JPH0413662B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は交流電流の測定を主な目的とした分流
器に関するものである。

従来例の構成とその問題点 抵抗体を用いその両端に発生する電圧信号を利
用して電流測定に供する分流器では、被測定回路
に与える影響をできるだけ小さくするため数Ω以
下の抵抗体を使用する。このような低い抵抗値を
持つ抵抗体に交流電流を流すと残留インダクタン
スによつて両端に発生する信号電圧に共振現象あ
るいは位相遅れが生じ測定精度を悪くする。残留
インダクタンスは、抵抗体を流れる電流がその周
囲に作る磁界によつて電気エネルギーが蓄積、放
出される現象である。

従来、残留インダクタンスを打消し、交流での
使用を目的とした分流器には、第１図に示すよう
なものあつた。第１図で示す分流器では、折り返
した抵抗体１を常に逆方向に電流が流れ、これら
の作る磁界が互いに打消し合うことによつて見か
け上残留インダクタンスを小さくしている。

また第２図ａ，ｂで示す分流器は、円筒状の抵
抗体１と導体２を同軸状に配置し、磁界を打消す
効果を高めている。しかしこれらの分流器を被測
定回路に接続する場合、第３図で示すように、被
測定回路３からリード線４を取出し、第１図ある
いは第２図ａ，ｂで示した分流器５を接続しなけ
ればならず、特に高い周波数の交流で使用するた
め被測定回路が同軸ケーブルで配線してある場合
など、分流器接続部分が複雑・冗長になり、周波
数特性を悪化させていた。なお、第３図において
１３は電源装置、１４は負荷である。

発明の目的 本発明は上記の欠点を除き、かつ残留インダク
タンスを小さくして高い周波数領域で使用できる
分流器を提供することを目的とする。

発明の構成 本発明の分流器は、第１の電流路を与える筒状
体と、この筒状体内にこれとは絶縁されて挿通さ
れ第２の電流路を与える棒状体とからなる同軸型
分流器構成体の、前記筒状体または棒状体のいず
れか一方の中間部分が抵抗体で形成されて前記筒
状体と棒状体の各一端を電源装置用接続端子と
し、各他端を負荷用接続端子となるように構成し
たものである。

実施例の説明 本発明は、第４図で示すように、たとえば被測
定回路が同軸ケーブルで配線してある場合におい
て、同軸ケーブルの外側導体６の一部を抵抗体７
で置き換え、その両端から端子８で電圧信号を取
出すならば、交互電流が磁界を打消し合うことに
よつて残留インダクタンスが小さく、かつ構造の
非常に簡単な分流器を得られることに着目してな
されたものである。

第５図は本発明の実施例の分流器を示したもの
である。同図においても９，１０は円筒状の導
体、１１は９，１０と同軸上に配置した導体、１
２は板状の抵抗器である。導体９，１０と１１と
はたがいに絶縁され導体９と１１を各一方の端子
とし、これらの間に電源装置１３を導体１０と１
１を各他方の端子とし、これらの間に負荷１４を
接続する。抵抗器１２は導体１１と同軸状に等間
隔に分散配置してあり、これらの抵抗器を流れる
電流と、導体１１を流れる電流とをたがいに逆向
きになるようにして、生じる磁界が互いに打消し
合う効果を得ている。また、抵抗体１２が板状で
あるため、ここで生じる熱の放散が効果的に行わ
れる。８は、抵抗器の両端に発生する電圧を信号
として取出す端子である。

本実施例では、抵抗体として個別の抵抗器を多
数並列接続しているが、導体９，１０と同等の径
を持つ円筒状の抵抗体を、導体９と１０の間に接
続してもよい。また、本実施例で示した抵抗体は
矩形の板状抵抗器であるが、抵抗器１２の形状は
特に矩形に限定されるものではなく、他の形状と
してもよい。さらに板状にかえて、棒状としても
よい。

第６図は本発明の他の実施例の分流器を示した
ものである。抵抗体１２′は中心導体９′と１０′
の間に接続され外周は連続した円筒状の導体１
１′から成つている。これらの導体および抵抗体
の機能・効果については第５図で示したものと同
様である。

発明の効果 以上述べたように本発明による分流器は、抵抗
体の残留インダクタンスを打消すことによつて、
ＭHz帯域までの交流電流の測定を可能とするもの
である。またその構成が単純で、被測定回路が冗
長になることなく容易に接続できる。この分流器
は他の分圧器等と組合わせ、特に抽出した信号の
移送遅れが問題となる交流電力の測定に使用する
と効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図、第２図ａ，ｂはそれぞれ従来の交流分
流器の構成を示す図、第３図は従来の分流器の被
測定回路への接続回路への接続法を示す図、第４
図は本発明による交流分流器の原理を説明するた
めの図、第５図は本発明の実施例の分流器を示す
図、第６図は本発明の他の実施例の分流器を示す
図である。 １……抵抗体、２……導体、３……被測定回
路、４……リード線、５……第１図あるいは第２
図で示した分流器、６……外側導体、７……抵抗
体、８……信号端子、９，１０，１１……導体、
１２……抵抗器、１３……電源装置、１４……負
荷。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 第１の電流路を与える筒状体と、この筒状体
   と絶縁されて前記筒状体内に挿通され第２の電流
   路を与える棒状体とからなる同軸型分流器構成体
   の前記筒状体または棒状体のいずれか一方の中間
   部分が抵抗体で形成されているとともに、前記筒
   状体と棒状体の各一端を電源装置用接続端子と
   し、各他端を負荷用接続端子としたことを特徴と
   する分流器。 ２ 抵抗体が複数個の並列接続体であることを特
   徴とする特許請求の範囲第１項に記載の分流器。 ３ 並列接続体を構成する複数個の抵抗体のそれ
   ぞれが板状抵抗体であることを特徴とする特許請
   求範囲第２項に記載の分流器。 ４ 並列接続体を構成する複数個の板状抵抗体
   が、棒状体を中心として放射状に配置されている
   ことを特徴とする特許請求の範囲第３項に記載の
   分流器。