JPH05270480A - 船体の二重殻構造の組立方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 二重殻構造の組立て時の作業を単純化し自動
溶接作業ができるようにする。 【構成】 ロンジスチフナ１５とトランス１６で補強し
てある一方のブロックとしての内殻ブロック１１の組立
て時に、二重殻構造の間隔を保持させるガーダ１３を船
の首尾方向に平行に取り付けておく。内殻ブロック１１
と他方のブロックとしての外殻ブロック１２とで二重殻
構造に組み立てるとき、内殻ブロック１１を反転させて
ガーダ１３の下端側を外殻ブロック１２の上に載せる。
ガーダ１３と外殻ブロック１２の外殻板１８との接合部
ｇ、ガーダ１３と外殻ブロック１２のトランス１９との
接合部ｈ、ガーダ１３に付けたカラープレート１７とト
ランス１９との接合部ｉ、カラープレート１７と外殻板
１８との接合部を溶接する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は船底部や船側部が二重構
造になっている船体の二重殻構造の組立方法に関するも
のである。

【０００２】

【従来の技術】船舶に対する安全性の向上を目的として
船底のみならず船側をも二重殻構造にする要請が高まり
つつあり、特に、大型油送船の衝突等による油流出事故
は海洋環境汚染という大きな問題となっており、大型油
送船の船体構造を二重殻構造にすることがさけばれてい
る。

【０００３】かかる状況の下で船体建造において二重殻
構造とする場合の一例としては、図４に示す如く、ほぼ
同一構造の内殻ブロック１と外殻ブロック２とを形成
し、いずれか一方を反転させて両ブロック１と２を向い
合わせ、フロア３を介して内殻ブロック１と外殻ブロッ
ク２とを所定の間隔に保持させて二重殻構造とするよう
にしている。

【０００４】詳述すると、内殻ブロック１は、内殻板４
上に船体の首尾方向に延びるロンジスチフナ５を所定の
間隔で配置し、各ロンジスチフナ５を内殻板４上に溶接
にて固定して所定の剛性をもたせた構成としてあり、
又、外殻ブロック２も、外殻板６上に船体の首尾方向に
延びるロンジスチフナ５を所定の間隔で配置し、各ロン
ジスチフナ５を外殻板６上に溶接にて固定して所定の剛
性をもたせた構成としてあり、更に、上記内殻ブロック
１と外殻ブロック２を接合して二重殻ブロックとする際
に用いる、内殻ブロック１及び外殻ブロック２の各ロン
ジスチフナ５と直交する方向へ延びるフロア３を、所定
の間隔で配置して、該各フロア３を介して内殻ブロック
１と外殻ブロック２とを接合させるようにしている。こ
の場合に、各フロア３の両側部には、ロンジスチフナ５
を貫通させるためのスロット７と８を各々形成し、且つ
該各スロット７及び８は、ロンジスチフナ５に対して落
し込みで嵌合できるようにするために、各々片側に切欠
部９を形成した構成としてある。

【０００５】上記従来の内殻ブロック１と外殻ブロック
２を接合して二重殻ブロックとする場合は、たとえば、
内殻ブロック１の組立て過程で、上記フロア３をロンジ
スチフナ５と直交するように所定間隔で配置して、各ス
ロット７をロンジスチフナ５に落し込み、各フロア３の
各スロット７に各々ロンジスチフナ５が挿通させられて
いるようにして、各フロア３の端と内殻板４の上面との
接合部を隅肉溶接した後、各スロット７の切欠部９をカ
ラープレート１０で塞ぎ、カラープレート１０とフロア
３との接合部を溶接しておくようにしている。次に、上
記内殻ブロック１を反転させてフロア３の下端を、各ス
ロット８に各ロンジスチフナ５が挿通させるように外殻
板６の上に降ろし、該フロア３の下端と外殻板６との接
合部を溶接すると共に、スロット８の切欠部９をカラー
プレート１０で個別に塞いで、該カラープレート１０と
フロア３との接合部を溶接するようにしている。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】ところが、上記従来の
二重殻構造の組立方法では、内殻ブロック１を反転する
前、すなわち、内殻ブロック１の組立て工程中に、各ロ
ンジスチフナ５がフロア３を貫通して延びるように各ロ
ンジスチフナ５を挿通させた各スロット７をカラープレ
ート１０で１個１個塞ぐ作業が必要であり、この作業
は、内殻板４上に作業員が上って行うものであるため、
内殻板４の上面の塗装したところを踏みつけることにな
って、汚れたり、傷が付いたりすると共に、カラープレ
ート１０とフロア３との接合部の溶接が手溶接となるの
で、溶接の自動化が困難である、という問題がある。
又、内殻ブロック１を反転してフロア３の下側のスロッ
ト８に外殻板６上のロンジスチフナ５を挿通させるよう
にしてフロア３を外殻板６上に降した後、スロット８の
切欠部９をカラープレート１０で塞ぐときも、上記と同
様の問題がある。

【０００７】そこで、本発明は、内殻ブロックと外殻ブ
ロックを接合して二重殻構造とするときの接合部の接合
作業を単純化して狭隘部でも溶接作業の自動化が図れる
ようにしようとするものである。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するために、プレート上に、多数の補強用縦通部材と
してのロンジスチフナと複数の広幅のガーダを各々所要
の間隔で配置して溶接にて固定すると共に、上記ロンジ
スチフナ及びガーダと直交する方向と平行に上記ガーダ
間の長さとした複数の横通部材としてのトランスを各ガ
ーダ間に各々所要の間隔で配置してプレートとガーダに
溶接にて固定して一方のブロックを組立て、一方、プレ
ート上に、多数の補強用縦通部材としてのロンジスチフ
ナを配置して溶接にて固定すると共に、ロンジスチフナ
と直交する方向に上記一方のブロックのトランスに対応
させて該トランスとほぼ同じ長さとしたトランスを溶接
にて固定して他方のブロックを組立て、上記一方のブロ
ックを反転してガーダを他方のブロックのトランス間に
落し込み、次いで、上記ガーダの下端と他方のブロック
のプレート上面との接合部、ガーダと他方のブロックの
トランスとの接合部を溶接して二重殻構造の組み立てを
行う方法とする。

【０００９】上記他方のブロックのトランスとガーダと
の接合部の溶接は、予めガーダにカラープレートを付け
ておいて、カラープレートとトランスの立向突合せ溶接
としてもよく、又は、カラープレートをガーダとトラン
スとの間隙部に挿入してガーダとカラープレートとの立
向隅肉溶接、カラープレートとトランスとの立向突合せ
溶接としてもよい。更に、他方のブロックにガーダを付
けて該他方のブロックを反転して一方のブロックに被せ
るようにすることもできる。

【００１０】

【作用】一方のブロックを反転させて一方のブロックと
他方のブロックとを接合するときは、ガーダと他方のブ
ロックとの接合、すなわち、ガーダと他方のブロックの
プレート上面、ガーダと他方のブロックのトランスの接
合でよく、溶接工事の自動化がし易くなる。

【００１１】

【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照して説明
する。

【００１２】図１乃至図３は本発明の一実施例を示すも
ので、いずれも一方のブロックとしての内殻ブロック１
１を反転させて他方のブロックとしての外殻ブロック１
２上に重ね合わせるように載せた姿を示している。

【００１３】内殻ブロック１１と外殻ブロック１２を別
々に組み立て、次いで、内殻ブロック１１を反転して外
殻ブロック１２上に載せた後、内殻ブロック１１と外殻
ブロック１２との接合部を溶接して二重殻構造に組み立
てるようにするが、本発明では、内殻ブロック１１の組
み立て時に、二重殻構造の間隔を保持するためのガーダ
１３を予め溶接にて固定しておき、内殻ブロック１１を
反転させて外殻ブロック１２に接合させるとき、ガーダ
１３を外殻ブロック１２に固定して二重殻構造とするこ
とを特徴としている。

【００１４】詳述すると、内殻板１４の上面に、船の首
尾方向と平行に多数の補強用縦通部材としてのロンジス
チフナ１５を所要の間隔で配置して接合部ａを隅肉溶接
にて固定すると共に、二重殻構造とするときの内殻板１
４と外殻板１８の間隔を一定に規制して保持するための
複数のガーダ１３を、上記ロンジスチフナ１５と同じ方
向に且つ広い間隔（たとえば、１０ｍ〜１５ｍ間隔）で
配置して、接合部ｂを隅肉溶接にて固定し、且つ上記ロ
ンジスチフナ１５と直交する船の幅方向に延びる補強用
横通部材としてのトランス１６を、上記各ガーダ１３間
の長さとして内殻板１４上の各ガーダ１３間に、各ロン
ジスチフナ１５を貫通させるように配置し、各トランス
１６はガーダ１３への接合部が長くなるように両端を変
形させ、該各トランス１６と内殻板１４との接合部ｃ及
び各トランス１６とガーダ１３との接合部ｄを隅肉溶接
にて固定し、更に、前後方向に隣接する上記各トランス
１６の間の位置で且つガーダ１３の反トランス１６側の
片面に、所要幅のカラープレート１７を固定して、ガー
ダ１３付きの内殻ブロック１１を組み立てる。一方、外
殻板１８の上面に、船の首尾方向と平行に多数の補強用
縦通部材としてのロンジスチフナ１５を所要の間隔で配
置して、接合部ｅを隅肉溶接にて固定すると共に、該ロ
ンジスチフナ１５と直交する方向に延びる補強用横通部
材としてのトランス１９を、上記内殻ブロック１１のト
ランス１６の長さよりも若干短かい長さとして、上記内
殻ブロック１１のガーダ１３間の寸法に対応させ且つ一
端を揃えて配置し、且つ各トランス１９をロンジスチフ
ナ１５を貫通させて該ロンジスチフナ１５の長手方向に
所要間隔で配置して、該トランス１９と外殻板１８上面
との接合部ｆを隅肉溶接にて固定して各トランス１９同
士の長手方向の間隙が、ガーダ１３とカラープレート１
７の幅寸法とした構成の外殻ブロック１２を組み立て
る。

【００１５】上記構成とした内殻ブロック１１と外殻ブ
ロック１２とを組み立てて二重殻構造とするときは、先
ず、内殻ブロック１１を反転させガーダ１３を下向きに
して外殻ブロック１２上に被せる。このとき、ガーダ１
３に固定したカラープレート１７の位置が外殻ブロック
１２のトランス１９の位置に合致するように、内殻ブロ
ック１１のトランス１６と外殻ブロック１２のトランス
１９とを上下に非対称となるようにずらし、ガーダ１３
を外殻板１８上に当接させたときに外殻板１８上のトラ
ンス１９の長手方向の間隙にガーダ１３とカラープレー
ト１７が嵌合するようにする。次に、ガーダ１３と外殻
ブロック１２との接合部を溶接するが、接合部は、ガー
ダ１３と外殻板１８上面との接合部ｇの水平隅肉溶接、
ガーダ１３とトランス１９との接合部ｈの立向隅肉溶
接、カラープレート１７とトランス１９との接合部ｉの
立向突合せ溶接、カラープレート１７と外殻板１８との
接合部ｊの水平隅肉溶接、だけであるため、狭隘部であ
っても自動溶接機を用いて自動的に溶接することができ
る。これにより作業員が外殻板１８上面の塗装面を踏み
つけることが避けられ、塗装面を汚したり、傷つけたり
することをなくすことができる。

【００１６】なお、本発明は上記実施例に限定されるも
のではなく、たとえば、カラープレート１７は予めガー
ダ１３に固定しておく場合について示したが、カラープ
レート１７は、ガーダ１３を外殻板１８上に降ろしてか
ら該ガーダ１３とトランス１９との間に嵌めて取り付け
るようにしてもよいこと、又、ガーダ１３を外殻板１８
上に予め固定し、二重殻構造とするときに外殻ブロック
１２を反転させるようにしてもよいこと、その他本発明
の要旨を逸脱しない範囲内で種々変更を加え得ることは
勿論である。

【００１７】

【発明の効果】以上述べた如く、本発明の船体の二重殻
構造の組立方法によれば、プレートを各々ロンジスチフ
ナとトランスで補強してなる一方のブロックと他方のブ
ロックのいずれか一方に、ロンジスチフナと平行に且つ
所要の間隔でガーダを取り付け、二重殻構造とするとき
に上記ガーダを取り付けた方のブロックを反転させて、
ガーダの下端を他方のブロックの上面に当接させて両ブ
ロックを重ね合わせ、次いで、ガーダと他方のブロック
との接合部のみを溶接することによって二重殻構造に組
み立てるようにするので、二重殻構造への組立時の接合
部が単純化され、狭隘部での溶接の自動化がし易くな
り、他方のブロックの塗装面を作業員が踏んで汚した
り、傷つけたりすることを防止することができる、とい
う優れた効果が奏し得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の船体の二重殻構造の組立方法で組立て
た二重殻構造の部分を示す斜視図である。

【図２】図１のように組立てる途中の状態を示す斜視図
である。

【図３】図１のガーダ部分の正面図である。

【図４】従来の船体の二重殻構造を組立てる状態を示す
斜視図である。

【図５】図４で組立てた従来の二重殻構造の正面図であ
る。

【符号の説明】

１１ 内殻ブロック（一方のブロック） １２ 外殻ブロック（他方のブロック） １３ ガーダ １４ 内殻板（プレート） １５ ロンジスチフナ １６ トランス １７ カラープレート １８ 外殻板（プレート） １９ トランス ｇ ガーダと外殻板（他方のブロックのプレート）との
接合部 ｈ ガーダとトランスとの接合部 ｉ カラープレートとトランスとの接合部 ｊ カラープレートと外殻板（他方のブロックのプレー
ト）との接合部

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 プレート上に多数のロンジスチフナを所
   要の間隔で配置して溶接にて固定すると共に、二重殻構
   造の間隔を保持させるガーダをロンジスチフナと平行に
   且つ所要間隔で配置して溶接にて固定し、且つ上記ロン
   ジスチフナ及びガーダと直交する方向と平行に配置する
   トランスを、上記ガーダ間の長さとして各ガーダ間にロ
   ンジスチフナを貫通させた状態で所要間隔で配置して、
   該トランスをプレートとガーダに固定してなる一方のブ
   ロックと、上記一方のブロックに対応させてプレート上
   に多数のロンジスチフナを所要の間隔で配置して溶接に
   て固定すると共に該ロンジスチフナと直交する方向と平
   行に配置するトランスを、上記一方のブロックのトラン
   スとほぼ同一長さとして少なくとも上記ガーダの厚み分
   の間隙をあけて配置して溶接にて固定してなる他方のブ
   ロックとを組み立て、上記ガーダ付きの一方のブロック
   を反転させてガーダの下端を他方のブロックのトランス
   間に落し込んで重ね合わせ、次いで、上記ガーダの下端
   と他方のブロックのプレートとの接合部、ガーダと他方
   のブロックのトランスとの接合部を溶接にて固定して二
   重殻構造とすることを特徴とする船体の二重殻構造の組
   立方法。
2. 【請求項２】 下側となる他方のブロックのトランスの
   長さを短かくして、長手方向に隣接するトランス同士の
   間隙を広くし、二重殻構造に組み立てる際にガーダと上
   記トランスとの間をカラープレートで塞ぎ、該カラープ
   レートとトランスとの突合せ接合部、カラープレートと
   ガーダ及び他方のブロックのプレートとの接合部を溶接
   にて固定させるようにする請求項１記載の船体の二重殻
   構造の組立方法。
3. 【請求項３】 カラープレートを予めガーダに固定して
   おく請求項２記載の船体の二重殻構造の組立方法。