JPH0476786B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明はオンデマンド型インクジエツトヘツド
を搭載したシリアルプリンターに関する。

第１図は一般的なインクジエツト式シリアルプ
リンターの概略図で、インクジエツトヘツドはキ
ヤリツジ２に搭載され、キヤリツジ２はプラテン
３に対向してガイド軸４，５に沿つて往復駆動さ
れる。ヘツド１には、駆動信号を与えるためのフ
レキシブルプリント基板（FPC）で作られた信
号入力線６と、インクタンク８からのインクをヘ
ツド１へ供給するためのインクチユーブ７とが設
けられている。当然のことながらヘツド１にはそ
のプラテン３の対向部にノズル孔が設けられ、こ
のノズル孔からインクを噴射してプラテンに装着
された記録紙に所定の記録が行われる。

ここで問題になるのは、ヘツド１がガイド軸
４，５に沿つて往復駆動されながら記録を行なう
にあたつて、方向が変化するときにヘツド１に過
大な加速度が付与され、そのときインクチユーブ
７内のインクにも加速度が与えられ、これがヘツ
ド１へ微妙な影響を与えることにある。例えば第
１図でヘツド１が右から左へ駆動され左端で停止
する時は、インクチユーブ７内のインクはヘツド
１のノズル孔部では加圧されノズル孔からインク
が流出し、逆に左から右へ駆動され右端で停止す
る時には、インクチユーブ７内のインクは、ノズ
ル孔部で負圧となりノズル孔から空気を吸い込む
ことになる。不必要なインクの流出はプリンター
を汚染するし、ノズル孔からの空気の吸い込みは
インク滴の噴射不能につながり、いずれにしても
プリンターの信頼性の低下をもたらす。このよう
な状況は、印字速度が低いプリンターでは影響が
少ないが（加速度が小さくなるため）、高級な高
速プリンターになる程、その影響が大となる。こ
れを避ける方法としてインクタンクをキヤリツジ
上に搭載する方法、インクチユーブをヘツド近傍
でラセン状に巻回して加速度の影響を弱める工
夫、さらにキヤリツジの加減速をゆるやかにする
方法、などがとられているが、インクタンクをキ
ヤリツジ上に搭載するとインクタンクのためキヤ
リツジの駆動のための負荷が大きくなるとか、大
きなインクタンクを動かすとそれだけスペースが
要求され、プリンターが大型化するし、インクチ
ユーブを巻回する方法は完全な方法とはならず、
又、キヤリツジの加速度をゆるやかにするのもそ
れだけプリンターの印字速度を落とすことになり
機能低下になるなど、従来の対策は不完全なもの
であつた。

また、従来のダンパー部材では、壁面の一部が
弾性体等の可撓性部材で構成されていたが、ダン
パー部材がキヤリツジとともに移動するとき、可
撓性部材が対向する面に一旦接触してしまうと、
可撓性部材は対向面に張り付いて離れることがで
きなくなり、ダンパー機能が失われてしまうとい
う欠点を有していた。

本発明は上記問題点を解決し、ダンパー機能の
優れた信頼性が高いインクジエツト式シリアルプ
リンターを提供することにある。

第２図は本発明の一実施例となるインクジエツ
トヘツドブロツクの展開図である。１０はオンデ
マンド型インクジエツトヘツド体でピエゾ素子１
１に電圧を付与することによつてピエゾ素子１１
に生ずる撓みを利用してノズル孔よりインクを噴
射する従来から知られたヘツドであり、ここでは
ノズルを高集積するためヘツド体１０の両面にピ
エゾ素子１１が配置されている。当然ピエゾ素子
の数だけノズル孔が設けられており、このような
形状にすることにより１個のヘツド体１０に24〜
32個のノズルを有する高集積マルチノズルヘツド
とすることができる。１２は導電ゴムでピエゾ素
子１１とFPC１３の銅箔部との電気接続をとる。
１４はパツキング、ゴム等の弾力のある材料で成
形されていてピエゾ素子１１およびFPC１３と
の電気接続部へのインクの浸入を防止するととも
にFPC１３をヘツド体へ押圧することによつて
電気接続を確実ならしめる作用を有する。１５は
ヒーター基板でステンレス板で作られ、このヒー
ター基板１５上にヒーター１６と、温度検出用の
サーミスタ１７を接着されている。このようなヒ
ーターはインクが低温でその粘性が上昇するのを
防止するもので常に一定粘度でヘツド体１０とし
て効率的にインク噴射するとともに、常に一定の
インク滴が噴射できるので常に印字品質の一定し
た印字が行える効果を有する。ヒーター１６とし
ては任意のヒーター原料を用いることが可能であ
るが、ここではポジスタ（村田製作所、商標）と
呼ばれるある温度にキユーリー点を持ちその温度
以下では低電気抵抗を有し、その温度以上では高
電気抵抗を有する自己温度制御素子を用いた。

但しこれは、間違つてもキユリー点＋αの温度
以上には上昇しないという安全性の点からで温度
制御はサーミスタ１７で行つている。これは希望
温度よりかなり高目のキユーリー点を持つ素子を
用いることによつて低温度下でヘツド温度を敏速
に高めることができるようにするためである。

次に１８は第１インクチユーブでその一端はヘ
ツド体１０に他端はダンパー部材１９の一端につ
ながつている。ダンパー部材１９の他端は第２イ
ンクチユーブ２０の一端がつながり、その他端は
インクタンクからのインクチユーブにつながる。
ダンパー部材１９の構造は後に詳述するが、イン
クタンクからのインクが第２インクチユーブ２０
からダンパー部材１９さらに第１インクチユーブ
１８を径て、ヘツド体１０に供給されるが、この
ダンパー部材１９の役割は前述したキヤリツジの
急激な加減速時に、受けるインクチユーブ内のイ
ンクに与えられる加減速を大幅に制限するもので
ある。

２１，２２は一対のヘツドホルダーでヘツド体
１０以下ダンパー部材１９、第２インクチユーブ
２０まで一体に組込むものである。２３は弾性体
の先端パツキンで、ヘツド体１０の先端に装着し
先端押え２４で押圧され、ヘツドホルダー２１，
２２内へのインクの浸入を防ぐとともに、先に出
願した特願昭57−141297号記載の如く、ヘツドノ
ズル面に吸引キヤツプを係合させて、インクの充
填を行うにあたつて、この先端押え２４の表面に
吸引キヤツプを係合させることにより、より気密
性を高め、効率よくインクの充填、パージなどが
行える効果を有する。

次に９はヘツドのノズル面を保護するためのマ
スクで、ヘツドホルダー２１，２２に先端押え２
３を装着後、ヘツドホルダー２１，２２の両面に
取りつけられている。このマスク９を取りつけた
状態の側面図を第７図ａに、上面図をｂに示す。

この図に示すようにマスク９の先端面１０２は
ヘツド体１０のノズル面１０１とほぼ平行になつ
ていて、しかもマスク先端面１０２の方がノズル
面１０１より突出しているのが特徴でそのギヤツ
プａは0.1〜0.4mmくらいに設定される。ノズル面
１０１及び先端面１０２は、プリンター機構では
プラテンに対向する面であり、印字中は記録紙と
対向する。プラテンに巻着された記録紙は常にプ
ラテンに密着していることが理想であるが、ロー
ル紙で長時間記録するときにも完全密着は不可能
で小量の浮きは避けられないし、ミシン目のある
連続紙の場合、ミシン目での浮きは絶対に避けら
れない。このような記録紙の浮きに対して、ノズ
ル面１０１を保護するのがこのマスク９の役目で
ある。即ち、記録紙が浮いたとき、これがノズル
面１０１と接触するとノズル面のノズル孔に微妙
な影響を与える。ノズル孔への気泡の浸入、ノズ
ル孔への紙粉の付着などで、これらは印字の劣
化、印字不能につながる。しかるに本実施例の構
成では、紙の浮きに対してマスク９の先端面１０
２が先づ接触するのでノズル面１０１への接触を
回避できる。従つて、記録紙によつて気泡の浸
入、紙粉の付着といつたトラブルが避けられ信頼
性の向上がはかれる利点を有する。なお、このマ
スク９はノズル面１０１とのギヤツプａを管理す
る必要があるためネジ９１をゆるめてマスク９を
ピン９２を中心に矢印９３のごとく回転させてギ
ヤツプａを調整しネジ９１を締めつけて固着する
方法で取りつけられる。

次に上述で詳しい説明を省略したダンパー部材
について述べる。第３図は第２図で用いたダンパ
ー部材１９の一実施例を示す展開図で、このダン
パー部材１９はポリエチレンの射出成形により第
１インクチユーブ１８、第２インクチユーブ２０
と一体に成形されキヤビテイ２５が設けられてい
るとともに第１インクチユーブ１８と第２インク
チユーブ２０とのインク管接続部にこのキヤビテ
イ２５への分岐管２６が設けられている。２７は
このキヤビテイ２５を覆いその一壁面となるポリ
エチレンフイムでダンパー部材１９に融着され
る。

２８はキヤビテイ２５内の突起で、ポリエチレ
ンフイルム２７のキヤビテイ２５内への撓み過ぎ
を防止する。第４図はこのダンパー部材１９の断
面図であり、ポリエチレンフイルムはキヤビテイ
２５の可撓性壁面となつている。インクタンクか
らのインクがこのダンパー部材１９を介してヘツ
ド体へ供給されるとき、分岐管を通してキヤビテ
イ内へもインクが入る。ノズル面から吸引してイ
ンクを充填する場合はキヤビテイ２５内の空気は
少なくなるのでこの内部はかなりインクで満たさ
れる。いずれにしてもインクチユーブ内のインク
に加速度が加わつた場合にはこのダンパー部材１
９のキヤビテイ２５内の残空気によつてその急激
な加速度が吸引される。万一、キヤビテイ２５内
に残空気がなくなつた場合にはポリエチレンフイ
ルム２７による可撓壁面で加速時の吸収が行え
る。

又、このようなダンパー部材１９をヘツドホル
ダー内に装着した為、第１インクチユーブ１８を
非常に短かくでき先に述べたキヤリツジの急加速
に十分対応できる衝撃吸収装置とすることができ
た。又、ポリエチレン製で第１，第２インクチユ
ーブと一体で射出成型したのでチユーブの接続箇
所が少くできることもチユーブにフレキシビリテ
イを与えることもできた。

次に第５図にダンパー部材の他の実施例を示
す。このダンパー部材は可撓性フイルムの袋状の
もの２９をＴ字形分岐チユーブ３０と接続したも
ので、フイルム袋２９は全面可撓壁で構成された
ダンパーとして機能することは前述の説明で理解
されるであろう。

第６図はダンパー部材の他の実施例を示すもの
で、フイルター内蔵型ダンパー部材である。ダン
パー部材は２体３１，３２で構成され、この２体
のダンパー部材３１，３２の間にフイルターが装
着されるとともにこのフイルター３３を境に２つ
のキヤビテイ３６，３７が構成され、前述同様、
可撓性フイルム３８が融着され可撓壁面となる。
図の如く、第１インクチユーブ３４は第１ダンパ
ー部材３１に、第２インクチユーブ３５は第２ダ
ンパー部材３２と一体であるのでインクタンクか
らのインクは第２インクチユーブ３５から第２キ
ヤビテイ３７に入りフイルター３３を径て第１キ
ヤビテイ３６から第１インクチユーブ３１へ、更
にヘツド体へ供給される。このようにダンパー内
をインクが流れるとき常にフイルター３３を通過
するのでインク内外のゴミ等を除去された清浄な
インクをヘツドへ供給できる効果を有する。特に
微小ノズルからインクを噴射するインクジエツト
装置としてはフイルターが不可欠であり、これを
ダンパー部材と共用できることは合理化の点でも
効果が大である。又、実施例が前述と同様にダン
パー機能を持つことも容易に理解されよう。

本発明によれば、ダンパー部材が、キヤリツジ
の往復方向と交差する方向に偏平な凹状キヤビテ
イを形成するベース部材と、該ベース部材に対向
して前記キヤビテイを覆う可撓性部材とを備え、
且つ前記ベース部材と前記可撓性部材との間に突
起を有することにより、インクを介して可撓性部
材とベース部材とが張り付く面積が突起のない場
合と比較して小さくなるため、可撓性部材が離れ
易く、また、仮令可撓性部材がインクを介してベ
ース部材に張り付いたままであつても突起に接触
している箇所以外は撓み変位が可能であるため、
ダンパー機能が損なわれず、信頼性の高いインク
ジエツト式シリアルプリンターを提供できるもの
である。即ち、可撓性部材はキヤリツジの往復動
によりベース部材側にへこんだり逆側に膨らんだ
りするが、へこんだ状態で突起がない場合、可撓
性部材とベース部材との間にインクの表面張力に
より広い面積で薄いインク膜ができ、このインク
膜を介して可撓性部材とベース部材とが張り付い
た状態となりダンパーとして機能しなくなる。こ
のインク膜を介する張り付きを防止するためにダ
ンパー部材のキヤビテイを深くすることも考えら
れるが、その分空間が大きくなり、空間中の空気
が温度上昇により膨張してクリーニング時にノズ
ル側から吸引されたときにインクジエツトヘツド
側に吸い出されてインク吐出不良・吐出不能を引
き起こすという別の問題を生じてしまう。しかし
ながら本発明はベース部材と可撓性部材との間に
突起を有することにより、インクを介して可撓性
部材とベース部材とが張り付く面積を小さくし、
可撓性部材が容易に離れる或は可撓性部材が撓む
余地を残すことを可能にして、ダンパー機能を安
定して確保することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は一般的なシリアルプリンターの概要
図、第２図は本発明の一実施例となるヘツドブロ
ツクの展開図、第３図は本発明の一実施例となる
ダンパー部材の展開図、第４図はその断面図、第
５図，第６図は本発明のダンパー部材の第２，第
３の実施例を示す図である。第７図はマスクの取
付け状態を示す側面図及び上面図である。 １０…ヘツド体、１１…ピエゾ素子、１２…導
電ゴム、１３…FPC、１４…パツキン、１５…
ヒーター基板、１６…ヒーター、１７…サーミス
タ、１９…ダンパー部材、２１…ヘツドホルダ
ー、２３…先端パツキン、２４…先端押え、９…
マスク、２２…ヘツドホルダー。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 記録紙に対し往復駆動されるキヤリツジと、
   該キヤリツジ上に搭載されたインクジエツトヘツ
   ドと、インクタンクから前記インクジエツトヘツ
   ドへインクを供給するためのインク供給管の途中
   で前記キヤリツジ上に配置された圧力変動吸収用
   のダンバー部材とを備え、 前記ダンバー部材は、前記キヤリツジの往復方
   向と交差する方向に偏平な凹状キヤビテイを形成
   するベース部材と、該ベース部材に対向して前記
   キヤビテイを覆う可撓性部材とを備え、且つ前記
   ベース部材と前記可撓性部材との間に突起が設け
   られていることを特徴とするインクジエツト式シ
   リアルプリンター。