JPH0536336Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 【産業上の利用分野】

この考案は、操作管の先端部に回転作業体を備
え、動力源の回転出力を操作管内に通挿した伝動
軸を介して回転作業体に伝達し、これを回転させ
るように構成された携帯式動力刈払機の改良に関
する。

【従来の技術】

この種の一般的な携帯式動力刈払機は、操作管
の先端部に、この操作管に対してたとえば30°程
度の一定の傾斜を与えて回転刃を支持している。
この一般的な刈払機によれば、操作管をその軸回
りに回転操作することにより、回転刃の機体中心
軸回り、すなわち、操作管の軸回りの回転姿勢を
調整することができる。 しかしながら、回転刃を傾斜した土地あるいは
曲面状の土地に対して一定間隔隔てて平行に位置
させながら、切り株の長さが一定となるように草
本を迅速的確に刈払うためには、回転刃の角度
を、機体中心軸、すなわち操作管の軸回りに調整
しうるだけでは不十分であり、さらに、操作管の
中心軸に対する角度をも変化させうるようにし、
換言すると、回転刃を左右方向のみならず、前後
方向にも角度調整しうるようにすることが望まし
い。 このような要請を一応満足するものとして、た
とえば、実公昭60−13322号公報に示されるよう
な携帯式動力刈払機が提案されている。 この公報に示される携帯式動力刈払機は、エン
ジンと一体的な支持筒内に操作管を軸方向相対摺
動可能に通挿支持させる一方、操作管の先端部に
設けた回転刃支持杆に回転刃支持ブラケツトを枢
動可能に支持させるとともにこの回転刃支持ブラ
ケツトに回転刃を取付け、上記回転刃の軸とエン
ジンの出力軸とを少くとも操作管の先端付近と回
転刃間は可撓性を有する管で被覆された、少くと
も先端部は可撓性を有する伝動軸で連結し、か
つ、上記支持筒と操作管の相対動を許容すること
と、相対動を阻止することができるロツク機構を
設けて構成される。 上記ロツク機構を解除して操作管を支持筒に対
して軸方向に相対動させると、伝動軸の全長は変
化しないにもかかわらず、支持筒、操作管ないし
回転刃支持杆の全長が変化するため、これによつ
て可撓杆に作用する圧縮力または引張り力が回転
刃支持ブラケツトを枢動させ、回転刃の前後方向
の角度が変化させられる。こうして回転刃の前後
方向の角度を所望のように調節した後、ロツク機
構によつて支持筒と柄杆とを互いに固定すると、
回転刃の前後方向の角度は、上記調節後の角度に
保持される。

【考案が解決しようとする問題点】

しかしながら、上記の公報に示された、回転刃
の前後方向の角度調整機構をもつた刈払機におい
てもなお、その角度調整の作業性に不満があつ
た。 すなわち、回転刃の前後方向の角度を調節する
には、ロツク機構を解除し、操作管を支持筒に対
して所望量スライドさせ、その後ロツク機構によ
り操作管を支持筒に対してロツクするという、少
くとも３つの動作からなる一連の作業が必要であ
つたからである。 この考案は、以上の事情のもとで考え出された
ものであつて、回転刃の前後方向の角度調整を単
一の動作でできるようにし、回転刃姿勢の調整の
作業性を飛躍的に高めるとともに、重量増加を招
くことなく、かつ信頼性をも保持した携帯式動力
刈払機を提供することをその課題とする。

【問題を解決するための手段】

上記の従来の問題を解決するため、この考案で
は、次の技術的手段を講じている。 すなわち、本考案の携帯式動力刈払機は、エン
ジンが基端に連結された操作管と、この操作管の
先端において、回転作業体を操作管の前後方向に
枢動可能に支持し、かつ回転作業体が常時一方向
に枢動するように付勢して構成された回転作業体
支持機構とを備え、 上記操作管の後方適部に、操作レバーを前後方
向回動操作可能に取り付けるとともに、この操作
レバーと上記回転作業体支持機構とを可撓性ケー
ブルでつなぎ、上記操作レバーを回動操作すると
上記回転作業体が前後方向に枢動するように構成
し、 かつ、上記操作レバーに、上記回転作業体支持
機構に与えた付勢力を抗してこの操作レバーを所
定回動角度ごとに節度感をもつて段階係止しうる
段階位置決め機構を設けたことを特徴としてい
る。

【作用】

上記操作レバーは、段階位置決め機構により、
所定の回動角度ごとに節度感をもつて係止しう
る。そして上記段階位置決め機構による操作レバ
ーの係止力は、回転作業体支持機構において回転
作業体を一方向に付勢する弾力に打ち勝つように
設定されている。したがつて、上記操作レバーを
回動させると、これに伴いケーブルを介して回転
作業体支持機構に支持された回転作業体がこれに
与えられた一方向付勢力に抗して前後方向に枢動
する。そして、操作レバーが段階位置決め機構に
よつて係止されている状態においては、この係止
力が上記付勢力に打ち勝つ大きさとなつているた
め、操作レバーないし上記回転作業体は、操作後
の状態、すなわち所定のように回転作業体が枢動
させられた状態において保持される。

【効果】

以上のように、本考案の携帯式動力刈払機にお
いては、操作レバーの回動操作力がケーブルを介
して回転作業体支持機構に直接的に伝達されるの
で、操作レバーを回動操作するという一つの動作
によつて、回転作業体の前後方向の角度姿勢を所
望のように調整することができる。従来例におい
て、ロツク機構を解除し、支持筒と操作管とをス
ライドさせ、最後にふたたび支持筒と操作管とを
相対移動不能にロツクするという一連の三動作が
必要であつたことに比べれば、本考案の刈払機に
おける回転作業体の姿勢調整の操作性が飛躍的に
高められていることは明白である。 しかも、本考案では、回転支持機構に一方向の
付勢力を与える一方、上記操作レバーの段階位置
決め機構に、上記付勢力に対抗しうる段階位置決
め力を与えているから、これらの間を引つ張り力
のみを伝達しうる一本のケーブルで連結すれば足
りる。ケーブルは、たとえば複数本の金属細線を
撚り合わせて外径を1.5mm程度としたもので十分
であり、操作管に沿つて見栄えよく配索するのに
都合がよく、また機体全体の重量増加を招かな
い。 さらに、上記操作レバーの段階位置決め機構に
は、所定の回動角度ごとに上記回転作業体支持機
構に与えられる付勢力に対して操作後の状態を保
持する係止力を与えているので、回転作業体を所
望の角度に枢動させるべき操作レバーを操作した
のちは、この操作レバーから手を離しても、上記
のように調整した回転作業体の姿勢が保持され
る。したがつて、回転作業体の姿勢を保持するべ
く操作レバーを把持しつづける必要がなく、動力
刈払機としての操作に支障を与えることはまつた
くない。 加えて、本願考案では、上記のごとく操作レバ
ーの回動操作によつて簡単に回転作業体の前後方
向の角度姿勢を調整することができることに加
え、上記操作レバーは、段階位置決め機構によ
り、所定回動角度ごとに節度感をもつて段階係止
しうるように構成されているので、たとえば、五
段階の段階位置決め機構を構成すると、操作レバ
ーを最も前方に回動させた状態からの段階係止の
回数により、回転作業体の前後方向の姿勢をおお
まかに知ることができ、作業の状況に応じてどの
段階で操作レバーを係止させるべきかを決めてお
くなどすることにより、回転作業体の姿勢をより
的確に選択操作することができるという効果を発
揮する。

【実施例の説明】

以下、本考案の実施例を図面を参照して具体的
に説明する。 本考案の携帯式動力刈払機の第一の実施例の全
体構成を第１図に示す。 本例の刈払機１は、所定長さの操作管２と、こ
の操作管２の基端部に連結されたエンジン３と、
操作管２の先端部に取付けられた回転作業体（回
転刃）４とを有して大略構成される。操作管２の
中間部には、両手で握持しうる左右のグリツプ５
を先端に有する略Ｕ字状のハンドル杆６がその中
央部において固定されている。エンジン３の回転
出力は、操作杆２の内部を挿通された伝動軸７を
介して回転刃４に伝達され、この回転刃を回転さ
せる。作業者は、たとえば肩掛けバンド（図示
略）によつて操作管２の基部を吊持しながら、上
記グリツプ５を両手で握持して操作管２を振回操
作し、刈払作業を行なう。 回転刃４は、機体中心軸、すなわち操作管２の
軸に対する角度を調整できるように構成された回
転作業体支持機構８によつて支持されている。本
例において回転作業体支持機構８は、次のように
構成されている。 すなわち、第２図に詳示するように、まず、エ
ンジンの出力軸から回転刃４までを連結する伝動
軸７を可撓性のある軸で構成するとともに、この
伝動軸７のうち操作管２内にある部分を操作管２
から脱抜不可能な剛性パイプ９で、操作管２の先
端から出て回転刃支持ブラケツト１３に至る部分
を蛇腹管などの可撓管１０で覆う一方、操作管２
の先端部に摺動パイプ１１を回転不能かつ軸方向
摺動可能に套嵌するとともにこの摺動パイプ１１
の先端部に前方斜め下に延びる回転刃支持杆１２
を取付け、かつ、この回転刃支持杆１２の先端部
に回転刃支持ブラケツト１３を平面視において操
作管２と直交する軸１４を中心として枢動可能に
支持している。なお、摺動パイプ１１を回転不能
かつ軸方向摺動可能にするために、第３図に表れ
ているように、操作管２の先端部を角パイプ部を
設けるとともに、摺動パイプ１１をこの角パイプ
部に嵌合しうる角パイプ状としている。 以上の構成において摺動パイプ１１を前進させ
ると、回転刃支持ブラケツト１３を前方に移動さ
せようとする力が作用するが、伝動軸７が内部を
通る上記剛性パイプ９ないし可撓管１０の全長は
変化しないから、これに引張り力が作用して回転
刃支持ブラケツト１３をその枢軸１４を中心とし
て第１図矢印Ａ方向に枢動させる。逆に、摺動パ
イプ１１を後退させると、回転刃支持ブラケツト
１３を後方に移動させようとする力が作用する
が、剛性パイプ９ないし可撓管１０の全長は変化
しないからこれに圧縮力が作用し、その結果回転
刃支持ブラケツト１３がその枢軸１４を中心とし
て第１図矢印Ｂ方向に枢動させられる。 そして、上記回転刃支持機構８を一方向に付勢
するために、上記摺動パイプ１１の後端と、操作
管２の中間部適部に套嵌されたストツパカラー１
５との間に圧縮コイルバネ１６を介装している。
さらにこの摺動パイプ１１を、可撓性のケーブル
１７を介して操作管２の後方部において前後方向
回動可能に設けられた操作レバー１８で牽引する
ようにしている。 上記操作レバー１８は、第４図および第５図に
詳示するように、クランプバンド１９によつて操
作管２に固定されたレバー軸２０に回動可能に支
持され、かつ、レバー軸２０に固定されたクリツ
クプレート２１に所定角度毎に設けられた係合孔
２２に、レバー１８のアーム部に固定された鋼球
等の係合体２３が順次係合するようにして、所定
角度毎に一定の保持力をもつて段階係止されるよ
うに構成されている。 そして上記操作レバー１８の基部円板部外周部
にはケーブル巻取り溝２４が形成されており、ケ
ーブル１７の基端１７ａが、そのニツプル部をレ
バー１８の適部に係止しながら上記巻取り溝２４
に掛け回されている。上記巻取り溝２４から前方
のびるケーブル１７は、操作管２に沿うように配
索された後、その先端部１７ｂを摺動パイプ１１
の適部に連結される。 なお、上記ケーブル１７としては、たとえば、
第６図に拡大断面を示すように、金属細線を撚り
合わせて引張り力に耐える心材１７ｃを構成する
とともに、この心材の表面に、防錆コーテイング
１７ｄを施こしたものが使用される。防錆コーテ
イングされたケーブル１７は、たとえば、心材よ
りやや大きい開口をもつ樹脂引抜き成形ダイの上
流から材料樹脂とともに上記心材を連続的に送り
込むなどして得られる。また、熱収縮性の樹脂で
できた管内に金属ケーブルを通挿し、樹脂に熱を
加えてこれを金属ケーブルの外周面に付着される
ことによつても得られる。 以上の構成において、操作レバー１８を第４図
矢印Ｐ方向に回動させると、ケーブル１７が矢印
ｐ方向に牽引されて摺動パイプ１１を圧縮コイル
バネ１６の弾力に抗して後退させる。このように
摺動パイプ１１が後退すると、その後退量に応じ
て上述のように回転刃支持ブラケツト１３が枢動
し、回転刃４の前後方向の角度が変わる（第１図
矢印Ｂ方向）。このとき、レバー側の係合体２３
とクリツクプレート２１の係合孔２２との係合に
よつてレバー１８を各回動位置に保持する力は、
上記の圧縮コイルバネ１６の弾力に対抗しうる程
度とされており、したがつて前後方向の角度変更
後の回転刃４の姿勢はそのままに維持される。逆
に操作レバー１８を第４図矢印Ｑ方向に回動させ
ると、ケーブル１７がレバーの巻取り溝２４から
矢印ｑ方向に繰り出される。そして摺動パイプ１
１は圧縮コイルバネ１６の弾力により前進させら
れる。これにより回転刃４の前後方向の角度が上
記と逆方向（第１図矢印Ａ方向）に変わる。この
ように、回動レバー１８を回動操作するだけで、
簡単に回転刃４の操作管２の軸に対する前後方向
の角度を変更することができる。 第７図に本考案の携帯式動力刈払機の第二の実
施例を示す。この例は、回転刃の前後方向の角度
を変更できる機構を変更した例である。 この例ではまず、操作管２の先端部に操作管に
水平方向に直交する軸２７回りに遊転可能な主傘
歯車２８を支持したギヤハウジング２９を設ける
とともに、このギヤハウジング２９に、上記軸２
７を中心として枢動可能な回転刃支持管３０を設
け、操作管２内の伝動軸７の先端に取付けた傘歯
車３１と、回転刃支持管３０内の回転刃支持軸３
２の基端の傘歯車３３とを上記主傘歯車２８に同
時噛合させることにより、伝動軸７の回転を回転
刃支持軸３２に伝達しながら、回転刃支持管３０
が上記軸２７を中心として枢動しうるようにして
いる。そして、第一の実施例と同様にバネ１６に
よつて前方付勢された摺動パイプ３４と上記回転
刃支持管３０の適部とをリンクロツド３５で連結
するとともに、摺動パイプ３４と操作レバー１８
とを可撓性ケーブル１７で連結している。この場
合においても操作レバー１８を操作すると回転刃
４の前後方向の角度を簡単に変更できる。 もちろん、この考案の範囲は上述した実施例に
限定されることはない。たとえば、回転刃の前後
方向の角度変更操作をするための操作手段として
は、操作レバー以外に、回動ハンドルなども考え
られる。要するに、操作力をケーブルの牽引動に
変換できる機能を備えておればよい。 また、実施例は、操作管の基部にエンジンを直
接的に連結した形式の刈払機について本考案を適
用した例であるが、エンジンを背負枠に支持して
作業者の背中に背負い、そのエンジンの出力を可
撓管内に通挿した可撓性の伝動軸を介して操作管
の基端に連繋してなる、いわゆるエンジン背負式
の刈払機にも同様に本考案を適用できることはい
うまでもない。 また、可撓性ケーブルとしては、金属細線を撚
り合わせたものに限らず、一本の針金状のもので
あつてもよい。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の携帯式動力刈払機の第一の実
施例の全体構成図、第２図はその操作管先端部の
縦断面図、第３図は第２図の−線断面図、第
４図は回動レバーの側面図、第５図は第４図の
−線断面図、第６図はケーブルの一例の拡大断
面図、第７図は本考案の第二の実施例の要部断面
図である。 １……刈払機、２……操作管、３……エンジ
ン、４……回転作業体（回転刃）８……回転作業
体支持機構、１７……ケーブル、１８……操作手
段（操作レバー）。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 エンジンが基端に連結された操作管と、この操
   作管の先端において、回転作業体を操作管の前後
   方向に枢動可能に支持し、かつ回転作業体が常時
   一方向に枢動するように付勢して構成された回転
   作業体支持機構とを備え、 上記操作管の後方部適部に、操作レバーを前後
   方向回動操作可能に取り付けるとともに、この操
   作レバーと上記回転作業体支持機構とを可撓性ケ
   ーブルでつなぎ、上記操作レバーを回動操作する
   と上記回転作業体が前後方向に枢動するように構
   成し、 かつ、上記操作レバーに、上記回転作業体支持
   機構に与えた付勢力に抗してこの操作レバーを所
   定回動角度ごとに節度感をもつて段階係止しうる
   段階位置決め機構を設けたことを特徴とする、携
   帯式動力刈払機。