JPH05159730A - アパーチャ - Google Patents

アパーチャ

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JPH05159730A
JPH05159730A JP3325522A JP32552291A JPH05159730A JP H05159730 A JPH05159730 A JP H05159730A JP 3325522 A JP3325522 A JP 3325522A JP 32552291 A JP32552291 A JP 32552291A JP H05159730 A JPH05159730 A JP H05159730A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】中央部に円孔をもった焼結材36にガリウムや
セシウムなどの低融点金属を含浸させるか、円孔周辺に
溝を設けその中に液体金属38を注入してアパーチャも
しくは電極を構成する。 【効果】ガリウムなどの液体金属イオン源において、放
出イオンによりスパッタされた二次粒子の影響を無力化
できるため、イオン源の長時間,高安定動作が実現でき
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は極微小領域の二次イオン
質量分析計や超微細領域加工装置に代表される集束イオ
ンビームを形成するための液体金属イオン源の引出し電
極、または、集束イオンビーム装置におけるビーム制限
アパーチャの構造に関する。
【0002】
【従来の技術】まず、液体金属イオン源(Liquid Metal
IonSource,以下、略してLMIS)についてその動作
原理を説明する。LMISは、例えば、論文集ジャーナ
ル・オヴ・ヴァキューム・サイエンス・アンド・テクノ
ロジー,第A2巻,(1984年)第1365頁から第
1369頁(Journal of Vacuum Science and Technolog
y,A2,(1984)1365−1369)に記載の
『デヴェロップメント・オヴ・ボロン・リキッド−メタ
ル−イオン・ソース(Development of boron liquid-me
tal-ion source)』と題した論文中でイシタニ(T. Ish
itani)らが示しているように、次のような概略構成にな
っている。
【0003】図1に示したように、イオン化すべき材料
(イオン材料)1を溶融状態で保持するためのヒータ2
と、ヒータ2から供給される溶融状態のイオン材料1の
イオン3を先端から放出させるように配置した針状電極
4と、この針状電極4の先端に高電界を集中させること
によって針状電極先端からイオン3を引出すための引出
し電極5とから構成され、これらが真空容器内に設置さ
れる。図1において6は真空容器、7,7′,7″は電
源類である。イオン材料1を溶融状態で保持するための
手段は、イオン材料1を保持する部分を通電によって加
熱する抵抗加熱方式や、針状電極4の先端近傍を電子衝
撃によって加熱する方式、更には、イオン材料の溜め部
(リザーバとも呼ばれる)のまわりにヒータを巻き付
け、そのヒータの熱によってイオン材料を溶融状態にす
る方式など種々の方式があるが、LMISの基本構成と
しては大きな相違はない。
【0004】また、集束イオンビーム装置はLMIS,
集束レンズ電極,ビーム偏向電極,ブランキング電極,
ビーム制限アパーチャ等、多くの電極から構成され、LM
ISから放出したイオンに集束,偏向等の操作を巧みに施
し、ターゲットである試料面上に直径100nm以下ま
で集束させたイオンビーム(集束イオンビーム,Focuse
d Ion Beam;以下、略してFIBと書く)を照射する装
置である。例えば、極微小領域二次イオン質量分析計や
半導体デバイスの製造工程等に用いられているが、FI
B装置をどの分野で用いようとも、イオンビームが常に
安定し、しかも長時間維持することが要求される。
【0005】FIB装置において最も広く用いられてい
るイオン種はガリウムである。ガリウムは低融点(約3
0℃)でLMISを常に加熱する必要は無く、この時の
蒸気圧は殆んど無視でき、イオン材料の蒸発による消耗
や装置内の汚れは無視できる等の利点をもっているた
め、LMISのイオン材料として好適とされている。一
方、引出し電極やレンズ電極などはステンレス鋼,ビー
ム制限アパーチャやスリットはモリブデン等で製作され
ており、イオンビーム光学系ばかりでなく、電子顕微鏡
や電子ビーム描画装置などの電子ビーム系にも広く信頼
されて用いられている。
【0006】FIB装置における上述の電極のうち、イ
オン発生部に最も近い距離に位置するイオンを引出すた
めの引出し電極や、発散して放出したイオンの中心部の
みを選択し下流のビーム集束系に導くためのビーム制限
アパーチャの材質がイオン電流の安定性に大きく影響を
与える。引き出し電極やビーム制限アパーチャの配置に
ついては、例えば、アルフレッド ワグナー(Alfred Wa
gner)が、ヌークリアインスツルメンツ アンド メソ
ッズ イン フィジクス リサーチ 第218号(19
83年)なる論文集における、第355頁から第362
頁(NuclearInstruments and Methods in Physics Rese
arch 218(1983)355−362)に『アップ
リケーションズ オブ フォーカスド イオン ビーム
(Applications of Focuesd Ion Beams)』と題する論文
において示している。
【0007】図2において、10は液体金属イオン源、
11はエミッタ、12は引出し電極、13はビーム制限
アパーチャ、14はレンズ、15は偏向器、16は試
料、17は集束イオンビーム(FIB)を示す。エミッ
タ11の直下にイオンを引出すための引出し電極12,
放出イオンの軸中心部分のみを選択するビーム制限アパ
ーチャ13などが配置される。このようなイオン源1
0,引き出し電極12,アパーチャ13等の配置におい
て、放出イオン17がこれら引出し電極12やビーム制
限アパーチャ13に当たると、図3(a)のように電極
材料やアパーチャ材料を二次イオンや二次中性粒子とし
て叩き出してしまう(スパッタリングする)。ここでは、
この二次イオンや二次中性粒子をスパッタ粒子20と呼
ぶことにする。このスパッタ粒子20がエミッタ11を
覆う液体金属(イオン材料)18に付着すると、スパッ
タ粒子20とイオン材料である液体金属18の組み合わ
せによってはスパッタ粒子20が液体金属18表面にス
ラグ(非溶融材)21として浮遊するため放出イオン電
流が不安定になる。
【0008】本来、非常に安定なイオン放出がなされて
いる場合、図3(b)のように液体金属18の表面は清浄
で、長時間安定してテーラコーン22が形成,維持され
ている。しかし、図3(c)に示すように、スラグ21が
イオン生成箇所であるエミッタ11先端のテーラコーン
22付近に集積し、安定なイオン放出に必要不可欠なテ
ーラコーン22の安定維持が阻害され、光学中心軸23
を外れてのイオン放出や、不安定なイオン放出となった
り、最悪の場合、イオン放出の停止となる。具体的に
は、ガリウムイオンを引出すLMISにおいて、一般に
よく用いられているように引出し電極をステンレスで、
また、ビーム制限アパーチャをモリブデンで作成する
と、エミッタ先端周辺のガリウムにステンレスの成分で
ある鉄やニッケル,アパーチャの成分のモリブデンが付
着していることがオージェ分析等の分析によって確認で
きる。従って、スパッタ粒子とイオン化される液体金属
の組み合わせがLMIS作成時に重要な問題となる。
【0009】この問題を解決する方法として、イオンビ
ームの通過する電極において、特に、放出イオンが照射
する電極部分をイオン材料と同じか、イオン材料に含ま
れる元素で構成することでスパッタ粒子が液体金属表面
にスラグとして浮遊することなく、長時間安定したイオ
ン放出が可能となることは知られている。この思想は、
特開昭60−165020号公報に開示されていて、実施例とし
て、金とシリコンの合金をイオン材料として用いる時、
引出し電極を金で作製すると、スパッタ粒子はイオン材
料中に溶け込み、スラグとして浮遊することはないとさ
れている。つまり、安定したイオン放出が望めるとして
いる。類似の思想として、特開昭61−34833 号公報にも
開示されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】従来、FIB装置にお
ける電極はステンレスやモリブデンなど硬質な材料を用
いて形成されていた。特開昭60−165020号公報では金を
用いて電極を構成している。これら、どの材料も融点が
1000℃前後であり、機械加工などで容易に作製する
ことができる。
【0011】一方、FIB装置で最もよく用いられるイ
オン種はガリウムとセシウムである。しかし、これらは
いずれも融点が29から30℃と低く、時には室温で溶
融状態である。従って、上述したような思想を基に、イ
オン電流を安定化させる目的で引出し電極やビーム制限
アパーチャを放出イオン種と同じ材質で作成することは
できなかった。つまり、ガリウムもセシウムも低融点材
料であるため電極としての形状を維持することができな
いためである。たとえ、低温にして凝固させたとして
も、非常に軟らかくて電極を作製することができない。
つまり、ガリウムLMISやセシウムLMISを安定に
動作させる立場から、何らかの方法でガリウムLMIS
の場合はガリウムで、セシウムLMISの場合はセシウ
ムで電極を作製することが望まれていたが、これら材質
の電極が作製できないがために、しかたなく従来のステ
ンレスやモリブデン製の部材を使わざるを得なかった。
【0012】また、ビーム制限アパーチャや引出し電極
が放出イオンの衝撃により、スパッタされ、所定の大き
さに加工された円孔が拡大したり、円孔の周縁部に微小
突起が形成されて放電の原因になったりする。このよう
な円孔の拡大や微小突起が発生した電極やアパーチャ
は、一旦、大気に出して新たな物と交換しなければなら
ない。この作業は、時間を要し、正確さを必要とする作
業であり、また、装置内の真空引きに多大の時間を要す
るなど利点は全くない。従って、ビーム制限アパーチャ
や引出し電極の円孔が拡大したり、微小突起が形成され
た時に真空容器内を大気に曝すことなく、アパーチャや
電極を短時間に修復できる方法,手段が望まれていた。
【0013】本発明の目的は、FIB装置、特にガリウ
ムやセシウム,すず,インジウムなどのFIBを形成す
る装置に用いられるLMISにおいて、エミッタへのス
パッタ粒子の戻りを軽減し、また、イオン衝撃によるス
パッタによって変形したアパーチャを真空容器外に出す
ことなく修復できるアパーチャを提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明は、開口をもった焼結材に金属を浸透させてア
パーチャまたは電極とするか、アパーチャまたは電極の
基板に設けた凹部に基板材と異種の金属を流入させて形
成する。具体的には、これらアパーチャまたは電極は、
中央部に円孔をもった円板状の焼結体,前記焼結体を支
える基板,焼結体に浸透された金属とから構成するか、
中央部に円孔,前記円孔周辺に溝をもった円板状基板,
前記溝に注入した基板と異なる金属とから構成する。更
に、これら加熱手段を設け、焼結体に含浸させた金属も
しくは基板上の溝に注入した金属を必要時に溶解させる
ことで、アパーチャまたは電極の初期形状に再生させる
ことができ、別の目的も達成することができる。
【0015】これらアパーチャまたは電極は、イオン材
料と、イオン材料を保持するためのリザーバと、イオン
材料を溶融状態にする加熱手段と、前記リザーバから供
給される溶融状態の前記イオン材料のイオンを放出させ
るために電界が集中するように配置されたエミッタと、
このエミッタとの間に電界を作りエミッタ先端から前記
イオン材料のイオンを引出す引出し電極からなる液体金
属イオン源における引出し電極や、所望のイオンを放出
するイオン源と、放出イオンの一部のみを通過させるビ
ーム制限アパーチャと、放出したイオンビームを細く絞
るための集束レンズと、イオンビームを走査させるため
の偏向器と、集束したイオンビームを照射する試料とこ
の試料を保持する試料台等から構成される集束イオンビ
ーム装置におけるビーム制限アパーチャに適用すること
ができる。
【0016】また、液体金属イオン源のイオン材料がセ
シウム,ガリウム,すず,インジウムまたはこれらのい
ずれかを含む合金である場合、上述した焼結体に含浸さ
せる金属もしくは基板上の溝に注入する金属は、セシウ
ム,ガリウム,すず,インジウムまたはこれらのいずれ
かを含む合金であることで高安定イオン放出の継続が望
める。
【0017】このような液体金属イオン源は、上述した
集束イオンビーム装置に搭載することができ、このよう
な集束イオンビーム装置は、二次イオン分析部を備えて
二次イオンから試料の組成を調べるための二次イオン質
量分析装置や、マスクレスイオン注入や、イオン露光,
試料にスパッタリングによる凹部やマークを設けるなど
の微細加工を行なう超微細領域加工装置などにも転用す
ることができる。
【0018】
【作用】インジウムLMISを搭載し、焼結体にガリウ
ムを浸透させたアパーチャを採用したFIB装置の場合
について説明する。
【0019】引出し電極に印加される高電圧によってエ
ミッタ先端に高電界が形成され、エミッタを覆う液体イ
ンジウムの薄膜は、イオン化されインジウムイオンとし
て引出される。インジウムイオンは引き出し電極の円孔
を通過し、ビーム制限アパーチャによって、放出イオン
の軸中心部のみのイオンが通過し、その他のイオンの通
過は遮断される。この時、遮断されたイオンはアパーチ
ャを叩き、アパーチャから二次電子や二次イオン,二次
中性粒子などを放出させ、これら二次粒子はエミッタに
戻る。ここで、アパーチャを一次イオン種のインジウム
と低融点の合金を形成するガリウムでアパーチャを形成
することで、二次粒子、特に、二次イオン,二次中性粒
子はガリウムで構成され、エミッタに戻ってもスラグと
はならず液体インジウム中に溶け込み、イオン電流の安
定性に影響を与えない。
【0020】しかし、ガリウムは融点が低く、電極やア
パーチャ形状に形成することが困難であるため、ガリウ
ムを保持する手段として、多くの空隙部をもった焼結体
やメッシュなどをアパーチャもしくは電極形状に成形し
て、ガリウムをこれらアパーチャや電極に浸透(含浸)
させると、ガリウムの電極またはアパーチャを作製する
ことができる。
【0021】この電極を長時間使用すると、含浸させた
ガリウムが一次イオンのスパッタリングにより減少し、
地肌の焼結体が露出する。この露出した焼結体を一次イ
オンが叩くと、焼結体元素の粒子がエミッタに戻り、結
果は従来のアパーチャの場合と同様にエミッタにスラグ
として浮遊するという問題を引き起こす。この問題点に
対しては、アパーチャや電極に含浸させる液体金属(ガ
リウム)の溜め部を設けておくことにより、スパッタに
よりイオン照射部から含浸した金属が減少しても、この
溜め部から含浸金属が逐一補給され、イオン照射部であ
る焼結体は常に液体金属で満たされた状態となる。この
ため、この種のアパーチャや電極は長時間使用に好適と
なる。さらに、アパーチャや電極に加熱手段を設けてお
き、液体金属の焼結体への浸透を促進させることも有効
である。
【0022】更にこれらの思想を発展させて、特に、焼
結体を用いずに、アパーチャまたは電極の円孔周辺、つ
まり、イオン照射部をガリウム,インジウム,すず,セ
シウム等の金属で覆っておくことで、基板金属のスパッ
タリングは避けられる。具体的にはアパーチャまたは電
極のイオン照射部に溝を設けて、その溝に金属を注入し
ておけばイオン源の長時間動作に効果を発揮する。さら
に、これらアパーチャまたは電極に加熱手段を設けてお
くと、溝に注入した金属がスパッタされてアパーチャま
たは電極の初期形状を損なった時に、アパーチャや電極
に設けた加熱手段により金属を溶解させ初期の形状に再
生することができる。この作業はアパーチャまたは電極
のある真空容器を大気に曝すことなくできるので、時間
的に大きな効果をもたらす。
【0023】
【実施例】
<実施例1>本例は本発明による最も簡単な実施例であ
り、図4を用いて説明する。直径50mm,厚さ3mmのス
テンレス製円板の中央に直径30mm,深さ2mmの座ぐり
を設けた基板30に、予め低融点金属を浸透させておい
た焼結円板31を嵌め込んだ構成の引出し電極32であ
る。浸透させた金属はガリウムである。ガリウムはイン
ジウムやすずと低融点の合金を形成するため、イオン材
料がインジウムやすずのLMISにも使用できる。焼結
材は直径10μmのタングステン球を高温で焼結させ、
直径15mm,厚さ2mm,中央に100μmの円孔をもっ
た円板形状に仕上げた。焼結円板の円孔33は放出イオ
ンの円孔側壁での衝突,散乱を避けるために、下面側に
大きな開口となる開き角は約100°のテーパ形状とし
た。
【0024】<実施例2>本実施例は実施例1と同様に
焼結円板を用いるものであるが、基板は皿状になったア
パーチャの例である。図5を用いて説明する。基板34
が皿状になっているため焼結円板35の下面は基板で覆
われている。焼結円板に浸透させる液体金属がセシウム
のように表面張力の小さな金属である場合、実施例1の
ような形状では液体金属は焼結円板の下面から滲み出す
という問題を生じる。従って、焼結円板35の下面を基
板34で覆い、液体金属の滲み出しを防止した。セシウ
ムのような表面張力の小さなイオン材料に好適である。
【0025】<実施例3>本実施例も実施例1と同様に
焼結円板を用いるものであるが、焼結円板36の周りに
溝37を設けて浸透金属38の溜め部を設けた。図6
(a)を用いて説明する。焼結円板36の回りの溝37に
予め液体金属38(本例ではガリウムとインジウムの合
金。融点約18℃)を注入しておく。アパーチャが放出
イオンによって照射され、液体金属がスパッタされて浸
透していた液体金属が減少しても焼結円板36の溝37
の液体金属38が焼結円板36に吸収され焼結円板36
は常に飽和状態になっている。
【0026】具体的寸法は、焼結円板の直径が15mm,
厚さ2mm,中央に100μmの円孔をもっており、基板
にある溝は幅3mm,深さ2.5mm で、約200mm3 の予
備の液体金属を保持しておくことができる。放出イオン
は電極上で直径約5mmの円形に広がり、焼結円板のみを
照射している。
【0027】また、焼結板は必ずしも円板である必要は
なく、図6(b)のように少し突出部39を有していて
も、液体金属の表面張力で焼結突出部に浸透していき、
引出し電極として用いることができる。
【0028】さらに、注入した金属の凝固を防止し、焼
結体に浸透しやすくするために、この電極に加熱手段を
設けても良い。
【0029】<実施例4>本実施例は実施例3と液体金
属の溜め部を設けるという発想で同じであるが、図7の
ように焼結体を薄板にして、この薄板40の下に液体金
属41を貯溜した引出し電極42の実施例である。イオ
ン放出によって電極表面の液体金属がスパッタリングさ
れ、焼結体を覆う液体金属が少なくなっても、液体金属
が焼結材薄板直下に貯溜されているため、液体金属が遂
次焼結材薄板に供給され、電極の寿命は実施例1に比べ
て約十倍に延びた。また、焼結材薄板の代わりに炭素製
や金属製のメッシュであっても同じ効果を示す。
【0030】このように、実施例1から4にかけて五種
類の例を掲げて説明した。このような思想が開示された
以上、この他、構造的改変は当業者なら種々容易に考え
られるが、本発明の基本思想は、焼結体のような液体を
吸収しやすい材質に、LMISのイオン材料に溶け込みやす
い金属を含浸させておくことにある。
【0031】<実施例5>本実施例は、皿型基板43に
比較的低融点金属44を貯め、かつ、この基板に加熱手
段45を設けたアパーチャの例である(図8(a))。直
径50mm,厚さ3mmのステンレス製円板の中央部に直径
0.2mm の円孔46、その回りを深さ2mm,幅20m
mの溝を設け、中央部に円管が立った皿を基板とする。
その中に比較的低融点の金属44を注入した。つまり、
実施例4において焼結体の薄板を取り除いて、注入金属
を露出させた点に構造上の特徴がある。
【0032】イオン放出に伴い円孔46周辺のイオン照
射部はスパッタリングされ、イオン照射前に比べて、表
面の凹凸47が激しくなる(図8(b))。このとき、イ
オン照射部の凹凸47に微小突起が形成されると、この
微小突起とエミッタ間で放電を始める。幸い放電が生じ
ず、更にイオン放出を継続すると、ついには基板の地肌
48は露出し(図8(c))、基板をスパッタし始め、基
板成分の二次粒子がエミッタ先端に付着しイオン電流の
不安定にいたる。このことを避けるために、ある時間イ
オン放出継続した後、アパーチャに設置された加熱手
段、本例ではセラミックヒータ45で基板43を加熱
し、基板内の比較的低融点金属を溶融させてイオン照射
によって生じた凹凸を平坦化させた。具体的には、すず
LMISを使用する場合に、注入金属にもインジウムを
注入しておき、全放出イオン電流2μAで累積三百時間
の動作毎にアパーチャを約150℃に加熱させた。これ
によって、これまで固体のインジウムをアパーチャとし
て用いていた時に比べて、アパーチャの寿命は約百倍に
延びた。もちろんイオン材料のすずに対するイオンジウ
ムは液体すず表面にスラグを生じさせ間柄ではないの
で、イオン電流は安定している。
【0033】<実施例6>本発明による含浸型アパーチ
ャの効果を示すために、二台の液体金属イオン源を用い
て、一方のビーム制限アパーチャは実施例1で説明した
ものを使用し、他方は従来のモリブデン製のアパーチャ
を用いて、その動作状態をモニタして比較した。エミッ
タ形状,アパーチャ径,エミッタとアパーチャまでの距
離等の配置,構成は全く同じである。両者の比較方法
は、一定引出し電圧の下で、全放出イオン電流を2μA
に設定し長時間動作させる。この時、ある時間毎に引出
し電圧(V)と全放出イオン電流(I)の関係(いわゆ
る、V−I特性)を測定し、その勾配の時間変化に注目
した。V−I特性の勾配(V/I)は、エミッタ表面で
の液体金属の流れインピーダンスを示す指標として知ら
れており、エミッタ表面に不純物が付着して液体金属の
流れが悪くなったり、エミッタの温度が低下して液体金
属が部分的に凝固し始めたり、液体金属のエミッタに対
する濡れが悪くイオン生成部に安定して液体金属が供給
されないような場合は、V/I値は大きくなり、イオン
電流の安定性は悪くなり実用にならない状態に陥る。本
実験の場合、エミッタに付着するアパーチャからのバッ
クスパッタ粒子の種類による経時変化の比較ができる。
【0034】結果を図9に示す。図9において、横軸は
動作時間、縦軸はV/I値であり、黒丸印は従来のモリ
ブデンアパーチャ、白丸印は本実施例によるガリウム含
浸アパーチャの場合を示す。図9から明らかなように、
従来のモリブデンアパーチャの場合、三時間程度でV/
I値は300(V/μA)に達するのに対し、ガリウム
含浸アパーチャの場合、五百時間を越えてもV/I値は
60(V/μA)程度で一定であることがわかる。つま
り、従来のモリブデンアパーチャの場合、三時間程度の
イオン放出により、エミッタ表面にモリブデン二次粒子
が付着してしまい、安定したイオン放出を阻害し、実用
に耐えなくなるのに対し、ガリウム含浸型アパーチャの
場合、五百時間を越えてもエミッタ表面のイオン材料に
悪影響を及ぼすこと無く安定にイオン放出し続けている
ことがわかる。つまり、ガリウム含浸型アパーチャの有
効性が明らかとなった。
【0035】このように、本発明による含浸型アパーチ
ャを用いることによって長時間安定イオン放出が実現で
きた。
【0036】
【発明の効果】従来作製が困難だったガリウムやインジ
ウム等の低融点金属のアパーチャまたは電極が容易にで
きるため、ガリウム,インジウム,セシウム,すず及び
これらが含む合金をイオン材料とする液体金属イオン源
において、アパーチャまたは電極からのスパッタ粒子の
エミッタへの付着が問題とならなくなり、イオン電流の
高安定化が実現できる。
【0037】加熱手段を有するアパーチャまたは電極に
低融点金属を露出させた構造を採用すると、スパッタリ
ングによるアパーチャまたは電極の形状変化に対して、
必要に応じてアパーチャまたは電極を加熱することで低
融点金属は溶融され、初期の形状に再生する。しかも、
これらアパーチャまたは電極を大気に曝すことなく再生
できるので装置の停止時間を極端に短くできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】液体金属イオン源の動作原理の説明図。
【図2】集束イオンビーム装置の説明図。
【図3】従来の電極を用いた場合に生じる問題点の説明
図。
【図4】本発明による一実施例の断面図。
【図5】本発明による第二の実施例の断面図。
【図6】本発明による第三の実施例の断面図。
【図7】本発明による第四の実施例の断面図。
【図8】本発明による第五の実施例の断面図。
【図9】本発明の有効性を示す実験結果を示す特性図。
【符号の説明】
34…基板、36…焼結体、37…溝、38…液体金
属。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // H01J 37/252 B 9069−5E

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】イオンビームの通過路にあり、開口をもっ
    た焼結材に金属を浸透させて形成したことを特徴とする
    アパーチャ。
  2. 【請求項2】請求項1において、中央部に円孔をもった
    円板状の焼結体,前記焼結体を支える基板,前記焼結体
    に浸透された金属とから構成されたアパーチャ。
  3. 【請求項3】イオンビームの通過路にあるアパーチャで
    あって、基板に設けた凹部に基板材と異種の金属を流入
    させたことを特徴とするアパーチャ。
  4. 【請求項4】中央部に円孔,該円孔周辺に溝をもった円
    板状基板,前記溝に注入した基板と異なる金属からなる
    アパーチャ。
  5. 【請求項5】請求項1,2,3または4において、加熱
    手段を備えたアパーチャ。
  6. 【請求項6】請求項1,2,3,4または5に記載の焼
    結体に含浸させる金属もしくは基板上の溝に注入する金
    属が、セシウム,ガリウム,すず,インジウムまたはこ
    れらのいずれかを含む合金であるアパーチャ。
  7. 【請求項7】請求項5において、前記アパーチャの初期
    形状を損ねた時、前記加熱手段で焼結体に浸透された金
    属または溝にある金属を溶融させて前記アパーチャの初
    期形状を復帰させるアパーチャ再生方法。
  8. 【請求項8】イオン材料,前記イオン材料を保持するた
    めのリザーバ,イオン材料を溶融状態にする加熱手段,
    前記リザーバから供給される溶融状態の前記イオン材料
    のイオンを放出させるために電界が集中するように配置
    されたエミッタ,前記エミッタとの間に電界を作りエミ
    ッタ先端から前記イオン材料のイオンを引出す引出し電
    極からなる液体金属イオン源において、引出し電極が請
    求項1から5のいずれかに記載の電極である液体金属イ
    オン源。
  9. 【請求項9】所望のイオンを放出するイオン源,放出イ
    オンの一部のみを通過させるビーム制限アパーチャ,放
    出したイオンビームを細く絞るための集束レンズ,イオ
    ンビームを走査させるための偏向器,集束したイオンビ
    ームを照射する試料と前記試料を保持する試料台等から
    構成される集束イオンビーム装置において、前記ビーム
    制限アパーチャが、請求項1から5のいずれかに記載の
    アパーチャである集束イオンビーム装置。
  10. 【請求項10】請求項8に記載の液体金属イオン源にお
    けるイオン材料がセシウム,ガリウム,すず,インジウ
    ムまたはこれらのいずれかを含む合金である集束イオン
    ビーム装置。
  11. 【請求項11】請求項8に記載の液体金属イオン源が搭
    載された集束イオンビーム装置。
  12. 【請求項12】請求項9から11のいずれかに記載の集
    束イオンビーム装置に、更に、二次イオン分析部を備え
    て、特に、試料の二次イオンを分析して試料の組成分析
    を行なう二次イオン質量分析装置である集束イオンビー
    ム装置。
  13. 【請求項13】請求項9から11のいずれかに記載の集
    束イオンビーム装置において、特に、マスクレスイオン
    注入や、イオン露光,試料にスパッタリングによる凹部
    やマークを設けるなどの超微細領域加工を行なう集束イ
    オンビーム装置。
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