JPH0432466Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、キヤビネツトや机等に取り付けた複
数箇の引き出しを、一箇のシリンダー錠等による
施錠操作によつて同時にロツク、又はロツク解除
できるようにした転倒防止機能付き連動ロツク装
置に関する。

〔従来の技術〕

従来、上記ロツク装置としては第８図に示した
如きもの等が知られている。

これは、横向きとした回転軸ａの端部に固定さ
れるピボツトｂと、ロツクピンｄが付設されてい
る縦装の連動バーｃとを、上記ピボツトｂに設け
た長孔ｅに連動バーｃのピンｆを係合して連結
し、上記回転軸ａとシリンダー錠ｇとの連動機構
は、回転軸ａに固設したピボツトｈの横長孔ｉと
シリンダー錠ｇの偏心軸ｊとをスライド自在に係
合し、該偏心軸ｊの回転変位量により上記ピボツ
トｈが上下方向へ回転されることによつて回転軸
ａは回転され、これにより連動バーｃを上昇さ
せ、引き出しｋの側板に固定したロツク部材ｌに
傾斜して形成したガイド溝ｍの開口部に対して、
上記ロツクピンｄを図示のｎ高位からｏ高位まで
変位することで、当該ロツクピンｄとロツク部材
ｌの前端面l′が係合するようにし、この状態で各
引き出しｋ…を同時にロツクし得る構成としたも
のである。

しかし上述ロツク装置では、ピボツトｂの長孔
ｅが閉鎖型であるため、第８図の如く、両袖机に
使用する際は、ロツク解除状態で１つの引き出し
Ｋを引出すと、転倒防止機能により左右両袖の引
き出しが、すべて引出阻止状態となつてしまい、
これでは机として使用する際、かえつて使い勝手
が悪くなつてしまうということになる。

そこで、第９図に示した如き、転倒防止機能を
有する連動ロツク装置も、既に知られている。

これは、前述のロツク装置のピボツトｂのかわ
りに、転倒防止キヤツチ部ｐを設けたアームｑを
回転軸ａに固定し、該転倒防止キヤツチ部ｐを上
端部に有するループ状の溝ｒに連動ピンｆをスラ
イド自在に係合し、一箇の引き出しｋが引き出さ
れる途中で、上記ロツク部材ｌの傾斜したガイド
溝ｍによつて上記ロツクピンｄが上方へ押し上げ
られ、これによつて連動バーｃが上昇されること
で、連動ピンｆを上記キヤツチ部ｐにキヤツチ
し、連動バーｃと共に上記ロツクピンｄをロツク
部材ｌの前端面l′と当接するようにして他の引き
出しｋの引き出しを阻止し、又引き出された引き
出しｋを押し込むと、ガイド溝ｍの傾斜上昇位置
にロツクピンｄが当接して押し下げられ、このこ
とでロツクピンｄ、連動バーｃは下降し、他の引
き出しｋが引き出し可能となる構成としてある。

しかしながら、上述構成では、アームｑにキヤ
ツチ機能を持たせるが為に、当該アームｑの寸法
ｗを大きくとる必要があり、更にキーによりロツ
クする場合、図示の矢印ｓ方向へ回転する為、必
ず天板ｔとの間に、アームｑの回転する空間をと
つておかねばならず、この結果大きな取付け高さ
を保有させねばならない。

従つて回転軸ａの軸受ｕは天板ｔに取り付ける
ことが困難となつて、幕板ｖに取り付けねばなら
ないので、当該幕板ｖが必要となり、キヤビネツ
ト等の加工が容易でなくなるばかりでなく、キヤ
ビネツト等の前面における引き出しに対する仕様
の自由度を欠き、又アームｑのループ状溝ｒの
為、取付誤差が吸収でき難く、装置の取り付けに
多くの手間と時間がかかるだけでなく、キーによ
るロツク作動時、連動機構部が連結構造であるが
故に、取付誤差等による回転負荷がキーに加わ
り、ロツク動作も重い等の問題点がある。

〔考案が解決しようとする問題点〕

本考案は上述従来の問題点に鑑みて検討の結
果、回転アームを連動ピンに対して開放的に関連
させると共に、回転軸の軸受部側にキヤツチを設
けて構成することによつて、転倒防止機能をもち
ながら、取付誤差を吸収し易くして取り付けを容
易にするだけでなく、取付高さを低く、かつ小形
化できるようにすることにより、軸受を天板裏面
に取り付け可能として幕板を不要となし、これに
よりキヤビネツト等を簡易に加工でき、かつキヤ
ビネツト前面の引き出しに対する仕様に自由度を
持たせ得るようにしたのが、その目的である。

〔問題点を解決するための手段〕

即ち本考案は、シリンダー錠にて回転される回
転軸と連動バーは連動して上昇し、引き出しの出
し入れ動作でロツク兼用転倒防止具のガイド溝に
より上下移動可能に案内されるよう上記連動バー
に設けたロツクピンが上昇位置に保持されること
により上記ロツク兼用転倒防止具の上記ガイド溝
開口部から変位した前端面と当接するようにして
各引き出しをロツクするよう設けた連動ロツク装
置において、上記回転軸に、先端部へフツク形状
の係合部を曲成したオープン型の回転アームを固
定して同アームに上記連動ピンを係合すると共
に、上記回転軸の軸受部に、上記連動ピンを係脱
可能なキヤツチを設け、該キヤツチは、上記シリ
ンダー錠による上記ロツク兼用転倒防止具の前端
面と上記ロツクピンとが係合するロツク位置より
も所望寸法だけ高い位置で上記両者が係合保持さ
れるべく、上記連動ピンをキヤツチ可能に位置設
定して設けて構成し、上述問題点を解決したので
ある。

〔実施例〕

以下本考案の一実施例を図面に基づいて詳述す
れば、第１図ないし第４図に示したように、キヤ
ビネツト１の横幅方向へ架設される回転軸２の左
右両端部には、先端部に上向きフツク形状の係合
凹部３ａを曲成した解放型の回転アーム３を固定
し、略中間部には回転用レバー４を固定してあ
る。

上記回転軸２に連動される左右の両連動バー５
の上端部には、連動ピン６を横向きに突設してあ
ると共に、下側部には引き出し７の数と、高さに
対応する間隔をもつて複数箇のロツクピン８……
が横向きに夫々突出固定してある。

上記連動バー５は、キヤビネツト１における側
板１ａの内面に縦設した取付溝１ｃ内にあつて、
複数箇のガイド９，９……をビス１０止め等にて
固定し、これに上下方向へ摺動自在なるよう嵌装
させてある。

この連動バー５は自重によつても下降するが、
これに関連ずけられる各部材の負荷が加えられる
ので、上記ガイド９と連動バー５に夫々端部を掛
止して補助バネ１１を張設し、該補助バネ１１に
より下方への弾撥力を付勢せしめて下降動作が確
実、かつ速やかに行なわれるようにしてある。

又、上記連動バー５にはストツパー１２を設
け、該ストツパー１２が上記ガイド９等に当接し
て所定の下降位置、つまり、上記ロツクピン８が
図示の○イ点で保持されるようにしてある。

又、図示例では上記回転軸２を回転自在に支持
する軸受１３には、キヤビネツト等の転倒防止の
ためであるキヤツチ１４が設けられ、上記連動バ
ー５の上昇限で上記連動ピン６をキヤツチし得る
ようになつており、又後述するようにしてキーに
よりロツクする場合は、上記回転アーム３が水平
位置よりも上方へ回転しないようにしてあるの
で、キヤビネツト１の天板１ｂとの間に空間を持
たせる必要がなく、従つて上記軸受１３……を上
記天板１ｂの裏面にビス止め等にて固定して、上
記回転軸２を回転自在に架設することが可能であ
る。

上記キヤツチ１４は図示例のように軸受１３と
一体に形成するようにしてよいが、該軸受１３と
別部材のものを軸受１３又は上記天板１ｂの裏面
に単独でビス止め等により固定するようにしても
よいが、何れの場合も、上記連動バー５の連動ピ
ン６に関連ずけて天板１ｂに固定することにな
る。

かくして、上記回転アーム３の係合部３ａに上
記連動ピン６を係支して回転軸２と連動バー５は
連動されるのであるが、ここでは、キーによりロ
ツクするシリンダー錠１５としては、上下動バー
１６を備えてなるものが用いられている。

つまり、上記シリンダー錠１５を図示しないキ
ーにより施錠又は解錠操作すると、上下動バー１
６は図示の矢印Ａ←→A′方向へ昇降移動するから、
上記施錠操作を行なうと、上下動バー１６により
上記回転用レバー４は押し上げられて回動するの
で、上記回転軸２は回転アーム３を伴なつて第１
図の矢印Ｂ方向へ回転し、上記連動ピン６を介し
て連動バー５は引き上げられる。

又、上記キヤツチ１４は、上記連動ピン６と略
同径の係合孔１４ａの下部に狭幅入口部１４ｂを
有する横断面略Ω字形状等に形成され、上記連動
ピン６が狭幅入口部１４ｂに強制的に押し込まれ
ることで弾性変形により拡開し、係合孔部１４ａ
に係合した後に弾性復帰して、当該係合状態が保
持されるようにしたり、又、第５図に示した如
く、軸受１３、回転軸２のカバー１７の前端壁を
横断面略くの字形に屈曲して、それ自体に弾性を
持たせ、その屈曲端部１４ｃが連動ピン６にて押
圧されることで図において右側へ弾性変形し、こ
れにより連動ピン６の上昇を許容し、その後屈曲
端部１４ｃが突出復帰して連動ピン６を図示の
○ハ′点に係合保持可能としてもよい。

更に各引き出し７……における左右の両側板７
ａの外側面には、ロツク兼用転倒防止具１８が
夫々固定される。

このロツク兼用転倒防止具１８には、引き出し
７の前後方向へガイド溝１９が、略中央部から前
方へ下降傾斜して形成され、引き出し７の引き出
し操作により、その前端入口部１９ａから上記ロ
ツクピン８を受け入れ、ガイド溝１９に導入可能
としてある。

又、上記ガイド溝１９の前端入口部１９ａか
ら、上昇端の後端入口部１９ｂまでのヘツドＨ
は、前記ロツクピン８の○イ点から○ハ点までの高さ
に予め設定してある。

つまり、引き出し７が引き出されることで、上
記ロツクピン８は前端入口部１９ａからガイド溝
１９に導入され、その下部傾斜面１９ｃによりガ
イドピン８は徐々に押し上げられて、後端入口部
１９ｂまで到来した時、上記連動ピン６が上記キ
ヤツチ１４にキヤツチされるようにして、他の引
き出しを引き出そうとするときには、連動バー５
の他のロツクピン８が他の引き出しのロツク兼用
転倒防止具１８の前端面１８ａと当接して、引き
出しが阻止されるようにしてある。

即ち、キヤビネツト１の複数箇の引き出し７…
…の内、何れか一箇が引き出されている間は、他
のすべての引き出し７……の引き出し操作が阻止
され、かくして前述のようなキヤビネツト１の転
倒が防止される。

又、引き出されている引き出し７を押し込む
と、図示の○ハ点にロツクピン８は位置しているの
で、上記後端入口部１９ｂからガイド溝１９内に
導入され、引き出し７の押し込み力は、ガイド溝
１９の上部傾斜面１９ｄによりロツクピン８に押
し下げ力として作用するので、当該ロツクピン８
により連動バー５は下降され、これにより連動ピ
ン６はキヤツチ１４から外され、引き出し７を閉
じた状態ではロツクピン８と連動ピン６は夫々第
４図の○イ点、○イ′点に下降保持されて、次回の引
き出し７の引き出し操作に備えられる。

更に本案では、キーによる各引き出し７……の
ロツクは、回転アーム３によつて連動ピン６を図
示の○ロ′点に引き上げた位置で、各ロツクピン８
を図示の○ロ点においてロツク兼用転倒防止具１８
の前端面１８ａと当接することで行なうようにし
てある。

つまり、上述キーによるロツク位置○ロ点、○ロ′
点よりも、上述引き出し７の引き出しによる転倒
防止ロツク位置○ハ点、○ハ′点を所望寸法だけ高い
位置に設定して設け、これによりキーによるロツ
ク及びロツク解除動作時は、キヤツチ力が全く作
用しないように構成してある。

又、上述のように回転軸２、回転アーム３は軸
受１３……にてキヤビネツト１の天板１ｂ裏面へ
取り付け可能であるので、上記シリンダー錠１５
は、第３図に明示した如く、引き出し７の前面板
７ｂに寄設した取付孔７ｃに嵌着して、上下動バ
ー１６を前板７ｂの裏面に沿つて上下動可能に取
り付けられる。

第６図は本考案装置を両袖机２０の引き出しロ
ツク装置とした使用例を示し、第７図は本案装置
をキヤビネツト１の引き出しロツク装置とした使
用例を示している。

尚、第３図において２１は回転用レバー４の取
付角度調整ネジを示している。

〔考案の効果〕

以上説明したように、本考案に係る連動ロツク
装置は構成され、回転軸２に固定することで連動
バー５の連動ピン６と係合し、引き上げ動作をす
る回転アーム３には、先端部にフツク形状の連動
ピン係合凹部３ａを設けて、当該アーム３を連動
ピン６に対して解放型に形成するようにしたの
で、回転軸２及び連動バー５の取り付け時におけ
る取り付け誤差が吸収し易くなり、キヤビネツト
１等に対する装置の取り付けを簡単化できると共
に、転倒防止の為のキヤツチ機能を持たせてある
が、キヤツチ１４を回転軸２の軸受１３部側に設
けたことにより、回転軸２、回転アーム３の取付
高さを低く、かつ小型化することができるので、
これらをキヤビネツト１等の天板１ｂの裏面に直
接取り付けることができ、その為、幕板が不要と
なり、キヤビネツト１等の加工が簡易にできるよ
うになるばかりでなく、キヤビネツト１前面の引
き出し７に対する仕様が自由に決められる。

又、キーにより各引き出し７……をロツクする
連動バー５の上昇点よりも、連動ピン６がキヤツ
チ１４にキヤツチされて転倒防止ロツクされる連
動バー５の上昇点を高く設定してキーによるロツ
ク及びロツク解除動作時にキヤツチ力が全く作用
しない構成としたので、キーに対して取付誤差等
による動作負荷が加わらず、各引き出し７……の
連動ロツク及びロツク解除操作を小さな力で円滑
にして、軽快に行ない得る等の効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る連動ロツク装置の一実施
例を示した一部の斜視図、第２図は同実施例の使
用状態を示す一部の正面図、第３図、第４図は第
２図における−線、−線各横断側面図、
第５図は同実施例におけるキヤツチの変形例を示
した横断面図、第６図、第７図は同実施例を両袖
机とキヤビネツトの引き出しロツク装置として使
用した各使用例の斜視図、第８図は従来の連動ロ
ツク装置を示した分解斜視図、第９図は従来の連
動ロツク装置における転倒防止機構を示した横断
側面図である。 ２……回転軸、３……回転アーム、３ａ……係
合凹部、５……連動バー、６……連動ピン、７…
…引き出し、８……ロツクピン、１３……軸受、
１４……キヤツチ、１４ａ……係合孔、１４ｂ…
…狭幅入口部、１５……シリンダー錠、１７……
カバー、１８……ロツク兼用転倒防止具、１８ａ
……前端面、１９……ガイド溝、１９ａ……ガイ
ド溝入口部。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) シリンダー錠の操作にて回転される回転軸に
   より連動バーを連動して上昇させ、引き出しの
   出し入れ動作でロツク兼用転倒防止具のガイド
   溝により上下移動可能に案内されるよう上記連
   動バーには、ロツクピンが設けられ、同ピンが
   上昇位置に保持されることにより上記ロツク兼
   用転倒防止具の上記ガイド溝入口部から変位し
   た前端面と当接するようにして各引き出しをロ
   ツクするよう設けた連動ロツク装置において、
   上記回転軸には、先端部へフツク形状の係合凹
   部を設けた解放型の回転アームを固定して、同
   アームに上記連動バーの連動ピンを係支すると
   共に、上記回転軸の軸受部側に、上記連動ピン
   を係脱可能なキヤツチを設け、該キヤツチは、
   上記シリンダー錠による上記ロツク兼用転倒防
   止具の前端面と上記ロツクピンとが係合するロ
   ツク位置よりも、所望寸法だけ高い位置で上記
   両者が係合保持されるよう上記連動ピンをキヤ
   ツチ可能な位置に設定してなる連動ロツク装
   置。 (2) キヤツチが、回転軸の軸受と一体に形成され
   ている実用新案登録請求の範囲第１項記載の連
   動ロツク装置。 (3) キヤツチが、回転軸及び軸受のカバーに一体
   に形成されている実用新案登録請求の範囲第１
   項記載の連動ロツク装置。 (4) キヤツチが、横断面略Ω字形状とした係合孔
   の下部に狭幅入口部を設けて形成されている実
   用新案登録請求の範囲第１項記載の連動ロツク
   装置。 (5) キヤツチが、カバーを弾性変形可能に曲突し
   て形成されている実用新案登録請求の範囲第１
   項記載の連動ロツク装置。