JPH04127955U - 荷電粒子線装置用試料微動装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】荷電粒子線装置の試料微動装置において、試料
を傾斜させた時、傾斜台上部の機構に滑り落ちる力を発
生させないこと。 【構成】本装置は、傾斜テーブル８内に水平テーブル５
と同方向に移動できるおもり１０を有する。水平テーブ
ル５とおもり１０は連結線７によって連結され、その結
果、傾斜テーブル８を傾けた時、水平テーブル５に作用
する滑り落ちる力は、おもり１０によって打ち消され
る。 【効果】試料を傾けても、試料を水平移動させる力は変
化しないため、小さい力で試料を移動できる。また正確
にしかも等速で試料を移動できる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は走査電子顕微鏡等、荷電粒子線装置における試料を傾斜し平行移動す る試料微動装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来の装置は特開昭61−220256号広報に記載のように試料を傾斜した時に、傾 斜台上部の水平移動台には、自重による滑り落ちる力が作用し、試料を昇る方向 に水平移動させるには、まずこの力を打ち消す力が必要となる。このため、余計 な力が必要となり正確な移動が困難となる。また移動する方向により加える力が 変わり等速移動が困難である。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

上記従来技術は試料を傾斜させた時に発生する滑り落ちる力について配慮がさ れておらず、試料を傾斜方向に水平移動させるのに、滑り落ちる力を打ち消す余 計な力が必要となり、正確な動作が困難でまた等速移動が困難である問題があっ た。

【０００４】 本考案の目的は、試料を傾斜させても、傾斜台の上の機構に滑り落ちる力を発 生させないことにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するために、傾斜方向に水平移動する機構部と同等の質量のお もりを傾斜テーブル中で傾斜方向に水平移動できるようにし、そして上記おもり と傾斜方向に水平移動する機構部を連結し釣合いをとることにより、試料を傾斜 しても、傾斜方向に滑り落ちる力はおもりにより打ち消されるようにしたもので ある。

【０００６】

【作用】

傾斜台を傾斜させると傾斜台上部の傾斜方向に水平移動する機構部に滑り落ち る力が作用するが、同時に傾斜台中にあるおもりも傾斜し、おもりにも同等の力 が作用する。この時、上記機構部とおもりは連結されており、また互いに作用す る力はそれぞれ逆方向のため、つり合いがとれ、その結果、傾斜方向に水平移動 する機構部には、滑り落ちる力は作用しない。

【０００７】

【実施例】

以下、本考案の一実施例を図１により説明する。尚説明の都合上、電子ビーム を用いた走査電子顕微鏡の例について説明する。これがオージェ装置であっても イオン顕微鏡であっても同様に適用されることは言うまでもない。真空ポンプに より高真空に保たれた試料室２には、電子線を細く絞り試料４に放射する電子光 学系１と、試料４より発生する二次電子を電気信号に変換する二次電子検出器３ が取り付いている。試料室２内では傾斜支持テーブル９が試料室２に固定され、 傾斜支持テーブル９に支持された傾斜テーブル８が傾斜することにより試料４を 傾斜することができる。傾斜テーブル８上部では、水平テーブル５が傾斜方向に 試料４を水平移動できる機構となっている。試料４は水平テーブル５に固定され る。また傾斜テーブル８内には、傾斜方向に水平移動できるおもり１０があり、 おもり１０と水平テーブル５は、傾斜テーブル８に固定されたプーリ６を介して 連結線７によって連結されている。以上より構成されている。

【０００８】 図２は図１の試料４を傾斜及び水平移動させる傾斜支持テーブル９より上部の 機構部を表しており、プーリ６，連結線７の代りにピニオンとラックを用いた場 合の例である。傾斜支持台９ａに支持された傾斜台８ａは、ウォームギア９ｃの 回転により傾斜台８ａに固定された円弧ギア９ｂが回転し、傾斜する。傾斜台 ８ａ上部には傾斜方向に水平移動する水平移動台５ａがあり、両端を固定台８ｃ で支持されたおくりネジ８ｄが回転すると移動ガイド８ｅが移動し、接続金具 ８ｆで連結された水平移動台５ａは水平移動する。試料４は水平移動台５ａ上部 に固定される。傾斜台８ａには突き抜いた穴があり、そこでおもり本体１０ａが 傾斜方向に水平移動できるようになっている。おもり本体１０ａ上部にはおもり ラック１０ｂが取り付いており、傾斜台８ａに固定され回転するピニオン８ａに より水平移動台５ａに固定された移動台ラック５ｂの水平移動をおもり本体10ａ に伝達する。

【０００９】 図１より傾斜テーブル８を傾けて試料４を傾けた場合、傾斜テーブル８上部の 水平テーブル５も傾くため、滑り落ちる力が作用するが、同時に傾斜テーブル８ 内のおもり１０も同様の力が作用し、水平テーブル５とおもり１０は連結線７に より連結されているため、お互いに打ち消し合い、水平テーブル５は傾斜しても 常に滑り落ちる力が作用しない状態となる。

【００１０】 本実施例によれば、試料４を傾斜しても水平テーブル５には滑り落ちる力が作 用しないため、試料４を傾斜させても試料４を水平方向に移動させる力は常に一 定となり、そのため滑り落ちる力が作用する時と比べて水平移動させる力は少な く、また余計な力が作用しないため試料４を正確にしかも等速で移動できる効果 がある。

【００１１】 図２はプーリ６，連結線７の代りに歯車を使用した実施例である。ウォームギ ア９ｃを回すと傾斜台８ａは傾斜をする。この時傾斜台８ａ上の水平移動台５ａ には滑り落ちる力が作用するが同時に傾斜台８ａ内のおもり本体１０ａにも同様 の力が作用する。これらの力はそれぞれに取り付いている移動台ラック５ｂ、お もりラック１０ｂがピニオン８ｂを介して打ち消しあうため水平移動台５ａには 作用しなくなる。この実施例では、逆方向へ傾斜しても同様な効果を得ることが でき、また構造的にプーリ６，連結線７を用いた時より簡単で小さくできる効果 がある。

【００１２】

【考案の効果】

本考案によれば、試料を傾斜しても傾斜台上の水平移動台には、滑り落ちる力 が作用しないため、試料を平行移動させる力は少なく、また試料を正確にしかも 等速に移動できる効果がある。また、傾斜した時に力が作用しないので、この水 平移動台を動かす駆動力も最小の力で達成することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例を示すもので、走査電子顕微
鏡の試料室の断面図である。

【図２】他の実施例における走査電子顕微鏡の試料微動
装置の詳細図である。

【符号の説明】

１…電子光学系、２…試料室、３…二次電子検出器、４
…試料、５…水平テーブル、５ａ…水平移動台、５ｂ…
移動台ラック、６…プーリ、７…連結線、８…傾斜テー
ブル、８ａ…傾斜台、８ｂ…ピニオン、８ｃ…固定台、
８ｄ…おくりネジ、８ｅ…移動ガイド、８ｆ…接続金
具、９…傾斜支持テーブル、９ａ…傾斜支持台、９ｂ…
円弧ギア、９ｃ…ウォームギア、１０…おもり、１０ａ
…おもり本体、１０ｂ…おもりラック。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】試料を水平に移動する手段を有し、該移動
   手段の下部に試料を傾斜する手段を有する荷電粒子線装
   置用試料微動装置において、試料を傾斜させた時に生ず
   る試料を水平に移動する手段に作用する力を打ち消す手
   段を有することを特徴とする荷電粒子線装置用試料微動
   装置。