JPH0455249Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は複燃料供給装置に関する。

〔従来の技術〕

従来からデイーゼルエンジンでは分配型や列型
の燃料噴射ポンプが使用されている。燃料は一般
に軽油が使用されているが、これに対して、デイ
ーゼルエンジンでアルコールを使用しようとする
試みがある。しかしながら、アルコールは自己着
火性が劣るためにアルコールのみで使用するのは
難しく、軽油を少量噴射して着火させ、その後で
アルコールを主燃料として噴射することが考案さ
れている。この場合、軽油は火種として使用され
るものである。かくして、２種類の燃料を噴射す
ることのできる複燃料供給装置が必要になつた。

この場合、軽油は少量だけ噴射されればよいの
であるから、燃料噴射ポンプを２個揃えるのは経
済的でなく、主燃料用としては従来の燃料噴射ポ
ンプを使用し、副燃料用としては他の簡便な噴射
手段を使用するのが有利である。特開昭58−
206867号公報は従来的な燃料噴射ポンプから主燃
料を噴射し、この噴射される途中の主燃料の圧力
を利用して作動される小型の燃料圧送器を開示し
ている。この燃料圧送器はほとんどピストンだけ
を備えた簡単なものであり、主燃料の噴射圧を利
用しているので自動的にエンジンと同期すること
ができる。そして、この公報では、燃料圧送器に
よつて供給される副燃料は主燃料の噴射圧よりも
低く、且つ噴射時期にある主燃料の気筒とは別の
気筒に向けられ、実際の噴射時期でないその気筒
の先端に供給される。この副燃料の供給圧は燃料
噴射ノズルの開弁圧よりも低く、従つてその燃料
噴射弁の燃料噴射弁の先端に入り込んで主燃料の
噴射時期を待つのである。

〔考案が解決しようとする問題点〕

上記特開昭58−206867号公報に記載されている
ような燃料圧送器を使用すると、簡便な複燃料供
給装置を構成することができる。しかしながら、
燃料圧送器を作動させるために主燃料の噴射圧を
使用しているので、燃料圧送器のピストンを押す
ために主燃料の占める空間が膨張することにな
り、主燃料の噴射始めに圧力の上昇が遅れ、シヤ
ープな噴射が行われず。燃焼に悪影響を与えると
いう問題があつた。特に、燃料噴射量の少ない軽
負荷時には作動が不安定になり勝ちである。尚、
本願の先願である特願昭60−223791はこのような
問題点を解決するために同様の燃料圧送器を燃料
噴射ポンプに機械的に連結して駆動するようにし
たものである。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案による複燃料供給装置は、機関と同期し
て回転する駆動軸によつて作動されて第１の燃料
を圧送することのできる燃料噴射ポンプと、該駆
動軸に取りつけられたカムと、該カムにより往復
作動されて第２の燃料を圧送することのできるピ
ストンを有する燃料圧送器と、内部で連結される
第１及び第２の燃料通路を有する燃料噴射ノズル
と、前記燃料噴射ポンプによつて圧送された第１
の燃料を燃料噴射ノズルの第１の燃料通路に供給
するための第１の導管と、前記ピストンによつて
圧送された第２の燃料を共通の送出口から全ての
燃料噴射ノズルの第２の燃料通路に供給するため
の第２の導管と、第２の導管又は第２の燃料通路
に配置された逆止弁とを具備したことを特徴とす
るものである。

〔実施例〕

第１図及び第２図を参照すると、本考案による
複燃料供給装置は列型燃料噴射ポンプ１０と、こ
の列型燃料噴射ポンプ１０に取りつけられた燃料
圧送器１２と、燃料噴射ノズル１４とから構成さ
れる。さらに、アルコール等の主燃料を入れた第
１の燃料タンク１６と、軽油等の副燃料を入れた
第２の燃料タンク１８がある。また、アルコール
等の主燃料を第１の燃料タンク１６から燃料噴射
ポンプ１０に供給するためのフイードポンプ２０
と、軽油等の副燃料を第２の燃料タンク１８から
燃料圧送器１２に供給するためのフイードポンプ
２２が設けられる。

列型燃料噴射ポンプ１０はハウジング２４内を
長手方向に延びる駆動軸２６を有し、第２図に示
されるように、この駆動軸２６には気筒数と同数
のカム２８が取りつけられている。各カム２８の
上方にはそれぞれローラ３０が配置され、ローラ
３０の上にはタペツト３２が配置される。リード
付プランジヤ３４がタペツト３２の上方で垂直に
配置され、ばね３６がプランジヤ３４を下向きに
付勢し、ローラ３０がカム２８に接触することが
できるようになつている。プランジヤ３４はプラ
ンジヤバレル３８に摺動可能に挿入され、その上
方部分がプランジヤバレル３８のインレツトポー
ト４０と相対的に上下運動を行うことによつてポ
ンプ作用を行い、デリバリバルブを配置した吐出
口４４から燃料を吐出する。第１の燃料タンク１
６の主燃料がこのインレツトポート４０に供給さ
れ、高圧となつて吐出口４４から燃料噴射ノズル
１４に供給される。また、プランジヤバレル３８
の回りにはコントロールスリーブがあり、コント
ロールラツクと係合することによつてプランジヤ
３４の回転位置を規制して燃料噴射量を調節す
る。

第１図に示されるように、燃料圧送器１２はこ
の燃料噴射ポンプ１０の側面に取りつけられてい
る。上記主燃料を圧送するプランジヤ３４等のポ
ンプエレメントを作動させる駆動軸２６には、プ
ランジヤ３４を作動させるために気筒数と同数の
カム２８の他にもう１つのカム４６が取りつけら
れている。従来の列型燃料噴射ポンプではこのよ
うなカムを使用して例えばフイードポンプ２０を
作動させていた。本考案においては、フイードポ
ンプ２０を別に設け、そしてフイードポンプ２０
に代えて燃料圧送器１２を作動させるようにする
ことができるものである。燃料圧送器１２のハウ
ジング４８にはシリンダボアが形成され、このシ
リンダボア内に摺動可能にピストン５０が配置さ
れている。ピストン５０はカム４６によつて作動
されるようになつている。このために、ローラ５
２がカム４６に当接するように配置され、ローラ
５２とピストン５０の間にタペツト５４が配置さ
れる。燃料圧送器１２のハウジング４８の前記シ
リンダボア内でピストン５０の先端側には作動室
６０が形成され、この作動室６０内にはピストン
５０をカム４６に向かつて付勢するばね６２が配
置される。また、作動室６０には第２の燃料タン
ク１８に通じる副燃料の入口６４と、燃料噴射ノ
ズル１４に通じる副燃料の出口６６が形成され
る、副燃料の入口６４には逆止弁６８が配置さ
れ、副燃料の出口６６には逆止弁７０が配置され
る。

第１図に示されるように、燃料噴射ノズル１４
は先端に噴口７２を形成したノズル本体７４と、
ノズル本体７４に挿入されたニードル弁７６とか
らなり、ニードル弁７６が噴口７２を開閉するこ
とができ、また、図示しないばねによつて閉弁方
向に付勢されている。第１の燃料通路７８がノズ
ル本体７４を通りそれからノズル本体７４の内壁
とニードル弁７６の外周面との間の環状空間とし
て形成される。ニードル弁７６は中心軸線に沿つ
て中空に形成されており、そして、噴口７２の近
くで中心中空部から放射状に外側に開口する小穴
が形成される。第２の燃料通路８０はノズル本体
７４を通りそれからニードル弁７６の中心中空部
を通つて形成され、そして、噴口７２の近くで放
射状に外側に開口する小穴によつて第１の燃料通
路７８に連結される。

第１図に示されるように、燃料噴射ポンプ１０
から主燃料を供給する各吐出口４４は、パイプ８
２によつてそれぞれに燃料噴射ノズル１４の第１
の燃料通路７８に接続される。一方、燃料圧送器
１２はパイプ８４に接続され、このパイプ８４は
それから同じ流れ抵抗を持つ分岐管８６，８８に
よつて全ての燃料噴射ノズル１４の第２の燃料通
路８０に共通的に接続される。最後の分岐管８８
又は各燃料噴射ノズル１４の第２の燃料通路８０
には逆止弁９０が配置される。

第３図は主燃料の圧送に使用される４個のカム
２８ａ〜２８ｄと、副燃料の圧送に使用されるカ
ム４６との配置関係を示し、カム４６は直径方向
で対向する位置に２つのカム山４６ａ，４６ｂを
有している。カム２８ａ〜２８ｄは相互に90度ず
つずらした位置にあり、カム４６のカム山４６
ａ，４６ｂはカム２８ａ〜２８ｄの間の位置にあ
る。第３図では、第１気筒のカム２８ａとカム４
６のカム山４６ａとがΘだけずらした位置にある
ことを示している。

次に第４図を参照しつつ作用について説明す
る。第４図は燃料噴射順序が第１、３、４、２気
筒の順番に行われる４気筒の例を示し、Ａはプラ
ンジヤ３４が作動して主燃料を圧送することを示
し、Ｂは圧送器１２のピストン５０が作動して副
燃料を供給することを示す。ピストン５０の作動
時期はプランジヤ３４の作動時期から第３図に示
されるようにずらしてあり、主燃料が噴射される
合間に副燃料が供給される。そして、副燃料Ｃで
示されるようにパイプ８４から全ての気筒の燃料
噴射ノズル１４に共通的に送り出される。

燃料噴射ノズル１４のニードル弁７６の開弁圧
は前述したばねにより設定され、主燃料の噴射圧
は当然ニードル弁７６の開弁圧よりも高くなる
が、副燃料の供給圧はニードル弁７６の開弁圧よ
りも低い値になるようにしてある。従つて、プラ
ンジヤ３４の作動によつて主燃料が供給されたと
きには該当する燃料噴射ノズル１４から噴射が行
われる。このときに、逆止弁９０があるので、噴
射圧によつて燃料噴射ノズル１４内の燃料が第２
の燃料通路８０を逆流することはない。そして噴
射の合間に、ピストン５０の作動により副燃料を
供給し、この副燃料の供給圧は開弁圧よりも低い
ので燃料噴射ノズル１４から噴射は行われない。
そして、ピストン５０の作動により副燃料を供給
すると、副燃料が第２の燃料通路８０から第１の
燃料通路７８に入り、第１の燃料通路７８の主燃
料を押し戻して第１の燃料通路７８の先端部の主
燃料と入れ代わることになる。噴射時期でないと
きに副燃料が燃料噴射ノズル１４の先端部に充填
され、主燃料の噴射時に主燃料とともに噴射され
るのである。このときに、副燃料は燃料噴射ノズ
ル１４の先端部に充填されていたので最初に副燃
料が噴射され、続いて主燃料が噴射されることに
なる。最初に噴射された副燃料は着火性の優れた
軽油であり、直ちに自己着火する。着火性の劣る
アルコール主燃料は先に着火した軽油に助けられ
て着火することができるのである。このような副
燃料の充填は毎回各気筒平均的に行われ、且つカ
ム４６のカム山４６ａ，４６ｂの数による回数だ
け行われる。これは、平均的な副燃料の充填を可
能とし、燃料圧送器１２の個体差を解消すること
ができるものである。

〔考案の効果〕

以上説明したように、本考案によれば燃料噴射
ポンプの駆動軸に取りつけたカムを使用すること
によつて非常に簡単な構成で確実に種類の異なる
燃料をそれぞれに供給することができる。また、
異なつた燃料を１つの燃料噴射ノズルから層状に
噴射することが可能である。そして、副燃料圧送
器を燃料噴射ポンプの例えば従来のフイードポン
プ駆動用カムを転用すれば従来の燃料噴射ポンプ
の構造を変えることなく複燃料供給装置を実現す
ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案による複燃料供給装置を示す構
成図、第２図は第１図の燃料噴射ポンプの断面
図、第３図は主燃料供給用カムと副燃料供給用カ
ムとの関係を示す図、第４図は複燃料供給装置の
作用を説明するための作動説明図である。 １０……燃料噴射ポンプ、１２……燃料圧送
器、１４……燃料噴射ノズル、２６……駆動軸、
３４……プランジヤ、４６……カム、５０……ピ
ストン、７８，８０……燃料通路、９０……逆止
弁。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 機関と同期して回転する駆動軸によつて作動さ
   れて第１の燃料を圧送することのできる燃料噴射
   ポンプと、該駆動軸に取りつけられたカムと、該
   カムにより往復作動されて第２の燃料を圧送する
   ことのできるピストンとを有する燃料圧送器と、
   内部で連結される第１及び第２の燃料通路を有す
   る燃料噴射ノズルと、前記燃料噴射ポンプによつ
   て圧送された第１の燃料を燃料噴射ノズルの第１
   の燃料通路に供給するための第１の導管と、前記
   ピストンによつて圧送された第２の燃料を共通の
   送出口から全ての燃料噴射ノズルの第２の燃料通
   路に供給するための第２の導管と、第２の導管又
   は第２の燃料通路に配置された逆止弁とを具備し
   た複燃料供給装置。