JPH0545264U - 車両用デイスクブレーキ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 非制動時における摩擦パッドの引き摺りを防
止するともに、車輪の脱着、摩擦パッドやピストンシー
ルの交換時などにディスクロータの摩擦パッド間への挿
入を容易にする。 【構成】 シリンダ孔５ｂ，６ｂから突出するピストン
９，１０の外周面に形成した溝部９ｂ，１０ｂに、板状
のリテーナ１１のピストン挿着凹部１１ａ，１１ｂを係
合するとともに、、リテーナ１１のディスク内周側に形
成した舌片１１ｆを摩擦パッド４のディスク内周側に掛
止して、ピストン９，１０と摩擦パッド４とを一体化す
る。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、自動二輪車等の各種の走行車両に用いられるディスクブレーキであ って、詳しくは、非制動時における摩擦パッドの引き摺りを防止した車両用ディ スクブレーキに関する。

【０００２】

【従来の技術】

例えば、実開平３−２６８４１号公報に示されるディスクブレーキは、車輪と 一体に回転するディスクロータの両側に配置した一対の摩擦パッドを、キャリパ のシリンダ孔に内挿したピストンを突出させてディスクロータに押圧して制動作 用を行い、制動が解除されると、ピストンはピストンシールの働きによってシリ ンダ孔底部側へ引き戻されるが、摩擦パッドはディスクロータとの競りによって 戻される。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

しかし、ディスクロータとの競りだけでは摩擦パッドがディスクロータの側面 から完全に離間しないことがあり、非制動時に摩擦パッドがディスクロータに触 れていわゆる引き摺りを生じて摩擦パッドが偏磨耗することがある。また、車輪 の脱着、摩擦パッドの交換時等に、両摩擦パッドの間隔が狭くなって、ディスク ロータの摩擦パッド間への挿入が困難であるという問題がある。

【０００４】 本考案は、このような実情に鑑みてなされたもので、ピストンと摩擦パッドと を一体的として、非制動時の引き摺りを防止するともに、車輪の脱着、摩擦パッ ドの交換時等にディスクロータの摩擦パッド間への挿入が容易な車両用ディスク ブレーキを提供することを目的としている。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

本考案は、車輪と一体に回転するディスクロータに摺接する摩擦パッドを、キ ャリパに形成したシリンダ孔に内挿したピストンにより押圧する車両用ディスク ブレーキにおいて、前記シリンダ孔から突出する前記ピストンの外周面に、摩擦 パッドの押圧面に平行な溝部を形成し、板状のリテーナに前記ピストンの挿着凹 部を形成するとともに、該リテーナのディスク内周側に舌片を形成し、該リテー ナの挿着凹部周囲を前記ピストンの溝部に係合し、前記舌片を前記摩擦パッドの ディスク内周側に掛止したこと、更に前記リテーナを断熱材により形成したこと を特徴とする。

【０００６】

【作用】

かかる構成によれば、リテーナの挿着凹部周囲をピストンの外周面に形成した 溝部に係合するとともに、リテーナのディスク内周側に形成した舌片を摩擦パッ ドのディスク内周側に掛止することにより、ピストンと摩擦パッドを一体化して 、ピストンのシリンダ孔底部側への移動に伴って摩擦パッドを引き戻す。また、 断熱材のリテーナにより摩擦パッドの摩擦熱がキャリパボディに伝わるのを防止 する。

【０００７】

【実施例】

以下、本考案を異径対向ピストン型キャリパを有する車両用ディスクブレーキ に適用した一実施例を図面に基づいて説明する。

【０００８】 ディスクブレーキ１のキャリパ２は、車輪と一体に回転するディスクロータ３ の両側に対向配置される一対の摩擦パッド４，４をそれぞれ押動する第１キャリ パ半体５と第２キャリパ半体６とを４本のボルト７で締結している。

【０００９】 第１キャリパ半体５は、作用部５ａに２つの異径シリンダ孔５ｂと、摩擦パッ ド４，４をディスクロータ軸方向へ移動可能に吊持するハンガーピン８の挿通孔 ５ｃを形成し、該作用部５ａのディスクロータ３外周側に形成されるブリッジ部 ５ｄには、作用部５ａの外周側に開口５ｅを形成している。

【００１０】 第２キャリパ半体６も同様に、作用部６ａに２つの異径シリンダ孔６ｂと、摩 擦パッド４，４をディスクロータ軸方向へ移動可能に吊持するハンガーピン８の 挿通孔６ｃを形成し、ブリッジ部６ｄの作用部６ａの外周側に開口６ｅを形成し ている。

【００１１】 上記第１キャリパ半体５と第２キャリパ半体６とは、シリンダ孔５ｂ，５ｂと シリンダ孔６ｂ，６ｂとをそれぞれ対向して突き合わせ、前記４本のボルト７で 締結しており、第１キャリパ半体５の挿通孔５ｃと第２キャリパ半体６の挿通孔 ６ｃに挿通されるハンガーピン８を、各摩擦パッド４，４の裏板４ａ、４ａに挿 通して、摩擦パッド４，４を吊持している。

【００１２】 また、大径のシリンダ孔５ｂ，６ｂにはピストン９が、小径のシリンダ孔５ｂ ，６ｂにはピストン１０がそれぞれ内挿されており、これら各ピストン９、１０ にはそれぞれが内挿しているシリンダ孔５ｂ，６ｂから突出する外周面に、摩擦 パッド押圧面９ａ，１０ａに平行な溝部９ｂ，１０ｂが周設されている。

【００１３】 上記溝部９ｂ，１０ｂには、断熱性を有する例えばステンレス製の板状のリテ ーナ１１が装着されている。

【００１４】 リテーナ１１は、前記溝部９ｂ，１０ｂに嵌入する厚さの板材を打ち抜いて、 ディスク内周側を開口したピストン挿着凹部１１ａ，１１ｂを、前記溝部９ｂ， １０ｂに嵌入する幅で、ディスク外周側は溝部９ｂ，１０ｂと略同様の曲率を有 する円弧状に形成し、該ピストン挿着凹部１１ａ，１１ｂの形成により残された ３本の脚１１ｃ，１１ｄ，１１ｅの下端に、ディスク側へ屈曲する端面Ｌ形の舌 片１１ｆをそれぞれ形成している。

【００１５】 該リテーナ１１は、ピストン９、１０に上方から嵌めてピストン挿着凹部１１ ｂ，１１ｃ周囲を溝部９ｂ，１０ｂに挿着させて係合するとともに、舌片１１ｆ を摩擦パッド４の裏板４ｂのディスク内周側に掛止している。

【００１６】 このように構成することにより、ピストン９，１０と摩擦パッド４が一体化し 、ピストン９，１０がシリンダ孔底部側への移動に伴って摩擦パッド４をシリン ダ孔底部側へ引き戻すので、非制動時には摩擦パッド４が確実にディスクロータ ３の側面から離間されるから、ディスクロータ３との引き摺りを防止できる。

【００１７】 また、車輪の脱着、摩擦パッド４，４の交換時等に、両摩擦パッド４，４の間 隔が狭くならないので、ディスクロータ３の摩擦パッド４，４間への挿入が容易 にできる。

【００１８】 殊に、リテーナ１１は構造が複雑でなく安価且つ容易に製造することができる とともに、上方からピストン９，１０の溝部９ｂ，１０ｂに挿着させて係合する とともに、舌片１１ｆを摩擦パッド４，４に掛止するだけでよいので、装着もき わめて簡単であり、しかも係合が確実で走行時に脱落する心配もない。

【００１９】 また、リテーナ１１が断熱効果を発揮して制動熱がキャリパ２に伝わることに よる作動液の温度上昇を防止することができる。

【００２０】 尚、本実施例は異径対向ピストン型キャリパを有する車両用ディスクブレーキ について本考案を実施した場合を示したが、本考案は、車輪と一体に回転するデ ィスクロータに摺接する摩擦パッドを、キャリパに形成したシリンダ孔に内挿し たピストンにより押圧する車両用ディスクブレーキであれば、他の形式の車両用 ディスクブレーキについても同様に実施することができることは言うまでもない 。

【００２１】

【考案の効果】

本考案は以上説明したように、キャリパのシリンダ孔から突出するピストンの 外周面に、板状のリテーナを係合し、該リテーナのディスク内周側に形成した舌 片を摩擦パッドのディスク内周側に掛止したため、ピストンと摩擦パッドが一体 化し、ピストンがシリンダ孔底部側への移動に伴って摩擦パッドをシリンダ孔底 部側へ引き戻すので、非制動時には摩擦パッドが確実にディスクロータの側面か ら離間されるから、ディスクロータとの引き摺りを防止できる。

【００２２】 また、車輪の脱着、摩擦パッドの交換時等に、両摩擦パッドの間隔が狭くなら ないので、ディスクロータの摩擦パッド間への挿入が容易にできる。

【００２３】 さらに、リテーナを断熱性を有する板材で形成することにより、制動熱がキャ リパに伝わることによる作動液の温度上昇を防止することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 図３のＩ−Ｉ断面図

【図２】 リテーナおよびピストンを示す斜視図

【図３】 本考案の一実施例を示す断側正面図

【符号の説明】

１…ディスクブレーキ、２…キャリパ、３…ディスクロ
ータ、４，４…摩擦パッド、５ｂ，６ｂ…シリンダ孔、
９，１０…ピストン、９ａ，１０ａ…摩擦パッド押圧
面、９ｂ，１０ｂ…溝部、１１…リテーナ、１１ａ，１
１ｂ…ピストン挿着凹部、１１ｆ…舌片。

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 車輪と一体に回転するディスクロータに
   摺接する摩擦パッドを、キャリパに形成したシリンダ孔
   に内挿したピストンにより押圧する車両用ディスクブレ
   ーキにおいて、前記シリンダ孔から突出する前記ピスト
   ンの外周面に、摩擦パッドの押圧面に平行な溝部を形成
   し、板状のリテーナに前記ピストンの挿着凹部を形成す
   るとともに、該リテーナのディスク内周側に舌片を形成
   し、該リテーナの挿着凹部周囲を前記ピストンの溝部に
   係合し、前記舌片を前記摩擦パッドのディスク内周側に
   掛止したことを特徴とする車両用ディスクブレーキ。
2. 【請求項２】 前記リテーナを断熱材により形成したこ
   とを特徴とする請求項１記載の車両用ディスクブレー
   キ。