JPH0435188B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は静脈内針組立体、特に、静脈穿刺法の
実施中、針の先端が血管内に在るのを検出しかつ
血液がこの針組立体外に流出するのを阻止する、
静脈内針に対して有用である栓（プラグ）に関す
る。この装置は迅速に空気抜きを行い、血液が静
脈圧力下、血管から透明な血液検出チヤンバまで
場合によつては、従来におけるよりもはるかに急
速に流動するのを許容すると同時に、血液が通気
路を通つて流動するのを阻止するためのものであ
る。

（従来の技術及びその課題） 針又は可撓性カテーテルを血管又はその他の人
体器官内に位置決めする間、針又はカテーテルの
先端が血管内に位置決めされているか否か判断す
ることが望ましい。針組立体の血管内への導入は
通常、不透明で剛性な金属針を利用して行われる
ため、針及び針ハブ内に血液が存在することを検
出することは不可能である。

このため、従来技術による導入針には、その内
に血液が流入する透明なフラツシユチヤンバを有
し、針の先端が適正に位置決めされていることを
示すためのハブが設けられる。しかし、かかる装
置の多くは、液体の漏洩という問題があり、この
ため、血液がユーザの手に沿つて流動する可能性
がある。患者の血液に接触し、病気が感染する可
能性があるため、かかる状況を回避することが重
要である。血液がチヤンバ内に急速に流動し、静
脈内に挿入されていることを表示し得るようにす
るため、チヤンバに該チヤンバから空気を抜く手
段を設ける場合、その通気手段は漏洩を生ずる傾
向がある。

（課題を達成するための手段） これに対して、本発明によると、フラツシユバ
ツク組立体には、組立体のハブ内に血液が存在す
ること、及び針が患者の血管内に挿入されたこと
を表示する透明壁が設けられ、通気手段は実際の
通気に必要とされる断面積を有するとともに従来
におけるよりもはるかに小さい通気孔が形成され
る。これは、本発明により、レーザを利用して、
通気孔を穿孔することにより実現される。これを
行うことにより、レーザは実際の通気に必要とさ
れると同一又はより大きい通気断面積を提供する
一方、十分に小さく、通気孔を通つて血液が漏洩
するのを防止し得る穴を提供する。

本発明によると、レーザを利用して、液動制御
プラグの端部に１つ又は１列状の小さい穴が穿孔
される。この１又は複数の穴は膜、焼結熱可塑性
プラスチツク、又はスリツト弁のようなその他の
従来の通気手段を利用する従来技術のプラグと少
なくとも同等又はより優れたフラツシユバツクを
提供するのに十分な合計断面積を有している。

穴を穿孔するのに利用されるレーザは例えば
YAGレーザ（イツトリウム−アルミニウム−ガ
ーネツト）とすることが出来る。又、ルビーレー
ザを使用することも出来るが、YAGレーザの方
が望ましい。穴は0.05mmよりも小さな直径、望ま
しくは0.025mmよりも小さな直径とする。この点
について、直径0.076mm以上の穴は静脈圧力にて
血液を漏洩させることが分かつている。

一般に、本発明を実施する条件を考慮する場
合、ポリエチレンのような従来の熱可塑性プラス
チツク材料は吸収力を増大させる添加物を含有し
ない場合、本発明による穴を形成するのに必要と
される程度のレーザビームの波長を吸収し得な
い。このため、本発明によつて、対象とされる材
料中にACRA−WAXのような添加物を加える
と、本発明によつて形成されたプラグに対し適正
な吸収特性を提供し得ることが分かつた。即ち、
穴を穿孔するとき、適正な準位又は程度のレーザ
波長の吸収が行われて材料を蒸発させ、従つて、
適正に穿孔された穴が形成されるようにすること
が重要である。適正な準位が得られない場合、材
料が溶融し、その結果、かかる小さい穴が詰まる
ことになる。

このため、ポリエチレンペレツトにACRA−
WAXを１％の重量比にて添加し、約0.13mmの肉
厚のリボンに押し出した。この材料の円形の標本
はYAGレーザにて穿孔された。各々直径0.05mm
よりも小さな穴が３つ穿孔された標本は染料入り
の水にて試験し、本発明のプラグに液体が存在す
ることを明らかにした。この試験は、フラツシユ
バツク時間が短くて済むことのみならず、漏洩が
生じないことも明らかにした。

さらに、本発明を実施するための条件を検討す
ると、次の熱可塑性材料が本発明のプラグを形成
するのに利用し得る材料の例である。これらの材
料は上述のようにポリエチレン、ポリプロピレ
ン、ポリ塩化ビニル、アクリロニトリル・ブタジ
エン・スチレン・ターポリマー、ポリエチレンテ
レフタレート及びポリウレタンである。上述の作
用パラメータの範囲に属する限り、その他の材料
を使用することも出来る。上述の材料の殆どは、
ここで説明するレーザ穿孔に必要な適正は吸収条
件を具備しないが、一部の材料はかかる特性を備
えており、その目的のための添加物が不要である
ことが理解されよう。

本発明に利用される熱可塑性プラスチツクの吸
収特性を増大させるのに使用し得る添加物の例と
しては、モートン・シオコール（Morton
Thiokol）の製品であるADVAWAX280、又は
488Main Street，P.O.Box 5100，Norwalk，
Connecticut 06856に住所を有するグルコ・イン
コーポレーテツド（Glyco Incorporated）の製
品であるACRA−WAX Ｃ 潤滑剤がある。こ
のACRA−WAXはエチレンジアミン及びステア
リン酸の反応生成物であるアルキルアミドであ
る。具体的にその名称はＮ，N′−エチレン・ビ
ス（ステアルアミド）である。この添加物は重量
比約0.5乃至５％の範囲内、望ましくは重量比約
1.0乃至3.0％の範囲内にて樹脂と混合させること
が出来る。

本発明のプラグを製作するための１つの典型的
な方法を以下に示す。

例 ポリエチレンペレツト（イーストマン1870A）
を溶融処理し、二軸式エクストルーダ／／ペレタ
イザを使用して1.0％のACRA−WAXと混合させ
た。乾燥後、ペレツトは所望のプラグ形状に成形
された。その後、上述のように、YAGレーザを
利用して、適正な寸法及び数の穴を穿孔した。こ
の点に関して、穿孔すべき栓の壁は穿孔しようと
する領域の肉厚が約0.13mmの均一な一定の幅とな
るようにした。その後、穴は上述のように、レー
ザによりこの壁部分に穿孔した。

（実施例） 本発明の上記以外の目的及び利点は次の詳細な
説明、添付図面及び特許請求の範囲の記載から明
らかになるであろう。

全体を通じて同様の部分は同様の参照符号にて
示した図面を参照すると、第１図及び第２図は全
体として符号１０で示した静脈内針組立体に使用
された本発明の通気プラグが図示されている。こ
の針組立体はその一端に尖端１４を有する中空の
皮下針の形態による導入針１５を備えている。針
１５はその鈍角の端部がプラスチツクハブ１２に
固着されており、このハブ１２はその基端と一体
の透明な血液検出チヤンバ２０を有している。ハ
ブ及び血液検出チヤンバ全体の組立体は適当な透
明プラスチツク材料から単一体として成形するこ
とが望ましい。

好適な実施例において、針１５は可撓性のプラ
スチツクカテーテル１６を静脈又はその他の身体
血管内に導入する働きをする。カテーテル１６は
その基端にてハブ１８に取り付けられ、ハブ１８
はハブ１２の末梢端にて接続具３２に着脱可能に
固着され得るようにしてある。

本発明は静脈内への挿入に必要な複雑な操作を
不要とし、静脈内に挿入されたことを迅速に表示
する働きをする比較的簡単な単一品のプラグを提
供するものである。これは、プラグから空気を抜
くための通気断面積を増大させ、これにより、静
脈内に挿入すると、血液は上述のように、組立体
のハブの透明なチヤンバ内に急速に流入するよう
にした。本発明のプラグにより実現される。これ
にも拘らず、個々の穴は血液が流動し得ない程に
小さい寸法であり、本発明の組立体を使用する患
者の血液によつて装置のユーザが汚染される虞れ
がない。このことは、患者の血液によつて感染さ
れる例えば、エイズ、肝炎又はその他の病気に感
染する虞れを少なくする。

本発明のプラグを第１図に全体として符号２２
で示してあり、このプラグはその前端から伸長す
るネツク部分２７を有する略円筒状の本体部分２
４を備えている。第２図から明らかであるよう
に、ネツク部分２７は内側の円筒状通路２６を有
している。このネツク部分２７の正面３０は上述
のように略均一な肉厚である。この壁３０は複数
のレーザ穿孔穴２８を受け入れるのに適した約
0.13mmの肉厚を備えるように形成される。上述の
ように、レーザ穴２８は直径0.05mmより小、望ま
しくは0.025mmより小、であるように穿孔される。

形成されるレーザ穿孔穴２８の数は利用する組
立体の寸法、及び穴２８を介して透明なチヤンバ
２０から除去することを要する空気量いかんによ
り決まり、このため、針１５の先端１４が患者の
静脈内に挿入されると、血液は針１５を通じて透
明なチヤンバ２０内に急速に流動する。これは、
静脈圧力下、空気が通気穴２８を通じて急速に流
動するために生じる。第３図から明らかであるよ
うに、かかる３つの通気穴２８が図示されてい
る。しかし、形成される個々のプラグに対する所
望の特性いかんにより、上述のように、さらに多
数の穴を選択することが出来る。

血管内に針を導入し始めるためには、本発明の
装置によると、この装置は第２図に示すように完
全に組み立てられ、カテーテルは針１５上に位置
決めし、プラグ２２は血液検出チヤンバ２０の後
端又は基端内にしつかりと固着する。針の先端１
４を血管内に導入することにより血液は中空針内
を通つて流動し、血液検出チヤンバ２０内に入
る。

中空針及び血液検出チヤンバ内に取り込んだ空
気は通気穴２８を通つて血液により排出され、大
気中に放出される。勿論、チヤンバ２０内を流動
する血液は操作者によりその透明な壁を通じて検
出される。通気穴２８は極めて小さい寸法である
ため、血液チヤンバ内にて保持され、プラグ２２
の通路２６まで流動し得ない。その後、投与セツ
ト又はその他の装置をカテーテルのハブに取り付
けようとする場合には、針をカテーテルから引き
出し、これにより、ハブ１８の開放した雌型ルア
端を適当な雄型接続具に対して露出させるだけで
よい。

別の形態として、針１５はカテーテル１６とは
独立的に使用し、投与セツト又はその他の装置は
プラグ２２を取り外すだけで血液検出チヤンバ２
０に直接取り付けることが出来る。

上述の説明から明らかであるように、本発明は
患者の静脈内に導入針の先端が存在することを検
出し、及び血液が針組立体から漏洩するのを防止
するのに効果的である装置を提供するものであ
る。さらに、本発明の装置は比較的低廉な材料に
て及び公知の従来の装置を使用して形成すること
が出来、これにより、本発明のプラグは大量生産
技術及びコストの削減に適したものとなる。

上述の本発明の形態は本発明の好適な実施例を
構成するが、本発明の範囲は図示した装置の正確
な形態にのみ限定されるものではなく、特許請求
の範囲に記載された本発明の範囲から逸脱するこ
となく、変更を加え得るものであることを理解す
べきである。例えば、上述のように、レーザによ
つて、上述よりも多い又は少ない数の穴を穿孔す
ることが出来、その穴の数は利用するプラグの特
定の寸法条件によつてのみ制限される。さらに、
必要な場合には、適当な添加物を適正な量にて使
用し、加工する材料を溶融させることなく、蒸発
させるのに必要とされる略準位までレーザビーム
の波長の吸収力が増大するようにするならば、各
種の熱可塑性材料を利用することが可能である。
即ち、かかる小さい寸法の効果的な穴を提供する
ためには、材料は蒸発させることを要する。材料
が溶融するならば、かかる小さい寸法にて適正な
穴を形成することは出来ない。

別の形態として、当業者には明らかであるよう
に、材料は添加物が不要であるように、十分な吸
収特性を備えたものを選択することが出来る。

【図面の簡単な説明】

第１図は血液検出チヤンバの端部から除去され
た位置にある本発明のプラグを示す静脈内針組立
体の分解斜視図、第２図は血液検出チヤンバ内に
挿入された本発明のプラグを示す第１図の針組立
体の縦断面図、第３図は第２図の左側から見たプ
ラグの端面図である。 （主要符号の説明）、１０：静脈内針組立体、
１２：ハブ、１４：先端、１５：針、１６：カテ
ーテル、２０：血液検出チヤンバ、２２：プラ
グ、２７：ネツク部分、２８：レーザ穿孔穴（通
気穴）、３２：接続具。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 静脈内針組立体内の透明なフラツシユバツク
   チヤンバの基端に栓をすると共に、前記フラツシ
   ユバツクチヤンバの通気を行うプラグにして、 通気路を画成する中空本体と、 前記本体の末梢端に位置決めされた中空ネツク
   部分にして、前記本体部分と一体にされた前記中
   空ネツク部分と、 前記ネツク部の末梢端に設けられ、薄い肉厚を
   有し、全体を通じて同一の肉厚である正面と、 レーザ穿孔により前記正面に形成された複数の
   通気穴と、を備えて成り、少なくとも前記薄肉の
   正面がレーザビームの作用下で蒸発するのに十分
   なレーザ吸収特性を有する熱可塑性材料から成る
   ことを特徴とするプラグ。 ２ 請求項１記載のプラグにして、 前記プラグがポリエチレン、ポリプロピレン、
   ポリ塩化ビニル、アクリロニトリル・ブタジエ
   ン・スチレン・ターポリマー、ポリエチレンテレ
   フタレート、ポリウレタン及びその混合物から成
   る群から選択された材料から形成されることを特
   徴とするプラグ。 ３ 請求項１記載のプラグにして、 前記正面が約0.13mmの肉厚を有することを特徴
   とするプラグ。 ４ 請求項１記載のプラグにして、 前記複数の通気穴が約0.05mmよりも小さな直径
   を有することを特徴とするプラグ。 ５ 請求項１記載のプラグにして、 前記薄肉厚の正面が前記蒸発を最適にする効果
   のある量の重量比の添加物を有することを特徴と
   するプラグ。 ６ 請求項４記載のプラグにして、 前記添加物の重量比が約0.5乃至５％の範囲内
   に存在することを特徴とするプラグ。 ７ 請求項４記載のプラグにして、 前記添加物がエチレンジアミン及びステアリン
   酸の反応生成物であることを特徴とするプラグ。 ８ 請求項７記載のプラグにして、 前記添加物がＮ、N′−エチレン・ビス（ステ
   アルアミド）であることを特徴とするプラグ。 ９ 静脈内針組立体にして、 中空の尖つた針と、 前記針の基端に固着されるとともに透明な血液
   検出チヤンバを有するハブと、 前記チヤンバの中に取り外し可能に固定された
   請求項１に記載のプラグとを備えて成り、 前記プラグが前記透明な血液検出チヤンバから
   空気を抜くようになされたことを特徴とする静脈
   内針組立体。 １０ 請求項９記載の針組立体にして、 前記複数の通気穴が約0.05mmよりも小さな直径
   を有することを特徴とするプラグ。