JPH04238652A - 薄板連続鋳造機の注湯装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、薄板連続鋳造機の注
湯装置に関し、特に溶鋼から厚さ約５ｍｍ以下薄鋼板を
直接鋳造する双ロール式薄板連続鋳造機に用いられる注
湯装置、なかでも溶鋼を注湯ノズルと傾斜板とを介して
冷却ロール間の湯溜り部に供給する形式の注湯装置にお
ける傾斜板の改良構造に関しての提案である。

【０００２】

【従来の技術】上記薄板連続鋳造機は、厚さ数ミリ程度
の熱延板相当材を溶鋼から直接鋳造して製造する連鋳機
であって、いわゆる厚さ１００　〜３００ｍｍ　程度の
スラブを直接鋳造するスラブ連鋳機や１ｍｍ未満の急冷
薄帯を鋳造する薄帯鋳造機に比べると、注湯装置に特別
の工夫が必要である。例えば、スラブ連鋳機では、タン
ディッシュ内溶鋼は、イマージョンノズルを介してモー
ルド内に供給するだけで足りるので、通常、前記イマー
ジョンノズルに対しては特別の工夫は必要ない。

【０００３】しかし、この発明に係る薄板連続鋳造機で
は、第１図に示すように、湯溜り部３が、隣接配置した
一対の冷却ロール１，２間の狭間に形成されるので、こ
の湯溜り部３の湯面が注湯によって変動すると、ロール
面に接して生成しようとする凝固シェル４，５の性状に
影響を及ぼすことになる。その結果、鋳造薄鋼板６の表
面性状を劣化させる。

【０００４】このため、従来、この種の連鋳機に用いら
れる注湯装置には、タンディッシュ内溶鋼を注湯ノズル
７を介して湯溜り部３に供給するとき、かかる注湯ノズ
ル直下に傾斜板８を配置して、溶鋼落下流が湯溜り部３
の湯面を波立たせることがないように工夫する一方、溶
鋼流が均一な層流になるように、前記注湯ノズル７の下
部の吐出口９を種々の形に工夫していた。

【０００５】ところが、このような傾斜板を介して注湯
を行うと、タンディッシュ内溶鋼が湯溜り部に到達する
までに時間がかかり、かつ傾斜板の中心部と周辺部とで
は温度差が生じる。とくに周辺部では溶鋼温度が低下す
るので、流下域の端部では溶鋼の凝固物が生成する。そ
の結果、この凝固物が時として傾斜板から離脱して湯溜
り部中に落下し、異物となって凝固シェルにトラップさ
れ、鋳片品質を悪化させるという問題点があった。

【０００６】傾斜板を使う注湯装置の上述のような問題
点に対して、従来、この傾斜板を鋳造前または鋳造中に
ガスバーナーで直接加熱する方法、あるいは、ニクロム
線やシーズヒーターを傾斜板に埋設して加熱することに
より、上述した欠点の克服を試みていた。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】上述のような従来方法
で傾斜板を加熱すれば、たしかに凝固物の生成は抑制さ
れた。しかしながら、従来の加熱手段の場合、加熱され
る領域と加熱されない領域とがあるので、加熱部位と非
加熱部位の間に温度差が生じた。その結果として、傾斜
板上の温度分布が不均一となり、ひいては傾斜板上の凝
固物生成を阻止することができず、結局、鋳造薄鋼板の
品質は向上に寄与しないことが判った。

【０００８】すなわち、ガスバーナーによる上記従来方
法の場合、ガスバーナーを密に配設して、傾斜板上の温
度分布を均一にすることで、上述の問題点の克服も考え
られるが、これは設計上困難である。また、この方法の
致命的な欠陥は、スカム発生防止のために不活性ガス雰
囲気にしなければならないところを、酸化性燃焼ガス雰
囲気になることから、逆にスカムの発生が増加し別の面
から鋳造薄鋼板の品質を悪化させる点にある。

【０００９】一方、ニクロム線やシーズヒーターを傾斜
板に埋設する従来方法の場合も、傾斜板に密に埋設し傾
斜板上の温度分布を均一にすることが考えられるが、こ
れでは傾斜板の強度が著しく低下し、傾斜板の寿命を悪
化させる面において実用的でない。

【００１０】そこでこの発明は、溶鋼流を均一な層流と
する傾斜板の機能を阻害することなしに、傾斜板上で溶
鋼が凝固するのを防止し、優れた品質の鋳造薄鋼板を製
造するのに有効な注湯装置の構造について提案すること
を目的とする。

【００１１】

【課題を解決するための手段】上述の如き目的に対し、
本発明者らは、傾斜板の温度調節方法と溶鋼の凝固物生
成との関係について種々の実験を行って検討したところ
、ジュール熱を利用する電気的加熱手段を採用し、さら
に、従来の抵抗体を埋設する方法と違い傾斜板全体を１
つの抵抗体として均一加熱するのに有効な導電性材料を
利用すれば、傾斜板の均一加熱を実現し、もって溶鋼凝
固物の生成が防止できることを見出し、この考案を完成
するに到った。

【００１２】すなわち、この発明は、タンディッシュ内
溶鋼を、冷却ロール相互間の上部に形成される湯溜り部
に、注湯ノズルとその直下に配置される傾斜板を介して
供給する形式の注湯装置において、上記傾斜板の全体を
、それの非流下部分に通電用電極を配設してなる導電性
材料で形成し、この傾斜板に温度調節用熱電対を埋設し
たことを特徴とする薄板連続鋳造機の注湯装置である。

【００１３】ここで、傾斜板を導電性材料で形成するの
は、この傾斜板全体を１つの抵抗体にすれば、通電加熱
した場合に、傾斜板の全体が均一に加熱され、傾斜板上
を流下する層状の溶鋼流が、流下端縁部でも温度低下す
るようなことがなくなり、均一な温度分布にすることが
できるからである。

【００１４】なお、このような材料として、本発明は、
溶鋼と接触することから、耐熱性と共に導電性を有する
，例えばアルミナグラファイトやジルコニアグラファイ
トなどが好適に用いられる。

【００１５】次に、通電用電極を配設するのは、電極間
に電圧を付与し発生する電流によるジュール熱を導き出
すためである。なお、この電極は、傾斜板の非流下域、
例えば両側端部に２点または一対という形で配設される
が、好ましくは、溶鋼流に沿って一対を配設することが
望ましい。これは、溶鋼流に沿って配設しないと、溶鋼
流に対する電極間の電流の流れが乱れ、溶鋼流を均一な
層流とする傾斜板の機能を阻害するからである。

【００１６】また、温度調節用熱電対を埋設するのは、
傾斜板の温度を溶鋼の凝固物が生成しない溶鋼温度付近
に保つためであり、その温度は温度設定器で調節される
。その温度は、傾斜板の温度が溶鋼の融点より低くなる
と凝固物が生成し、逆に溶鋼温度より高くなると溶鋼が
過熱されてエネルギーロスを招くことから、溶鋼の融点
直下位に保持することが望ましい。なお、この温度調節
用熱電対は、傾斜板全体の温度を均一にするため、溶鋼
非流下域の適所に埋設することが望ましい。

【００１７】

【作用】この発明は、上述のような構成で全体に温度差
のない傾斜板とすることにより、凝固物の生成が防止で
き、傾斜板上で生成した凝固物が離脱して湯溜り部中に
落下し、異物となって凝固シェル中にトラップされ、鋳
片品質を悪化させるという不都合を解消するのに有効に
作用する。

【００１８】

【実施例】第２図に、この発明に従う注湯装置の斜視図
を示す。同図は、双ロール式薄板連続鋳造機に用いられ
る注湯装置で、傾斜配置に係る内部を冷却した一対の冷
却ロール１，２間のロールキス部上に湯溜り部３を形成
し、この湯溜り部３に図示しないタンディッシュからの
溶鋼を、注湯ノズル７とその直下に配設した傾斜板８を
介して供給するように構成されている。

【００１９】このような構成において、上記傾斜板８に
は、この発明において特に採用した温度調節用熱電対１
０と通電用電極１１が、溶鋼１２の凝固防止のために設
けられている。すなわち、この温度調節用熱電対１０は
、温度補償部である熱電対先端部が、傾斜板８の溶鋼非
流下域の適所に位置するようにに埋設され、リード線に
よって温度設定器１４に接続される。

【００２０】上述のような構成の注湯装置において、傾
斜板材料をアルミナグラファイトで改良し、電極材料を
銅板として、操業条件を投入電力１００ＫＷ　，設定温
度１２５０℃のようにして、ＳＵＳ３０４の溶鋼２トン
から、２ｍｍ厚−６００ｍｍ　幅の薄鋼板を連続鋳造す
る試験を行った。とくに、上記改良傾斜板使用の効果に
ついて確認を行った。また、比較例として、傾斜板の温
度調節を行わない従来方法による鋳造を行った。

【００２１】その結果、従来方法による場合は、傾斜板
上に溶鋼１２の凝固物１３が生成し、異物としてトラッ
プされた介在物が薄鋼板中に見られたが、この発明に係
る装置によれば、薄鋼板中の介在物に起因する傾斜板上
の凝固物発生が防止できることが確かめられた。

【００２２】

【発明の効果】以上説明したように、この発明によれば
、電極を有する傾斜板を導電性材料で形成し、かつこれ
に熱電対を埋設する構成としたことにより、特に溶鋼の
均一層流を乱すことなしに、傾斜板上で生成する溶鋼の
凝固物を防止できるので、高い歩留りで優れた品質の広
幅の薄鋼板を連続鋳造できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】注湯の模様を示す略線図である。

【図２】この発明に係る注湯装置の斜視図である。

【符号の説明】

１，２　　冷却ロール ３　　湯溜り部 ４，５　　凝固シェル ６　　鋳造薄鋼板 ７　　注湯ノズル ８　　傾斜板 ９　　吐出口 １０　　温度調節用熱電対 １１　　通電用電極 １２　　溶鋼 １３　　凝固物

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】　　タンディッシュ内溶鋼を、冷却ロール
   相互間の上部に形成される湯溜り部に、注湯ノズルとそ
   の直下に配置される傾斜板を介して供給する形式の注湯
   装置において、上記傾斜板の全体を、それの非流下部分
   に通電用電極を配設してなる導電性材料で形成し、この
   傾斜板に温度調節用熱電対を埋設したことを特徴とする
   薄板連続鋳造機の注湯装置。