JPH038845Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、流体圧または真空圧利用の産業機械
に使用する電磁弁に関する。

［従来の技術］ 従来の電磁弁において、弁座を開閉する弁部材
に弁座との衝突時における衝撃を緩和するための
ばね力を付勢させる場合には、例えば実開昭59−
30980号公報に示されているように、弁部材の収
容部を可動鉄心に設けた単純な孔とし、この収容
部に収容したばね付勢された弁部材を、孔の開口
縁に嵌着させた平板のストツパによつて保持して
いる。

しかしながら、上記公知の電磁弁は、収容部の
開口縁に単に嵌着させた平板のストツパでばね付
勢された弁部材を保持しているために、ストツパ
が外れ易いので、長時間の動作によつて弁機能を
喪失する恐れがある。また、弁部材が弁座を閉鎖
するときに、可動鉄心が弁座の周囲に衝突するた
めに、その衝撃によつて可動鉄心が損耗し易い欠
点がある。

［考案が解決しようとする問題点］ 本考案が解決しようとする課題は、長期間にわ
たつて弁機能を維持することができ、かつ可動鉄
心の損耗がない電磁弁を提供することにある。

［問題点を解決するための手段］ 上記課題を解決するため、本考案は、複数のポ
ート、これらのポートを連通させる通路、該通路
中に形成した弁座を弁本体に設け、該弁座を開閉
するばね付勢された弁部材の収容部を、電磁操作
部の可動鉄心に設けた単純な孔とした電磁弁にお
いて、上記孔に収容したばね付勢された弁部材
を、上記可動鉄心の頭部に被着させた中心に孔を
有するカツプ状の弁押えの側壁と、可動鉄心外周
面の係止部との係合によつて保持したことを特徴
としている。

［作用］ 上記電磁弁においては、可動鉄心に設けた孔に
ばねと弁部材とを挿入し、可動鉄心の頭部にカツ
プ状の弁押えを被着させて、その側壁と可動鉄心
外周面の係止部とを係合させることにより、上記
孔内に弁部材が保持される。

従つて、弁押えによる弁部材の保持が確実で、
長時間動作させても弁機能を喪失することがな
い。

可動鉄心の摺動によつて弁部材が弁座を閉鎖す
るときは、弁部材がばねに抗して孔内で摺動し、
その際、可動鉄心の頭部に被着した弁押えが弁座
周囲に当接し、可動鉄心自体の摩耗等による損耗
が抑制される。

［実施例］ 第１図は、本考案を２ポート弁に施した実施例
を示し、弁本体１には流入ポート２と流出ポート
３が穿設されており、また後記電磁操作部と対向
する面に弁室４が形成されている。上記流入ポー
ト２は弁本体１に形成された通路によつて弁室４
の弁座５に連通され、流出ポート３は、弁本体１
に形成された通路によつて弁室４に連通されてい
る。また、上記弁座５の周囲には、上面平端な複
数個の受部６，・・が突出形成されている。

一方、電磁操作部において、励磁コイル１１が
巻回されている非磁性材料製のボビン１２の中心
孔１３の一端には、固定鉄心１４が挿入嵌着され
ており、該中心孔１３の他端周縁には、切欠段部
１３ａが形成され、その端面に当接される環状の
磁気板１５には、上記ボビンの中心孔１３と同径
の孔１６の周縁に環状凸部１５ａが形成され、こ
の環状凸部を上記切欠段部に嵌着することによつ
て、磁気板１５とボビン１２とは同心に配置され
ている。この磁気板１５は、後述するように、そ
の外周面がボビン１２を覆う磁気枠２８と密接
し、励磁コイル１１のまわりの磁路を形成するも
のである。

上記ボビン１２及び磁気板１５の中心孔１３，
１６に摺動自在に挿入される可動鉄心１８には、
弁部材収容部として、頭部から軸線方向の孔１９
が形成されており、また頭部外周には、弁押え２
４が被着係止される係止部２０としての逆テーパ
縮径部２０ａが形成されている（第２図Ａ参照）。

上記孔１９は、可動鉄心１８の端面からの単な
る孔加工によつて形成できるものであることが必
要であるが、例えば大径の孔内に小径の孔を穿設
したものでも差支えない。

上記可動鉄心１８の弁部材収容部である孔１９
には、弁部材ばね２１及び周縁に複数の切欠き２
２ａが形成されている平板状の弁部材２２が挿入
されている。一方、上記逆テーパ縮径部２０ａに
は、弁座５よりも大径の孔２３が形成されたカツ
プ状の弁押え２４が、その側壁２４ａを縮径部２
０ａに押圧変形することにより被着されており
（第２図Ａ参照）、上述の弁部材２２は弁部材ばね
２１によつて弁押え２４の孔２３の周縁に当接さ
れ、孔１９からの抜け出しが防止されている。ま
た、可動鉄心１８は、その端面に形成されている
凹部と固定鉄心１４との間に介在させた復帰ばね
２７によつて、常時弁部材２２が弁座５を閉鎖す
るように付勢されている。

上述のボビン１２を覆うカツプ状の磁気枠２８
は、その口縁が磁気板１５に嵌着されて磁気板１
５と一体化されており、該磁気枠２８は、上記励
磁コイル１１、固定鉄心１４、磁気板１５及び可
動鉄心１８等と共に電磁操作部３０を構成してい
る。該電磁操作部３０は、磁気板１５が弁本体１
の弁室４を覆うよにして弁本体１に載置され、図
示を省略しているボルト等の適宜手段によつて弁
本体１に固定されている。

上記可動鉄心１８の頭部外周に形成される係止
部２０は、第１図及び第２図Ａに図示する逆テー
パ縮径部２０ａに限らず、第２図Ｂに図示するよ
うに中間に係止溝２０Ｂが形成された円柱状縮径
部２０ｂ、第２図Ｃに図示するように、係止鍔２
０Ｃが形成された円柱状縮径部２０ｃ、または第
２図Ｄに図示するように外周に係止鍔２０Ｄが形
成された鍔付き係止部２０ｄとすることができ、
さらには、第３図に図示するように、可動鉄心１
８の外周に係止段部が形成された段付縮径部２０
ｆとすることもできる。

一方、上記係止部に被着されるカツプ状の弁押
え２４は、ばね鋼などの高剛性材または耐摩耗性
のある樹脂などの耐摩耗材料で形成されており、
第２図Ｂに図示する例では、弁押え２４がその側
壁２４ａを係止溝に圧入することにより被着固定
されている。

また、第２図Ｃ，Ｄに図示する例では、その側
壁２４ａ内面に係止鍔２０Ｃ，２０Ｄが食い込む
ことにより被着固定されているが、これらの固定
手段に溶接または接着による固定を併用してもよ
い。なお、第２図Ｃ，Ｄに図示する例は、弁押え
２４を耐摩耗性ある樹脂製とした場合に好適であ
り、また、第２図Ｄに図示する例では、可動鉄心
１８に縮径部が形成されていないので、弁押え２
４の端面を復帰ばね２７の受面とすることができ
る。

さらに、第３図に図示する弁押え３１のよう
に、カツプ状の側壁に複数個の切欠き孔３２，…
を、その上端開口部内縁に複数個の係止爪３３，
…を形成したものとし、上記係止爪３３，…を可
動鉄心１８の係止段部に係止して、可動鉄心１８
に取付けるようにすることもできる。

上記実施例は、可動鉄心１８の外周面に設けた
係止溝や係止鍔等の係止部に弁押え２４の側壁を
係合することによつて、孔１９に収容した弁部材
２２を保持したので、弁押え２４の可動鉄心１８
への取付けが確実で外れることがなく、これによ
つて長時間弁機能を維持することができる。

また、弁部材２２による弁座５の閉鎖時に弁押
え２４が弁座周縁に当接するので、耐摩耗性が低
い可動鉄心１８の損耗を防止することができる。

上記構成を有する電磁弁は、第１図に図示の状
態で励磁コイル１１を励磁すると、固定鉄心１４
が可動鉄心１８を吸引するので、弁部材２２は弁
座５を開放して、流入ポート２からの圧力流体
は、弁座５を通つて流出ポート３へ流出する。

励磁コイル１１の励磁を断つと、可動鉄心１８
は復帰ばね２７によつて復帰し、弁押え２４の孔
２３に臨む弁部材２２が弁座５に当接して弁座５
を閉鎖し、圧力流体の流れを遮断するが、弁部材
２２は可動鉄心の孔１９内に摺動可能に挿入され
ているので、弁部材ばね２１の付勢力に抗して孔
１９内を摺動し、弁部材２２と弁座５との衝突時
における衝撃を緩和する。また、上記弁部材２２
の孔１９内での摺動によつて、可動鉄心がさらに
摺動するが、弁押え２４が受部６に当接して可動
鉄心１８が直接受部６に当接しないので、可動鉄
心１８の損耗が防止される。

なお、上記実施例としては２ポート弁を示して
いるが、本考案は２ポート弁に限られるものでは
なく、図示を省略しているが、例えば相対向する
弁座とそれらの弁座を交互に開閉する弁部材より
なる３ポート弁、或いは背向する弁座とそれらの
弁座に対向位置してそれらの弁座を交互に開閉す
る弁部材よりなる３ポート弁などとして実施する
こともできる。

［考案の効果］ 本考案においては、弁部材が収容部から抜け出
すのを阻止するための弁押えをカツプ状とし、そ
の側壁を可動鉄心の外周面に設けた係止部に係止
させて可動鉄心に取付けたことにより、弁押えの
可動鉄心への取付けが確実で外れないので、長時
間弁機能を維持させることができる。

また、可動鉄心の頭部に被着させたカツプ状の
弁押えによつて、可動鉄心が弁座周縁に当接しな
いので、耐摩耗性が低い可動鉄心の損耗を防止す
ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１は本考案の実施例を示す縦断正面図、第２
図ＡないしＤは弁押えの可動鉄心への被着状態を
示す一部縦断正面図、第３図は他の弁押えの可動
鉄心への被着状態を示す斜視図である。 １……弁本体、２……流入ポート、３……流出
ポート、５……弁座、１８……可動鉄心、１９…
…凹部、２１……弁部材ばね、２２……弁部材、
２３……孔、２４，３１……弁押え、３０……電
磁操作部。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 複数のポート、これらのポートを連通させる通
   路、該通路中に形成した弁座を弁本体に設け、該
   弁座を開閉するばね付勢された弁部材の収容部
   を、電磁操作部の可動鉄心に設けた単純な孔とし
   た電磁弁において、 上記孔に収容したばね付勢された弁部材を、上
   記可動鉄心の頭部に被着させた中心に孔を有する
   カツプ状の弁押えの側壁と、可動鉄心外周面の係
   止部との係合によつて保持したことを特徴とする
   電磁弁。