段に旋回自在に支持された
   旋回台と、該旋回台に垂設された支持フレーム
   と、該支持フレームに上記橋桁下の水平方向に沿
   つて走行移動自在に支持された作業足場と、該作
   業足場の両端部に設けられ上記橋桁の長手方向に
   沿つて直進するときに該橋桁に着脱自在にクラン
   プする第一の補助クランプ手段と、上記作業足場
   に設けられ上記旋回台の動作により方向転換して
   上記橋桁間を横断するときに該橋桁に着脱自在に
   クランプする第二の補助クランプ手段と、上記橋
   桁に対して上記作業足場を昇降移動させる昇降手
   段とを備えたことを特徴とする橋梁メンテナンス
   装置。