JPH05230128A - 塩素化ポリオレフイン類の製造法 - Google Patents

塩素化ポリオレフイン類の製造法

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JPH05230128A
JPH05230128A JP6950892A JP6950892A JPH05230128A JP H05230128 A JPH05230128 A JP H05230128A JP 6950892 A JP6950892 A JP 6950892A JP 6950892 A JP6950892 A JP 6950892A JP H05230128 A JPH05230128 A JP H05230128A
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JP
Japan
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chloroform
polyolefin
chlorine
chlorinated
solvent
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JP6950892A
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English (en)
Inventor
Masaji Kinosada
雅二 紀之定
Tetsuji Nishioka
哲二 西岡
Yoshifumi Masuda
敬文 増田
Ryozo Oda
亮三 織田
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Toyo Kasei Kogyo Co Ltd
Original Assignee
Toyo Kasei Kogyo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 クロロホルムを溶剤としてポリオレフインを
塩素化する場合、ポリオレフイン塩素化時のクロロホル
ムの安定剤と少量の水を添加することによつて、塩素化
率低下、四塩化炭素の生成の抑制、着色の少ない塩素化
ポリオレフインを製造する。 【構成】 ポリオレフインの塩素化に安定剤として少な
くとも1個以上の不飽和結合を有する鎖状不飽和炭化水
素類をクロロホルムに対して2〜40ppmを使用した
クロロホルムと水とを溶剤として使用し、ポリオレフイ
ンの溶解温度以上の温度で塩素ガスの吹込みを開始し、
その後徐々に又は段階的に反応温度を下げ、塩素化ポリ
オレフインの塩素化の程度に応じた溶解温度以上の温度
範囲で塩素化して塩素化ポリオレフインを製造する。 【効果】 ポリオレフインの塩素化反応の反応性が著し
く高い四塩化炭素の生成を抑制し、着色の少ない優れた
塩素化ポリオレフインが得られ、かつ回収したクロロホ
ルムの再使用並びに貯蔵後の再使用が可能である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はクロロホルム溶剤中でポ
リオレフインを塩素化する際、少なくとも1個以上の不
飽和結合を有する鎖状炭化水素類を安定剤としたクロロ
ホルムを使用する塩素化ポリオレフインの製造法に関
し、主としてポリオレフイン系素材の塗装における下塗
り剤、塗料のビヒクル、コ−テイング剤、接着剤、印刷
インキのバインダ−等の分野に利用される。
【0002】
【従来の技術】従来ポリオレフインの塩素化方法として
は下記のように多くの方法が提案されている。工業的に
有利な方法としては、例えば下記の3方法がある。 (イ) 四塩化炭素等の有機溶剤にポリオレフインを加熱溶
解して塩素化する方法(有機溶剤法という。)例えば特
公昭48−5795号、特公昭42−2279号の方法がある。 (ロ) 少量の有機溶剤にポリオレフインを溶解し、これに
分散させるか、或は微粒子のポリオレフインを直接水に
分散させて塩素化する方法(水懸濁法という。)、例え
ばUSP321384号、特公昭37−6641号の方法がある。 (ハ) 微粒子のポリオレフインを塩素ガス又は塩素ガスと
窒素、塩化水素のような不活性ガスとの混合ガス中に加
熱下浮遊させて塩素化する方法(無溶剤法という。)、
例えばDP2262535 号、特公昭37−6641号の方法があ
る。
【0003】塩素化ポリオレフインはポリオレフイン系
素材の塗装における下塗り剤、塗料のビヒクル、コ−テ
イング剤、接着剤、印刷インキのバインダ−等に使用さ
れる。これらの用途においてはポリオレフインの均一塩
素化により、トルエン、キシレン、ソルベントナフサ等
の溶剤に対して均一に溶解することが必要であり、この
点からすれば上記の方法のうちで有機溶剤法が最も有利
な方法である。有機溶剤法で塩素化反応時に使用される
有機溶剤としては四塩化炭素、クロロホルム、テトラク
ロルエチレン、メチルクロロホルム等のハロゲン化低級
脂肪族炭化水素、クロルベンゼン等のハロゲン化芳香族
炭化水素がある。これらの中で塩素に対して本質的に不
活性であるのは四塩化炭素のみであり、その他は置換反
応、付加反応により塩素と反応する。この点から従来工
業的に使用されているのは大部分四塩化炭素である。し
かし、四塩化炭素は地球を取り巻くオゾン層を破壊する
恐れがあるため、今後は国際的に規制され、工業的に使
用できなくなる。四塩化炭素以外の溶剤としてクロロホ
ルムを使用したDP1070379 号、オランダ特許6411932
号などの例がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】クロロホルムはポリオ
レフインの塩素化時の溶剤として有効な溶剤であるが、
四塩化炭素と比較して非常に分解しやすく、通常は安定
剤としてエチルアルコ−ルが0.5 〜1%含まれている。
ポリオレフインの塩素化時の溶剤にエチルアルコ−ルを
含有するクロロホルムを使用した場合、エチルアルコ−
ルを含有しないクロロホルムを使用した場合に比較し
て、ポリオレフインに対する塩素の反応率が低下すると
いう問題点がある。また一方ポリオレフインの塩素化時
の溶剤にクロロホルムを使用した場合、クロロホルムの
安定剤の有無及び安定剤の種類に拘らずクロロホルムが
ごく一部塩素化され、四塩化炭素を生成する。従つて地
球環境保護の点から問題があり、四塩化炭素の生成をで
きるだけ抑制する必要がある。またクロロホルムを使用
すると従来の四塩化炭素を溶剤とした場合よりも得られ
た塩素化ポリオレフインの着色が強くなるという問題点
もある。
【0005】本発明はクロロホルムを溶剤として、ポリ
オレフインの塩素化を行なう場合、ポリオレフインに対
する塩素の反応率がクロロホルム中に含まれる安定剤に
起因して低下せず、また四塩化炭素の生成を抑制し、か
つ着色の少ない塩素化ポリオレフインを製造することを
目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記に鑑み、クロロホル
ムをポリオレフインの塩素化の際の溶剤として使用する
場合、本発明者等が鋭意研究した結果クロロホルム溶剤
の安定剤に問題があることが判明した。クロロホルムの
安定剤としてはエタノ−ル、メタノ−ル等のアルコ−ル
類、ヘキサン、デカン等の鎖状飽和炭化水素類、シクロ
ヘキサン、アミレン、ブタジエン、ペンタジエン、クロ
ロプレン等の不飽和炭化水素類、フエノ−ル、アミン
類、ニトロアルカン類、エポキサイド類、エステル類、
ニトリル類がある(特開昭52−100404号、特開昭49−20
105 号)。
【0007】本発明者等は少なくとも1個の不飽和結合
を有する鎖状不飽和炭化水素類をクロロホルムに対して
2〜50ppm 使用し、下記に記載の使用方法の場合のみ、
クロロホルムがポリオレフインの塩素化に対して有効
で、本発明の目的の達成が可能であり、クロロホルムが
ポリオレフインの塩素化に対する前記問題点を見事に解
決することの可能なことが本発明者等によつて見出さ
れ、本発明が完成されるに至つたもので、本発明はクロ
ロホルム溶剤中でポリオレフインに塩素ガスを吹込み塩
素化する場合、少なくとも1個以上の不飽和結合を有す
る鎖状不飽和炭化水素類をクロロホルムに対して2〜50
ppm 程度を安定剤としたクロロホルムを溶剤として使用
し、塩素ガスの吹込みをポリオレフインの溶解温度以上
で開始し、その後徐々に又は段階的に反応温度を下げ、
かつ塩素化ポリオレフインの溶解温度以上で塩素化する
新規な塩素化ポリオレフインの製造法に関するものであ
り、更に塩素化反応終了後、回収したクロロホルムの安
定剤として上記の少なくとも1個以上の不飽和結合を有
する鎖状不飽和炭化水素類をクロロホルムに対して2〜
50ppm 添加してポリオレフインの溶剤として使用に供す
るか、又は貯蔵した後使用に供する塩素化ポリオレフイ
ンの製造法に関するものである。
【0008】更に詳しくはポリオレフインに対して2〜
50ppm 程度の微量の少なくとも1個以上の不飽和結合を
有する鎖状不飽和炭化水素類を安定剤として使用したク
ロロホルム溶剤に、又はこれに少量の水を添加してクロ
ロホルムの溶解温度以上の温度でポリオレフインを溶解
し、ラジカル触媒の存在下、或は不存在下で、塩素の吹
込みを開始し、その後徐々に又は段階的に反応温度を下
げ、かつ塩素化ポリオレフインの溶解温度以上で塩素ガ
スを通じる。次に生成した塩化水素又は塩酸を反応溶液
から分離後生成した塩素化ポリオレフインと微量の四塩
化炭素を含むクロロホルムとを分離する。次にクロロホ
ルム中に含まれる四塩化炭素を蒸留等により分離する。
更にここで得られたクロロホルムに安定剤としてポリオ
レフインより塩素化ポリオレフイン製造用に本発明者等
が見出した前記の少なくとも1個以上の不飽和結合を有
する鎖状不飽和炭化水素類を微量添加後、再使用に供す
る。又は長期貯蔵後の再使用に供することも可能であ
る。
【0009】本発明によつて製造された塩素化ポリオレ
フインはトルエン、キシレン、ソルベントナフサ等の溶
剤に溶解して使用に供される。溶剤に対する均一溶解性
から前記したように特にポリオレフイン系素材の塗装に
おける下塗り剤、塗料のヒビクル、コ−テイング剤、接
着剤、印刷インキのバインダ−等に有効に使用される。
前記したエタノ−ルを0.5 〜1%含有している従来のク
ロロホルムをポリオレフインの塩素化時の溶剤に使用す
ると、ポリオレフインの塩素化を妨害し、得られた塩素
化ポリオレフインの塩素含有量が安定剤を含まないクロ
ロホルムを使用した場合よりも低いことが判明した。
【0010】本発明等のポリオレフインの塩素化のため
にポリオレフインの溶剤として開発したクロロホルムの
安定剤、即ち少なくとも1個以上の不飽和結合を有する
鎖状不飽和炭化水素類はクロロホルムに対して2〜50pp
m 程度の微量で有効であり、そのためポリオレフインに
対する塩素化を妨害することなく、また特殊な官能基を
有しないため塩素化ポリオレフインの物性への影響が著
しく少ないことが本発明者等の研究の結果確認された。
従つてポリオレフインの塩素化の溶剤としてクロロホル
ムを使用する場合、クロロホルムの安定剤として上記少
なくとも1個以上の不飽和結合を有する鎖状不飽和炭化
水素類を前記の使用量と前記の方法とによつて使用する
ことが最適である。
【0011】本発明に使用されるクロロホルム及び回収
後再使用されるクロロホルムは少なくとも1個以上の不
飽和結合を有する鎖状不飽和炭化水素を2〜50ppm 程度
含有する。例えばこれら不飽和結合を有する鎖状不飽和
炭化水素としてはアミレン、ブタジエン、ペンタジエ
ン、クロロプレン等が好適である。少なくとも1個以上
の不飽和結合を有する鎖状不飽和炭化水素の使用量がク
ロロホルムに対して2ppm 未満ではその効果がなく、ま
た50ppm を超過すると実際の貯蔵においてはその必要が
ないばかりでなく、使用時ポリオレフインの塩素化を妨
害する恐れもある。本発明に使用されるポリオレフイン
としてはポリプロピレン、ポリエチレン、エチレン−プ
ロピレン共重合体、ポリイソブチレン、エチレン−酢酸
ビニル共重合体、天然ゴム、オレフイン系ゴム等のポリ
オレフインである。
【0012】本発明の反応温度は均質に塩素化を行う必
要から使用されるポリオレフイン又は生成する塩素化ポ
リオレフインの溶解温度以上で行う必要がある。また一
方クロロホルムの塩素化を抑制し、四塩化炭素の生成量
を低減し、更に塩素化ポリオレフインの着色を防止する
ためには低温で反応させる方が有利である。そこで本発
明においては使用されるポリオレフインの溶解温度以上
で塩素ガスの吹込みを開始する。生成する塩素化ポリオ
レフインの溶解温度はその塩素含有量が高くなるにつれ
て低くなる。従つて塩素化が進むとともに徐々に或は段
階的に反応温度を下げて塩素化すると好適である。通常
反応温度は40〜180 ℃で、180 ℃を超過するとポリオレ
フインに結合した塩素が脱塩酸反応により離脱し、着色
及び塩素の反応性低下が著しい。また40℃未満では塩素
の反応性が低い。
【0013】本発明においては塩素化反応時にラジカル
発生剤又は光触媒を使用することが可能であるが、ラジ
カル発生剤又は光触媒の使用はポリオレフインに対する
反応性を高めると共にクロロホルムに対する塩素の反応
性も高くなり、また着色も大となるため特に比較的高温
下の反応ではその使用は避けるべきである。
【0014】本発明においては、クロロホルムと共に水
を添加して塩素化反応を行うことが可能である。水を使
用する目的は副生する塩化水素を反応缶内で吸収し、操
作を簡単にすることと、塩素化ポリオレフインの着色防
止である。水の添加量は1%以上添加すれば着色防止に
効果があるが、望ましくは副生する塩化水素を吸収する
量で通常は反応終了後の塩酸濃度が10〜30%になるよう
に添加するとよい。また重金属イオンが混入すると著し
く反応性の低下を招くため、使用される水はイオン交換
水又は蒸留水が望ましい。水を添加しない場合、反応終
了後、窒素の吹込み又は減圧蒸留により、反応溶液中に
残存した副生塩化水素を除去し、ドラムドライヤ−、ベ
ント付き押出し機等で塩素化ポリオレフインと溶剤とを
分離する。水を添加した場合は反応液を静置し、大部分
の塩酸を分液して除去し、水洗、中和、蒸留等で残存す
る塩酸を完全に除去した後、ドラムドライヤ−、ベント
付き押出し機等で塩素化ポリオレフインと溶剤とを分離
する。更に何れの場合においても分離した溶剤中に含ま
れる四塩化炭素を蒸留により除去し、回収クロロホルム
を収得する。この回収クロロホルムに安定剤として少な
くとも1個以上の不飽和結合を有する鎖状不飽和炭化水
素類を貯蔵期間を勘案して回収したクロロホルムに対し
て2〜50ppm 添加し、タンク等に貯蔵後再使用に供す
る。
【0015】
【実施例】
〔実施例1〕 内容積が150 立のグラスライニングオ−
トクレ−ブにアイソタクチツクポリプロピレン(メルト
インデツクス:15)10.9kg、アミレン含有量が10ppm
であるクロロホルム101.3kg 、イオン交換水14.2kgを仕
込み、強撹拌下、液温度を120 ℃に昇温後、塩素ガスの
導入を開始し、2時間かけて液温度を110℃まで下げ、
その間に4kgの塩素を吹込んだ。更に2時間かけて液温
度を70℃まで下げ、その間に4.85kgの塩素を吹込み、70
℃で5分間撹拌した後、窒素ガスを導入し未反応の塩素
ガスを除去した。撹拌を停止し、3時間静置し塩酸層を
分離して除去した。塩素化ポリプロピレンが溶解してい
るクロロホルム層には着色が見られず、ガスクロマトグ
ラフ分析を実施したところ、クロロホルムの塩素化物で
ある四塩化炭素の生成量は0.23kgであつた(クロロホル
ムに対する塩素の反応率は1.1 重量%)。更にこれより
微量の塩酸と溶剤とを除去し、塩素含有量30.7重量%の
塩素化ポリプロピレン樹脂を得た。ポリプロピレンに対
する塩素の反応率は96.8重量%であつた。このポリプロ
ピレン樹脂をトルエンに溶解し、樹脂含有量30重量%の
トルエン溶液とした。ガ−ドナ−法で測定したカラ−イ
ンデツクスは1で、透明であつた。
【0016】〔実施例2〕 実施例1においてアミレン
含有量が10ppm であるクロロホルムの代わりにクロロプ
レン含有量が10ppm であるクロロホルムを使用した以外
は実施例1と同様に実施した。塩素化ポリプロピレンが
溶解しているクロロホルム層には着色が見られず、ガス
クロマトグラフ分析を実施したところ、クロロホルムの
塩素化物である四塩化炭素の生成量は0.22kgであつた。
(クロロホルムに対する塩素の反応率は1.1 重量%)。
更にこれより微量の塩酸と溶剤とを除去し、塩素含有量
30.8重量%の塩素化ポリプロピレンを得た。ポリプロピ
レンに対する塩素の反応率は97.2重量%であつた。塩素
化ポリプロピレン樹脂をトルエンに溶解し、樹脂含有量
30重量%のトルエン溶液とした。ガ−ドナ−法によるカ
ラ−インデツクスは1で透明であつた。
【0017】〔比較例1〕 内容積が350 立のグラスラ
イニングオ−トクレ−ブにエタノ−ル含有量が0.5 重量
%のクロロホルム150 kg、イオン交換水150kg を仕込
み、1時間強撹拌した。撹拌を停止し、1時間静置後、
水層を分離除去した。更に新しいイオン交換水150kg を
添加し、同様に操作した。この水洗操作を3回繰り返し
た。微量の水を含むクロロホルムを蒸留により脱水し、
エタノ−ルを含まないクロロホルム110 kgを得た。実施
例1においてアミレン含有量が10ppm であるクロロホル
ムの代わりに上記操作で得られたエタノ−ルを含まない
クロロホルムを使用した以外は実施例1と同様に実施し
た。塩素化ポリプロピレンが溶解しているクロロホルム
層には着色が見られず、ガスクロマトグラフ分析を実施
したところクロロホルムの塩素化物である四塩化炭素の
生成量0.24kgで、クロロホルムに対する塩素の反応率は
1.1 重量%であつた。更にこれより微量の塩酸、溶剤を
除去し、塩素含有量30.7重量%(ポリプロピレンに対す
る塩素の反応率96.8重量%)の塩素化ポリプロピレン樹
脂を得た。この樹脂をトルエンに溶解し、該樹脂含有量
30重量%のトルエン溶液とした。ガ−ドナ−法によるカ
ラ−インデツクスは1で透明であつた。
【0018】〔比較例2〕 実施例1において、アミレ
ン含有量が10ppm であるクロロホルムの代わりにエタノ
−ル含有量0.5 %であるクロロホルムを使用した以外は
実施例1と同様に実施した。塩素化ポリプロピレンが溶
解しているクロロホルム層には着色が見られず、ガスク
ロマトグラフ分析の結果はクロロホルムの塩素化物であ
る四塩化炭素の生成量は0.25kg(クロロホルムに対する
塩素の反応率は1.2 重量%)であつた。更にこれより微
量の塩酸、溶剤を除去し、塩素含有量28.4重量%(ポリ
プロピレンに対する塩素の反応率87.0重量%)の塩素化
ポリプロピレンを得た。この樹脂をトルエンに溶解し、
該樹脂含有量30重量%のトルエン溶液とした。ガ−ドナ
−法によるカラ−インデツクスは1で透明であつた。
【0019】〔比較例3〕 塩素ガスの導入開始の液温
度を110 ℃とし、その後、液温度を下げずに一定温度で
9.85kgの塩素ガスを4時間かけて導入した以外は実施例
1と同様に操作した。塩素化ポリプロピレンが溶解して
いるクロロホルム層は淡褐色に着色しており、ガスクロ
マトグラフ分析の結果、クロロホルムの塩素化物である
四塩化炭素の生成量は0.43kg(クロロホルムに対する塩
素の反応率2.0 重量%)であつた。更にこれより微量の
塩酸と溶剤とを除去し、塩素含有量29.6重量%(ポリプ
ロピレンに対する塩素の反応率93.0重量%)の塩素化ポ
リプロピレン樹脂を得た。この樹脂をトルエンに溶解
し、該樹脂含有量30重量%のトルエン溶液とした。ガ−
ドナ−法によるカラ−インデツクスは4であつた。
【0020】上記実施例1〜2及び比較例1〜3に関し
て、実施例1のアミレン含有クロロホルムを使用した本
発明と、比較例1の水洗により安定剤を除去したクロロ
ホルムを使用した場合とを比較すると、ポリプロピレン
に対する塩素の反応率は何れも96.8%であり、四塩化炭
素の生成量もほぼ等しい。一方比較例2のエタノ−ルを
含有したクロロホルムを使用した場合には、ポリプロピ
レンに対する塩素の反応率は87.0%であり、実施例1と
比較すると約10%低下した。即ちポリオレフインの塩素
化は安定剤としてアミレン含有のクロロホルムを使用し
た場合の方が安定剤として通常のエタノ−ルを含有した
クロロホルムを使用した場合よりも塩素の反応性は明ら
かに高く有利であり、しかも特別な処理を行うことなく
安定剤の含有しないクロロホルムを使用した場合と同等
の高い塩素の反応性が得られた。また比較例3に示した
従来の一定温度で塩素ガスを吹込む方法における四塩化
炭素の生成量が0.43kgであるのに対して、実施例1の塩
素ガスの吹込みに従つて液温度を徐々に又は段階的に低
下せしめる本発明における四塩化炭素の生成量は0.23kg
で約1/2 減少することができ、更に本発明は着色が防止
され、これらの点よりするも本発明は明らかに有用なポ
リオレフインの製造方法である。
【0021】
【発明の効果】本発明の効果を纏めると下記の通りであ
る。 (a) ポリオレフインの塩素化反応を行う際に、安定剤と
して少なくとも1個の不飽和結合を有する鎖状不飽和水
素類を含むクロロホルムを使用することによつて、汎用
のエタノ−ルを含むクロロホルムを使用した場合よりも
ポリオレフインに対する塩素の反応性が著しく高く、エ
タノ−ルを除去したクロロホルムを使用した場合と同等
の反応が得られた。
【0022】(b) 使用されるポリオレフインの溶解温度
以上で塩素ガスの吹込みを開始し、徐々に或は段階的に
反応温度を下げ、しかも塩素化ポリオレフインの溶解温
度以上で、塩素ガスを導入することによつて、四塩化炭
素の副生を抑制することが可能であり、かつ着色の著し
く少ない塩素化ポリオレフインが得られた。
【0023】(c) 塩素化終了後、回収したクロロホルム
に少なくとも1個の不飽和結合を有する鎖状不飽和炭化
水素類を安定剤として2〜50ppm 程度添加することより
クロロホルムの分解を防止し、回収クロロホルムの再使
用並びに貯蔵後の再使用が可能である。
【0024】(d) 本発明に使用する溶剤のクロロホルム
と共に水を添加することにより、副生する塩化水素を反
応缶内で吸収して分液除去し、又は水洗、中和又は蒸留
などで除去可能であり、塩素化ポリオレフインの製造操
作が簡単になり、更に生成した塩素化ポリオレフインの
着色を防止することができた。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成4年6月5日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 塩素化ポリオレフイン類の製造法
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は安定剤として少なくとも
1個の不飽和結合を有する鎖状不飽和炭化水素をクロロ
ホルムに対して微量の2〜40ppmを使用したクロロ
ホルムと更に少量の水とを添加したポリオレフインに塩
素ガスを吹込みポリオレフイン系素材の下塗り剤、塗料
のビヒクル、コーテイング剤、接着剤、印刷用インキの
バインダー等の分野に使用される塩素化ポリオレフイン
の製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来ポリオレフインの塩素化方法として
は多くの方法があるが、工業的に有利な方法としては下
記の3方法がある。 (イ)四塩化炭素等の有機溶剤にポリオレフインを加熱
溶解して塩素化ポリオレフインを製造する方法。(特公
昭48−5795号)(有機溶剤法という。) (ロ)ポリオレフインを少量の有機溶剤に溶解して、こ
れを水に分散させるか、又は微粒子のポリオレフインを
直接水に分散させて塩素化する方法。(水懸濁法とい
う。) (ハ)微粒子のポリオレフインを塩素ガス又は塩素ガス
と窒素、塩化水素との混合ガス中に加熱下浮遊させて塩
素化する方法。(無溶剤法どいう。)(FrP1566
971)
【0003】本発明によつて製造された塩素化ポリオレ
フインは前記したようにポリオレフイン素材の塗装にお
ける下塗り剤、塗料のビヒクル、コーテイング剤、接着
剤、印刷用インキのバインダー等に使用されるが、これ
らに使用される場合にはポリオレフインの均一塩素化に
よつて得られた塩素化ポリオレフインがトルエン、キシ
レン、ソルベントナフサ等の溶剤に対して均一に溶解す
ること及び着色しないことが必要である。この点からす
れば上記(イ),(ロ),(ハ)のポリオレフイン製造
法のうち有機溶剤法が最も有利な方法である。有機溶剤
法で塩素化ポリオレフインの塩素化時に使用される有機
溶剤としては四塩化炭素、クロロホルム、テトラクロル
エチレン、メチルクロロホルム等のハロゲン化低級脂肪
族炭化水素、クロルベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化
水素がある。これらの中で塩素に対して完全に不活性で
あるのは四塩化炭素のみである。その他の有機溶剤は置
換反応、付加反応によつて塩素と反応する。そのため従
来工業的にポリオレフインの塩素化には溶剤としては大
部分が四塩化炭素が使用されていた。しかしながら四塩
化炭素は地球を取り巻くオゾン層を破壊する恐れがある
ことが判明したため今後は国際的に規制され、工業的に
使用できなくなる。四塩化炭素以外のポリオレフインの
塩素化時における溶剤としてはクロロホルムを使用した
D.P.1070379号、オランダ特許641193
2号などがある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】クロロホルムはポリオ
レフインの塩素化時の溶剤としては有効な溶剤である
が、四塩化炭素と比較すると非常に分解しやすい問題点
がある。そのためクロロホルムの安定剤として通常エチ
ルアルコールが0.5〜1%含まれている。ところが本
発明者等の研究によるとポリオレフインの塩素化時の溶
剤にエチルアルコールを含有したクロロホルムをそのま
ま使用した場合、エチルアルコールを含有しないクロロ
ホルムを使用した場合に比較して、ポリオレフインに対
する塩素の反応率が低下するという問題点があることが
判明した。更に従来の方法ではポリオレフインの塩素化
時の溶剤にクロロホルムを使用した場合、クロロホルム
の安定剤の有無、安定剤の種類に拘らずクロロホルムが
ごく一部ではあるが塩素化されて四塩化炭素を生成す
る。従つてこの場合にも地球環境保護の点からは問題点
があり、四塩化炭素の生成をできるだけ抑制するポリオ
レフインの製造法が必要になる。またクロロホルムをポ
リオレフインの溶剤として使用すると従来の四塩化素を
溶剤とした場合よりも、得られた塩素化ポリオレフイン
の着色が強くなるという問題点もある。
【0005】本発明はクロロホルムを溶剤として使用し
てポリオレフインを塩素化する場合、上記したポリオレ
フインに対する塩素の反応率の低下がなく、副生する四
塩化炭素の生成を抑制し、かつ着色の著しく少ない塩素
化ポリオレフインを製造することを目的とするものであ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記したようにクロロホ
ルムをポリオレフインの塩素化の際の溶剤として使用す
る場合、上記の種々な問題点を解決するためには本発明
者等の研究結果によると、ポリオレフインに使用される
クロロホルム溶剤の安定剤並びにポリオレフイン溶液に
塩素を吹込み塩素化する場合の反応条件に問題があるこ
とが判明した。
【0007】即ち本発明者等はポリオレフインを溶剤と
してクロロホルムを使用して塩素化する場合、クロロホ
ルムの安定剤として少なくとも1個の不飽和結合を有す
る鎖状不飽和炭化水素類をクロロホルムに対して微量例
えば2〜40ppm、好適には5〜30ppm使用し、
更に少量の水を添加して下記の反応条件で、ポリオレフ
インを塩素化する場合のみ、ポリオレフインの塩素化に
対して前記の問題点が見事に解決され、本発明の目的の
達成が可能であり、ポリオレフインの塩素化が円滑に行
い得ることを確認して本発明を完成するに至った。即ち
本発明はポリオレフインのクロロホルム溶液中でポリオ
レフイン溶液に塩素ガスを吹込み塩素化する場合、上記
したように少なくとも1個の不飽和結合を有する鎖状不
飽和炭化水素類をクロロホルムに対して微量の2〜40
ppm程度を安定剤として使用したクロロホルムを溶剤
として使用し、更に少量の水を添加してポリオレフイン
の溶解温度以上の温度で、塩素ガスの吹込みを開始し、
その後徐々に又は段階的に反応温度を下げ、しかも塩素
化ポリオレフインの塩素化の程度に応じた溶解温度以上
の温度範囲で塩素化する塩素化ポリオレフインの製造法
を提供するものである。
【0008】更に塩素化反応終了後、回収したクロロホ
ルムの安定剤として少なくとも1個以上の不飽和結合を
有する鎖状不飽和炭化水素類をクロロホルムに対して微
量の2〜40ppm程度添加してポリオレフインの溶剤
として使用し、ポリオレフインの長期の貯蔵に供するか
又は貯蔵後、再使用に供するようならしめる。
【0009】詳しくは2〜40ppm程度の微量の少な
くとも1個の不飽和結合を有する鎖状不飽和炭化水素類
を安定剤として使用したクロロホルム溶剤に更にこの系
に少量の少量の水を添加してクロロホルムの溶解温度以
上の温度でポリオレフインを溶解し、ラジカル触媒の存
在下又は不存在下で塩素の吹込みを開始し、その後徐々
に又は段階的に反応温度を下げ、かつ塩素化ポリオレフ
インの溶解温度以上で塩素化ポリオレフインと微量の四
塩化炭素を含むクロロホルムとを分離する。
【0010】本発明によつて製造された塩素化ポリオレ
フインはトルエン、キシレン、ソルベントナフサ等の溶
剤に溶解して使用に供せられる。上記のようにして製造
されたポリオレフインの特性として溶剤に対して均一に
溶解することから前記したように特にポリオレフイン系
素材の塗装における下塗り剤、塗料のビヒクル、コーテ
イング剤、接着剤、印刷用インキのバインダー等に使用
して有効である。前記したエタノールを0.5〜1%含
有している従来のクロロホルムをポリオレフインの塩素
化時の溶剤に使用するとポリオレフインの塩素化を妨害
し、得られた塩素化ポリオレフインの塩素含有量が本発
明の安定剤と少量の水を含むポリオレフインを使用した
場合よりも低く、かつ着色が大である。
【0011】本発明のポリオレフインの塩素化のために
ポリオレフインの溶剤として使用されるクロロホルムの
安定剤即ち少なくとも1個の不飽和結合を有する鎖状不
飽和炭化水素類はクロロホルムに対して2〜40ppm
程度の微量で有効であり、更に少量の水を添加すること
によつて、水がポリオレフインに対する塩素化を妨害す
ることなく、また特殊の官能基を有しないため塩素化ポ
リオレフインの物性への影響が著しく小さく、しかも得
られた塩素化ポリオレフインの着色が防止されることが
本発明者の研究の結果確認された。本発明に使用される
不飽和結合を有する鎖状不飽和炭化水素類としてはアミ
レン、ブタジエン、ペンタジエン、クロロプレン等が好
適に使用される。これらの少なくとも1個以上の不飽和
結合を有する鎖状不飽和炭化水素の使用量がクロロホル
ムに対して2ppm未満ではその効果が著しく低く、ま
た40ppmを超過すると使用時ポリオレフインの塩素
化を妨害するおそれがあり、またクロロホルムの貯蔵時
においても40ppmを超過して使用する必要がない。
その好適な使用量は5〜30ppm程度である
【0012】本発明の反応温度は均質に塩素化を行う必
要から使用されるポリオレフイン又は生成する塩素化ポ
リオレフインの溶解温度以上で行う必要がある。また一
方クロロホルムの塩素化を抑制し四塩化炭素の生成量を
低減し、更に塩素化ポリオレフインの着色防止のために
は低温で反応させる方が有利である。
【0013】そこで本発明においては使用されるポリオ
レフインの溶解温度以上で塩素ガスの吹込みを開始す
る。生成する塩素化ポリオレフインの溶解温度はその塩
素含有量が高くなるにつれて低くなる。従って塩素化が
進むにつれて徐々に或は段階的に反応温度を下げて塩素
化する必要がある。通常反応温度は40〜180℃で1
80℃を超過するとポリオレフインに結合した塩素が脱
塩酸反応によつて離脱し、着色及び塩素の反応性低下が
著しく、また40℃未満では塩素の反応性が低い。
【0014】本発明においては塩素化反応時にラジカル
発生剤又は光触媒を使用することが可能であるが、ラジ
カル発生剤又は光触媒の使用はポリオレフインに対する
反応性を高めると共にクロロホルムに対する塩素の反応
性も高くなり、また着色も大となるため、特に比較的高
温下の反応ではその使用は避けるべきである。
【0015】本発明においてはクロロホルムと共に水を
添加して塩素化反応を行う必要がある。水を使用する目
的は副生する塩化水素を反応機内で吸収し、操作を簡単
にすることであり、同時に前記したように塩素化ポリオ
レフインの着色防止である。水を添加しない場合は反応
終了後、窒素の吹込み又は減圧蒸留により、反応溶液中
に残存する副生塩化水素を除去し、更にドラムドライヤ
ー、ベント付き押出し機等で塩素化ポリオレフインと溶
剤とを分離する必要がある。本発明ではかかる操作を必
要としない。更に上記したように水の添加により塩素化
ポリオレフインの着色を防止することが可能である。水
の添加量はクロロホルムの量に対して1%以上添加すれ
ば着色防止に効果があるが、望ましくは副生する塩化水
素を吸収する量で通常は反応終了後の塩酸濃度が10〜
30重量%程度になるように添加すると好適である。ま
た重金属イオンが混入すると著しく反応性の低下を招く
ため使用する水はイオン交換水又は蒸留水が望ましい。
かくて反応溶液中の残存した塩化水素を除去し、ドラム
ドライヤーやベルト付き押出し機等で塩素化ポリオレフ
インと溶剤とを分離する。更に分離した溶剤中に含まれ
る四塩化炭素を蒸留により除去し、回収クロロホルムを
収得する。この回収クロロホルムに安定剤として更に少
なくとも1個以上の不飽和結合を有する鎖状不飽和炭化
水素を貯蔵期間を勘案して回収クロロホルムに対して2
〜40ppm添加し、タンク等に貯蔵後、更に再使用に
供する。
【0016】
【実施例】 〔実施例1〕 内容積が150立のグラスライニングオ
ートクレーブにアイソタクチツクポリプロピレン(メル
トインデツクス:15)10.9kg、アミレン含有量
が10ppmであるクロロホルム101.3kg、イオ
ン交換水14.2kgを仕込み、強撹拌下、液温度を1
20℃に昇温後、塩素ガスの導入を開始し、2時間かけ
て液温度を110℃まで下げ、その間に4kgの塩素を
吹込んだ。更に2時間かけて液温度を70℃まで下げ、
その間に4.85kgの塩素を吹込み、70℃で5分間
撹拌した後、窒素ガスを導入し未反応の塩素ガスを除去
した。撹拌を停止し、3時間静置し塩酸層を分離して除
去した。塩素化ポリプロピレンが溶解しているクロロホ
ルム層には着色が見られず、ガスクロマトグラフ分析を
実施したところ、クロロホルムの塩素化物である四塩化
炭素の生成量は0.23kgであつた(クロロホルムに
対する塩素の反応率は1.1重量%)。更にこれより微
量の塩酸と溶剤とを除去し、塩素含有量30.7重量%
の塩素化ポリプロピレン樹脂を得た。ポリプロピレンに
対する塩素の反応率は96.8重量%であつた。このポ
リプロピレン樹脂をトルエンに溶解し、樹脂含有量30
重量%のトルエン溶液とした。ガードナー法で測定した
カラーインデツクスは1で、透明であつた。
【0017】〔実施例2〕 実施例1においてアミレン
含有量が10ppmであるクロロホルムの代わりにクロ
ロプレン含有量が10ppmであるクロロホルムを使用
した以外は実施例1と同様に実施した。塩素化ポリプロ
ピレンが溶解しているクロロホルム層には着色が見られ
ず、ガスクロマトグラフ分析を実施したところ、クロロ
ホルムの塩素化物である四塩化炭素の生成量は0.22
kgであつた。(クロロホルムに対する塩素の反応率は
1.1重量%)。更にこれより微量の塩酸と溶剤とを除
去し、塩素含有量30.8重量%の塩素化ポリプロピレ
ンを得た。ポリプロピレンに対する塩素の反応率は9
7.2重量%であつた。塩素化ポリプロピレン樹脂をト
ルエンに溶解し、樹脂含有量30重量%のトルエン溶液
とした。ガードナー法によるカラーインデツクスは1で
透明であつた。
【0018】〔比較例1〕 内容積が350立のグラス
ライニングオートクレーブにエタノール含有量が0.5
重量%のクロロホルム150kg、イオン交換水150
kgを仕込み、1時間強撹拌した。撹拌を停止し、1時
間静置後、水層を分離除去した。更に新しいイオン交換
水150kgを添加し、同様に操作した。この水洗操作
を3回繰り返した。微量の水を含むクロロホルムを蒸留
により脱水し、エタノールを含まないクロロホルム11
0kgを得た。実施例1においてアミレン含有量が10
ppmであるクロロホルムの代わりに上記操作で得られ
たエタノールを含まないクロロホルムを使用した以外は
実施例1と同様に実施した。塩素化ポリプロピレンが溶
解しているクロロホルム層には着色が見られず、ガスク
ロマトグラフ分析を実施したところクロロホルムの塩素
化物である四塩化炭素の生成量0.24kgで、クロロ
ホルムに対する塩素の反応率は1.1重量%であつた。
更にこれより微量の塩酸、溶剤を除去し、塩素含有量3
0.7重量%(ポリプロピレンに対する塩素の反応率9
6.8重量%)の塩素化ポリプロピレン樹脂を得た。こ
の樹脂をトルエンに溶解し、該樹脂含有量30重量%の
トルエン溶液とした。ガードナー法によるカラーインデ
ツクスは1で透明であつた。
【0019】〔比較例2〕 実施例1において、アミレ
ン含有量が10ppmであるクロロホルムの代わりにエ
タノール含有量0.5%であるクロロホルムを使用した
以外は実施例1と同様に実施した。塩素化ポリプロピレ
ンが溶解しているクロロホルム層には着色が見られず、
ガスクロマトグラフ分析の結果はクロロホルムの塩素化
物である四塩化炭素の生成量は0.25kg(クロロホ
ルムに対する塩素の反応率は1.2重量%)であつた。
更にこれより微量の塩酸、溶剤を除去し、塩素含有量2
8.4重量%(ポリプロピレンに対する塩素の反応率8
7.0重量%)の塩素化ポリプロピレンを得た。この樹
脂をトルエンに溶解し、該樹脂含有量30重量%のトル
エン溶液とした。ガードナー法によるカラーインデツク
スは1で透明であつた。
【0020】〔比較例3〕 塩素ガスの導入開始の液温
度を110℃とし、その後、液温度を下げずに一定温度
で9.85kgの塩素ガスを4時間かけて導入した以外
は実施例1と同様に操作した。塩素化ポリプロピレンが
溶解しているクロロホルム層は淡褐色に着色しており、
ガスクロマトグラフ分析の結果、クロロホルムの塩素化
物である四塩化炭素の生成量は0.43kg(クロロホ
ルムに対する塩素の反応率2.0重量%)であつた。更
にこれより微量の塩酸と溶剤とを除去し、塩素含有量2
9.6重量%(ポリプロピレンに対する塩素の反応率9
3.0重量%)の塩素化ポリプロピレン樹脂を得た。こ
の樹脂をトルエンに溶解し、該樹脂含有量30重量%の
トルエン溶液とした。ガードナー法によるカラーインデ
ツクスは4であつた。
【0021】上記実施例1〜2及び比較例1〜3に関し
て、実施例1のアミレン含有クロロホルムを使用した本
発明と、比較例1の水洗により安定剤を除去したクロロ
ホルムを使用した場合とを比較すると、ポリプロピレン
に対する塩素の反応率は何れも96.8%であり、四塩
化炭素の生成量もほぼ等しい。一方比較例2のエタノー
ルを含有したクロロホルムを使用した場合には、ポリプ
ロピレンに対する塩素の反応率は87.0%であり、実
施例1と比較すると約10%低下した。即ちポリオレフ
インの塩素化は安定剤としてアミレン含有のクロロホル
ムを使用した場合の方が安定剤として通常のエタノール
を含有したクロロホルムを使用した場合よりも塩素の反
応性は明らかに高く有利であり、しかも特別な処理を行
うことなく安定剤の含有しないクロロホルムを使用した
場合と同等の高い塩素の反応性が得られた。また比較例
3に示した従来の一定温度で塩素ガスを吹込む方法にお
ける四塩化炭素の生成量が0.43kgであるのに対し
て、実施例1の塩素ガスの吹込みに従つて液温度を徐々
に又は段階的に低下せしめる本発明における四塩化炭素
の生成量は0.23kgで約1/2減少することがで
き、更に本発明は着色が防止され、これらの点よりする
も本発明は明らかに有用なポリオレフインの製造方法で
ある。
【0022】
【発明の効果】本発明の効果を纏めると下記の通りであ
る。 (a)ポリオレフインの塩素化反応を行う際に、安定剤
として少なくとも微量、2〜40ppm程度の1個の不
飽和結合を有する鎖状不飽和炭化水素類を含みエタノー
ルを含有しないクロロホルムを使用することによつて、
エタノールを含むクロロホルムを使用した場合よりもポ
リオレフインに対する塩素の反応性が著しく高く、エタ
ノールを除去したクロロホルムを使用した場合と同等の
反応が得られた。
【0023】(b)使用されるポリオレフインの溶解温
度以上で塩素ガスの吹込みを開始し、徐々に或は段階的
に反応温度を下げ、しかも塩素化ポリオレフインの溶解
温度以上で、塩素ガスを導入することによつて、四塩化
炭素の副生を抑制することが可能であり、かつ着色の著
しく少ない塩素化ポリオレフインが得られた。
【0024】(c)塩素化終了後、回収したクロロホル
ムに少なくとも1個の不飽和結合を有する鎖状不飽和炭
化水素類を安定剤として2〜40ppm程度添加するこ
とよりクロロホルムの分解を防止し、回収クロロホルム
の再使用並びに貯蔵後の再使用が可能である。
【0025】(d)本発明に使用する溶剤のクロロホル
ムと共に水を添加することにより、副生する塩化水素を
反応缶内で吸収して分液除去し、又は水洗、中和又は蒸
留などで除去可能であり、塩素化ポリオレフインの製造
操作が簡単になり、更に生成した塩素化ポリオレフイン
の着色を防止することができた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 織田 亮三 兵庫県高砂市曽根町2900番地 東洋化成工 業株式会社化成品研究所内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 クロロホルム溶剤中でポリオレフイン類
    (以下ポリオレフインと略称する)に塩素ガスを吹込み
    塩素化する場合、少なくとも1個の不飽和結合を有する
    鎖状不飽和炭化水素類を安定剤としてクロロホルムに対
    して2〜50ppm 使用したクロロホルムを溶剤として使用
    し、塩素ガスの吹込みをポリオレフインの溶解温度以上
    で開始し、その後徐々に又は段階的に反応温度を下げ、
    かつ塩素化ポリオレフインの溶解温度以上で塩素ガスを
    導入することを特徴とする塩素化ポリオレフインの製造
    法。
  2. 【請求項2】 少なくとも1個以上の不飽和結合を有す
    る鎖状不飽和炭化水素類を安定剤としたクロロホルムと
    共に水を添加して塩素化反応を行なわせる請求項1記載
    の塩素化ポリオレフインの製造法。
  3. 【請求項3】 塩素化反応終了後回収したクロロホルム
    の安定剤として少なくとも1個以上の不飽和結合を有す
    る鎖状不飽和炭化水素類をクロロホルムに対して2〜50
    ppm 添加して塩素化ポリオレフインの製造法の再使用に
    供するか、又は貯蔵後再使用に供する請求項1記載の塩
    素化ポリオレフインの製造法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2013046846A1 (ja) * 2011-09-30 2013-04-04 東洋紡株式会社 塩素化されたプロピレン含有重合体の製造方法
CN103275251A (zh) * 2013-05-09 2013-09-04 广州合成材料研究院有限公司 一种氯化聚丙烯树脂的制备方法

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