JPH0357225Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本案は仰臥患者の背部の血行促進、マツサージ
作用による治療用ベツドに関するものである。

「従来の技術」 従来軽度の腰仙部、大転子部の褥創の治療のた
めにはゴム製円座（ドーナツ状）が用いられてい
るが褥創の周囲を丸く囲むため通気性が悪く血行
障害を起すため体位交換を頻繁に行う必要があ
る。従つて毛布を長く折畳み或は円筒状に巻いた
もので脊柱と平行に体を支持する方法が考案され
たが体位交換時に労力を要し脳出血、寝たきり老
人、全身衰弱患者等重篤患者には効果がなく褥創
は全身（頭部、耳介、両肩、両肘、背部、腰仙
部、両大転子部、両大腿、両膝、両下腿、両足関
節、両踵部及び両外足部）に拡大する。

そこで褥創予防マツトが用いられるが同マツト
はゴム製布張筏形（円柱並列状）空気マツトであ
り空気圧１〜８段階に調節可能な圧搾空気装置で
あつてマツトの上綿の多数の気孔から少量宛空気
を排出するようになつているし、隣接円柱が交互
に一定時間毎に給気、排気（注気、脱気）が行わ
れるものである。しかしこのようなマツトには体
を仰臥位に横たえると体重によつて同マツトは平
坦となつて体を支えるため体に密着する面積が大
きく、注気、脱気が交互に行われるにしても人体
の背部の面積は半分以上が注気時にマツトに密着
することになる。そして注気部と脱気部の境界部
はマツトが重つていてその部分は常時マツトに密
着する。又体重差によつても密着面積が変化し背
部の休息面積（密着部以外の部分）が不定である
ため個人差があり血行促進、マツサージ作用によ
る褥創予防及び治療効果を向上させることは困難
であつた。

そこで本考案者は複数の固定平行杆と昇降可動
平行杆を交互に並べて、固定杆と可動杆との間に
補助杆を配置することによつて仰臥患者の背部を
マツサージする治療用ベツドを開発し相当の治療
効果を挙げることができた。ところが上記補助杆
は木製で固定杆及び可動杆よりも直径が小である
ため補助杆が固定杆及び可動杆から上昇し補助杆
のみで患者を持上げるため、背部は細く堅い補助
杆で圧迫されるため背部への刺激が強過ぎ治療上
好ましくない場合がある。

「考案が解決しようとする問題点」 本案は患者の背部を補助平行杆によつて持上げ
る際背部への刺激を緩和し筋肉及び皮膚のマツサ
ージを安全に行い得て血行を促進させる治療用ベ
ツドを得ることを目的とするものである。

「問題点を解決するための手段」 本案は機枠の上部に固定平行杆と昇降可動平行
杆とを交互に配置し、該可動平行杆の上面水準が
固定平行杆の上面水準の上下に昇降可能に支持さ
れ、隣接する可動及び固定平行杆の間隙に沿つて
補助平行杆を載置し、かつ該可動平行杆の昇降駆
動装置を設けてなる寝台において、上記可動平行
杆の最低停止位置で補助平行杆の上面と固定平行
杆の上面とがほぼ同一水準に支持され、かつ該可
動平行杆の最高停止位置で補助平行杆の上面と該
可動平行杆の上面とがほぼ同一水準に支持される
よう形成され、該補助平行杆が直径方向にクツシ
ヨン性を備えてなる治療用ベツドによつて構成さ
れる。

「作用」 従つて上記寝台上に敷布団２１を敷き、その上
に患者２３を仰臥させる。その状態では第３図第
６図に示すように可動平行杆３が最低停止位置に
あり、補助平行杆１５の上面と固定平行杆２の上
面とがほぼ同一水準である（これを第１工程とい
う）。この状態において昇降駆動装置５を動作さ
せると、可動平行杆３が固定平行杆２と同一水準
に上昇して停止する。そして第４図第７図に示す
ように補助平行杆１５が上方に突出する（これを
第２工程という）。その後さらに可動平行杆３が
上昇して最高停止位置に達すると第５図第８図に
示すように可動平行杆３の上面と補助平行杆１５
の上面とがほぼ同一水準に支持されて停止する
（これを第３工程という）。その後該可動平行杆３
は固定平行杆２と同一水準位置（第４図、第７
図）に下降して停止した後さらに最低停止位置
（第３図、第６図）に下降し補助平行杆１５の上
面と固定平行杆２の上面とがほぼ同一水準に揃
い、これを繰返すものである。患者２３の背部は
布団２１を介して上記第１工程では補助平行杆１
５と固定平行杆２によつて支持され支持部が圧迫
される。第２工程では補助平行杆１５，１５の中
間部が空となり圧迫が解放されて休息する。その
際補助平行杆１５は転動しかつ固定平行杆２側に
若干移動し布団２１の下面を横方向に若干移動さ
せて患者２３の背部の支持点を若干変化させる。
第３工程では上記空部に可動平行杆３が上昇して
可動平行杆３と補助平行杆１５とによつて背部が
支持され補助平行杆１５はさらに若干横方向に移
動する。そのため皮膚及び筋肉の圧迫開放は分散
（第１、第３工程）及び集中（第２工程）を繰返
しかつ圧迫及び開放部の若干の横移動によつて該
皮膚及び筋肉はマツサージされる。そして上記補
助平行杆１５は患者２３の体重によつて直径方向
に弾性変形して背部の体形に順応した支持面を拡
大し力の集中を拡散することができる。

「実施例」 機枠１の上部に木製丸太による平行杆２を８個
並べ両端を同機枠１に固定する（第１図，第２
図）。丸太の直径は50mmとし側面間隔を70mmとな
す。このようにした平行杆２，２の上記間隔部に
直径50mmの木製丸太による可動平行杆３を配置
し、同杆３の下面を昇降枠６の上面に設けた直立
腕７の上端で支持し、昇降枠６の下面にピン８に
よつて枢支した下向斜杆９の下端を機枠１の下部
に設けた水平案内ガイド１０に摺動自在に支持
し、機枠１の下部にピン８′で枢支した上向斜杆
９′の中程と下向斜杆９の中程とをピンで枢支し、
かつ上向斜杆９′の上端を昇降枠６の下面に設け
た水平案内ガイド１０′に摺動自在に支持し、か
つ機枠１の下部に設けた原動機１１によつて傘歯
車１２、ウオーム及びウオーム歯車１３を回動
し、動ウオーム歯車１３を昇降枠６の下面に設け
た垂直螺杆１４に螺合させて同昇降枠６を昇降さ
せ同昇降枠６を介して上記可動平行杆３を昇降さ
せることができかつ昇降駆動装置５を構成するも
のである。可動平行杆３の昇降は垂直螺杆１４の
緩慢昇降によつて緩慢又は徐々に行われ上昇及び
下降限度位置及び両平行杆２，３の上面水準の一
致水準において静止し、静止時間はそれぞれ５分
乃至１時間に自由に設定し昇降は徐々に行われ
る。そして可動平行杆３と固定平行杆２との間隙
に沿つて間隙の両側杆２，３の上に補助平行杆１
５を載置する。この補助平行杆１５は第３図〜第
８図に示すように可動平行杆３の一側に配置す
る。そして補助平行杆１５はその昇降に伴い横方
向に移動するものである。又上記固定及び可動平
行杆２，３は木製杆を用いると良い。上記補助平
行杆１５の直径は60mmであつて上記間隔70mm内に
配置され固定及び可動平行杆２，３の間隙は10mm
である。又この補助平行杆１５は第１０図に示す
ように合成樹脂フイルムを外装したクロス筒１６
の内部に綿１７を手で押込んで圧搾充填し、該ク
ロス筒１６の外面を布１８で被覆してなるもので
あつて弾力性を有しかつ直径方向にクツシヨン性
がある。尚図中１９で示すものは固定平行杆２の
固定用腕、２０は昇降停止用リミツトスイツチ、
２１は布団、２２は布団２１の上面シートの下に
敷いた合成樹脂シートである。

「効果」 本案は上述のように構成したので患部の通気性
を向上し、筋肉及び皮膚のマツサージを自動的に
行い得て常時密着部を解消し血行障害を無くすこ
とができ血行及び通気の促進によつて人手を要す
ることなく褥創を治療及び予防しかつ背部のマツ
サージによる血行促進治療を安全に行うことがで
きる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本案の治療用ベツドの実施例を示す正
面図、第２図は第１図を右方から見た側面図、第
３図は可動平行杆最低状態正面図、第４図は補助
平行杆突出状態正面図、第５図は可動平行杆最高
状態正面図、第６図は第３図の一部拡大図、第７
図は第４図の一部拡大図、第８図は第５図の一部
拡大図、第９図は補助平行杆の斜視図、第１０図
は第９図Ａ−Ａ線による縦断面図、第１１図は治
療用ベツド使用状態図である。 ２……固定平行杆、３……可動平行杆、１５…
…補助平行杆。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 機枠の上部に固定平行杆と昇降可動平行杆と
   を交互に配置し、該可動平行杆の上面水準が固
   定平行杆の上面水準の上下に昇降可能に支持さ
   れ、隣接する可動及び固定平行杆の間隙に沿つ
   て補助平行杆を載置し、かつ該可動平行杆の昇
   降駆動装置を設けてなる寝台において、上記可
   動平行杆の最低停止位置で補助平行杆の上面と
   固定平行杆の上面とがほぼ同一水準に支持さ
   れ、かつ該可動平行杆の最高停止位置で補助平
   行杆の上面と該可動平行杆の上面とがほぼ同一
   水準に支持されるよう形成され、該補助平行杆
   が直径方向にクツシヨン性を備えてなる治療用
   ベツド。 ２ 固定平行杆の直径及び昇降可動平行杆の直径
   が50mmで間隙が10mmであり、補助平行杆の直径
   が60mmである実用新案登録請求の範囲第１項記
   載の治療用ベツド。 ３ 補助平行杆が合成樹脂フイルムを外装したク
   ロス筒の内部に綿を圧搾充填し、該クロス筒の
   外面を布で被覆してなり、固定平行杆及び昇降
   可動平行杆の直径より直径が若干大である実用
   新案登録請求の範囲第１項記載の治療用ベツ
   ド。