JPH05342988A - 平板型表示装置用真空容器の製造方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 平板型表示装置用真空容器における外装容器
とフェースガラス上にフリットガラスにより固定された
接合部材のレーザ溶接による接合において、溶接部の熱
歪を低減させ、気密性の高い真空容器を得る。 【構成】 フェースガラス１上に、フリットガラス２に
より焼成固定された接合部材３と、金属製外装容器にお
いて、溶接時の急熱急冷による熱歪を緩和することを目
的とした急熱及び急冷緩和用レーザビームを、溶接用レ
ーザビームの照射の前後に照射し、溶接を行なう。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、テレビジョン受像機、
計算機端末用ディスプレイなどに用いられる電子管方式
の平板型表示装置用真空容器に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】近年、電子管方式の平板型表示装置の開
発が活発に行われている。この平板型表示装置は、原理
的には従来の陰極線管（ＣＲＴ）を用いた表示装置と類
似するが、陰極から陽極までの距離を従来のＣＲＴ方式
に比べ著しく短くして、平板型の薄い表示装置を実現す
るものである。

【０００３】そのために平板型表示装置は箱型の真空容
器内に陰極から陽極までの距離を極端に短くした電子ビ
ーム制御電極と熱陰極を収納した構成が一般的である。

【０００４】また、近年薄型軽量化の需要が増大してお
り、真空容器については種々の形状が提案されている
が、その一例として図３に示すように、金属製の外装容
器を用いた平板型表示装置用真空容器がある。

【０００５】以下に従来の平板型表示装置用真空容器に
ついて図を用いて説明する。図３において、従来の平板
型真空容器は、平板状のガラス板に蛍光体が印刷された
フェースガラス１１と大気圧から真空容器を保護する耐
圧構造部材１６と真空容器の気密性を保つことを目的と
した外装容器１７から構成され、蛍光体が塗布された前
記フェースガラス１１の外周部にフリットガラス１２を
塗布し、前記耐圧構造部材１６を前記フェースガラス１
１の所定の位置に配置した後、前記外装容器１７を前記
耐圧構造部材１６上に載置し、電気炉等により４５０℃
〜５００℃程度に加熱して、前記フェースガラス１１と
前記外装容器１７を接着する。

【０００６】また、図２においては、レーザ溶接による
真空容器の断面図であり、蛍光体が印刷されたフェース
ガラス１１とフェースガラス１１上にフリットガラス１
２により焼成固定された接合部材１３と前記接合部材１
３と前記フェースガラス１１の接着を補強することを目
的とした補強部材１４と大気圧から真空容器を保護する
耐圧構造部材１６と外装容器１７と、真空時にパネル内
の応力を緩衝することを目的とした緩衝部材１５から構
成され、蛍光体が塗布されたフェースガラス１１上の外
周部にフリットガラス１２を塗布した後、接合部材１３
と片面にフリットガラスが塗布された補強部材１４を所
定の位置に配置し、電気炉等により４５０℃〜５００℃
程度に加熱し接着する。接着された補強部材１４上に真
空時に耐圧構造部材１６の応力を緩衝するため、緩衝部
材１５を載置し、そのうえに耐圧構造部材１６と外装容
器１７を載置し、外装容器１７の外周部と接合部材１３
をレーザ等により接合することで平板型表示装置用真空
容器が完成する。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記の従
来の構成では、フリットガラスによる焼成固定を行なっ
ているため、焼成時にフリットガラスの熱膨脹係数と外
装容器の熱膨脹係数の違いから接着部にクラック等を生
じ、リークの原因となっていた。また、レーザ等による
溶接構造においては、接合部材と外装容器の溶接時に発
生する熱歪により接合部材を接着するフリットガラスに
クラックが発生したり、接合部材と外装容器の溶接部に
も急激な熱歪によりマイクロクラックが発生し、真空時
のスローリーク等の原因となっていた。

【０００８】

【課題を解決するための手段】この課題を解決するため
に本発明は、蛍光体が印刷されたフェースガラス上にフ
リットガラスにより接合された接合部材と、この接合部
材に対向して配設された耐圧構造部材上に載置された外
装容器の溶接において、溶接用のレーザビームに対して
溶接方向前後に溶接時に発生するレーザによる溶接物の
急熱及び急冷を緩和することを目的とするレーザビーム
を設けることにより、熱歪を抑えながら溶接封止してな
るものである。

【０００９】

【作用】この構成によって、溶接用のレーザビームの熱
エネルギーを従来より小さくすることを可能とし、レー
ザーによる急熱及び急冷による熱歪を、溶接用レーザビ
ームの前後に設けた急熱及び急冷緩和用レーザビームに
よって限りなく少なくすることが可能になり、熱歪によ
るクラックの発生が抑えられ、溶接性が向上する。

【００１０】

【実施例】以下本発明の一実施例について、図面を参照
しながら説明する。

【００１１】図１に示すように、平板型表示装置用真空
容器は平板状のガラスに蛍光体が印刷されたフェースガ
ラス１と、図面には図示していないが、前記フェースガ
ラス１内の所定の位置に配設された電子ビーム制御電極
群と熱陰極、大気圧から真空容器を保護する耐圧構成部
材６および外装容器７で構成され、前記フェースガラス
１上にフリットガラス２を周辺部に塗布し、接合部材３
と接合部材側にフリットガラスを塗布した補強部材４を
電気炉等により４５０℃〜５００℃程度に加熱して接着
する。前記接合部材３は接着応力緩和のため薄肉の金属
製からなり、熱膨張係数は、フェースガラスと同等のも
のが使用される。例えばフェースガラス１がソーダガラ
スからなると接合部材３は４２−６合金からなる。

【００１２】次に、前記接合部材３と同時に接着された
補強部材４上に、真空時に耐圧構成部材６からの応力集
中を緩衝することを目的とした、緩衝部材５を載置した
後、耐圧構成部材６と外装容器７を所定の位置に載置す
る。次に図１に示すように、溶接用レーザビーム９に対
して溶接進行方向１２前後に、急熱緩和用レーザビーム
１０と急冷緩和用レーザビーム１１を配置し、かつレー
ザビームの焦点は、溶接用レーザビーム９の焦点のごく
近傍に、急熱急冷緩和用レーザビームの焦点を合わせ、
図１には、図示していないが前記接合部材３と前記外装
容器７との溶接部８周辺を密着するよう固定した後、前
記接合部材３と前記外装容器７を溶接封止する。溶接時
には、急熱及び急冷緩和用レーザビームの熱エネルギー
は溶接物を溶かし込まないエネルギーに調整されている
ので溶接部８では、急熱緩和用レーザビームにより溶接
部があらかじめ温められた直後に溶接用レーザビームが
溶接を行ない、溶接された部分が急激に冷却するが、こ
の際に発生する熱歪によるマイクロクラックを防止する
ため、急冷緩和用レーザビームにより溶接部分を加熱
し、緩やかに冷却することで、溶接部にマイクロクラッ
クがなく、気密性の高い平板型表示装置用真空容器を得
ることができる。

【００１３】

【発明の効果】以上のように本発明は、溶接用レーザビ
ームの前後に急熱及び急冷緩和用のレーザビームを設
け、溶接の前後にわずかな熱エネルギーで加熱すること
により溶接部の熱歪によるマイクロクラックの発生をな
くし、気密性の高い真空容器を簡単に得ることができる
ものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例による平板型表示装置用真空
容器の製造方法を示すための溶接部の斜視図

【図２】他の平板型表示装置用真空容器の要部の断面図

【図３】従来の平板型表示装置用真空容器の要部の断面
図

【符号の説明】

１ フェースガラス ２ フリットガラス ３ 接合部材 ４ 補強部材 ５ 緩衝部材 ６ 耐圧構成部材 ７ 外装容器 ８ 溶接部 ９ 溶接用レーザビーム １０ 急熱緩和用レーザビーム １１ 急冷緩和用レーザビーム １２ 溶接進行方向

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】蛍光体が塗布された平板状のフェースガラ
   ス上に、フリットガラス（鉛半田ガラス）により焼成固
   定した、金属の薄板からなる接合部材と、接合部材に対
   向した金属製の耐圧構造部材と、真空容器の気密性を保
   つための薄板の金属製外装容器と、前記フェースガラス
   と前記耐圧構造部材間に電子ビーム制御電極を備えた平
   板型表示装置用真空容器において、前記接合部材と前記
   外装容器をレーザ溶接により接合する際に、溶接用レー
   ザビームの照射の前後に、急熱及び急冷緩和用レーザビ
   ームをそれぞれ照射することを特徴とする平板型表示装
   置用真空容器の製造方法。