JPH048578B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ＜産業上の利用分野＞ この発明は、Ｕ字状側溝の底板をＵ字状側溝本
体と同時に成型し、かつ前記底板を水平又は傾斜
せしめる等の処理を簡便に行なうことができるよ
うにしたＵ字状側溝及びその製造方法に関するも
のである。

＜従来の技術及びその問題点＞ いわゆる掃流効果をもたらすＵ字状側溝の構造
及び施工方法は次の通りであつた。すなわち底板
を開放した側壁部及び蓋の一部を一体成型すると
ともに、これを現場に敷設した後、底板にコンク
リートを上面が傾斜するように現場打ちするとい
うのが最も古い方法である。このものにあつて
は、底板の施工が現場で行なわなければならない
という作業性、経済性の悪さが指摘されている。
特に底板の施工は、両側壁部の間に作業員が入り
込んで行なわなければならず、この両側壁部の間
隔は、狭いもので30cm、広いものでもせいぜい60
cm程度しかないため、その内部での作業に大きな
制約が伴なうのである。

そこで前記底板に打設すべきコンクリートを現
場打ちする煩雑性を解消するためのものとして、
底板を両側壁部と分離可能に工場で成形したもの
が登場した。前記のように底板と両側壁部が分離
可能に成型する方法としては、底板の両側壁部の
境目となる部分、すなわち分離する部分に深いＶ
字状の溝を成型時にあらかじめ形成しておき、全
体を現場に敷設した後に、前記連結部をノミ等で
強制的に切断し、底板のみを両側壁部から分離す
るのである。ところがこのようなＵ字状側溝に掃
流効果を与えるためには、底板が水平ではなく、
下流方向に下傾した状態に設置すなければなら
ず、そのためには分離した底板を一方の側壁部に
沿うように垂直に立て、底板の下面に位置する部
分にモルタル又はコンクリートを敷き、このモル
タル又はコンクリートで傾斜面を与え、その上に
底板を敷くが如く倒し、底板の両側と両側壁部と
の間に形成される目地を仕上げモルタルでコーキ
ングしていたのであつた。しかしこのものにおい
ても底板の下面にモルタル又はコンクリートを打
設しなければならないという問題点を有するのみ
ならず、底板を垂直に立てるとは言つても、それ
自体の重量も決して少くないため、通常作業員が
２人掛りで行なつていた。

このような作業は従来それ以上の方法がないた
め止むを得ず行なわれていたのであり、底部の処
理に関する改良が求められていたのである。

＜問題点を解決するための手段＞ そこでこの発明にかかるＵ字状側溝及びその製
造方法は前記の問題点を解決するために、Ｕ字状
側溝を、公知の形状に形成したＵ字状側溝本体の
底板を側壁部と分離して形成し、前記側壁部の内
側面に上下方向のガイド溝を形成するとともに、
底板の両側にガイドピンを突設し、かつガイドピ
ンをガイド溝に対して可動に係合せしめて形成し
て、底板をガイドピンを支点としてガイド溝内に
沿つて上下動又は傾斜させ、この底板の下面に形
成される空隙部にモルタル等を充填させて処理で
きるようにし、また公知形状を有するＵ字状側溝
本体の側壁部と底板を分離可能に弱く連結して一
体成型するとともに、前記成型時に側壁部にガイ
ド溝を成型し、ガイドピンの端部がガイド溝に係
合するように底板内にインサートせしめ、成型後
にガイドピンをガイド溝に可動に係合せしめた状
態で底板を側壁部から分離するようにしたＵ字状
側溝の製造方法を提供するものである。

＜実施例＞ (イ) Ｕ字状側溝の構成 図において１は公知の形状にコンクリートで成
型したＵ字状側溝本体であり、このＵ字状側溝本
体１は底板２と側壁部３とから構成されている。
しかし底板２は側壁部３から分離した状態で構成
されている。なお、図示する実施例において底板
２の上面を湾曲状に表現してあるのは、掃流効果
を高めるためであり、湾曲するものに限定するも
のではなく、したがつてフラツト状であつてもよ
い。４は側壁部３の略中央下部に形成したガイド
溝であり、このガイド溝４はコンクリート製の側
壁部３に直接形成してもよいが、第５図に示すよ
うに円滑性を考慮して合成樹脂製のガイド部材５
を介して形成してもよい。６は底板２の両側縁略
中央に突設したガイドピンであり、このガイドピ
ン６は、例えば金属で形成されている。そしてこ
のガイドピン６は前記ガイド溝４に対して可動に
係合させることによつて、底板２を側壁部３に連
結してある。したがつて底板２と側壁部３が分離
した状態で構成されると前述したが、分離されて
いるのは、コンクリート部分のみであり、ガイド
ピン６はガイド溝４に対して可動に係合されてい
るので、その意味では分離しているわけではな
い。尚、この底板２には後述する目的をもつて、
１又は２以上の吊り上げ用孔７及びグラウト又は
モルタル等を注入するための１又は２以上の注入
孔８を形成することもある。

(ロ) Ｕ字状側溝の製造方法 第６図にもとづいて説明すると、Ｕ字状側溝本
体１の底板２となるべき部分と側壁部３となるべ
き部分を一体成型する。この場合、前記底板２と
なるべき部分と側壁部３となるべき部分の境目
は、施工時に容易に分離することができるように
弱く連結した状態で成型するのである。そのため
には、前記従来例のように境目に深目のＶ溝９を
形成するように成型すればよいのである。そして
この場合、前記ガイド溝４、底板２の吊り上げ用
孔７及び注入孔８も同時に成型するとともに、底
板２の両側縁に突設するガイドピン６は、その一
端をインサートせしめた状態で成型するのであ
る。そして工事現場において、Ｕ字状側溝本体１
を敷設した後に、前記底板２となるべき部分をＶ
溝９の部分において側壁部３となるべき部分から
分離するのである。尚、この場合においても、分
離されているのは、コンクリート部分のみであ
り、ガイドピン６はガイド溝４に対して可動に係
合されているので、その意味では分離されている
わけではない。また上記した注入孔８の成型につ
いては、この注入孔８がいかなる場合にも必要と
するとは限らないことは後述の通りであるから、
成型に際しては、第３図に示すように底板２の上
下方向に貫通せしめて成型するのではなく、底板
２の上面において薄膜状に閉塞した状態で成型
し、使用する際に打ち抜けばよい。

(ハ) Ｕ字状側溝の使用方法 成型後、底板２と側壁部３とが弱く連結された
状態のＵ字状側溝本体１を工事現場において必要
とする位置に設置する。この場合、底板２は水平
の状態で連結されているので、水平な流路とすべ
き場合は、単に敷設すればよい。

しかし流路に勾配を与える場合には、Ｕ字状側
溝本体１の側壁部３の上縁を一致させて複数のＵ
字状側溝本体１を敷設した後、底板２部分を側壁
部３から分離する。この場合、ガイド溝４に対す
るガイドピン６の係合状態は維持されているの
で、分離するといつてもコンクリート部分が分離
することになる。そして分離された底板２を、下
流側が下になるように傾斜せしめて、底板２の下
面の空隙部にグラウト又はモルタルを注入充填す
るのであるが、この注入については、例えば底板
２と側壁部３との間に生ずる間隙から行なつても
よいが、底板２に形成してある注入孔８にホース
を差し込んで注入してもよい。この場合、注入孔
８の上面は薄く閉塞されているので、これをハン
マー等で打破すれば開口することになる。また底
板２を傾けるためには、底板２の上流側を上昇せ
しめなければならないが、このためには、吊り上
げ用孔７にワイヤーを連結せしめて上方に上げ、
下流側が下になるように傾斜せしめるのである。
底板２を上昇せしめると、ガイドピン６がガイド
溝４に係合した状態で上昇することになり、傾斜
せしめるときにも前記ガイドピン６を支点とし
て、シーソー状に傾斜させるのみでよいのであ
る。以上のように底板２を勾配の確定した状態
で、各目地、吊り上げ用孔７及び注入孔８にそれ
ぞれモルタルを詰めるものとする。

＜発明の効果＞ 前記のようにこの発明にかかるＵ字状側溝及び
その製造方法によれば、Ｕ字状側溝を、公知の形
状に形成したＵ字状側溝本体の底板を側壁部と分
離して形成し、前記側壁部の内側面に上下方向の
ガイド溝を形成するとともに、底板の両側にガイ
ドピンを突設し、かつガイドピンをガイド溝に対
して可動に係合せしめて形成してあるので、底板
をガイドピンを支点としてガイド溝内に沿つて上
下動又は傾斜させ、この底板の下面に形成される
空隙部にモルタル等を充填させて処理できるとい
う効果を有し、またこのＵ字状側溝を製造するに
際して、公知形状を有するＵ字状側溝本体の側壁
部と底板を分離可能に弱く連結して一体成型する
とともに、前記成型時に側壁部にガイド溝を成型
し、ガイドピンの端部がガイド溝に係合するよう
に底板内にインサートせしめ、成型後にガイドピ
ンをガイド溝に可動に係合せしめた状態で底板を
側壁部から分離するようにするので、各部品の組
み合わせでありながら、同時成型が可能となると
いう効果を有するのである。

【図面の簡単な説明】

図面はこの発明にかかるＵ字状側溝及びその製
造方法の実施例を示すもので、第１図はＵ字状側
溝本体の斜視図、第２図は第１図のＡ−Ａ線断面
図、第３図は第１図のＢ−Ｂ線断面図、第４図は
底板の斜視図、第５図は第２図のＣ−Ｃ線断面
図、第６図はＵ字状側溝本体を脱型した状態の正
面図、第７図は底板に勾配を与えて設置した状態
の断面図である。 １……Ｕ字状側溝本体、２……底板、３……側
壁部、４……ガイド溝、５……ガイド部材、６…
…ガイドピン、７……吊り上げ用孔、８……注入
孔、９……Ｖ溝。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 公知の形状に形成したＵ字状側溝本体の底板
   を側壁部と分離して形成し、前記側壁部の内側面
   に上下方向のガイド溝を形成するとともに、底板
   の両側にガイドピンを突設し、かつガイドピンを
   ガイド溝に対して可動に係合せしめて形成したこ
   とを特徴とするＵ字状側溝。 ２ ガイド溝を側壁部の長手方向中央に形成する
   とともに、ガイドピンを底板の長手方向中央に突
   設した特許請求の範囲第１項記載のＵ字状側溝。 ３ 公知形状を有するＵ字状側溝本体の側壁部と
   底板を分離可能に弱く連結して一体成型するとと
   もに、前記成型時に側壁部にガイド溝を成型し、
   ガイドピンの端部がガイド溝に係合するように底
   板内にインサートせしめ、成型後にガイドピンを
   ガイド溝に可動に係合せしめた状態で底板を側壁
   部から分離するようにしたことを特徴とするＵ字
   状側溝の製造方法。 ４ ガイド溝を側壁部の長手方向中央に形成する
   とともに、ガイドピンを底板の長手方向中央に突
   設した特許請求の範囲第３項記載のＵ字状側溝の
   製造方法。