JPH05148088A - ダイヤモンド結晶の成長方法 - Google Patents

ダイヤモンド結晶の成長方法

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JPH05148088A
JPH05148088A JP4129902A JP12990292A JPH05148088A JP H05148088 A JPH05148088 A JP H05148088A JP 4129902 A JP4129902 A JP 4129902A JP 12990292 A JP12990292 A JP 12990292A JP H05148088 A JPH05148088 A JP H05148088A
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守弘 岡田
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Takushi Okita
拓士 沖田
Tsutomu Sugiura
勉 杉浦
Maki Sato
眞樹 佐藤
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 欠陥の少ない結晶ダイヤモンドの成長方法を
提供する。 【構成】 ダイヤモンドの気相成長において、周波数1
メガヘルツ以上10テラヘルツ以下の振動を、基板もし
くはダイヤモンド結晶の成長面に与えながら成長させる
ダイヤモンド結晶の成長方法。 【効果】 欠陥の少ない良質なダイヤモンド、特に膜厚
の厚いダイヤモンドエピタキシャル膜を気相合成でき、
光学窓材料、ダイヤモンド電子材料等の用途が拓かれ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は欠陥の少ない良質なダイ
ヤモンド結晶、特に一定方位を成長させた結晶ダイヤモ
ンドを気相成長させる方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】基板に振動を与えながら、該基板上に物
質を気相成長させた例としてK.L.Chopra
M.R.Randlett Appl.Phys.Le
tters,11(1967)p.202、高橋武彦
伊藤秀章 金属学会会報第18巻 第19号(197
9)pp.637―639、特開昭59―137311
号公報、特開平1―261298号公報、特開平1―2
70596号公報、特開平1―301587号公報、特
開平2―80396号公報、特開平2―88497号公
報等がある。
【0003】これらは、1Hzから80kHzまでの振
動を基板に与えることにより、結晶を微細化してよりち
密な多結晶体を形成したり、振動により成長核粒子を流
動させて、粒子の全表面で結晶成長を起こさせて、高速
度で微結晶粉を合成している。
【0004】さらに、MHzオーダーの振動を与えた基
板上に成膜を行った例として、M.Takahasi
A.Fujita et al. 1990 Dige
sts of The Intermag Confe
rence, AQ−02(1990), M.Tak
ahasi A.Fujita et al. IEE
E Transactions on Magneti
cs, Vol.26, No.5(1990), p
1453が知られている。
【0005】これらは、LiNbO3単結晶表面に45
MHzの表面弾性波を起こしながら、磁化容易軸が制御
されかつ保磁力が小さい磁性合金の多結晶薄膜を、30
nmの厚みで気相成長させている。
【0006】その結果、表面弾性波により成膜時の核生
成サイトが増加し、細かくかつ均一な結晶粒からなる多
結晶膜を得ている。
【0007】一方、ダイヤモンドは、大きい電子移動
度、広いバンドエネルギーギャップ、小さい誘電率、高
い熱拡散係数及び高い音響伝搬速度などの特徴を有して
いるため、半導体材料や電子デバイス部品として高い可
能性を持っている。
【0008】しかしながら現在のところ、単結晶粒とし
ては高圧法で直径15mm以下、気相法で直径1mm以
下のダイヤモンドしか合成できていない。
【0009】例えば、ダイヤモンド単結晶基板の(10
0)面に気相法によりエピタキシャル成長を行った場
合、成長層の厚さが10μm以上になると、亀裂を生じ
たり、成長層中に転位や双晶が多く発生し、ついには多
結晶として成長するという問題があり、このように、大
型の単結晶が得られないことは、シリコンと違ってダイ
ヤモンドを電子デバイス等の汎用材料として用いること
を難しくしている原因の一つと考えられる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、結晶の質を
より向上させた欠陥の少ない結晶ダイヤモンドの成長方
法を提供しようとするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明はダイヤモンド結
晶の気相合成において、周波数1メガヘルツ以上10テ
ラヘルツ以下の振動を、ダイヤモンド結晶を成長させる
基板、もしくはダイヤモンド結晶の成長面に与えながら
該結晶を成長させることを特徴とするダイヤモンド結晶
の成長方法である。
【0012】即ち本発明は、気相成長中のダイヤモンド
に、高周波の振動を与えることによって、ダイヤモンド
の核同士の融合や、結晶欠陥の解消を促進して、良質な
結晶ダイヤモンドを一定の結晶方位に成長させる方法に
関するものである。
【0013】以下に、本発明の内容を、ダイヤモンドの
合成方法、振動の発生方法、作用の順に述べる。
【0014】ダイヤモンドの気相合成方法としては、
「New Diamond1990」(Japan N
ew diamond Forum 1990年発行)
にあるように、直流または交流電場で放電を生じさせる
プラズマCVD法、フィラメントのような熱電子放射材
を加熱してガスを分解励起する方法、燃焼熱によりガス
を分解励起する方法、イオン衝撃により成長層に高いエ
ネルギーを与える方法、光により分解励起する方法など
が挙げられるが、本発明はいずれの合成法においても有
効である。
【0015】但しどの方法を採るにしても良質なダイヤ
モンドが出来る条件に設定する。具体的にはマイクロ波
CVD法ではメタンの水素での希釈割合が5%及び、燃
焼炎法では酸素/アセチレンのガス比が85%〜98%
等と、原料ガス一つとっても結晶性の良いダイヤモンド
を生成する条件とすることが必要である。
【0016】基板材料は、成長結晶と馴染みの低いも
の、あるいは成長するダイヤモンド結晶がエピタキシャ
ル成長しやすい材料のどちらか両極端の性質の材料がよ
い。
【0017】なぜならば、エピタキシャル成長をさせな
いまでも、成長するダイヤモンド結晶と馴染みのよい基
板の場合には、基板との相互作用に成長結晶が束縛され
て、初期成長時に振動の効果がうすくなるからである。
【0018】ここで言う馴染みとは、基板の原子と成長
結晶原子との結合のしやすさ、基板の表面エネルギー、
基板結晶の格子定数などが総合された性質である。
【0019】例えばダイヤモンドの場合は、タングステ
ン(W)、シリコン(Si)のような馴染みのよい材料
よりは、Al23、TiN、Cu、Co等の馴染みの薄
い材料を基板に用いた方が良好な結果が得られやすい。
【0020】また、成長するダイヤモンド結晶がエピタ
キシャル成長をするほどの、強い相互作用を持つ材料を
基板に用いた場合には、初期成長過程において振動は補
助的に欠陥の解消に寄与する。
【0021】このような基板材料の例としては、ダイヤ
モンド、立方晶窒化硼素、ニッケルが該当する。
【0022】本発明において基板もしくはダイヤモンド
結晶の成長面に振動を与える方法としては、 圧電素子のような振動源を基板に接触させる方法、 光照射により基板にフォトサーマル振動を与える方
法、 プラズマ振動により結晶の成長表面に気相から振動を
与える方法 等があり、いずれの方法をも適用することができる。
【0023】以上の方法について以下に詳しく説明す
る。
【0024】の方法を行うには基板の一部に圧電素子
を貼付けたり、圧電性の薄膜を被覆したり、または基板
そのものに圧電材料を用いる。
【0025】振動の伝え方としては、基板の裏側に振動
子を装着して、反対の面に結晶を成長させて振動を与え
るような、固体中の弾性振動(Bulk Acoust
icWave)を利用する方法と、結晶成長面と同じ側
に振動子を装着して、表面に局在する振動を結晶に与え
る、固体表面の表面弾性波(Surface Acou
stic Wave)を利用する方法とがある。
【0026】1MHz以上の振動を基板に与える場合
は、減衰しにくいという点で表面弾性波を利用する方が
より望ましい。簾状電極トランスデューサーで表面弾性
波を励振する場合を例にとると、表面弾性波の周波数ν
【0027】
【数1】
【0028】V:音波伝搬速、d:簾状電極間隔 となり、1MHzから4GHz位までの振動を励起する
ためには、この方法が適用できる。
【0029】の方法を行うにはパルスレーザーを結晶
成長表面に照射すればよい。ダイヤモンドを成長させる
場合基板温度が1000℃近くにまで達する場合がある
が、その場合でもフォトサーマル振動は、基板及び結晶
の熱振動に攪乱されることはない。フォトサーマル振動
数νは
【0030】
【数2】
【0031】(ただしパルスが矩形波になるとパルスの
立ち上がりによる高周波成分が現れる) Δt:パルス持続時間、V:縦波音波伝搬速、ζ:光吸
収深さ となる。1MHzから200GHz位までの振動を励起
するためには、この方法が適している。
【0032】以上の方法はさらに改良して、より高
い振動に適用することが可能である。
【0033】の方法は、プラズマによって結晶を気相
成長させる場合に採用することのできる方法である。
【0034】その際、プラズマを生成するための電磁場
と、結晶に振動を与えるための電磁場とは必ずしも同一
である必要はなく、既に存在しているプラズマに、必要
な周波数の電磁振動を与えると、エピタキシャル成長が
容易になる。
【0035】ダイヤモンドを例にとると、ダイヤモンド
は常温では絶縁体であるが、ダイヤモンドを気相成長さ
せる500℃以上の高温下では、ダイヤモンドはプラズ
マ中の荷電粒子に対して電気的に相互作用をし、見かけ
上導通体となる。よって、プラズマを通して振動をダイ
ヤモンドの成長表面に与えることが可能である。
【0036】熱フィラメント法、直流放電法、プラズマ
ジェット法等の方法よりも比較的容易に、2.45GH
zのマイクロ波CVD法でダイヤモンド基板上に、10
μm厚以下のダイヤモンド膜のエピタキシャル成長が行
い得るのは、2.45GHzの電磁場の振動の存在が、
これ迄に述べた理由でエピタキシャル成長に役に立って
いるからである。
【0037】従って、例えば、直流放電でプラズマを励
起している場合は、さらに1MHz以上の電磁振動をプ
ラズマに加えるとエピタキシャル成長が容易になる。
【0038】本方法で発生できるプラズマ振動の周波数
は、高周波電磁場の発生技術よりも、ガス圧力、プラズ
マ密度、電離粒子種のような、プラズマの性質によって
決定される。
【0039】具体的にプラズマ中の電子の自由振動周波
数νを簡単化して導出すると
【0040】
【数3】
【0041】n:電子の密度、e:電荷、ε0:誘電
率、m:電子の質量 となり、n=1×106〜1×1018個/cm3の範囲で
プラズマ周波数は約10MHz〜10THzの値をと
る。
【0042】ダイヤモンドの単結晶成長を促進するため
に結晶表面の原子を集団で任意に振動させることができ
れば、本発明に於いては、以上で述べた3通りの方法以
外の手段を採用しても何等差し支えない。
【0043】例えば、電子線を照射してダイヤモンド結
晶表面の炭素原子を励起電子状態にして、原子移動を行
わせることで結晶性の向上を図ることもまた可能であ
る。
【0044】
【作用】本発明のように成長中の結晶に、メガヘルツか
らテラヘルツのオーダーの振動を与えると、なぜ単結晶
化が促進されるのか明らかではないが、次のように推察
される。
【0045】一般に金、銀のような金属や、シリコン、
ゲルマニウム、ガリウム砒素の様な半導体は、成長表面
の原子があたかも2次元の気体の様に表面を動きまわっ
て再配列、島の融合・分離を行いながらエピタキシャル
成長をすることが明らかにされている。
【0046】これらの物質のヘテロエピタキシー(異な
る基板材料上の単結晶成長)の成長初期過程が、高分解
能・超高真空電子顕微鏡により観察された結果、以下の
事が明らかにされている。
【0047】即ち、原子が規則正しく(モアレ干渉縞で
見える)数千個集まった、直径100nm以下の大きさ
の単結晶2つが水滴のように振動しながら近づいたり遠
ざかったりしているうちに瞬間的に合体し、原子が規則
正しく並んだより大きな単結晶になる。
【0048】以上の過程に於いて、2つの単結晶は共鳴
して融合するものと推察されている。
【0049】銀の融点は960℃で、以上の現象は16
0℃でみられる。同様にシリコンの融点は1400℃で
以上の現象は350℃でみられる。
【0050】ダイヤモンドの融点(正確には黒鉛の融
点)は3500℃であり、500℃〜1000℃付近で
気相合成が行われているので、ダイヤモンドが銀やシリ
コンと同じ様な物質ならば、この温度の下で、微細な単
結晶同士の共鳴と融合がおこって容易に単結晶成長が起
こってもおかしくはない。
【0051】しかしダイヤモンドの場合は銀やシリコン
と異なって、そのままでは結晶核の融合は起こりにくく
多結晶体となってしまう。
【0052】一般に、融点が室温よりも高い結晶の欠陥
を解消し結晶性を良くするためには、融点よりもわずか
に低い温度にまで、結晶を加熱することが広く行われて
いる。
【0053】これは、結晶を構成する原子に熱による振
動を励起させることで、原子を“おさまり”のよい状態
にして、欠陥を解消しているのである。
【0054】しかし、ダイヤモンドの場合は高温にする
と炭素原子がより安定なsp2構造をとりやくなり黒鉛
が導入されてしまうという、炭素特有の問題がある。
【0055】そこで、ダイヤモンドの結晶核の融合を促
進するために、成長核同士が共鳴合体するのに適した振
動を与えることが有効であると考え、さらに、一つの欠
陥を解消するためにその欠陥に連なる原子が動く様相
は、初期成長過程での原子団の動きに準ずると考え、気
相成長中のダイヤモンドに、1MHzから10THzま
での高周波の機械的振動を与えると、ダイヤモンドの核
同士の融合や、結晶特異面での沿面成長、結晶欠陥の解
消、が促進されて良質な単結晶ダイヤモンドが成長する
ことを見出し、本発明を完成した。
【0056】本発明に用いる振動数の範囲は以下の考察
によっても理論的に妥当なことが判る。
【0057】すなわち、固体結晶は直径100nm以下
の大きさになると、結晶表面にある結合手が切れた原子
の割合が、結晶全体の原子数に対して増加することによ
り、原子同士の結合力は弱くなり融点が降下して液滴に
似た性質を示すことが明らかにされている。液滴の基本
固有振動数νは
【0058】
【数4】
【0059】γ:表面張力、ρ:密度、r:液滴半径 である。水分子に大きさが無いものと仮定して、水滴を
モデルにして基本固有振動数を計算すると、以下のよう
になる。
【0060】
【0061】但し、水滴と液滴状態の結晶とでは粘性定
数などが異なる上に、液滴状態の結晶の場合は電子状態
が変化していることによる量子サイズ効果の影響、及び
結晶の内部が一様でなく、表面と内部が異なる性質を持
つ殻―核構造の影響のために、水滴モデルから導出した
固有振動をそのまま適用するのはむずかしい。
【0062】特定の振動数の時に実際にどのくらいの大
きさの結晶が共鳴するのかは確かめられていない。
【0063】結晶の粒を小さくしてゆくと究極は2原子
分子となり、その固有振動数は一般に、数十THz程度
であるので、液滴状態の結晶の振動数は1MHz〜10
THzの範囲にあることが、理論的にも導出される。
【0064】この振動数の範囲の中でも、結晶がより小
さくて振動しやすい大きさのときに振動を励起できる、
1GHzから10THzの振動数が好ましい範囲であ
る。
【0065】結晶を構成する原子を制御性良く集団で振
動励起させて、結晶性の向上を図る本発明は、ダイヤモ
ンド以外の絶縁体、金属、半導体等の結晶性向上にも、
適用可能である。
【0066】
【実施例】
【0067】
【実施例1】LiNbO3単結晶(5×20×1mm)
の表面を表面粗度Ra=0.01μm以下に仕上げた
後、5×20mm平面上の一方の5mm辺に沿って4×
8mmの広さに、電極間隔1μmで簾状電極を作製し、
基板とした。
【0068】この基板を、電極を施した面を表にして、
裏側に銅製の水冷箱を銀ペーストで貼付け、簾状電極に
後述の炎が直接当たらないように電極表面を遮蔽板で覆
い保護した。
【0069】周波数1GHz、振幅3nmの横波表面弾
性波を励振させながら、火口径1mmの溶接器を用いて
酸素2.8 l/min、アセチレン3.0 l/min
の炎の還元炎部分を、基板表面温度を700℃に保ちな
がら簾状電極が作成されたのと同じ面の基板結晶表面部
分に10時間照射した。
【0070】その結果、周囲から徐々に厚みが盛り上が
って最大厚み300μm、顕微ラマンスペクトルの13
32cm-1ピークの半値幅がIIa型天然ダイヤモンド
と等しい、主に(100)面を成長表面に持つ無色透明
な円状のダイヤモンド膜が作成できた。
【0071】比較のため、表面弾性波を励振させないで
同じ条件でダイヤモンドを合成したところ、結晶面方位
がまちまちで、顕微ラマンの1332cm-1スペクトル
の半値幅がIIa型天然ダイヤモンドのそれよりも2倍
を示すダイヤモンドができた。
【0072】このことから、表面弾性波は結晶方位が制
御されかつ欠陥の少ないダイヤモンドを合成するのに効
果があることがわかる。
【0073】
【実施例2】10×10×1mmの形状のTiN焼結体
の表面を、表面粗度Ra=0.01μm以下に仕上げて
基板とした。
【0074】この基板を銅の水冷箱に銀ペーストで貼付
ける。火口径1mmの溶接器を用いて酸素2.8 l/
min、アセチレン3.0 l/minの炎の還元炎部
分を、基板表面温度を600℃に保ちながら照射すると
同時に、火口と基板との間に周波数100GHz、振幅
1.0Vp-pの高周波電場を与えながら、前記基板の表
面に10時間照射した。
【0075】その結果厚み300μm、顕微ラマンスペ
クトルの1332cm-1ピークの半値幅がIIa型天然
ダイヤモンドの1.2倍で、主に(100)面を成長表
面に持つ無色透明なダイヤモンドが作成できた。
【0076】比較のため、高周波電場を与えないで同じ
条件でダイヤモンドを合成したところ、結晶面方位がま
ちまちで、顕微ラマンの1332cm-1スペクトルの半
値幅がIIa型天然ダイヤモンドのそれよりも2倍を示
すダイヤモンドができた。
【0077】以上の結果から、高周波電場は結晶方位が
制御されかつ欠陥の少ないダイヤモンドを合成するのに
効果があることがわかる。
【0078】
【実施例3】有色透明な高圧法の人工ダイヤモンド(1
00)単結晶基板(2.0×2.0×0.5mm)を表
面粗度Ra=0.01μm以下に仕上げて基板とした。
【0079】内径100mmの石英反応管を垂直に立て
上方から反応ガスとしてH2 50sccm、CH4 3s
ccmを供給し、反応圧力35Torr、2.45GH
zマイクロ波発振機出力500Wの条件で、無極放電を
発生させガスを励起すると共に、ダイヤモンド基板を8
50℃に加熱しながらその(100)結晶表面にダイヤ
モンドを成長させると同時に、波長830nm、全出力
100mWのレーザー光を、パルス巾500フェムト
秒、スポットサイズ約3μmφ、繰り返し周波数100
MHzの条件で反応管の外からダイヤモンドの成長表面
に照射して、基板表面に周波数100GHz、振幅約
0.01nmのフォトサーマル振動を与えながら100
時間成膜を行なった。
【0080】その結果、基板表面に50μm厚の、(1
00)面を成長面とする無色透明なダイヤモンドエピタ
キシャル層が形成された。
【0081】このダイヤモンド成長層の顕微ラマンスペ
クトルの1332cm-1ピークの半値幅はIIa型天然
ダイヤモンドと等しく、試料表面を微分干渉顕微鏡で観
察したところ欠陥は認められなかった。
【0082】比較のため、レーザーを照射しないで同じ
条件でダイヤモンドを合成したところ、顕微ラマンの1
332cm-1スペクトルの半値幅がIIa型天然ダイヤ
モンドのそれと同等のダイヤモンドエピタキシャル膜が
得られた。
【0083】微分干渉顕微鏡により結晶軸に沿った割れ
が確認された。この結果から、フォトサーマル振動は欠
陥の少ないダイヤモンドを合成するのに効果があること
がわかる。
【0084】
【実施例4】直径700μmの高圧法の立方晶窒化硼素
(c―BN)粒子を、(100)面が表面を向くよう
に、Ta板に埋め込み基板とした。
【0085】内径100mmの石英反応管を垂直に立
て、内部に水冷可能な直径50mmのモリブデン(M
o)円板電極を100mmの間隔で上下に対向させ平行
平板型直流プラズマCVD装置とし、かつ反応管の側面
から2枚の平行平板の中間の位置に導波管を導いて、円
板電極を加熱することなくマイクロ波を注入できるよう
にして、直流+μ波CVD装置とした。
【0086】基板を下側の正極円板電極の上に載せ、反
応ガスとしてH2200sccm、CH4 1sccmを
供給し、反応圧力180Torr、直流電圧700V、
直流電流密度2A/cm2の直流放電を発生させると同
時に、50GHzマイクロ波発振機出力50Wの条件
で、基板温度を920℃に保ちながら90分間成膜を行
なった。
【0087】次に反応ガスをH2 200sccm、CH
4 4sccmとし、他の条件は同等にしてさらに10時
間成膜を続けた。
【0088】その結果c―BN粒子(100)面上に、
(100)面を成長面とする5μm厚の無色透明なダイ
ヤモンドエピタキシャル層が形成された。
【0089】このダイヤモンド成長層の顕微ラマンスペ
クトルの1332cm-1ピークの半値幅はIIa型天然
ダイヤモンドと等しく、表面を走査型電子顕微鏡で観察
したところ平坦な連続膜であった。
【0090】比較のため、マイクロ波を注入しないで他
は同じ手順でダイヤモンドを合成したところ、顕微ラマ
ンの1332cm-1スペクトルの半値幅がIIa型天然
ダイヤモンドの1.5倍あり、結晶軸に沿った割れと所
々に二次成長結晶を有する、エピタキシャルダイヤモン
ド膜が得られた。
【0091】このことから、プラズマ振動は結晶方位が
制御されかつ欠陥の少ないダイヤモンドを合成するのに
効果があることがわかる。
【0092】
【実施例5】銅板(2.0×2.0×0.5mm)を表
面粗度Ra=0.01μm以下に仕上げて基板とした。
【0093】容量50 lの真空鐘内の水冷金属箱に、
この銅基板の裏側を銀ペーストで貼り付けた。
【0094】次に、火口径1mmの溶接器を空気の入っ
ている真空鐘内に設置し、酸素2.8 l/min、ア
セチレン3.0 l/minの炎の還元炎部分を、銅基
板表面に照射した。約15分後に真空鐘内の酸素がなく
なり外炎が消滅する。
【0095】次に水素バブル法によりエタノールを3v
ol.%、0.15 l/minこの真空鐘内に雰囲気
ガスとして導入した。
【0096】以上の状態で、油回転ポンプにて真空鐘内
を排気し、鐘内圧力を100Torrに設定し、炎を基
板表面に垂直に照射した。
【0097】このとき炎の先端と基板との間には約30
mmの距離があった。さらに、45度斜め基板上方30
mmに設置した、直径0.6mmのタングステン線から
なる長さ10mm、直径5mmの7回巻フィラメントを
通電加熱した。
【0098】基板を正極にして基板とフィラメントとの
間に200kVの電位差を設け、フィラメントからの電
子電流が1mAとなるように、フィラメントの通電量を
調節した。
【0099】この状態で基板表面温度を630℃に保ち
ながら1時間ダイヤモンドを合成した。
【0100】その結果、析出したダイヤモンド粒子のう
ち約50%が(111)面を主面とする、幅約80μ
m、厚さ約2μmの平板型ダイヤモンドとなった。
【0101】この平板型ダイヤモンドは、透明で、(1
11)主面に二次核成長や欠陥が見られない高品質なダ
イヤモンドであった。
【0102】また、このダイヤモンドの顕微ラマンの1
332cm-1スペクトルの半値幅は、IIa型天然ダイ
ヤモンドの半値幅と同等であった。
【0103】比較のため、基板とフィラメントとの間に
電位差を設けないで同じ条件でダイヤモンドを合成した
ところ、析出したダイヤモンド粒子のうち約18%が、
(111)面を主面とする、幅約30μm、厚さ約5μ
mの平板型ダイヤモンドとなった。
【0104】この平板型ダイヤモンドは、透明で、(1
11)主面に二次核成長や欠陥が見られない高品質なダ
イヤモンドであった。
【0105】また、顕微ラマンの1332cm-1スペク
トルの半値幅は、IIa型天然ダイヤモンドの半値幅の
1.1倍であった。
【0106】以上により、熱フィラメントから放出され
る適当なエネルギーの電子線は、特定の方位を成長させ
た結晶性の良いダイヤモンドを合成するのに効果がある
ことがわかる。
【0107】
【発明の効果】本発明により、欠陥の少ない良質なダイ
ヤモンド結晶、特に膜厚の厚いダイヤモンドエピタキシ
ャル膜を気相合成でき、光学窓材料、ダイヤモンド電子
材料等の用途が拓かれる。
フロントページの続き (72)発明者 沖田 拓士 川崎市中原区井田1618番地 新日本製鐵株 式会社先端技術研究所内 (72)発明者 杉浦 勉 川崎市中原区井田1618番地 新日本製鐵株 式会社先端技術研究所内 (72)発明者 佐藤 眞樹 川崎市中原区井田1618番地 新日本製鐵株 式会社先端技術研究所内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ダイヤモンド結晶の気相合成において、
    周波数1メガヘルツ以上10テラヘルツ以下の振動を、
    ダイヤモンド結晶を成長させる基板、もしくはダイヤモ
    ンド結晶の成長面に与えながら該結晶を成長させること
    を特徴とするダイヤモンド結晶の成長方法。
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