JPH0351182B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は大腿骨部材と脛骨部材と、この両部材
を連結する接合手段とで構成される人工膝関節に
関するものであつて、前記の大腿骨部材は、間に
自由空間を設けて前側を接続した２つの滑り面を
有し、その滑り面は前側から後側に向つて曲率を
漸増させて湾曲し、かつ当該湾曲面に垂直な面に
対しても湾曲した（つまり、ほぼＵ字形に湾曲し
た）形状にあり、一方、前記の脛骨部材は、大腿
骨部材の滑り面が摺動可能に載置できる２つの表
面と、その２つの表面に間に介在する隆起部を備
えている。

従来この種の人工膝関節（西独特許明細書第
2549819号）においては、大腿骨部材の２つの滑
り面と整合する２つの表面が、隆起部を挾んで脛
骨部材に設けられ、これらの表面は脛骨部材の中
央断面において各々前側から後側に向つて大きく
窪み、前記の隆起部から２つの表面に向けての傾
斜は同じ勾配にある。そして、大腿骨部材と脛骨
部材との連結は、脛骨部材の隆起部に設けた２つ
の突起と、大腿骨部材の滑り面に設けた２つの溝
とを係合させるで行われる。このような人工関節
の欠点は、本物の関節に比べその動きが不自然と
なることである。

本発明は従来品に比べて動きが自然で、しか
も、摩耗の少ない人工膝関節を提供するものであ
る。

本発明によれば、上記の欠点は、中央断面にお
いて脛骨部材の外側表面を、前側から後側に向け
てほぼ平らにすると共に、脛骨部材の内側表面を
前側から後側に向けて窪ませ、隆起部から外側表
面に向う斜面の傾斜を、内側表面に向う斜面のそ
れより小さくし、かつ、大腿骨部材と脛骨部材と
の連結を、脛骨部材の前側中央から大腿骨部材の
後側に向けて延びる第１の非弾性紐帯と、脛骨部
材の後側中央から大腿骨部材の前側に向けて延び
る第２の非弾性紐帯とで行うことにより解消され
る。この場合、大腿骨部材と脛骨部材を連結する
２本の非弾性紐帯は、膝が伸びた時に緊張し、負
荷のない状態で曲げた時に僅かに弛緩する。

このような構成を採ることにより、大腿骨部材
の内側滑り面と、これと接触する脛骨部材の表面
とが、関節を曲げた場合に、小さい円弧で滑動す
る一方で、大腿骨部材の外側滑り面と、これと接
触する脛骨部材の表面とは、大きな円弧で滑動す
るので、関節の動きが自然に近いものとなる。

紐帯の張力について説明すると、本発明の紐帯
は、膝を伸ばした際に緊張し、負荷のない状態で
膝を曲げた場合に僅かに弛緩して非緊張状態とな
る。負荷をかけて曲げた状態では、両方の紐帯共
緊張している。負荷のない状態で伸ばした膝を曲
げた場合には、紐帯の張力は徐々に減少する。

紐帯を部材に連結する位置は、関節の動きを邪
魔しない位置とすべきである。従つて、例えば、
大腿骨部材の外側と脛骨部材を連結する紐帯は、
脛骨部材の前側から余り離れない位置に連結すべ
きである。大腿骨部材の滑り面の曲率が後側に向
つて減少しているために、関節の屈曲に支障を来
すことはない。

本発明においては、脛骨部材に存在する２つの
表面の間には、２つの隆起部が設けられており、
外側の隆起部は内側の隆起部より僅かに後側に位
置し、これら２つの隆起部は鞍状曲面で連ねられ
ている。こうすることにより。膝の曲げ角度が異
なつても、脛骨部材の中央部は紐帯の別の部分と
適合することができる。

さらに、本発明では脛骨部材の外側表面の傾斜
が、その表面内で徐々に変化し、円錘状を呈して
いる。

また、人工関節装着者が立つ床面から見て、脛
骨部材の外側表面は、内側表面より高い位置にあ
る。このことは大腿骨部材の２つの滑り面につい
ても同じである。この構成はヒトの脚を正面（前
側）から見ると、ほぼ「Ｘ字形」を成しているこ
とから採用されたものである。

さらに、本発明では脛骨部材の内側表面と外側
表面とが、後側領域で後側に傾斜している。こう
することにより、膝が大きく曲げられても、大腿
骨部材は前記２つの斜面上を摺動することができ
ので、膝の曲げ運動が容易になるのである。

なお、人工膝関節をヒトの脚に植設するに当つ
ては、植設前に紐帯を脛骨部材にしつかり連結さ
せ、次いで大腿骨部材との連結を、植設中に行う
ものとする。

第１図は人工膝関節の脛骨部材をを上方から見
た図面である。符号１は大腿骨部材の内側滑り面
が摺動する表面であり、符号２は外側滑り面が摺
動する表面である。表面１，２の間には、２つの
隆起部が設けられ、各隆起部の頂部が符号３，４
で示されている。頂部３から内側表面１への斜面
は、付号５で示されるが、この斜面は頂部４から
外側表面２への斜面６に比べ勾配が急である。内
側表面１はわずかに凹状を成し、外側表面２はほ
ぼ平坦である。このような形状を採用すれば、膝
を曲げた時に大腿骨部材の２つの滑り面が、第１
図に斜線で示すす表面７，８に接触するようにな
る。すなわち、内側滑り面は小さい表面領域７上
を滑り、外側滑り面は大きい表面領域８上を滑
る。脛骨が静止状態にして大腿骨を脛骨に対して
曲げた場合を想定すると、大腿骨は曲げの過程で
反時計方向（第１図で見て）に僅かに捩れる動き
をする。換言すれば、大腿骨が静止していると、
曲げの過程で脛骨はその長軸を中心にして捩れ
て、脛骨の前側部分が僅かに内側に回転する。膝
を90度曲げた場合、脛骨の長軸を中心とする回動
角度は約20度となる。

第２図は人工膝関節の脛骨部材を上から見た別
の上面図である。第２図では２本の紐帯１１，１
２が示されている。これらの紐帯は、部位９，１
０で脛骨部材と連結され、その部位から紐帯は大
腿骨部材まで上向きに延びている［破線１１，１
２参照］。

第３図は、第２図の−線にて切断した脛骨
部材の断面図である。表面２は表面１より高位置
にある（すなわち、距離ｍは距離ｎより大きい）。
大腿骨部材１３は破線で示されている。ｍとｎの
関係は、前側及び後側では 1.48＜ｍ／ｎ＜1.52 の範囲にあつて、例えばｍ／ｎ＝1.5であり、中
央部では 1.98＜ｍ／ｎ＜2.02 の範囲にあり、例えばｍ／ｎ＝２である。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第２図は、本発明の人工関節に係る
脛骨部材の上面図であり、第３図は第２図の−
線での断面図である。 １：脛骨部材内側表面、２：脛骨部材外側表
面、３，４：隆起部、５，６：斜面、９，１０：
紐帯と脛骨部材との連結部位、１１，１２…紐
帯。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 大腿骨部材と脛骨部材と、この両部材を連結
   する接合手段とで構成される人工膝関節であつ
   て、前記の大腿骨部材が、間に自由空間を設けて
   前側を接続した２つの滑り面を備え、その滑り面
   が前側から後側に向つてほぼＵ字形に湾曲した形
   状にあり、前記の脛骨部材が大腿骨部材の２つの
   滑り面を摺動可能に載置できる内側表面と外側表
   面を備えると共に、これら２つの表面を連続させ
   る少なくとも１つの隆起部を備えた人工膝関節に
   おいて、 脛骨部材の中央断面における脛骨部材の外側表
   面２を、前側から後側に向けてほぼ平らにすると
   共に、脛骨部材の内側表面１を前側から後側に向
   けて窪ませ、隆起部３，４から外側表面２に向う
   斜面６の傾斜を、内側表面１に向う斜面５よりそ
   れより小さくし、かつ、大腿骨部材と脛骨部材と
   の連結を、２本非弾性紐帯１１，１２で行い、第
   １の紐帯１１を脛骨部材の前側中央から大腿骨部
   材の後側に向けて延在させ、第２の紐帯１２を脛
   骨部材の後側中央から大腿骨部材の前側に向けて
   延在させることにより、膝を伸ばした時に前記の
   紐帯１１，１２が緊張し、負荷のない状態で膝を
   曲げた時に僅かに弛緩する、 ことを特徴とする前記の人工膝関節。 ２ 前記の２つの隆起部３，４が、脛骨部材の２
   つの表面の間に設けられ、外側隆起部４がは内側
   隆起部３より僅かに後側に位置し、当該２つの隆
   起部が鞍状曲面により連結されていることを特徴
   とする特許請求の範囲第１項記載の人工膝関節。 ３ 前記斜面６の勾配が表面２内で序々に変化し
   て円錘状を成していることを特徴とする特許請求
   の範囲第１項又は第２項記載の人工膝関節。 ４ 人工膝関節装着者が立つている床面から見
   て、脛骨部材の外側表面２が内側表面３より高い
   位置にあることを特徴とする特許請求の範囲第１
   〜３項のいずれか１項記載の人工膝関節。 ５ 人工膝関節装着者が立つている床面から見
   て、脛骨部材の外側表面２に載置されている大腿
   骨部材の一方の滑り面が、他方の滑り面より高い
   位置にあることを特徴とする特許請求の範囲第４
   項記載の人工膝関節。 ６ 脛骨部材の内側及び外側表面１，２が、後側
   領域で後側に傾斜していることを特徴とする特許
   請求の範囲第１〜５項のいずれか１項記載の人工
   膝関節。 ７ ヒトの脚に人工膝関節を植設する以前に、紐
   帯１１，１２が脛骨部材にしつかり連結され、植
   設の過程で前記の紐帯が大腿骨又は大腿骨部材に
   連結されることを特徴とする特許請求の範囲第１
   〜６項のいずれか１項記載の人工膝関節。