JPH0421767B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 この発明は、鉄筋コンクリート構造物または鉄
骨鉄筋コンクリート構造物等のコンクリート構造
物の地階フロアを構成するコンクリート床版の構
築方法に関するものである。

「従来の技術」 鉄筋コンクリート構造物および鉄骨鉄筋コンク
リート構造物の地階フロアを構成するコンクリー
ト床版の構築方法としては、従来、その構造物が
構築される地盤を、その周囲にわたつて予めその
構造物の基礎から造られる最下部まで根切りし、
そこに基礎を築いた後、この基礎上に、柱および
梁の鉄筋を骨組みして、それら梁間におよぶ床ス
ラブ（床版）用の配筋を行い、それにコンクリー
ト用の型枠を組んでコンクリートを打設し、コン
クリートの硬化後にその型枠を取り外して床版を
構築するという方法が一般に実施されている。

「発明が解決しようとする問題点」 ところで、上記の方法においては、始めに地面
を構造物の基礎位置まで根切りしてしまい、その
後に基礎から上方に順次構築して行くことにおい
て、言わば、地上に建造物を構築して行くことと
何等変わらない。従つて、たとえば鉄筋の配筋作
業としては、吊り足場等の手段により、仮設の作
業床を別に設けなければならないものであつた。

そこで、これら多大な工数を要する付帯作業を
極力減少せしめるために、また、作業床、すなわ
ち地面が常に作業者の足元に位置していること
が、安全の確保および作業性の面からも理想の形
態である等の観点から実施されているものに、逆
打ち（さかうち）コンクリート工法とよばれるも
のがある。この方法は上記方法とは逆に、地階の
上階から下階へとコンクリートを打ち下げて行く
ものである。

しかしながら、この方法においても、コンクリ
ートを打設するためには、型枠を上階の鉄骨梁な
どから吊り下げたり、あるいは、型枠を支持する
ための支保工を根切り表面に設置したりしなけれ
ばならず、依然として手間の掛かる作業を必要と
するものであつた。

そこで本発明は、鉄筋コンクリート構造物及び
鉄骨鉄筋コンクリート構造物等のコンクリート構
造物の地階フロアを構成するコンクリート床版を
構築するにあたり、配筋および型枠作業を極力簡
単なものとし、しかも安全な構築方法を提供する
ことを目的とするものである。

「問題点を解決するための手段」 そこで本発明では、上記目的を達成するため
に、コンクリート構造物の地階フロアを構成する
コンクリート床版を、逆打ちコンクリート工法に
よつて構築するものとし、しかも、地盤面を、構
築すべきコンクリート床版の底面からさらに寸法
Ｌだけ下がつた深さまで根切りして、該根切り表
面上に捨たコンクリートを厚さＬだけ打設した
後、該捨てコンクリート上にコンクリートとの分
離層を施したうえで、その分離層上に、床版用の
配筋およびコンクリートの打設を行い、該コンク
リートの硬化後に、該コンクリート下部を、前記
捨てコンクリートを除去しながら根切する方法と
した。

なお、前記分離層を施す手段としては、合成樹
脂製シート等を用いることによつて容易に実施さ
れ、しかも効果的である。

「作 用」 地面を、目的とするコンクリート床版の底面よ
りも若干深く根切りし、その根切り表面に捨てコ
ンクリートを打設することによつて、この捨てコ
ンクリートを、構築すべきコンクリート床版の型
枠として利用することができる。

また、配筋作業も、この捨てコンクリートを利
用することにより、極めて容易に行うことができ
る。

さらに、捨てコンクリートと、この捨てコンク
リートの上に打設される床版用のコンクリートと
の間に介在される合成樹脂製シートは、打設コン
クリートに所定の強度が生じた後捨てコンクリー
トを除去するときに、いわゆる離型剤として作用
する。

「実施例」 以下、本発明の一実施例を第１図および第２図
を参照しながら説明する。これらの図は、本発明
を、鉄筋コンクリート構造物に適用したものを示
すものである。

図において、符号１で示すものは、いわゆる地
表を形成している地盤である。該地盤１中には、
構造物の地階を構成する側壁２が、地中壁として
形成されている。

そして、この構造物の地下１階を構成するフロ
アを形成するコンクリート床版３を構築するに
は、以下の手順によればよい。

まず、前記地盤１を、構築すべき前記コンクリ
ート床版３の底面３ａが位置する深さより、50mm
下がりの位置まで掘削（根切り）する。

次いで、該根切り表面１ａをある程度平らに均
した後、該根切り表面１ａ上に、直接、捨てコン
クリート４を50mmの厚さに打設し、その表面を木
ごてなどにて一様に均す。この捨てコンクリート
４の上面が、後に構築されるコンクリート床版３
の底面３ａが形成される位置となるものである。

捨てコンクリート４が硬化したならば、該捨て
コンクリート４上に、たとえばポリエチレンシー
ト５等の合成樹脂製のシートを一様に敷設する。
このときに、このポリエチレンシート５は、なる
べく伸張させた状態で、たとえばテープなどによ
り固定させておく。

上記のように、捨てコンクリート４上にポリエ
チレンシート５が施されたならば、次に、このポ
リエチレンシート５の上に、コンクリート床版３
を構成するための鉄筋６の配筋を行う。この際、
鉄筋６は、前記ポリエチレンシート５上にべた置
きするのではなく、たとえば、該鉄筋６に、下方
に突出する脚を間隔をおいて設ける等の手段によ
つて、鉄筋６全体とポリエチレンシート５との間
には適宜な間隔を設ける。

そして、所定の配筋がなされたならば、その鉄
筋６が配設された前記ポリエチレンシート５の上
に、直接、床版用のコンクリート７を打設する。
ここにおいて、該コンクリート７の、前記ポリエ
チレンシート５を介した下部には、前記地盤１上
に打設された前記捨てコンクリート４が一様に形
成されているから、該捨てコンクリート４が、前
記床板用のコンクリート７の型枠として作用する
ものである。コンクリート７を打設したならば、
その表面を平らに均す。このコンクリート７の上
面が、目的とするコンクリート床版３の上面を形
成するものである。

そして、打設した前記コンクリート７が硬化し
て、所定のコンクリート強度が生じたならば、該
床板用のコンクリート７下部の地盤１を掘削す
る。これにより、目的とするコンクリート床版３
が形成される。このときに、該コンクリート７の
直下に位置する前記捨てコンクリート４およびポ
リエチレンシート５の除去も同時に行なう。ここ
において、ポリエチレンシート５は、捨てコンク
リート４と床板用のコンクリート７との間に介在
されたものであるから、これが、いわゆる離型剤
として作用し、捨てコンクリート４の前記コンク
リート７からの除去作業は極めて容易に行ない得
るものである。前記コンクリート床版３下部の根
切りは、次に構築すべき地下２階フロアを形成す
るコンクリート床版（図示せず）を構築するにあ
たり、上記、地下１階フロアのコンクリート床版
３の構築の際と同様の方法がとれるように、目的
とするコンクリート床版の底面が形成される位置
よりも50mm下がつた深さまでなされるものであ
る。

以降は、上記同様に、その根切り表面上に捨て
コンクリートを厚さ50mmに一様に打設し、その上
にポリエチレンシートを施した後、このポリエチ
レンシート上に床版用の配筋とコンクリートの打
設とを行い、この床板用のコンクリートの硬化後
に、捨てコンクリートとポリエチレンシートとを
除去しながら床板用のコンクリートの下部を根切
りするという方法により、地下２階、地下３階…
のコンクリート床版を構築してゆけばよい。

なお、本実施例においては、構築すべき床版の
底面が形成される位置を越えて、さらに根切りす
るその深さを50mmとし、そこに50mm厚の捨てコン
クリートを打設するとしているが、これは、床版
を形成するコンクリート７を打設する際に、捨て
コンクリート４が前記コンクリート７の型枠とし
ての作用を発揮するに、この寸法が必要かつ十分
なるものである、との見地からなされたものであ
る。しかしながら、この寸法は、この50mmに限定
されるものではなく、たとえば、地盤１の地質
や、構築されるコンクリート床版３の厚みなどに
よつて、適宜、最も効率的な寸法に設定されるも
のである。

「発明の効果」 以上説明したとおり、本発明によれば、地盤面
を、構築すべきコンクリート床版の底面位置より
も、若干深く根切りし、その根切り表面上に捨て
コンクリートを打設することによつて、この捨て
コンクリートを、構築すべきコンクリート床版を
形成するコンクリートを打設する際の型枠として
利用することができるので、上階の梁から吊り下
げたり、あるいは、支保工を設置するなどして従
来の型枠を設ける必要がない。さらに、配筋作業
においても、この捨てコンクリートを利用して行
うことができるものであるから、配筋のために吊
り足場等の仮設の作業床を組む必要がない。この
ように、コンクリート構造物の地階フロアを構成
するコンクリート床版を構築するにあたり、配筋
および型枠作業を極力簡略化させ、しかも安全度
を増す、などの優れた効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図および第２図は本発明の一実施例を示す
もので、第１図は側断面図、第２図は第１図にお
いて一点鎖線にて囲まれた部分の拡大図である。 １……地盤、１ａ……根切り表面、３……コン
クリート床版、３ａ……底面、４……捨てコンク
リート、５……ポリエチレンシート、６……鉄
筋、７……コンクリート。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ コンクリート構造物の地階フロアを構成する
   コンクリート床版を、逆打ちコンクリート工法に
   よつて構築する際のコンクリート床版の構築方法
   であつて、地盤面を、構築すべきコンクリート床
   版の底面からさらに寸法Ｌだけ下がつた深さまで
   根切りして、該根切り表面上に捨てコンクリート
   を厚さＬだけ打設した後、該捨てコンクリート上
   にコンクリートとの分離層を施したうえで、その
   分離層上に、床版用の配筋およびコンクリートの
   打設を行い、該コンクリートの硬化後に、該コン
   クリート下部を、前記捨てコンクリートを除去し
   ながら根切りすることによつてコンクリート床版
   を形成することを特徴とするコンクリート床版の
   構築方法。 ２ 前記分離層を施す手段として、合成樹脂製シ
   ートを用いることを特徴とする特許請求の範囲第
   １項記載のコンクリート床版の構築方法。