JPH05270438A - ステアリングシャフトの支持構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 自動車の前方衝突時においてステアリングシ
ャフト周りに掛かる衝撃エネルギを多く吸収するように
し、乗員への影響を軽減する。 【構成】 クロスパイプ10の一方側を側方補強板16でカ
ウル３と連結し、この位置に、上、下ブラケット14，15
を車体前後方向に略へ字形状に固着し、カウル３と下ブ
ラケット15の先端部との間に下方補強板17を連結し、
上、下ブラケット14，15の先端部にステアリングコラム
８の上下部を固着する。ステアリングシャフト７の支持
部の剛性を維持すると共に、自動車１の前面衝突時に、
前方からの衝撃力ａによりカウル３を前後方向に大きく
押し潰すことができる。また、ステアリングシャフト７
の後方突出を小さくすることができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、自動車の衝突等による
前方からの衝撃力を吸収するようにしたステアリングシ
ャフトの支持構造に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】一般に、ステアリングシャフトは自動車
前部のカウルの下部に堅固に軸支され、ステアリングホ
イールの操作を安定なものにしている。また、前方から
の衝突時の衝撃を緩和するため、ステアリングシャフト
の支持構造は衝撃力を吸収する機構にされている。

【０００３】図６および図７に示すように、自動車１の
前部のダッシュパネル２の上部にはカウル３が取付けら
れており、カウル３の一方側にステアリングブラケット
４が固定され、その下方のダッシュパネル２にペダルブ
ラケット５が固定されている。一方、ステアリングホイ
ール６はステアリングシャフト７に連設され、ステアリ
ングシャフト７はステアリングコラム８に挿通され、取
付ブラケット９を介してステアリングブラケット４およ
びペダルブラケット５に固定されている。

【０００４】また、このように、ステアリングコラム８
の上下部を堅固なブラケット４，５によって固定するこ
とは特開昭63-11474号公報、特開昭57-4466 号公報等に
も開示されている。なお、車体幅方向にパイプを設け、
パイプにステアリングコラムを固定するのもある（実開
昭61-128160 号公報、実開昭57-17870号公報参照）。

【０００５】図７に示すステアリングシャフト７の支持
構造において、自動車１が前方の障害物に衝突すると衝
撃力ａを生じ、衝撃力ａによってカウル４が押圧されス
テアリングブラケット４およびペダルブラケット５が変
形する。これにより、衝撃力ａが減衰され、乗員への衝
撃力ａは緩和されることになる（図５参照）。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述し
たように、ステアリングホイール６を操作するうえで、
ステアリングシャフト７の振動を極力抑えるため支持部
を剛体にするようにしているので、衝突時の変形量は少
なく、非常に強い力で衝突した場合には、ステアリング
シャフト７はそのまま後方にずれる虞がある。

【０００７】本発明は、自動車の前方衝突時の衝撃力に
よりステアリングシャフト周りの変形量を多くするよう
にしたステアリングシャフトの支持構造を提供すること
を目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
するために、自動車のダッシュパネルの上部のカウルに
沿って、クロスパイプを前記カウルと間隔を開けて設
け、該クロスパイプの一方側に上、下ブラケットを車体
前後方向に略へ字形状に固着し、該上、下ブラケットの
先端部にステアリングコラムの上下部を固着し、前記ク
ロスパイプの上、下ブラケットを取付けた位置とカウル
との間に側方補強板を設け、前記下ブラケットの先端部
とカウルとの間に下方補強板を設けたことを特徴とす
る。

【０００９】

【作用】本発明は上記のように構成するものであるの
で、下ブラケットは側方補強板と下方補強板とによって
堅固に位置決め固定され、ステアリングコラムは上、下
ブラケットによって堅固に位置決め固定される。また、
自動車の前方からの衝撃力によりカウルを前後方向に大
きく押し潰すことができる。

【００１０】

【実施例】以下、本発明の実施例を添付図面に基づいて
説明する。図１ないし図３に示すように、自動車１の前
部のダッシュパネル２の上部にはカウル３が取付けられ
ており、カウル３に沿って配したクロスパイプ10がその
両端をフロントピラー11に固着され、中間部は支柱12に
支持されている。一方、ステアリングホイール６はステ
アリングシャフト７に連設され、ステアリングシャフト
７はステアリングコラム８に挿通され、また、ジョイン
ト13を介して延長している。

【００１１】クロスパイプ10の一方側に上、下ブラケッ
ト14，15が、車体前後方向に略へ字形状に取付けられ、
上、下ブラケット14，15の先端に各取付ブラケット９を
介してステアリングコラム８が固着されている。また、
クロスパイプ10の上、下ブラケット14，15の取付位置に
は一対の側方補強板16が固着されカウル３と連結されて
おり、また、下ブラケット15とカウル３の下部との間に
一対の下方補強板17が設けられている。

【００１２】上記の構造では、先ず、側方補強板16、下
方補強板17および下ブラケット15により三角形状に組ま
れ、また、上、下ブラケット14，15およびステアリング
コラム８の一部によって三角形状に組まれるので堅固に
ステアリングシャフト７を支持している。次に、図４に
示すように、自動車１の前方衝突時に生じた衝撃力ａは
ダッシュパネル２およびカウル３を変形させる。従来の
構造ではダッシュパネル２にペダルブラケット５が固定
されていたので全体に前方からの衝撃力ａに強く、実施
例ではカウル３に衝撃力ａが強く働くので大きく変形
し、前後方向に大きく潰れることになり、ステアリング
シャフト７の後方突出は相対的に小さいものになる。な
お、クロスパイプ10の中間部に設けた支柱12は、エンジ
ンからの振動を抑え、また、衝突時のクロスパイプ10の
折れ、変形を防止するための補強にされている。

【００１３】

【発明の効果】本発明は、以上のように構成したもので
あるから、上、下ブラケットおよび側方、下方補強板に
より、ステアリングシャフトの支持部の剛性を維持する
ことができエンジンからの振動を抑えることができると
共に、自動車の前面衝突時に、カウルを前後方向に大き
く潰すことができ、大きな衝撃力を吸収することができ
る。また、ステアリングシャフトの後方突出を小さくす
ることができ、乗員への影響を軽減することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明による実施例のステアリングシャフトの
支持構造を示す自動車の要部斜視図である。

【図２】図１に示すステアリングシャフトの支持構造の
側面図である。

【図３】図１に示すステアリングシャフトの支持構造の
展開図である。

【図４】実施例のステアリングシャフトの支持構造の外
力による変形状態を示す側面図である。

【図５】従来のステアリングシャフトの支持構造の外力
による変形状態を示す側面図である。

【図６】従来のステアリングシャフトの支持構造を示す
自動車の要部斜視図である。

【図７】図６に示すステアリングシャフトの支持構造の
側面図である。

【符号の説明】

１ 自動車 ２ ダッシュパネル ３ カウル ８ ステアリングコラム 10 クロスパイプ 14 上ブラケット 15 下ブラケット 16 側方補強板 17 下方補強板

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 自動車のダッシュパネルの上部のカウル
   に沿って、クロスパイプを前記カウルと間隔を開けて設
   け、該クロスパイプの一方側に上、下ブラケットを車体
   前後方向に略へ字形状に固着し、該上、下ブラケットの
   先端部にステアリングコラムの上下部を固着し、前記ク
   ロスパイプの上、下ブラケットを取付けた位置とカウル
   との間に側方補強板を設け、前記下ブラケットの先端部
   とカウルとの間に下方補強板を設けたことを特徴とする
   ステアリングシャフトの支持構造。