JPH0462877B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

「産業上の利用分野」 本発明は、熱転写記録用受像シートに関し、特
に熱昇華性染料を利用した熱転写記録用の受像シ
ートの改良に関するもので、記録感度に優れ、且
つ記録像の保存性が著しく改善された受像シート
を提供するものである。 「従来の技術」 入力信号と同時に記録像の得られる熱記録方式
は、装置が比較的簡単で安価なうえに低騒音であ
るため、フアクシミリー、計算機用端末プリンタ
ー、測定機器用プリンター等多方面に利用されて
いる。 これらの熱記録方式に使用される記録媒体とし
ては、加熱により物理的、化学的変化を起して発
色する記録層を設けた所謂発色タイプ感熱記録紙
が最も一般的に使用されている。然し乍ら、かか
る記録紙は製造工程中や保存中に不要な発色を起
しやすく、又記録された像の保存安定性にも劣つ
ており、有機溶剤や化学薬品等との接触によつて
褪色現象を起してしまう。 そのため、発色タイプ感熱記録紙に代る記録媒
体として、有色の色材そのものを利用した記録媒
体を用いる記録方式が提案されており、例えば特
開昭51−15446号公報には、常温では固体又は半
固体状の色材を紙、ポリマーフイルム等の基材上
に塗布しておき、基材上の色材と記録紙とを接触
させ、熱記録ヘツドにより基材上の色材を加熱し
て選択的に記録紙に色材を転移させて記録像を得
る方式が提案されている。 この記録方式では基材上の色材を熱によつて溶
融、蒸発、昇華せしめ、記録紙に転移させて粘
着、吸着、染着によつて記録像を得るものであ
り、記録紙として普通紙が利用できる特徴がある
とされている。そして、特に色材として昇華性染
料を用いる記録方式では諧調性に優れた画像が得
られるため、フルカラー記録用途への応用が試み
られている。 しかし、記録紙として普通紙を用いた場合に
は、特に染着が起り難く、記録像の色濃度が低い
ばかりでなく、経時によつて著しい褪色現象を起
してしまう。そのため、特開昭57−107855号公
報、特開昭59−165688号公報、米国特許第
3601484号公報等に記載の如く熱可塑性樹脂を主
成分とする受像層を形成した受像シートが使用さ
れている。 「発明が解決しようとする問題点」 熱可塑性樹脂を主成分とする受像層を形成する
ことによつて、記録感度や保存性は一応改良され
るが、必ずしも充分ではなく、光の照射によつて
記録像が褪色したり、長期間保存すると染料が受
像層内でブリード現象を起こして記録像の解像度
が低下する等のトラブルが発生する。 かかる現状に鑑み、本発明者等は有色の色材、
特に熱昇華性染料を熱転移させる記録方式に用い
て有用な熱転写記録用受像シートの改良について
鋭意研究をした結果、受像層を特定の組成から成
る熱可塑性樹脂で形成することによつて、記録感
度に優れ、極めて鮮明で色濃度の高い記録像が得
られるのみならず、記録像の保存性にも優れた特
性を発揮する受像シートを完成するに至つた。 「問題点を解決するための手段」 本発明は色材転写シートから転写像を受理する
熱転写記録用受像シートにおいて、該受像シート
の受像層が塩化ビニル・ビニルアルコール共重合
体と多価イソシアネート化合物との反応物を主成
分とすることを特徴とする熱転写記録用受像シー
トである。 「作用」 本発明の受像シートにおいて、受像層を構成す
る主成分である塩化ビニル・ビニルアルコール共
重合体は、一般に塩化ビニル・酢酸ビニル共重合
体の酢酸ビニル基の少なくとも一部を加水分解に
よつてビニルアルコール基に変性して合成され
る。 塩化ビニル・ビニルアルコール共重合体の塩化
ビニル基の一部は、他のビニルモノマーで置換し
てもよいが、塩化ビニル基の有する優れた染料染
着能を維持するために、少なくとも共重合体を構
成する全モノマーの50重量％以上、より好ましく
は80重量％以上を塩化ビニルで構成するのが望ま
しい。また、ビニルアルコール成分は多価イソシ
アネートとの反応性を効果的にするため、共重合
体を構成する全モノマーの0.1重量％以上、より
好ましくは１〜10重量％程度の範囲で含まれてい
るのが望ましい。 かかる塩化ビニル・ビニルアルコール共重合体
は、例えばエスレツクＡ〔積水化学社製〕やビニ
ライトVAGH〔ユニオンカーバイド社製〕等の商
品名で一般に市販されている。 本発明において、塩化ビニル・ビニルアルコー
ル共重合体と反応させる多価イソシアネート化合
物としては、例えばヘキサメチレンジイソシアネ
ート、４，4′−ジフエニルメタンジイソシアネー
ト、トルイレンジイソシアネート、キシリレンジ
イソシアネート等に代表されるジイソシアネート
類；トリフエニルメタントリイソシアネート等に
代表されるトリイソシアネート類；トルイレンジ
イソシアネートのトリメチロールプロパン付加
体、ポリメチレンポリフエニルイソシアネート等
に代表される多価イソシアネート類等の如く分子
中に２個以上のイソシアネート基を有する化合物
が用いられる。 これらの多価イソシアネートは、塩化ビニル・
ビニルアルコール共重合体に対して50重量％以
下、好ましくは１〜10重量％程度の範囲で使用さ
れるが、受像層形成用の塗液中に添加するか、受
像層を形成した後で受像層上にオーバーコート
し、塗液の乾燥工程あるいは後処理工程での熱作
用によつて塩化ビニル・ビニルアルコール共重合
体と反応せしめられる。 本発明の受像シートにおいて、受像層中には筆
記性向上等の目的で、例えば重質、軽質炭酸カル
シウム、タルク、クレー、天然、合成珪酸類、酸
化チタン、水酸化アルミニウム、酸化亜鉛、尿素
ホルムアルデヒド樹脂粉末等の無機、有機顔料を
添加したり、受像層の改質、他機能の付与を目的
として、例えば紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電
防止剤、離型剤、滑剤等の各種助剤を添加するこ
ともできる。また、本発明の特性を損なわない範
囲で他の合成樹脂を併用することも可能である。 受像層形成成分の支持体への塗布量は受像シー
トの使用目的等に応じて適宜調節されるが、一般
的には４〜15ｇ／m²程度の範囲で塗布される。 支持体としては普通紙、合成紙、合成樹脂フイ
ルム等が適宜選択して用いられるが、熱特性に優
れているため普通紙の使用が好ましい。ここでい
う普通紙は、例えばセルローズパルプを主成分と
し、紙力増強剤、サイズ剤、定着剤、無機、有機
填料等を添加して普通に抄造して得られた紙、こ
れに酸化澱粉等をサイズプレスしたり、クレー等
の顔料を主成分とするプレコート層を設けて表面
物性を改良した紙等が含まれるが、アート紙、コ
ート紙、キヤストコート紙等の如く表面の平滑性
に優れた紙が特に好ましく用いられる。また、合
成ゴムラテツクス等で形成したゴム弾性層、発泡
剤、中空カプセル等で形成したミクロポーラス層
等を設けて密着性や熱転写効率を高めた紙も好ま
しく用いられる。 かくして得られる本発明の熱転写記録用受像シ
ートは、特に色材転写シートとして熱昇華性染料
を含有するシートを用いた場合の受像シートとし
て、極めて優れた性能を発揮するものであり、記
録感度に優れ、極めて鮮明で色濃度の高い記録像
が得られるのみならず、記録像の保存性にも優れ
た特性を発揮するものである。 なお、受像層上にシリコーン樹脂に代表される
耐熱性樹脂の離型層を設け〔特開昭59−165688号
公報〕たり、固形ワツクス類、シリコーンオイル
類等の離型剤を受像層中に含有〔特開昭61−
27290号公報〕せしめて、熱記録時に発生する受
像層と色材転写層との不要な熱融着を防止する等
各種の改良操作を行うことも可能であり、特にア
ミノ変性シリコーンオイルはフルカラー記録の際
に優れた効果を発揮するため、好ましい実施態様
の一つである。 本発明でいう熱昇華性染料とは、通常の取り扱
い条件下では受像シートと接触しても色材の転移
を起さないが、例えば60℃以上の加熱によつて初
めて溶融、蒸発、昇華等によつて色材の転移を起
すような染料を意味し、例えばアゾ系、ニトロ
系、アントラキノン系、キノリン系等に代表され
る分散染料、トリフエニルメタン系、フルオラン
系に代表される塩基性染料、油溶性染料等種々の
染料の中から適宜選択して使用される。 また、本発明の熱転写記録用受像シートは、例
えば熱印字ユニツト等の熱板、サーマルヘツド等
により接触加熱する熱記録方式のみならず、赤外
線ランプ、YAGレーザー、炭酸ガスレーザー等
の熱線輻射による非接触加熱方式による熱記録等
にも有用である。 以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説
明するが、勿論かかる実施例に限定されるもので
はない。又、特に断らない限り例中の部及び％は
それぞれ「重量部」及び「重量％」を表す。 実施例 １ 塩化ビニル・ビニルアルコール共重合体〔商品
名：エスレツクＡ、積水化学社製〕85部をトルエ
ン100部とメチルエチルケトン200部から成る混合
溶媒に溶解した後、アミノ変性シリコーンオイル
〔商品名：KF−393、信越化学社製〕２部と多価
イソシアネート〔商品名：コロネートＬ、日本ポ
リウレタン社製〕５部を加えて受像層形成塗液を
調製した。この塗液を市販の合成紙〔商品名：ユ
ポFPG−110、王子油化合成紙社製〕上に乾燥重
量が６ｇ／m²となるように塗布乾燥して熱転写記
録用受像シートを得た。 比較例 １〜３ 塩化ビニル・ビニルアルコール共重合体の代わ
りに以下の樹脂を使用した以外は実施例１と同様
にして３種類の受像シートを得た。 〔比較例 １〕 飽和ポリエステル樹脂〔商品名：バイロン200、
東洋紡績社製〕 〔比較例 ２〕 塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体〔商品名：エ
スレツクＣ、積水化学社製〕 〔比較例 ３〕 塩化ビニル・酢酸ビニル・マレイン酸共重合体
〔商品名：エスレツクＭ、積水化学社製〕 かくして得られた４種類の熱転写記録用受像シ
ートについて、以下の如く品質比較試験を行つ
た。 即ち、青色熱昇華性染料〔ソルベントブルー
105〕１部、エチルセルロース1.5部、イソプロピ
ルアルコール10部、エタノール５部をサンドミル
で混合粉砕分散して調製した平均粒子径1μｍの
染料インキを、厚さ6μｍの耐熱処理ポリエステ
ルフイルムの非処理面上に乾燥塗布量が１ｇ／m²
のように、グラビアベタ印刷して色材転写シート
を作成した。 次に、色材転写シートと熱転写記録用受像シー
トの塗布面を重ね合せ、色材転写シートの背面か
ら感熱ヘツドにより熱を印加し（12V、２〜
8msec）受像シートの受像面上に熱転写記録像を
形成し、得られた記録像の画像濃度、熱ブリード
適性、印字耐光性を以下の如く評価してその結果
を表に記載した。 〔画像濃度〕 マクベス濃度計で測定した最高記録濃度。 〔熱ブリード適性〕 60℃で110時間処理した後の印字のブリードを
25倍のルーペで観察して評価した。 〔印字耐光性〕 ガラス透過光に10日間曝した後の画像濃度の維
持率（％）で示した。 別に、黄色熱昇華性染料〔デイスパーズイエロ
ー54〕と赤色熱昇華性染料〔デイスパーズイレツ
ド60〕について上記と同様にして染料インキを調
製し、上記の青色染料インキと共に、黄色、赤
色、青色の順でダンダラ模様に印刷してフルカラ
ー記録用の色材転写シートを作成した。 次に、色材転写シートと熱転写記録用受像シー
トの塗布面を重ね合せ、色材転写シートの背面か
ら感熱ヘツドにより熱を印加し（12V、２〜
8msec）受像シートの同一個所に黄色、赤色、青
色の順で重ね印字して、不要な染料の転写の度合
でフルカラー適性を評価した。 なお、評価基準は以下のとおりである。 〔評価基準〕 〇……………△……………× 優れている……………………劣つている

【表】 「効果」 表の結果から明らかなように、本発明の実施例
で得られた熱転写記録用受像シートは優れた記録
適性と記録画像性質を有している。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 色材転写シートから転写像を受理する熱転写
   記録用受像シートにおいて、該受像シートの受像
   層が塩化ビニル・ビニルアルコール共重合体と多
   価イソシアネート化合物との反応物を主成分とす
   ることを特徴とする熱転写記録用受像シート。