JPH05306524A - 鉄骨柱脚 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 鉄骨柱脚の本柱の柱脚嵌合部が鉄骨柱を強力
に固着して、固定度と耐力が高いと共に精度高く施工で
きる鉄骨柱脚を提供することを目的とする。 【構成】 ステコンアンカー１０の上表面から鉄骨柱脚
アンカー取り付け板５の上方まで貫通した長いネジ棒を
建方用アンカーボルトとして使用した箱抜き型枠を有す
る鉄骨柱脚。 【効果】 鉄骨柱脚の本柱の柱脚嵌合部の本柱の埋め込
み長さが短くて済み、精度高く施工できる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明はビルの鉄骨等の柱脚と呼
ばれるコンクリート基礎梁の鉄骨の柱を固着させる構造
になっている部分の、柱の付け根に掛かる力を基礎梁に
伝える鉄骨柱脚に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来の技術における箱抜き型埋め込み柱
脚部の構造は、特開昭６３−１６５６２６号公報に提案
されている通り、箱抜き型枠として角型鋼管等を用い、
この角型鋼管等を介して基礎梁に鉄骨柱に掛かる全ての
力を直接伝えるように上記基礎梁の主筋またはアンカー
筋と上記型枠の角型鋼管等とを溶接等によって連結した
ものであった。

【０００３】図１１は上記提案の技術を説明する竪断面
図である。図１２は上記提案の技術を説明する平面図で
ある。図１１及び図１２において５１は鉄骨柱である。
５３は充填剤からなる後打ちコンクリートである。５５
はアンカー取付板である。５６は建方用アンカーボルト
である。５７は型枠鋼管であり、この上端部に前記建方
用アンカーボルト５６が溶接されている。５８は基礎梁
主筋である。５９はアンカー筋である。鉄骨柱５１を建
てるときに鉄骨柱５１に溶接されているアンカー取付板
５５を介して鉄骨柱５１は建方用アンカーボルト５６に
仮止めされる。建方用アンカーボルト５６は型枠鋼管５
７に溶接されているのでこれを介して基礎梁に鉄骨柱５
１が仮止めされることとなる。

【０００４】つぎに、上記の構成に基づく工法について
説明する。基礎梁を形成するための型枠内に基礎梁主筋
５８、アンカー筋５９及び帯筋を配するとともに、柱脚
を埋め込む位置に型枠鋼管５７からなる箱抜き型枠を配
置し、これに基礎梁主筋５８を溶接によって連結する
か、あるいは型枠鋼管５７の外周を取り巻くようにＵ字
型に配筋をしてコンクリートを打設して、基礎梁を完成
する。次に基礎梁完成後建方用アンカーボルト５６によ
って、アンカー取付板５５を介して鉄骨柱５１が建方用
アンカーボルト５６に仮止めされる。この仮止め作業
後、即ち建方後、型枠鋼管５７の空間部に基礎梁用コン
クリートよりも高強度の充填剤からなる後打ちコンクリ
ート５３を打設する。

【０００５】しかしながら上記の特開昭６３−１６５６
２６号公報に提案されている技術は、型枠鋼管が正確に
セットし難く又引き抜き耐力が低く引張荷重に弱いと言
う問題点があった。更に箱抜き型埋め込み柱脚による工
事が行われる以前の旧来の工事は図１３に示す如くの構
造であったので、鉄骨柱７２のモーメントの接合耐力を
建方用アンカーボルト７１によってのみ負担するので、
固定度が不足なので埋め込み長さの長い且つ太いボルト
を建方用アンカーボルト７１に使用する必要があり、さ
らに鉄骨柱７２の断面二次モーメントも極めて大きくす
る必要があると言う問題点があった。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】本発明は上記問題点の
解決を図ったものであり、箱抜き型埋め込み柱脚部の柱
の柱脚嵌合が柱脚に更に強力に固定し固定度と接合耐力
が高く、埋め込み長さを更に短くしてもよく、引張り荷
重にも高い性能を維持できる、長大な貫通式建方用ネジ
棒を有する鉄骨柱脚を提供することを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明に係る鉄骨柱脚
は、ビルの鉄骨の柱を固定する箱抜き型埋め込み形式の
基礎コンクリートにおいて、捨てコンクリートの上部表
面に鉄骨柱の中心線を地墨打ちをして、前記中心線上
に、取り付けられた建方用ネジ棒を具備し、該ネジ棒は
捨てコンアンカーの上部表面から鉄骨柱アンカー取り付
け板の上方まで貫通し、且つ該ネジ棒は建方アンカー及
び墨出し治具となっていることを特徴とする。

【０００８】

【作用】上記の様に構成された長大な貫通式建方用ネジ
棒を建方用アンカーボルトとして具備する鉄骨柱脚は、
ここに鉄骨柱と基礎梁とが強力に固着され、固定度と耐
力が共に高い。同時に施工の精度が向上する。

【０００９】

【実施例】本発明の長大な貫通式建方用ネジ棒を有する
鉄骨柱脚の一実施例を添付した図面を参照して詳細に説
明する。図１は本発明に係る鉄骨柱脚の竪断面図であ
る。図２は本発明に係る鉄骨柱脚の図１におけるＡ−Ａ
断面の平面図である。図３は本発明に係る鉄骨柱脚の図
１におけるＢ−Ｂ断面の平面図である。図４は本発明に
係る鉄骨柱脚の図１におけるＣ−Ｃ断面の平面図であ
る。図１、図２、図３及び図４において１４は床コンク
リートである。又図２、図３及び図４において２８は基
礎梁主筋である。２９はアンカー筋である。

【００１０】図１の鉄骨柱脚の工法は次の通りである。
先ず捨てコンクリート１１を捨てコンクリートアンカー
１０と共に打設する。次いで捨てコンクリート１１の上
部表面に鉄骨柱の中心線を地墨打ちする。図３及び図４
においてＥは地墨線である。次いで捨てコンクリートア
ンカー１０上の前記地墨線Ｅ上に、建方用アンカーボル
ト６を配置し取り付ける。取り付け方法は捨てコンクリ
ートアンカー１０をタッピング加工して建方用アンカー
ボルト６をねじ込む方法でも、又捨てコンクリートアン
カー１０と建方用アンカーボルト６とを溶接してもよ
い。

【００１１】図において２は角型の鋼管に成形された型
枠である。予め型枠２にはベースプレート８及び型枠ス
テー９とが製作工場において溶接によって取り付ける。
この型枠２、ベースプレート８及び型枠ステー９を一体
として組み立てたものを建方用アンカーボルト６に嵌め
合わせてナットで固定する。次いで基礎梁７のコンクリ
ートを打設する。この際型枠２の内部にはコンクリート
は打設しない。更に鉄骨柱１にアンカー取付板５を製作
工場において溶接によって取り付ける。この際嵌合せの
みによって鉄骨柱１の位置を正確に据付けすることが可
能である。この鉄骨柱１にアンカー取付板５を取り付け
たものを型枠２の内部に挿入し、アンカー取付板５を建
方用アンカーボルト６に嵌め合わせてナットで固定す
る。

【００１２】次いで高強度の充填剤からなる後打ちコン
クリート３を型枠２の内部に打設する。ここに鉄骨柱１
を基礎梁７に強力に固着された固定度と耐力が共に高い
鉄骨柱脚が得られる。これは更に建方用アンカーボルト
６が正確に鉄骨柱１の中心線上に、その中心を配置し取
り付けられていることと、更に鉄骨柱１にアンカー取付
板５を製作工場において溶接によって取り付けるために
取り付け作業の精度が高いこととによって、鉄骨柱１の
建方精度が高いことが確保される。上記は側柱について
の実施例であるが、側柱に限定されるものではなく、中
柱及び隅柱においても同様の効果を有する。

【００１３】本発明の鉄骨柱脚を中柱に適用した実施例
を添付した図面によって説明する。この実施例において
も、鉄骨柱脚の竪断面は図１に示したものと同様の構造
を有する。図５は本発明に係る鉄骨柱脚の図１と同様の
構造の上部（Ａ−Ａ断面相当位置）の平面図である。図
６は本発明に係る鉄骨柱脚の図１と同様の構造の中部
（Ｂ−Ｂ断面相当位置）の平面図である。図７は本発明
に係る鉄骨柱脚の図１と同様の構造の下部（Ｃ−Ｃ断面
相当位置）の平面図である。ここに図６及び図７におい
て線Ｅは、図３及び図４におけると同様に鉄骨柱の中心
線に地墨打ちを行った線である。

【００１４】本発明の実施例の工法は前述の通りであ
る。図７において基礎梁７はこの実施例において十文字
に構成されており、鉄骨柱は中柱である。中柱の鉄骨柱
脚に本発明を適用した場合には、基礎梁７中に基礎梁主
筋を配筋する必要がないので、側柱の鉄骨柱脚に本発明
を適用した場合と比較して施工の精度が更に向上する。

【００１５】本発明の更に他の実施例を添付した図面に
よって説明する。この実施例は本発明の鉄骨柱脚を隅柱
に適用したものである。この実施例においても、鉄骨柱
脚の竪断面は図１に示したものと同様の構造を有する。

【００１６】図８は本発明に係る鉄骨柱脚の図１と同様
の構造の上部（Ａ−Ａ断面相当位置）の平面図である。
図９は本発明に係る鉄骨柱脚の図１と同様の構造の中部
（Ｂ−Ｂ断面相当位置）の平面図である。図１０は本発
明に係る鉄骨柱脚の図１と同様の構造の下部（Ｃ−Ｃ断
面相当位置）の平面図である。

【００１７】ここに図９及び図１０において線Ｅは、図
３及び図４におけると同様に鉄骨柱の中心線に地墨打ち
を行った線である。更に建方用アンカーボルトが正確に
鉄骨柱の中心線上に、その中心を配置し取り付けられて
いることと、更に鉄骨柱にアンカー取付板を製作工場に
おいて溶接によって取り付ける作業の精度が高いことと
によって、鉄骨柱の建方精度が高いことが確保される。

【００１８】

【発明の効果】建方用アンカーボルトがベースプレート
と捨てコンクリートアンカーを強力に固着して、アンカ
ーフレーム、定着板及び墨出し治具の役目を果たすた
め、現場の作業を簡素化することができ、工期の短縮と
コストダウンが図れるという効果がえられた。又鉄骨柱
を基礎梁に強力に固着された固定度と耐力が共に高い鉄
骨柱脚が得られるので、大きな引抜き力が作用するビル
等にも適用が可能となったという効果がえられる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る一実施例の鉄骨柱脚の竪断面図で
ある。

【図２】図１の鉄骨柱脚のＡ−Ａ断面の平面図である。

【図３】図１の鉄骨柱脚のＢ−Ｂ断面の平面図である。

【図４】図１の鉄骨柱脚のＣ−Ｃ断面の平面図である。

【図５】本発明に係る他の実施例の鉄骨柱脚の上部断面
の平面図である。

【図６】本発明に係る他の実施例の鉄骨柱脚の中部断面
の平面図である。

【図７】本発明に係る他の実施例の鉄骨柱脚の下部断面
の平面図である。

【図８】本発明に係る更に他の実施例の鉄骨柱脚の上部
断面の平面図である。

【図９】本発明に係る更に他の実施例の鉄骨柱脚の中部
断面の平面図である。

【図１０】本発明に係る更に他の実施例の鉄骨柱脚の下
部断面の平面図である。

【図１１】従来の技術に係る鉄骨柱脚の竪断面図であ
る。

【図１２】従来の技術係る鉄骨柱脚の平面図である。

【図１３】従来の技術に係る鉄骨柱脚の竪断面図であ
る。

【符号の説明】

１ 鉄骨柱 ２ 型枠 ３ 後打ちコンクリート ５ アンカー取付板 ６ 建方用アンカーボルト ７ 基礎梁 ８ ベースプレート ９ 型枠ステー １０ 捨てコンクリートアンカー １１ 捨てコンクリート １４ 床コンクリート ２８ 基礎梁主筋 ２９ アンカー筋 ５１ 鉄骨柱 ５３ 後打ちコンクリート ５５ アンカー取付板 ５６ 建方用アンカーボルト ５７ 型枠鋼管 ５８ 基礎梁主筋 ５９ アンカー筋 ７１ 建方用アンカーボルト ７２ 鉄骨柱 Ｅ 地墨打を行った線

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山本 信史 東京都千代田区丸の内一丁目１番２号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 津島 頼人 東京都千代田区丸の内一丁目１番２号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 松村 弘道 東京都千代田区丸の内一丁目１番２号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 佐々木 新八 東京都千代田区丸の内一丁目１番２号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 中村 信行 東京都千代田区丸の内一丁目１番２号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 岡本 晴仁 東京都千代田区丸の内一丁目１番２号 日 本鋼管株式会社内

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ビルの鉄骨の柱を固定する箱抜き型埋め
   込み形式の基礎コンクリートにおいて、捨てコンクリー
   トの上部表面に鉄骨柱の中心線を地墨打ちをして、前記
   中心線上に、取り付けられた建方用ネジ棒を具備し、該
   ネジ棒は捨てコンアンカーの上部表面から鉄骨柱アンカ
   ー取り付け板の上方まで貫通し、且つ該ネジ棒は建方ア
   ンカー及び墨出し治具となっていることを特徴とする鉄
   骨柱脚。