JPH05320147A - ペンダント型二官能性大環状キレート配位子、その製造法および金属錯体 - Google Patents

ペンダント型二官能性大環状キレート配位子、その製造法および金属錯体

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JPH05320147A
JPH05320147A JP4127439A JP12743992A JPH05320147A JP H05320147 A JPH05320147 A JP H05320147A JP 4127439 A JP4127439 A JP 4127439A JP 12743992 A JP12743992 A JP 12743992A JP H05320147 A JPH05320147 A JP H05320147A
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metal
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pendant
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JP4127439A
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Kazuya Takenouchi
一弥 竹之内
Masayasu Tanabe
昌泰 田部
Atsuo Hasato
篤夫 羽里
Kenzo Watanabe
兼三 渡辺
Eiichi Kimura
栄一 木村
Yoshinori Kato
喜規 加藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Teijin Ltd
Original Assignee
Teijin Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 金属との錯体が生体内で安定で、かつ迅速に
金属錯体を形成するペンダント型二官能性大環状キレー
ト配位子およびその金属錯体等の提供。 【構成】 一般式〔I〕で表わされる大環状キレート配
位子およびそれらの塩、その製造方法、およびかかる大
環状キレート配位子の金属錯体。 〔式中Rは(置換)C〜C10アルキルもしくは
(置換)C〜C16アラルキル基を、R21
22,R23,R24およびR25は水素、C〜C
アルキルまたはC〜C11アラルキルを表わし、n
=1,2である〕

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はペンダント型二官能性大
環状キレート配位子、その製造法およびかかる配位子の
金属錯体に関する。さらには大環状ポリアミン類および
その金属錯体に関する。
【0002】ここでいう「ペンダント」とは、大環状キ
レート配位子の環構造に結合している鎖状構造の配位部
分を指す。また、「二官能性」とは、1分子中に金属イ
オンとのキレート部分および抗体などの蛋白質や糖類な
どの生体関連物との結合基を合わせもつことを示してい
る。
【0003】このようなキレート配位子は、例えば医療
診断、治療分野において、抗体と診断・治療に用いられ
る金属イオンを結合させ、これを生体に投与し、抗体の
抗原との結合力を利用して目的部位に金属イオンを集積
させるために使用される。本発明は、このような目的に
使用するために極めて有用なペンダント型二官能性大環
状キレート配位子およびその金属錯体に関する。
【0004】
【従来の技術】近年細胞融合法の発達により、各種の生
体関連物質に対する特異抗体が比較的容易に得られるよ
うになってきた。そこで、このような特異抗体に 111
n、 9 9mTcなどのγ線放出性の放射性金属を結合して
投与することによりγ―カメラを用いて癌やその他の疾
患の診断に用いようとする試みや、Gdを結合させて投
与することにより核磁気共鳴を利用する画像診断の増影
剤として利用しようという試みが行われている[例え
ば、キャンサー・リサーチ(Cancer. Res., 1990,50, 7
068)、バイオコンジュゲート・ケミストリー(Bioconj
ugate Chem., 1991, 2, 342)、ケミカル・レビュー(C
hem. Rev., 1987, 87, 901 )、ジャーナル・オブ・メ
ディシナル・ケミストリー(J. Med. Chem., 1989, 32,
433)参照]。
【0005】また、この特異抗体に90Y、67Cu、 186
Re、 188Re、 211At、 212Biなどのα線または
β線放出核種を結合すれば、各種の疾患、特に癌の治療
に有効な手段を提供することができる[例えば、キャン
サー・リサーチ(Cancer. Res., 1991, 51, 1883)、バ
イオコンジュゲート・ケミストリー(Bioconjugate Che
m., 1991, 2, 415)、ザ・ジャーナル・オブ・ニューク
レア・メディシン(J.Nucl. Med., 1991, 32, 1445 )
参照]。
【0006】従来、このような抗体と金属とを結合させ
る方法として、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDT
A)、ジエチレントリアミンペンタ酢酸(DPTA)な
どの鎖状キレート配位子を抗体に結合させ、金属をキレ
ートする方法、あるいはEDTA、DPTAなどにイソ
チオシアノ基などの生体物質との結合基を導入したいわ
ゆる二官能性キレート配位子を用いる方法が知られてい
る[例えば、インオーガニック・ケミストリー(Inorg.
Chem., 1986, 25, 2772)、キャンサー・リサーチ(Ca
ncer Res., 1989, 49, 2639 )参照]。
【0007】しかし、これらの配位子はまだ金属の配位
力は充分でなく、投与後、金属が遊離してしまったり血
中に存在する金属と交換してしまい、充分に目的の部位
に金属を集積させることができない。また、EDTA、
DPTAの無水物を用いた場合には、金属との配位子で
あるカルボン酸部分が一部抗体との結合に使用されるた
め、二官能性キレート配位子を用いる方法に比べて、金
属との配位力が低下するだけでなく、抗体とキレート配
位子の結合も不安定である。
【0008】そこでより強い金属捕捉能を有する二官能
性キレート配位子が研究開発されている。その中でも大
環状キレート配位子はミアーズら[ジャーナル・オブ・
アメリカン・ケミカル・ソサイテイ(J. Am. Chem. So
c., 1988, 110, 6266)、ザ・ジャーナル・オブ・ニュ
ークレア・メディシン(J. Nucl. Med., 1990, 31, 47
3)、米国特許第4,678,667号明細書]やパー
カーら{ジャーナル・オブ・ケミカル・ソサイテイ・ケ
ミカル・コミュニケーション[J. Chem. Soc., Chem. C
ommun., 794, 797 (1989), 1739 (1990)]、欧州特許第
0238196号、同第0382582号、PCT国際
公開第87/05030号公報、同第89/01476
号公報、同第90/09388号公報}によりその優れ
た金属キレート形成能が報告されている。また、ユーリ
ウス(特表平2―503910号)、ガンソーら(特表
平3―503531号)、ジョンソンら[ジャーナル・
オブ・メディシナル・ケミストリー(J. Med. Chem., 1
989, 32, 236)、バイオコンジュゲート・ケミストリー
(Bioconjugate Chem., 1991, 2, 26 )、特開昭63―
290854号公報]、チエンら(PCT国際公開第8
9/12631A号公報)も同様の化合物について報告
している。
【0009】しかし、上記の二官能性大環状キレート配
位子は、二官能性鎖状キレート配位子に比べて、その金
属錯体は生体内で安定であるものの、金属錯体の形成に
長時間を要するという欠点を有している。
【0010】従って、金属錯体が生体内で安定で、かつ
迅速に金属との錯体を形成するような二官能性大環状キ
レート配位子の開発が望まれている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、金属との錯
体が生体内で安定で、かつ迅速に金属錯体を形成するペ
ンダント型二官能性大環状キレート配位子、その製造法
およびかかる配位子の金属錯体を提供することを目的と
する。さらに本発明は、特定の大環状ポリアミン類およ
びその金属錯体を提供することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、下記式[I]
【0013】
【化3】
【0014】(式中、nは1または2を表わし、R1
置換もしくは非置換のC1 〜C10のアルキル基または置
換もしくは非置換のC7 〜C16のアラルキル基を表わ
し、R21,R22,R23,R24およびR25は同一または異
なり、水素原子、C1 〜C5 のアルキル基またはC7
11のアラルキル基を表わす。)で表わされるペンダン
ト型二官能性大環状キレート配位子およびそれらの塩、
下記式[II]
【0015】
【化4】
【0016】(式中、nは1または2を表わし、R11
置換もしくは非置換のC1 〜C10のアルキル基または置
換もしくは非置換のC7 〜C16のアラルキル基を表わ
す。)で表わされる大環状ポリアミン類およびそれらの
塩、ならびに前記式[II]で表わされる大環状ポリアミ
ン類およびそれらの塩と下記式[III ] X―CH2 CO2 20 …[III ] (式中、Xはハロゲン原子または水酸基の活性化誘導体
を、R20は水素原子、C 1 〜C5 のアルキル基、または
7 〜C11のアラルキル基を表わす。)で表わされる酢
酸誘導体またはそれらの塩を塩基の存在下で縮合させ、
しかる後に必要に応じて官能基変換、脱保護を行うこと
を特徴とする前記式[I]で表わされるペンダント型二
官能性大環状キレート配位子およびそれらの塩の製造法
を提供するものである。
【0017】本発明は、また前記式[I]で表わされる
ペンダント型二官能性大環状キレート配位子またはそれ
らの塩と、遷移金属、ランタノイド、アクチノイドおよ
びアルカリ土類金属からなる群から選ばれた少なくとも
1種の金属のイオンとから形成される金属錯体、および
前記式[II]で表わされる大環状ポリアミン類またはそ
れらの塩と、遷移金属、ランタノイド、アクチノイドお
よびアルカリ土類金属からなる群から選ばれた少なくと
も1種の金属のイオンとから形成される金属錯体を提供
するものである。
【0018】前記式[I]および[II]において、nは
1または2を表わす。
【0019】前記式[I]において、R1 は置換もしく
は非置換のC1 〜C10のアルキル基、または置換もしく
は非置換のC7 〜C16のアラルキル基を表わす。これら
の例としては、例えばメチル基、エチル基、n―プロピ
ル基、イソプロピル基、n―ブチル基、イソブチル基、
tert―ブチル基、ベンジル基、フェネチル基、フェ
ニルプロピル基、フェニルブチル基、およびこれらの基
の任意の位置に置換基を有する基があげられる。中でも
好ましいものとしては、C1 〜C5 のアルキル基および
7 〜C11のアラルキル基が挙げられ、特にベンジル基
が好ましい。
【0020】ここでいう置換基の例としては、ニトロ
基、ハロゲン原子、アミノ基、C1 〜C5 のアルキル基
またはC7 〜C11のアラルキル基で置換されたアミノ
基、ハロアセトアミド基、水酸基、C1 〜C5 のアルコ
キシ基、イソシアノ基、イソチオシアノ基、C1 〜C5
のアルキル基、メルカプト基、マレイミド基、2―ピリ
ジルジチオ基などを挙げることができる。好ましい置換
基としては、ニトロ基、アミノ基、ハロアセトアミド基
およびイソチオシアノ基が挙げられる。
【0021】また、前記式[I]において、R21
22,R23,R24およびR25は同一または異なっていて
もよく、水素原子、C1 〜C5 のアルキル基またはC7
〜C11のアラルキル基を表わす。その好ましい具体例と
しては、水素原子の他、メチル基、エチル基、tert
―ブチル基等のC1 〜C4 のアルキル基やベンジル基な
どが挙げられる。なお、R21,R22,R23,R24および
25は同一のものが好ましい。
【0022】前記式[I]で表わされるペンダント型二
官能性大環状キレート配位子および[II]で表わされる
大環状ポリアミン類の塩としては、例えばフッ化水素酸
塩、塩化水素酸塩、臭化水素酸塩、酢酸塩、トリフルオ
ロ酢酸塩、ホウフッ化水素酸塩、フマル酸塩、硫酸塩な
どが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
中でも塩化水素酸塩、臭化水素酸塩が好ましい。
【0023】前記式[II]において、R11は置換もしく
は非置換のC1 〜C10のアルキル基または置換もしくは
非置換のC7 〜C16のアラルキル基を表わす。これらの
例としては、前記したR1 と同様に、例えばメチル基、
エチル基、n―プロピル基、イソプロピル基、n―ブチ
ル基、イソブチル基、tert―ブチル基、ベンジル
基、フェネチル基、フェニルプロピル基、フェニルブチ
ル基、およびこれらの基の任意の位置に置換基を有する
基があげられる。中でもC1 〜C5 のアルキル基、C7
〜C11のアラルキル基が好ましく、特にベンジル基が好
ましい。また、ここでいう置換基の例としては、ニトロ
基、ハロゲン原子、アミノ基、アルキル基またはアラル
キル基で置換されたアミノ基、ハロアセトアミド基、水
酸基、アルコキシ基、イソシアノ基、イソチオシアノ
基、アルキル基、メルカプト基、マレイミド基、2―ピ
リジルジチオ基などが挙げられる。
【0024】前記式[III ]において、Xはハロゲン原
子、水酸基の活性化誘導体を表わす。これらの好ましい
例としては、例えばヨウ素原子、臭素原子、塩素原子、
トリフルオロメタンスルホニルオキシ基、メタンスルホ
ニルオキシ基、p―トルエンスルホニルオキシ基などを
挙げることができる。
【0025】また、前記式[III ]において、R20は水
素原子、C1 〜C5 のアルキル基またはC7 〜C11のア
ラルキル基を表わす。水素原子以外のこれらの例として
は、メチル基、エチル基、tert―ブチル基、ベンジ
ル基等が挙げられる。
【0026】前記式[I]におけるR21,R22,R23
24およびR25は同一の場合には、R20がそれらと同じ
ものを表わす。前記式[II]におけるR21,R22
23,R 24およびR25は同一でない場合には、それらに
該当したものをR20とした式[III ]で表わされる化合
物の混合物を用いる必要がある。
【0027】前記式[I]で表わされるペンダント型二
官能性大環状キレート配位子は、前記式[II]で表わさ
れる大環状ポリアミン類またはそれらの塩を、2〜30
倍モルの塩基の存在下に前記式[III ]で表わされる酢
酸誘導体またはそれらの塩5〜20倍モルと縮合させ、
しかる後に必要に応じて官能基変換、脱保護することに
より製造される。
【0028】用いられる塩基としては、水酸化カリウ
ム、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウ
ム、炭酸セシウムなどの無機塩基類や、トリエチルアミ
ン、ジアザビシクロウンデセン、ピリジン、ピロリジ
ン、ピペリジン、モルホリンなどのアミン塩基類があげ
られる。特に、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸セ
シウムが好ましい。
【0029】縮合反応の反応温度は、−40〜100
℃、特に好ましくは前記式[III ]で表わされる酢酸誘
導体またはそれらの塩において、R20が水素原子の場合
は0〜90℃程度、アルキル基またはアラルキル基の場
合は0〜50℃程度の温度範囲が採用される。反応時間
は反応温度により異なるが、20分〜3日間程度であ
る。
【0030】溶媒としては、反応試薬とは反応しないも
のが用いられ、例えば水、N,N―ジメチルホルムアミ
ド、N,N―ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキ
シド、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、メタノール、
エタノール、イソプロピルアルコール、ジメトキシエタ
ン、ジオキサン、クロロホルム、塩化メチレン、ベンゼ
ン、トルエンなどの単独、混合または二相系溶媒を挙げ
ることができる。
【0031】特に、前記式[III ]で表わされる酢酸誘
導体またはそれらの塩において、R 20が水素原子の場合
は水、エタノールの混合溶媒または水、トルエンの二相
系溶媒が好ましく、R20がアルキル基またはアラルキル
基の場合にはN,N―ジメチルホルムアミド、メタノー
ル、エタノール、テトラヒドロフランが好ましい。
【0032】前記式[I]で表わされるペンダント型二
官能性大環状キレート配位子においてR21,R22
23,R24及びR25がアルキル基、アラルキル基の場合
には、必要に応じてこれを5〜30倍モルの塩基または
酸の存在下に加水分解することにより前記式[I]で表
わされるペンダント型二官能性大環状キレート配位子に
おいてR21等が水素原子のものに脱保護することができ
る。用いられる塩基または酸としては、水酸化リチウ
ム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウ
ム、炭酸カリウム、アンモニア、塩酸、酢酸などを挙げ
ることができる。特に、水酸化ナトリウム、アンモニ
ア、塩酸が好ましい。
【0033】反応温度は−40〜100℃、特に好まし
くは0〜80℃程度の温度範囲が採用される。反応時間
は反応温度により異なるが、30分〜1日程度である。
【0034】用いられる溶媒は、反応試薬と反応しない
ものが用いられ、例えば水、メタノール、エタノール、
N,N―ジメチルホルムアミド、ジオキサン、ジメチル
スルホキシドなどの単独、混合溶媒を挙げることができ
る。特に水とメタノール、水とエタノールの混合溶媒が
好ましい。
【0035】前記式[I]で表わされるペンダント型二
官能性大環状キレート配位子において、R1 が置換アル
キル基、置換アラルキル基であり、これらの基に含まれ
る置換基が生体物質と結合しうる置換基に変換可能な置
換基の場合、必要に応じて生体物質と結合しうる置換基
に変換することができる。このような官能基変換として
は、ニトロ基からアミノ基、シアノ基からアミノメチル
基、アミノ基からハロアセトアミド基、アミノ基からイ
ソチオシアノ基、アミノ基からマレイミド基などが挙げ
られる。
【0036】例えばニトロ基からアミノ基、アミノ基か
らハロアセトアミド基、アミノ基からイソチオシアノ基
への官能基変換については以下のような条件が挙げられ
る。
【0037】ニトロ基からアミノ基への変換としては、
基質となるニトロ化合物の不均一系接触水素添加、金属
および金属塩による還元、金属水素錯化合物による還元
などがあげられるが、特に不均一系接触水素添加が好ま
しい。この場合、用いる触媒は0.01〜0.1倍モル
の5〜10%パラジウム付活性炭あるいは酸化白金(I
V)などが好ましい。反応温度は−40〜200℃、反
応圧力は常圧〜250気圧の範囲が採用される。反応時
間は反応条件により異なるが、20分〜1日間程度であ
る。用いられる反応溶媒は水、メタノール、酢酸エチル
などであり、基質の溶解するものが用いられる。
【0038】アミノ基からハロアセトアミド基への変換
としては、基質となるアミンと1〜10倍モルのハロ酢
酸の活性化エステルまたはハロアセチルハライドなどと
の反応があげられる。ハロ酢酸の活性化エステルとして
は、ヨード酢酸またはブロモ酢酸のパラニトロフェニル
エステル、N―ヒドロキシスクシンイミドエステル、N
―ヒドロキシフタルイミドエステルなどが挙げられ、ハ
ロアセチルハライドとしては、ヨードアセチルクロリ
ド、ヨードアセチルブロミド、ブロモアセチルクロリ
ド、ブロモアセチルブロミドなどが挙げられる。
【0039】反応温度は−40〜100℃、特に好まし
くは−20〜50℃の温度範囲が採用される。反応時間
は反応温度により異なるが、20分〜3日間程度であ
る。用いられる反応溶媒は、水、N,N―ジメチルホル
ムアミド、N,N―ジメチルアセトアミド、ジメチルス
ルホキシド、メタノール、エタノール、ジメトキシエタ
ン、クロロホルム、塩化メチレンなどが挙げられるが、
特に水、N,N―ジメチルホルムアミド、ジメチルスル
ホキシドが好ましい。
【0040】アミノ基からイソチオシアノ基への変換と
しては、基質となるアミンと1〜5倍モルのチオホスゲ
ンのクロロホルム溶液との反応が挙げられる。反応温度
は−40〜100℃、特に好ましくは−20〜50℃の
温度範囲が採用される。反応時間は反応温度により異な
るが、5分〜3時間程度である。用いられる反応溶媒
は、水、N,N―ジメチルホルムアミド、N,N―ジメ
チルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、メタノー
ル、エタノール、ジメトキシエタン、クロロホルム、塩
化メチレンなどが挙げられるが、特に水、N,N―ジメ
チルホルムアミド、ジメチルスルホキシドが好ましい。
【0041】かかる操作の後に得られたペンダント型二
官能性大環状キレート配位子は、抽出、シリカゲルクロ
マトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、高速
液体クロマトグラフィー、遠心液液分配クロマトグラフ
ィー、再結晶、蒸留などの通常の操作を適宜選択応用
し、組み合わせて施すことにより単離することができ
る。
【0042】得られたペンダント型二官能性大環状キレ
ート配位子は、所望により、公知の方法で前記のような
塩とすることもできる。
【0043】なお、前記式[II]で表わされる大環状ポ
リアミン類およびそれらの塩はいかなる方法で合成して
もかまわない。
【0044】例えば、前記式[II]においてn=1の場
合には、以下のような方法で合成することができる。す
なわち、マロン酸モノエチルクロリド[1]をアミン
[2]と縮合し、得られたマイド[3]をブロミド
[4]に変換する。このブロミド[4]とグリシンエチ
ル[5]を反応させ得られたイミノジ酢酸誘導体[6]
をジエチレントリアミン[7]と縮合し、大環状ポリア
ミントリオキソ誘導体[8]を得、これを還元すること
により合成することができる。
【0045】
【化5】
【0046】(ここで、R11は前記式[II]の定義と同
じ。)また、前記式[II]においてn=2の場合には、
以下のような方法で合成することができる。すなわち、
Boc―アスパラギン酸メチルエステル[9]をアミン
[2]と縮合し、得られたアミド[10]を脱Boc
し、このアミノ酸誘導体[11]をエチレンジアミン
[12]と反応させ、ジアミン[13]を得る。このジ
アミン[13]を還元してテトラミン[14]としたの
ち、イミノジ酢酸ジエチル[15]と縮合し、大環状ポ
リアミンジオキソ誘導体[16]を得、これを還元する
ことにより得ることができる。
【0047】
【化6】
【0048】(ここで、R11は前記式[II]の定義と同
じ。)前記式[I]で表わされるペンダント型二官能性
大環状キレート配位子とそれらの塩および前記式[II]
で表わされる大環状ポリアミン類とそれらの塩は文献未
記載の新規化合物であり、各種金属イオンと迅速に金属
錯体を形成し、かつこの金属錯体は生体内で安定であ
る。
【0049】このような金属錯体を形成しうる金属イオ
ンとしては、遷移金属、ランタノイド、アクチノイド、
アルカリ土類金属などのイオンが挙げられる。これらの
金属イオンの中でも、特に放射性同位元素イオン、常磁
性金属イオンの場合、その金属錯体は医療診断、治療分
野において有用である。具体例を示すと、金属錯体の金
属イオンが放射性同位元素イオンの場合、この金属錯体
を各種の生体件連物質に対する特異抗体などに結合させ
れば、各種の疾患、特に癌の診断、治療に有効な手段を
提供することができる。
【0050】このような目的で用いられる金属イオンと
しては、例えば、診断分野の場合、 99mTc、 111
n、 131I、 123I、 186Re、67Ga、 105Rh、
101Rhなどのイオンがあるが、特に 99mTc、 111
nにイオンが好ましい。
【0051】また、治療分野の場合、 131I、 186
e、 186Re、67Cu、90Y、 109Pd、47Sc、 153
Sm、 211At、 212Bi、 212Pb、 111Ag、 105
Rh、 101Rh、 125Iなどのイオンがあるが、特に
186Re、67Cu、90Yのイオンが好ましい。
【0052】また、前記金属錯体の金属イオンが常磁性
金属イオンの場合、この金属錯体は磁気共鳴画像法(ma
gnetic resonance imaging: MRI)の増影剤として用
いることができる。このような目的で用いられる金属イ
オンとしては、例えばGd、Fe、Mnなどのイオンを
挙げることができる。
【0053】
【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説
明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0054】
【実施例1】{1―[N―カルボキシメチル―N―(p
―ニトロベンジル)アミノメチル]―2,5,8,11
―テトラアザ―2,5,8,11―テトラキス(カルボ
キシメチル)シクロドデカン[Bz―AMDOPA]の
合成}
【0055】
【化7】
【0056】1―[N―(p―ニトロベンジル)アミノ
メチル]―2,5,8,11―テトラアザシクロドデカ
ン67.3mg(0.2mmol)をエタノール3mlに溶解
し、これをブロモ酢酸278mg(2mmol)を水3mlに溶
解し7規定KOHを数滴加えてpH約13に調整した溶
液に加え、70℃で7.5時間攪拌した。反応中は反応
液のpHが常に約10になるように適宜7規定KOHを
加えた。反応後、反応液に47%HBrを加えてpHを
約5に調整し、析出した固体を濾取した。これをHPL
C分取精製(C18、0.5%TFA:MeOH=7:
3)し、目的物分画を凍結乾燥して、白色粉末状の1―
[N―カルボキシメチル―N―(p―ニトロベンジル)
アミノメチル]―2,5,8,11―テトラアザ―2,
5,8,11―テトラキス(カルボキシメチル)シクロ
ドデカン43.6mg(0.07mmol、収率35%)を得
た。
【0057】本化合物の物性値は以下のとおりである。270MHz 1H―NMR(D 2 O、δppm) ;2.5-
4.5(m,29H), 7.70(d,2H,J=8.24Hz),8.28(d,2H,J=8.25H
z)IR(KBr、cm -1 ;3113, 1680, 1589, 1518, 140
0, 1348, 1215,691, 515, 407FD―MS ;m/e=627 (M+H)+ ,649 (M+N
a)+ 検出
【0058】
【実施例2】{1―[N―カルボキシメチル―N―(p
―ニトロベンジル)アミノエチル]―2,5,8,11
―テトラアザ―2,5,8,11―テトラキス(カルボ
キシメチル)シクロドデカン[Bz―AEDOPA]の
合成}
【0059】
【化8】
【0060】1―[N―(p―ニトロベンジル)アミノ
エチル]―2,5,8,11―テトラアザシクロドデカ
ン130mg(0.371mmol)をエタノール3mlに溶解
し、これをブロモ酢酸309mg(2.23mmol)を水3
mlに溶解し7規定KOHを数滴加えてpH約13に調整
した溶液に加え、70℃で7.5時間攪拌した。反応中
は反応液のpHが常に約10になるように適宜7規定K
OHを加えた。反応後、反応液に47%HBrを加えて
pHを約2に調整し、析出した固体を濾取した。これを
HPLC分取精製(C18、0.1%TFA/MeOH=
95/5,90/10)し、目的物分画を凍結乾燥し
て、白色粉末状の1―[N―カルボキシメチル―N―
(p―ニトロベンジル)アミノエチル]―2,5,8,
11―テトラアザ―2,5,8,11―テトラキス(カ
ルボキシメチル)シクロドデカン76.2mg(0.11
9mmol、収率32%)を得た。
【0061】本化合物の物性値は以下のとおりである。270MHz 1H―NMR(D 2 O、δppm) ;1.8-
2.0(m,1H), 2.3-2.5(m,1H), 2.9-4.2(m,27H),4.60(s,2
H), 7.79(d,2H,J=8.58Hz),8.35(d,2H,J=8.58Hz),IR(film、cm -1 ;3410, 2924, 2361, 1678, 15
26, 1352, 1202,912, 691FD―MS ;m/e=641 (M+H)+ 検出
【0062】
【実施例3〜4】(ペンダント型二官能性大環状キレー
ト配位子金属錯体の血清中安定性の測定)本発明のペン
ダント型二官能性大環状キレート配位子の主な用途は、
この配位子を各種生体関連物質に対する特異抗体などに
結合させ、これに放射性同位元素などをキレートして、
各種疾患、特に癌の治療薬として用いることである。こ
のような用途においては、形成された金属錯体は生体内
で安定でなければならない。
【0063】一般に、配位子の錯体安定性は、錯生成定
数の大小で論ずることができるが、生体内で金属錯体が
安定であるかどうかを錯生成定数の大小で論ずることは
困難である。なぜならば、生体内には他の金属やあるい
は金属をキレートするような各種蛋白質も共存している
からである。
【0064】そこで本発明のペンダント型二官能性大環
状キレート配位子金属錯体の生体内での安定性を評価す
るために、該金属錯体の血清中での安定性を調べた。
【0065】配位子は、ペンダント型二官能性大環状キ
レート配位子として実施例1で合成したBz―AMDO
PA(実施例3)および実施例2で合成したBz―AE
DOPA(実施例4)を、キレートする金属として88
イオンを用い、血清中のペンダント型二官能性大環状キ
レート配位子88Y錯体残存率を測定した。
【0066】[使用した88Yの明細]使用した放射性同
位元素の88Y(0.6mCi/0.08ml6M HCl
溶液)はロスアラモスから購入した。キャリヤー・フリ
ーであるが、安定な化学不純物として種々の金属を含ん
でいる。
【0067】[キャリヤー・フリーの88YCl3 バッフ
ァー水溶液]購入品である88YCl3 6M HCl溶液
0.08mlに、蒸留水0.92mlを加え、希釈液を調整
した。この希釈液60μlに蒸留水200μlと0.1
M酢酸アンモニウム水溶液(酢酸にてpH5に調整)6
00μlを混合し、0.5Mアンモニア水70μlを加
えてpH5に調整した。この溶液の88Yの濃度は、3
8.7μCi/ml、0.0028μg/ml、0.32×
10-7Mである。
【0068】[サンプルの調製]キャリヤー・フリーの
88YCl3 バッファー水溶液60μlと上記ペンダント
型二官能性大環状キレート配位子の10-4M水溶液20
μlを混合し、室温で3日間放置した。その後、0.5
Mアンモニア水6.5μlを加えてpHを約7に調整し
て室温で30分間放置した。生成した金属錯体溶液60
μlと血清540μlを混合し、密封後、37℃でイン
キュベートした。以後、時間を追って10μlサンプリ
ングし、ペーパークロマトグラフィー法により88Y錯体
の残存率を求めた。なお血清は、健康な成人男子5人分
の混合血清を使用前にフィルター(0.22μm)を通
し滅菌処理して使用した。
【0069】[ペーパークロマトグラフィー法による88
Y錯体残存率の測定]ペーパークロマトグラフィー用濾
紙(ADVANTEC社製、51B)を3×17cmに切
り、サンプリングした反応溶液を濾紙の一方の短辺(底
辺)から3cmの位置にスポッティングした。5分間放置
した後、底辺方向からもう一方の短辺方向に15cm展開
[展開溶媒:2%AcONH4 (pH7.4):CH3
CN=1:1]した。この操作により88Y錯体はRf=
0.5〜1.0に展開され、フリーの88Yは原点に残
る。展開後、風乾して、展開部分を短辺に平行に1cmき
ざみで切り、それぞれの切片の放射活性をγ―カウンタ
ー(アロカ株式会社製、ARC―361)にて測定し
た。この測定値より全体の放射活性に対する展開部分
(Rf=0.5〜1.0)の放射活性の比を求め、88
錯体残存率を算出した。
【0070】[測定結果]時間に対するそれぞれのペン
ダント型二官能性大環状キレート配位子88Y錯体の血清
中での残存率を図1に示す。
【0071】
【比較例1】(従来の二官能性大環状キレート配位子金
属錯体の血清中安定性の測定)二官能性大環状キレート
配位子としてBz―AMDOPAにかえて従来しられた
Bz―DOTAを用いるほかは実施例3と同様にして、
88Y錯体の血清中での残存率を測定した。結果を図1に
併せて示す。
【0072】なお、Bz―DOTAは下記構造式で示さ
れる。
【0073】Bz―DOTA;1―(p―ニトロベンジ
ル)―2,5,8,11―テトラアザ―2,5,8,1
1―テトラキス(カルボキシメチル)シクロドデカン
【0074】
【化9】
【0075】図1からわかるように、本発明のペンダン
ト型二官能性大環状キレート配位子Bz―AMDOP
A、およびBz―AEDOPAの金属錯体は、従来の二
官能性大環状キレート配位子Bz―DOTAのそれとほ
ぼ同等の血清中安定性を示し、3週間以上錯体からの金
属の遊離は認められなかった。このことは、ペンダント
の有無が血清中での安定性には何ら影響を及ぼさないこ
とを示している。また、これらのペンダント型二官能性
大環状キレート配位子の金属錯体は生体内で非常に安定
であることが明らかであり、このような配位子を各種の
生体関連物質に対する特異抗体などに結合させたもの
は、各種の疾患、特に癌の治療に非常に有用である。
【0076】
【実施例5】(ペンダント型二官能性大環状キレート配
位子の金属錯体生成反応速度定数の測定)本発明のペン
ダント型二官能性大環状キレート配位子が、そのペンダ
ントによりどの程度金属錯体生成反応速度が促進される
かを調べるために、Y錯体生成反応の反応速度定数を測
定した。配位子は、本発明のペンダント型二官能性大環
状キレート配位子として実施例1で合成されたBz―A
MDOPAを用いた。測定は、アルセナゾIII ・イット
リウム錯体(λmax653nm)から過剰のキレート
配位子がイットリウムを奪う様子を吸光度(653n
m)の経時変化により追跡し、凝一次速度定数を求める
ことにより行った。
【0077】[原理]
【0078】
【数1】
【0079】
【数2】
【0080】(ここで、tは時間、c′はt=0での
[Arsenazo III・Y]、Cはt=tでの[Arsenazo III
・Y]である。)よって、ある時間の吸光度とその時間
からtだけたった時の吸光度の比の自然対数と、時間の
グラフを書き、その傾きにより凝一次速度定数k′を求
めることができる。
【0081】[測定方法]5×10-5MアルセナゾIII
、5×10-6M YCl3 ・6H2 Oの5×10 -2
ヘペスバッファー溶液(pH6.5)300μlと2×
10-4M Bz―AMDOPA水溶液300μlを2×
10mmUV用石英セルにいれ、よく混合した。この溶液
の653nmの吸光度経時変化をUVスペクトロフォト
メーター(島津製作所製、UV―2100)で、37
℃、6時間測定し、[原理]に記した方法により凝一次
速度定数k′を求めた。
【0082】[測定結果]下記表1にBz―AMDOP
AのY錯体生成反応の凝一次速度定数k′を示す。
【0083】
【表1】
【0084】
【比較例2】(従来の二官能性大環状キレート配位子の
金属錯体生成反応速度定数の測定)二官能性大環状キレ
ート配位子としてBz―AMDOPAにかえて従来知ら
れたBz―DOTAを用いるほかは実施例5と同様にし
て、Y錯体生成反応の凝一次速度定数k′を求めた。結
果を表1に併せて示す。
【0085】表1からわかるように、本発明のペンダン
ト型二官能性大環状キレート配位子Bz―AMDOPA
は、従来の二官能性大環状キレート配位子Bz―DOT
Aよりも2倍以上大きいY錯体生成反応速度定数を示す
ことが判明した。このことより、ペンダントが大環状キ
レート配位子の金属錯体生成速度を高める効果をもつこ
とが示された。
【0086】以上のように本発明のペンダント型二官能
性大環状キレート配位子は従来の二官能性大環状キレー
ト配位子に比べて金属錯体生成速度を高めることが明ら
かであり、このような配位子を各種の生体関連物質に対
する特異抗体などに結合させたものは、各種の疾患、特
に癌の治療に非常に有用である。
【0087】
【発明の効果】本発明は、金属との錯体が血清中で安定
で、かつ迅速に金属錯体を形成することのできるペンダ
ント型二官能性大環状キレート配位子およびその金属錯
体を提供することができる。本発明の金属錯体は、その
配位子を各種の生体関連物質に対する特異抗体などと結
合させると各種疾患、特に癌の治療に有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例3、4のペンダント型二官能性大環状キ
レート配位子および比較例1の従来の二官能性大環状キ
レート配位子それぞれの88Y錯体の血清中安定性を示す
グラフである。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年8月6日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項4
【補正方法】変更
【補正内容】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0026
【補正方法】変更
【補正内容】
【0026】前記式[II]におけるR21,R22
23,R24およびR25は同一でない場合には、それらに
該当したものをR20とした式[III]で表わされる化
合物の混合物を用いる必要がある。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0044
【補正方法】変更
【補正内容】
【0044】例えば、前記式[II]においてn=1の
場合には、以下のような方法で合成することができる。
すなわち、マロン酸モノエチルクロリド[1]をアミン
[2]と縮合し、得られたアミド[3]をブロミド
[4]に変換する。このブロミド[4]とグリシンエチ
ル[5]を反応させ得られたイミノジ酢酸誘導体[6]
をジエチレントリアミン[7]と縮合し、大環状ポリア
ミントリオキソ誘導体[8]を得、これを還元すること
により合成することができる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0049
【補正方法】変更
【補正内容】
【0049】このような金属錯体を形成しうる金属イオ
ンとしては、遷移金属、ランタノイド、アクチノイド、
アルカリ土類金属などのイオンが挙げられる。これらの
金属イオンの中でも、特に放射性同位元素イオン、常磁
性金属イオンの場合、その金属錯体は医療診断、治療分
野において有用である。具体例を示すと、金属錯体の金
属イオンが放射性同位元素イオンの場合、この金属錯体
を各種の生体連物質に対する特異抗体などに結合させ
れば、各種の疾患、特に癌の診断、治療に有効な手段を
提供することができる。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0050
【補正方法】変更
【補正内容】
【0050】このような目的で用いられる金属イオンと
しては、例えば、診断分野の場合、 99mTc、 111
n、 131I、 123I、 186Re、67Ga、 105
h、 10 1Rhなどのイオンがあるが、特に 99mTc、
111Inイオンが好ましい。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0051
【補正方法】変更
【補正内容】
【0051】また、治療分野の場合、 131I、 188
186Re、67Cu、90Y、 1 09Pd、47Sc、
153Sm、 211At、 212Bi、 212Pb、 111
Ag、1 05Rh、 101Rh、 125Iなどのイオンがあ
るが、特に 186Re、67Cu、9 0Yのイオンが好まし
い。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C07F 11/00 A 7731−4H 13/00 A 7731−4H Z 7731−4H 15/00 C 7731−4H B 7731−4H 15/02 7731−4H 15/04 7731−4H C09K 3/00 108 8517−4H // A61K 49/02 A 9164−4C (72)発明者 渡辺 兼三 山口県岩国市日の出町2番1号 帝人株式 会社医薬岩国製造所内 (72)発明者 木村 栄一 広島県広島市佐伯区美鈴が丘東4−9−3 (72)発明者 加藤 喜規 東京都日野市旭が丘4丁目3番2号 帝人 株式会社東京研究センター内

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記式[I] 【化1】 (式中、nは1または2を表わし、R1 は置換もしくは
    非置換のC1 〜C10のアルキル基または置換もしくは非
    置換のC7 〜C16のアラルキル基を表わし、R21
    22,R23,R24およびR25は同一または異なり、水素
    原子、C1 〜C5 のアルキル基またはC7 〜C11のアラ
    ルキル基を表わす。)で表わされるペンダント型二官能
    性大環状キレート配位子およびそれらの塩。
  2. 【請求項2】 R1 がメチル基、エチル基、プロピル
    基、ブチル基、ベンジル基、フェネチル基、フェニルプ
    ロピル基、フェニルブチル基またはそれらの基の任意の
    位置に置換基を有する基である請求項1記載のペンダン
    ト型二官能性大環状キレート配位子およびそれらの塩。
  3. 【請求項3】 置換基がニトロ基、ハロゲン原子、アミ
    ノ基、置換アミノ基、ハロアセトアミド基、水酸基、ア
    ルコキシ基、イソシアノ基、イソチオシアノ基またはア
    ルキル基である請求項1または2記載のペンダント型二
    官能性大環状キレート配位子およびそれらの塩。
  4. 【請求項4】 R2 が水素原子、メチル基、エチル基、
    t−ブチル基またはベンジル基である請求項1〜3のい
    ずれか1項記載のペンダント型二官能性大環状キレート
    配位子およびそれらの塩。
  5. 【請求項5】 下記式[II] 【化2】 (式中、nは1または2を表わし、R11は置換もしくは
    非置換のC1 〜C10のアルキル基または置換もしくは非
    置換のC7 〜C16のアラルキル基を表わす。)で表わさ
    れる大環状ポリアミン類およびそれらの塩。
  6. 【請求項6】 R11がメチル基、エチル基、プロピル
    基、ブチル基、ベンジル基、フェネチル基、フェニルプ
    ロピル基、フェニルブチル基、またはそれらの基の任意
    の位置に置換基を有する基である請求項5記載の大環状
    ポリアミン類およびそれらの塩。
  7. 【請求項7】 置換基がニトロ基、ハロゲン原子、置換
    アミノ基、ハロアセトアミド基、水酸基、アルコキシ
    基、イソシアノ基、イソチオシアノ基またはアルキル基
    である請求項5または6記載の大環状ポリアミン類およ
    びそれらの塩。
  8. 【請求項8】 請求項5記載の式[II]で表わされる大
    環状ポリアミン類またはそれらの塩と下記式[III ] X―CH2 CO2 20 …[III ] (式中、Xはハロゲン原子または水酸基の活性化誘導体
    を、R20は水素原子、C 1 〜C5 のアルキル基、または
    7 〜C11のアラルキル基を表わす。)で表わされる酢
    酸誘導体またはそれらの塩を塩基の存在下で縮合させ、
    しかる後に必要に応じて官能基変換、脱保護を行うこと
    を特徴とする請求項1記載のペンダント型二官能性大環
    状キレート配位子およびそれらの塩の製造法。
  9. 【請求項9】 請求項1記載のペンダント型二官能性大
    環状キレート配位子またはそれらの塩と、遷移金属、ラ
    ンタノイド、アクチノイドおよびアルカリ土類金属から
    なる群から選ばれた少なくとも1種の金属のイオンとか
    ら形成される金属錯体。
  10. 【請求項10】 金属のイオンが放射性同位元素イオン
    または常磁性金属イオンである請求項9記載の金属錯
    体。
  11. 【請求項11】 金属のイオンがガドリニウム、エルビ
    ウム、ユーロピウム、ジスプロシウム、ホルミウム、マ
    ンガン、鉄、ニッケル、クロム、銅、イットリウム、イ
    ンジウム、テクネシウム、ビスマス、ガリウム、スカン
    ジウム、レニウム、サマリウム、パラジウム、鉛および
    ロジウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属
    イオンである請求項9または10記載の金属錯体。
  12. 【請求項12】 請求項5記載の大環状ポリアミン類ま
    たはそれらの塩と、遷移金属、ランタノイド、アクチノ
    イドおよびアルカリ土類金属からなる群から選ばれた少
    なくとも1種の金属のイオンとから形成される金属錯
    体。
  13. 【請求項13】 金属のイオンが放射性同位元素イオン
    または常磁性金属イオンである請求項12記載の金属錯
    体。
  14. 【請求項14】 金属のイオンがガドリニウム、エルビ
    ウム、ユーロピウム、ジスプロシウム、ホルミウム、マ
    ンガン、鉄、ニッケル、クロム、銅、イットリウム、イ
    ンジウム、テクネシウム、ビスマス、ガリウム、スカン
    ジウム、レニウム、サマリウム、パラジウム、鉛および
    ロジウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属
    イオンである請求項12または13記載の金属錯体。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009505946A (ja) * 2005-06-24 2009-02-12 ブラッコ・イメージング・ソシエタ・ペル・アチオニ 金属イオンと錯体を形成しうる多座アザ配位子ならびに診断および治療におけるその使用
JP2013515744A (ja) * 2009-12-24 2013-05-09 ルミフォア,インコーポレイテッド 放射性医薬品錯体
US10352938B2 (en) 2009-08-24 2019-07-16 Lumiphore, Inc. Macrocyclic HOPO chelators
US11453652B2 (en) 2013-03-15 2022-09-27 Lumiphore, Inc. Di-macrocycles

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