JPH042133B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は連続地中壁に横方向のプレストレスを
導入することのできる連続地中壁用鉄筋篭を関す
るものである。

（従来技術とその問題点） 連続地中壁は、地中に平面細長矩形状の深い溝
を掘削し、この溝内に鉄筋篭を送入したのちコン
クリートを打設して１エレメント分の壁体を形成
し、この壁体を溝の長さ方向に順次連続的に形成
して所定の連続地中壁に構築されるものである。

しかしながら、従来のこのような連続地中壁は
溝の長さ方向の連続性、即ち、１エレメント分の
壁体間の連続性が不充分であり、該接続部から漏
水が発生する虞れがあると共に剛性が小さくて周
囲の土圧等に対する耐力も弱く、例えば、このよ
うな連続地中壁を辺長の短い立杭の壁として利用
する場合においても、立杭壁築造後に該壁に囲ま
れた土砂を掘削除去する際に、水平方向の支保工
を架設して側方土圧を支持しなければならない等
の問題点があつた。

本発明は、このような問題点を解消し得る連続
地中壁用鉄筋篭を提供するものである。

（問題を解決するための手段） 上記目的を達成するために、本発明の連続地中
壁用鉄筋篭は、平面矩形状で且つ上下に細長い鉄
筋篭主体の短辺側両端部に鉄筋篭の内外を区画す
る仕切板を全長に亘つて一体に固設すると共にこ
の鉄筋篭主体内に上下方向に所定間隔毎にシース
を水平方向に配設してこれらのシースの両端開口
部を前記仕切板を貫通して鉄筋篭主体の外方に突
出させ、上記両仕切板の外面に上記シースの両端
開口部を挟んで接続用突出板を仕切板の全長に亘
り一体に設けてこれらの突出板の対向面と仕切板
の外面間で空間凹所を形成し、さらに、上記突出
板の先端にジヨイント部を設けて隣設する鉄筋篭
の該対向ジヨイント部を係合させた際に上記凹所
によりコンクリートが打設されない空間部を形成
するように構成している。

（作 用） 鉄筋篭主体の短辺側両端部に設けた仕切板に突
出している一対の突出板によつて隣接する鉄筋篭
主体との接続が強固に行えると共にその接続作業
が能率良く行えるものであり、又、鉄筋篭内に配
設されたシースは、その両端開口部を仕切板から
外方に突出させているので、隣接する鉄筋篭との
水平方向におけるシース同志の開口端が容易に連
通して該シース内に挿通させるストランドワイヤ
や鋼棒等を同一水平線上で簡単に接続させ、プレ
ストレスの導入を順次円滑に行えるものである。

又、仕切壁の外面両側に突設した突出板間で形
成される凹所は、コンクリートの流入を阻止する
ように構成されているので、該凹所内に突出した
シースの開口端からコンクリートがシース内に流
入する虞れがなく、さらに、壁体築造後において
該凹所を外部に露呈させることによりプレストレ
ス導入作業が容易に行えるものである。

（実施例） 本発明の実施例を図面について説明すると、１
は平面矩形状で上下に細長く形成された鉄筋篭主
体で、連続地中壁に作用する土圧等の外力を基に
設計された所要径の縦鉄筋２と横鉄筋３とで両側
に所定間隔を存して垂直方向に格子状に組立て、
横鉄筋３，３間を幅止鉄筋４で一体に接続してな
るものであり、連続地中壁築造の際の１エレメン
ト分を掘削溝ａに挿入可能な大きさに形成されて
いある。

５は鉄筋篭主体１，１を掘削溝ａに長さ方向に
挿入した際に、これらの鉄筋篭主体１，１の対向
端部の横鉄筋３，３にラツプさせて連続するため
の継ぎ鉄筋である。

６は鉄筋篭主体１の一端内部において、その両
側端を格子状に組立てた鉄筋の対向面に溶接等に
よつて一体に固着した仕切板で、鉄筋篭主体１の
全長に亘り設けられて鉄筋篭主体１の内外を密に
区画しているものである。

７，７はこの仕切板６の外面両側部に一体に突
設した一対の接続用突出板で、その先端を屈曲さ
せてフツク状のジヨント部１１ａに形成してあ
る。

このジヨイント部１１ａは鉄筋篭主体１の一端
よりもやや内方に設けられてあり、又、これらの
突出板７，７の対向面間と仕切板６の外面とで囲
まれた空間を外方に開口した凹所８に形成してあ
る。

９は鉄筋篭主体１の他端において、その両側部
を格子状に組立てた鉄筋の端部に溶接、一体化し
てなる仕切板で、前記仕切板６と同様に鉄筋篭主
体１の全長に亘つて設けられていると共にその外
面の両側部に一対の接続用突出板１０，１０を突
設してあり、これらの突出板１０，１０の先端に
前記ジヨイント部１１ａに係合可能なフツク形状
のジヨイント部１１ｂを屈曲形成してある。又、
鉄筋篭主体１の他端から突出した前記一対の突出
板１０，１０間で凹所１２を形成してある。

さらに、この仕切板９の両側端は鉄筋篭主体１
の両側面から外側方に突出してあり、その先端に
適宜幅を有するフランジ体１３の中央部を一体に
固着させて断面Ｈ字状に形成してある。このフラ
ンジ体１３の外側面は掘削溝ａの対向側面に接し
て、隣接する鉄筋篭主体側へコンクリートが流入
するのを阻止するものである。

１４は鉄筋篭主体１内に上下方向に所定間隔毎
に配設したシースで、その両端開口部を両端仕切
板６，９に貫通して水平状態に支持されてある。

この貫通部は固定状態にすることが望ましい
が、貫通孔に対してコンクリートやモルタル等が
通過しない程度の嵌挿状態であつてもよい。

又、仕切板６，９からの各シース１４の突出長
さは、仕切板６，９に突設した突出板７，１０の
突出幅よりも短くして夫々凹所８，１２内に突出
してあり、凹所１２内に突出した端部はラツパ状
に拡径してある。これらのシース１４の両突出端
部内には、必要に応じてその中にコンクリートが
流入するのを防止する詰物１５を着脱自在に挿入
することもある。

なお、これらのシース１４は、その中空内部に
ストランドワイヤや両端部に螺子１７を形成して
ある鋼棒１６等を挿通するものであるが、鋼棒の
場合は、掘削溝ａに鉄筋篭主体１を挿入する前に
挿通しておく。又、連続地中壁の隅部の形成に使
用される鉄筋篭には、隅部側のシース端部に鋼棒
１６の定着金具１８を取付けておくことが望まし
い。

このように構成した鉄筋篭Ａを使用して連続地
中壁を構築する方法について説明する。

第４図は、平面方形状の立杭の土留を連続地中
壁によつて行う場合を示すもので、このような連
続地中壁の形成は、まず、安定液を注入しながら
地盤の所定位置に一定幅の溝ａを所定深さまで掘
削する一方、この溝ａの周長を数分割した長さを
有する１エレメント分の鉄筋篭Ａ，Ａ１を複数個
作成しておく。

この場合、掘削溝ａの隅部に配設する鉄筋篭Ａ
１は中央部から直角に屈曲した形状を有し、その
中に配設されたシース１４は２分割されて一方の
シース１４ａの一端を仕切板６に、他方のシース
１４ｂの他端の他方の仕切板９に夫々支持されて
いると共に直角に対向した分割開口部を適宜な詰
物で閉塞しておくものである。

この屈曲鉄筋篭Ａ１の仕切板６，９に隣接する
直状体の鉄筋篭Ａの仕切板６，９を、それらの対
向する仕切板に突設している突出板７，１０のジ
ヨイント部１１ａ，１１ｂ同志を係合させながら
溝ａ内に挿入する。

こうして掘削溝ａの四方全てに鉄筋篭Ａ，Ａ１
を連続的に接続した状態に挿入したのち、掘削溝
ａにコンクリートを打設することにより連続地中
壁を築造する。この時、対向する鉄筋篭の仕切板
６，９に突設している突出板７，１０で囲まれた
凹所８，１２内にはコンクリートは入らないの
で、該部のシース端は閉塞することなく開口して
いる。

次に、壁で囲まれた内部の土砂の掘削を開始
し、鉄筋篭の上位のシース１４の埋設位置まで掘
削すると、屈曲鉄筋篭Ａ１のコーナ部のコンクリ
ートを内部から取り壊してシース１４ａ，１４ｂ
を開口させ、しかるのち、一方のシース１４ａの
開口端から、略一直線上に連通する接続鉄筋篭内
のシース１４内の順次通して他方のコーナ部のシ
ース１４ｂにまでストランドワイヤ１６を挿通
し、該ストランドワイヤ１６の一端に公知の定着
具を取付けると共に他端側をセンターホールジヤ
ツキで緊張したのち、固定する。この作業を四方
のシース１４側において行つたのち、再度掘削し
て同様な作業を行う。

こうして立杭を形成する壁全体にプレストレス
力を付与するものである。

なお、以上の方法においては、掘削孔ａに全て
の鉄筋篭を挿入したのちにコンクリートを打設す
るので、各鉄筋篭の仕切板９にはフランジ部１３
は不要であり、又、仕切板６，９から凹所８，１
２内に突出したシース１４の開口部には詰物を行
う必要はなく、コーナ部のシース１４ａ，１４ｂ
の開口部のみに詰物をしておけばよい。

次に、１エレメント分の溝を掘削と鉄筋篭の挿
入とを順次行いながらコンクリートを打設する方
法を第５図に基づいて説明をする。この場合は、
仕切板９にフランジ部１３を有する鉄筋篭を使用
する。

まず、１エレメント分の溝孔を掘削したのち、
該溝孔ａに仕切板６，９にフランジ部１３を有す
る鉄筋篭Ａを挿入し、次いで該鉄筋篭の両端にロ
ツキングパイル２０，２０を挿入したのち仕切板
６，９間にコンクリートを打設する。

コンクリートの打設後、次の溝孔を掘削し、ロ
ツキングパイル２０をガイドとして該溝孔に片側
の仕切板９にフランジ１３を有する次の鉄筋篭を
挿入し、この鉄筋篭にコンクリートを打設する。

この作業を繰り返して立杭四方に連続地中壁を
構築し、ストランドワイヤの緊張によるプレスト
レスの導入は前記実施例と同様にして行うもので
ある。

なお、ストランドワイヤ１６を緊張する方法と
しては、第６図に示すように壁のコーナ部を固定
端として中央部でストランドワイヤ１６，１６を
交叉させることによつて行つてもよく（この場合
には壁の中央部を破壊してシース端を露呈させ
る）、又、第７図に示すように一方のコーナ部を
固定端とし、他方のコーナ部を緊張点としてもよ
い。

以上の実施例においては、プレストレスの導入
にストランドワイヤを使用したが、これに替えて
鋼棒１６によつてプレストレスを導入する方法を
説明する。

この場合、各鉄筋篭主体１のシース１４内には
予め、第８，９図に示すように鋼棒１６が挿通さ
せた状態で配設しているので、掘削溝ａに鉄筋篭
を挿入後、コンクリートを打設したのちにおいて
隣接する鉄筋篭のシース間の鋼棒は連結されてい
ないから、シース１４の位置にまで掘削したのち
にコーナ部及び鉄筋篭接続部のコンクリートを取
り壊し、突出板７，１０を切除して全ての鋼棒端
を露出させる。

しかるのち、第１０図に示すように、対向する
鋼棒１６，１６の螺子１７，１７間をターンバツ
クル２２で連結し、センターホールジヤツキ２３
を使用して鋼棒を緊張しながらターンバツクル２
２を締め付けるものである。

なお、取り壊したコンクリート部分はプレスト
レス導入後、コンクリートで補修するものであ
る。

又、鉄筋篭の水平方向のシースの位置は、立杭
中央部に配置する鉄筋篭の場合は立杭の内側に、
立杭両端に配置する鉄筋篭の場合は外方に配置す
るのが望ましい。

（発明の効果） 以上のように、本発明の連続地中壁用鉄筋篭に
よれば、平面矩形状で且つ上下に細長い鉄筋篭主
体の短辺側両端部に鉄筋篭の内外を区画する仕切
板を全長に亘つて一体に固設すると共に、先端に
ジヨイント部を設けている接続用突出板をこれら
の仕切板の外面両側部に全長に亘つて一体に設け
てこれらの突出板の対向面と仕切板の外面間で空
間凹所を形成しているので、隣接する鉄筋篭の対
向接続用突出板のジヨイント部同士を接続するこ
とにより、鉄筋篭同士を次々と能率よく連結させ
ながら掘削溝内に配設することができると共に一
連に連結させた状態にしたのちコンクリートの打
設作業が可能となつて、連続地中壁の施工能率を
著しく向上させることができ、その上、その接続
によつて鉄筋篭主体の仕切板外面側に形成されて
いる上記凹所を水密的に区画することができ、鉄
筋篭にコンクリートを打設しても該打設コンクリ
ートが凹所内に流入するのを確実に阻止してこの
凹所によりコンクリートが打設されない空間部を
形成することができる。

さらに、この凹所内に、予め鉄筋篭主体内に上
下方向に所定間隔毎に配設しておいたシースの両
端開口部を突出させているので、該シース内に打
設コンクリートが浸入するようなことはなく、従
つて、該シース内にプレストレス導入用の鋼棒を
予め挿入しておくことができると共にその空間部
を利用して鋼棒同士の接続及び緊張作業を行うこ
とができるものである。

一方、コンクリート打設後において該シース内
にプレストレス導入用ストランドワイヤを挿入す
る場合においても、該シース内には打設コンクリ
ートが浸入していないから、その内部へのストラ
ンドワイヤの挿入が容易に行えると共に上記空間
凹所を利用して該ワイヤの緊張によるプレストレ
ス導入作業が円滑に行えるものである。

又、施工時において、隣接する鉄筋篭のシース
同士が正確に対向していない場合には、上記空間
凹所を利用してそのシースの対向開口端部同士が
正確に連通するように容易に修正することがで
き、ストランドワイヤや鋼棒等を同一水平線上に
確実に接続させることができるものである。

このように、鉄筋篭を使用して連続壁に横方向
のプレストレスの導入が可能であるから、築造さ
れる壁体の水平方向の剛性が大きくなり、壁間の
接続部の弱点が除去されて立杭等の土留壁として
使用した場合には支保工が不要となり、又、接続
部からの漏水もなくなるものである。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の実施例を示すもので、第１図は
その平面図、第２図は簡略縦断側面図、第３図は
仕切板部分の斜視図、第４図及び第５図は連続壁
の築造を説明するための簡略平面図、第６図及び
第７図はストランドワイヤによるプレストレスの
導入を説明するための簡略平面図、第８図及び第
９図は鋼棒を挿通させたシースの一部を断面した
側面図、第１０図は鋼棒の接続態様を示す断面図
である。 １……鉄筋篭主体、６，９……仕切板、７，１
０……突出板、１１ａ，１１ｂ……ジヨイント
部、１２……凹所、１４……シース、１６……ス
トランドワイヤ又は鋼棒。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 平面矩形状で且つ上下に細長い鉄筋篭主体の
   短辺側両端部に該鉄筋篭主体の内外を区画する仕
   切板を全長に亘つて一体に固設すると共に、この
   鉄筋篭主体内に上下方向に所定間隔毎にシースを
   水平方向に配設してこれらのシースの両端開口部
   を前記仕切板を貫通して鉄筋篭主体の外方に突出
   させ、上記両仕切板の外面に上記シースの両端開
   口部を挟んで接続用突出板を仕切板の全長に亘り
   一体に設けてこれらの突出板の対向面と仕切板の
   外面間で空間凹所を形成し、さらに、上記突出板
   の先端にジヨイント部を設けて隣接する鉄筋篭の
   該ジヨイント部を係合させた際に上記凹所により
   コンクリートが打設されない空間部を形成するよ
   うに構成したことを特徴とする連続地中壁用鉄筋
   篭。