JPH03501250A - リューマチ用潤滑組成物 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるため要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 リューマチ用潤滑組 本発明は潤滑組成物に関するものであり、特に関節の潤滑のような生理学的な利 用に適する組成物に関するものである。

人間及びその他の動物では、関節を形成する骨の摩擦接触表面を効果的に潤滑す るために滑液が作用していることが知られている。

更にこの滑液は、人の膝のような正常負担荷重が約３　ｋｇ／ｃｍ２程度の関節 に効果的な潤滑作用を付与することができる。

変形性関節症及びその他のリューマチ性疾患の広がりと衰弱作用により、関節炎 の関節に潅注するのに有効な潤滑剤を開発することに対して相当な注目が払われ てきている。この種の潤滑剤は、関節の運動機能を保ち、運動中に痛みを生°じ させる機械的なストレスの減少を助長することが望ましい。更にこの潤滑剤は、 １、関節の両表面の摩耗を減少すること、２、動きの始めに両表面の遊離を助長 すること、３、両表面を疎水性にし、それにより、関節炎に共通に所見される軟 骨の水化に寄与する関節からの圧出流体に対する透過性を低下させること、 などに好適であるのがよい。

前述のタイプの潤滑剤は、表面が摺動接触を行うその他の組織、例えば心臓、肺 臓、及び筋肉繊維などにおいても効果的であることに注目すべきである。

従って、関節を効果的に潤滑することのできる滑液の中に存在する「活性成分」 を確認することに注意が向けられている。

滑液の主要成分の一つが運動摩擦係数０．０２以下のヒアルウロン酸であること は確認されている。しかしながら、その潤滑能力は０．５〜ｌ　ｋｇ／ｃｍ２以 上の負荷を受けると低下する。従って、人の膝関節に生しる約３　ｋｇ／ｃｍ２ の定常負荷荷重より邊かに低いところでその潤滑能力が損なわれることになる。

このような荷重下でヒアルウロン酸の有効な潤滑性が損なわれるという知見は、 関節内に通常存在して関節表面を疎水性に維持している表面活性成分の性質につ いて問題を提起した。

更にまた、滑液を生理食塩水で置換したと１に関節の良好な潤滑が達成されると いうことも観察されているが、これは活性成分が関節表面上で吸着されることを 暗示している。

本発明者は、肺臓の肋骨表面での摺動の研究中に胸膜液内にりん脂質を発見し、 このりん脂質はクロロフォルムに溶けた溶液からガラス又は石英のような表面に 被着されたときに、これらの表面に吸着された層として良好な潤滑をなし得るこ とを示した。更に、これらの層が高い負荷担持特性を有し、また同一のりん脂質 は、摺動組織面、例えば心腹、多数の内蔵表面及び関節などに隣接する他の多く の液中に存在するということが研究により判明した。更にまた、これらは生体内 の摺動画に吸収されるべくそこで必要とされる表面活性状態で存在している。

これらの実験の結果は、ある種のりん脂質、特に不飽和フオスファチジルコリン （レシチン）が、クロロフォルムに溶けた液から蒸発によフて被着されたときに ０．０１、場合によっては０．００２という低い運動摩擦係数を与え得ることを 示した。更に、このような低い運動摩擦係数は１３　ｋｇ／ｃｍ”程の大きさの 負荷に対しても得られよう。これらの知見は、関節潤滑がなぜ境界潤滑の特性を もち、さらに摩擦係数の大きさがなぜほぼ流体力学的な潤滑に関連するかを説明 付けるものである。

本発明者は、０．００３〜０．０１０程度の適度に低い運動摩擦係数を有する組 成物が、生理食塩水中の表面活性りん脂質の超音波処理によりリボゾーム懸濁液 を作ることによって製造し得ることを知見した。更にまた、本発明者は、低い運 動摩擦係数は表面活性りん脂質がヒアルウロン酸中に懸濁された場合に得られる ことも知見した。この種の組成物は、比較的高い負荷荷重のもとて適度に低い運 動摩擦係数を与えるものである。

本発明は、生理食塩水中に、少なくとも一種の表面活性りん脂質と、ヒアルウロ ン酸またはその水溶性の塩とを有する潤滑組成物に関するものである。生理食塩 水は０．９％ＮａＣ１溶液、好ましくは燐酸塩で緩衝化した０、９％ＮａＣ１溶 液である。この潤滑組成物は、所望により医薬的に許容可能な賦形剤及び／また は添加物を含んでいてもよい。

本発明に従りて溶液中に比較的高い濃度のりん脂質を有する潤滑組成物を人また は動物の関節へ導入することは、前記関節の関節表面の潤滑を改善に導くもので あり、前記りん脂質は、関節滑液または身体内で組織の潤滑が生じているその他 の部位から採取されたものである。より高度の潤滑の改善は、潤滑剤組成物中の りん脂質の濃度が滑液中に見出されるりん脂質の通常の濃度を超えるようなとき に得られる。関節表面上へのりん脂質の吸着は、この表面を疎水性とし、前述の ような低い運動摩擦係数を提供する。

特定の部位への潤滑組成物の導入の結果、その部位でのりん脂質の集中は、液体 が「絞り出し」を受ける可能性のあるときに立っていた後の関節の硬直を防止す る遊離剤としての作用をも果たし得るものである。即ち、潤滑組成物中に存在す る表面活性りん脂質は、前記組成物を関節滑液と共に５または表面が接触状態に ある身体のその他の部分の液と共に使用したときに遊離剤として用いることがで きる。このような使用は特定の部位における運動性を向上し、苦痛がある場合に はこれを軽減する。前記組成物を遊離剤として使用する幾つかの場合において、 蛋白質接着剤による接着強度は９０〜９９％も減少し得る。

潤滑組成物の投与によって得られた改善効果は、以前に潤滑剤の影響を受けた関 節または身体部位を所要の規則正しい間隔で再潅注することによりて維持または 容易に再現することが可能である。

従って本発明は、前記潤滑組成物を動物または人の関節の滑液の中に導入し、そ の結果、関節表面と滑液との間及び関節表面同士の間の運動摩擦係数が減少する ように前記関節の関節表面上へのりん脂質の吸着の増加をもたらすような潤滑組 成物の使用にも関する。

更に本発明は、特定の関節または表面同志が接触状態にある身体の特定の部位に 前記潤滑組成物を滑液と共に使用する場合のｔｘｍ剤としての潤滑組成物の使用 にも関する。

本発明はまた、疾患部関節に有効量の潤滑組成物を投与することからなる動物の 関節の変形性関節症および関連疾患の油源方法にも関連する。関節に対する本発 明の潤滑組成物の好ましい投与方法は注射によるものである。従って前記ヒアル ウロン酸は、関節に注射したときに炎症性の反応を生じないような純度のもにす る必要がある。

この明細書で述べている表面活性りん脂質とは、スフインゴリピッド類及びフォ スフォグリヤリッド類から選ばれた一種または複数種のりん脂質である。本発明 に従って使用可能な表面活性りん脂質には、天然または人造で作り得るりん脂質 が含まれる０表面活性りん脂質は、好ましくはフオスファチジルコリン、フォス フ７チジルエタノールアミン、フオスファチジルセリン、フオスファチジルグリ セロール、フオスファチジルイノシトール、スフィンゴミエリン及びそれらの銹 導体を含むグループから選ばれる。なお、上述のりん脂質の２種またはそれ以上 の混合物も使用することができる。

特に好ましい態様において、表面活性りん脂質はα−ジパルミトイルフォスファ チジルコリン（α−ＤＰＰＣ）であるが、最も好ましいのはα−ＤＰＰＣのラセ ミ（ＤＬ）混合物である。ラセミ混合物は、生体内に存在するフオスフオリバー ゼが最終的にし形態を分解してＤ形態を残す結果、表面の潤滑をｖ１続させると いう増進効果をもたらす。これは、関節炎の潅注間隔期間を延ばすという潜在的 な長所である。好ましくは、ラセミ混合物ＤＬ−α−ＤＰＰＣは化学合成的に銹 導されたものであり、それによってその使用は生物由来のし一α−ＤＰＰＣの使 用に特有な交叉感染の恐れを回避する。

また潤滑組成物中の表面活性りん脂質の濃度は１〜２　Ｑ　Ｏｍｇ／ｍｌである 。

本発明の組成物は水溶液であり、容易に使用可能で、関節の潤滑に投与するのに 生理学的に適している。これらの場合、関節内に与えられたヒアルウロン酸とり ん脂質とが相乗作用を生じ得る。これは、ヒアルウロン酸がりん脂質の潤滑を増 進させるか、或いはりん脂質がヒアルウロン酸の荷重担持能力を増進させるかの いずれかによるものと思われる。

潤滑組成物のヒアルウロン酸は水溶性の塩、例えばナトリウムまたはカリウム塩 、またはそれらの混合物として存在し得る。更に前記塩のナトリウムまたはカリ ウムイオンを多価金属陽イオンに置き換えることができ、この場合は前記疎水性 を増加することが可能である。この目的に適する陽イオンとしては、Ｃａ２°、 Ａ１３８、及びＡｕ”がある。典型的には、前記潤滑組成物は１〜１０　ｍｇ／ ｎｌのヒアルウロン酸を含有するが、多価陽イオンを含有する潤滑組成物の場合 、この多価陽イオンは１〜１０ｍＭの濃度である。

好ましい形態において、本発明による潤滑組成物は、１３　ｋｇ／ｃｍ’程度の 高い負荷荷重にて０．００３〜ｏ、ｏｏｓ程度の運動摩擦係数をもつ、従ってこ の潤滑組成物は、人の膝のように高い負荷荷重を担う関節においても十分な潤滑 をもたらすことが明らかである。

以上に述べたことから、本発明は特に関節の潤滑のような生理学的環境のもとて の用途に効果的な潤滑組成物を提供できることが明らかである。

本発明の組成物のその他の生理学的用途には、腹腔外科手術後の特に回復投薬（ ｍａｋｅ−ｕｐ　ｄｏｓｅｓ）が腹腔内になされる場合の癒着形成の防止、およ び、例えば胸膜摩擦、心服摩擦、及び筋肉組織内の繊維間弛緩のような身体内の あらゆる部位の潤滑剤としての用途が含まれる。この後者の用途は繊維組織の治 療のための含みをもつことに注意すべきである。

付加的な使用は絨毛羊膜炎嚢のような膜の透過性の減少である。

この種の膜表面は同様に疎水性と考えられる。この性質は、関節潤滑が流体力学 的であっても不透過性で疎水性の関節表面であることは望ましいことであるので 、関節炎疾患の治療にも積極的に利用可能である。

以上に述べたような本発明について、その精神と範囲を離れることなしに多数の 変形または変更が可能であることは当業者に理解できるところである。

（訂　正） 補正帯の写しく翻訳文）提出書 （特許法第１８４条の８） 平成０２年０２月２４日

Claims (20)

【特許請求の範囲】
1. １．少なくとも１種の表面活性りん脂質と、ヒアルウロン酸またはその水溶性の 塩とを生理食塩水中に含み、更に所望により医薬的に許容される賦形剤及び／ま たは添加物とからなる潤滑組成物。
2. ２．前記表面活性りん脂質の濃度が１〜２００ｍｇ／ｍｌである請求の範囲１に 記載の組成物。
3. ３．前記ヒアルウロン酸の濃度が１〜１０ｍｇ／ｍｌである請求の範囲１に記載 の組成物。
4. ４．前記ヒアルウロン酸塩が、ヒアルウロン酸のナトリウム、カリウム、カルシ ウム、アルミニウム、または金の塩から選ばれている請求の範囲１に記載の組成 物。
5. ５．前記ヒアルウロン酸または１価の陽イオンを含むその塩の濃度が１〜１０ｍ ｇ／ｍｌである請求の範囲１に記載の組成物。
6. ６．多価陽イオンを含む前記ヒアルウロン酸塩の濃度が１〜１０ｍＭである請求 の範囲１に記載の組成物。
7. ７．前記りん脂質が、フォスファチジルコリン、フォスファチジルエタノールア ミン、フォスファチジルセリン、フォスファチジルクリセロール、フォスファチ ジルイノシタール、スフィンゴミエリン、及びその誘導体カラナルグルーブから 選ばれている請求の範囲１に記載の組成物。
8. ８．前記りん脂質が、α−ジバルミトイル・フォスファチジルコリンてある請求 の範囲１に記載の組成物。
9. ９．前記りん脂質が、Ｄ−α−ジバルミトイル・フォスファチジルコリンとＬ− α−ジバルミトイル・フォスファチジルコリンとのラセミ混合物である請求の範 囲１に記載の組成物。
10. １０．前記表面活性りん脂質が、ヒアルウロン酸またはその塩の中に懸濁されて いる請求の範囲１〜９の任意１項に記載の組成物。
11. １１．動物または人の関節に導入した請求の範囲１〜１０の任意１項に記載の組 成物。
12. １２．関節上の接合境界面に与えられる運動摩擦係数を０．００３〜０．０５の 値に低下させるために用いられた請求の範囲１〜１０の任意１項に記載の組成物 。
13. １３．前記低運動摩擦係数が前記境界面上に２０ｋｇ／ｃｍ２までの負荷荷重値 で生じる請求の範囲１２による方法。
14. １４．遊離剤として使用される場合の請求の範囲１〜１０の任意１項に記載の組 成物。
15. １５．表面、特に動物または人の間接表面の潤滑を改善するための方法であって 、 （ａ）少なくとも一種の表面活性りん脂質とヒアルウロン酸またはその水溶性の 塩とを生理食塩水中に含み、更に所望添加物を加えた潤滑組成物を疾患のある関 節に投与するステップと、（ｂ）前記ステップ（ａ）の結果による改善された表 面潤滑状態と低運動摩擦係数とを維持または再現するように前記関節に規則正し い時間間隔で所要の前記潤滑組成物を灌注するステップ、とを有する方法。
16. １６．前記組成物を注射によって投与する請求の範囲１１〜１５の任意１項に記 載の方法。
17. １７．関節炎の治療に用いられる場合の請求の範囲１〜１０の任意１項に記載の 組成物。
18. １８．変形性関節症又はリューマチ性疾患にかかった関節の治療に用いられる場 合の請求の範囲１〜１０の任意１項に記載の組成物。
19. １９．相互に接触状態にある組織表面の間の潤滑に使用される場合の請求の範囲 １〜１０の任意１項に記載の組成物。
20. ２０．実質的にここに述べられた通りの請求の範囲１に記載の組成物または請求 の範囲１１〜１９の任意１項に記載の方法。