JPH05339951A - プレキャストコンクリート製基礎 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 プレキャストコンクリート製の立上り部材の
設置位置の調整を容易に行えるように構成されたプレキ
ャストコンクリート製基礎を提供する。 【構成】 このプレキャストコンクリート製基礎１０
は、予め位置決めおよび高さ調整された支持部材２０が
設置され、その支持部材２０上にプレキャストコンクリ
ート製の立上り部材３０が支持部材２０の位置決め片２
１，２１に挟まれた状態で乗せられているとともに、立
上り部材３０の下部がプレキャストコンクリート製のフ
ーチング部材４０のコンクリート充填部４１に充填され
た現場打ちコンクリート５０に埋設されていることによ
って、立上り部材３０とフーチング部材４０とが一体化
させられて構築されているものである。 【効果】 予め位置調整した支持部材の位置決め片の間
に立上り部材を落し込むだけで、立上り部材が容易に位
置決めされるので、支持部材上で立上り部材の位置調整
作業を行わずに済む。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明はプレキャストコンクリー
ト製のフーチング部材とプレキャストコンクリート製の
立上り部材とを現場打ちコンクリートで一体化させてな
るプレキャストコンクリート製基礎に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、プレキャストコンクリート製基礎
として、プレキャストコンクリート製のフーチング部材
とプレキャストコンクリート製の立上り部材とを個別に
成型し、フーチング部材に形成された凹状のコンクリー
ト充填部に現場打ちコンクリートを打設し、その現場打
ちコンクリートに立上り部材の下部を埋設させることに
よって、フーチング部材と立上り部材とを一体化させた
ものが知られている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかし、立上り部材の
重量が非常に重く、その長さも長いため、建物の外周に
沿って複数連設される立上り部材の相互の通りを出すと
ともに、個々の立上り部材に傾きや倒れがないように、
立上り部材の設置位置を調整するのが非常に困難であっ
た。

【０００４】この発明は、上記問題点を解決するために
なされたもので、プレキャストコンクリート製のフーチ
ング部材とプレキャストコンクリート製の立上り部材と
で形成されるプレキャストコンクリート製基礎における
立上り部材の設置位置の調整を容易に行えるように構成
されたプレキャストコンクリート製基礎を提供すること
を目的としている。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明に係るプレキャストコンクリート製基礎にお
いては、底壁と該底壁の長辺端縁部に起立させられた側
壁とから形成される凹状のコンクリート充填部を有する
プレキャストコンクリート製のフーチング部材と、前記
底壁の下側の地面上に設置され、且つ、前記底壁に設け
られた挿通孔を介して同底壁上に突出させられた支持部
材と、該支持部材上に乗せられ、且つ、前記コンクリー
ト充填部に充填された現場打ちコンクリートにその下部
が埋設されたプレキャストコンクリート製の立上り部材
とから形成されたプレキャストコンクリート製基礎であ
って、前記支持部材に、前記立上り部材を同立上り部材
の両側側部から挟むことによって所定位置に設置させる
位置決め片を対向させて起立させた構成とした。

【０００６】前記支持部材に、前記底壁上に突出する突
出量を調整する高さ調整手段を設けてもよく、またその
高さ調整手段を、前記支持部材の支持本体の下側で該支
持本体の四隅部にジャッキ部材を配設させることによっ
て構成してもよい。

【０００７】前記支持本体を、金属製の板材を折曲成形
させて形成してもよい。

【０００８】

【作用】本発明に係るプレキャストコンクリート製基礎
によれば、プレキャストコンクリート製のフーチング部
材の底壁に設けられた挿通孔を介して、底壁上に突出さ
せられた支持部材に、該支持部材上に乗せられたプレキ
ャストコンクリート製の立上り部材を、その両側側部か
ら挟むことによって、所定位置に設置させる位置決め片
が対向して起立させられているため、予め通り心等を基
準にして位置調整しておいた支持部材の対向する位置決
め片の間に立上り部材を落し込むだけで、立上り部材の
設置位置が容易に位置決めされる。

【０００９】前記支持部材に、底壁上に突出する突出量
を調整する高さ調整手段が設けられているため、その高
さ調整手段によって底壁上への突出量を調整するだけ
で、立上り部材の天端の高さが容易に調整される。

【００１０】前記高さ調整手段が、支持部材の支持本体
の下側で該支持本体の四隅部に夫々配設されたジャッキ
部材で構成されているため、その構成が簡素で、高さ調
整操作が簡便であるとともに、四隅のジャッキ部材の伸
縮量を個別に調整することによって、支持部材の傾きや
倒れ等も容易に調整される。

【００１１】前記支持本体が折曲成形された金属製の板
材でできているため、その構成が簡素であり、製作容易
である。

【００１２】

【実施例】本発明に係るプレキャストコンクリート製基
礎の実施例を図１乃至図５に示し、以下に説明する。そ
れらのうち、図１はプレキャストコンクリート製基礎の
部分断面斜視図、図２はプレキャストコンクリート製基
礎の縦断面図、図３はプレキャストコンクリート製基礎
の支持部材の分解斜視図、図４はプレキャストコンクリ
ート製基礎のフーチング部材と支持部材の納まりを示す
分解斜視図、図５は現場打ちコンクリートの充填前にお
けるプレキャストコンクリート製基礎の縦断面図であ
る。

【００１３】このプレキャストコンクリート製基礎１０
は、図１および図２に示すように、予め位置決めおよび
高さ調整された支持部材２０が所定間隔おきに設置さ
れ、その支持部材２０上にプレキャストコンクリート製
の立上り部材３０が支持部材２０の一対の位置決め片２
１，２１に挟まれた状態で乗せられているとともに、立
上り部材３０の下部がプレキャストコンクリート製のフ
ーチング部材４０のコンクリート充填部４１に充填され
た現場打ちコンクリート５０に埋設されていることによ
って、立上り部材３０とフーチング部材４０とが一体化
させられて構築されているものである。

【００１４】前記支持部材２０は、図３に示すように、
底板２２の両端縁部に前記位置決め片２１，２１が対向
して起立させられてなる、例えば金属製の板材が折曲さ
れてできた支持本体２３と、該支持本体２３を上下動さ
せてその設置高さの調整を行う高さ調整手段２４とから
構成されている。

【００１５】底板２２は立上り部材３０の下端面に当接
して立上り部材３０を下方から支持するとともに、高さ
調整手段２４上に乗せられる。位置決め片２１，２１
は、丁度立上り部材３０の厚さ寸法分だけ離間させられ
ていて、立上り部材３０との間に隙間を生じさせること
なく立上り部材３０を挟むようにされている。

【００１６】高さ調整手段２４は、例えば、底板２２の
四隅部に夫々配設されたジャッキ部材２５，２５，…で
構成されている。このジャッキ部材２５は、例えば、タ
ーンバックル式のもので、相互に逆ねじとなる雄ねじ部
２６Ａ，２６Ｂに螺合された外筒部２７を回転させる向
きによって、その長さが伸縮させられるようになってい
る。また、ジャッキ部材２５の上下端部には、夫々、捨
てコンクリート６０（図２参照）および底板２２との当
接面積を大きくしてジャッキ部材２５の安定性を向上さ
せる当板２８，２８が設けられている。

【００１７】このように構成された支持部材２０は、図
４に示すように、予め水糸（図示省略）等を用いて他の
支持部材２０との通りがでるように所定位置に設置さ
れ、フーチング部材４０に設けられた挿通孔４２よりフ
ーチング部材４０を貫通してその上方に突出させられ
る。

【００１８】前記立上り部材３０は、図１に示すよう
に、帯状に成型された長尺物である。そして、図示省略
するが、その内部には鉄筋が配筋されているのはいうま
でもない。また、その上部にはアンカーボルト３１の基
端部が埋設されているか、または後埋め形式のアンカー
ボルトを埋設するための所謂シース管と呼ばれる筒が設
けられている。

【００１９】前記フーチング部材４０は、図４に示すよ
うに、プレキャストコンクリート製基礎１０のフーチン
グ部の一部であるとともに、現場打ちコンクリート５０
を打設する際の捨て型枠も兼ねている。そして、現場打
ちコンクリート５０を充填させる前記コンクリート充填
部４１が、底壁４３と該底壁４３の長辺端縁部に起立さ
せられた側壁４４，４４とにより凹状に形成されてい
る。この底壁４３には、前記挿通孔４２が設けられてい
て、支持部材２０を挿通させるとともに、フーチング部
材４０の下側に現場打ちコンクリート５０を行き渡らせ
るようになっている。この挿通孔４２は、フーチング部
材４０の軽量化にも寄与している。また、図示省略する
が、フーチング部材４０の内部には鉄筋が配筋されてい
るのはいうまでもない。

【００２０】このように構成されたフーチング部材４０
は、図４に示すように、割栗石６１との間に介装させた
くさび状のスペーサー６２，６２，…により、その設置
高さおよび水平度が調整されて設置される。

【００２１】上記各構成要素によりプレキャストコンク
リート製基礎１０は以下のようにして形成される。先
ず、根切り底で付き固めた割栗石および目つぶし砂利
（図示省略）上に打設した捨てコンクリート６０上の所
定位置に、ジャッキ部材２５，２５，…を置き、その上
に支持本体２３を乗せる。支持部材２０は、少なくとも
立上り部材３０の両端部近傍に夫々１個ずつ配置されて
いればよい。支持本体２３を水糸等を使って所定位置に
正確に配置して、それら複数の支持本体２３，２３，…
の通りを出すとともに、ジャッキ部材２５，２５，…を
操作して、複数の支持本体２３，２３，…を水平且つ所
定高さに揃えるように注意する。

【００２２】しかる後、割栗石６１を敷き詰め、スペー
サー６２，６２，…を介してフーチング部材４０を設置
する。スペーサー６２は、少なくともフーチング部材４
０の四隅近傍に夫々１個ずつ配置されていればよい。ス
ペーサー６２，６２，…の位置を調整して、フーチング
部材４０を水平且つ所定高さに設置するように注意す
る。ここまでの状態が図４に示されている。

【００２３】次に、支持本体２３上に立上り部材３０を
乗せる。この際、既に位置決めされた支持本体２３の位
置をずらさないように注意する。ここで、支持本体２３
が所定位置に設置されていない場合には、ジャッキ部材
２５，２５，…による高さ調整および支持本体２３の位
置調整を再度行う。ここまでの状態が図５に示されてい
る。支持部材２０の位置ずれを防ぐために、捨てコンク
リート６０にジャッキ部材２５の下側の当板２８をコン
クリート釘等で止着するとともに、位置決め後の支持部
材２０の底板２２にジャッキ部材２５の上側の当板２８
を接着するようにしてもよい。

【００２４】最後に、フーチング部材４０のコンクリー
ト充填部４１に現場打ちコンクリート５０を流し込む。
現場打ちコンクリート５０が硬化すれば、プレキャスト
コンクリート製基礎１０が完成する。

【００２５】上記実施例によれば、支持本体２３の底板
２２に、立上り部材３０を所定位置に設置させる位置決
め片２１，２１が対向して起立させられているため、予
め通り心等を基準にして位置調整してから支持部材２０
を設置し、位置決め片２１，２１間に立上り部材３０を
落し込むだけで、立上り部材３０の設置位置が容易に位
置決めされるので、一旦設置した後に、立上り部材３０
をずらすなどして、その設置位置を調整する作業を行わ
ずに済み、立上り部材３０の設置位置を非常に容易に調
整することができる。

【００２６】支持部材２０に、ジャッキ部材２５，２
５，…で構成された、支持本体２３の設置高さを調整す
る高さ調整手段２４が設けられているため、ジャッキ部
材２５，２５，…を操作して支持本体２３の設置高さを
調整するだけで、支持本体２３上に乗せられる立上り部
材３０の天端の高さを容易に調整することができる。ま
た、高さ調整手段２４の構成が簡素で、高さ調整操作が
簡便であるとともに、四隅のジャッキ部材２５，２５，
…の伸縮量を個別に調整することによって、支持本体２
３の傾きや倒れ等、即ち立上り部材３０の傾きや倒れ等
も容易に調整することができる。

【００２７】支持本体２３が折曲成形された金属製の板
材でできているため、その構成が簡素であり、製作容易
である。

【００２８】なお、上記実施例においては、支持部材２
０の支持本体２３は、折曲成形された金属製の板材でで
きているとしたが、これに限定されるものではなく、底
板２２および位置決め片２１，２１が設けられていれ
ば、例えばコンクリートなどでできていてもよい。

【００２９】また、上記実施例においては、高さ調整手
段２４は、支持本体２３の底板２２の四隅部に夫々配設
されたターンバックル式のジャッキ部材２５，２５，…
で構成されているとしたが、これに限定されるものでは
なく、例えば油圧式ジャッキやパンタグラフ式ジャッキ
など、その長さが伸縮させられるようになっていれば、
如何なる形式のジャッキ等で構成されていてもよい。

【００３０】さらに、上記実施例においては、支持部材
２０の支持本体２３とジャッキ部材２５，２５，…とは
別体になっているとしたが、支持本体２３の下側にジャ
ッキ部材２５，２５，…が溶接等により一体化されてい
てもよいのはいうまでもない。

【００３１】さらにまた、上記実施例においては、捨て
コンクリート６０を全面に打設して設けているが、これ
に限定されるものではなく、ジャッキ部材２５，２５，
…を設置する部分にのみ捨てコンクリート６０を設けて
もよいし、捨てコンクリート６０の代わりにコンクリー
ト板などを敷いてもよい。地盤が固い場合には、捨てコ
ンクリート６０等を設けなくてもよいのはいうまでもな
い。

【００３２】また、上記実施例においては、根切り底で
付き固めた割栗石および目つぶし砂利上に捨てコンクリ
ート６０を打設するとしたが、割栗石および目つぶし砂
利を設けずに根切り底に直接捨てコンクリート６０を打
設してもよい。

【００３３】

【発明の効果】本発明に係るプレキャストコンクリート
製基礎によれば、プレキャストコンクリート製のフーチ
ング部材の底壁に設けられた挿通孔を介して、前記底壁
上に突出させられた支持部材に、該支持部材上に乗せら
れたプレキャストコンクリート製の立上り部材を、その
両側側部から挟むことによって、所定位置に設置させる
位置決め片が対向して起立させられているため、予め通
り心等を基準にして位置調整してから支持部材を設置
し、対向する位置決め片の間に立上り部材を落し込むだ
けで、立上り部材の設置位置が容易に位置決めされるの
で、一旦設置した後に、重く長い立上り部材をずらすな
どして、その設置位置を調整する作業を行わずに済み、
立上り部材の設置位置を非常に容易に調整することがで
きる。

【００３４】前記支持部材に、底壁上に突出する突出量
を調整する高さ調整手段が設けられているため、その高
さ調整手段によって底壁上への突出量を調整するだけ
で、立上り部材の天端の高さを容易に調整することがで
きる。

【００３５】前記高さ調整手段が、支持部材の支持本体
の下側で該支持本体の四隅部に夫々配設されたジャッキ
部材で構成されているため、その構成が簡素で、高さ調
整操作が簡便であるとともに、四隅のジャッキ部材の伸
縮量を個別に調整することによって、支持部材の傾きや
倒れ等、即ち立上り部材の傾きや倒れ等も容易に調整す
ることができる。

【００３６】前記支持本体が折曲成形された金属製の板
材でできているため、その構成が簡素であり、製作容易
である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本実施例におけるプレキャストコンクリート製
基礎の部分断面斜視図である。

【図２】プレキャストコンクリート製基礎の縦断面図で
ある。

【図３】プレキャストコンクリート製基礎の支持部材の
分解斜視図である。

【図４】プレキャストコンクリート製基礎のフーチング
部材と支持部材の納まりを示す分解斜視図である。

【図５】現場打ちコンクリートの充填前におけるプレキ
ャストコンクリート製基礎の縦断面図である。

【符号の説明】

１０ プレキャストコンクリート製基礎 ２０ 支持部材 ２１ 位置決め片 ２３ 支持本体 ２４ 高さ調整手段 ２５ ジャッキ部材 ３０ 立上り部材 ４０ フーチング部材 ４１ コンクリート充填部 ４２ 挿通孔 ４３ 底壁 ４４ 側壁 ５０ 現場打ちコンクリート

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 底壁と該底壁の長辺端縁部に起立させら
   れた側壁とから形成される凹状のコンクリート充填部を
   有するプレキャストコンクリート製のフーチング部材
   と、前記底壁の下側の地面上に設置され、且つ、前記底
   壁に設けられた挿通孔を介して同底壁上に突出させられ
   た支持部材と、該支持部材上に乗せられ、且つ、前記コ
   ンクリート充填部に充填された現場打ちコンクリートに
   その下部が埋設されたプレキャストコンクリート製の立
   上り部材とから形成されたプレキャストコンクリート製
   基礎であって、前記支持部材には、前記立上り部材を同
   立上り部材の両側側部から挟むことによって所定位置に
   設置させる位置決め片が対向して起立させられているこ
   とを特徴とするプレキャストコンクリート製基礎。
2. 【請求項２】 前記支持部材には、前記底壁上に突出す
   る突出量を調整する高さ調整手段が設けられていること
   を特徴とする請求項１記載のプレキャストコンクリート
   製基礎。
3. 【請求項３】 前記高さ調整手段が、前記支持部材の支
   持本体の下側で該支持本体の四隅部に夫々配設されたジ
   ャッキ部材で構成されていることを特徴とする請求項２
   記載のプレキャストコンクリート製基礎。
4. 【請求項４】 前記支持本体が折曲成形された金属製の
   板材でできていることを特徴とする請求項３記載のプレ
   キャストコンクリート製基礎。