JPH05301993A - 合わせガラス用中間膜 - Google Patents
合わせガラス用中間膜Info
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- Chemical & Material Sciences (AREA)
- Biochemistry (AREA)
- Joining Of Glass To Other Materials (AREA)
- Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【目的】 着色剤を含有する場合であっても、変色、退
色が起こりにくく、かつ紫外線吸収剤の配合量を少なく
してヘイズの発現を防止でき、かつ生産コストを抑えな
がら変色および退色の防止効果を発揮させることができ
る合わせガラス用中間膜を提供する。 【構成】 ビニル系樹脂、着色剤およびベンゾトリアゾ
ール系紫外線吸収剤を含有する樹脂組成物にて形成され
る合わせガラス用中間膜である。紫外線吸収剤は、下記
式(I)で表される２−（３−ｔ−ブチル−５−メチル−
２−ヒドロキシフェニル）−５−クロロベンゾトリアゾ
ールと、下記式(II)で表される２−（５−ｔ−オクチル
−２−ヒドロキシフェニル）ベンゾトリアゾールとの組
み合わせである。 【化１】 【化２】
色が起こりにくく、かつ紫外線吸収剤の配合量を少なく
してヘイズの発現を防止でき、かつ生産コストを抑えな
がら変色および退色の防止効果を発揮させることができ
る合わせガラス用中間膜を提供する。 【構成】 ビニル系樹脂、着色剤およびベンゾトリアゾ
ール系紫外線吸収剤を含有する樹脂組成物にて形成され
る合わせガラス用中間膜である。紫外線吸収剤は、下記
式(I)で表される２−（３−ｔ−ブチル−５−メチル−
２−ヒドロキシフェニル）−５−クロロベンゾトリアゾ
ールと、下記式(II)で表される２−（５−ｔ−オクチル
−２−ヒドロキシフェニル）ベンゾトリアゾールとの組
み合わせである。 【化１】 【化２】
Description
【０００１】
【産業上の利用分野】本発明は、合わせガラス用中間膜
に関し、より詳しくは耐候性に優れ、変色、退色を起こ
しにくい合わせガラス用中間膜に関する。
に関し、より詳しくは耐候性に優れ、変色、退色を起こ
しにくい合わせガラス用中間膜に関する。
【０００２】
【従来の技術】合わせガラスは、２枚のガラス間に合わ
せガラス用中間膜を配置して形成される。得られた合わ
せガラスは、建築物の窓ガラス、自動車のフロントガラ
スなどに使用されることが多い。このような用途に用い
られる合わせガラスは、屋外で長期にわたって紫外線に
晒され、そのために、時間の経過と共に中間膜が変色、
退色しやすい。中間膜の経時的な変色や退色を防止する
ために、中間膜には、通常、紫外線吸収剤が配合され
る。この紫外線吸収剤には、例えば、ベンゾトリアゾー
ル系紫外線吸収剤が挙げられ、２−（５−メチル−２−
ヒドロキシフェニル）ベンゾトリアゾール、２−（３−
ｔ−ブチル−５−メチル−２−ヒドロキシフェニル）−
５−クロロベンゾトリアゾールなどが含まれる。
せガラス用中間膜を配置して形成される。得られた合わ
せガラスは、建築物の窓ガラス、自動車のフロントガラ
スなどに使用されることが多い。このような用途に用い
られる合わせガラスは、屋外で長期にわたって紫外線に
晒され、そのために、時間の経過と共に中間膜が変色、
退色しやすい。中間膜の経時的な変色や退色を防止する
ために、中間膜には、通常、紫外線吸収剤が配合され
る。この紫外線吸収剤には、例えば、ベンゾトリアゾー
ル系紫外線吸収剤が挙げられ、２−（５−メチル−２−
ヒドロキシフェニル）ベンゾトリアゾール、２−（３−
ｔ−ブチル−５−メチル−２−ヒドロキシフェニル）−
５−クロロベンゾトリアゾールなどが含まれる。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】ところで、近時では装
飾のため、あるいは紫外線の透過を防止するため、中間
膜に染料等の着色剤を配合することがある。このような
中間膜では、紫外線吸収剤の配合は、中間膜の変色、退
色を充分に防止できないことがわかった。紫外線吸収能
力を高めるために、これらの紫外線吸収剤を多量に配合
した場合には、合わせガラスにヘイズ（曇り）が発現す
るだけでなく、コスト高の原因となる。
飾のため、あるいは紫外線の透過を防止するため、中間
膜に染料等の着色剤を配合することがある。このような
中間膜では、紫外線吸収剤の配合は、中間膜の変色、退
色を充分に防止できないことがわかった。紫外線吸収能
力を高めるために、これらの紫外線吸収剤を多量に配合
した場合には、合わせガラスにヘイズ（曇り）が発現す
るだけでなく、コスト高の原因となる。
【０００４】本発明は上記の欠点を解決しようとするも
のであり、その目的は、特に染料等の着色剤を含有する
ときでも、変色、退色が起こりにくい合わせガラス用中
間膜を提供することにある。本発明の他の目的は、紫外
線吸収剤の配合量を少なくして、ヘイズの発現を防止で
き、かつ生産コストを抑えながら、上記変色および退色
の防止効果を発揮させることができる合わせガラス用中
間膜を提供することにある。
のであり、その目的は、特に染料等の着色剤を含有する
ときでも、変色、退色が起こりにくい合わせガラス用中
間膜を提供することにある。本発明の他の目的は、紫外
線吸収剤の配合量を少なくして、ヘイズの発現を防止で
き、かつ生産コストを抑えながら、上記変色および退色
の防止効果を発揮させることができる合わせガラス用中
間膜を提供することにある。
【０００５】
【課題を解決するための手段】本発明の合わせガラス用
中間膜は、ビニル系樹脂、着色剤および紫外線吸収剤を
含有する樹脂組成物にて形成される合わせガラス用中間
膜であって、前記紫外線吸収剤が、下記式(I)で表され
る２−（３−ｔ−ブチル−５−メチル−２−ヒドロキシ
フェニル）−５−クロロベンゾトリアゾールと、下記式
(II)で表される２−（５−ｔ−オクチル−２−ヒドロキ
シフェニル）ベンゾトリアゾールとの組み合わせであ
り、そのことにより上記課題が達成される。
中間膜は、ビニル系樹脂、着色剤および紫外線吸収剤を
含有する樹脂組成物にて形成される合わせガラス用中間
膜であって、前記紫外線吸収剤が、下記式(I)で表され
る２−（３−ｔ−ブチル−５−メチル−２−ヒドロキシ
フェニル）−５−クロロベンゾトリアゾールと、下記式
(II)で表される２−（５−ｔ−オクチル−２−ヒドロキ
シフェニル）ベンゾトリアゾールとの組み合わせであ
り、そのことにより上記課題が達成される。
【０００６】
【化３】
【０００７】
【化４】
【０００８】次に本発明を詳細に説明する。
【０００９】本発明の合わせガラス用中間膜は、ビニル
系樹脂、着色剤および紫外線吸収剤を含有する樹脂組成
物により形成される。
系樹脂、着色剤および紫外線吸収剤を含有する樹脂組成
物により形成される。
【００１０】本発明に使用されるビニル系樹脂として
は、例えば、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、
塩化ビニル−エチレン共重合体、塩化ビニル−エチレン
−グリシジルメタクリレート共重合体、塩化ビニル−エ
チレン−グリシジルアクリレート共重合体、塩化ビニル
−グリシジルメタクリレート共重合体、塩化ビニル−グ
リシジルアクリレート共重合体、ポリ塩化ビニリデン、
塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、ポリ酢酸
ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルア
セタール−ポリビニルブチラール混合物が挙げられる。
特に、ポリビニルブチラール、塩化ビニル−エチレン−
グリシジルメタクリレート共重合体が好ましい。
は、例えば、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、
塩化ビニル−エチレン共重合体、塩化ビニル−エチレン
−グリシジルメタクリレート共重合体、塩化ビニル−エ
チレン−グリシジルアクリレート共重合体、塩化ビニル
−グリシジルメタクリレート共重合体、塩化ビニル−グ
リシジルアクリレート共重合体、ポリ塩化ビニリデン、
塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、ポリ酢酸
ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルア
セタール−ポリビニルブチラール混合物が挙げられる。
特に、ポリビニルブチラール、塩化ビニル−エチレン−
グリシジルメタクリレート共重合体が好ましい。
【００１１】着色剤は、合わせガラス用中間膜を部分的
または全体的に着色するために用いられ、この着色剤と
しては、特に限定されず、いずれのプラスチック用着色
剤も使用され得る。例えば、アゾ系、メチン系、アンス
ラキノン系、キノフタロン系、ペリレン系、アンスラピ
リドン系、キサンテン系、クマリン系などの染料；アゾ
系、フタロシアニン系、キナクリドン系、ペリレン系、
ペリノン系、ジオキサジン系、アンスラキノン系、イソ
インドリノン系などの有機顔料；および酸化物、水酸化
物、硫化物、クロム酸、硫酸塩、炭酸塩、ケイ酸塩、リ
ン酸塩、ヒ酸塩、フェロシアン化物、炭素、金属粉等の
無機顔料等が挙げられる。着色剤の配合量は、目的の色
に合わせて、任意である。
または全体的に着色するために用いられ、この着色剤と
しては、特に限定されず、いずれのプラスチック用着色
剤も使用され得る。例えば、アゾ系、メチン系、アンス
ラキノン系、キノフタロン系、ペリレン系、アンスラピ
リドン系、キサンテン系、クマリン系などの染料；アゾ
系、フタロシアニン系、キナクリドン系、ペリレン系、
ペリノン系、ジオキサジン系、アンスラキノン系、イソ
インドリノン系などの有機顔料；および酸化物、水酸化
物、硫化物、クロム酸、硫酸塩、炭酸塩、ケイ酸塩、リ
ン酸塩、ヒ酸塩、フェロシアン化物、炭素、金属粉等の
無機顔料等が挙げられる。着色剤の配合量は、目的の色
に合わせて、任意である。
【００１２】本発明に使用される紫外線吸収剤は、前記
式(I)で表されるベンゾトリアゾール誘導体と、前記式
(II)で表されるベンゾトリアゾール誘導体との組み合わ
せである。ここで、前記式(II)で表されるベンゾトリア
ゾール誘導体としては、以下に示す構造式の化合物(II
I)〜(VI)が挙げられ、これらのうちの少なくとも１種の
ベンゾトリアゾール誘導体を含有し得る。
式(I)で表されるベンゾトリアゾール誘導体と、前記式
(II)で表されるベンゾトリアゾール誘導体との組み合わ
せである。ここで、前記式(II)で表されるベンゾトリア
ゾール誘導体としては、以下に示す構造式の化合物(II
I)〜(VI)が挙げられ、これらのうちの少なくとも１種の
ベンゾトリアゾール誘導体を含有し得る。
【００１３】
【化５】
【００１４】
【化６】
【００１５】
【化７】
【００１６】
【化８】
【００１７】ここで前記式(III)〜(VI)で表されるベン
ゾトリアゾールが有するＣ3〜Ｃ5の低級アルキル基は直
鎖であっても、分岐していてもよい。上記紫外線吸収剤
の全含有量は、樹脂組成物中、好ましくは０．１５〜
０．９重量％、さらに好ましくは、０．４５〜０．７５
重量％である。上記紫外線吸収剤の全含有量が０．１５
重量％未満の場合、得られた合わせガラス用中間膜が充
分な紫外線吸収能力を有しない恐れがある。そのため
に、この中間膜は、特にその着色部分において時間の経
過と共に変色し退色しやすい。一方、上記紫外線吸収剤
の全含有量が０．９重量％を超える場合、得られた合わ
せガラス用中間膜の紫外線吸収能力の改善はあまり認め
られず、さらに、紫外線照射により中間膜が黄色に着色
され易い。さらにヘイズが発現して得られる合わせガラ
スの外観が損なわれる恐れがあり、コスト高の原因とな
る。
ゾトリアゾールが有するＣ3〜Ｃ5の低級アルキル基は直
鎖であっても、分岐していてもよい。上記紫外線吸収剤
の全含有量は、樹脂組成物中、好ましくは０．１５〜
０．９重量％、さらに好ましくは、０．４５〜０．７５
重量％である。上記紫外線吸収剤の全含有量が０．１５
重量％未満の場合、得られた合わせガラス用中間膜が充
分な紫外線吸収能力を有しない恐れがある。そのため
に、この中間膜は、特にその着色部分において時間の経
過と共に変色し退色しやすい。一方、上記紫外線吸収剤
の全含有量が０．９重量％を超える場合、得られた合わ
せガラス用中間膜の紫外線吸収能力の改善はあまり認め
られず、さらに、紫外線照射により中間膜が黄色に着色
され易い。さらにヘイズが発現して得られる合わせガラ
スの外観が損なわれる恐れがあり、コスト高の原因とな
る。
【００１８】上記紫外線吸収剤において、前記式(I)で
表されるベンゾトリアゾール誘導体と、前記式(II)で表
されるベンゾトリアゾール誘導体との含有比率は、好ま
しくは３：２〜１：４である。この範囲外の含有比率の
場合、上記の組み合わせの紫外線吸収剤の吸収領域にお
ける相互補てん効果が充分に発揮されず、従って、所望
の紫外線吸収能力が得られない。
表されるベンゾトリアゾール誘導体と、前記式(II)で表
されるベンゾトリアゾール誘導体との含有比率は、好ま
しくは３：２〜１：４である。この範囲外の含有比率の
場合、上記の組み合わせの紫外線吸収剤の吸収領域にお
ける相互補てん効果が充分に発揮されず、従って、所望
の紫外線吸収能力が得られない。
【００１９】上記樹脂組成物は、必要に応じて、可塑
剤、耐候性安定剤、熱安定剤、酸化防止剤等を含有して
もよい。
剤、耐候性安定剤、熱安定剤、酸化防止剤等を含有して
もよい。
【００２０】上記可塑剤としては、特に限定されない
が、例えば、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレー
ト、アジピン酸−ジ−２−エチルヘキシル、アジピン酸
ジイソデシル、エポキシ脂肪酸モノエステル、トリエチ
レングリコール−ジ−２−エチルブチレート、トリエチ
レングリコール−ジ−２−エチルヘキソエート、セバシ
ン酸ジブチル、ジブチルセバケートが包含される。上記
可塑剤の含有量は、ビニル系樹脂に対して、２０〜４５
重量％の範囲が好ましい。
が、例えば、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレー
ト、アジピン酸−ジ−２−エチルヘキシル、アジピン酸
ジイソデシル、エポキシ脂肪酸モノエステル、トリエチ
レングリコール−ジ−２−エチルブチレート、トリエチ
レングリコール−ジ−２−エチルヘキソエート、セバシ
ン酸ジブチル、ジブチルセバケートが包含される。上記
可塑剤の含有量は、ビニル系樹脂に対して、２０〜４５
重量％の範囲が好ましい。
【００２１】上記耐候性安定剤としては、ポリ［｛６−
（１，１，３，３−テトラメチルブチル）アミノ−１，
３，５−トリアジン−２，４−ジイル｝｛（２，２，
６，６−テトラメチル−４−ピペリジル）イミノ｝ヘキ
サメチレン｛（２，２，６，６−テトラメチル−４−ピ
ペリジル）イミノ｝］等の高分子量のヒンダードアミン
系の化合物が挙げられる。
（１，１，３，３−テトラメチルブチル）アミノ−１，
３，５−トリアジン−２，４−ジイル｝｛（２，２，
６，６−テトラメチル−４−ピペリジル）イミノ｝ヘキ
サメチレン｛（２，２，６，６−テトラメチル−４−ピ
ペリジル）イミノ｝］等の高分子量のヒンダードアミン
系の化合物が挙げられる。
【００２２】本発明の合わせガラス用中間膜は、上記ビ
ニル系樹脂、上記着色剤および上記ベンゾトリアゾール
系紫外線吸収剤を混練して樹脂組成物を調製し、この樹
脂組成物をシート状に成形して形成される。成形方法に
は、任意の公知の方法が用いられ、例えば、カレンダー
ロール法、押出し法、キャスティング法、インフレーシ
ョン法などがある。組成物をシート状に成形する際に
は、必要に応じて、シートの耐貫通性を高めるために、
接着力調整剤（例えば、金属塩）が配合されてもよい。
ニル系樹脂、上記着色剤および上記ベンゾトリアゾール
系紫外線吸収剤を混練して樹脂組成物を調製し、この樹
脂組成物をシート状に成形して形成される。成形方法に
は、任意の公知の方法が用いられ、例えば、カレンダー
ロール法、押出し法、キャスティング法、インフレーシ
ョン法などがある。組成物をシート状に成形する際に
は、必要に応じて、シートの耐貫通性を高めるために、
接着力調整剤（例えば、金属塩）が配合されてもよい。
【００２３】本発明の合わせガラス用中間膜は、例え
ば、ガラス／中間膜／ガラス、ガラス／中間膜／ガラス
／中間膜／合成樹脂層、ガラス／中間膜／合成樹脂層、
合成樹脂層／中間膜／ガラス／中間膜／合成樹脂層など
の積層体に用いられるが、これらに特に限定されない。
上記の合成樹脂層には、例えば、ポリエチレンテレフタ
レート、ポリブチレンテレフタレート、アクリル樹脂、
ポリカーボネート、ポリ塩化ビニリデン等の透明性の高
いフィルムまたはシートが好ましく用いられる。
ば、ガラス／中間膜／ガラス、ガラス／中間膜／ガラス
／中間膜／合成樹脂層、ガラス／中間膜／合成樹脂層、
合成樹脂層／中間膜／ガラス／中間膜／合成樹脂層など
の積層体に用いられるが、これらに特に限定されない。
上記の合成樹脂層には、例えば、ポリエチレンテレフタ
レート、ポリブチレンテレフタレート、アクリル樹脂、
ポリカーボネート、ポリ塩化ビニリデン等の透明性の高
いフィルムまたはシートが好ましく用いられる。
【００２４】
【作用】本発明の合わせガラス用中間膜に含有される紫
外線吸収剤のうち、式(I)で表されるベンゾトリアゾー
ルの最大吸収波長は３５３ｎｍであり、式(II)で表され
るベンゾトリアゾールの最大吸収波長は３４０ｎｍであ
る。このように、これら２種の紫外線吸収剤の最大吸収
波長に差があるために、各紫外線吸収剤の吸収能の弱い
波長部分が互いに補われ、それにより、得られた中間膜
の紫外線吸収能力は、どちらか一方の紫外線吸収剤だけ
を配合した中間膜と比べて、著しく増大する。その結
果、これらの紫外線吸収剤を比較的少量含有する合わせ
ガラス用中間膜でも、着色部分における経時的な変色、
退色が効果的に防止される。
外線吸収剤のうち、式(I)で表されるベンゾトリアゾー
ルの最大吸収波長は３５３ｎｍであり、式(II)で表され
るベンゾトリアゾールの最大吸収波長は３４０ｎｍであ
る。このように、これら２種の紫外線吸収剤の最大吸収
波長に差があるために、各紫外線吸収剤の吸収能の弱い
波長部分が互いに補われ、それにより、得られた中間膜
の紫外線吸収能力は、どちらか一方の紫外線吸収剤だけ
を配合した中間膜と比べて、著しく増大する。その結
果、これらの紫外線吸収剤を比較的少量含有する合わせ
ガラス用中間膜でも、着色部分における経時的な変色、
退色が効果的に防止される。
【００２５】
【実施例】以下に本発明を実施例および比較例を挙げて
説明する。
説明する。
【００２６】実施例１ ビニル系樹脂としてポリビニルブチラール１００重量
部、可塑剤としてトリエチレングリコール−ジ−２−エ
チルブチレート４０重量部、着色剤としてアンスラキノ
ンブルー０．１重量部、モノアゾエロー０．１重量部、
およびアンスラキノンバイオレット０．１５重量部を含
有する可塑化ポリビニルブチラール樹脂に対し、紫外線
吸収剤として、式(I)のベンゾトリアゾールと式(II)の
ベンゾトリアゾール（チバガイギー社製チヌビン３２
９）とを１：２の割合で添加して、樹脂組成物を調製し
た。上記紫外線吸収剤の全含有量は、樹脂組成物中０．
６量％であった。この樹脂組成物をロールで混練し、
０．５ｍｍ厚のシート状に成形した。このシートを、厚
さ２．５ｍｍのフロートガラス２枚の間に挟み、通常の
合わせガラス製造方法に従って加熱し圧着して、合わせ
ガラスを作製した。
部、可塑剤としてトリエチレングリコール−ジ−２−エ
チルブチレート４０重量部、着色剤としてアンスラキノ
ンブルー０．１重量部、モノアゾエロー０．１重量部、
およびアンスラキノンバイオレット０．１５重量部を含
有する可塑化ポリビニルブチラール樹脂に対し、紫外線
吸収剤として、式(I)のベンゾトリアゾールと式(II)の
ベンゾトリアゾール（チバガイギー社製チヌビン３２
９）とを１：２の割合で添加して、樹脂組成物を調製し
た。上記紫外線吸収剤の全含有量は、樹脂組成物中０．
６量％であった。この樹脂組成物をロールで混練し、
０．５ｍｍ厚のシート状に成形した。このシートを、厚
さ２．５ｍｍのフロートガラス２枚の間に挟み、通常の
合わせガラス製造方法に従って加熱し圧着して、合わせ
ガラスを作製した。
【００２７】実施例２ 紫外線吸収剤として、式(I)のベンゾトリアゾールと式
(II)のベンゾトリアゾール（チバガイギー社製チヌビン
３２９）とを１：３の割合で添加し、そして紫外線吸収
剤の全含有量を、樹脂組成物中０．５重量％としたこと
以外は、実施例１と同様の方法により、合わせガラスを
作製した。
(II)のベンゾトリアゾール（チバガイギー社製チヌビン
３２９）とを１：３の割合で添加し、そして紫外線吸収
剤の全含有量を、樹脂組成物中０．５重量％としたこと
以外は、実施例１と同様の方法により、合わせガラスを
作製した。
【００２８】実施例３ 紫外線吸収剤として、式(I)のベンゾトリアゾールと式
(II)のベンゾトリアゾール（チバガイギー社製チヌビン
３２９）とを２：３の割合で添加し、そして紫外線吸収
剤の全含有量を、樹脂組成物中０．５５重量％とし紫外
線吸収剤とし、そして着色剤として、アンスラキノンブ
ルー０．１５重量部、モノアゾエロー０．２重量部およ
びアンスラキノンバイオレット０．１重量部を用いたこ
と以外は、実施例１と同様の方法により、合わせガラス
を作製した。
(II)のベンゾトリアゾール（チバガイギー社製チヌビン
３２９）とを２：３の割合で添加し、そして紫外線吸収
剤の全含有量を、樹脂組成物中０．５５重量％とし紫外
線吸収剤とし、そして着色剤として、アンスラキノンブ
ルー０．１５重量部、モノアゾエロー０．２重量部およ
びアンスラキノンバイオレット０．１重量部を用いたこ
と以外は、実施例１と同様の方法により、合わせガラス
を作製した。
【００２９】実施例４ 紫外線吸収剤として、式(I)のベンゾトリアゾールと式
(II)のベンゾトリアゾール（チバガイギー社製チヌビン
３２９）と、耐光安定剤として、ポリ［｛６−（１，
１，３，３−テトラメチルブチル）アミノ−１，３，５
−トリアジン−２，４−ジイル｝｛（２，２，６，６−
テトラメチル−４−ピペリジル）イミノ｝ヘキサメチレ
ン｛（２，２，６，６−テトラメチル−４−ピペリジ
ル）イミノ｝］とを２：３：１の割合で添加し、そして
紫外線吸収剤および耐光安定剤の合計の含有量を、樹脂
組成物中０．８５重量％としたこと以外は、実施例３と
同様の方法により、合わせガラスを作製した。
(II)のベンゾトリアゾール（チバガイギー社製チヌビン
３２９）と、耐光安定剤として、ポリ［｛６−（１，
１，３，３−テトラメチルブチル）アミノ−１，３，５
−トリアジン−２，４−ジイル｝｛（２，２，６，６−
テトラメチル−４−ピペリジル）イミノ｝ヘキサメチレ
ン｛（２，２，６，６−テトラメチル−４−ピペリジ
ル）イミノ｝］とを２：３：１の割合で添加し、そして
紫外線吸収剤および耐光安定剤の合計の含有量を、樹脂
組成物中０．８５重量％としたこと以外は、実施例３と
同様の方法により、合わせガラスを作製した。
【００３０】比較例１ 紫外線吸収剤としての式(II)のベンゾトリアゾールを添
加しなかったこと以外は、実施例１と同様の方法によ
り、合わせガラスを作製した。
加しなかったこと以外は、実施例１と同様の方法によ
り、合わせガラスを作製した。
【００３１】比較例２ 紫外線吸収剤としての式(II)のベンゾトリアゾールを添
加しなかったこと以外は、実施例３と同様の方法によ
り、合わせガラスを作製した。
加しなかったこと以外は、実施例３と同様の方法によ
り、合わせガラスを作製した。
【００３２】比較例３ 紫外線吸収剤として、式(I)のベンゾトリアゾールに代
えて、従来の紫外線吸収剤である２−（５−メチル−２
−ヒドロキシフェニル）ベンゾトリアゾールを用いたこ
と以外は、実施例３と同様の方法により、合わせガラス
を作製した。
えて、従来の紫外線吸収剤である２−（５−メチル−２
−ヒドロキシフェニル）ベンゾトリアゾールを用いたこ
と以外は、実施例３と同様の方法により、合わせガラス
を作製した。
【００３３】比較例４ 紫外線吸収剤としての式(II)のベンゾトリアゾールを添
加しなかったこと以外は、実施例４と同様の方法によ
り、合わせガラスを作製した。
加しなかったこと以外は、実施例４と同様の方法によ
り、合わせガラスを作製した。
【００３４】実施例１〜４および比較例１〜４で得られ
た合わせガラスについて、各々可視光線透過率変化率お
よび色差（ΔＥH）を測定した。その結果を表１に示
す。
た合わせガラスについて、各々可視光線透過率変化率お
よび色差（ΔＥH）を測定した。その結果を表１に示
す。
【００３５】
【表１】
【００３６】＜可視光線透過率変化率の測定＞ＪＩＳ
Ｒ ３２１２に従い、７５０Ｗの石英ガラス水銀灯を光
源とした紫外線照射装置を用いて、２０００時間にわた
って紫外線に暴露した。分光測色計により、紫外線に暴
露する前後の合わせガラスの可視光線透過率を測定し
て、以下の式により可視光線透過率変化率を算出した。
Ｒ ３２１２に従い、７５０Ｗの石英ガラス水銀灯を光
源とした紫外線照射装置を用いて、２０００時間にわた
って紫外線に暴露した。分光測色計により、紫外線に暴
露する前後の合わせガラスの可視光線透過率を測定し
て、以下の式により可視光線透過率変化率を算出した。
【００３７】
【化９】
【００３８】＜色差（ΔＥH）の測定＞分光測色計によ
り、紫外線に暴露する前後の合わせガラスの三刺激値を
測定し明度指数およびクロマティクネス指数を算出し
て、以下のＪＩＳ Ｚ ８７３０のハンターの色差式に
従って、色差（ΔＥH）を求めた。
り、紫外線に暴露する前後の合わせガラスの三刺激値を
測定し明度指数およびクロマティクネス指数を算出し
て、以下のＪＩＳ Ｚ ８７３０のハンターの色差式に
従って、色差（ΔＥH）を求めた。
【００３９】
【化１０】
【００４０】表１から明らかなように、実施例１〜４で
得られた合わせガラスは、紫外線照射前後の可視光線透
過率変化率（％）および色差(ΔＥH)の値が小さいた
め、紫外線照射による変色や退色を受けにくいことがわ
かる。一方、比較例１〜４で得られた合わせガラスは、
紫外線照射前後の可視光線透過率変化率（％）および色
差(ΔＥH)の値が大きいため、紫外線照射による変色、
退色を受けていることがわかる。
得られた合わせガラスは、紫外線照射前後の可視光線透
過率変化率（％）および色差(ΔＥH)の値が小さいた
め、紫外線照射による変色や退色を受けにくいことがわ
かる。一方、比較例１〜４で得られた合わせガラスは、
紫外線照射前後の可視光線透過率変化率（％）および色
差(ΔＥH)の値が大きいため、紫外線照射による変色、
退色を受けていることがわかる。
【００４１】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように、本発明の
合わせガラス用中間膜は、異なる最大吸収波長を有する
２種の紫外線吸収剤を含有するために、各紫外線吸収剤
の吸収能の弱い波長部分が互いに補われ、それにより、
紫外線吸収能力が著しく増大する。その結果、これらの
紫外線吸収剤を比較的少量含有する合わせガラス用中間
膜でも、特に中間膜が着色剤を含有する場合、経時的な
変色、退色が効果的に防止される。紫外線吸収剤の量を
少量に抑制できるため、この合わせガラス用中間膜は、
安価に得られる。得られた合わせガラスにヘイズが発現
することもない。従って、このような中間膜から構成さ
れる合わせガラスは、建築物の窓ガラス、自動車のフロ
ントガラスなどの屋外で長期にわたって紫外線に晒され
るガラスに、有効に利用され得る。
合わせガラス用中間膜は、異なる最大吸収波長を有する
２種の紫外線吸収剤を含有するために、各紫外線吸収剤
の吸収能の弱い波長部分が互いに補われ、それにより、
紫外線吸収能力が著しく増大する。その結果、これらの
紫外線吸収剤を比較的少量含有する合わせガラス用中間
膜でも、特に中間膜が着色剤を含有する場合、経時的な
変色、退色が効果的に防止される。紫外線吸収剤の量を
少量に抑制できるため、この合わせガラス用中間膜は、
安価に得られる。得られた合わせガラスにヘイズが発現
することもない。従って、このような中間膜から構成さ
れる合わせガラスは、建築物の窓ガラス、自動車のフロ
ントガラスなどの屋外で長期にわたって紫外線に晒され
るガラスに、有効に利用され得る。
Claims (1)
- 【請求項１】ビニル系樹脂、着色剤および紫外線吸収剤
を含有する樹脂組成物にて形成される合わせガラス用中
間膜であって、 該紫外線吸収剤が、下記式(I)で表される２−（３−ｔ
−ブチル−５−メチル−２−ヒドロキシフェニル）−５
−クロロベンゾトリアゾールと、下記式(II)で表される
２−（５−ｔ−オクチル−２−ヒドロキシフェニル）ベ
ンゾトリアゾールとの組み合わせである、合わせガラス
用中間膜。 【化１】 【化２】
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP4110128A JPH05301993A (ja) | 1992-04-28 | 1992-04-28 | 合わせガラス用中間膜 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP4110128A JPH05301993A (ja) | 1992-04-28 | 1992-04-28 | 合わせガラス用中間膜 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH05301993A true JPH05301993A (ja) | 1993-11-16 |
Family
ID=14527743
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP4110128A Pending JPH05301993A (ja) | 1992-04-28 | 1992-04-28 | 合わせガラス用中間膜 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH05301993A (ja) |
Cited By (4)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| WO2007049766A1 (ja) * | 2005-10-28 | 2007-05-03 | Nippon Sheet Glass Company, Limited | シェードバンド付き合わせガラス |
| JP2009249464A (ja) * | 2008-04-03 | 2009-10-29 | Panasonic Electric Works Co Ltd | ポリオレフィン樹脂組成物及び照明器具 |
| WO2018182029A1 (ja) * | 2017-03-31 | 2018-10-04 | 積水化学工業株式会社 | 熱可塑性樹脂膜及びガラス板含有積層体 |
| WO2018182030A1 (ja) * | 2017-03-31 | 2018-10-04 | 積水化学工業株式会社 | 熱可塑性樹脂膜及びガラス板含有積層体 |
-
1992
- 1992-04-28 JP JP4110128A patent/JPH05301993A/ja active Pending
Cited By (9)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| WO2007049766A1 (ja) * | 2005-10-28 | 2007-05-03 | Nippon Sheet Glass Company, Limited | シェードバンド付き合わせガラス |
| JPWO2007049766A1 (ja) * | 2005-10-28 | 2009-04-30 | 日本板硝子株式会社 | シェードバンド付き合わせガラス |
| US8288746B2 (en) | 2005-10-28 | 2012-10-16 | Nippon Sheet Glass Company, Limited | Laminated glass with shade band |
| JP2009249464A (ja) * | 2008-04-03 | 2009-10-29 | Panasonic Electric Works Co Ltd | ポリオレフィン樹脂組成物及び照明器具 |
| WO2018182029A1 (ja) * | 2017-03-31 | 2018-10-04 | 積水化学工業株式会社 | 熱可塑性樹脂膜及びガラス板含有積層体 |
| WO2018182030A1 (ja) * | 2017-03-31 | 2018-10-04 | 積水化学工業株式会社 | 熱可塑性樹脂膜及びガラス板含有積層体 |
| JPWO2018182029A1 (ja) * | 2017-03-31 | 2020-02-06 | 積水化学工業株式会社 | 熱可塑性樹脂膜及びガラス板含有積層体 |
| JPWO2018182030A1 (ja) * | 2017-03-31 | 2020-02-20 | 積水化学工業株式会社 | 熱可塑性樹脂膜及びガラス板含有積層体 |
| JP2022126685A (ja) * | 2017-03-31 | 2022-08-30 | 積水化学工業株式会社 | 熱可塑性樹脂膜及びガラス板含有積層体 |
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