JPH0429576Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔考案の技術分野〕 この考案は太陽電池を備えた電子腕時計等の太
陽電池付小型電子機器に関する。

〔従来技術とその問題点〕

従来の太陽電池付き腕時計は、時計ガラスの下
側に液晶表示パネルと太陽電池とを並列に配置し
ているため、これらが相互に制約を受け、豊富な
デザインバリエーシヨンが得られないばかりか、
太陽電池の面積を広くすると、時計全体が大きく
なるという欠点があった。

〔考案の目的〕

この考案は上記のような事情を考慮してなされ
たもので、その目的とするところは、太陽電池を
十分広い面積で設けることができると共に、豊富
なデザインバリエーシヨンを得ることができるば
かりか、太陽電池セルの形成が簡単な太陽電池付
小型電子機器を提供することにある。

〔考案の要点〕

この考案は上記のような目的を達成するため
に、透明基板に同形状の複数の太陽電池セルを形
成すると共に、太陽電池と同形状のダミーセルを
形成し、かつ太陽電池セルの整数倍の形状の透明
部を設け、この透明部と対応させて表示装置を配
置するようにしたものである。

〔第１実施例〕 以下、第１図から第６図を参照して、この考案
を電子腕時計に適用した場合の第１実施例につき
説明する。

第１図から第３図は電子腕時計を示し、図中１
は合成樹脂製の時計ケースであり、この時計ケー
ス１の上面凹部には太陽電池７が取り付けられる
と共に、この太陽電池７の上方に時計ガラス２が
取り付けられている。また、時計ケース１の内部
には底面側から時計構成部品３が装着され、時計
ケース１下面には裏蓋４が取り付けられている。
時計構成部品３は回路基板５、液晶表示パネル
６、二次電池１０等からなつており、液晶表示パ
ネル６は時計ケース１の開口部１ａに下側から装
着され、その下側にインタコネクタ６ａ，６ａが
配置される。また、時計ケース１には貫通孔１
ｂ，１ｂが形成され、この貫通孔には太陽電池７
の接続電極と回路基板５の接続電極５ａ，５ａと
を接続するためのコイルばね９，９が挿入され
る。そして、時計ケース１下面にLSI８が設置さ
れた回路基板５をねじ等で固定することにより、
液晶表示パネル６をインタコネクタ６ａ，６ａを
介して時計ケース１の開口部１ａの上端鍔部１ｃ
に押圧固定すると共に、コイルばね９，９が回路
基板５の接続電極５ａ，５ａに弾接され、太陽電
池７と回路とが電気的に接続される。また、時計
ケース１には電池収納孔（図示せず）が形成され
ており、この電池収納孔に電極板１０ａが配置さ
れると共に二次電池１０が収納されている。な
お、液晶表示パネル６は太陽電池７の下側に配置
され、時刻等の情報を表示するものであり、二次
電池は回路基板５の開口５ｂ内に配置され、太陽
電池７の電源電圧を補うと共に電力を貯えるもの
である。

一方、太陽電池７は時計全体の電源であり、時
計ガラス２の下側における時計ケース１の上部に
配置されており、その構成は第４図および第５図
に示すようになつている。即ち、太陽電池７は透
明基板１１と、この透明基板１１の下面に形成さ
れた同形状の多数（この実施例では24個）の太陽
電池セル１２ａ〜１２ｘと、透明基板１１に設け
られ、１つの太陽電池セルの整数倍の大きさをな
す透明部１３ａ，１３ｂとからなつている。透明
基板１１は透明合成樹脂或いはガラス等からな
り、光を透過する板状のものであり、時計ガラス
２とほぼ同じ面積の大きさをなし、その上面には
メーカ表示マーク１４が印刷されている。太陽電
池セル１２ａ〜１２ｘは透明基板１１を透過した
光によつて起電力を発生するものであり、それぞ
れ直角三角形状をなし、２つで正方形状をなし、
これが縦横４列になるように配列されていると共
に、後述する各ユニットY₁〜Y₆毎に直列に接続
されている。また、透明部１３ａ，１３ｂは太陽
電池セルが設けられていない部分であり、ここを
通して時計ケース１内の液晶表示パネル６が見え
るようになつており、例えば、透明部１３ａは上
から３列目の両側の太陽電池セル１２ｑ，１２ｕ
を除き、内側６個分の太陽電池セルの大きさに相
当する台形状をなしており、また透明部１３ｂは
最下列の中央に位置する２個分の太陽電池セルの
大きさに相当する直角三角形状をなしている。

ところで、太陽電池セル１２ａ〜１２ｘは第５
図に示すように構成されている。即ち、透明基板
１１の下面全面にITO（インジウム・スズ酸化物）
からなる透明な電極材を形成した後パターニング
することにより、所定形状の透明電極１２a₁〜１
２x₁を形成し、この透明電極１２a₁〜１２x₁の下
面全面にアモルフアスシリコンを形成した後パタ
ーニングして所定形状のアモルフアスシリコン層
１２a₂〜１２x₂を形成し、さらに、このアモルフ
アスシリコン層１２a₂〜１２x₂の下面全面にアル
ミの金属を形成した後パターニングして所定形状
のアルミ電極１２a₃〜１２x₃を形成してある。こ
の場合、透明基板１１の下面周囲の所定箇所には
透明電極１２a₁〜１２x₁のうちの一部が延出形成
されている。また、この延出された透明電極１２
a₁〜１２x₁の下面における透明基板１１の下面周
囲には枠状になるように、２種類に分割されたア
ルミ電極１２y₁，１２y₂がアルミ電極１２a₃〜１
２x₃のうちの一部と一体に形成されており、この
分割された２種類のアルミ電極１２y₁，１２y₂が
上述したコイルばね９，９により回路基板５に接
続されるようになつている。また、アルミ電極１
２a₃〜１２x₃は各ユニツトY₁〜Y₆毎に隣接する
透明電極１２a₁〜１２x₁に接続され、各ユニツト
Y₁〜Y₆内の太陽電池セルが直列に接続されてい
ると共に、各太陽電池セル１２ａ〜１２ｘをそれ
ぞれ囲むようにデザイン的な縁取りを形成してい
る。

また、太陽電池セル１２ａ〜１２ｘの接続は、
第６図に示すようになつている。この場合、各ユ
ニツトY₁〜Y₆のうち、例えば、ユニツトY₁は太
陽電池セル１２ａ〜１２ｄからなり、ユニツト
Y₂は太陽電池セル１２ｅ〜１２ｈからなり、ユ
ニツトY₃は太陽電池セル１２ｉ〜１２ｌからな
り、ユニツトY₄は太陽電池セル１２ｍ〜１２ｐ
からなり、ユニツトY₅は太陽電池セル１２ｑ〜
１２ｔからなり、ユニツトY₆は太陽電池セル１
２ｕ〜１２ｘからなつているものとし、各太陽電
池セル１２ａ〜１２ｘの透明電極１２a₁〜１２x₁
は点線で示し、各アルミ電極１２a₃〜１２x₃は一
点鎖線で示し、さらに枠状のアルミ電極１２y₁は
二点鎖線で示す。そして、各ユニツトY₁〜Y₆の
うち、ここではユニツトY₁、ユニツトY₂、ユニ
ツトY₅について説明する。

ユニツトY₁の各太陽電池セル１２ａ〜１２ｄ
のうち、太陽電池セル１２ａの透明電極１２a₁は
その一部が透明基板１１の周縁の延出されて、枠
状の一方のアルミ電極１２y₁に接続されており、
この太陽電池セル１２ａのアルミ電極１２a₃は隣
接する太陽電池セル１２ｂの透明電極１２b₁に接
続されている。また、このように接続された太陽
電池セル１２ｂのアルミ電極１２b₃はその隣の太
陽電池セル１２ｃの透明電極１２c₁に接続され、
この太陽電池セル１２ｃのアルミ電極１２c₃がさ
らに隣の太陽電池セル１２ｄの透明電極１２d₁に
接続されている。この太陽電池セル１２ｄのアル
ミ電極１２d₃は枠状の他方のアルミ電極１２y₂に
接続されている。これにより、ユニツトY₁の各
太陽電池セル１２ａ〜１２ｄはそれぞれ直列に接
続されている。これと同様に、右隣（第６図では
上隣）のユニツトY₂の各太陽電池セル１２ｅ〜
１２ｈも、直列に接続されている。

また、左下側（同図では右側）のユニツトY₅
は、次のように各太陽電池セル１２ｑ〜１２ｔが
接続されている。即ち、透明部１３ａの一側（同
図では下側）に位置する太陽電池セル１２ｑのア
ルミ電極１２q₃は上述した枠状の他方のアルミ電
極１２y₂に接続されており、その透明電極１２q₁
には左下隅（同図では右下隅）の太陽電池セル１
２ｒのアルミ電極１２r₃に接続されている。この
枠状のアルミ電極１２r₃は太陽電池セル１２ｑの
縁取りを形成するために、透明部１３ａとの境に
延びている。そして、この太陽電池セル１２ｒの
透明電極１２q₁には隣接する太陽電池セル１２ｓ
のアルミ電極１２s₃が接続されており、その透明
電極１２s₁にはさらに隣接する太陽電池セル１２
ｔのアルミ電極１２t₃が接続され、この太陽電池
セル１２ｔの透明電極１２t₁には上述とは異なる
枠状の一方のアルミ電極１２y₁に接続されてい
る。これにより、ユニツトY₅の各太陽電池セル
１２ｑ〜１２ｔは直列に接続されている。以下、
これと同様に、右半分（第６図では図示しない上
半分）のユニツトY₃の太陽電池セル１２ｉ〜１
２ｌ、ユニツトY₄太陽電池セル１２ｍ〜１２ｐ、
ユニツトY₆の太陽電池セル１２ｕ〜１２ｘも、
それぞれ直列に接続されている。そして、このよ
うに接続された各ユニツトY₁〜Y₆は２種類の枠
状のアルミ電極１２y₁，１２y₂間にそれぞれ並列
に接続されている。

しかるに、上記のように構成された電子腕時計
の太陽電池７によれば、透明基板１１の下面に同
形状の多数の太陽電池セル１２ａ〜１２ｘを形成
すると共に、１つの太陽電池セルの整数倍の大き
さの透明部１３ａ，１３ｂを設け、これを液晶表
示パネル６の上方に配置して、透明部１３ａ，１
３ｂを液晶表示パネル６の表示部分に対応させた
ので、太陽電池７の面積を大きくすることができ
ると共に、液晶表示パネル６の表示部分と対応箇
所に透明部を設けることにより、豊富なデザイン
バリエーシヨンを得ることができる。

なお、上述した実施例では、太陽電池セル１２
ａ〜１２ｘの上から３列目に台形状をなす透明部
１３ａを設け、最下列の中央に直角三角形状をな
す透明部１３ｂを設けたが、これに限られること
なく、例えば、第７図から第９図に示すように、
透明部を設けても良い。即ち、第７図では上から
３列目の透明部１３ａを２つに分割したものであ
り、例えば、左端から３個分の太陽電池セルを取
り除いて第１の透明部１３a₁を設け、その隣に１
個分の太陽電池セルを置いて３個分の太陽電池セ
ルを取り除くことにより、第２の透明部１３a₂を
設けている。また、第８図では上から３列目の透
明部１３ａを若干左側へ寄せると共に、最下列の
透明部１３ｂを右側へ寄せたものであり、例え
ば、透明部１３ａの右側に１個分の太陽電池セル
を設けることにより、透明部１３ａを狭くして左
側へ寄せ、透明部１３ｂを逆三角形にして右側へ
寄せて設けている。さらに、第９図では透明部１
３ａを３列目の中央から最下列の右下側へ斜めに
５個分の太陽電池セルを取り除くことによつて設
け、透明部１３ｂを３列目と最下列とに跨る対角
上に位置する各太陽電池セルを取り除くことによ
つて設けたものである。したがつて、第７図から
第９図に示すようなものにおいても、液晶表示パ
ネル６の表示部分に応じて適宜透明部１３ａ，１
３ｂを設けることができ、極めて豊富なデザイン
バリエーシヨンを得ることができる。

〔第２実施例〕 次に、第１０図から第１２図を参照して、この
考案の第２実施例を説明する。

この実施例は前述した第１実施例の各太陽電池
セル１２ａ〜１２ｘのうち、透明部１３ａ，１３
ｂを囲む上から３列目と最下列とに位置する太陽
電池セル１２ｑ〜１２ｘをダミーセルにしたもの
である。即ち、このダミーセルに相当する太陽電
池セル１２ｑ〜１２ｘは透明板１１の下面に直接
アモルフアスシリコン層１２q₂〜１２x₂をパター
ン形成し、このアモルフアスシリコン層１２q₂〜
１２x₂の周囲にアルミ電極１２q₃〜１２x₃をパタ
ーン形成することにより、各太陽電池セル１２ｑ
〜１２ｘの縁取りを形成したものであり、このア
ルミ電極１２q₃〜１２x₃は第１２図に示すように
電気的に接続されていない。したがつて、このよ
うな太陽電池２０は上側の２列に位置する４つの
ユニツトY₁、ユニツトY₂、ユニツトY₃、ユニツ
トY₄が太陽電池としての機能を果たし、下２列
の２つのユニツトY₅，Y₆の各太陽電池セル１２
ｑ〜１２ｘはデザイン的な機能を果たすようにな
つている。そのため、前述した実施例のものより
も、構造が簡単で、その接続が容易であるばかり
か、安価に制作することができる。

〔第３実施例〕 次に、第１３図を参照して、この考案の第３実
施例を説明する。

この実施例は透明基板１１の下面に四角形状の
太陽電池セル２１ａ〜２１ｏを配列形成したもの
である。即ち、太陽電池セル２１ａ〜２１ｏを横
方向に５個づつ４行配列すると共に、下２列のう
ち、上側の中央に３個分の太陽電池セルに相当す
る透明部２２ａを設け、下側の左寄りに２個分の
太陽電池セルに相当する透明部２２ｂを設け、こ
の各透明部２２ａ，２２ｂを通して下側の液晶表
示パネル（図示せず）の表示部分が見えるように
なつている。このような太陽電池２３において
も、前述した第１実施例と同じ作用効果がある。

なお、太陽電池セルの接続構造は、上述した各
実施例のようなものに限られることなく、どのよ
うに接続しても良い。また、太陽電池セルの色は
黒、青等に限らず、光を吸収して効率良く起電力
を発生するようなものであれば、どのような色で
あつても良い。

〔考案の効果〕

以上説明したように、この考案の太陽電池付小
型電子機器によれば、透明基板に同形状の太陽電
池セルを複数形成すると共に、太陽電池セルと同
形状のダミーセルを形成し、かつこの太陽電池セ
ルの整数倍の形状の透明部を設けた太陽電池の下
側にその透明部と対応させて表示装置を配置する
ようにしたので、充分に広い面積で設けることが
できると共に、豊富なデザインバリエーシヨンを
得ることができる。特に、透明基板にダミーセル
を形成したので、太陽電池セルの形成が簡単にな
るばかりか、複雑なデザインが可能になる。

【図面の簡単な説明】

第１図から第６図はこの考案を電子腕時計に適
用した場合の第１実施例を示し、第１図はその外
観正面図、第２図はその分解斜視図、第３図はＡ
−Ａ断面図、第４図はその太陽電池の平面図、第
５図はそのＢ−Ｂ断面図、第６図は太陽電池セル
の接続状態を示す要部拡大平面図、第７図から第
９図は太陽電池の透明部の各変形例を示す外観
図、第１０図から第１２図は第２実施例を示し、
第１０図はその太陽電池の拡大平面図、第１１図
はそのＣ−Ｃ断面図、第１２図はその各太陽電池
セルの接続状態を示す要部拡大平面図、第１３図
は第３実施例の太陽電池の平面図である。 ７，２０，２３……太陽電池、６……液晶表示
パネル、１１……透明基板、１２ａ〜１２ｘ，２
１ａ〜２１ｏ……太陽電池セル、１３ａ，１３
ｂ，２２ａ，２２ｂ……透明部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 透明基板及びこの透明基板に形成された同形状
   の複数の太陽電池セルからなる太陽電池と、この
   太陽電池の下側に設けられた表示装置とを有し、
   前記太陽電池の透明基板には前記太陽電池セルと
   同形状のダミーセルが形成されると共に、前記太
   陽電池セルの整数倍の大きさの前記太陽電池及び
   前記ダミーセルが形成されていない透明部が設け
   られ、この透明部の下側に位置して前記表示装置
   が配置されていることを特徴とする太陽電池付小
   型電子機器。