JPH0445758B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、装弾筒を備えた砲弾における装弾筒
と薬莢との結合構造に関し、特に自動装填を可能
にする対策に関するものである。

（従来の技術） 例えば、戦車用の徹甲弾においては、砲身内に
おける弾丸（飛翔体）への効率的な前進力付与の
ために、砲身の口径と一致する装弾筒に弾丸を保
持させ、これを薬莢先端に固定する。この装弾筒
は、発射薬の燃焼によるガス圧力を受けて砲腔を
移動し、砲口から飛び出るのと同時に拡開状に分
裂して弾丸から分離する。

従来のこの種の砲弾では、弾丸発射後の薬莢処
理を容易化するために焼尽性の薬莢が用いられて
おり、装弾筒は薬莢先端にネジ締結により直接固
定されていた。

（発明が解決しようとする問題点） しかるに、上記焼尽性の薬莢はその機械的強度
がさほど大きいものではない。このため、砲弾を
自動装填装置で機械力によつて装填しようとした
場合、無理な装填が行われると、薬莢室の奥端壁
で薬莢先端が変形されてしまうことがある。この
装填に伴う薬莢先端部（テーパ部）の変形や損傷
によつて、装弾筒に作用するガス圧が不均一にな
り、その弾丸からの分離動作にズレが生じ、この
ズレはごく僅かであつても弾丸の弾道を変えてし
まい、結果的に命中精度を低下させてしまう。と
くに、薬莢先端に装弾筒をネジで直接固定する従
来の砲弾の場合は、薬莢の変形が装弾筒との接続
箇所付近に生じやすいため、自動装填が不可能で
あつた。

本発明は上記の点に鑑みて提案されたものであ
つて、弾丸部の装弾筒と薬莢との結合構造を改善
することによつて、自動装填を可能にした砲弾を
提供しようとするものである。

（問題点を解決するための手段） このため、本発明では、筒状の樹脂製の接合リ
ング２４を介して装弾筒５を薬莢２にネジ螺合と
接着剤との併用によつて結合することにより、装
填時における薬莢先端部の変形や損傷を解消でき
るものとする。

具体的に、本発明の講じた解決手段は、第１図
に示すように、後方に延出する筒壁３０を備えた
樹脂製の接合リング２４をシールキヤツプ２３を
介して、装弾筒５の後部にボルト・ナツト等の締
結手段２５で固定する。そのうえで、筒壁３０の
外周面に形成した雄ネジ１１Ｂを薬莢２の先端開
口の内面に形成した雌ネジ１１Ａに接着剤を介し
てネジ込んで、装弾筒５を薬莢２と一体化する。
つまり、結合状態において薬莢２の先端を接続リ
ング２４の筒壁３０に支持させて結合し、その変
形や損傷を防止する。好ましくは、前記雌雄のネ
ジ１１Ａ，１１Ｂを丸ネジで形成し、両者の接着
面積および破断強度をより大きなものとする。

（作 用） このことにより、本発明では、薬莢２の先端開
口を接合リング２４の筒壁３０に支持させ、ネジ
螺合と接着剤との併用によつて薬莢２と装弾筒５
とを一体に強固に接続したので、筒壁３０の補強
作用によつて薬莢２先端部の変形等が防止され
る。これにより、砲弾の自動装填が可能となり、
自動装填しても装弾筒５の後端付近での薬莢２の
変形に伴う燃焼圧力のムラを避けることができ、
離脱時における装弾筒５の弾丸４からの分離動作
にズレが生じることがない。

（実施例） 第１図ないし第３図において、本発明を装弾筒
付翼安定徹甲弾に適用した実施例について説明す
る。

第２図において、砲弾１は、薬莢２とこれの先
端に固定される弾丸部３とからなり、該弾丸部３
は、後端に安定翼４ａを備えた弾丸（飛翔体）４
と、これを保持する装弾筒５とからなる。

前記薬莢２は、完全焼尽性あるいは部分焼尽性
のケース２Ａと、このケース２Ａの後端に装着さ
れる金属製底部６とで円筒形に形成され、その内
部に発射薬７が充填されている。８は電気火管で
ある。ケース２Ａの先端側には先細テーパー状の
肩壁９が形成され、この肩壁９に連続して先端が
開口する接合壁１０が筒状に突出している。この
接合壁１０の内面にはＥ形口金ネジなどの丸ネジ
の雌ネジ１１Ａが形成されている。

一方、前記弾丸４は主として自己の運動エネル
ギーで装甲を破壊する、いわゆる運動エネルギー
弾であつて、弾丸４の内部に炸薬が詰められる場
合と、中実である場合とがある。弾丸４の胴部に
は、装弾筒５から前進力を受けるための鍔１３が
鋸歯断面に形成されている。

第２図および第３図に示すように、前記装弾筒
５は、弾丸４を保持する穴１６が前後に貫通して
形成されており、また、弾丸４からの離脱のため
に、周方向に等角度で三分割されている。つまり
断面扇形の分割体５Ａ，５Ｂ，５Ｃを寄せ合わす
ことによつて、鼓形状の装弾筒５が完成される。
この組み合せ状態を維持するために、前後の各定
心１４，１５の外周面に浅い溝１８，１８を形成
し、これらの溝１８，１８に無端状のバンド１
９，２０を外嵌装着している。前後の各バンド１
９，２０はポリカーボネイト樹脂で形成され、と
くに後方バンド２０は装着状態における外径が砲
身口径より僅かに大きく設定されていて、砲身内
におけるガスシール体を兼ねるものとなつてい
る。第１図に示すように、各分割体５Ａ，５Ｂ，
５Ｃの分割面には、シール材の充填される溝２１
が径方向に形成されている。この溝２１に充填し
たシール材によつて、分割面間の隙間を前方に向
つて通過しようとする燃焼ガスがシールされる。

上記のような砲弾１において、以下に述べるよ
うな結合構造で装弾筒５を薬莢２に固定する点に
本発明の特徴がある。

各分割体５Ａ，５Ｂ，５Ｃの後端面にゴム製の
シールキヤツプ２３が一体にモールド成形されて
いて、その後面側に樹脂製の接合リング２４が配
設されていて、締結手段２５でシールキヤツプ２
３を介して接合リング２４が固定されている。締
結手段２５は、各分割体５Ａ，５Ｂ，５Ｃに植設
されるスタツドボルト２６と、これにネジ込まれ
るナツト２７およびロツクナツト２８とからな
り、周方向等間隔おきに合計６個所で接合リング
２４を締結している。

前記接合リング２４は、シールキヤツプ２３の
周縁フランジ部を挾圧するリング本体２９と、こ
のリング本体２９の後面周縁寄り部から後方に向
つて延出する断面円形の筒壁３０とを備えてな
り、筒壁３０の基端より内方のリング本体２９
に、前記スタツドボルト２６が挿通されるネジ挿
通穴３１が開口されている。前記筒壁３０の開口
縁側をネジ始端として、薬莢２の接合壁１０に設
けた雌ネジ１１Ａと螺合する雄ネジ１１Ｂが、筒
壁３０の外周面に形成されている。そして、この
雄ネジ１１Ｂの周面全体に例えばエポキシ系の接
着剤を塗布したのち、雄ネジ１１Ｂを前記雌ネジ
１１Ａにねじ込むことにより、装弾筒５が接合リ
ング２４を介して薬莢２に固定される。この結合
状態において、シールキヤツプ２３の周縁のリツ
プ部２３ａは上記リングで本体２９のシールキヤ
ツプ２３への圧締により外方へ拡開変形して砲身
内面に圧接しガスシールを行うようにしている。

上記のように、装弾筒５を接合リング２４を介
して薬莢２に固定すると、薬莢２の接合壁１０が
接合リング２４の筒壁３０に支持されて薬莢２と
装弾筒５とがネジ螺合と接着剤との併用によつて
強固に接続されるので、薬莢２の接合壁１０の変
形が防止される。従つて、装填時に薬莢２の先端
に偏荷重が作用するような場合でも、接合壁１０
が変形したり損傷することを防止でき、よつて自
動装填が可能となる。

また、発射薬７の燃焼ガス圧力によつて、装弾
筒５は弾丸４を伴つて砲腔内を急速度で前進す
る。このとき、接合リング２４は接合壁１０の雌
ネジ１１Ａを破壊して薬莢２と分離し、装弾筒５
と同行移動する。従つて、装弾筒５はその前定心
１４のバンド１９が切断されて分離動作を開始す
るまでの間、つまり、概ね装弾筒５が砲腔内にお
ける間は、多分割体５Ａ，５Ｂ，５Ｃが一個の接
合リング２４で結合状態を維持されて前進するこ
ととなり、砲腔内における分割体５Ａ，５Ｂ，５
Ｃの進行速度のムラや変位が解消される。さら
に、上記シールキヤツプ２３のリツプ部２３ａの
砲腔への圧接によりシール作用が向上し、上記効
果が助長される。そして、砲口から飛び出た段階
で、装弾筒５は前後のバンド１９，２０を切断
し、同時に接合リング２４およびシールキヤツプ
２３を切断して３方向に分離し、弾丸４から離脱
する。

（変形例） 接合リング２４は必ずしも一体である必要はな
く、数個に分割してあつてもよい。この場合は、
リング分割体が装弾筒５の隣接する分割体同士に
締結手段２５で固定されるようにする。雌雄のネ
ジ１１Ａ，１１Ｂも台形ネジや角ネジに変更でき
る。さらに、締結手段２５は装弾筒５に形成され
るネジ穴とボルトとの組み合せとすることもでき
る。

また、上記実施例では翼安定式の装弾筒付徹甲
弾について説明したが、他形式の装弾筒付砲弾に
も適用できることは言うまでもない。

（発明の効果） 以上説明したように、この発明では、装弾筒５
を接合リング２４を介して薬莢２の先端に固定す
るものとし、接合リング２４の円形の筒壁３０で
薬莢２の先端部をネジ螺合と接着剤との併用によ
つて接続して補強支持できるようにした。これに
より、砲弾１を装填する際に薬莢先端に偏荷重が
作用するような場合でも、薬莢２の先端が変形さ
れたり損傷することを防止して、装弾筒５の後端
に作用するガス圧のムラを避けることができるも
のとなつた。従つて、砲弾１を自動装填システム
で装填することが可能となり、その場合でも、装
弾筒５の弾丸４からの分離動作を均一なものとし
て、弾丸４の命中精度を向上することができる。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明に係る砲弾の実施例を示してお
り、第１図は装弾筒と薬莢との接続部構造を示す
縦断正面図、第２図は砲弾の縦断正面図、第３図
は第２図におけるＡ−Ａ線断面図である。 ２…薬莢、４…弾丸、５…装弾筒、１１Ａ…雌
ネジ、１１Ｂ…雄ネジ、２３…シールキヤツプ、
２４…接合リング、２５…締結手段、３０…筒
壁。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 弾丸４を保持する装弾筒５が焼尽性の薬莢２
   の先端に固定された砲弾において、前記装弾筒５
   の後部に、後方へ延出する筒壁３０を備えた樹脂
   製の接合リング２４がシールキヤツプ２３を介し
   て締結手段２５で固定されており、前記筒壁３０
   の外周面には雄ネジ１１Ｂが形成されていて、該
   雄ネジ１１Ｂは、薬莢２の先端開口内周面に形成
   された雌ネジ１１Ａに接着剤を介して螺合され
   て、装弾筒５が接合リング２４を介して薬莢２に
   接続固定されていることを特徴とする砲弾の装弾
   筒と薬莢の結合構造。