JPH0450801B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、その製法過程において糸の縫製を簡
略化したために作業性が向上し、しかも不用な材
料を削除しために軽快で屈曲性が良く、耐久性の
ある靴及びその製法に関する。

〔従来の技術及びその問題点〕

従来の製法の靴には例えば第２図に示すよう
に、中底１を靴型に仮止めして甲革２、裏革３を
釣込み、当該甲革２、裏革３と細革４を釣込んだ
状態ですくい縫いするものがある。これは一般的
にグツドイヤー製法といわれ、構造的にも丈夫で
安定性があり、型崩れせずに履き心地が良い点で
優れている。しかし、この製法は工程が複雑であ
り、特に木型にセツトする工程があるために生産
能率が悪く、軽量性及び屈曲性には限界がある。

この点に於て、第３図は上記第２図の複雑な釣
込み工程を簡略化するために、前記裏革２を内側
に折り込み、甲革３をその外側に釣込んで表底５
に貼り付け、周辺を出縫い機で細革４を載置して
縫い付けられた靴を示す図である。この製法はス
テツチダウン式といわれ、釣込みが簡単でしかも
軽量で屈曲性がよいが、靴周辺の甲革３及び表底
５を出し縫い糸６で縫製する際に、細革４を新た
に裁断して載置する必要があり、製法がかなり繁
雑となる。

〔問題点を解決するための手段および作用〕

本発明は上記に鑑みてなされたものであり、屈
曲性良く軽量化し、しかも耐久性を持たすため
に、更には縫製工程の途中で木型を装入する手間
を省き、工程の省力化を図るため、靴内底部に有
する靴側部に拡張した中物周辺部を帯状部（又は
裾テープ）で包装し、当該外部より出し縫い糸を
縦縫するようにした靴及びその製法を提供するも
のである。

〔実施例〕

以下本発明による靴及びその製法を詳細に説明
する。

第１図ａ，ｂは、本発明の一実施例を示すもの
であり、第１図ａは一部断面斜視図、第１図ｂは
靴先端部の断面図を示すものである。靴の外表面
となる甲革１１と、足甲部に該当する甲革１１を
補強する裏革１２（甲革１１と裏革１２を張り合
せたものを製甲という）と、靴内部底面の最表面
に存する中底１３と、甲革１１、裏革１２および
中底１３を内方に束ねて縫い合わせるミシン糸１
４と、ミシン糸１４に重合して製甲端部周辺に迂
回して袋状に縫い付けられた裾テープ１４′と、
甲革１１の底部にあつて、裾テープ１４′の袋状
内部に甲革１１の外周部に鍔状に拡張する中物１
５（拡張部Ａ）と、中物１５裏面に表底１７を接
着する接着剤１６と、前記中物１５の鍔状の拡張
部Ａ部を包装する裾テープ１４′上部より積層し
た各部を縫い合わせる出し縫い糸１８より構成さ
れる。

以上の構成において、本発明の靴は鍔状の拡張
部Ａの出し縫い糸がステツチ状に露出し、その外
観上は従来のスチツチダウン式の靴のように認識
され、高級感覚を保有する事が出来る。

更に需要者の嗜好およびその使用用途により、
中物拡張部の鍔状張り出し量を適宜選択し、これ
に応じて中物、中底の厚さを決める事によつて他
の製法に比べて飛躍的に軽量化及び屈曲性に富む
靴を提供する事が出来る。

以上の構成を有する本発明の靴の製法は、所定
寸法に裁断された甲革１１及び裏革１２を張り合
せ、足の甲部及び側部に該当する製甲を作成す
る。

次に、各部分的に裁断された製甲を足裏部分を
除く足甲部をまとめ縫いする。更に当該製甲底部
より、中底を靴内部内方に縫製し、この際に甲革
の端部近傍に裾テープを迂回縫いし、迂回後半部
を袋状に構成する。この際に従来の靴型を装入せ
ずに柔軟性を有しながら縫い付けが出来る。袋状
迂回部に製甲側部より拡張した中物を充填し、袋
状甲革端部で中物側部を包みこむ。当該中物を充
填した裾テープおよび中物裏面と表底との接着面
を十分に起毛してからこの部分に接着剤を塗り、
木型を装入して接着剤を完全に乾かしてから加熱
加圧密着させる。更に前記した袋状の拡張した裾
テープ上部より出し縫い機で積層各部を一括して
あるいは表底部を除いて縦縫する。

なお、本製法は、従来のすくい縫いの繁雑な工
程を簡略化し、更にはステツチダウン式の細革を
載置する付帯工程を削除することによつてその製
縫工程の管理をし易くし、その製品の軽量化、柔
軟性をも保持する事が出来るものである。

〔発明の効果〕

以上説明した通り、本発明の靴及びその製法に
よれば、靴内底部に有する靴側部に拡張した中物
周辺部を裾テープで包装し、当該外部出し縫い糸
で縦縫するようにしたため、屈曲性及び軽量化さ
れた靴を提供する事が出来、更には従来の付帯的
な繁雑な工程を簡略化する事が出来る。

【図面の簡単な説明】

第１図ａ，ｂは本発明の一部断面斜視図、第２
図、第３図は従来の一部断面斜視図。 符号の説明、１……中底、２……甲革、３……
裏革、４……細革、５……中物、１１……甲革、
１３……中底、１４……ミシン糸、１４′……裾
テープ、１５……中物、１６……接着剤、１７…
…表底、Ａ……拡張部。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 足甲部および側部を被覆する製甲と、 当該製甲端部近傍で束ねて縫製し、靴内底部に
   積層された中底および中物と、 その底面に存する表底と、 前記製甲端部周辺の縫製部分に袋状に迂回した
   帯状部とを備え、 当該帯状袋内部で、前記製甲端部の外周より拡
   張した鍔状の中物を包囲し、 当該鍔状上面に位置する前記帯状上面より中物
   と表底の双方または中物を縦縫する綴糸を有する
   事を特徴とする靴。 ２ 足甲部及び側部を被覆する製甲を裁断縫製
   し、当該製甲と表底の間に積層介在する中底およ
   び中物を前記製甲端部近傍で縫止して、 当該縫止部に袋状に迂回した帯状内部に前記製
   甲側部より鍔状に拡張した前記中物を、あるいは
   最下層表底とともに、前記鍔状拡張部の上面より
   縦縫する事を特徴とする靴の製法。