JPH05325634A - 導電性ペーストおよび導電性塗膜 - Google Patents

導電性ペーストおよび導電性塗膜

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JPH05325634A
JPH05325634A JP16215592A JP16215592A JPH05325634A JP H05325634 A JPH05325634 A JP H05325634A JP 16215592 A JP16215592 A JP 16215592A JP 16215592 A JP16215592 A JP 16215592A JP H05325634 A JPH05325634 A JP H05325634A
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derivative
group
conductive paste
conductive
acid
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Application number
JP16215592A
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English (en)
Inventor
Hiromitsu Hayashi
宏光 林
Yoshihei Meiwa
善平 明和
Yasuhiro Yoneda
康洋 米田
Masanori Iwasaki
正規 岩崎
Yuzo Yamamoto
裕三 山本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kao Corp
Original Assignee
Kao Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【構成】本発明は、導電性粉末、有機バインダー、添加
剤、及び溶剤を必須成分とする導電性ペーストにおい
て、該有機バインダーとして熱硬化性樹脂および一般式
(I)で表される重量平均分子量1,000 〜200 万のヒド
ロキシスチレン系重合体及び/又はその誘導体を含有
し、かつ、該添加剤として一般式(II)で示される安息
香酸および/またはその誘導体を含有する導電性ペース
トおよび該導電性ペーストを基材上に塗布、または印刷
後、硬化してなる導電性塗膜に関する。 【効果】本発明において、ヒドロキシスチレン系重合体
及びその誘導体を有機バインダー成分とし、更に安息香
酸および/またはその誘導体を添加剤として用いること
によって、導電性を長期間維持しつつ密着性の向上がは
かられ、その環境安定性、耐久性、印刷性を大幅に改善
し、総合的に優れた導電性ペーストを提供することがで
きる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は有機体をバインダーとす
る導電性ペーストおよびこの導電性ペーストを用いた導
電性塗膜に関し、より詳しくは、紙・フェノール樹脂基
板やガラス・エポキシ樹脂基板などの回路基板上に、ス
クリーン印刷等で塗布後、加熱硬化することにより、特
に導電性、密着性、印刷性に優れた導電性塗膜を形成
し、回路基板の電磁波ノイズ対策用もしくは回路基板の
配線用の導体等の用途に適した導電性ペースト、および
この導電性ペーストを塗布または印刷後、硬化してなる
導電性塗膜に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に導電性ペーストは、エポキシ樹
脂、飽和ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、フェノール
樹脂、アミノ樹脂等の有機バインダー(以下、バインダ
ーと略すこともある)と導電性粉末及び溶剤とから基本
的に構成されている。この導電性ペーストは、従来から
回路基板用の導体として用いられている。また最近で
は、プリント回路基板の電磁波シールド材料として導電
性ペーストを使用する試みも行われ始めている。即ち、
この応用は基板上にアースパターンを含む回路パターン
を有する導電層を形成してなる印刷配線基板において、
この基板の導電層が設けられた面のアースパターンの部
分を除いて基板上に導電層を覆うように絶縁層が印刷さ
れ、さらにこの基板の絶縁層を覆いアースパターンに接
続するように導電性ペーストを印刷することにより、電
磁波シールド層を形成させ、電磁波ノイズ対策用回路基
板の導体として使用するものである(特開昭63−15
497号公報や実開昭55−29276号公報参照) 。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】前記の導電性ペースト
の中でも、近年特に導電性銅ペーストは、導電性銀ペー
ストに比べ安価である等の理由から導電性銀ペーストに
代わる導体として注目されている。この導電性銅ペース
トは、高導電性、密着性、耐久性、印刷性など種々の物
性が要求されるが、銅が銀よりも本質的に酸化されやす
く、酸化により電気絶縁性の酸化被膜を形成するという
欠点を有しているため、ペースト状態もしくは加熱硬化
膜状態での長期間にわたる導電性の維持という点におい
て実用上大きな問題を残していた。
【0004】この欠点に対してこれまでに各種の酸化防
止剤、還元剤、金属キレート剤等の添加剤を添加するこ
とが行われている。例えば、導電性銅ペーストに対し酸
化防止剤としてサリチル酸およびその誘導体を用いる方
法(特開平1−158081号公報)、還元剤としては
γ−アミノイソプロピルトリエトキシシランを用いる方
法(特開昭50−6638号公報)や2−ヒドロキシ−
3−フェノキシプロピルフォスファイトを用いる方法
(特開昭52−24936号公報)、金属キレート剤と
しては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン等
を用いる方法(特開昭62−230869号公報)やア
セチルアセトン等を用いる方法(特開平2−66802
号公報)などが提案されている。
【0005】しかしながら、上記添加剤を配合した導電
性銅ペーストでは、導電性の向上または維持という点で
は改良されているものの、他の物性、すなわち銅箔表面
(特に金属銅表面)との密着性、スクリーン印刷性に乏
しく、更なる改良が強く求められていた。一方、密着性
に対する改善策としては、種々のものが報告されている
が、例えばバインダーの改良例として、メラミン樹脂及
びポリオールとポリエステル樹脂及び/又はアルキド樹
脂を用いて金属や絶縁層との密着性の改善を試みた例
(特開昭62−253675号) や、メラミン樹脂とアクリル樹
脂との混合物を用いて金属との密着性の改善を試みた例
(特開昭63−83178 号) や、ポリ−p−ヒドロキシスチ
レンを用いて絶縁層との密着性及び溶剤による剥離性の
改善を試みた例(特開昭60−260663号) もあるが、いず
れの方法においても密着性の改善はなお不十分であっ
て、金属や絶縁層との密着性を十分に保証するには至っ
ていなかった。
【0006】このように導電性と密着性は、従来の導電
性ペーストにおいては一般に二率背反の関係にあるた
め、密着性を維持したままで導電性の向上が期待できる
導電性ペーストは未だ見い出されていないのが実情であ
る。
【0007】従って、当業界では導電性、密着性がとも
に優れ、かつ耐久性、印刷性等、総合的に優れた性能を
有する導電性銅ペーストの開発が期待されている。本発
明の目的は、まさにこの点にありかかる課題を解決する
ものとして、導電性ペーストにおいて、特に、酸化され
易い金属を導電性粉末として用いた場合においても導電
性、密着性、耐久性、印刷性等、総合的に優れた性能を
有する導電性ペーストを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らはかかる現状
に鑑みて、導電性ペーストの導電性の維持及び向上、銅
箔表面との密着性並びにスクリーン印刷性の改善を鋭意
検討した結果、ヒドロキシスチレン系重合体及び/又は
その誘導体をバインダー成分として用い、かつ安息香酸
および/またはその誘導体を添加剤として用いることに
よって上記課題を解決できることを見出し、本発明を完
成するに至った。
【0009】即ち、本発明は、 (1)導電性粉末、有機バインダー、添加剤、及び溶剤
を必須成分とする導電性ペーストにおいて、該有機バイ
ンダーとして熱硬化性樹脂および一般式(I)で表され
る重量平均分子量1,000 〜200 万のヒドロキシスチレン
系重合体及び/又はその誘導体を含有し、
【化4】 〔式中、l,mはl≧0、m≧3で、それぞれ一般式
(I)の有機高分子の平均分子量が1000〜200万
になるまでの任意の数、k,p,uは重合体中の平均値
を示し、その範囲はそれぞれ、0≦k≦2,0≦p≦
2,0<u≦2、ただしk+p+u>0、R1 〜R3
水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基、Qは重合性の
ビニル系単量体、Y,Zは同種又は異種であり、かつ
【化5】 又は炭素数1〜18のアルキル基もしくはアリール基から
選ばれるものである (式中、Mは水素原子、アルカリ金
属、アルカリ土類金属又はアミン類などの有機カチオ
ン、Y1 ,Y2 はハロゲン、Y3 はハロゲンイオン、有
機酸アニオン、無機酸アニオンなどの対イオン、WはS
またはO、R4 〜R8 は同種又は異種であって直鎖又は
分岐鎖アルキル基あるいはヒドロキシアルキル基等のア
ルキル誘導体基、芳香族基又は水素原子、さらにR6
7 はN原子とともに環を形成していてもかまわない。
9 〜R15は同種又は異種であって直鎖又は分岐鎖アル
キル基、あるいはヒドロキシアルキル基等のアルキル誘
導体基、芳香族基、又は水素原子、q,sは0又は1、
rは0,1又は2を示す)〕 かつ、該添加剤として一般式(II)で示される安息香酸
および/またはその誘導体を含有することを特徴とする
導電性ペースト、並びに、
【化6】 (式中、Ra は水素原子、または炭素数1〜24の直鎖
もしくは分岐のアルキル基またはアルコキシル基を示
す。Rb は水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金
属、遷移金属、アンモニウム、アルキルアンモニウムま
たはヒドロキシアルキルアンモニウムを示す。)
【0010】(2)この導電性ペーストを基材上に塗布
または印刷後、硬化してなることを特徴とする導電性塗
膜に関するものである。
【0011】本発明の導電性ペーストは、前記の一般式
(I)で表されるヒドロキシスチレン系重合体及びその
誘導体を有機バインダー中に含有することに特徴があ
る。前記一般式(I)において、l,m,k,p,uは
ある一定の範囲の任意の数(実数)である。重合体を構
成する単量体について考えるならば、k,pは当然整数
であり、構成単位のブロックごとに考えるならば、lは
整数であり、そして分子ごとに考えるならば、mは整数
である。しかしながら重合体はその本質において、混合
物であり、そして重合体の性質はその混合物の性質とし
てとらえる方が、その個々の構成単位を問題にするより
も適切である。従って、本発明において、l,m,k,
p,uは重合体中の平均値として表示されるものであ
る。
【0012】前記一般式(I)で表されるヒドロキシス
チレン系重合体又はその誘導体は、一般式(I)におい
てYまたはZで表されるような置換基を有するかあるい
は有しないところの、ヒドロキシスチレン、ヒドロキシ
−α−メチルスチレン、あるいはヒドロキシ−α−エチ
ルスチレン等のヒドロキシスチレン系単量体同士のみの
共重合体、あるいはこれらのヒドロキシスチレン系単量
体と他の重合性のビニル系単量体(Q)との共重合体で
あり得る。重合単位のヒドロキシスチレン系単量体は、
オルソ体、メタ体、パラ体あるいはこれらの混合物であ
ってもよいが、パラ体あるいはメタ体が好ましい。
【0013】また共重合体である場合の他のビニル系単
量体(Q)としては、アニオン系、カチオン系等のイオ
ン性単量体やノニオン性単量体、メタクリレート、ビニ
ルエステル、ビニルエーテル、マレート、フマレート、
α−オレフィンなどの公知の化合物を挙げることができ
る。
【0014】これらの化合物の具体例としては、アクリ
ル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイ
ン酸、フマール酸、シトラコン酸、又はそれらの無水物
及びそのモノアルキルエステルやカルボキシエチルビニ
ルエーテル、カルボキシプロピルビニルエーテル等の不
飽和カルボン酸単量体、スチレンスルホン酸、アリルス
ルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンス
ルホン酸等の不飽和スルホン酸単量体、ビニルホスホン
酸、ビニルホスフェート、アクリル酸エチルホスフェー
ト、メタクリル酸エチルホスフェート等の不飽和リン酸
単量体、アクリルアミド、メタクリルアミド、マレイン
酸アミド、マレイン酸イミド等のα,β−不飽和カルボ
ン酸アミド、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、
アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸ブ
チル、メタクリル酸ブチル、パーフルオロアルキルエチ
ルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、ヒドロ
キシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレ
ート、2−アミノエチルメタクリレート塩酸塩、ジメチ
ルアミノエチルメタクリレート、メトキシメチルメタク
リレート、クロルメチルメタクリレート、ジクロルトリ
アジニルアミノエチルメタクリレート、及びマレイン
酸、フマル酸、イタコン酸のジエステル等、α,β−不
飽和カルボン酸のエステル、メチロールアクリルアミ
ド、メチロールメタクリルアミド、メトキシメチルアク
リルアミドなどの不飽和カルボン酸の置換アミド類、ア
クリロニトリル、メタクリロニトリル等のα、β−不飽
和カルボン酸のニトリル、酢酸ビニル、塩化ビニル、ク
ロル酢酸ビニルなどの外、ジビニルベンゼン等のジビニ
ル化合物、ビニリデン化合物、スチレンに代表される芳
香族ビニル化合物、ビニルピリジンやビニルピロリドン
に代表される複素環ビニル化合物、ビニルケトン化合
物、ビニルエーテル化合物、ビニルアミド化合物、エチ
レン、プロピレン等のモノオレフィン化合物、ブタジエ
ン、イソプレン、クロプレン等の共役ジオレフィン化合
物、アリルアルコール、酢酸アリル等のアリル化合物、
並びにグリシジルメタクリレート等で代表される単量体
の群から選択される1種以上の単量体が使用される。
【0015】これらの単量体のうち特に限定されるもの
ではなく、いずれでも使用できるが具体的には、次のよ
うなものが好適に使用される。
【0016】
【化7】
【0017】本発明においては、前記のようにヒドロキ
シスチレン系単量体同士のみの共重合でもよいが、他の
重合性のビニル系単量体(Q)との共重合とする場合に
は、ヒドロキシスチレン系単量体/他のビニル系単量体
(Q)の割合は、モル比で1/10〜20/1までが適当で
ある。ビニル系単量体(Q)の割合がヒドロキシスチレ
ン系単量体より10倍量(モル比)を超えるとヒドロキシ
スチレン系単量体の効果が発揮されないので好ましくな
く、ビニル系単量体(Q)の割合が1/20未満では、共
重合させる効果が発揮されないので、あえてビニル系単
量体(Q)と共重合させる必要はない。従って、本発明
においてはこのようなビニル系単量体(Q)の個数はl
≧0である。
【0018】またヒドロキシスチレン系単量体の置換基
については、以下の(イ)〜(ヘ)に示されるものが挙
げられる。
【0019】(イ)
【化8】
【0020】ここでMは水素原子、アルカリ金属、アル
カリ土類金属又はアミン類などの有機カチオンであり、
例えばLi,Na,K,Mg,Ca,Sr,Ba等が適
当である。スルホン基の導入は発煙硫酸または無水硫酸
などをスルホン化剤として用いる通常のスルホン化法に
より達成できる。
【0021】(ロ)
【化9】
【0022】ここでR4 〜R8 は同種または異種であっ
て直鎖または分岐鎖アルキル基、あるいはヒドロキシア
ルキル基等のアルキル誘導体基、芳香族基または水素原
子、さらにR6 とR7 はN原子とともに環を形成してい
てもかまわない。また、Y3はハロゲンイオン、有機酸
アニオン、無機酸アニオンなどの対イオンを示す。ここ
で、直鎖または分岐鎖アルキル基としては、炭素数1〜
36のものが挙げられ、アルキル誘導体基としては、ヒド
ロキシアルキル基、アミノアルキル基、ホスホアルキル
基、メルカプトアルキル基等が挙げられ、芳香族基とし
ては炭素数1〜16の直鎖、分岐鎖アルキル基で置換され
たベンジル基等が挙げられる。好ましくは、直鎖または
分岐鎖アルキル基、ヒドロキシアルキル基、あるいは炭
素数1〜5の直鎖又は分岐鎖アルキル基で置換された芳
香族基が挙げられる。上記第3級アミノ基の導入は、例
えばジアルキルアミンとホルムアルデヒドとを用いるマ
ンニッヒ反応により容易に
【0023】
【化10】
【0024】が得られる。第4級アンモニウム塩基の導
入は、例えば上記第3級アミノ化物に対するハロゲン化
アルキルによるメンシュトキン反応により容易に
【0025】
【化11】
【0026】が得られる。
【0027】(ハ)
【化12】
【0028】ここでR4 、R5 は前記に同じであり、R
9 〜R12は同種または異種であって、直鎖または分岐鎖
アルキル基、あるいはヒドロキシアルキル基等のアルキ
ル誘導体基、芳香族基、または水素原子を表わす。ま
た、WはSまたはOであり、qは0又は1、rは0,1
又は2を示す。ここで直鎖または分岐鎖アルキル基とし
ては炭素数1〜36のものが、アルキル誘導体基としては
ヒドロキシアルキル基、アミノアルキル基、メルカプト
アルキル基、ホスホアルキル基等が挙げられ、芳香族基
としては炭素数1〜16の直鎖または分岐鎖アルキル基で
置換されたフェニル基が挙げられる。好ましくは炭素数
18の直鎖又は分岐鎖アルキル基、ヒドロキシアルキル
基、あるいは炭素数1〜5の直鎖または分岐鎖アルキル
基で置換された芳香族基が挙げられる。式 (ハ−1)で
表されるものは例えば特開昭53−71190 号公報に開示さ
れているように、ヒドロキシスチレン系重合体をメチロ
ール化した後にリン酸またはリン酸エステル基導入体と
反応させることによって得られる。式(ハ−2)で表さ
れるヒドロキシスチレン系重合体は例えば特開昭53−47
489 号公報に開示されているように、ヒドロキシスチレ
ン系重合体をまずハロゲン化またはハロメチル化し、そ
れに3価のリン化合物を反応 (アルブゾフ反応) させ、
ついでそれを熱転位させることによって得られる。
【0029】(ニ)
【化13】
【0030】ここでR4 ,R5 は前記に同じであり、R
13、R14、R15は同種または異種であって、直鎖または
分岐鎖アルキル基、アルキル誘導体基、芳香族基、また
は水素原子を表わす。またsは0又は1を示す。また、
3 はハロゲンイオン、有機酸アニオン、無機酸アニオ
ンなどの対イオンを示す。このホスホニウム基を含むヒ
ドロキシスチレン系重合体の製造は例えば特開昭61−34
444 号公報に示されているように、ハロゲン化水素とホ
ルムアルデヒドとを作用させて、ハロゲノメチル化 (例
えば−CH2 Cl化) を行ない、次いで3価の亜リン酸
エステル類を作用すれば容易に得られる。
【0031】(ホ)
【化14】
【0032】ここでY1 、Y2 はハロゲンを、R4 、R
5 、R8 は前記に同じものを示す。
【0033】(ヘ) その他に、炭素数1〜18のアルキ
ル基もしくはアリール基が挙げられる。
【0034】一般式(I)において、前記のヒドロキシ
スチレン系単量体の置換基であるY.Zの個数は重合体
中の平均値で、0≦k≦2,0≦p≦2であり、また、
OHの個数は0<u≦2である。
【0035】本発明における有機バインダー成分として
用いることのできるヒドロキシスチレン系重合体及び/
又はその誘導体はその重量平均分子量が1,000 〜200 万
の範囲に、好ましくは1,000 〜100 万の範囲である。こ
の理由は有機高分子の分子量が本発明の効果に影響を与
え、分子量が1,000 未満の低分子体では導電性粉末の酸
化安定性が得られにくく、反面分子量が200 万を超える
と良好な導電性が得られにくい。このようなものを得る
には、一般式(I)で表される繰り返し単位は、通常m
≧3である。
【0036】アミノ基、リン酸基、スルホン基等の極性
基 (水酸基、芳香環は含まない) はヒドロキシスチレン
系重合体及び/又はその誘導体の金属粉末との親和性、
反応性を高める点で特に重要であり、その好ましい極性
基密度の範囲は、分子量500単位当たり平均0.01〜5個
の間にある。極性基密度が0.01未満だと金属粉末との親
和性が悪くて問題となり、5個を超えると得られるペー
ストの耐食性が低下して問題となるからである。導電性
粉末の耐食性向上の点からはアミノ基系、メチロール基
及びリン系の極性基が好ましい。水酸基は金属粉末の耐
食性向上及び絶縁層との密着性向上にとって重要であ
り、直接置換基としてついていた方が、またその数が多
い方が効果がよく発揮されるので好ましい。上記のヒド
ロキシスチレン系重合体及び/又はその誘導体の分子
量、構成単位、極性基の種類と密度、主鎖の種類等の因
子は本発明の導電性ペーストのバインダーにとって本質
的役割を果たす重要な因子である。
【0037】本発明における前記のヒドロキシスチレン
系重合体及びその誘導体のほとんどは熱可塑性樹脂なの
で、本発明では以下のような熱硬化性樹脂と併用するこ
とが必要である。本発明に有効に用いられる熱硬化性樹
脂は、フェノール樹脂、ユリア樹脂、アミノ樹脂、キシ
レン樹脂、アルキッド樹脂、ケイ素樹脂、フラン樹脂、
不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン
樹脂、ポリエステル・ポリオール樹脂、アクリル樹脂、
メチロール化ヒドロキシスチレン系重合体および/また
はその誘導体等の公知の熱硬化性樹脂を用いることがで
きるが、特にフェノール樹脂、アミノ樹脂、キシレン樹
脂が好ましい。本発明で用いられる前述の熱硬化性樹脂
は、単独であるいは2種以上を混合して使用してもよ
い。
【0038】フェノール樹脂としては、一般に公知のも
の市販のものが使用できるが、例えばフェノール、クレ
ゾール、キシレノール、p−アルキルフェノール、クロ
ルフェノール、ビスフェノールA、フェノールスルホン
酸、レゾルシンや各種変性フェノールなどのフェノール
性水酸基を有するものにホルマリン、フルフラールなど
のアルデヒド類を付加、縮合した樹脂を挙げることがで
きる。特にレゾール型フェノール系樹脂が好ましい。ノ
ボラック型フェノール系樹脂を用いる場合はヘキサメチ
レンテトラミンを併用することが好ましい。
【0039】アミノ樹脂としては、一般に公知のもの市
販のものが使用できるが、重量平均分子量が500以上
5万以下の範囲のものが好ましい。例えば、尿素、メラ
ミン、グアナミン、アニリン、スルホンアミドなどのア
ミノ基にホルマリンを付加縮合した樹脂、あるいはエポ
キシ変性メラミン樹脂、フェノール変性メラミン樹脂、
アクリル変性メラミン樹脂、ブチル化尿素樹脂、ブチル
化尿素メラミン共縮合樹脂、ブチル化メラミン・グアナ
ミン共縮合樹脂、アミノ・アルキド共縮合樹脂、アルキ
ルエーテル化メラミン樹脂等が挙げられる。好ましくは
アルキルエーテル化メラミン樹脂である。アルキルエー
テル化メラミン樹脂としては、メチルエーテル化メラミ
ン樹脂、n−ブチルエーテル化メラミン樹脂、 iso−ブ
チルエーテル化メラミン樹脂等があり、例えば大日本イ
ンキ化学社製スーパーベッカミン(商品名)、あるいは
三井東圧化学社製ユーバン(商品名)がある。これらの
アルキルエーテル化メラミン樹脂の中で好ましいものは
重量平均分子量(Mw)が500〜5万の範囲でかつそ
のエーテル化度が10〜95%(100%でトリアジン
環1ユニットに対し6個のアルキルエーテル基が導入さ
れる)の範囲、さらに好ましくはMwが1000〜2.
5万の範囲でかつエーテル化度が20〜80%の範囲の
メラミン樹脂である。Mwが500未満では硬化塗膜の
可撓性が不足し、5万を越えると密着性、導電性が悪く
なるからである。エーテル化度が10%未満ではメラミ
ン樹脂が不安定で、導電性ペーストのポットライフが短
くなり95%を越えると硬化速度が低下して通常の硬化
条件では十分な緻密塗膜が得られず良好な密着性、導電
性等が得られにくくなるからである。
【0040】キシレン樹脂としては、一般に公知のもの
市販のものが使用できるが、例えば、キシレン、変性キ
シレンなどにホルマリン、フルフラールなどのアルデヒ
ド類を付加、縮合した樹脂等を挙げることができる。
【0041】本発明の導電性ペースト中の前記の有機バ
インダー(熱硬化性樹脂およびヒドロキシスチレン系重
合体及び/又はその誘導体等の総量)の配合量は、溶剤
を除く全重量に対して通常5〜50重量%、好ましくは
5〜40重量%であり、5重量%未満の場合はバインダ
ーの絶対量が不足して密着性が低下し、さらに得られる
組成物の流動性が悪くなり、印刷性が低下すると共に加
熱硬化時に導電性粉末が酸化されやすくなり、可撓性、
導電性の低下をまねく。バインダーの量が50重量%を
超えるときは逆に導電性粉末の絶対量が不足し、回路を
形成するのに必要な導電性が得られない。
【0042】また、ヒドロキシスチレン系重合体及び/
又はその誘導体の配合量は目的に応じて異なってくる
が、全有機バインダー中、通常1〜95重量%、好まし
くは5〜80重量%、最も好ましくは10〜60重量%
の範囲である。1重量%未満の場合は、ヒドロキシスチ
レン系重合体及び/又はその誘導体の絶対量が不足し、
導電性、密着性、耐久性が低下し、95重量%を超える
ときは熱硬化性樹脂が不足するため、塗膜中の架橋密度
が低下し導電性が低下する。
【0043】本発明の導電性ペーストは、添加剤として
次の一般式(II)で表される安息香酸および/またはそ
の誘導体を含有することに特徴がある。
【化15】
【0044】ここでRa は水素原子またはアルキル基ま
たはアルコキシル基であり、直鎖状、分岐状のいずれで
もよい。また、アルキル基またはアルコキシル基の炭素
数は、通常1〜24であり、好ましくは3〜20であ
る。アルキル基またはアルコキシル基の炭素数が24を
越える場合、導電性が低下したものしか得られず好まし
くない。
【0045】本発明における安息香酸および/またはそ
の誘導体の具体例としては、安息香酸、メチル安息香
酸、エチル安息香酸、プロピル安息香酸、ブチル安息香
酸、ヘキシル安息香酸、オクチル安息香酸、ノニル安息
香酸、デシル安息香酸、ドデシル安息香酸、テトラデシ
ル安息香酸、ヘキサデシル安息香酸、オクタデシル安息
香酸、テトラコシル安息香酸、メトキシ安息香酸、エト
キシ安息香酸、ブトキシ安息香酸、オクチルオキシ安息
香酸、テトラデシルオキシ安息香酸等である。
【0046】本発明における安息香酸および/またはそ
の誘導体の塩を構成するものとして、Rb は通常ナトリ
ウム、カリウム、リチウムなどのアルカリ金属、カルシ
ウム、マグネシウム、バリウムなどのアルカリ土類金
属、銅などの遷移金属、アンモニウム、またはトリエチ
ルアミンなどのアルキルアミンにより形成されるアルキ
ルアンモニウム、トリエタノールアミンなどのヒドロキ
シアルキルアミンにより形成されるヒドロキシアルキル
アンモニウムなどが挙げられ、好ましくはナトリウム、
カリウム、銅、アンモニア、トリエチルアミン、トリエ
タノールアミン等である。これらの安息香酸および/ま
たはその誘導体は、単独であるいは2種以上を混合して
用いてもよい。
【0047】本発明の導電性ペースト中の安息香酸およ
び/またはその誘導体の配合割合は、溶剤を除く全重量
に対して0.05〜25重量%、好ましくは0.1〜1
0重量%、さらに好ましくは0.2〜5重量%である。
配合重量は0.05重量%未満の場合は、安息香酸およ
び/またはその誘導体の絶対量が不足して導電性、密着
性、または印刷性が低下し、25重量%を超えると導電
性粉末をバインドする効果が不足して導電性、密着性、
耐久性が低下する。
【0048】本発明において使用される安息香酸の誘導
体の合成方法は例えば通常のフリーデルクラフツ・アシ
ル化反応とハロホルム反応に従えばよい。具体的には、
ジクロロメタン中に無水塩化アルミニウムと塩化アセチ
ルを加え、冷却、攪拌しながら、塩化アセチルとアルキ
ルベンゼンまたはアルコキシベンゼンをすばやく加え
る。濃塩酸と氷の混合物で分解し、ジクロロメタン層を
分離し、中和洗浄した後溶媒を除去し、減圧蒸留を行っ
てp−アセチルアルキルベンゼンまたはp−アセチルア
ルコキシベンゼンを得る。次に、水とジオキサンに臭素
と水酸化ナトリウムを加え、アルカル性次亜臭素酸溶液
を作り、0℃で攪拌しながら上記物質を滴下する。その
後、過剰の塩酸で酸性化し、生成する沈澱をろ別し、ベ
ンゼンより再結晶精製して安息香酸の誘導体を得る。ま
た、安息香酸および/またはその誘導体の塩は、例えば
金属水酸化物、アンモニア、アルキルアミン、アルカノ
ールアミン等で中和して得ることができる。
【0049】このように本発明においては、前記の熱硬
化性樹脂、およびヒドロキシスチレン系重合体及び/又
はその誘導体を有機バインダー成分とし、更に添加剤と
して前記のような安息香酸および/またはその誘導体を
添加剤として用いることによって、高い導電性を発現
し、かつその硬化塗膜は環境安定性、耐久性に優れてい
る。さらに、銅箔の表面状態(特に酸化状態)によらず
良好な密着性を示す。また、導電性ペーストの流動特性
が改善され、良好な印刷が可能となる。
【0050】本発明に用いる導電性粉末としては、銅粉
末、銀粉末、ニッケル粉末、アルミニウム粉末等の金属
粉末、及び表面に上記金属の被覆層よりなる金属層を有
する固体粉末が挙げられるが、特に銅粉末が好ましい。
導電性粉末の形態は樹枝状、フレーク状、球状、不定形
のいずれの形態であっても良いが、好ましくは、電解に
より生成した樹枝状の電解銅粉、あるいは球状粉であ
る。平均粒子径は30μm以下であることが好ましく、
高密度、多接触点充填の点から、1〜10μmの樹枝状
粉がより好ましい。ただしここでいう平均粒子径とは堀
場製作所製「LA−500型レーザー回析式粒度分布測
定装置」で求めた体積基準によるメジアン径を指すもの
とする。平均粒子径が30μmを超えると導電性粉末の
高密度充填が難しくなり、導電性が低下するとともに、
印刷性が悪くなるからである。さらに表面処理が施され
た銅粉を用いると特に優れた導電性、耐久性、印刷性が
得られやすい。本発明の銅ペーストおよびその塗膜は表
面に半田を付着させる必要はないので、有機系の表面処
理剤であっても差し支えない。上記導電性粉末の使用形
態としては単独又は混合系で使用できる。上記金属粉末
の純度は高い方が好ましい。特に銅粉末については、回
路基板の導体に用いられている銅箔又はメッキ銅層の純
度と一致するものが最も好ましい。
【0051】本発明において、安息香酸および/または
その誘導体の作用効果は、金属銅粉末を用いた場合によ
り顕著に発現されるので、本発明は導電性銅ペーストの
製造にとって特に重要である。本発明の導電性ペースト
中の導電性粉末の配合量は、溶剤を除く全重量に対して
50〜95重量%の範囲で用いられ、好ましくは70〜
90重量%、さらに好ましくは80〜90重量%であ
る。配合量が50重量%未満では充分な導電性が得られ
ず、逆に95重量%を超える時は導電性粉末が十分バイ
ンドされず、得られる塗膜も脆くなり、耐湿性が低下す
るとともに導電性も悪くなる。
【0052】本発明の導電性ペーストには、添加剤とし
て前記のような安息香酸および/又はその誘導体を用い
る他に導電性粉末の酸化防止のため、必要に応じて公知
の還元剤またはキレート剤を1種又は2種以上用いるこ
とができる(例えば、特願平2−341074、特願平
2−341076に記載の化合物、または公知の化合物
が挙げられる)。本発明においては、なかでも好ましい
還元剤として、例えば亜リン酸、次亜リン酸などの無機
系還元剤、およびヒドロキノン、カテコール類、アスコ
ルビン類、ヒドラジン化合物、ホルマリン、水素化ホウ
素化化合物、還元糖類などの有機系無機系の化合物など
が挙げられる。
【0053】また、好ましいキレート剤としては、例え
ばトリエタノールアミン等のアルカノールアミン、トリ
エチルアミン、パルミチルアミン等のアルキルアミン、
o−アミノフェノール、2−アミノ−4−メチルフェノ
ール、o−アミノチオフェノール、8−ヒドロキシキノ
リン、2−メチル−8−ヒドロキシキノリン、1−ニト
ロソ−2−ナフトール、1−(2−ピリジルアゾ)−2
−ナフトール等の芳香族系アミノ化合物、EDTA(エ
チレンジアミン四酢酸)、NTA(ニトリロ三酢酸)、
CDTA(t−1、2−シクロヘキサンジアミン−N,
N,N’,N’−四酢酸水和物)、DTPA(ジエチレ
ントリアミン五酢酸)等のポリアミノカルボン酸類、ポ
リビニルアミンおよびビニルアミン/ビニルアルコール
共重合体等の誘導体、o−ニトロフェノール樹脂、高分
子エステルにヒドロキシルアミンを反応させて得られる
高分子ヒドロキサム酸、コハク酸、プロピオン酸、フミ
ン酸等のカルボン酸、クエン酸、アスコルビン酸等のヒ
ドロキシカルボン酸、サリチル酸、スルホニルサリチル
酸、サリチルアミド、サリチルヒドロキシサム酸等のサ
リチル酸系化合物、フェニルアラニン、チロシン、アン
トラニル酸、アスパラギン酸等のアミノ酸、プロリン等
のイミノ酸、ニコチン酸等のピリジンカルボン酸、ヒド
ラジン、フェニルヒドラジン等のヒドラジン類、ベンゾ
イルアセトン、アセチルアセトン等のβジケトン類、ラ
ウリルメルカプタン等が挙げられる。
【0054】本発明において還元剤又は金属キレート剤
の配合量は、溶剤を除く全重量に対して通常0.1〜2
0重量%、好ましくは0.5〜10重量%である。配合
量が0.1重量%未満であると添加効果が充分でなく、
20重量%を超えると密着性の低下、耐マイグレーショ
ン性の低下をまねくので好ましくない。
【0055】また、さらに添加剤として銅粉の分散性
や、ペーストのスクリーン印刷性を向上させる目的で、
必要に応じて公知のチキソトロピー剤、レベリング剤、
消泡剤を用いることができる。本発明の導電性ペースト
を製造するには、ディスパーやボールミルや三本ロール
等により十分均一に混練することにより調製する。
【0056】ここで用いることのできる溶剤としては、
ベンゼン、トルエン、ヘキサノン、メチルイソブチルケ
トン、メチルアミルケトンあるいはブチルカルビトー
ル、ブチルカルビトールアセテート、ブチルセロソル
ブ、ブチルセロソルブアセテート、プロピレングリコー
ルモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコール
ジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエー
テル、トリエチレングリコールジメチルエーテル等のエ
チレン系もしくはプロピレン系のグリコールエーテル
類、アジピン酸ジメチル、グルタル酸ジメチル、コハク
酸ジメチル等の2塩基酸のジエステル塩等の公知の溶剤
が挙げられる。溶剤の配合量は混練機の種類、混練条件
及び溶剤の種類によって異なってくる。混練終了後のペ
ースト粘度がスクリーン印刷の行える範囲で溶剤量を調
整することが好ましい。
【0057】本発明の導電性ペーストを用いて、回路基
板上に電磁波シールド層を設けた電磁波ノイズ対策用回
路基板を作製する方法は、例えば以下の方法がある。即
ち、金属張積層板よりエッチドフォル法によって形成さ
せた導電回路上に加熱硬化型又は紫外線硬化型の有機絶
縁体をアースパターン部を除いて塗布して絶縁層を設
け、絶縁体層上に本発明に係る導電性ペーストを用い
て、スクリーン印刷によってアースパターンに接続する
ように絶縁体層上のほぼ全面に導電性ペーストを塗布
し、これを加熱硬化させることにより、有効な電磁波シ
ールド層を有した電磁波ノイズ対策用回路基板を作製す
ることができる。この回路基板は静電シールド層として
も有効に活用することができる。
【0058】使用できる金属張積層基板は、ガラス・エ
ポキシ樹脂系基板、紙・フェノール樹脂系基板、セラミ
ックス系基板、ポリイミド樹脂系基板、フレキシブル基
板等のプリント回路技術便覧(日刊工業新聞社、昭和6
2年出版)などに記載されている公知の基板であればい
ずれでもよい。さらに本発明の導電性ペーストを回路基
板の配線用の導体として使用する方法は、従来と同様の
方法が使用できる。塗布する絶縁基板は、上記同様、公
知または市販の基板等いずれでもよい。配線形成方法は
スクリーン印刷、凹版印刷、スプレー又はハケ塗り等に
より塗布する方法を用いることができる。本発明におい
て導電性塗膜とは、本発明の導電性ペーストを乾燥硬化
させて得られる1×10-2Ω・cm以下の体積固有抵抗を
有する硬化体もしくは硬化塗膜を意味するものとする。
【0059】
【実施例】以下、実施例及び比較例に基づいて本発明を
更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例にのみ限
定されるものではない。実施例及び比較例において配合
量について「%」とは「重量%」を意味する。
【0060】実施例1〜13ペースト調製 表1に示す導電性粉末、表2に示す安息香酸またはその
誘導体、表3に示す有機バインダー、表4に示すその他
の添加剤を表5、6に示す組成となるように配合して、
ディスパーや三本ロールにより十分均一に混練して導電
性ペーストを調製する。
【0061】基板調製 ガラス・エポキシ樹脂基板(CEM-3) を用い、銅箔との密
着試験部分および、電極部分を残して、予め有機絶縁層
(太陽インキ製 S-222, HR-6またはMF-100S 、TS-17 )
を印刷・硬化した。銅箔の前処理には、硫酸/クエン酸
アンモニウム(1:3)の10%水溶液を用いて、40
℃にて60秒浸漬して表面酸化被膜を溶解後、ジェット
エアーで風乾した。
【0062】ペースト印刷 得られた各導電性ペーストを用いて180〜250メッ
シュのテトロン製スクリーンを装着したスクリーン印刷
機によって、密着性試験部分および導電性測定パターン
(2mm×360mm)を有機絶縁体上または銅箔上に
印刷した。次に140〜160℃で10〜30分間加熱
硬化し、厚さ20μmのペースト硬化塗膜を得た。
【0063】オーバーコート印刷 有機絶縁層(太陽インキ製MF-200、TS-92E)を約20μ
mの厚さでペースト硬化塗膜上に印刷し、UV硬化(高
圧水銀灯、1200mj/cm2 )および150℃×2
0分で加熱硬化した。上記の過程で得た導電回路につい
て諸特性を調べた結果を表5、6に示す。
【0064】
【表1】
【0065】
【表2】
【0066】
【表3】
【0067】
【表4】
【0068】
【表5】
【0069】
【表6】
【0070】導電性の測定 塗膜の導電性とは、加熱硬化された塗膜の体積固有抵抗
をデジタルマルチメーター(アドバンテスト社製 R655
1)を用いて2端子法により測定した値である。なお、
体積固有抵抗の算出式を次式に示す。 体積固有抵抗(Ω・cm)=(R×t×W)/L R:電極間の抵抗値(Ω) t:塗膜の厚さ(cm)
W:塗膜の幅(cm) L:電極間の距離(cm)
【0071】耐湿性試験 塗膜の耐湿性は、60℃、95%相対湿度の環境下で5
00時間の放置試験を行ない、その前後での抵抗値の変
化率WR を次式により求めた。 抵抗変化率WR (%)=(R500 −R0 )/R00 :試験前の塗膜の抵抗値(Ω) R500 :500時間試験後の抵抗値(Ω) WR の値により塗膜の耐湿性を次の如く表示する。 A:WR が30%未満 B:WR が30%以上100%未満 C:WR が100%以上
【0072】密着性試験 耐湿試験(60℃、95%相対湿度)に96時間供した
後、260℃の半田槽に5秒×2回浸漬を行った後、評
価した。JIS K 5400(1979)の碁盤目セロテープ剥離試験
方法に準じて行い、銅箔や有機絶縁層上に残る塗膜の碁
盤目個数を求めた。判定基準は次の通りである。 A:100/100 B: 90/100以上〜100/100未満 C: 50/100以上〜 90/100未満 D: 0/100以上〜 50/100未満
【0073】印刷性の評価 判定基準は次の通りである。 ○:良好な印刷性を有するもの △:一応印刷可能なもの ×:印刷不可能なもの
【0074】比較例1〜6 表6に示す組成の導電性ペーストを比較品として調製
し、実施例と同様に評価した。結果を表6に併せて示
す。
【0075】表5、6は本発明に係る導電性ペーストお
よび導電性塗膜の各種特性を比較例とともに示したもの
である。本発明の導電性ペーストは、実施例1〜13に
示されるように、印刷性に優れ、高い導電性(10-3
10-5Ω・cm)を維持したまま、金属銅表面に対する密
着性が大きく改善されている。またこれらの物性は、耐
湿性、耐半田加熱性などの環境安定性にも優れているこ
とが分かる。
【0076】これに対して、有機バインダーとしてヒド
ロキシスチレン系重合体又はその誘導体を用いない導電
性ペースト(比較例1)、安息香酸またはその誘導体を
用いない導電性ペースト(比較例2)あるいはアルキル
基またはアルコキシル基の炭素数が24を超える安息香
酸の誘導体を用いた導電性ペースト(比較例3)では、
各種物性(導電性、耐湿性、密着性及び印刷性)を総合
的に満たすことが困難であり、また、本発明に使用され
るヒドロキシスチレン系重合体又はその誘導体の配合量
が適正でない場合(比較例4)、本発明に使用される安
息香酸又はその誘導体の配合量が適正でない場合(比較
例5)にも各種物性を総合的に満たすことが困難であ
る。また、従来より添加剤として使用されているサリチ
ル酸を配合した例(比較例6)においても、同様に各種
物性を総合的に満たすことが困難である。また、本発明
の導電性ペーストは、100〜250℃で高温酸化した
銅箔表面についても良好な密着性を示した(実施例1、
2、7、8)。具体的な数値は示していないが、以下に
述べる評価を行った結果、作用機構は不明だが、有機バ
インダーとしてヒドロキシスチレン系共重合体および/
またはその誘導体を有機バインダー成分とし、更に安息
香酸および/またはその誘導体を添加剤として用いた本
発明の導電性ペーストは、耐マイグレーション性が特に
良好であった。耐マイグレーション性の評価は次のよう
に行った。基板上に印刷された有機絶縁体上に各導電性
ペーストを回路/スペース=2.0/0.5mmの櫛形
パターンに印刷・硬化し、厚さ約20μmのペースト塗
膜を得た。さらにオーバーコート層を印刷・硬化した。
このペースト塗膜に直流電圧を50V印加しながら、6
0℃、95%RHの恒温恒湿下、1000時間放置した
後の絶縁抵抗を測定した。結果は何れのペーストも10
8 Ω以上の絶縁抵抗を維持していた。
【0077】
【発明の効果】本発明において、ヒドロキシスチレン系
重合体及びその誘導体を有機バインダー成分とし、更に
安息香酸および/またはその誘導体を添加剤として用い
ることによって、導電性を長期間維持しつつ密着性の向
上がはかられ、その環境安定性、耐久性、印刷性を大幅
に改善し、総合的に優れた導電性ペーストを提供するこ
とができる。従って、本発明の導電性ペーストを用いれ
ば、回路基板上に極めて信頼性が高く、かつ効果の大き
い電磁波シールド層を容易にかつ安定的に形成すること
ができる。また、回路基板の配線用の導体として用いた
場合においても、信頼性の高い配線を形成することがで
きる。さらに、電子機器部品、回路部品の電極などにも
有効に使用でき、これらの効果は産業上極めて大きいも
のである。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電性粉末、有機バインダー、添加剤、
    及び溶剤を必須成分とする導電性ペーストにおいて、該
    有機バインダーとして熱硬化性樹脂および一般式(I)
    で表される重量平均分子量1,000 〜200 万のヒドロキシ
    スチレン系重合体及び/又はその誘導体を含有し、 【化1】 〔式中、l,mはl≧0、m≧3で、それぞれ一般式
    (I)の有機高分子の平均分子量が1000〜200万
    になるまでの任意の数、k,p,uは重合体中の平均値
    を示し、その範囲はそれぞれ、0≦k≦2,0≦p≦
    2,0<u≦2、ただしk+p+u>0、R1 〜R3
    水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基、Qは重合性の
    ビニル系単量体、Y,Zは同種又は異種であり、かつ 【化2】 又は炭素数1〜18のアルキル基もしくはアリール基から
    選ばれるものである (式中、Mは水素原子、アルカリ金
    属、アルカリ土類金属又はアミン類などの有機カチオ
    ン、Y1 ,Y2 はハロゲン、Y3 はハロゲンイオン、有
    機酸アニオン、無機酸アニオンなどの対イオン、WはS
    またはO、R4 〜R8 は同種又は異種であって直鎖又は
    分岐鎖アルキル基あるいはヒドロキシアルキル基等のア
    ルキル誘導体基、芳香族基又は水素原子、さらにR6
    7 はN原子とともに環を形成していてもかまわない。
    9 〜R15は同種又は異種であって直鎖又は分岐鎖アル
    キル基、あるいはヒドロキシアルキル基等のアルキル誘
    導体基、芳香族基、又は水素原子、q,sは0又は1、
    rは0,1又は2を示す)〕 かつ、該添加剤として一般式(II)で示される安息香酸
    および/またはその誘導体を含有することを特徴とする
    導電性ペースト。 【化3】 (式中、Ra は水素原子、または炭素数1〜24の直鎖
    もしくは分岐のアルキル基またはアルコキシル基を示
    す。Rb は水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金
    属、遷移金属、アンモニウム、アルキルアンモニウムま
    たはヒドロキシアルキルアンモニウムを示す。)
  2. 【請求項2】 熱硬化性樹脂としてフェノール樹脂、ア
    ミノ樹脂、およびキシレン樹脂からなる群から選ばれる
    一種以上を含有することを特徴とする請求項1記載の導
    電性ペースト。
  3. 【請求項3】 添加剤として更に金属キレート剤および
    /または還元剤を含有することを特徴とする請求項1記
    載の導電性ペースト。
  4. 【請求項4】 導電性粉末が金属粉末または表面に金属
    層を有する固体粉末である請求項1、2、または3記載
    の導電性ペースト。
  5. 【請求項5】 請求項1、2、3、または4記載の導電
    性ペーストを基材上に塗布、または印刷後、硬化してな
    ることを特徴とする導電性塗膜。
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