JPH05236965A - trkCタンパク質 - Google Patents

trkCタンパク質

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JPH05236965A
JPH05236965A JP4181162A JP18116292A JPH05236965A JP H05236965 A JPH05236965 A JP H05236965A JP 4181162 A JP4181162 A JP 4181162A JP 18116292 A JP18116292 A JP 18116292A JP H05236965 A JPH05236965 A JP H05236965A
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JP
Japan
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trkc
sequence
dna
expression vector
protein
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Application number
JP4181162A
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English (en)
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Mariano Barbacid
マリアーノ・バーバシッド
Fabienne Lamballe
ファビエンヌ・ランベール
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Bristol Myers Squibb Co
ER Squibb and Sons LLC
Original Assignee
Bristol Myers Squibb Co
ER Squibb and Sons LLC
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Publication date
Application filed by Bristol Myers Squibb Co, ER Squibb and Sons LLC filed Critical Bristol Myers Squibb Co
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    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K14/00Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
    • C07K14/82Translation products from oncogenes
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K14/00Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
    • C07K14/435Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans
    • C07K14/705Receptors; Cell surface antigens; Cell surface determinants
    • C07K14/71Receptors; Cell surface antigens; Cell surface determinants for growth factors; for growth regulators

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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 trkCタンパク質の全部または一部をコー
ドする核酸配列からなることを特徴とする、ポリペプチ
ド分子の製造方法を提供することを目的とする 【構成】 trkCタンパク質の全部または一部をコー
ドする核酸配列からなる核酸分子(とりわけDNA配
列)、該配列と相補的なDNA配列を有するDNA分
子、該DNA配列を含有する発現ベクター、該発現ベク
ターを含有する宿主細胞、これらを用いた方法、trk
Cタンパク質の全部または一部からなるポリペプチド分
子、および該ポリペプチド分子の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、trkCタンパク質の
全部または一部をコードする核酸配列からなることを特
徴とする、単離核酸分子、該配列に相補的なDNA配列
を有するDNA分子、該DNA配列を含む発現ベクタ
ー、該発現ベクターを有する原核または真核宿主細胞、
該宿主細胞を培養することを特徴とするtrkCタンパ
ク質の全部または一部からなるポリペプチド分子の製造
方法、およびtrkCタンパク質の全部または一部から
なる単離ポリペプチド分子に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】癌遺
伝子の存在は、長い間知られていた。癌遺伝子は、その
タンパク産物がある種の宿主細胞中に存在するときに該
細胞を癌の表現型に形質転換させ得る遺伝子として大ま
かに定義することができる。一方、癌原遺伝子は、活性
化させると癌遺伝子を生成し得る正常な遺伝子として大
まかに定義することができる。最初に発見された癌遺伝
子は、ある種の腫瘍ウイルスの形質転換遺伝子であっ
た。その後、癌遺伝子は、種々の真核細胞中にも存在す
ることが発見された。これら癌遺伝子の中には、trk
として表されるものも含まれる。
【0003】trkの遺伝子座はまずヒト結腸癌で同定
されたが、その際、該遺伝子座は、染色体の再配列によ
りその経膜ドメインおよび触媒ドメインが非筋肉トロポ
ミオシン遺伝子由来の配列の一部(subset)と融合するこ
とによって癌遺伝子として活性化された[マーチン・ザ
ンカ(Martin−Zanca,D.)ら、Nature319、743〜
748(1986)]。トロポミオシン以外の活性化配列
を有する他のtrk癌遺伝子は、遺伝子移動アッセイ中
に生成された[コズマ(Kozma)ら、EMBO J.、14
7〜154(1988);オスカム(Oskam)ら、Proc.Nat
l.Acad.Sci.、2964〜2968(1988)]。tr
k癌原遺伝子は、チロシンプロテインキナーゼ活性を有
する細胞表面レセプターをコードし、三叉神経節および
ある種の後根神経節で特異的に発現される。
【0004】trk癌原遺伝子に関連するtrkBと称
される遺伝子は、最近、マウス脳のcDNAライブラリ
ーから単離された[クライン(Klein,R.)ら、EMBO
J.、3701〜3709(1989)]。trkB癌原
遺伝子もまた、チロシンプロテインキナーゼ活性を有す
る細胞表面レセプターをコードしている。これら両遺伝
子の変異した対立遺伝子(癌遺伝子)は、悪性の形質転換
を引き起こし得る。本発明は、trk癌原遺伝子に関連
する第三の遺伝子、すなわちtrkCの発見を含む。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、trkCタン
パク質の全部または一部をコードする核酸配列からなる
単離核酸分子に関する。好ましくは、この核酸分子はD
NA(デオキシリボ核酸)分子であり、この核酸配列はD
NA配列である。さらに好ましくは、実質的に図2〜図
5(配列番号1)に示すヌクレオチド配列の全部または一
部を有するDNA配列である。本発明はさらに、trk
Cタンパク質の全部または一部をコードするDNA配列
を含む発現ベクターに関する。
【0006】本発明はさらに、trkCタンパク質の全
部または一部をコードするDNA配列を含む発現ベクタ
ーを有する原核または真核宿主細胞に関する。本発明は
また、trkCタンパク質の全部または一部をコードす
る核酸配列または関連核酸配列の検出方法に関する。本
発明はさらに、trkCタンパク質の全部または一部か
らなるポリペプチド分子に関する。
【0007】以下、図面を詳細に説明する。図1〜図5
は、ブタtrkC遺伝子のcDNAクローンであるpF
L19の2526bpの長さの挿入物のヌクレオチド配
列分析を示す。図1は、pFL19の模式図である。太
い棒は、開始コドン(ATG)および終止コドン(TAG)
により挟まれたコード配列を表す。推定シグナルペプチ
ド(SP、斑点)ドメイン、経膜(TM、黒く塗りつぶし
てある)ドメインおよびチロシンキナーゼ(TK、斜線を
施してある)ドメインを示す。他の記号は、細胞外ドメ
イン中に存在するシステイン残基(黒点)および共通N−
グリコシル化部位(逆三角形)を示す。細い棒は、5'お
よび3'非コード配列を示す。
【0008】図2〜図5は、上記pFL19の2526
bp挿入物のヌクレオチド配列およびそれから導かれた
アミノ酸配列を示す。推定シグナルペプチド(アミノ酸
1〜31)は、点線の箱で囲んである。pFL19中に
pFL7およびpFL15を融合するのに用いる唯一の
NaeI部位には、上に模様の線を引いてある。共通N
−グリコシル化部位には、棒で下線を引いてある。細胞
外ドメイン中のシステイン残基は丸で囲んである。推定
経膜ドメイン(アミノ酸430〜453)には黒線で下線
を引いてある。推定チロシンキナーゼ触媒ドメイン(ア
ミノ酸544〜810)には水平矢印で印を付してあ
る。インフレームの終止コドンTAG(アミノ酸250
7〜2509)には点を付してある。
【0009】図6は、trkC産物の同定を示す。(A)
発現プラスミドpFL20でトランスフェクションした
NIH3T3細胞、(B)trk癌原遺伝子産物を発現す
るNIH3T3細胞および(C)親NIH3T3細胞の[
35S]メチオニン標識細胞抽出物を、10μg/mlの
ツニカマイシンの不在下(−)または存在下(+)で増殖さ
せ、免疫前(P)に、またはtrk癌原遺伝子産物の14
カルボキシ末端アミノ酸に対応するペプチドに対して産
生させた血清で免疫して(I)免疫沈降分析に供した。グ
リコシル化されたgp145/120trkCおよびgp1
40/110trk分子およびそれらの対応ポリペプチド
骨格p90trkCおよびp80trkを矢印で示してある。
一緒に電気泳動に供した分子量マーカーには、ミオシン
(20,000)、ホスホリラーゼB(92,500)、ウシ
血清アルブミン(69,000)および卵アルブミン(4
3,000)が含まれている。
【0010】図7および図8は、成体マウス組織中での
trkC転写物の分布を示す。図7では、所定組織から
単離したポリ(A)選択RNA(4μg)を1.2%アガロ
ース−ホルムアルデヒドゲル中で電気泳動にかけ、ニト
ロセルロース膜に移し、厳密な条件下(下記実験手順を
参照)、pFL19のヌクレオチド363〜933(図2
〜図5参照)に対応するpFL16マウスtrkC cD
NAクローンの[32P]標識570bp AccI DNA
断片とハイブリダイズさせた。図8では、同じフィルタ
ーを[32P]標識β−アクチンプローブとハイブリダイズ
させて、各レーン中に負荷したRNAの量について制御
した。ハイブリダイズしたブロットを増感スクリーンの
助けをかりてコダックX−OMATフィルムに−70℃
で15日間(図7)または8時間(図8)暴露した。trk
Cおよびβ−アクチン転写物のそれぞれのサイズを示し
てある。RNAサイズマーカーには、サッカロミセス・
セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)の28Sおよび
18SリボソームRNAおよび大腸菌の23Sおよび1
6SリボソームRNAが含まれていた。
【0011】図9は、生体マウス脳の中央矢状縫合(mid
−sagittal)切片におけるtrkC発現を示す。(A)t
rkC特異的アンチセンスcRNAプローブおよび(B)
trkCセンスcRNAプローブ(下記実験手順参照)で
ハイブリダイズした隣接する切片の暗野視を示す。py
は海馬の錐体細胞層、dgは歯状回、ccは大脳皮質、
tは視床、gclは小脳の顆粒細胞層を示す。
【0012】本発明は、trkCタンパク質の全部また
は一部をコードする核酸配列からなる単離核酸分子に関
する。好ましくは、該核酸分子はDNA分子であり、該
核酸配列はDNA配列である。さらに好ましくは、実質
的に図2〜5(配列番号1)に示すヌクレオチド配列の全
部または一部を有するDNA配列、または該DNA配列
に相補的なDNA配列である。trkCタンパク質の一
部をコードするヌクレオチド配列(たとえば、DNA配
列)の場合は、該ヌクレオチド配列は長さが少なくとも
約15ヌクレオチドであることが好ましい。本発明のD
NA配列は種々の採取源から単離することが可能である
が、現在のところ好ましい配列はブタおよびマウスのc
DNAライブラリーから単離されている。生成したポリ
ペプチド分子の正確なアミノ酸配列は、最初のDNA配
列により変わるであろう。
【0013】本発明のDNA配列は、当業者によく知ら
れた種々の方法を用いて得ることができる。少なくとも
3つの主要な方法を用いることができる。 (1)ゲノムDNAからの二本鎖DNA配列の単離または
該配列を有する相補的DNA(cDNA)からの該配列の
単離; (2)該DNA配列の化学合成;および (3)複製連鎖反応(PCR)による該DNA配列の化学合
成。
【0014】第一の方法では、trkCタンパク質の全
部または一部をコードするDNA配列を同定するために
ゲノムDNAライブラリーまたはcDNAライブラリー
をスクリーニングする。たとえば、trkCタンパク質
の全部または一部をコードするDNA配列を同定するた
めにブタまたはマウスのcDNAライブラリーをスクリ
ーニングすることができる。種々のブタまたはマウスc
DNAライブラリー、たとえば脳cDNAライブラリー
を用いることができる。ゲノムDNAライブラリーまた
はcDNAライブラリーをスクリーニングするためには
種々の方法を用いることができる。
【0015】たとえば、trkCタンパク質の全部また
は一部をコードする目的ゲノムDNAまたはcDNA中
に存在する配列と重複する配列を有する標識一本鎖DN
Aプローブを用い、一本鎖の形態に変性しておいたゲノ
ムDNAまたはcDNAのクローニングコピー上でDN
A/DNAハイブリダイゼーションを行うことができ
る。ゲノムDNAまたはcDNAはまた、イムノブロッ
ティング法を用いてtrkCタンパク質の全部または一
部をコードするゲノムDNAまたはcDNAについてス
クリーニングすることもできる。
【0016】イムノブロッティング法またはハイブリダ
イゼーション法のいずれかに適した典型的なスクリーニ
ング法においては、まずゲノムDNAライブラリー(通
常、λgt11などのベクター中に含まれる)またはc
DNAライブラリーをアガロースプレート上に広げ、つ
いで得られたクローンをフィルターメンブラン、たとえ
ばニトロセルロースメンブランに移す。ついで、これら
クローンにDNAプローブをハイブリダイズさせるか、
または抗体を結合させて、trkCタンパク質の全部ま
たは一部をコードするゲノムDNAまたはcDNAを含
むクローンを同定する。
【0017】第二の方法においては、trkCタンパク
質の全部または一部をコードする本発明のDNA配列を
化学的に合成することができる。たとえば、trkCタ
ンパク質をコードするDNA配列を一連の100塩基オ
リゴヌクレオチドとして合成し、ついで、これらヌクレ
オチドを順番に(適当な末端制御部位を介して)ライゲー
トして正しい直線状のヌクレオチド配列を生成させるこ
とができる。
【0018】第三の方法においては、trkCタンパク
質の全部または一部をコードするDNA配列をPCR法
を用いて合成することができる。簡単に説明すると、目
的DNA配列の反対の鎖にハイブリダイズする長さが少
なくとも15塩基の1対の合成DNAオリゴヌクレオチ
ド(PCRプライマー)を用い、該目的配列上のDNAの
介在領域を酵素的に増幅させる。鋳型の熱変性、プライ
マーのアニールおよびアニールしたプライマーの3'末
端のDNAポリメラーゼによる伸長からなるサイクルを
繰り返すことにより、これらPCRプライマーの5'末
端により定められるセグメントが増幅される[米国特許
第4,683,195号および同第4,683,202号各
明細書参照]。
【0019】本発明のDNA配列は、本発明に従った種
々の方法により用いることができる。たとえば、trk
Cタンパク質に関連するタンパク質をコードする他のD
NA配列をハイブリダイゼーションにより選択すること
ができるように、他のcDNAライブラリーおよびゲノ
ムDNAライブラリーをスクリーニングするためのDN
Aプローブとして用いることができる。加えて、trk
Cタンパク質の全部または一部をコードする本発明のD
NA配列はまた、他のcDNAライブラリーおよびゲノ
ムDNAライブラリーをスクリーニングするためにDN
Aプローブとして用い、ブタまたはマウス以外の生物か
らのtrkCタンパク質分子をコードするDNA配列を
ハイブリダイゼーションによって選択することができ
る。
【0020】trkCタンパク質の全部または一部をコ
ードする本発明のDNA配列はまた、種々の変異を調製
するため修飾する(すなわち、変異させる)こともでき
る。そのような変異は、縮退している、すなわち変異し
たコドンによってコードされるアミノ酸配列に変化が起
こらないか、または縮退していない、すなわち変異した
コドンによってコードされるアミノ酸配列に変化が起こ
るかいずれかである。このような修飾されたDNA配列
は、たとえば、変異の結果、コードされるポリペプチド
中の1または2以上のアミノ酸の欠失、置換、挿入、逆
位または付加が生じるように、種々の公知方法を用いて
trkCタンパク質のDNA配列を変異させることによ
って調製することができる。
【0021】たとえば、テイラー(Taylor,J.W.)らのN
ucl.Acids Res.13、8749〜8764(1985)お
よびクンケル(Kunkel,J.A.)のProc.Natl.Acad.Sci.US
A82、482〜492(1985)に記載されているよ
うな部位特異的突然変異誘発法を用いることができる。
部位特異的突然変異誘発のためのキットは市販業者から
購入することができる。たとえば、部位特異的突然変異
誘発を行うためのキットは、アマーシャム(Amersham Co
rp.、アーリントンハイツ、イリノイ州)から購入するこ
とができる。縮退および非縮退変異の両方とも、本発明
のポリペプチドを製造または使用する上で有利である。
たとえば、これら変異により、一層高レベルの製造、一
層容易な精製が可能となり、また別の制限エンドヌクレ
アーゼ認識部位が得られる。そのような修飾DNAs
(およびそれによりコードされるポリペプチド分子)は、
すべて本発明の範囲に含まれる。
【0022】本明細書において「修飾」とは、ヌクレオチ
ド配列またはポリペプチド配列について言及する場合
に、天然に存在する野生型配列とは異なるヌクレオチド
配列またはポリペプチド配列を意味する。本発明はま
た、trkCタンパク質の全部または一部をコードする
DNA配列を含む発現ベクターに関する。本発明の発現
ベクターは、実質的に図2〜図5(配列番号1)に示すヌ
クレオチド配列を有するDNA配列の全部または一部を
含んでいるのが好ましい。また、trkCタンパク質の
全部または一部をコードするDNA配列に機能的に連結
した1または2以上の制御DNA配列を含む発現ベクタ
ーがさらに好ましい。本明細書において「機能的に連結
した」とは、該制御DNA配列が、trkCタンパク質
の全部または一部をコードするDNA配列の複製および
/または発現を指令することができることを意味する。
【0023】本発明において有用な発現ベクターは、し
ばしば「プラスミド」の形態であり、これは環状の二本鎖
DNAsを意味し、そのベクターの形態では染色体には
結合しない。しかしながら、本発明は、同等の機能を有
し、その後当該技術分野で知られるようになった他の形
態の発現ベクターをも包含する。
【0024】本発明において有用な発現ベクターは、一
般に、複製開始点、該DNA配列の前(すなわち上流)に
位置するプロモーターとそれに続くtrkCタンパク質
の全部または一部をコードするDNA配列、転写終止配
列および残りのベクターからなる。本発明の発現ベクタ
ーはまた、当該技術分野で知られた他のDNA配列、た
とえば、発現産物に安定性を付与する安定性リーダー配
列、発現産物を分泌させる分泌リーダー配列、調節すべ
き(たとえば、増殖培地中の栄養物質または他の誘発因
子の存在または不存在によって)構造遺伝子の発現を可
能にする配列、形質転換した宿主細胞の表現型の選択を
可能にするマーキング配列、および制限エンドヌクレア
ーゼによる開裂のための部位を提供する配列などを含ん
でいてもよい。
【0025】実際に使用する発現ベクターの特徴は、使
用する宿主細胞と適合するものでなければならない。た
とえば、哺乳動物細胞系でクローニングする場合は、発
現ベクターは、哺乳動物細胞のゲノムから単離したプロ
モーター(たとえば、マウスメタロチオネインプロモー
ターなど)、またはこれら細胞中で成育するウイルスか
ら単離したプロモーター(たとえば、ワクシニアウイル
スの7.5Kプロモーターなど)を含んでいなければなら
ない。
【0026】本発明における発現ベクターは、少なくと
も、本発明のDNA配列の複製、好ましくは発現を指令
し得るものでなければならない。適当な複製開始点とし
ては、たとえば、pMB1のColE1誘導体からの複
製開始点Oriが挙げられる。適当なプロモーターとし
ては、たとえば、モロニー肉腫ウイルス、ラウス肉腫ウ
イルスおよびマウス乳癌ウイルスのLTR(long termin
al repeats)、並びにSV40およびポリオーマウイル
スの初期領域などが挙げられる。選択マーカーとして
は、抗生物質のネオマイシンおよびG418(neo)、
プロマイシン(pur)またはヒグロマイシン(hygr
o)に対する耐性をコードする細菌遺伝子、またはチミ
ジンキナーゼをコードする哺乳動物遺伝子などを用いる
ことができる。これら物質はすべて当該技術分野で知ら
れており、市販されている。
【0027】特に好ましいのは下記に記載するpFL1
9と称する発現ベクター(trkCタンパク質をコード
するDNA配列を含む)、またはpFL19の同定特性
を有する発現ベクターである。プラスミドpFL19
は、ブダペスト条約下、アメリカン・タイプ・カルチャ
ー・コレクション(ロックビル、メリーランド州)に19
91年7月3日に寄託してあり、そのATCC受託番号
は75046である。pFL19は、全コード配列にわ
たるtrkCタンパク質のcDNAクローンを含んでい
る。所望のコード配列および制御配列を含む適当な発現
ベクターは、当該技術分野で公知の標準組換えDNA法
を用いて構築することができ、その多くはマニアティス
(Maniatis,T.)らのモレキュラー・クローニング:ア・
ラボラトリー・マニュアル、コールド・スプリング・ハ
ーバー・ラボラトリー、コールドスプリングハーバー、
ニューヨーク(1982)に記載されている。
【0028】本発明はさらに、trkCタンパク質の全
部または一部をコードするDNA配列を有する発現ベク
ターを含む宿主細胞に関する。本発明の宿主細胞は、好
ましくは、実質的に図2〜図5(配列番号1)に示すヌク
レオチド配列を有するDNA配列の全部または一部を有
する発現ベクターを含む。さらに好ましいのは、trk
Cタンパク質の全部または一部をコードするDNA配列
の複製および/または発現を指令することができ、該配
列に機能的に連結した1または2以上の制御DNA配列
を含む発現ベクターを有する宿主細胞である。適当な宿
主細胞には、原核および真核の両方の細胞が含まれる。
適当な原核宿主細胞としては、たとえば、DH5α、C
600およびLL1などの大腸菌の種々の株が挙げられ
る。適当な真核宿主細胞としては、たとえば、マウスの
NIH3T3およびBALB3T3細胞、ラットのRa
t−2細胞、サルのCOS細胞、ヒトのHela細胞お
よびハムスターのCHO細胞などが挙げられる。宿主細
胞として好ましいのは、マウスのNIH3T3細胞であ
る。
【0029】発現ベクターの宿主細胞中への導入は、当
該技術分野で公知の種々の方法により行うことができ
る。たとえば、発現ベクターによる宿主細胞のトランス
フェクションはリン酸カルシウム沈降法により行うこと
ができる。しかしながら、発現ベクターを宿主細胞中へ
導入する他の方法、たとえば、エレクトロポレーション
法、バイオリスティック(biolistic)融合、リポソーム
融合、核注入およびウイルスおよびファージ感染などを
用いることもできる。
【0030】発現ベクターが適当な宿主細胞中に導入さ
れたら、所望のポリペプチド(本発明の場合はtrkC
タンパク質の全部または一部からなるポリペプチド分
子)を大量に発現できる条件下で該宿主細胞を培養す
る。そのようなポリペプチドは、trkCタンパク質の
特性、たとえば発癌における役割などの研究において有
用である。そのようなポリペプチドはまた、抗癌剤とし
て使用できる薬剤の同定に使用することもできる。たと
えば、trkCタンパク質に結合するかまたは該タンパ
ク質の機能を抑制し得る化合物は、有効な癌の化学療法
剤である。
【0031】さらに、trkCタンパク質は、神経栄養
性因子、たとえばニューロトロフィン−3(NT−3)の
アゴニストおよびアンタゴニストを検出するのに用いる
ことができる。trkCタンパク質はNT−3の主要な
レセプターであり、NT−3はtrkCタンパク質のリ
ン酸化を誘発し、trkCタンパク質はNT−3のマイ
トジェン活性を媒介する。
【0032】trkCタンパク質の全部または一部をコ
ードするDNA配列を有する発現ベクターを含む宿主細
胞は、つぎの4つの一般法の1または2以上により同定
することができる;(a)DNA−DNAハイブリダイゼ
ーション、(b)マーカー遺伝子機能の存在または不存
在、(c)宿主細胞中でのtrkCタンパク質mRNA転
写物の産生により測定される転写レベルの評価、および
(d)遺伝子産物の免疫学的検出。第一の方法において
は、trkCタンパク質の全部または一部をコードする
DNA配列の存在を該DNA配列に相補的なプローブを
用いたDNA−DNAまたはRNA−DNAハイブリダ
イゼーションにより検出することができる。
【0033】第二の方法においては、ある種のマーカー
遺伝子機能(たとえば、チミジンキナーゼ活性、抗生物
質に対する耐性など)の存在または不存在に基づいて、
組換え発現ベクター宿主系を同定および選択することが
できる。マーカー遺伝子は、trkCタンパク質をコー
ドする配列の制御に用いたのと同じかまたは異なるプロ
モーターの制御下、trkCタンパク質の全部または一
部をコードするDNA配列と同じプラスミド中に入れる
ことができる。誘発または選択に応じたマーカー遺伝子
の発現は、trkCタンパク質の全部または一部をコー
ドするDNA配列の発現を示す。
【0034】第三の方法においては、trkCタンパク
質のmRNA転写物の産生をハイブリダイゼーションア
ッセイにより評価することができる。たとえば、ポリア
デニル化RNAを単離し、該RNA配列に相補的なプロ
ーブを用いたノーザンブロッティングまたはヌクレアー
ゼ保護アッセイにより分析することができる。別法とし
て、宿主細胞の全核酸を抽出し、上記プローブに対する
ハイブリダイゼーションについてアッセイすることもで
きる。第四の方法では、trkCタンパク質の全部また
は一部の発現を免疫学的に、たとえばウエスタンブロッ
ティングにより評価することができる。
【0035】本発明の発現ベクター、プラスミドまたは
DNA分子のDNA配列は、当該技術分野で公知の種々
の方法により決定することができる。たとえば、サンガ
ー(Sanger)らのProc.Natl.Acad.Sci.USA74、5463
〜5467(1977)に記載されているチェインターミ
ネーター法、またはProc.Natl.Acad.Sci.USA74、56
0〜564(1977)に記載されているマクサム−ギル
バート法を用いることができる。
【0036】もちろん、発現ベクターおよびDNA制御
配列のすべてが本発明のDNA配列を同じように首尾よ
く発現するように機能するのではないことは理解する必
要がある。同様に、すべての宿主細胞が同じ発現系に対
して同じように首尾よく機能するわけではない。しかし
ながら、当業者であれば、不当な実験をすることなく、
また本発明の範囲から逸脱することなく、本明細書の手
引きに従い、発現ベクター、DNA制御配列および宿主
細胞を選択することができるであろう。
【0037】本発明はまた、trkCタンパク質の全部
または一部をコードする核酸配列または関連する核酸配
列の検出法であって、該核酸配列の少なくとも一部に特
異的に結合する検出可能なマーカーに該核酸配列を接触
させ、ついで結合したマーカーを検出することを特徴と
する方法に関する。結合マーカーの存在は、目的核酸配
列の存在を示す。該核酸配列は、実質的に図2〜図5
(配列番号1)に示すヌクレオチド配列の全部または一部
を有するDNA配列であるのが好ましい。また、該DN
A配列がゲノムDNA配列である方法も好ましい。該D
NA配列を含有するDNA試料は、当該技術分野でよく
知られた種々のDNA単離法を用いて単離することがで
きる。たとえば、ゲノムDNA試料を組織から単離する
には、DNAを単離しようとする組織を迅速に凍結乾燥
し、この組織を破砕して容易に消化できる組織片とし、
この破砕した組織をプロテイナーゼKおよびドデシル硫
酸ナトリウムの溶液中に入れ、ついで得られた溶液を細
胞性タンパク質の大部分が分解されるまでインキュベー
トすればよい。ついで、得られた消化物をフェノール/
クロロホルム/イソアミルアルコールで連続的に抽出
し、エタノール沈澱により回収し、乾燥させ、緩衝液中
に再懸濁する。
【0038】核酸配列がRNA配列である方法もまた好
ましい。該RNA配列はmRNA配列であるのが好まし
い。同様に好ましいのは、該RNA配列が組織試料の細
胞中に存在するRNA配列である方法である。該RNA
配列を含有するRNA試料は、当該技術分野でよく知ら
れた種々のRNA単離法を用いて単離することができ
る。たとえば、RNA試料を培養細胞から単離するに
は、まず培地を含まない細胞を洗浄し、ついで4Mグア
ニジウム溶液中に入れることにより細胞を溶解する。こ
の溶解液を20ゲージの針に通すことにより、得られた
溶液の粘度を下げる。ついで、CsCl2段階勾配によ
りRNAをペレット化し、該勾配から上澄み液を注意深
く取り、ペレット中に存在するRNAを混入DNAおよ
びタンパク質から完全に分離させる。
【0039】trkCタンパク質の全部または一部をコ
ードする核酸配列または関連核酸配列を検出するのに有
用な検出可能なマーカーは、trkCタンパク質の全部
または一部をコードするDNA配列の少なくとも一部に
相補的なヌクレオチド配列を有する標識DNA配列(標
識cDNA配列を含む)である。検出可能なマーカーは
また、trkCタンパク質の全部または一部をコードす
るDNA配列の少なくとも一部に相補的なヌクレオチド
配列を有する標識したセンスまたはアンチセンスRNA
配列であってもよい。本発明の検出可能なマーカーは、
一般に用いられている32Pや35Sなどの放射性標識で標
識することができるが、ビオチンや水銀などの他の標識
を用いることもできる。検出可能なマーカーを標識する
ため、当業者によく知られた種々の方法を用いることが
できる。たとえば、ランダムプライマー法を用い、32
または35SでDNA配列およびRNA配列を標識するこ
とができる。
【0040】適当な検出可能なマーカーが得られたら、
当業者によく知られた種々の方法を用い、該検出可能な
マーカーを目的試料と接触させることができる。たとえ
ば、当該技術分野で公知の標準法を用い、DNA−DN
A、RNA−RNAおよびDNA−RNAハイブリダイ
ゼーションを行うことができる。ゲノムDNA中のtr
kCタンパク質の全部または一部をコードするDNA配
列を検出するための典型的なDNA−DNAハイブリダ
イゼーション法においては、まずゲノムDNAを公知方
法により単離し、ついで1または2以上の制限酵素で消
化する。得られたDNAフラグメントをアガロースゲル
上で分離し、その場で変性させる。プレハイブリダイゼ
ーションを行って非特異的なハイブリダイゼーションを
減らした後、固定化したDNAフラグメントに放射性標
識した核酸プローブをハイブリダイズさせる。ついでフ
ィルターを洗浄して結合していないまたは弱く結合した
プローブを除去し、ついでオートラジオグラフにかけて
プローブとハイブリダイズしたDNAフラグメントを同
定する。
【0041】結合した検出可能なマーカーの存在は、当
業者によく知られた種々の方法により検出することがで
きる。たとえば、検出可能なマーカーが放射性標識され
ている場合は、オートラジオグラフィーを用いることが
できる。使用した標識に応じて分光測光法を用いること
もできる。trkCタンパク質の全部または一部をコー
ドする核酸配列に関連する核酸配列も本明細書に記載し
た方法により検出することができることも理解すべきで
ある。たとえば、trkCタンパク質の保存された領域
に基づいたDNAプローブを用いて、該関連するDNA
配列(たとえば、他の生物からのtrkCタンパク質を
コードするDNA配列など)を検出および単離すること
ができる。そのような方法もすべて本発明の範囲に含ま
れる。
【0042】本明細書において「関連(する)」とは、tr
kCタンパク質のヌクレオチド配列に基づいたオリゴヌ
クレオチドプローブにハイブリダイズすることができる
核酸配列を意味する。本発明はさらに、trkCタンパ
ク質の全部または一部からなるポリペプチド分子に関
し、該ポリペプチド分子は実質的に図2〜図5(配列番
号2)に示すアミノ酸配列の全部または一部を有するの
が好ましい。
【0043】本発明のポリペプチドは、合成手段によ
り、すなわち当業者に公知の方法により、その成分アミ
ノ酸からポリペプチドを化学合成することにより得るこ
とができる。たとえば、ヒュートン(Houghton)らのPro
c.Natl.Acad.Sci.82、5135(1985)に記載され
た固相法を用いることができる。本発明のポリペプチド
は、trkCタンパク質の全部または一部をコードする
DNA配列を発現する原核または真核宿主細胞中での産
生により、またはtrkCタンパク質の全部または一部
をコードするDNA配列によりコードされるmRNAの
インビトロ翻訳により得るのが好ましい。たとえば、実
質的に図2〜図5(配列番号1)に示すDNA配列を上記
PCR法により合成し、適当な発現ベクター中に挿入
し、該ベクターを適当な宿主細胞に形質転換させる。つ
いで、得られた組換え宿主細胞を培養してtrkCタン
パク質を産生させる。これら方法によるポリペプチドの
製造技術は当該技術分野で公知であり、本明細書に記載
してある。
【0044】ついで、このようにして産生されたポリペ
プチドを単離し、種々のタンパク質精製法を用いてある
程度まで精製する。たとえば、イオン交換クロマトグラ
フィー、ゲル濾過クロマトグラフィーおよびイムノアフ
ィニティークロマトグラフィーなどのクロマトグラフィ
ー法を用いることができる。本発明のポリペプチドは、
広範囲に使用することができる。たとえば、公知方法に
従い、該ポリペプチドに結合することができるポリクロ
ーナル抗体またはモノクローナル抗体を調製するのに用
いることができる。これら抗体は、逆に、イムノアッセ
イ法、たとえばラジオイムノアッセイ法やエンザイムイ
ムノアッセイ法を用い、試料(たとえば細胞試料)中に存
在する本発明のポリペプチドを検出するのに用いること
ができる。これら抗体はまた、本発明のポリペプチドを
精製し、または種々の採取源から単離するためのアフィ
ニティークロマトグラフィーに用いることができる。
【0045】本発明のポリペプチドは、決定されたDN
Aおよびそれから導かれたアミノ酸シークエンシングに
より定められる。遺伝暗号の縮退により、図2〜図5
(配列番号2)に示すアミノ酸配列と同じ配列をコードす
る他のDNA配列も、本発明のポリペプチドを製造する
のに用いることができる。さらに、これらDNA配列お
よびアミノ酸配列における対立遺伝子変化(allelic var
iations)も存在するし、また当該技術分野で公知の方法
を用いて意図的に導入することができることも理解され
るであろう。これら変化は、全配列中の1または2以上
のアミノ酸の相違、または該配列中の1または2以上の
アミノ酸の欠失、置換、挿入、逆位または付加により示
される。
【0046】そのようなアミノ酸の置換は、たとえば、
関与する残基の極性、電荷、溶解性、疎水性、親水性お
よび/または両親媒性の類似性に基づいて行われる。た
とえば、負に荷電したアミノ酸にはアスパラギン酸およ
びグルタミン酸が含まれ;正に荷電したアミノ酸にはリ
ジンおよびアルギニンが含まれ;類似の親水性値を有す
る非荷電の極性頭部基または非極性頭部基を有するアミ
ノ酸には以下のものが含まれる;ロイシン、イソロイシ
ン、バリン;グリシン、アラニン;アスパラギン、グル
タミン;セリン、スレオニン;フェニルアラニン、チロ
シン。他の態様としては、上記ポリペプチドの塩および
エステル、並びに上記ポリペプチドの前駆体、たとえば
メチオニン、N−ホルミルメチオニンおよびリーダー配
列などのN−末端置換基を有する前駆体が挙げられる。
これらすべての態様は本発明の範囲に含まれる。
【0047】
【実施例】つぎに本発明を実施例に基づいてさらに詳し
く説明するが、本発明はこれらに限られるものではな
い。実施例1 I.実験手順: A.cDNAクローンの単離 成体雄ブタ脳から調製したλgt10 cDNAライブ
ラリー(1.5×106ファージ)[クローンテック・ラボ
ラトリーズ(Clontech Laboratories,Inc.)]を、大腸菌
C600Hf1の芝(lawn)上にプレーティングした。フ
ァージをニトロセルロースフィルター上に吸着させ、溶
解した。それらDNAを、pDM17(ATCC 410
55)の1.2kb BalI−EcoRI DNA断片に
由来するニックトランスレーションした32P−標識プロ
ーブと緩やかな条件下(5×SSC、40%ホルムアミ
ド、1×デンハルト溶液および10%硫酸デキストラン
中、42℃で48時間)でハイブリダイズさせた。
【0048】この挿入物には、trkの全チロシンプロ
テインキナーゼ触媒ドメインが含まれていた[マーチン
−ザンカ(Martin−Zanca,D.)ら、Mol.Cell.Biol.、2
4〜33(1989)]。フィルターを2×SSC、0.1
%SDS中、室温にて3回、0.1×SSC、0.1%S
DS中、42℃にて1回洗浄し、−70℃にて増感スク
リーンに3日間暴露した。ついで、これらフィルターを
2.5mMトリス(pH8.0)、0.1mM EDTA、
0.025%ピロリン酸ナトリウムおよび0.001%デ
ンハルト溶液中、70℃で3時間洗浄した。
【0049】上記ライブラリーを、厳格な条件下、pF
RK46、すなわち3'側の非翻訳領域を欠く全長マウ
スtrkB cDNA[クライン(Klein,R.)ら、EMBO Jou
rnal、3701〜3709(1989)参照]か、また
はpDM17のいずれかに由来するニックトランスレー
ションした32P−標識プローブで再スクリーニングし
た。これらプローブのいずれかとの強いハイブリダイゼ
ーションシグナルを示したファージは廃棄した。弱いハ
イブリダイゼーションを示したファージを取り、上記マ
ニアチスらの文献に記載の方法に従ってプラーク精製し
た。得られた挿入物をpBluescript[ストラタジーン(Str
atagene)]中にサブクローニングした。最長のcDNA
挿入物を有するプラスミドをpFL7とした。
【0050】リガンド結合領域と完全な経膜ドメインお
よびチロシンキナーゼ触媒ドメインとを含有する部分c
DNAクローンであるpFL7の5'末端に対応しPC
R法によって調製したニックトランスレーションした32
P−標識プローブ(300bp)で上記ライブラリーを再
スクリーニングすることにより、5'trkC配列を含
有するcDNAクローンを単離した。このプローブは、
ブタtrkC産物の細胞外ドメインのカルボキシル末端
および全経膜ドメインをコードする配列(図2〜図5に
おけるヌクレオチド1086〜1600)に対応する。
この場合は、ハイブリダイゼーションは厳格な条件下
(5×SSC、50%ホルムアミド、1×デンハルト溶
液および10%硫酸デキストラン中、42℃にて48時
間)で行った。陽性クローンを上記(マーチン−ザンカら
の上記文献)のようにしてプラーク精製した。その2.2
kb EcoRI挿入物をpBluescript(ストラタジーン)
中にサブクローニングしてpFL15を得た。
【0051】成体マウス脳cDNAライブラリー[シト
リ(Citri M.)ら、Nature326、42〜47(198
7)]からマウスtrkC cDNAクローンを単離し
た。2×106のファージを大腸菌LE392の芝上に
プレーティングし、ニトロセルロースフィルター上に吸
着させ、緩やかな条件下(上記)でpFL7の315bp
SalI32P−標識DNA断片とハイブリダイズさせ
た。2.4kbのEcoRI挿入物(最長の挿入物)をpBl
uescript中にサブクローニングしてpFL16を得た。
pFL16の部分ヌクレオチド配列(配列の約80%;
最も5'側寄りのヌクレオチドは示していない)(配列番
号3)およびそれから導かれた部分アミノ酸配列(配列の
約80%;最もN末端寄りのアミノ酸は示していない)
(配列番号4)を下記に示す。プラスミドpFL16は、
ブダペスト条約の下、1991年7月3日にアメリカン
・タイプ・カルチャー・コレクション(ロックビル、メ
リーランド州)にATCC受託番号75045にて寄託
してある。
【0052】B.ヌクレオチドシークエンシング 唯一のNaeI部位を用い、pFL15のcDNA配列
の5'末端をpFL7のcDNA配列に連結してpFL
19を調製した。シークエンシングは、二本鎖プラスミ
ドDNA、合成オリゴヌクレオチドおよび修飾T7DN
Aポリメラーゼ(シークエナーゼ;USバイオケミカル
ズ)を用いたチェインターミネーター法により行った。
【0053】C.ノーザンブロッティング分析 RNA zol法[シンナ/バイオテックス(CINNA
/BIOTECX Lab.Int.,Inc)]を用い、B
alb/cマウスの成体組織から全細胞RNAを調製し
た。オリゴ(dT)−セルロースカラム[コラボラティブ
・リサーチ(Collaborative Research)]上でアフィニテ
ィークロマトグラフィーを行うことにより、ポリ(A)−
含有フラクションを単離した。4μgのポリ(A)RNA
を1.2%アガロース−ホルムアルデヒドゲル上で電気
泳動にかけ、ニトロセルロースフィルターに移し、マウ
スtrkCの外部ドメインの一部に対応するpFL16
の570bp 32P−標識AccIフラグメントと厳格
な条件下(5×SSC、50%ホルムアミド、1×デン
ハルト溶液および10%硫酸デキストラン中、42℃に
て48時間)でハイブリダイズさせた。ハイブリダイズ
したフィルターを2×SSC、0.1%SDS中、室温
で15分間(3回)、ついで0.1×SSC、0.1%SD
S中、60℃で30分間(1回)洗浄し、乾燥させ、暴露
した。
【0054】D.インシチュハイブリダイゼーション 文献記載の方法[ホーガン(Hogan,B.L.M.)ら、マニピュ
レーティング・ザ・マウス・エンブリオ(Manipulating
the Mouse Embryo)、コールド・スプリング・ハーバー
・ラボラトリー、コールドスプリングハーバー、ニュー
ヨーク(1986)]に従ってインシチュハイブリダイゼ
ーションを行った。pFL16の570bp AccI
断片をpGEM−3Zf(+)[プロメガ(Promega)]中に
サブクローニングしてpFL25を調製した。このAc
cI挿入物は、マウスtrkCの細胞外ドメインの一部
に対応する。
【0055】35S−標識一本鎖アンチセンスcRNAプ
ローブを合成するため、pFL25をSacIで消化し
て直線状にし、35S−標識UTP(>1000Ci/ミ
リモル、デュポン)の存在下、SP6 RNAポリメラー
ゼ(プロメガ)を用いてインビトロ転写を行った。6〜8
週の成体マウス脳の矢状縫合切片(厚さ5μm)をスーパ
ーフロストプラスガラススライド(superfrost plus gla
ss slides)[フィッシャー(Fisher)]上に積載した。厳格
な条件下(50%ホルムアミド、1×デンハルト溶液、
10%硫酸デキストラン、0.5mg/ml酵母RNA
および10mMDTT中、52℃にて16時間)、アン
チセンスRNAプローブ(6×105cpm)とハイブリ
ダイゼーションを行った。上記スライドを5×SSC、
10mMDTT中、52℃で30分間、ついで50%ホ
ルムアミド、2×SSCおよび10mM DTTを含有
する溶液中、65℃にて20分間洗浄した。
【0056】ついで、上記切片をRNAse A(20μ
g/ml)およびRNAse T1(2μg/ml)ととも
に37℃で1時間、ついで50%ホルムアミド、2×S
SCおよび10mM DTTとともに37℃で3時間イ
ンキュベートした。最後にスライドを2×SSC中、3
7℃で15分間、ついで0.1×SSC中、37℃で1
5分間洗浄した。脱水した後、スライドを空気乾燥し、
NTB−2ニュークリアトラックエマルジョン(nuclear
track emulsion)(コダック)中に浸漬し、4℃で7日間
暴露した。コントロールの切片は、SphIで直線状に
したpFL25DNAのT7−プロモーターから転写し
35S−標識一本鎖センスcRNAプローブとハイブリ
ダイズした。
【0057】E.発現プラスミドおよび遺伝子移動アッ
セイ pFL19の2,538bp cDNA挿入物を哺乳動物
発現ベクターpMEX−neo[マーチン−ザンカら、M
ol.Cell.Biol.、24〜33(1989)]中にサブクロ
ーニングした。得られたプラスミドpFL20をAat
II消化により直線状にした。この直線状にしたプラス
ミドでマウスNIH3T3細胞をリン酸カルシウム沈降
法によりトランスフェクションしてG418耐性R4−
31細胞を得た[グラハム(Graham,F.L.)およびファン・
デア・エッブ(van der Eb,A.J.)、Virology52、45
6〜467(1973)]。
【0058】F.免疫沈降分析 ツニカマイシン(10μg/ml)の不在下または存在
下、細胞を35S−標識メチオニン(50μCi/ml、
1,200Ci/ミリモル)で3時間代謝的に標識した。
導き出されたtrk癌原遺伝子配列の14カルボキシル
末端残基に対応する合成ペプチドに対してウサギで産生
させたポリクローナル抗体(43−4)を用い、すでに記
載された方法[マーチン−ザンカら、Mol.Cell.Biol.
、24〜33(1889)]により免疫沈降分析を行っ
た。
【0059】II.結果 A.trk cDNAクローンのモレキュラークローニ
ング 緩やかなハイブリダイゼーション条件下、ヒトtrk癌
原遺伝子の触媒領域に対応するプローブを用いて成体ブ
タ脳cDNAライブラリーをスクリーニングした。10
0以上の組換えファージが陽性であることがわかった。
目的としないtrkまたはtrkB cDNA挿入物を
有するファージを同定するため、上記ファージを厳格な
条件下、trkまたはtrkB配列のいずれかに特異的
なプローブと再ハイブリダイズさせた(上記実験手順参
照)。これらプローブと弱くしかハイブリダイズしなか
った6つの陽性クローンを単離し、そのEcoRI挿入
物をpBluescript中にサブクローニングし、さらに特徴
付けを行った。
【0060】これら6つのクローンは、1.9kbpか
ら2.3kbpのサイズの重複する挿入物を含有してい
た。これらクローンを部分的なヌクレオチド配列分析に
供した後に制限酵素分析したところ、これらはtrkお
よびtrkB癌原遺伝子と高い相関を有しているもの
の、それらとは区別されることがわかった。これらtr
k関連cDNAクローンに由来する320bp Sca
I−ApaI DNA断片にブタ、マウスおよびヒト由
来のゲノムDNAとハイブリダイズさせたところ、ヒト
trkおよびマウスtrkB cDNAクローンの対応
領域に由来するプローブとはハイブリダイズしない一連
のDNA断片が同定された(データは示していない)。こ
れら結果は、上記cDNAクローンがブタtrkまたは
trkB遺伝子座には由来しないことを示している。そ
れゆえ、これらは新規なtrk関連遺伝子(trkCと
称する)によりコードされる転写物に対応するに違いな
い。
【0061】B.trkCのヌクレオチド配列およびそ
れから導かれるアミノ酸配列 上記クローンは、いずれも推定trkC遺伝子産物のア
ミノ末端をコードする配列を含有してはいなかった。最
長cDNAクローンであるpFL7の5'末端に由来す
る小さいプローブを用い、ブタcDNAライブラリーを
再スクリーニングした。2.2kbp EcoRI挿入物
を有する1つの組換えファージのみが同定された。共通
するNaeI部位(図2〜図5参照)を用い、この挿入物
(最も5'末端の方へ延びている)をpFL7挿入物と連
結して単一のcDNAクローン(pFL19)を調製し
た。pFL19のヌクレオチド配列を図2〜図5(配列
番号1)に示す。
【0062】ヌクレオチド1〜31は5'非コード配列
を示すと思われる。ヌクレオチド32〜2506は、8
25アミノ酸長のポリペプチドをコードする長い(24
75bp)読み取り枠に対応する。予測されるATG開
始コドンは、哺乳動物の開始コドンの規範的配列とよく
適合する。さらに、このATGのすぐ上流にインフレー
ムの終止コドン(TAA、ヌクレオチド11〜13)が存
在することは、このコドンがtrkC遺伝子産物の翻訳
開始点であるという考えを支持している。最後の20ヌ
クレオチドには、終止コドンTAGおよび17の3'非
翻訳残基が含まれている。この領域が小さいことおよび
ポリアデニレーションシグナルが存在しないことは、p
FL19がtrkC転写物の3'非翻訳領域の有意部分
を欠失していることを示唆している。
【0063】FL19によってコードされるブタtrk
Cタンパク質の導かれたアミノ酸配列を図2〜図5(配
列番号2)に示す。この825アミノ酸長のポリペプチ
ド(93,129ダルトン)は、シグナルペプチド(アミノ
酸1〜31)、14の共通N−グリコシル化部位(Asn
−X−Ser/Thr)を含む長い細胞外領域(アミノ酸
32〜429)、単一の経膜ドメイン(アミノ酸430〜
453)、およびキナーゼ触媒ドメイン(アミノ酸544
〜810)を含む細胞質領域(アミノ酸454〜82
5)、を含む細胞表面チロシンプロテインキナーゼの特
性を示す。ATP結合モチーフのコンセンサス(consens
us)配列は、アミノ酸545〜572に位置する[ハンク
ス(Hanks,S.K.)ら、Science241、42〜52(198
8)参照]。trkC産物は、trk遺伝子ファミリーの
他の2つの成員と同様、15のアミノ酸残基からなる非
常に短いカルボキシル末端領域(カルボキシル末端にお
ける保存された遊離のチロシン残基を含む)を有する。
【0064】ヒトtrkおよびマウスtrkB癌原遺伝
子産物に対するtrkCタンパク質の全体のホモロジー
は、それぞれ67%および68%である。その外部ドメ
インは、54%(trkCおよびtrk)および53%
(trkCおよびtrkB)の類似性を示す。これら哺乳
動物trk遺伝子ファミリーの3つの成員の導かれたア
ミノ酸配列を並列すると、trkC産物の12の外部シ
ステイン残基がtrkBタンパク質の対応領域中に存在
し、また10の残基はtrk遺伝子産物中にも存在する
ことが示される。さらに、この並列により、高度に保存
された領域(trkC配列の残基368〜378)が存在
し、この領域はこれら3つのキナーゼ間で82%の同一
性を示すことがわかった。興味深いことに、この配列
は、trk5癌遺伝子の悪性化に関与する51アミノ酸
長の欠失の一部である[オスカム(Oskam,R.)ら、Proc.Na
tl.Acad.Sci.USA85、8913〜8917(198
8);クーリエ(Coulier,F.)ら、Mol.Cell.Biol.10
4202〜4210(1990)]。それゆえ、この領域
は、内部キナーゼドメインの触媒活性化を制御する上で
重要な役割を果たしているのかもしれない。
【0065】最後に、267アミノ酸長の触媒ドメイン
は、ヒトtrkと76%同一であり(87%の相同性)、
マウスtrkBキナーゼと83%同一である(88%の
相同性)。trkCタンパク質の配列を細胞表面チロシ
ンプロテインキナーゼファミリーの他の成員と比較した
場合、はるかに低い相同性が得られた。trkC産物の
触媒キナーゼ領域は、trkおよびtrkBチロシンキ
ナーゼの特性を示す[クラインら、EMBO J.、3701
〜3709(1989);マーチン−ザンカら、Mol.Cel
l.Biol.、24〜33(1989)]。
【0066】これらキナーゼ領域には、(i)他のすべて
のチロシンプロテインキナーゼ中に存在する(K562
ヒト白血病細胞で発現される推定チロシンキナーゼJT
K10を除く)アラニンの代わりにスレオニン残基(アミ
ノ酸682)を含み[パータネン(Partanen,J.)ら、Proc.
Natl.Acad.Sci.USA87、8913〜8917(199
0)];(ii)推定自己リン酸化(autophosphorylation)
部位(Tyr709)の次に第二のチロシン残基が続いてお
り(インシュリンレセプター亜群にも認められる特性);
(iii)簡単なアミノ酸ギャップ(残基576と577
の間)が存在し;(iv)757位にトリプトファンが存
在し;および(v)801位においてヘリックス破壊プロ
リンが欠如している[ハンクスら、Science241、42
〜52(1988)]。最後に、trkCタンパク質は、
trkおよびtrkBキナーゼと同様、特徴的な短いカ
ルボキシル末端尾部を有している。この15アミノ酸長
の領域には、trkおよびtrkBキナーゼと同一の8
残基(12の相同)[カルボキシル末端から5番目の残基
に位置するチロシン(Tyr820)を含む]が含まれてい
る。
【0067】C.trkC産物gp145trkCの同定 つぎに、pFL19を哺乳動物発現ベクターpMEXn
eo[マーチン−ザンカら、Mol.Cell.Biol.、24〜
33(1989)]中にサブクローニングし、得られたプ
ラスミドpFL20を用いてNIH3T3細胞をトラン
スフェクションした。幾つかのG418耐性コロニー単
離し、trkタンパク質の14カルボキシル末端残基に
対応するペプチドに対して産生させたウサギポリクロー
ナル抗体を用いた免疫沈降分析に供した[マーチン−ザ
ンカら、Mol.Cell.Biol.、24〜33(1989)]。
図6に示すように、この抗血清は、成熟trkC産物
(gp145trkCと称する)に対応すると思われる見掛け
の分子量が145,000の主要なタンパク質を認識し
た。
【0068】この分子はツニカマイシンの存在下では分
子量90,000のタンパク質に対応する一層速い電気
泳動移動度を示すので、糖タンパク質であると思われ
る。この値は、trkC産物のポリペプチド骨格に対し
て予想されるサイズ(93kDaからシグナルペプチド
を除いたもの)とよく一致する。gp145trkCに加え
て、約120,000ダルトンの小さい糖タンパク質も
同定されたが、これは部分的に糖付加された前駆体を示
していると思われる。予想されたように、gp145
trkCはチロシン残基に対して特異的なインビトロキナー
ゼ活性を示した。
【0069】D.trkCは中枢神経系で発現される 上記結果は、構造的並びに機能的な類似性により、tr
kCがtrkおよびtrkBとともにキナーゼレセプタ
ーの亜群を構成していることを示している。この可能性
を調べるため、一連の成体マウス組織をノーザンブロッ
ティング分析に供した。trk遺伝子ファミリーの他の
成員とのクロスハイブリダイゼーションが起こるのを防
ぐため、マウス脳cDNAライブラリーをスクリーニン
グすることにより2.4kbpのマウスtrkC cDN
Aクローンを単離した。図7および図8に示すように、
脳中で6.1kbおよび4.7kbのtrkC転写物を容
易に検出することができる。しかしながら、卵巣を例外
として、他の組織では検出可能なレベルのtrkC転写
物は認められなかった。これらの結果は、trkC遺伝
子産物が神経性レセプターとして機能するのかもしれな
いことを示唆している。
【0070】trkC遺伝子が発現される脳の構造を決
定するため、成体マウス脳の中央矢状縫合切片のプレ(p
reliminary)インシチュハイブリダイゼーション分析を
行った。図9に示すように、細胞外領域に由来するマウ
スtrkCプローブは、海馬の錐体細胞層、歯状回およ
び大脳皮質の外層を含む識別される構造にハイブリダイ
ズした。さらに、trkC転写物は、顆粒細胞層などの
小脳の特定の領域でも同定された。白質またはプルキニ
ェ細胞層中には検出可能なtrkC発現を観察すること
はできなかった。以上の結果は、trkCが中枢神経系
の定められた構造中で主として発現されることを示して
いる。
【0071】実施例2 I.材料および方法 A.trkC K2およびK3 cDNAクローンの単離 上記およびランバルレ(Lamballe,F.)らのCell66、9
67〜979(1991)の記載に従い、ヒトtrk癌原
遺伝子の全触媒ドメインに対応するプローブ(pDM1
7の1.2Kb BalI−EcoRI断片)を用いて緩
やかな条件下でハイブリダイズさせることにより、成体
雄ブタ脳cDNAライブラリー(クロンテック・ラボラ
トリーズ)から42ヌクレオチド挿入物を有するtrk
C cDNAクローンを単離した。弱いハイブリダイゼ
ーションを示した6つのファージをプラーク精製し、そ
のEcoRI挿入物を上記マニアチスらの文献記載に従
い、pBluescript(ストラタジーン)中にサブクローニン
グした。このEcoRI挿入物を、チェインターミネー
ター法により、二本鎖プラスミドDNA、合成オリゴヌ
クレオチドおよび修飾T7 DNAポリメラーゼ(シーク
エナーゼ、USB)を用いて配列決定した。
【0072】上記6つのcDNAの配列を比較すること
により、本発明者らは、そのうちの1つがチロシンキナ
ーゼドメインをコードする領域中に挿入された42ヌク
レオチドからなる別の配列を含んでいることを発見し
た。このcDNA(2.3KbEcoRI断片)をpBluesc
ript中にサブクローニングし、pFL6とした。pFL
6およびpFL19[当初のtrkCレセプター(本実施
例では「trkC K1」と称する)を含有するプラスミ
ド;上記実施例1およびランバルレらのCell66、96
7〜979(1991)参照]のcDNAをそれらの唯一
のSalI部位を用いて組み立てることにより、pFL
22を調製した。
【0073】trkC K3と称するタンパク質をコー
ドする他の新たな配列が、複製連鎖反応(PCR)による
増幅によって成体マウス脳のcDNAから得られた。
5'アンプリマーは、オリゴヌクレオチド: 5'−CACGAGGAATTCCCTGGTTGGA
GCCAATCTACTAGTG−3' (作出されたEcoRI部位(下線)を含む)であり、3'
アンプリマーは、オリゴヌクレオチド: 5'−CGAAGCTCTAGACATCACTCTC
TGTGGTGAACTTCCGGTAC−3' (作出されたXbaI部位(下線)を含む)であった。
【0074】これらアンプリマーは、上記42ヌクレオ
チドの挿入物の近接領域をコードする配列に対応する。
得られたPCR生成物をEcoRIおよびXbaIで消
化し、ついでpBluescript中にクローニングした。3つ
のEcoRI/XbaI断片をクローニングした(15
9bp、201bpおよび234bp)。チェインター
ミネーター法並びにpBluescriptのT3およびT7プラ
イマーを用いてヌクレオチド配列分析を行った。pBlues
cript中にサブクローニングした234bp EcoRI
/XbaI断片をpFL28と称することとし、ブタt
rkCのマウス相同体のチロシンキナーゼドメインの断
片であることがわかったが、上記pFL22の42ヌク
レオチド挿入物と同じ位置に75ヌクレオチドからなる
別の配列も挿入されていた。このpFL28の234b
p DNA断片を制限酵素AccIおよびFokIで消
化して143bpのDNA断片を得、ついで、これをt
rkC K1レセプターをコードするcDNA中に挿入
した。ついで、かくして組み立てたcDNAを哺乳動物
発現ベクターであるpMEXneo[マーチン−ザンカ
ら、Mol.Cell.Biol.、24〜33(1989)]中にサ
ブクローニングしてpFL32を得た。
【0075】B.trkC NC1およびNC2 cDN
Aクローンのクローニング 上記およびランバルレらのCell66、967〜979
(1991)の記載に従い、trkC K1レセプターを
コードするcDNAの5'末端に対応するプローブを用
いて成体ブタ脳cDNAライブラリーをスクリーニング
した。このプローブに対しては1つのクローンのみがハ
イブリダイゼーションを示した。このファージをプラー
ク精製した。2.2Kb EcoRI挿入物が同定され、
これをpBluescript中にサブクローニングしてpFL1
5を調製した。細胞外ドメインおよび経膜ドメインの
3'領域をコードする配列に対応する32P−標識315
bp SalI DNA断片を用い、マウス脳cDNAラ
イブラリー[シトリら、Nature326、42〜47(19
87)]をスクリーニングした。
【0076】6つの陽性ファージを取り出した。サイズ
が0.9Kbから2.5Kbの範囲のEcoRI挿入物を
pBluescript中にサブクローニングした。2.5KbのE
coRI挿入物を有するプラスミドの制限消化により、
このものは、trkCとして同定される他のクローンと
は異なるパターンを示すことがわかった。このプラスミ
ドをpFL18とした。pFL15およびpFL18の
ヌクレオチド配列の決定を、T3およびT7プライマ
ー、合成オリゴヌクレオチドおよび修飾T7 DNAポ
リメラーゼ(シークエナーゼ、USB)を用いたチェイン
ターミネーター法により行った。
【0077】C.発現プラスミドおよび細胞 グラハムよびファン・デア・エッブのVirology52、4
56〜467(1973)に記載のリン酸カルシウム沈降
法を用い、pFL20(trkC K1)、pFL23(t
rkC K2)およびpFL32(trkC K3)でトラ
ンスフェクションすることにより、NIH3T3由来細
胞株としてそれぞれG4−6−11、G4−8−11お
よびFL12−3−6を得た。発現プラスミドpFL2
0は、上記およびランバルレらのCell66、967〜9
79(1991)に記載されているように、trkC K
1 cDNAを哺乳動物発現ベクターであるpMEXn
eo中にサブクローニングすることにより調製した。p
FL23は、trkC K2レセプターをコードするp
MEXneo由来の発現プラスミドである。pFL23
を調製するため、pFL22の2568bp EcoR
I断片(完全長のtrkC K2 cDNAに対応する)を
哺乳動物発現ベクターであるpMEX−neo中にサブ
クローニングした[マーチン−ザンカら、Mol.Cell.Bio
l.、24〜33(1989)]。trkC K3レセプタ
ーをコードする発現プラスミドであるpFL32は上記
の通りである。
【0078】II.結果 A.複数のtrkCチロシンプロテインキナーゼレセプ
ター 本発明者らは、上記でtrk遺伝子ファミリーの新たな
構成成員を単離しtrkCと称したが、本実施例ではt
rkC K1と称する[上記およびランバルレのCell
、967〜979(1991)参照]。本遺伝子の研究
中に、本発明者らはまた第二のtrkC cDNA(pF
L6)を単離したが、このものには上記trkCをコー
ドする配列のコドン711と712に対応するヌクレオ
チド間(ブタtrkC遺伝子の全コード領域を包含する
2526bp cDNA挿入物を含有するプラスミドで
あるpFL19のヌクレオチド2164−2165間)
[上記およびランバルレらのCell66、967〜979
(1991)参照]に、チロシンキナーゼドメインをコー
ドする領域内に42ヌクレオチドの付加配列が挿入され
ていた。このpFL6 cDNAクローンの残りの配列
はpFL19と同一であることがわかった。
【0079】以上の観察結果は、触媒チロシンキナーゼ
ドメイン中に14の付加的アミノ酸残基を有する第二の
trkCレセプターが存在することを示唆している(図
10参照)。さらに詳細には、これら残基は、インシュ
リンレセプターサブファミリーに特徴的なYYRモチー
フに続いて、サブドメインVII[ハンクスら、Science
245、42〜52(1988)]の末端に位置してお
り、その際、第一のチロシンはSrcキナーゼの自己リ
ン酸化部位に対応すると考えられる。本発明者らは、こ
の推定trkCレセプターイソ形をtrkC K2と称
することにした。上記で特徴付けを行ったtrkCレセ
プターgp145trkC(上記およびランバルレらのCell
66、967〜979(1991)参照)は、以下、tr
kC K1と称することにする(図1〜図5参照)。
【0080】上記pFL6の42ヌクレオチド挿入物が
クローニングによる人工産物(artifact)である可能性を
排除するため、本発明者らは、該挿入領域の両側面に位
置するアンプリマーを用いた全成体マウス脳cDNAの
複製連鎖反応(PCR)による増幅を行った。また、コン
トロールとしてpFL19およびpFL6についても平
行してPCR増幅を行った。図10に示すように、増幅
したDNAには3つの区別されるDNA断片が含まれて
いた。これら断片のうち2つは、trkC K1(159
bp)およびtrkC K2(201bp)レセプターイソ
形をそれぞれコードするcDNAから増幅される配列に
対して期待されるサイズに対応していた。第三のPCR
生成物は、約240bpのDNA断片に対応する電気泳
動移動度を示したが、このことは他のコード配列を有す
る新たなtrkC cDNAが存在することを示唆して
いた(図10)。
【0081】これらPCR生成物の性質を調べるため、
これらをpBluescript中にサブクローニングし、代表的
なクローンについてヌクレオチド配列分析を行った。最
小のDNA断片に由来するクローンは、すべて上記tr
kC K1に対して期待される配列を示した[gp145
trkC;上記およびランバルレらのCell66、967〜9
79(1991)参照]。同様に、中位のサイズのDNA
断片からは、pFL6中に存在するのと同じ配列、すな
わち推定trkC K2レセプターイソ形をコードする
転写物に対応する配列を有するコロニーが得られた。
【0082】一層大きなPCR生成物からのクローンも
trkC遺伝子の同じ領域に由来する配列を有していた
が、pFL6の上記42ヌクレオチド挿入物と同じ位置
(pFL19のコドン710と711との間)に75ヌク
レオチドの挿入物が挿入されていた。これらの観察結果
から、第三のtrkCレセプターイソ形が存在すること
が示唆され、これをtrkC K3と称することとし
た。これら推定trkCチロシンキナーゼレセプターの
模式図を図10に示す。
【0083】上記の結果から、trkC K2をコード
するDNA配列は、下記DNA配列: CTCTTTAATCCATCTGGAAATGATT
TTTGTATATGGTGTGAG がヌクレオチド2164と2165との間に付加されて
いる他は図2〜図5に示す配列と同じであるのがわか
る。ブタtrkC K2のアミノ酸配列は、アミノ酸7
11と712との間に図10(B)に示す14のアミノ酸
が付加されている他は図2〜図5に示す配列と同じであ
る。マウスtrkC K2をコードする部分DNA配列
およびそれから導かれたアミノ酸配列は、それぞれ配列
番号3および4に示す。
【0084】マウスtrkC K3をコードする部分D
NA配列は、ヌクレオチド1801〜1842が下記D
NA配列: GAAGGGCCATGCCAGAAGGGCCCAT
TCAACGTGTCGTGGCAGCAGCAGAG
GCTAGCAGCGTCAGCAGCTTCCACA で置換されている他は配列番号3に示した配列と同じで
ある。マウスtrkCK3の部分アミノ酸配列は、アミ
ノ酸601〜614が図10(C)に示す25のアミノ
酸で置換されている他は配列番号4に示す配列と同じで
ある。マウスtrkC K1をコードする部分DNA配
列は、ヌクレオチド1801〜1842が欠失している
他は配列番号3に示す配列と同じである。マウスtrk
C K1の部分アミノ酸配列は、アミノ酸601〜61
4が欠失している他は配列番号4に示す配列と同じであ
る。
【0085】B.非触媒trkCレセプターイソ形 上記trkCレセプターの新規触媒イソ形に加えて、本
発明物らは、以前に記載されたgp95trkBタンパク質
[クラインら、Cell、61、647〜656(1990)]
と類似の推定非触媒trkCレセプターをコードする2
つのcDNAを同定した。pFL6を得たのと同じ成体
ブタ脳cDNAライブラリーをpFL19の5'末端に
対応するプローブでスクリーニングしたところ、チロシ
ンキナーゼ触媒ドメインをコードする配列を欠く新たな
2181bp長のcDNAクローン(pFL15)が得ら
れた。
【0086】pFL15のヌクレオチド1〜1480は
pFL19中に存在するヌクレオチドと同一である[ラ
ンバルレら、Cell66、967〜979(1991)]。
これらヌクレオチドは、細胞外ドメインおよび経膜ドメ
イン並びにtrkC K1レセプターの細胞質領域の最
初の30のアミノ酸をコードするヌクレオチドに対応す
る。しかしながら、pFL15とpFL19との相同性
は、ヌクレオチド1481までである。pFL15は、
インフレームの終止コドン(TAG)に続いて21の付加
的アミノ酸残基をコードし得る非関連ヌクレオチド配列
を示す(図10)。このcDNAクローンによってコード
される推定レセプターをtrkC NC1と称すること
にした(「NC」とは非触媒を意味する)。このtrkC
NC1の独特の21アミノ酸残基と3つのtrkキナー
ゼレセプターとの間には相同性は認められなかった。p
FL15の3'非翻訳領域(ヌクレオチド1546〜21
81)もまた、上記で特徴付けたtrkC cDNAクロ
ーンと関連性を有しないこともわかった(図10)。
【0087】成体マウス脳cDNAライブラリーを上記
ブタpFL19 cDNAクローンの5'領域に由来する
プローブでスクリーニングすることにより、推定第二非
触媒trkCレセプターイソ形(「trkC NC2」と称
する)をコードし得る幾つかのcDNAクローンが認め
られた。最長のcDNAクローン(pFL18)には2,
300bpのcDNA挿入物が含まれており、そのうち
ヌクレオチド1〜1066は、細胞外ドメインのカルボ
キシル末端側半分、経膜領域および細胞質ドメインの最
初の13のアミノ酸残基をコードするブタpFL19
cDNAクローンの配列(コドン112〜466に対応
するヌクレオチド)と広範囲の相同性を示した。しかし
ながら、上記ブタpFL15 cDNAクローンでも示
したように、マウスpFL18 cDNAクローンのヌ
クレオチド1077〜2300は、すべてのブタcDN
Aクローンと関連性を有していなかった。これら独特の
配列は、インフレームのTAA終止コドンに続く36ア
ミノ酸配列をコードしていた。これら36アミノ酸残基
は、上記trkCレセプターイソ形のいずれとも相同性
を示さない。これら非触媒trkCレセプター(すなわ
ちtrkC NC1およびtrkC NC2)の模式図を
図10に示す。
【0088】上記結果から、ブタtrkC NC1をコ
ードするDNA配列は図2〜図5に示すヌクレオチド1
〜1480からなるが、ヌクレオチド1481〜252
6の代わりに下記DNA配列: ATCAACCATGGCATCACCACACCCT
CATCACTGGACGCCGGGCCGGACAC
AGTGTCATTGGCATGA を有することがわかる。ブタtrkC NC1のアミノ
酸配列は、図2〜図5に示すアミノ酸1〜483からな
るが、アミノ酸484〜825の代わりに図10(E)に
示すアミノ酸を有する。
【0089】マウスtrkC NC2をコードする部分
DNA配列は、配列番号3に示すヌクレオチド1〜10
65からなるが、ヌクレオチド1066〜2376の代
わりに下記DNA配列: AAGGTGTTGTTTTTTCAGTCCCAAG
AGTTCCATGGTTTCCACCTATTGAT
CAAAAGATACTGTACCTCCATATGC
TCTCTGCGAAAGCCTTTGGTCACTG
GACCTTGGTAA を有する。マウスtrkC NC2の部分アミノ酸配列
は、配列番号4に示すアミノ酸1〜355からなるが、
アミノ酸356〜728の代わりに図10(D)に示すア
ミノ酸配列を有する。
【配列表】
【0090】配列番号:1 配列の長さ:2526 配列の型:核酸 鎖の数:二本鎖 トポロジー:直線状 配列の種類:cDNA ハイポセティカル配列:No 配列の特徴: (A)特徴を表す記号:CDS (B)存在位置:32....2506 配列:
【化1】
【化2】
【化3】
【化4】
【化5】
【化6】
【化7】
【化8】
【0091】配列番号:2 配列の長さ:825 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直線状 配列の種類:タンパク質 配列:
【化9】
【化10】
【化11】
【化12】
【化13】
【化14】
【0092】配列番号:3 配列の長さ:2376 配列の型:核酸 鎖の数:二本鎖 トポロジー:直線状 配列の種類:cDNA ハイポセティカル配列:No 配列の特徴: (A)特徴を表す記号:CDS (B)存在位置:1....2184 配列:
【化15】
【化16】
【化17】
【化18】
【化19】
【化20】
【化21】
【0093】配列番号:4 配列の長さ:728 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直線状 配列の種類:タンパク質 配列:
【化22】
【化23】
【化24】
【化25】
【化26】
【化27】
【図面の簡単な説明】
【図1】 pFL19の模式図。
【図2】 pFL19の2526bp挿入物のヌクレオ
チド配列およびそれから導かれたアミノ酸配列。
【図3】 pFL19の2526bp挿入物のヌクレオ
チド配列およびそれから導かれたアミノ酸配列。
【図4】 pFL19の2526bp挿入物のヌクレオ
チド配列およびそれから導かれたアミノ酸配列。
【図5】 pFL19の2526bp挿入物のヌクレオ
チド配列およびそれから導かれたアミノ酸配列。
【図6】 (A)発現プラスミドpFL20でトランス
フェクションしたNIH3T3細胞、(B)trk癌原遺
伝子産物を発現するNIH3T3細胞および(C)親NI
H3T3細胞の[35S]メチオニン標識細胞抽出物を、1
0μg/mlのツニカマイシンの不在下(−)または存在
下(+)で増殖させ、免疫前(P)に、またはtrk癌原遺
伝子産物の14カルボキシル末端アミノ酸に対応するペ
プチドに対して産生させた血清で免疫して(I)免疫沈降
分析に供した結果を示す電気泳動写真。
【図7】 一連の成体マウス組織中でのtrkC転写物
の検出を示す電気泳動写真。
【図8】 一連の成体マウス組織中でのtrkC転写物
の検出を示す電気泳動写真。
【図9】 成体マウス脳の中央矢状縫合切片におけるt
rkC発現を示す組織写真。
【図10】 (A)trkC K1、(B)trkC K2、
(C)trkC K3、(D)trkC NC1および(E)t
rkC NC2遺伝子を示す模式図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12N 15/85 C12P 21/02 C 8214−4B (72)発明者 ファビエンヌ・ランベール アメリカ合衆国ニュージャージー州ローレ ンスビル、フィールドクレスト・コート 2223番

Claims (29)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 trkCタンパク質の全部または一部を
    コードする核酸配列からなることを特徴とする、単離核
    酸分子。
  2. 【請求項2】 該核酸分子がDNA分子であり、該核酸
    配列がDNA配列である、請求項1に記載の核酸分子。
  3. 【請求項3】 該DNA配列が、実質的に図2〜図5
    (配列番号1)に示すヌクレオチド配列を有する、請求項
    2に記載のDNA分子。
  4. 【請求項4】 該DNA配列が、実質的に図2〜図5
    (配列番号1)に示すヌクレオチド配列の一部を有する、
    請求項2に記載のDNA分子。
  5. 【請求項5】 該DNA配列が、アメリカン・タイプ・
    カルチャー・コレクションに寄託してあるpFL16の
    2.4kb EcoRI挿入物のヌクレオチド配列を有す
    る、請求項2に記載のDNA分子。
  6. 【請求項6】 該DNA配列が、アメリカン・タイプ・
    カルチャー・コレクションに寄託してあるpFL16の
    2.4kb EcoRI挿入物のヌクレオチド配列の一部
    を有する、請求項2に記載のDNA分子。
  7. 【請求項7】 請求項3、4、5または6に記載のDN
    A配列に相補的なDNA配列を有するDNA分子。
  8. 【請求項8】 trkCタンパク質の全部または一部を
    コードするDNA配列を含む発現ベクター。
  9. 【請求項9】 trkCタンパク質の全部または一部を
    コードするDNA配列の複製および/または発現を指令
    することができ、該配列に機能的に連結した1または2
    以上の制御DNA配列を含む、請求項8に記載の発現ベ
    クター。
  10. 【請求項10】 trkCタンパク質の全部または一部
    をコードするDNA配列が、実質的に図2〜図5(配列
    番号1)に示すヌクレオチド配列を有する、請求項8に
    記載の発現ベクター。
  11. 【請求項11】 trkCタンパク質の全部または一部
    をコードするDNA配列が、実質的に図2〜図5(配列
    番号1)に示すヌクレオチド配列の一部を有する、請求
    項8に記載の発現ベクター。
  12. 【請求項12】 trkCタンパク質の全部または一部
    をコードするDNA配列が、アメリカン・タイプ・カル
    チャー・コレクションに寄託してあるpFL16の2.
    4kb EcoRI挿入物のヌクレオチド配列を有す
    る、請求項8に記載の発現ベクター。
  13. 【請求項13】 trkCタンパク質の全部または一部
    をコードするDNA配列が、アメリカン・タイプ・カル
    チャー・コレクションに寄託してあるpFL16の2.
    4kb EcoRI挿入物のヌクレオチド配列の一部を
    有する、請求項8に記載の発現ベクター。
  14. 【請求項14】 pFL19である、請求項8に記載の
    発現ベクター。
  15. 【請求項15】 pFL16である、請求項8に記載の
    発現ベクター。
  16. 【請求項16】 請求項14または15に記載の発現ベ
    クターの同定特性を有する発現ベクター。
  17. 【請求項17】 請求項8に記載の発現ベクターを有す
    る原核または真核宿主細胞。
  18. 【請求項18】 請求項9、10、11、12、13、
    14、15または16に記載の発現ベクターを有する原
    核または真核宿主細胞。
  19. 【請求項19】 trkCタンパク質の全部または一部
    からなるポリペプチド分子の製造方法であって、請求項
    8に記載の宿主細胞を該ポリペプチド分子の発現が可能
    な条件下で培養することを特徴とする方法。
  20. 【請求項20】 trkCタンパク質の全部または一部
    をコードする核酸配列または関連核酸配列の検出方法で
    あって、該核酸配列を該核酸配列の少なくとも一部に特
    異的に結合する検出可能なマーカーと接触させ、ついで
    結合したマーカーを検出して該結合したマーカーの存在
    により該核酸配列の存在を示すことを特徴とする方法。
  21. 【請求項21】 trkCタンパク質の全部または一部
    からなる単離ポリペプチド分子。
  22. 【請求項22】 請求項2に記載のDNA配列によりコ
    ードされた単離ポリペプチド分子。
  23. 【請求項23】 実質的に図2〜図5(配列番号2)に示
    すアミノ酸配列を有する、請求項21に記載のポリペプ
    チド分子。
  24. 【請求項24】 実質的に図2〜図5(配列番号2)に示
    すアミノ酸配列の一部を有する、請求項21に記載のポ
    リペプチド分子。
  25. 【請求項25】 アメリカン・タイプ・カルチャー・コ
    レクションに寄託してあるpFL16の2.4kb Ec
    oRI挿入物によってコードされるアミノ酸配列を有す
    る、請求項21に記載のポリペプチド分子。
  26. 【請求項26】 アメリカン・タイプ・カルチャー・コ
    レクションに寄託してあるpFL16の2.4kb Ec
    oRI挿入物によってコードされるアミノ酸配列の一部
    を有する、請求項21に記載のポリペプチド分子。
  27. 【請求項27】 コードされたtrkCタンパク質がt
    rkC K1、trkC K2、trkC K3、trk
    C NC1またはtrkC NC2である、請求項2に記
    載のDNA分子。
  28. 【請求項28】 コードされたtrkCタンパク質がt
    rkC K1、trkC K2、trkC K3、trk
    C NC1またはtrkC NC2である、請求項8に記
    載の発現ベクター。
  29. 【請求項29】 コードされたtrkCタンパク質がt
    rkC K1、trkC K2、trkC K3、trk
    C NC1またはtrkC NC2である、請求項21に
    記載のポリペプチド分子。
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