JPH04320631A - 病害耐性タバコ植物及びその作製方法 - Google Patents

病害耐性タバコ植物及びその作製方法

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JPH04320631A
JPH04320631A JP3180614A JP18061491A JPH04320631A JP H04320631 A JPH04320631 A JP H04320631A JP 3180614 A JP3180614 A JP 3180614A JP 18061491 A JP18061491 A JP 18061491A JP H04320631 A JPH04320631 A JP H04320631A
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tobacco plant
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agrobacterium
soybean
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▲よし▼川 正明
Masaaki Yoshikawa
Norio Yasutomi
安冨 範雄
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Otsuka Chemical Co Ltd
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Otsuka Chemical Co Ltd
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  • Breeding Of Plants And Reproduction By Means Of Culturing (AREA)

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は病害耐性タバコ植物、よ
り詳しくは形質転換によってタバコ疫病菌及びタバコ赤
星病菌に対する抵抗性を付与されたタバコ植物及びその
作製方法に関する。
【0002】
【従来の技術】植物の微生物(病原菌)に対する抵抗反
応の機構は、単一ではなく植物及び病原菌の種類により
多種多様であるが、多くの植物−病原菌の系においては
共通して宿主の活発な代謝を経て、感染後に抵抗反応が
認められる[Ouchi,S.,Ann  Rev.P
hytopathol.,21,289−315(19
83)]。上記感染後に誘導される抵抗反応の代表例と
しては、低分子量の抗菌性物質であるファイトアレキシ
ンの蓄積を例示できる。該ファイトアレキシンは21科
100種以上の植物において認められ[Bushnel
l,W.R.andJ.B.Rowell,Phyto
pathology,71,1012−1041(19
81)]、この蓄積が植物の病原菌に対する重要な抵抗
反応機構であると考えられる[Keen,NT.,Pl
ant  Disease  Control,Joh
n  Wiley  and  Sons,NewYo
rk,pp157−177(1981)]。また、上記
ファイトアレキシン蓄積等の、植物の抵抗反応を誘導す
る活性をもつ物質が、多数の病原菌から分離されており
、それらはエリシターと総称されている[Keen,N
.T.,Science,187,74−75(197
5)]。
【0003】大豆(Glycine  max)と疫病
菌(Phytophthora  megasperm
a  f.sp.glycinea)の系において、菌
体細胞壁は大豆のファイトアレキシンであるグリセオリ
ンを誘導するエリシターとして知られている[Yosh
ikawa,M.,Nature,275,546−5
47(1975)]が、不溶性であるため該細胞壁自体
が宿主(大豆)の受容体に認識されるとは考え難い。こ
の菌体細胞壁からオートクレーブ処理や酸、アルカリ等
の処理でエリシターが可溶化されるが、その活性(エリ
シター活性)は、疫病菌細胞壁全体のそれに比べて極め
て低く、この可溶性のエリシターが実際に感染の場で機
能するか否かは疑問である。この疑問に対し、吉川らは
大豆組織には疫病菌細胞壁から活性の高い可溶性の糖エ
リシターを遊離する因子が存在することを始めて見出し
た[Yoshikawa,M.,M.Matama  
and  H.Masago,Plant  Phys
iol.,67,1032−1035(1981)]。 その後、上記疫病菌細胞壁からのエリシター遊離に関与
する宿主因子は、β−1,3−エンドグルカナーゼ(β
−1,3−endoglucanase,以下、「β−
1,3−EG」と略記する)であることが解明され[K
een,N.T.and  M.Yoshikawa,
Plant  Physiol.,71,460−46
5(1983)]、現在では疫病菌細胞壁に本来β−1
,3−グルカンを介して結合しているエリシター分子が
、β−1,3−EGにより遊離し、この遊離したエリシ
ターが大豆細胞の原形質膜上のレセプターに結合して、
大豆細胞の核内におけるグリセオリン合成系酵素群をコ
ードする遺伝子の発現を誘導すると考えられている[S
chmidt,W.E.and  J.Ebel,Pr
oc.Natl.Acad.Sci.,U.S.A.,
84,4117−4121(1987):Yoshik
awa,M.,N.T.Keen  and  M.C
.Wang,Plant  Physiol.,73,
497−506(1986):Esnault,R.,
R.N.Chibbar,D.Lee,R.B.van
  Huystee  and  E.W.B.War
d,Physiol.Mol  Plant  Pat
hol.,30,293−297(1987):Yos
hikawa,M.,Biochemical  Pl
ant  Pathology(Ed.J.A.Cal
low),John  Wiley  and  So
ns,Chichester,pp267−298(1
983)]。
【0004】一方、近年植物の品種改良の一つの手段と
して、例えば病害抵抗性や除草剤抵抗性の獲得、光合成
能の増大、豆類、穀類等の貯蔵蛋白質、脂質、澱粉等の
成分改良や増産、窒素固定能力の付与等の目的で、植物
への有用遣伝子の導入技術、即ち有用な遺伝子を栽培作
物に導入して形質転換植物を創成する試みが種々研究開
発されている。その代表例としては例えばウイルスのコ
ートプロティン遺伝子を導入したウィルス抵抗性植物や
、プロテアーゼインヒビター遺伝子を導入した害虫抵抗
性植物、除草剤抵抗性遺伝子を導入した除草剤抵抗性植
物等の創成が知られている。しかしながら、いまだ上述
したような大豆疫病菌抵抗性に関与すると考えられるエ
リシター遊離因子を、他の植物につき応用する研究はな
されていないし、はたしてこれによって実際に形質転換
植物及びその後代植物が所望の抵抗性を獲得できるか否
かも判明していない現状にある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
はタバコ植物に上記遺伝子導入技術を応用して、該植物
に所望の病害抵抗性を付与することにある。
【0006】上記目的より本発明者らは鋭意研究を重ね
てきたが、その過程で先に上記疫病菌(糸状菌)の細胞
壁から活性の高い可溶性エリシターを遊離させる宿主(
大豆組織)側因子の遺伝子、即ちβ−1,3−EGの遺
伝子の単離に成功した。より詳しくは、通常の遺伝子組
換え技術に従い、まず大豆の子葉組織から全mRNAを
抽出し、これと相補的なcDNAを合成してプラスミド
ベクターλgt11に挿入し、該プラスミドを大腸菌に
組込んでcDNAライブラリーを作製し、これより目的
とする大腸菌クローンをスクリーニングし、その有する
DNA塩基配列の解析、決定に成功した。かくして得ら
れたβ−1,3−EG遣伝子(cDNA)は、1041
塩基対からなる翻訳可能領域の存在が認められ、その塩
基配列から推定される蛋白質のアミノ酸配列は大豆β−
1,3−EGのそれに一致することが確認された[Pl
ant  Physiol.,93,673−682(
1990)]。
【0007】本発明者らは引き続く研究の結果、上記大
豆β−1,3−EG遣伝子のタバコ植物への導入に成功
し、かくして得られた形質転換タバコ植物が、タバコ疫
病菌抵抗性を有することを見出し、ここに本発明を完成
するに至った。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、大豆β
−1,3−EG遣伝子の導入によって形質転換されてお
り、タバコ疫病菌及びタバコ赤星病菌に対する抵抗性を
有することを特徴とする病害耐性タバコ植物、及び大豆
β−1,3−EG遺伝子を有するベクターを転移された
アグロバクテリウム属細菌にてタバコ植物を感染させて
、タバコ疫病菌及びタバコ赤星病菌に対する抵抗性を付
与することを特徴とする病害耐性タバコ植物の作製方法
が提供される。
【0009】より詳しくは、本発明の病害耐性タバコ植
物は、大豆β−1,3−EG遣伝子を有するベクターを
転移されたアグロバクテリウム属細菌にてタバコ植物を
感染させることにより創成され、上記ベクターとしては
、代表的には公知のバイナリーベクターpROK1aが
、アグロバクテリウム属細菌としてはアグロバクテリウ
ム・ツメファシエンス(A.tumefaciens)
LBA4404株がそれぞれ有利に利用できる。また、
本発明の形質転換方法においては、より有利には大豆β
−1,3−EG遺伝子を有するベクターのアグロバクテ
リウム属細菌への転移がトリペアレンタルメイティング
法により行なわれ、アグロバクテリウム属細菌による感
染がリーフディスク法により行なわれる。
【0010】本発明により創成される病害耐性タバコ植
物は、上記の通りタバコ疫病菌及びタバコ赤星病菌に対
する抵抗性を付与されていることにより特徴付けられる
。即ち、本発明の病害耐性タバコ植物は、後記実施例に
て詳述する通り、形質転換を行なっていないタバコ植物
と対比して、β−1,3−EG活性が2〜3倍も増大し
ており、タバコ疫病菌を無傷接種した実験で病斑の形成
及び拡大が抑制され、この特性はタバコ疫病菌を有傷接
種した実験で更に顕著となり、またタバコ赤星病菌を有
傷接種した実験でも同様に病斑形成及び拡大の顕著な抑
制が認められるものである。従って、本発明のタバコ植
物は、糸状菌に対する抵抗性が向上されている点よりそ
の栽培が容易で、品質低下もなく、非常に有用であるこ
とが明らかである。
【0011】以下、本発明の形質転換タバコ植物の創成
技術につき、(1)利用されるタバコ植物、大豆β−1
,3−EG遺伝子、その他の材料、(2)発現ベクター
の利用、(3)植物への上記遺伝子の導入及びこれによ
る植物の形質転換、(4)形質転換植物内遺伝子の存在
解析及び該遺伝子の翻訳産物の確認、(5)形質転換植
物の抵抗性検討の順で説明する。
【0012】(1)利用されるタバコ植物としては、公
知の各種品種のもののいずれでもよく、特に限定はない
が、ブライトイエロー(Bright  yellow
)品種が好ましく、これは例えばMS(Murashi
ge−Skoog)培地で無菌的に27±1℃下、照明
下で生育させた実生を好適に利用できる。
【0013】大豆β−1,3−EG遺伝子としては、代
表的には文献[Plant  Physiol.,93
,673−682(1990)]に記載のものを利用で
きるが、特にこれに限定される訳ではなく、一般的な遺
伝子工学技術に従い大豆より単離されたβ−1,3−E
G遺伝子や該遺伝子のDNA塩基配列を基にして、例え
ば(ホスファイト  トリエステル法[Nature,
310,105(1984)]等の通常の方法に従い、
別途化学合成されたものであってもよい。上記遣伝子工
学技術に従う大豆からのβ−1,3−EG遺伝子の単離
は、例えば、大豆の子葉組織から全mRNAを抽出単離
し、これに相補的なcDNAを合成し、所望cDNAを
選別し、プラスミドベクターλgt11等の適当なベク
ターに挿入、該ベクターを大腸菌等の適当な宿主に組込
み(cDNAライブラリーを作製し)、目的クローンを
スクリーニングし、DNA塩基配列の解析、決定を行な
い、最終的に目的とするDNA塩基配列を精製すること
により行ない得る。
【0014】上記全mRNAの抽出は、例えばグアニジ
ニウム/セシウムクロライド法[Guanidiniu
m/cesium  Chloride  metho
d,T.Maniatis,E.F.Fritsch 
 and  J.Sambrook,Molecula
r  Cloning,p194−196(ColdS
pring  Harbor  Laboratory
),1982]や超遠心を用いるCsCl重層法[Ch
irgwin,J.M.,et  al.,Bioch
emistry,18,5294(1979)]等に従
い実施できる。得られる全RNAからの所望mRNAの
分離、精製は、例えばオリゴdTセルロース[コラボレ
ィティブ  リサーチ社製)、ポリUセファロース(フ
ァルマシア社製)]等を用いて吸着カラム法やバッチ法
により実施できる。 目的mRNAの精製、濃縮及び同定は、得られるmRN
Aを蔗糖密度勾配遠心法等により分画し、分画物につき
蛋白質の翻訳系で蛋白質に翻訳させ、得られる蛋白質の
活性を調べることにより行ない得る。また上記同定は1
,3−EGに対する抗体を用いる免疫法によっても行な
い得る。
【0015】cDNAの合成は、一般的な方法、例えば
岡山−バーグ法[H.Okayama  and  P
.Berg,Molecular  and  Cel
lularBiology,vol3,p280(19
83)]やグブラー−ホフマン法[V.Gubler 
 and  B.J.Hoffman,Gene,vo
l.25,p263−269(1983)]等に従い実
施できる。より詳しくは、上記で得られたmRNAに、
市販の逆転写酵素及びDNA合成酵素(DNAポリメラ
ーゼI、T4DNAポリメラーゼ等)を作用させて二重
鎖cDNAを得、その両端に組み込み可能な形とするた
めの適当なリンカーを付与すればよい。
【0016】上記で得られるcDNAをバクテリオファ
ージλやpBR322プラスミド等の適当なベクターに
組み込んだ後、大腸菌等の宿主を形質転換させ、cDN
Aライブラリーを作製し、これより目的クローンをスク
リーニングする方法は、通常の合成オリゴヌクレオチド
プローブを用いる方法や1,3−EGに対する抗体を用
いる方法やセレクティブ・ハイブリダイゼーション・ト
ランスレーション法に従い実施できる。
【0017】かくして得られる目的遺伝子のDNA塩基
配列の解析、決定は、マキサム−ギルバート法[Max
am−Gilbert  method,Meth.E
nzym.,65,499−560(1980)]、M
13ファージを用いるジデオキシヌクレオチド鎖終結法
[Messing,J.and  Vieira,J.
,Gene,19,269−276(1982)]、サ
ンガー法[F.Sanger,et  al.,Pro
c.Natl.Acad.Sci.,U.S.A.,7
4,5463(1977)]等により行なうことができ
る。
【0018】上記遺伝子の調製及びこれに引き続く本発
明形質転換植物の創成における遺伝子工学的手法として
は、公知の各種方法をいずれも採用することができる。 例えば、DNAの切断、結合、リン酸化等を目的とする
手法(各種制限酵素処理、DNAリガーゼ、ポリヌクレ
オチドキナーゼ、DNAポリメラーゼ等による酵素処理
等は常套手段によることができ、用いられる酵素等も市
販品として容易に入手できる。之等各操作における遺伝
子等の単離、精製も常法、例えばアガロースゲル電気泳
動法等に従えばよい。遣伝子の複製、増殖等は後述する
ように通常のベクターを利用して実施でき、その際用い
られるDNA断片や合成リンカーも前記化学合成手段を
含む通常の方法に従い容易に製造できる。
【0019】(2)発現ベクターの利用ベクターの利用
は、この種植物の形質転換方法に用いられる各種の方法
に従って実施することができる。その代表例としては例
えば、Tiプラスミドを利用する方法、カリフラワーモ
ザイクウィルス(CaMV)を利用する方法、植物細胞
に特有のオルガネラである葉緑体のDNAより自律的に
複製するDNAを複製開始部位とするベクターを利用す
る方法、RNAウィルスを用いたRNAベクターを利用
する方法等を例示できる。之等の内で特にTiプラスミ
ドを利用する方法は、導入された遣伝子が最終的に植物
のゲノムの中に組込まれ、種子を通じて次の世代にも伝
えられるという、動物細胞でよく用いられるているリン
酸カルシウム法と同様の性質を持っており、本発明に有
利に利用できる。尚、上記Tiプラスミド法は、文献[
Journal  ofBiotechnology,
121−20(1989)]や文献[現代化学、199
0年6月号、25−29頁、「植物形質転換法」]等に
詳しく説明されており、本発明でも之等各文献に記載の
方法を、いずれも有利に適用することができる。
【0020】(3)植物への遺伝子の導入とこれによる
形質転換法上記(2)に従い得られる組換え体Tiプラ
スミドDNAを植物体に導入する方法としては、1)ポ
リエチレングリコールを用いる直接導入法、2)リボソ
ームに包んで導入する方法、3)細胞内に微量を注入す
る方法、4)アグロバクテリウムのスフェロプラストと
植物プロトプラストを融合条件下で混合処理して、アグ
ロバクテリウムを植物細胞中に直接導入する方法等の各
種方法をいずれも採用することができる。それら各方法
はいずれも公知の各種文献に記載の操作に従うことがで
きる。より具体的には、アグロバクテリウムを介したT
iプラスミドの感染力を利用して植物を形質転換する方
法は、従来より主に1)植物体接種法、2)リーフディ
スク法、3)プロトプラスト共存培養法等に従い行なわ
れており、上記2)リーフディスク法は、その操作自体
非常に簡単であり、熟練を要さず、しかも短時間に所望
の形質転換植物を作製できる点より、本発明においても
最も好ましいもののひとつである。尚、上記形質転換法
の具体的操作は、後記する実施例に詳述した通りである
【0021】かくして得られる本発明の形質転換タバコ
植物は、通常の方法に従いこれを栽培することができる
。殊に、本発明の形質転換タバコ植物は、上記の通り大
豆β−1,3−EG遺伝子を導入されていることに基づ
いて、病害に対する抵抗性が付与されている点に大きな
特徴を有する。その栽培条件(栽培場所、土壌等)や栽
培方法は、通常のタバコ植物と特に異なるものではない
【0022】(4)形質転換植物内遺伝子の存在解析及
び該遣伝子の翻訳産物の確認上記遣伝子の存在解析は、
通常よく知られている一般的方法に従い行なうことがで
きる。その具体例としては例えばサザンハイブリダイゼ
ーション法を挙げることができる。また、得られる植物
体から自殖により種子をとり、これを植物培養用培地に
播いて生育させ、耐性植物と非耐性植物との個体数を計
測すれば、導入遺伝子がメンデルの法則に従って、後代
に伝達されることが確認できる。
【0023】(5)形質転換植物の抵抗性検討得られる
形質転換体を、常法に従って生育培養させ、これに各種
の病原菌を通常の方法に従って接種し、所定時間後に該
植物体の例えば葉の状態を肉眼観察することにより、該
植物体の病害抵抗性を容易に判断できる。
【0024】
【実施例】以下、本発明を更に詳しく説明するため、本
発明形質転換タバコ植物の創成技術及び得られる形質転
換植物の特徴につき実施例を挙げる。
【0025】尚、以下の各例においては、次のβ−1,
3−EG活性測定法を採用した。[β−1,3−EG活
性の測定] β−1,3−グルカンであるラミナリン(Calbio
chem)を基質として、このラミナリン溶液(500
μg/ml)に、供試蛋白溶液50μlを加えて、37
℃でインキュベートし、反応1時間後及び2時間後に生
成した還元糖をネルソン法[福島正美、菅原潔、「化学
と生物」,4,37−44(1966)]で定量するこ
とにより、β−1,3−EG活性を測定した。
【0026】
【実施例1】1.供試植物及び供試菌 タバコ(Nicotiana  tobaccum,品
種:Blight  Yellow,京都大学農学部よ
り入手)を、後記するようにMS培地(Murashi
ge−Skoog)上で、無菌的に27±1℃、照明下
に生育させた実生を利用した。
【0027】大腸菌(Escherichia  co
li)HB101株は、40%グリセロールを含むL−
ブロス(LB)培地[J.Sambrook,E.F.
Frisch.T.Maniatis,Molecul
ar  Cloning:A  Laboratory
  Mannual(second  edition
)Cold  Spring  Harbor  La
boratory  Press(1989)]中で保
存し、形質転換に際してはLB培地で37℃で一晩培養
して利用した。
【0028】アグロバクテリウム(Agrobacte
rium  tumefaciens,LBA4404
)株[筑波大学生物学化より入手]は、40%グリセロ
ールを含むL−ブロス(LB)培地中で保存し、タバコ
葉切片への接種に際してはLB培地で28℃、2日間培
養して利用した。
【0029】タバコ疫病菌(Phytophthora
  nivotianaevar.nicotiana
e)[カリフォルニア大学リバーサイドより入手]は、
ジャガイモ・シュークロース寒天培地(PSA)上で保
存し、タバコ植物への接種に際しては、無菌栽培したタ
バコ葉上で1週間培養し、病原性を示したものを利用し
た。
【0030】タバコ赤星病菌(Alternaria 
 alternata,tobacco  patho
type)[鳥取大学農学部より入手]は、PSA(ポ
テト・デキストラン・アガー)上で保存し、タバコ植物
体への接種に際しては、PSA上で形成した胞子を利用
した。
【0031】2.発現ベクターの調製 2−a.ベクターの調製 カナマイシン耐性を選別マーカーとして持つバイナリー
ベクターpROK1a[筑波大学より入手]を用いた。 その特徴を第1図に示す。図において、BRはTiプラ
スミドのライトボーダー領域を、BLは同レフトボータ
ー領域を、NPT−IIはネオマイシンホスホトランス
フェラーゼ(カナマイシン耐性)のDNA断片を、no
sPはTiプラスミドのノパリン合成遺伝子プロモータ
ーを、nostはTiプラスミドのノパリン合成遺伝子
ターミネーターを、35SPはカリフラワーモザイクウ
イルス35Sプロモーターをそれぞれ示す。
【0032】上記pROK1aを制限酵素BamHI(
宝酒造社製)で切断し、T4DNAポリメラーゼ(宝酒
造社製)を用いて末端平滑化を行なった[Maniat
is,T,E.F.Fritsch  and  J.
Sambrook,Molecular  Cloni
ng,A  Laboratory  Mannual
,Cold  Spring  Harbor  La
boratory,1,5.60−5.63(1989
)]後、ベクターのセルフライゲーションを防止するた
めに、アルカリフォスファターゼ(Calf  int
estine  phosphatase,CIP,宝
酒造社製)により末端の脱リン酸化を行なった[Man
iatis,T.,E.F.Fritsch  and
  J.Sambrook,Molecular  C
loning,A  Laboratory  Man
nual,Cold  Spring  Harbor
  Laboratory,1,5.72(1989)
]。
【0033】2−b.導入DNA断片の調製導入DNA
断片としてβ−1,3−EGのcDNA[Plant 
 Physiol.,93,673−682(1990
)]を用いた。その塩基配列をこれによりコードされる
推定アミノ酸配列と共に第2図に示す。
【0034】上記DNA断片の末端も、上記2−aと同
様にしてT4DNAポリメラーゼを用いて平滑化した。
【0035】2−c.ライゲーション末端平滑化したp
ROK1a及びβ−1,3−EGcDNAをT4DNA
リガーゼ(宝酒造社製)を用いてライゲーションして、
β−1,3−EG発現ベクターを得た。尚、上記ライゲ
ーションはハヤシらの方法に従った[Hayashi,
L.,M.Nakazawa,Y.Ishizaki,
N.Hiraokaand  A.Obayashi,
Nucl.Acids  Res,14,7617−7
631(1986)]。
【0036】2−d.形質転換 ハナハンらの方法  [Hanahan,D.,J.M
ol.Biol.,166,557−580(1983
)]に従って、大腸菌(E.coli)HB101株か
ら調製したコンピテント細胞を上記β−1,3−EG発
現ベクターで形質転換して、所望の形質転換体を得た。
【0037】2−e.大腸菌からのプラスミドの抽出カ
ナマイシン25μg/mlを含むLB培地を用いて、形
質転換大腸菌を37℃で一晩振盪培養し、培養物を遠心
分離(1500g×5分)して菌体を回収し、アルカリ
SDS法[Maniatis,T.,E.F.Frit
sch  andJ.Sambrook,Molecu
lar  Cloning,A  Laborator
y  Mannual,Cold  Spring  
Harbor  Laboratory,1,1.25
−1.28(1989)]により、プラスミドを回収し
た。
【0038】2−f.ベクター内導入DNA断片の挿入
方向の確認2−dで得たプラスミドを制限酵素EcoR
I(宝酒造社製)及びHindIII(宝酒造社製)で
切断し、バイナリーベクターに挿入されたβ−1,3−
EGcDNAの挿入方向を確認した。また、全長1.2
kbである上記cDNAの5′上流側から500bpの
位置に認識配列が存在する制限酵素EcoT141(宝
酒造社製)を用いて、制限酵素EcoR1と共に上記プ
ラスミドを切断し、生成したDNA断片の大きさよりc
DNAの挿入方向を確認した。
【0039】その結果を第3図に示す。
【0040】図において、Senseは順方向に挿入さ
れたものを、Antisenseは逆方向に挿入された
ものを示す。尚、分子量マーカー(Mol.wt.ma
rker)としては、λDNA(宝酒造社製)を用いた
【0041】第3図より、本来1.5kbの大きさをも
つEcoRI−HindIII断片は、cDNAの挿入
により2.8kbの断片として得られ、また、cDNA
が順方向(Sense)に挿入された際のEcoRI−
EcoT141断片は1.3kbの断片として得られ、
逆にcDNA断片が逆方向(Antisense)に挿
入された際のEcoRI−EcoT141断片は1.6
kbの断片として得られた。
【0042】上記バイナリーベクターにβ−1,3−E
GのcDNAを、β−1,3−EG蛋白が正常に合成さ
れる順方向に挿入したベクタープラスミドを「pROK
1a−SEG」と命名した。またmRNAがアンチセン
スに転写される逆方向に上記cDNAが挿入されたベク
タープラスミドを「pROK1a−AEG」と命名した
【0043】3.アグロバクテリウムへのプラスミドの
導入大腸菌(E.coli)HB101株からのバイナ
リーベクターのアグロバクテリウム(A.tumifa
xiens)LBA4404株への導入は、バイナリー
ベクターのアグロバクテリウムへの転移に必要な因子を
持つプラスミドpRK2013[筑波大学より入手]を
用いたトリペアレンタルメイティング法[Ditta,
G.,S.Stanfield,D.Corbin  
and  D.R.Helinski,Proc.Na
tl.Acad  Sci.,U.S.A.,77,7
347−7351(1980)]によって、以下の通り
行なった。即ち、pROK1a及びpRK2013をそ
れぞれ持つ大腸菌(E.coli  HB101)株を
、カナマイシン25μg/mlを含むLB培地中で37
℃で一晩培養した。
【0044】一方、アグロバクテリウムLBA4404
株をリファンピシン100μg/ml及びストレプトマ
イシン30μg/mlを含むLB寒天培地上で、28℃
下に2日間培養した。
【0045】上記で得られた各培養液を混合し、これを
カナマイシン25μg/ml、リファンピシン100μ
g/ml及びストレプトマイシン3μg/mlを含むL
B寒天培地上で、28℃下に1日間培養した。その結果
、pROK1aの導入によってリファンピシン及びスト
レプトマイシンに加えてカナマイシンにも耐性を示し従
って培地上にコロニーを形成したアグロバクテリウムを
選別し、これを以下の例に用いた。
【0046】4.植物への遺伝子の導入4−a.無菌植
物の育成 タバコ(Nicotiana  tobacum,品種
:Blight  Yellow)の種子をミラクロス
(とは?、会社名)で包み、70%エタノールに30分
間、次いで1%次亜塩素酸ナトリウム水溶液に5分間浸
漬した後、滅菌水で水洗した。これをシャーレ(直径9
cm)中の1%素寒天上に播種し、27±1℃、照明下
で1週間培養後、MS寒天培地上に移植し、培養を続け
た。
【0047】4−b.葉の切片への感染アグロバクテリ
ウムのタバコ葉への感染は、リーフディスク法[Rog
ers,S.G.,R.B.Horsh  and  
R.T.Fraley,Methods  Enzym
ol,118,627−640(1986)]に従って
、以下の通り行なった。即ち、無菌栽培したタバコ実生
の葉を適当な大きさ(約1cm×1cm)に切断し、こ
の葉切片をLB培地中で28℃、2日間培養したアグロ
バクテリウムを感染させた。次に、アグロバクテリウム
に感染し、形質転換されたタバコ細胞を、カナマイシン
を含むMS寒天培地上で選別し、植物ホルモンとしてナ
フタレン酢酸0.1mg/1とベンジルアデニン1.0
mg/1を添加して、不定芽形成を誘導した。 更に、形成された不定芽を植物ホルモン無添加の培地に
移して、不定根形成を誘導して、再生された植物体のそ
れぞれ約20個体ずつ(本発明のpROK1a−SEG
及びpROK1a−AEGでそれぞれ形質転換された形
質転換体、並びに比較のためβ−1,3−EGのcDN
Aを導入していないバイナリーベクターpPOK1aで
形質転換した形質転換体)を得た。
【0048】以下、上記本発明のpROK1a−SEG
で形質転換された形質転換植物個体をそれぞれ「TS−
1」〜「TS−20」と呼び、pROK1a−AEGで
形質転換された形質転換植物個体をそれぞれ「TA−1
」〜「TA−20」と呼び、比較のためβ−1,3−E
GのcDNAを導入していないバイナリーベクターpP
OK1aで形質転換した形質転換植物個体をそれぞれ「
TN−1」〜「TN−24」と呼び、また何等の形質転
換も行なわなかった植物個体をそれぞれ「T−1」〜「
T−20」と呼ぶ。
【0049】之等各植物を常法に従い栽培した結果を第
4図に示す。
【0050】図において、1(左下)は上記と同条件下
に得られた形質転換していないタバコ植物を、2(右下
)はpROK1a−SEGで形質転換したタバコ植物を
、3(左上)はpROK1a−AEGで形質転換したタ
バコ植物を、また4(右上)はバイナリーベクターpP
OK1aで形質転換したタバコ植物をそれぞれ示す。
【0051】次に、之等各形質転換植物について、以下
の実験を行なった。
【0052】5.形質転換植物における外来遺伝子の存
在解析 5−a.植物組織からのDNAの抽出 少量のサンプルからDNAを抽出するために、強力な界
面活性剤であるセチルトリメチルアンモニウムブロマイ
ド(cetyltrimethyl  ammoniu
m  bromide,CTAB)を用いて組織を処理
し、クロロホルム抽出によりDNAを分離するCTAB
法[Rogers,S.O.and  A.J.Ben
dich,Plant  Mol.Biol.,5,6
9−76(1985)]を行なった。即ち、新鮮重で0
.5gのタバコ葉を液体窒素で凍らせ乳鉢でよく摩砕し
、65℃の温湯中で2%CTAB溶液を加え、3分間6
5℃で加温後、クロロホルム抽出を行ない、1/10量
の10%CTAB溶液を加え、3分間65℃で加温した
。再びクロロホルム抽出を行なった後、等量の1%CT
AB溶液を加えて65℃で1分間保ち、10000×g
で3分間遠心分離して得られた沈殿に、50μlの滅菌
水を加えて沈殿を溶解させた。これをエタノール洗浄し
たものを精製DNA溶液として、その一部につきアガロ
ースゲル電気泳動を行ない、RNAの混入やDNAの分
解がないことを確認した後、以下のDNA解析に用いた
【0053】5−b.サザン法 1%アガロースゲルを用いてアガロースゲル電気泳動を
行ない、定電流50mAで1時間泳動させた後、サザン
らの方法[Southern,E.M.,J.Mol.
Biol.,98,503−511(1975)]に従
って、大豆β−1,3−EGのcDNAをプローブとし
て用いてブロッティングを行ない、アグロバクテリウム
によりタバコゲノムDNAに挿入された大豆のβ−1,
3−EGの検出を行なった。
【0054】その結果を第5図に示す。図において、レ
ーン1はTN−1を、レーン2はTN−2を、レーン3
はTN−12を(之等はpROK1aで形質転換したも
のである)、レーン4はTS−1を、レーン5はTS−
2を、レーン6はTS−3を、レーン7はTS−10を
、レーン8はTS−13を、レーン9はTS−14を(
之等はpROK1a−SEGで形質転換したものである
)、レーン10はTA−1を、レーン11はTA−2を
、レーン12はTA−7(之等はpROK1a−AEG
で形質転換したものである)を、またレーン13はT−
1(形質転換していないもの)をそれぞれ示す。
【0055】第5図より、形質転換していないタバコ植
物及びpROK1aで形質転換したタバコ植物では、い
ずれも大豆β−1,3−EGのcDNAは検出されなか
ったのに対して、本発明のpROK1a−SEG及びp
ROK1a−AEGで形質転換したタバコ植物では、い
ずれも大豆β−1,3−EGのcDNAが検出された。
【0056】6.形質転換植物における外来遣伝子の翻
訳産物の解析 6−a.植物組織からの蛋白の抽出 新鮮重で3gのタバコ葉を液体窒素で凍らせて乳鉢でよ
く摩砕し、10mMのトリス緩衝液(pH7.3)を1
0ml加えた後、10000×gで遠心分離して植物組
織残渣を取り除いた上清に、100%飽和となるように
硫酸アンモニウム結晶を加えて蛋白分画を沈殿させ、こ
れを10000×gで遠心分離により回収した。これに
10mMのトリス緩衝液を2ml加えた後、10mMの
トリス緩衝液中で透析を行ない、硫酸アンモニウムを除
去したものを蛋白溶液とした。
【0057】6−b.ウエスタン法 ラウリル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル電気
泳動(SDS−PAGE)をレメリの方法[Leamm
li,U.K.,Nature,227,680−68
5(1970)]に従い実施した。濃縮用ゲルは4.5
%、分離用ゲルは10%で作製し、垂直型泳動装置[ア
トー社製]を用いて定電流120mAで4時間泳動を行
なった。泳動後、直ちにゲルをトリス緩衝液(pH?)
に浸して平行化させた後、電気プロッティング装置[同
上社製]を用いて、定電流120mAで1時間、ナイロ
ン膜にブロッティングを行なった。ブロッティング終了
後、ゲルをクーマシーブリリアントブルー(cooma
sie  brilliant  blue,BPB)
染色液で染色し、またナイロン膜は3%ゼラチンを用い
てブロッティングを行ないβ−1,3−EG抗血清(2
000倍希釈)と30分間反応させ、洗浄後、更にアル
カリフォスファターゼ結合抗ウサギIgGヤギ抗体(会
社名)を1時間反応させた後、アルカリフォスファター
ゼの基質及び発色剤を加えて、抗体と結合した蛋白を文
献記載の方法[Towbin,T.,T.Starhe
lin  and  J.Gordon,Proc.N
atl.Acad.Sci.,U.S.A.,76,4
350−4354(1979)]に従い検出した。
【0058】尚、上記β−1,3−EG抗血清は、大豆
の石−1,3−EGだけに特異的に反応し、タバコのβ
−1,3−EGには反応しない抗体であり、これは文献
記載の方法により調製した[Plant  Physi
o1.,93,673−682(1990)]。
【0059】上記検出試験の結果、形質転換していない
タバコ植物、pROK1aで形質転換したタバコ植物及
びpROK1a−AEGで形質転換したタバコ植物では
、大豆β−1,3−EGは検出されなかったが、本発明
のpROK1a−SEGで形質転換したタバコ植物では
、大豆β−1,3−EGが検出された。
【0060】また、上記本発明の形質転換植物において
合成された大豆β−1,3−EGの分子量は約33kD
であり、これは大豆組織中に存在するそれと完全に一致
することが明らかとなった。
【0061】6−c.β−1,3−EG活性の測定上記
ウエスタン法に従う各タバコ植物群(本発明群及び比較
群)のそれぞれの個体につき、それらの経時的なβ−1
,3−EG生産量を前述した測定法に従い調べた。 その結果を第6図に示す。
【0062】第6図において、横軸は酵素反応時間(時
間)を、縦軸はβ−1,3−EG活性(β−1,3−e
ndoglucanase  activity,ΔA
660nm)を示す。表中、群Aは形質転換していない
タバコ植物を、群BはpROK1a−SEGで形質転換
したタバコ植物を、群CはpROK1a−AEGで形質
転換したタバコ植物を、群DはpROK1aで形質転換
したタバコ植物をそれぞれ示し、各グラフは各群に属す
る個体のNo.であり、1はT−3を、2はT−1を、
3はT−2を、4はT−4を、5はTS−2を、6はT
S−13を、7はTS−1を、8はTS−8を、9はT
S−9を、10はTS−3を、11はTS−4を、12
はTS−5を、13はTS−10を、14はTS−17
を、15はTA−2を、16はTA−3を、17はTA
−4を、18はTA−1を、19はTN−5を、20は
TN−3を、21はTN−6を、22はTN−2を、2
3はTN−1を、24はTN−12を、それぞれ示す。
【0063】第6図より、本発明の形質転換タバコ植物
(群B)では、形質転換していないタバコ植物(群A)
に比べて、実に約2〜3倍もの酵素活性の増大が認めら
れる個体の存在することが明らかである。
【0064】6−d.蛋白の定量 蛋白の定量を、ウシ血清アルブミンを標準蛋白として用
いて、ローリー法[Aswell,G.,Method
s  in  Enzymology,3  ed.,
S.P.Colowick  and  N.O.Ka
plan,AcademicPress,New  Y
ork,pp73−105(1957)]に従って行な
った。
【0065】7.形質転換植物における抵抗性の検定7
−a.接種源の調製 タバコ疫病菌(Phytophthora  nico
tianae  varr.nicotianae,カ
リフォルニア大学より入手)については、MS培地上に
接種し、この培地上に無菌栽培したタバコ実生の葉をの
せ、26℃で培養した。1週間後、タバコ疫病菌に侵さ
れ変色したタバコ葉を切りとり、V8ジュース寒天培地
(?市販の野菜ジュース缶入?)に移し、26℃で4日
間培養し、培地全面に広がった菌糸の先端部分をコルク
ボーラーで打ち抜いた菌糸デイスクを接種源として用い
た。
【0066】タバコ赤星病菌(Alternaria 
 alternata,tobacco  patho
type,鳥取大学より入手)については、PSA上に
接種し、26℃で4日間培養し、培地全面に広がった菌
糸の先端部分をコルクボーラーで打ち抜き、これをV8
ジュース液体培地に移して10日間培養し、得られた菌
体マットを湿らせた濾紙をしいたシャーレ(直径9cm
)中に菌体マットの裏面を上にしておき、紙蓋をして、
26℃で2日間培養し、形成された胞子をハケでかきと
り、10mlの滅菌水に懸濁させ、胞子濃度が約500
個/mlになるように調製した胞子懸濁液を接種源とし
て用いた。
【0067】7−b.接種方法 タバコ疫病菌については、菌糸ディスクによる有傷接種
を以下の通り行なった。即ち、プラスティックケースの
中に湿らせた濾紙をしいた上にガラス台を置き、種々の
形質転換タバコ植物から切り取った葉をならべ、それぞ
れの葉に3ケ所ずつ、有傷接種については束ねた10本
の針を葉に刺して傷をつけてから、その有傷部に菌糸デ
ィスクを接種し、26℃で1週間置いた。また、同様に
して無傷接種をも行なった。
【0068】タバコ赤星菌については、胞子による無傷
接種を次の通り実施した。即ち、上記と同様にプラステ
ィックケース内に置いた葉の3ケ所に、胞子懸濁液を1
00μlずつ接種し、26℃で1週間放置した。
【0069】上記試験の結果、タバコ疫病菌を無傷接種
した場合を第7図に、タバコ疫病菌を有傷接種した場合
を第9図に、またタバコ赤星菌を有傷接種した場合を第
11図に、それぞれ示す。各図において、Aは形質転換
していないタバコ植物を、Bは本発明の形質転換タバコ
植物を示す。
【0070】また、上記試験の結果、無病徴を0とし、
病斑の直径が1cm未満を1と、2cm未満を2と、そ
れ以上を3とするDisease  Index(発病
指数)にて、各供試タバコ植物の葉の3カ所の接種部位
の合計値を計数した。その結果を第1表に示すと共に、
タバコ疫病菌を無傷接種した場合を第8図に、タバコ疫
病菌を有傷接種した場合を第10図に、またタバコ赤星
菌を有傷接種した場合を第12図に、それぞれに示す。
【0071】
【表1】
【0072】第7図、第9図及び第11図において、A
は形質転換していないタバコ植物を、Bは本発明形質転
換されたタバコ植物をそれぞれ示す。また第8図におい
て、1はTS−13を、2はTS−1を、3はTS−4
を、4はTS−17を、5はTS−5を、6はTN−3
を、7はTN−12を、8はTN−6を、9はT−1を
、10はTN−1を、11はTA−1をそれぞれ示す。 第10図において、1はTS−1を、2はTS−3を、
3はTS−4を、4はTS−3を、5はT−3を、6は
T−4を、7はTN−9を、8はTA−4をそれぞれ示
す。第12図において、1はTS−30を、2はTS−
4を、3はT−3を、4はTN−6を、5はTN−2を
、6はT−4を、7はTA−4を、8はTA−1をそれ
ぞれ示す。
【0073】上記第7図、第9図及び第10図より、本
発明の形質転換タバコ植物では、病斑の形成及び拡大が
抑制される傾向のあることが明らかである。
【0074】また、第8図、第10図及び第12図より
、大豆石−1,3−EG遺伝子を順方向に挿入したベク
ターで形質転換した本発明のタバコ植物ではDisea
seIndexの値も小さく、β−1,3−EG活性の
増大が疫病抵抗性によく反映されていることが明らかと
なった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いるバイナリーベクターpROK1
aの特徴を示す図である。
【図2】本発明に導入DNA断片として用いるβ−1,
3−EGのCDNAの塩基配列及びこれによりコードさ
れる推定アミノ酸配列を示す。
【図3】プラスミド中に挿入されたβ−1,3−EGの
CDNAの挿入方向を調べた図面に代わる写真及び該挿
入方向を示す図である。
【図4】本発明のロROK1a−SEGで形質転換され
た形質転換植物個体、pROK1a−AEGで形質転換
された形質転換植物個体、β−1,3−EGのcDNA
を導入していないバイナリーベクターpPOK1aで形
質転換した形質転換植物個体及びなんらの形質転換も行
なわなかった植物個体のそれぞれの生物の形態を示す図
面に代わる写真である。
【図5】サザン法によりタバコゲノムDNAに挿入され
た大豆β−1,3−EGの検出を行なった結果を示す図
面に代わる写真である。
【図6】上記ウエスタン法に従うタバコ植物個体の経時
的β−1,3−EG生産量を測定した結果を示すグラフ
である。
【図7】タバコ疫病菌を無傷接種した場合の病斑の形成
及び拡大の抑制を調べた生物の形態を示す図面に代わる
写真である。
【図8】タバコ疫病菌を無傷接種した場合のβ−1,3
−EG活性と病斑の進展度との関係を求めたグラフであ
る。
【図9】タバコ疫病菌を有傷接種した場合の病斑の形成
及び拡大の抑制を調べた生物の形態を示す図面に代わる
写真である。
【図10】タバコ疫病菌を有傷接種した場合のβ−1,
3−EG活性と病斑の進展度との関係を求めたグラフで
ある。
【図11】タバコ赤星菌を有傷接種した場合の病斑の形
成及び拡大の抑制を調べた生物の形態を示す図面に代わ
る写真である。
【図12】タバコ赤星菌を有傷接種した場合のβ−1,
3−EG活性と病斑の進展度との関係を求めたグラフで
ある。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】大豆β−1,3−エンドグルカナーゼ遺伝
    子の導入によって形質転換されており、タバコ疫病菌及
    びタバコ赤星病菌に対する抵抗性を有することを特徴と
    する病害耐性タバコ植物。
  2. 【請求項2】形質転換が、大豆β−1,3−エンドグル
    カナーゼ遺伝子を有するベクターを転移されたアグロバ
    クテリウム属細菌感染により行なわれる請求項1に記載
    の病害耐性タバコ植物。
  3. 【請求項3】大豆β−1,3−エンドグルカナーゼ遣伝
    子を有するベクターが、バイナリーベクターpROK1
    aである請求項2に記載の病害耐性タバコ植物。
  4. 【請求項4】アグロバクテリウム属細菌がアグロバクテ
    リウム・ツメファシエンス(Agrobacteriu
    m  tumefaciens)LBA4404株であ
    る請求項2に記載の病害耐性タバコ植物。
  5. 【請求項5】大豆β−1,3−エンドグルカナーゼ遺伝
    子を有するベクターを転移されたアグロバクテリウム属
    細菌にてタバコ植物を感染させて、タバコ疫病菌及びタ
    バコ赤星病菌に対する抵抗性を付与することを特徴とす
    る病害耐性タバコ植物の作製方法。
  6. 【請求項6】大豆β−1,3−エンドグルカナーゼ遺伝
    子を有するベクターのアグロバクテリウム属細菌への転
    移がトリペアレンタルメイティング法により行なわれる
    請求項5に記載の病害耐性タバコ植物の作製方法。
  7. 【請求項7】アグロバクテリウム属細菌による感染がリ
    ーフディスク法により行なわれる請求項5に記載の病害
    耐性タバコ植物の作製方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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EP0712272A4 (en) * 1993-07-16 1997-08-20 Salk Inst For Biological Studi TRANGENIC PLANTS CONTAINING MULTIPLE DISEASE RESISTANCE GENES
EP0879554A1 (en) * 1995-12-15 1998-11-25 Kirin Beer Kabushiki Kaisha Mold-resistant plant and process for producing the same

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