JPH0428236Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、始動時等の低速時に電流断続によ
り転流を行う直流無整流子電動機に係り、断続転
流領域を拡大し電動機の高速化を図るものであ
る。直流無整流子電動機は、転流エネルギーの十
分でない低速時の転流を、サイリスタへ供給する
電流を一旦零として行う所謂断続転流方式が多く
用いられる。第１図に直流無整流子電動機の主回
路、第２図に制御回路のブロツク図を示す。第１
図に示すように、直流無整流子電動機は、３相交
流を一旦直流に変換する第１の変換器１と、平滑
用の直流リアクトル３、電動機４に回転起磁力を
生じさせ回転トルクを維持する第２の変換器２、
更に回転子位置を検出する位置検出器５、速度信
号を得る速度検出器６等から構成され、上記第１
の変換器１のサイリスタ点弧位相を変え電動機電
圧を制御し速度を可変する“ａ制御”と、第２の
変換器２の各サイリスタ点弧順序、位相角を定め
回転を継続する“γ制御”により運転される。α
制御は従来のサイリスタレオナードと同様電動機
電圧を変え速度を制御するためのもので、その制
御糸は、第２図に示すように、速度指令器７と、
速度調節器８、電流マイナループ９の電流調節器
１０、移相器１１から構成され、一方γ制御は、
回転子の回転に伴い順次電機子コイルを切替え回
転起磁力を生成するためのもので、位置検出器５
からの位置信号を、設定制御進み角γ₀の指令に応
じて組合せ論理演算を行い上記第２の変換器２の
各サイリスタｕ，ｖ……ｚの点弧順序、位相角を
決めるγ論理回路１２と、上記γ₀指令を出力する
とともに、通常の転流から断続転流への切替指令
を出力する、断連・γ₀指令回路１３より構成され
る。この断連・γ₀指令回路１３は、電動機電流、
速度の各値と位置信号を入力とし、低速時におけ
る電流断続の切替指令と、速度、電流に応じた設
定制御進み角γ₀の指令を出力するのであり、始動
等の低速時は、断続転流用のスイツチ手段X₁の
付勢、消勢信号を出力するとともに十分な始動ト
ルクを得るためγ₀指令を例えば0°に設定し、ま
た、電動機速度の上昇により上記断続転流指令を
停止し通常の転流に切替え、かつ電動機回転エネ
ルギーとして使用するため上記γ₀指令を60°に切
替える等のことを行う。

本考案は、この始動等の低速時における電流断
続機能の改善を行い、断続転流領域の拡大を図り
電動機の一層の高速化を実現することを目的とす
るもので、電流調節器の入出力を直接短絡する従
来方式に加え、断続転流領域で作動するスイツチ
手段を新たに設け電流調節器CR時定数回路並列
接続のコンデンサの一部を切り離しコンデンサ容
量を減少せしめたことを特徴とする。

すなわち、電流断続転流は第２の変換器のサイ
リスタを転流させる際、第１の変換器のサイリス
タ点弧位相を逆変換領域の150°近辺のキツクパル
ス位置とし、電動機電流を急速回生させ零として
第２の変換器の全部のサイリスタを一括消弧さ
せ、かつ上記の電流零を検知することによりあら
ためて通電すべきサイリスタへ点弧信号を与え、
かつ第１の変換器サイリスタのα位相を転流前の
もとの値に戻し上記通電すべきサイリスタを点弧
させ転流を完了させるもので、位置信号に同期し
て電流断指令を発しα位相をキツクパルス位置と
し、かつ実際に電動機電流が零となるのを待つて
上記キツクパルス位置のα位相を転流前の位相角
に戻すのであり、電流断となるむだ時間は電流零
を検知して後、移送器の入力即ち電流調節器出力
をもとの値に復帰させるまでの時間に係る。とこ
ろが、従来の一般的な電流断続制御が、電流マイ
ナループを速度制御糸より引外す他に、電流調節
器の入出力を電流断・連指令によつて直接短絡、
開放する方式であり、電流調節器のCR時定数回
路コンデンサは、上記断続転流時及び通常運転の
際の電流調節器として使用される場合、その値は
全く等しく同じものが断続転流用あるいは電流調
節器用として夫々用いられることとなる。すなわ
ち、断続転流時、電流調節器CR時定数回路のコ
ンデンサは、調節器入出力間の短絡によりCR時
定数回路の調整用抵抗を介して、そのチヤージ電
荷が放出され、かつ入出力間の開放により同じく
調整用抵抗を介し充電されるのであり、その充放
電時間は一般の直流調節器CR時定数回路をその
まま流用しており相当長くなり、従つて、電流零
のむだ時間も長くかかることになる。

この考案は、上記に鑑み断続転流時における電
流調節器のCR時定数回路の回路定数を小さな値
に切替えることによりコンデンサの充放電時間を
短かくし電流断指令から連指令へ切替つて後のコ
ンデンサ電圧即ち電流調節器出力が急速に増大す
るようにして、もとの値に復帰する時間を短縮し
たもので、具体的には電動機が断続転流領域にあ
ることを検知するコンパレータと、その検知信号
により作動しコンデンサの一部を切り離すように
したスイツチ手段を備えて構成され、以下、その
詳細を図面に基づき具体的に説明する。

第２図は、この考案に係る制御回路ブロツク図
で、先に説明した断続転流時における電流マイナ
ループ９の速度制御糸からの切り離し手段と電流
調節器１０入出力の短絡手段の他に、上記する、
速度信号を入力とし断続転流領域にあればその旨
を出力するコンパレータ１４と、コンパレータ１
４からの検知信号により作動し電流調節器１０の
コンデンサＣを一部切り離すようにしたスイツチ
手段Ｘ２を備えてなる。すなわち、通常の転流域
にあつては、上記スイツチ手段Ｘ２は作動せず、
電流調節器１０のコンデンサは、図示するＣ１，
Ｃ２が双方共接続され、CR時定数回路の定数は
（Ｃ１＋Ｃ２）×VRとして運転されるが、断続転
流領域に入るとスイツチ手段Ｘ２が作動しコンデ
ンサＣ１は系より切り離され電流調節器はコンデ
ンサＣ２と調整用抵抗器VRのCR時定数回路と
なり、これに従来のγ₀指令・断連切替回路１０か
らの電流断・連指令により開路、閉路が繰返され
るスイツチ手段Ｘ１が加わる。本考案は、電動機
速度を検出し、それが断続転流領域に入つたかい
なかをコンパレータ１４により検知、その検知信
号によりスイツチ手段Ｘ２を作動させ、接点Ｘ２
ｂを開路としコンデンサＣ１をCR時定数回路よ
り切り離し電流調節器１０のコンデンサ容量を軽
減し時定数を短縮して接点Ｘ１ａの開閉による充
放電時間を短かくしたものである。従つて、断続
転流によらない通常の転流域では電流調節器コン
デンサはＣ１とＣ２の双方が接続され、安定な動
作が行われるが、それ程安定性の要求されない断
続転流領域では、コンデンサＣ１が回路より切り
離され、かつ電流調節器１０の入出力が短絡、開
放を繰返し、コンデンサＣ２のみが、調整用抵抗
VRを介して充電あるいは放電されるのであり、
電流指令が断から連に切替り、電動機電流を流し
次のサイリスタを点弧するまでの時間は、電流調
節器１０のＣ２，VRの時定数によつて決定さ
れ、従来のＣ１＋Ｃ２，VRの時定数に比較し、
Ｃ１分だけ短縮されることになり、電動機電流の
零となるむだ時間が軽減される。

第５図に、従来例と本考案に係る、電動機電
流、電流調節器出力（移相器入力）その他のタイ
ムチヤートを比較して示すが、上から順に位置信
号に同期の微分入力波形イ、断連・γ₀指令回路１
３の出力である断連信号ロ、従来例の電動機電流
波形ハと電流調節器出力ニ、および本案実施例に
係る電動機電流波形ホと電流調節器出力ヘを夫々
示し図示するように位置信号の切替り毎に断連信
号が出力され、その断信号により電流マイナルー
プが切り離され電流調節器の入出力が短絡、その
出力即ち移相器入力が零となり、かつ断信号から
連信号への切替りにおいて再び電流マイナループ
が系に投入、電流調節器の入出力が開路される
が、電流調節器出力はCRの時定数に従つて上昇
していき、本考案のようにコンデンサ容量を減少
し、時定数を短くすれば、その分立上りが早くな
り、電流調節器出力の転流前のもとの値に復帰す
る時間は短縮され、従つて、同図ハとホに示すよ
うに電動機電流が零となるむだ時間は約半分に減
少することができ、断続転流領域はおよそ２倍に
拡大され、高速化に寄与するところ極めて大であ
る。

【図面の簡単な説明】

図面は、第１図が直流無整流子電動機の主回
路、第２図が制御回路ブロツク図、第３図がその
動作を説明するためのタイムチヤートである。 ９……電流マイナループ、１０……電流調節
器、１３……断連・γ₀指令回路、１４……断続転
流領域検知コンパレータ、Ｘ１……断連切替スイ
ツチ手段、Ｘ１ｂ……スイツチ手段Ｘ１のｂ接
点、Ｘ１ａ……スイツチ手段Ｘ１のａ接点、Ｘ２
……断続転流領域作動スイツチ手段、Ｘ２ｂ……
スイツチ手段Ｘ２のｂ接点。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 始動時などの低速時、電流断続によつて転流を
   行う直流無整流子電動機において、電流断続領域
   の電流断指令の際に作動する、速度制御系より電
   流マイナループを引外し、かつ電流調節器の入出
   力を短絡するスイツチ手段と、同じく電流断続領
   域で作動する、電流調節器CR時定数回路の並列
   接続コンデンサの一部を切離すスイツチ手段を備
   えたことを特徴とする直流無整流子電動機。